JP3900477B2 - アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4輪駆動のハイ(4H)とロー(4L)の切り換え、2輪駆動と4輪駆動の切り換えなどの切り換え操作に利用されるアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の切り換え操作を行うアクチュエータには、いわゆる「待ち機構(待ち機能)」が備わっている。待ち機構(待ち機能)とは、駆動源であるモータと、駆動対象物に駆動力を与える出力軸との間の動力伝達経路途中にスプリングを介在させ、駆動対象物から加わる負荷の増大により出力軸の回転が不能なときに、モータからの回転トルクをスプリングの撓みエネルギとして蓄積しておき、出力軸の回転が可能となったときに、スプリングに蓄積しておいた回転トルクで出力軸を回転させて、駆動対象物に駆動力を与えるという機構(機能)である。
【0003】
この種の待ち機構付きのアクチュエータの従来例として、特開2001−225662号公報に記載のものが知られており、この従来技術について、図8、図9を参照しながら説明する。図8は同アクチュエータの待ち機構部分の分解斜視図、図9(a)〜(d)は待ち機構の動作説明図である。
【0004】
図8に示すように、この待ち機構100は、駆動源であるモータ(図示略)により回転駆動される入力側回転部材(ホイールギヤ)110と、出力軸122に連結された出力側回転部材120と、入力側回転部材110から出力側回転部材120への動力伝達経路上に介在され、出力側回転部材120が回転不能なときに入力側回転部材110から与えられる回転トルクを自身の撓みとして蓄えるスパイラル状のスプリング130と、このスプリング130の外周端131及び内周端132をそれぞれ受け止めると共に両者の相対回転に応じた撓みをスプリング130に与える第1スプリング受部材140及び第2スプリング受部材150とを備えている。
【0005】
これら入力側回転部材110、出力側回転部材120、第1スプリング受部材140、第2スプリング受部材150は、同一回転中心S上に各々回転自在に備えられている。スプリング130の中心には、第2スプリング受部材150の筒部152が通されており、スプリング130の外周端131は、第1スプリング受部材140の突片141に形成したスプリング係合部143に係合され、スプリング130の内周端132は、第2スプリング受部材150の筒部152に形成したスプリング係合部153に係合されている。
【0006】
入力側回転部材110と第1スプリング受部材140には、入力側回転部材110が正転(A方向に回転)したとき、入力側回転部材110の正転を第1スプリング受部材140に伝える正転時入力回転伝達部AI(後述)が設けられ、第2スプリング受部材150と出力側回転部材120には、第2スプリング受部材150が正転したとき、第2スプリング受部材150の正転を出力側回転部材120に伝える正転時出力回転伝達部AO(後述)が設けられている。
【0007】
また、入力側回転部材110と第2スプリング受部材150には、入力側回転部材110が逆転(B方向に回転)したとき、入力側回転部材110の逆転を第2スプリング受部材150に伝える逆転時入力回転伝達部BI(後述)が設けられ、第1スプリング受部材140と出力側回転部材120には、第1スプリング受部材140が逆転したとき、第1スプリング受部材140の逆転を出力側回転部材120に伝える逆転時出力回転伝達部BO(後述)が設けられている。
【0008】
前記各回転伝達部AI、AO、BI、BOについて詳述すると、図9(c)に示すように、正転時入力回転伝達部AIは、入力側回転部材110の突片111と第1スプリング受部材140の突片141の互いに衝合する衝合部111a、141aの組からなり、正転時出力回転伝達部AOは、第2スプリング受部材150の突片151と出力側回転部材120の突片121の互いに衝合する衝合部151a、121aの組からなる。
【0009】
また、図9(d)に示すように、逆転時入力回転伝達部BIは、入力側回転部材110の突片111と第2スプリング受部材150の突片151の互いに衝合する衝合部111b、151bの組からなり、逆転時出力回転伝達部BOは、第1スプリング受部材140の突片141と出力側回転部材120の突片121の互いに衝合する衝合部141b、121bの組からなる。
【0010】
次に上記待ち機構100の作用を図9を用いて説明する。
この待ち機構100を含んだアクチュエータは、例えば、2輪駆動・4輪駆動の切り換え操作に使用され、一方への切り換えが行われたとき、待ち機構100は最終的に(a)の状態になり、他方への切り換えが行われたとき、待ち機構100は最終的に(b)の状態になる。これらの安定状態においては、入力側回転部材110の突片111と出力側回転部材120の突片121とが、第1のスプリング受部材140の突片141と第2のスプリング受部材150の突片151との間に、スプリング130の付勢力によって挟まれる。
【0011】
いま、(a)の状態から(b)の状態に切り換える場合、入力側回転部材110をA方向に正転させる。そうすると、A方向への入力側回転部材110の回転トルクは、まず、入力側回転部材110の突片111が第1スプリング受部材140の突片141を押すことにより、正転時入力回転伝達部AI(衝合部111a、141a)を介してスプリング130に伝達され、スプリング130から、第2スプリング受部材150の突片151が出力側回転部材120の突片121を押すことにより、正転時出力回転伝達部AO(衝合部151a、121a)を介して出力側回転部材120に伝達される。
【0012】
ここで、切り換え対象物から出力側回転部材120が受ける負荷が小さいときには、スプリング130はほとんど撓むことなく、入力側回転部材110の回転トルクは出力側回転部材120にそのまま伝達されて、出力軸122が入力側回転部材110に追従して回転する。その結果、(a)の状態から(b)の状態に直接移行する。
【0013】
一方、(a)の状態から(b)の状態に切り換えるに当たり、切り換え負荷が大きいとき、つまり、切り換え対象物から出力側回転部材120が受ける負荷が大きいときには、(a)の状態から一旦(c)の待ち状態に移行し、その後、切り換え負荷の減少に応じて(b)の状態に移行する。
【0014】
即ち、モータの回転により入力側回転部材110は回転するが、その回転に出力側回転部材120は追従することができない。そのため、スプリング130を挟んで入力側と出力側にそれぞれ位置する第1スプリング受部材140と第2スプリング受部材150の相対回転角度に応じた分だけスプリング130が撓み(巻き締まり)、スプリング130に入力回転トルクが撓みエネルギとして蓄積される。この状態が(c)に示す待ち状態である。そして、出力側に作用していた負荷が小さくなって、その負荷がスプリング130に蓄積していた回転トルクよりも軽減したとき、蓄えていた撓みエネルギが解放されることによって、第2スプリング受部材150の突片151が出力側回転部材120の突片121を押して出力側回転部材120を回転させ、(c)の状態から(b)の状態に移行し、切り換えが達成される。
【0015】
次に、(b)の状態から(a)の状態に切り換える場合には、入力側回転部材110をB方向に逆転させる。そうすると、B方向への入力側回転部材110の回転トルクは、まず、入力側回転部材110の突片111が第2スプリング受部材150の突片151を押すことにより、逆転時入力回転伝達部BI(衝合部111b、151b)を介してスプリング130に伝達され、スプリング130から、第1スプリング受部材140の突片141が出力側回転部材120の突片121を押すことにより、逆転時出力回転伝達部BO(衝合部141b、121b)を介して出力側回転部材120に伝達される。
【0016】
ここで、切り換え対象物から出力側回転部材120の受ける負荷が小さいときには、スプリング130はほとんど撓むことなく、入力側回転部材110の回転トルクは出力側回転部材120にそのまま伝達されて、出力軸122が入力側回転部材110に追従して回転する。その結果、(b)の状態から(a)の状態に直接移行する。
【0017】
一方、(b)の状態から(a)の状態に切り換えるに当たり、切り換え負荷が大きいとき、つまり、切り換え対象物から出力側回転部材120が受ける負荷が大きいときには、(b)の状態から一旦(d)の待ち状態に移行し、その後、切り換え負荷の減少に応じて(a)の状態に移行する。
【0018】
即ち、モータの回転により入力側回転部材110は回転するが、その回転に出力側回転部材120が追従することができない。そのため、スプリング130を挟んで入力側と出力側にそれぞれ位置する第2スプリング受部材150と第1スプリング受部材140の相対回転角度に応じた分だけスプリング130が撓み(巻き締まり)、スプリング130に入力回転トルクが撓みエネルギとして蓄積される。この状態が(d)に示す待ち状態である。そして、出力側に作用していた負荷が小さくなって、その負荷がスプリング130に蓄積していた回転トルクよりも軽減したとき、蓄えていた撓みエネルギが解放されることによって、第1スプリング受部材140の突片141が出力側回転部材120の突片121を押して出力側回転部材120を回転させ、(d)の状態から(a)の状態になり、切り換えが達成される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、4輪駆動のハイ・ロー(4H・4L)の切り換え操作を、この種の待ち機構付きのアクチュエータで行う場合、前のギヤを抜いて次のギヤに入れるという切り換え操作が必要となるが、前記の待ち機構付きのアクチュエータのスプリングのトルク設定条件によっては、特にギヤを抜く過程において、うまく動作しない場合があり、切り換え不良を引き起こす可能性があった。以下、それについて説明する。
【0020】
図10は4L・4Hの切り換え機構部分の概略図である。図において、Lはローギヤ、Hはハイギヤ、Gはスライドギヤであり、(a)はスライドギヤGが中立にある状態を示している。スライドギヤGは、図示略のアクチュエータによって矢印方向に往復スライドさせられ、(b)のようにローギヤLと噛み合うことで「4L」の低速段を達成し、(c)のようにハイギヤHと噛み合うことで「4H」の高速段を達成する。(b)、(c)において、太線矢印は駆動力伝達経路を示している。
【0021】
いま、4Lから4Hへの切り換えを行う場合には、スライドギヤGをローギヤLから抜いて、ハイギヤHに入れる動作が必要になる。また、4Hから4Lへの切り換えを行う場合には、スライドギヤGをハイギヤHから抜いて、ローギヤLに入れる動作が必要になる。いずれの場合も、ギヤを「抜いて」「入れる」という一連の切り換え操作が必要になる。
【0022】
このときのアクチュエータにかかる負荷トルクについて調べてみると、出力軸の作動角に応じて、図11に示すような負荷トルク特性が得られる。図10のギヤの切り換え動作に対応させてみると、切り換え初期の区間▲1▼では、抜くべきギヤを抜くときの負荷がかかる。ギヤが抜けた次の空走区間▲2▼では、負荷が大幅に軽減し、最後の区間▲3▼では、次のギヤに入れるべき負荷がかかる。次に入れるべきギヤがスムーズに入るときには、ほとんど負荷が増えずにギヤが入ることになり、次に入れるべきギヤがスムーズに入らないときには、負荷が極大になる。
【0023】
この「入れるべきギヤが入らないとき」は、アクチュエータがロック状態となり、衝撃がかかるだけでなく、ロック電流通電状態で保持されることになる。ギヤの同期によっては、この状態が長時間にわたることになるため、前述の待ち機構が必要となる。待ち機構は、入れるべきギヤが入らないで、アクチュエータの出力軸が動かないとき、スプリングを撓ませることによって、モータの回転トルクを蓄えておき、モータを停止した後で、ギヤがスムーズに入る状況になってから、スプリングの力で出力軸を回してギヤを入れる、という機能を果たす。
【0024】
図12は、抜くべきギヤを抜くときの負荷(以下「抜き負荷」という)が、スプリングの最大回転トルク(=待ち機構において予定最大角度までスプリングを撓ませたときに発生する回転トルク)よりも小さく、スムーズにギヤを抜くことができる場合の特性を示している。(a)は負荷トルクと出力軸作動角の関係を示す図である。なお、出力軸作動角は、スムーズにギヤの切り換えができるときのアクチュエータギヤ(ACTRギヤ=入力側回転部材)の作動角と一致する。(b)は、入れるべきギヤがスムーズに入るとき(入り負荷が小のとき)の出力軸及びアクチュエータギヤの作動角の変化を示す図(上図)と、スプリング撓み角の変化を示す図(下図)である。(c)は、入れるべきギヤが入らないとき(入り負荷が大のとき)の(b)と同じ図である。なお、「入れるべきギヤ」を入れるときの負荷を、ここでは「入り負荷」といっている。
【0025】
(b)の上図、下図から分かるように、「抜き負荷」が小さく且つ「入り負荷」が小さいときには、出力軸の作動角は、アクチュエータギヤ(ACTRギヤ=入力側回転部材)の作動角に追従して変化する。また、負荷変動が少ないから、スプリングはほとんど撓まない。
【0026】
一方、(c)の上図、下図から分かるように、「抜き負荷」が小さく且つ「入り負荷」が大きいとき、出力軸の作動角は、スライドギヤが入れるべきギヤの手前でロックするまでは、アクチュエータギヤの作動角に追従して変化するが、入れるべきギヤに当たってロックした段階で、負荷の増大により変化しなくなる。つまり、出力軸が回転しないまま、アクチュエータギヤだけが回転する。アクチュエータギヤは、予定位置まで回りきって停止した後、その位置に保持され、出力軸は停止したままとなる。このとき、アクチュエータギヤの回転に拘わらず、出力軸が停止していることにより、第1、第2スプリング受部材の相対回転角度が増大し、それに応じてスプリングが撓んで行き、アクチュエータギヤが停止した段階で、スプリングがアクチュエータギヤの回転トルクを撓みエネルギとして蓄える。この状態が待ち状態である。この状態で、例えばスライドギヤが、入れるべきギヤと同期して出力軸の負荷が急減することにより、スプリングに蓄えられた回転トルクによって、出力軸が回転させられ、スライドギヤが入るべきギヤに入ることになる。
【0027】
図13は、抜くべきギヤを抜くときの負荷(抜き負荷)が、スプリングの最大回転トルクよりも大きく、スムーズにギヤを抜くことができない場合の特性を示している。(a)は負荷トルクと出力軸作動角の関係を示す図である。(b)は、入れるべきギヤがスムーズに入るとき(入り負荷が小のとき)の出力軸及びアクチュエータギヤの作動角の変化を示す図(上図)と、スプリング撓み角の変化を示す図(下図)である。(c)は、入れるべきギヤが入らないとき(入り負荷が大のとき)の(b)と同じ図である。
【0028】
(b)の上図、下図から分かるように、「抜き負荷」が大きいときには、出力軸の作動角は、アクチュエータギヤの作動角に拘わらず変化しない。即ち、出力軸は停止したままである。従って、第1、第2スプリング受部材の相対回転角度の増大によりスプリングが撓んで行く。ところが、撓み角が増大し、予定した最大回転トルクを発揮できるようになったとしても、抜くべきギヤの抜き負荷がそれ以上であると、結局はギヤが抜けないままとなる。そして、前のギヤが抜けないことで、当然のことながら、次のギヤへの切り換えも不可能となり、スプリングが撓むだけで、出力軸が最後まで回転できず、切り換え不能の事態となってしまう。つまり、「入り負荷」の大きいか小さいかに拘わらず、前のギヤが抜けないことで、切り換え不能の事態を招くことになる。
【0029】
本発明は、上記事情を考慮し、前のギヤの抜き負荷が大きいときでも、確実にギヤを抜くことができて、ギヤの「抜き」から「入り」までの一連の切り換え動作を円滑に行うことができるようにしたアクチュエータを提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、駆動源としてのモータと、モータにより回転駆動される入力側回転部材と、出力軸が連結された出力側回転部材と、入力側回転部材から出力側回転部材への動力伝達経路上に介在され、出力側回転部材が回転不能なときに入力側回転部材から与えられる回転トルクを自身の撓みとして蓄えるスプリングと、このスプリングの両端をそれぞれ受け止めると共に両者の相対回転に応じた撓みを前記スプリングに与える第1スプリング受部材及び第2スプリング受部材と、を備え、前記入力側回転部材、出力側回転部材、第1スプリング受部材、第2スプリング受部材が同一回転中心上に各々回転自在に備えられ、入力側回転部材と第1スプリング受部材には、入力側回転部材が正転したとき、入力側回転部材の正転を第1スプリング受部材に伝える正転時入力回転伝達部が設けられ、第2スプリング受部材と出力側回転部材には、第2スプリング受部材が正転したとき、第2スプリング受部材の正転を出力側回転部材に伝える正転時出力回転伝達部が設けられ、また、入力側回転部材と第2スプリング受部材には、入力側回転部材が逆転したとき、入力側回転部材の逆転を第2スプリング受部材に伝える逆転時入力回転伝達部が設けられ、第1スプリング受部材と出力側回転部材には、第1スプリング受部材が逆転したとき、第1スプリング受部材の逆転を出力側回転部材に伝える逆転時出力回転伝達部が設けられたアクチュエータにおいて、前記第1スプリング受部材と第2スプリング受部材には、これら両者が所定角度以上相対回転したときに互いに衝合して駆動側の回転力を従動側に前記スプリングを介さずに直接伝える入力回転ダイレクト伝達部が設けられていることを特徴とする。
【0031】
このアクチュエータでは、スプリングに加えた力でギヤが抜けない場合に、入力回転ダイレクト伝達部を介して、モータの回転力を直接、スプリングを介さずに出力側回転部材に伝えることができる。従って、スプリングの最大回転トルクの大小に拘わらず、確実にモータからの力でギヤを抜くことができ、ギヤの「抜き」から「入り」までの一連の切り換え動作を円滑に行うことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態のアクチュエータの分解斜視図、図2はその要部を拡大して示す分解斜視図である。このアクチュエータ1は、駆動源であるモータ2と、待ち機構ユニット3とを組み合わせて一体化したものである。
【0033】
モータ2のケーシング4は、待ち機構ユニット3のハウジング5に結合され、待ち機構ユニット3のハウジング5の内部に、待ち機構6の主要構成部品が収納されている。そして、これら主要構成部品をハウジング5に収納してカバー7を被せることにより、待ち機構ユニット3が構成されている。モータ2からの駆動力は、アーマチュア8の先端に設けたウォーム9により、待ち機構6の入力要素である入力側回転部材(ホイールギヤ)10に伝達される。ウォーム9とホイールギヤの噛み合わせの場合、ウォーム9の回転を停止することにより、ホイールギヤを定位置に固定的に保持することができる。つまり、ホイールギヤからの力でモータが逆転しないようにすることができる。
【0034】
待ち機構6は、モータ2によって回転駆動される前記入力側回転部材(ホイールギヤ)10と、出力軸22に連結されたレバー形状の出力側回転部材20と、入力側回転部材10から出力側回転部材20への動力伝達経路上に介在され、出力側回転部材20が回転不能なときに入力側回転部材10から与えられる回転トルクを自身の撓みとして蓄えるスパイラル状のスプリング30と、このスプリング30の外周端31及び内周端32をそれぞれ受け止めると共に両者の相対回転に応じた撓みをスプリング30に与えるレバー形状の第1スプリング受部材40及び円板状の第2スプリング受部材50とを備えている。
【0035】
これらの入力側回転部材10、出力側回転部材20、第1スプリング受部材40、第2スプリング受部材50は、同一回転中心S上に各々回転自在に備えられている。即ち、出力側回転部材20に一体化された出力軸22が、ハウジング5及びカバー7に回転自在に支持されており、その出力軸22の外周に、入力側回転部材10、第1スプリング受部材40、第2スプリング受部材50が、それぞれ独立して回転できるように支持されている。配置の順番は上から、入力側回転部材10、第1スプリング受部材40、出力側回転部材20、第2スプリング受部材50であり、第2スプリング受部材50の下面中央に突出した筒部(図示略)の外周にスプリング30が配設され、スプリング30の下面とハウジング5の内底面との間にプレート60が配設されている。そして、スプリング30の外周端31が、第1スプリング受部材40のアーム41に突設した突片43に係合され、スプリング30の内周端32が、第2スプリング受部材50の筒部(図示略)に形成したスプリング係合部(図示略)に係合されている。
【0036】
図3(a)、(b)は、入力側回転部材10、出力側回転部材20、第1スプリング受部材40、第2スプリング受部材50の相互の係合関係を説明するために示す平面図であり、次にその係合関係について述べる。
【0037】
図3(a)に示すように、入力側回転部材10と第1スプリング受部材40には、入力側回転部材10が正転(A方向に回転)したとき、入力側回転部材10の正転を第1スプリング受部材40に伝えるための正転時入力回転伝達部AI(後述)が設けられ、第2スプリング受部材50と出力側回転部材20には、第2スプリング受部材50が正転したとき、第2スプリング受部材50の正転を出力側回転部材20に伝えるための正転時出力回転伝達部AO(後述)が設けられている。
【0038】
また、図3(b)に示すように、入力側回転部材10と第2スプリング受部材50には、入力側回転部材10が逆転(B方向に回転)したとき、入力側回転部材10の逆転を第2スプリング受部材50に伝えるための逆転時入力回転伝達部BI(後述)が設けられ、第1スプリング受部材40と出力側回転部材20には、第1スプリング受部材40が逆転したとき、第1スプリング受部材40の逆転を出力側回転部材20に伝えるための逆転時出力回転伝達部BO(後述)が設けられている。
【0039】
また、第1スプリング受部材40と第2スプリング受部材50には、これら両者が所定角度以上相対回転したときに互いに衝合して駆動側(入力側)の回転力を従動側(出力側)にスプリング30を介さずに直接伝える入力回転ダイレクト伝達部DIが設けられている。
【0040】
これらの各回転伝達部AI、AO、BI、BOや入力回転ダイレクト伝達部DIは、入力側回転部材10、出力側回転部材20、第1スプリング受部材40、第2スプリング受部材50にそれぞれ形成されたアーム、突片、突起等によって構成されている。それらアーム、突片、突起等について、図2を合わせて参照しながら説明すると、まず、入力側回転部材10の下面には、図2では図示されないが図3に図示してある駆動突起11が形成されている。駆動突起11は、回転中心Sを挟んで180度対向する位置に一対配されている。
【0041】
次に、出力側回転部材20には、回転中心Sを挟んで180度対向する位置に一対の平面視略扇形のアーム21が設けられ、一対のアーム21のうちの片方には、下向きに折れ曲がった突片23が形成されている。また、第1スプリング受部材40には、回転中心Sを挟んで180度対向する位置に一対の平面視略扇形のアーム41が設けられ、一対のアーム41のうちの片方には下向きに折れ曲がった突片43が形成されている。前述したように、この突片43にスプリング30の外周端31が係合されている。また、円板状に形成された第2スプリング受部材50の上面には、回転中心Sを挟んで180度対向する位置に一対の平面視略扇形の第1突起51が設けられ、それら第1突起51と所定角度だけ離間した位置に、相互に180度対向した位置関係で、1対の平面視略扇形の第2突起52が設けられている。
【0042】
図3(a)に示すように、入力側回転部材10がA方向に回転したときその回転を第1スプリング受部材40に伝える正転時入力回転伝達部AIは、入力側回転部材10の駆動突起11と第1スプリング受部材40のアーム41の互いに衝合する衝合部11a、41aの組からなり、第2スプリング受部材50がA方向に回転したときその回転を出力側回転部材20に伝える正転時出力回転伝達部AOは、第2スプリング受部材50の第1突起51と出力側回転部材20のアーム21の互いに衝合する衝合部51a、21aの組からなる。
【0043】
また、図3(b)に示すように、入力側回転部材10がB方向に回転したときその回転を第2スプリング受部材50に伝える逆転時入力回転伝達部BIは、入力側回転部材10の駆動突起11と第2スプリング受部材50の第1突起51の互いに衝合する衝合部11b、51bの組からなり、第1スプリング受部材40がB方向に回転したときその回転を出力側回転部材20に伝える逆転時出力回転伝達部BOは、第1スプリング受部材40の突片43と出力側回転部材20のアーム21の互いに衝合する衝合部41b、21bの組からなる。
【0044】
また、図3(a)、(b)では衝合していない状態を示してあるが、第1スプリング受部材40と第2スプリング受部材50が所定角度以上相対回転したときに駆動側の回転力を従動側に直接伝える入力回転ダイレクト伝達部DIは、第1スプリング受部材40のアーム41と第2スプリング受部材50の第2突起52の互いに衝合する衝合部41d、52dの組からなる。
【0045】
また、図4、図5に待ち機構6の要部平面を示すように、出力側回転部材20は、ハウジング5の内周に設けたストッパ65、66にアーム21の先端に設けた突片23が当たることで、回動できる範囲が規定されている。また、入力側回転部材10は、図示しない位置検出スイッチの信号でモータ2が停止させられることにより、所定の角度範囲でのみ回動するようになっている。
【0046】
次に、このアクチュエータ1を4輪駆動のハイ・ロー(4H・4L)の切り換え操作、即ち、図10に示すようなスライドギヤの移動操作に使用した場合の作用を説明する。図4(a)〜(d)は、4Lから4Hに切り換える場合の待ち機構6の状態変化を示す平面図、図5(a)〜(d)は、4Hから4Lに切り換える場合の待ち機構6の状態変化を示す平面図である。
【0047】
まず、図4を用いて4Lから4Hへの切り換えを行う場合の作用を説明する。(a)は4Lの状態、(d)は4Hの状態を示している。これら切り換え後の安定状態では、出力側回転部材20のアーム21の先端に設けた突片23が、ハウジング5の内周に設けたストッパ65、66にそれぞれ当たることで、出力軸22の位置が規定されている。
【0048】
いま、(a)に示す4Lの状態から、(d)に示す4Hの状態に切り換える場合、モータ2を駆動することにより入力側回転部材10をA方向に正転させる。そうすると、A方向への入力側回転部材10の回転トルクは、まず、入力側回転部材10の駆動突起11が第1スプリング受部材40のアーム41を押すことにより、正転時入力回転伝達部AI(衝合部11a、41a)を介してスプリング30に伝達され、スプリング30から、第2スプリング受部材50の第1突起51が出力側回転部材20のアーム21を押すことにより、正転時出力回転伝達部AO(衝合部51a、21a)を介して、出力側回転部材120に伝達されることになる。
【0049】
ここで、切り換え対象物(例えば、図10に示したスライドギヤ)から出力側回転部材20が受ける負荷が小さいとき(「抜き負荷小」+「入り負荷小」のとき)には、スプリング30はほとんど撓むことなく、入力側回転部材10の回転トルクは出力側回転部材20にそのまま伝達されて、出力軸22が入力側回転部材10に追従して回転する。その結果、(a)の状態から(d)の状態に直接移行する。即ち、「抜き負荷」が小さいときには、スプリング30の小さな撓みによって生じるトルクでギヤが抜け、「入り負荷」が小さいときには、スプリング30の小さな撓みによって生じるトルクでギヤが入る。なお、(d)の状態に至るとき、出力側回転部材20の突片23が、ハウジング5の内周のストッパ66に当たることで、「4H」の位置出しが確実に行われる。
【0050】
一方、(a)に示す4Lの状態から(d)に示す4Hの状態に切り換えるに当たり、切り換え負荷が大きいとき、つまり、切り換え対象物(スライドギヤ等)から出力側回転部材20が受ける「抜き負荷」が大きいときや「入り負荷」が大きいときには、(a)の状態から一旦(b)や(c)の中間状態に移行して、その後で(d)の状態に移行する。
【0051】
まず、「抜き負荷」が大きいときについて説明すると、「抜き負荷」が大きいときには、通常は、ギヤが抜けるタイミング(ギヤが同期するタイミング)までスプリング30が撓みながら待っていて、抜き負荷が減少することにより、スプリング30の撓み反力によってギヤが抜けることになるが、抜き負荷が減少せずに、スプリング30が最大回転トルクを発揮する角度まで撓んでもギヤが抜けないときには、その対処として、本アクチュエータでは、(c)に示すように、第1スプリング受部材40のアーム41が、第2スプリング受部材50の第2突起52に衝合して、正転時の駆動側である第1スプリング受部材40が直接、従動側である第2スプリング受部材50を押して、出力側回転部材20を回転させ、出力軸22をスプリング30を介さずに、強制的にモータ2の力で回してギヤを抜く。即ち、第1スプリング受部材40が第2スプリング受部材50に対して所定角度(規制角度)α〔(a)参照〕以上相対回転することで、入力回転ダイレクト伝達部DI(第1スプリング受部材40のアーム41と第2スプリング受部材50の第2突起52の衝合部41d、52d)を介して、第1スプリング受部材40のアーム41から第2スプリング受部材50の第2突起52にモータ2の回転トルクが直接伝達され、入力側回転部材10に加わる回転力が、スプリング30を介さずに出力側回転部材20に直接伝達される。そして、モータ2の力でダイレクトにギヤを抜く。このように、ギヤが抜けると、スプリング30の撓みが解放される。
【0052】
その後、「入り負荷」が小さいときには(d)の状態に直接移行し、「入り負荷」が大きいときには(c)の状態に移行する。
【0053】
次に、「入り負荷」が大きいときについて説明すると、「入り負荷」が大きいときには、「入れるべきギヤ」に入る手前で、出力軸22がロックすることにより、モータ2の回転により入力側回転部材10は回転するが、その回転に出力側回転部材20が追従しなくなる。そのため、スプリング30を挟んで入力側と出力側にそれぞれ位置する第1スプリング受部材40と第2スプリング受部材50の相対回転角度に応じた分だけスプリング30が撓み(巻き締まり)、スプリング30に入力回転トルクが撓みエネルギとして蓄積されることになる。入力側回転部材10は、第1スプリング受部材40のアーム41が、第2スプリング受部材50の第2突起52に衝突する直前まで回転し、位置検出センサの信号でモータが停止することによりその位置で確実に止まる。そのため、この段階でモータ2の回転がダイレクトに出力側回転部材20に伝わることはない。この状態が(c)に示す待ち状態である。そして、出力側に作用していた負荷が小さくなってスプリング30に蓄積していた回転トルクよりも軽減したとき、蓄えていた撓みエネルギが解放されることによって、第2スプリング受部材50の第1突起51が出力側回転部材20のアーム21を押して回転させ、(c)の状態から(d)の状態に移行し、ギヤの切り換えが達成される。
【0054】
次に、図5を用いて4Hから4Lへの切り換えを行う場合の作用を説明する。(a)は4Hの状態、(d)は4Lの状態を示している。いま、(a)に示す4Hの状態から、(d)に示す4Lの状態に切り換える場合、モータ2を駆動することにより入力側回転部材10をB方向に逆転させる。そうすると、B方向への入力側回転部材10の回転トルクは、まず、入力側回転部材10の駆動突起11が第2スプリング受部材50の第1突起51を押すことにより、逆転時入力回転伝達部BI(衝合部11b、51b)を介してスプリング30に伝達され、スプリング30から、第1スプリング受部材40のアーム41が出力側回転部材20のアーム21を押すことにより、逆転時出力回転伝達部BO(衝合部41b、21b)を介して出力側回転部材20に伝達されることになる。
【0055】
ここで、切り換え対象物(例えば、図10に示したスライドギヤ)から出力側回転部材20が受ける負荷が小さいとき(「抜き負荷小」+「入り負荷小」のとき)には、スプリング30はほとんど撓むことなく、入力側回転部材10の回転トルクは出力側回転部材20にそのまま伝達されて、出力軸22が入力側回転部材10に追従して回転する。その結果、(a)の状態から(d)の状態に直接移行する。即ち、「抜き負荷」が小さいときには、スプリング30の小さな撓みによって生じるトルクでギヤが抜け、「入り負荷」が小さいときには、スプリング30の小さな撓みによって生じるトルクでギヤが入る。なお、(d)の状態に至るとき、出力側回転部材20の突片23が、ハウジング5の内周のストッパ65に当たることで、「4L」の位置出しが確実に行われる。
【0056】
一方、(a)に示す4Hの状態から(d)に示す4Lの状態に切り換えるに当たり、切り換え負荷が大きいとき、つまり、切り換え対象物(スライドギヤ等)から出力側回転部材20が受ける「抜き負荷」が大きいときや「入り負荷」が大きいときには、(a)の状態から一旦(b)や(c)の中間状態に移行して、その後で(d)の状態に移行する。
【0057】
まず、「抜き負荷」が大きいときについて説明すると、「抜き負荷」が大きいときには、通常は、ギヤが抜けるタイミング(ギヤが同期するタイミング)までスプリング30が撓みながら待っていて、抜き負荷が減少することにより、スプリング30の撓み反力によってギヤが抜けることになるが、抜き負荷が減少せずに、スプリング30が最大回転トルクを発揮する角度まで撓んでもギヤが抜けないときには、その対処として、本アクチュエータでは、(c)に示すように、第2スプリング受部材50の第2突起52が第1スプリング受部材40のアーム41に衝合して、逆転時の駆動側である第2スプリング受部材50の第2突起52が直接、従動側である第1スプリング受部材40のアーム41を押して、出力側回転部材20を回転させ、出力軸22をスプリング30を介さずに、強制的にモータ2の力で回してギヤを抜く。即ち、第2スプリング受部材50が第1スプリング受部材40に対して所定角度(規制角度)α〔(a)参照〕以上回転することで、入力回転ダイレクト伝達部DI(第1スプリング受部材40のアーム41と第2スプリング受部材50の第2突起52の衝合部41d、52d)を介して、第2スプリング受部材50から第1スプリング受部材40にモータ2の回転トルクが直接伝達される。そして、モータ2の力でダイレクトにギヤを抜く。このように、ギヤが抜けると、スプリング30の撓みが解放される。
【0058】
その後、「入り負荷」が小さいときには、(d)の状態に直接移行し、「入り負荷」が大きいときには、(c)の状態に移行する。
【0059】
次に、「入り負荷」が大きいときについて説明すると、「入り負荷」が大きいときには、「入れるべきギヤ」に入る手前で、出力軸22がロックすることにより、モータ2の回転により入力側回転部材10は回転するが、その回転に出力側回転部材20が追従しなくなる。そのため、スプリング30を挟んで入力側と出力側にそれぞれ位置する第1スプリング受部材40と第2スプリング受部材50の相対回転角度に応じた分だけスプリング30が撓み(巻き締まり)、スプリング30に入力回転トルクが撓みエネルギとして蓄積されることになる。入力側回転部材10は、第2スプリング受部材50の第2突起52が、第1スプリング受部材40のアーム41に衝突する直前まで回転し、位置検出センサの信号でモータが停止することによりその位置で確実に止まる。そのため、この段階でモータ2の回転がダイレクトに出力側回転部材20に伝わることはない。この状態が(c)に示す待ち状態である。そして、出力側に作用していた負荷が小さくなってスプリング30に蓄積していた回転トルクよりも軽減したとき、蓄えていた撓みエネルギが解放されることによって、第1スプリング受部材40のアーム41が出力側回転部材20のアーム21を押して出力側回転部材20を回転させ、(c)の状態から(d)の状態に移行し、ギヤの切り換えが達成される。
【0060】
以上の動作をまとめると、4L・4Hの切り換えを行うに当たり、次の各場合▲1▼〜▲4▼において、図4、図5に矢印で示すような順で状態が移行する。
▲1▼「抜き負荷小」+「入り負荷小」のときは(a)→(d)
▲2▼「抜き負荷大」+「入り負荷小」のときは(a)→(b)→(d)
▲3▼「抜き負荷大」+「入り負荷大」のときは(a)→(b)→(c)→(d)
▲4▼「抜き負荷小」+「入り負荷大」のときは(a)→(c)→(d)
【0061】
次に、以上の動作を、作動角とスプリング撓み角の変化として見てみる。図6はそれらの特性を調べた結果を示す。ただし、この場合は、抜くべきギヤを抜くときの負荷(抜き負荷)が、スプリングの最大回転トルクよりも大きく、スムーズにギヤを抜くことができない場合の特性を示している。図の(a)は、入れるべきギヤがスムーズに入るとき(入り負荷が小のとき)の出力軸及びアクチュエータギヤ(入力側回転部材10)の作動角の変化を示す図(上図)と、スプリング30の撓み角の変化を示す図(下図)である。(b)は、入れるべきギヤが入らないとき(入り負荷が大のとき)の(a)と同じ図である。
【0062】
(a)、(b)の上下図から分かるように、「抜き負荷」が大きいとき、ギヤを抜くための区間の前半部分▲1▼では、出力軸の作動角は、アクチュエータギヤ(入力側回転部材)の作動角に拘わらず変化しない。即ち、出力軸は停止したままである。従って、第1、第2スプリング受部材40、50の相対回転角度の増大により、スプリング30が撓んで行く。ところが、撓み角が増大し、予定した最大回転トルクを発揮できるようになっても、抜くべきギヤの抜き負荷がそれ以上であると、結局はギヤが抜けないままの状態となる。
【0063】
そこで、本アクチュエータでは、その段階になると、即ち、所定角度αだけスプリング30を撓ませているにも拘わらずギヤが抜けない段階になると、第1スプリング受部材40と第2スプリング受部材50とが、入力回転ダイレクト伝達部DIにより直接衝合する。そして、両スプリング受部材40、50が直接衝合することにより、入力側回転部材10の力で直接、出力側回転部材20を回転させてギヤを抜く。その強制的にギヤを抜いている区間が▲2▼で示す直押し区間である。この▲2▼の区間では、アクチュエータギヤ(入力側回転部材10)の作動角に出力軸の作動角が追従する。一方、スプリング30はそれ以上は撓まず、一定の撓みを維持(角度規制)したままとなる。
【0064】
こうしてギヤが抜けると、スプリング30の撓みが解放されることで、出力軸が急回転する(▲3▼の区間)。次の区間▲4▼において、(a)に示すように「入れるべきギヤ」にギヤがスムーズに入るときには、出力軸に特に大きな負荷がかからないので、出力軸はアクチュエータギヤの回転に追従し、スプリング30を特に撓ませることなく、ギヤが入って切り換えが完了する。
【0065】
一方、区間▲4▼において、(b)に示すように「入れるべきギヤ」にギヤがスムーズに入らないときには、空走期間▲5▼を経た後に出力軸に大きな負荷がかかるので、出力軸はアクチュエータギヤの回転に追従しなくなり、スプリング30が撓んで、回転トルクが蓄えられて待ち状態になる。そして、ギヤの同期が合うことにより、スプリング30に蓄えた力で出力軸が回されてギヤが入り、切り換えが達成される。
【0066】
なお、スプリング撓み角は、抜き負荷との関係で様々な形態をとることができる。図7のP1は負荷トルクが非常に大きく、スプリングが撓み切るときの特性を示し、P2は負荷トルクがスプリングの最大回転トルクと釣り合うレベルのときの特性を示している。
【0067】
以上のように、実施形態のアクチュエータを使用することにより、4L・4Hの確実な切り換え操作を行うことができる。また、ギヤの抜けが悪いときには、スプリングを介さずにモータの力で直接ギヤを抜くことになるので、スプリングの最大回転トルクを低く設定しておいても、確実にギヤを抜くことができる。逆に言えば、強度の大きいスプリングを使用する必要がなくなり、コスト面で有利になる。
【0068】
なお、入力回転ダイレクト伝達部DIを構成するために設けた第2スプリング受部材50上の第2突起52は、同部材50上に設けている第1突起51と分離しないで、連続した一つの突起として構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、本発明のアクチュエータを4輪駆動の4L・4Hの切り換え操作を行うために使用した場合を示したが、本発明のアクチュエータは2輪駆動・4輪駆動の切り換え操作にも勿論使用できる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ギヤの抜き負荷が大きい場合にも確実な切り換え操作ができるので、信頼性の向上が図れる。また、ギヤの抜き負荷が大きい場合に、スプリングを介さずにダイレクトにモータの回転力を出力側に伝えて抜き動作を実行するので、スプリングの設定トルクをあまり大きくしないでもよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のアクチュエータの全体構成を示す分解斜視図である。
【図2】同アクチュエータの主要部を拡大して示す分解斜視図である。
【図3】同アクチュエータに備わる待ち機構の構成要素の係合関係の説明に使用する平面図で、(a)は入力側回転部材がA方向に回転(正転)する場合の係合関係を示す平面図、(b)は入力側回転部材がB方向に回転(逆転)する場合の係合関係を示す平面図である。
【図4】同アクチュエータによって、4Lから4Hへの切り換えを行う場合の待ち機構の各状態(a)〜(d)を示す平面図である。
【図5】同アクチュエータによって、4Hから4Lへの切り換えを行う場合の待ち機構の各状態(a)〜(d)を示す平面図である。
【図6】同アクチュエータの特性図で、(a)は「入れるべきギヤ」がスムーズに入るときの特性図、(b)は「入れるべきギヤ」がスムーズに入らないときの特性図である。
【図7】同アクチュエータの特性の説明図である。
【図8】従来のアクチュエータに備わる待ち機構の構成を示す分解斜視図である。
【図9】(a)〜(d)は同待ち機構の作用説明図である。
【図10】4輪駆動の4H・4Lの切り換え構造の説明図である。
【図11】4H・4Lの切り換えを行う場合のアクチュエータに作用する負荷トルク特性を示す図である。
【図12】従来のアクチュエータの特性図で、(a)は抜き負荷トルクがスプリングのセットトルクより小さい場合の負荷トルク特性を示す図、(b)は「入れるべきギヤ」がスムーズに入るときの特性図、(c)は「入れるべきギヤ」がスムーズに入らないときの特性図である。
【図13】従来のアクチュエータの特性図で、(a)は抜き負荷トルクがスプリングのセットトルクより大きい場合の負荷トルク特性を示す図、(b)は「入れるべきギヤ」がスムーズに入るときの特性図、(c)は「入れるべきギヤ」がスムーズに入らないときの特性図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ
2 モータ
3 待ち機構ユニット
6 待ち機構
10 入力側回転部材(ホイールギヤ)
20 出力側回転部材
30 スプリング
40 第1スプリング受部材
50 第2スプリング受部材
AI 正転時入力回転伝達部
AO 正転時出力回転伝達部
BI 逆転時入力回転伝達部
BO 逆転時出力回転伝達部
DI 入力回転ダイレクト伝達部

Claims (1)

  1. 駆動源としてのモータと、該モータにより回転駆動される入力側回転部材と、出力軸が連結された出力側回転部材と、前記入力側回転部材から出力側回転部材への動力伝達経路上に介在され、出力側回転部材が回転不能なときに入力側回転部材から与えられる回転トルクを自身の撓みとして蓄えるスプリングと、このスプリングの両端をそれぞれ受け止めると共に両者の相対回転に応じた撓みを前記スプリングに与える第1スプリング受部材及び第2スプリング受部材と、を備え、
    前記入力側回転部材、出力側回転部材、第1スプリング受部材、第2スプリング受部材が、同一回転中心上に各々回転自在に備えられ、
    前記入力側回転部材と第1スプリング受部材には、入力側回転部材が正転したとき、入力側回転部材の正転を第1スプリング受部材に伝える正転時入力回転伝達部が設けられ、前記第2スプリング受部材と出力側回転部材には、第2スプリング受部材が正転したとき、第2スプリング受部材の正転を出力側回転部材に伝える正転時出力回転伝達部が設けられ、
    また、前記入力側回転部材と第2スプリング受部材には、入力側回転部材が逆転したとき、入力側回転部材の逆転を第2スプリング受部材に伝える逆転時入力回転伝達部が設けられ、前記第1スプリング受部材と出力側回転部材には、第1スプリング受部材が逆転したとき、第1スプリング受部材の逆転を出力側回転部材に伝える逆転時出力回転伝達部が設けられたアクチュエータにおいて、
    前記第1スプリング受部材と第2スプリング受部材には、これら両者が所定角度以上相対回転したときに互いに衝合して駆動側の回転力を従動側に前記スプリングを介さずに直接伝える入力回転ダイレクト伝達部が設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
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