JP3899742B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機は、例えば自動車用の変速機として、或は各種産業機械用の変速機として、それぞれ利用する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車用変速機として、図3〜4に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が、研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6が設けられている。
【0003】
即ち、各トラニオン6、6は、両端部外側面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設け、これら各枢軸5、5の中心軸を、上記入力軸1並びに出力軸3の中心軸に対し捩れの位置に配置している。又、各トラニオン6、6の中心部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記各枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させる事により、各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオン6、6に支持された変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。
【0004】
入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それぞれ上記枢軸5を中心とする円弧を回転させて得られる凹面若しくはそれに近い凹面をなしている。そして、球状凸面に形成された各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させている。
【0005】
上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け、弾性的に押圧している。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により保持された複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成されている。上記カム板10の片側面(図3〜4の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面13を形成し、前記入力側ディスク2の外側面(図3〜4の右側面)にも、同様のカム面14を形成している。そして、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に関して放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。
【0006】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、カム面13によって複数個のローラ12、12が、入力側ディスク2外側面のカム面14に押圧される。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記1対のカム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0007】
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図3に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。
【0008】
反対に、増速を行なう場合には、上記トラニオン6、6を揺動させ、各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0009】
上記各トラニオン6、6にパワーローラ8、8を支持する部分の構造に就いては、例えば特開平8−240251号公報等に記載されて従来から知られている。図5〜7は、この公報に記載された発明に準じて構成された従来構造を示している。先ず、この従来構造に就いて説明する。トラニオン6の中間部に円孔15を形成している。この円孔15は、上記トラニオン6の両端部に形成した枢軸5、5と直交する方向に(枢軸5、5の中心を延長した線と円孔15の中心を延長した線とが直交する方向に)形成している。そして、上記円孔15の内側部分に、変位軸7を支持している。この変位軸7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部16と枢支軸部17とを有する。このうちの支持軸部16を上記円孔15の内側に、ラジアルニードル軸受18を介して、回転自在に支持している。又、上記枢支軸部17の周囲にパワーローラ8を、別のラジアルニードル軸受19を介して回転自在に支持している。
【0010】
又、上記パワーローラ8の外側面と上記トラニオン6の中間部内側面との間には、パワーローラ8の外側面の側から順に、スラスト玉軸受20とスラストニードル軸受21とを設けている。このうちのスラスト玉軸受20は、上記パワーローラ8に加わるスラスト荷重を支承しつつ、このパワーローラ8の回転を許容する。この様なスラスト玉軸受20は、複数個の玉22、22と、各玉22、22を転動自在に保持する円環状の保持器23と、円環状のスラスト玉軸受外輪24とから構成している。各スラスト玉軸受20の内輪軌道は上記パワーローラ8の外側面に、外輪軌道は上記スラスト玉軸受外輪24の内側面に、それぞれ形成している。
【0011】
又、上記スラストニードル軸受21は、スラストレース25と保持器26とニードル27、27とから構成される。この様なスラストニードル軸受21は、上記スラストレース25を上記トラニオン6の内側面に当接させた状態で、この内側面と上記スラスト玉軸受外輪24の外側面との間に挟持している。又、上記トラニオン6の内側面で上記スラストニードル軸受21を設ける部分は、上記変位軸7の支持軸部16を枢支する為の円孔15の開口周縁部を含めて平坦に形成している。そして、前記ラジアルニードル軸受18を構成する、円筒状のラジアルニードル軸受外輪28を上記円孔15の内側にがたつきなく嵌合固定すると共に、このラジアルニードル軸受外輪28の一端部(図5の右端部)を、上記トラニオン6の内側面から突出させている。又、上記ラジアルニードル軸受外輪28の他端縁(図5の左端縁)は、上記支持軸部16の端部に係止した止め輪29に突き当てて、上記トラニオン6の外側面と同一平面上に位置させている。
【0012】
一方、上記スラストレース25の一部で、上記トラニオン6に形成した円孔15の開口部に対向する部分に、円形の通孔30を形成している。又、上記保持器26には、上記各ニードル27、27を転動自在に保持するポケット31、31の他、上記スラストレース25に形成した通孔30と同様の通孔32を形成している。これら両通孔30、32の内径寸法は、上記ラジアルニードル軸受外輪28の外径寸法よりも僅かに大きくしている。従って、上記ラジアルニードル軸受外輪28とスラストレース25及び保持器26とをトラニオン6に組み付けた状態では、ラジアルニードル軸受外輪28の軸方向一端部が上記両通孔30、32の内側に挿入され、上記トラニオン6に対する上記スラストレース25及び保持器26の位置決めが図られる。
【0013】
上述の様なスラストニードル軸受21は、上記各パワーローラ8から上記各スラスト玉軸受外輪24に加わるスラスト荷重を支承しつつ、上記枢支軸部17及び上記スラスト玉軸受外輪24が上記支持軸部16を中心として揺動する事を許容する。即ち、トロイダル型無段変速機では、変速作業や伝達すべきトルクの変動、構成各部材の弾性変形等に起因して、入力側、出力側両ディスク2、4(図3〜4)の一方又は双方が軸方向に変位する場合がある。そしてこの場合には、変位軸7が上記支持軸部16を中心として僅かに回動する。この回動の結果、上記スラスト玉軸受20のスラスト玉軸受外輪24の外側面と上記トラニオン6の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、上記スラストニードル軸受21が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて済む。
【0014】
上述の様な図5〜7に示した従来のトロイダル型無段変速機の場合には、トラニオン6の内側面が平坦である為、この内側面を外径の大きな工具で加工する事が可能になる。即ち、上記スラストレース25を添設する部分は、円孔15の端部が開口している事を除き、全面に亙り平坦である為、図6に示す様に、大きな外径寸法を有する工具33により上記内側面を加工する事が可能になる。従って、上記トラニオン6の内側面の加工を能率良く行なえる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図5〜7に示した従来構造の場合、ラジアルニードル軸受外輪28の一端部をトラニオン6の内側面から突出させ、この一端部をスラストレース25及び保持器26に形成した通孔30、32に挿入する事により、上記トラニオン6に対するこれらスラストレース25及び保持器26の位置決めを図っているが、上記ラジアルニードル軸受外輪28の端部外周縁に存在する面取りに就いて、特に考慮していない。この為、ラジアルニードル軸受外輪28として、一般的な面取りを有するものを使用した場合には、上記保持器26に形成した通孔32の内周縁がこの面取りに対向し、この保持器26にラジアル方向に亙る大きな力が加わった場合に、上記内周縁が面取り部分に乗り上げる等して、上記保持器26の変位が円滑に行なわれなくなる可能性がある。
【0016】
即ち、従来から一般的に使用されているラジアルニードル軸受外輪の場合、組み付け時の相手孔への挿入性や製造時の打痕発生等を考慮して、大きめの面取りを形成している。例えば、JIS B 1536に規定されている様に、外径が20mmの軸を支持する為のラジアルニードル軸受を構成するラジアルニードル軸受外輪の場合で、面取りの大きさ(軸方向寸法)は0.3mm以上としており、実際のラジアルニードル軸受外輪の面取りはこれよりも大きいものであった。この為、上述の様な問題が発生する可能性があった。
本発明は、保持器に形成した通孔の内周縁のうちの少なくとも一部が、ラジアルニードル軸受外輪の端部に形成した面取りから外れた円筒面部分に対向する様に、各部の寸法を規制する事で、上述の様な不都合を防止するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ回転自在に支持された第一、第二のディスクと、これら第一、第二のディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンと、このトラニオンの中間部に上記枢軸と直交する方向に形成された円孔と、互いに平行で且つ偏心した支持軸部及び枢支軸部を有する変位軸と、このうちの支持軸部の外周面と上記円孔の内周面との間に設けられて上記変位軸を上記トラニオンに対して回転自在に支持するラジアルニードル軸受と、上記変位軸のうちで上記トラニオンの内側面から突出した上記枢支軸部の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一、第二の両ディスクの間に挟持されたパワーローラと、このパワーローラの外側面に添設して設けられ、このパワーローラに加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、このパワーローラの回転を許容するスラスト玉軸受と、このスラスト玉軸受を構成するスラスト玉軸受外輪の外側面と上記トラニオンの内側面との間に設けられ、上記パワーローラから上記スラスト玉軸受外輪に加わるスラスト荷重を支承しつつ、上記枢支軸部及び上記スラスト玉軸受外輪が上記支持軸部を中心として揺動する事を許容するスラストニードル軸受とを備える。
そして、上記第一、第二のディスクの内側面はそれぞれ断面が円弧形の凹面であり、パワーローラの周面は球面状の凸面であり、この周面と上記両ディスクの内側面とが互いに当接している。
又、上記トラニオンの内側面で上記スラストニードル軸受が設けられる部分は、上記円孔の開口周縁部を含めて平坦に形成されており、上記ラジアルニードル軸受は、上記円孔の内側に嵌合固定される円筒状でこの円孔の軸方向長さ寸法よりも大きな長さ寸法を有するラジアルニードル軸受外輪を含んで構成されており、上記スラストニードル軸受は、複数のニードルを転動自在に保持するポケット及び上記円孔の開口部に対向する円形の通孔を形成した保持器を含んで構成されており、上記ラジアルニードル軸受外輪の軸方向一端部が上記通孔の内側に挿入される事により、上記トラニオンに対する上記保持器の位置決めが図られている。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記ラジアルニードル軸受外輪の軸方向一端部の上記トラニオンの内側面からの突出量をHとし、このラジアルニードル軸受外輪の軸方向一端部外周縁に形成した面取りの軸方向寸法をCとし、上記スラストニードル軸受を構成する、上記トラニオンの内側面に添設されたスラストレースの厚さをTとし、上記スラストニードル軸受を構成するニードルの直径をDa とし、上記保持器の厚さをTc とした場合に、H−C>T+Da −Tc を満たす。
【0018】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同様の作用に基づき、第一のディスクと第二のディスクとの間で回転力の伝達を行ない、更にトラニオンの傾斜角度を変える事により、これら両ディスクの回転速度比を変える。又、トラニオンの内側面に凸部が存在しない為、この内側面を外径の大きな工具で加工する事が可能になり、トラニオンの内側面の加工を能率良く行なえる。又、保持器は通孔とラジアルニードル軸受外輪の端部との係合により、このラジアルニードル軸受外輪を介してトラニオンに位置決めされる。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、各部の寸法を規制する事により、上記通孔の内周縁と上記ラジアルニードル軸受用外輪の外周面で面取りから外れた円筒面部分とが必ず対向する様にしている為、上記内周縁が面取り部分に乗り上げる事を確実に防止して、上記保持器の変位を円滑に行なわせる事ができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜2は本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本発明の特徴は、保持器26に形成した通孔32の内周縁のうちの少なくとも一部が、ラジアルニードル軸受外輪28aの端部に形成した面取り34から外れた円筒面部分35に対向する様に、各部の寸法を規制する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同様である為、同等部分に就いては図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0020】
上記ラジアルニードル軸受外輪28aは、その軸方向寸法をトラニオン6の中央部の厚さ寸法よりも大きくする事により、その軸方向一端部(図1〜2の右端部)を、上記トラニオン6の内側面6aからHだけ突出させている。上記ラジアルニードル軸受外輪28aの軸方向一端部外周縁には上記面取り34を形成しているが、本例の場合にこの面取り34の軸方向寸法Cを、従来から一般的に使用されていたラジアルニードル軸受外輪に形成した面取りの場合よりも小さく(例えば半分程度)としている。又、上記トラニオン6の内側面6aには、スラストニードル軸受21の一方の軌道面を構成する為、厚さ寸法がTであるスラストレース25を添設している。そして、このスラストレース25とスラスト玉軸受外輪24との間に、それぞれ直径がDa であるニードル27、27を挟持している。更に、これら各ニードル27、27は、厚さがTc である保持器26により転動自在に保持して、上記スラストニードル軸受21を構成している。そして、H−C>T+Da −Tc となる様に、これら各寸法H、C、T、Da 、Tc を規制している。
【0021】
上述の様に構成する本例のトロイダル型無段変速機の場合には、上記各部の寸法H、C、T、Da 、Tc 同士の関係が上記不等式を満たす様に規制している為、前記通孔32の内周縁と上記ラジアルニードル軸受外輪28aの外周面で面取り34から外れた円筒面部分35とが必ず対向する。即ち、上記保持器26の片面(図1〜2の右面)が上記スラスト玉軸受用外輪24に当接するまで、この保持器26が上記ラジアル軸受用外輪28aの軸方向に変位した場合でも、上記通孔32の内周縁のうちで上記スラストレース25に寄った部分が、上記円筒面部分35に対向する。この為、上記通孔32の内周縁が面取り34部分に乗り上げる事を確実に防止して、上記保持器26の変位を円滑に行なわせる事ができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明のトロイダル型無段変速機は、以上に述べた通り構成し作用する為、構成部品の位置決めを確実に図りつつ、トラニオンの加工能率を向上させる事ができ、このトラニオン及びトラニオンを組み込んだトロイダル型無段変速機のコスト低減を図れる構造で、しかもスラストニードル軸受の作動を安定させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を、トラニオンにパワーローラを組み付けた状態で示す部分断面図。
【図2】図1のA部拡大図。
【図3】従来から知られたトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図4】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図5】従来の具体的構造の1例を、トラニオンにパワーローラを組み付けた状態で示す断面図。
【図6】トラニオンのみを取り出して図5の右方から見た図。
【図7】パワーローラ及びスラスト玉軸受を除いて図5の右方から見た図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 枢軸
6 トラニオン
6a 内側面
7 変位軸
8 パワーローラ
8a 周面
9 押圧装置
10 カム板
11 保持器
12 ローラ
13、14 カム面
15 円孔
16 支持軸部
17 枢支軸部
18、19 ラジアルニードル軸受
20 スラスト玉軸受
21 スラストニードル軸受
22 玉
23 保持器
24 スラスト玉軸受外輪
25 スラストレース
26 保持器
27 ニードル
28、28a ラジアルニードル軸受外輪
29 止め輪
30 通孔
31 ポケット
32 通孔
33 工具
34 面取り
35 円筒面部分
Claims (1)
- 互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ回転自在に支持された第一、第二のディスクと、これら第一、第二のディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンと、このトラニオンの中間部に上記枢軸と直交する方向に形成された円孔と、互いに平行で且つ偏心した支持軸部及び枢支軸部を有する変位軸と、このうちの支持軸部の外周面と上記円孔の内周面との間に設けられて上記変位軸を上記トラニオンに対して回転自在に支持するラジアルニードル軸受と、上記変位軸のうちで上記トラニオンの内側面から突出した上記枢支軸部の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一、第二の両ディスクの間に挟持されたパワーローラと、このパワーローラの外側面に添設して設けられ、このパワーローラに加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、このパワーローラの回転を許容するスラスト玉軸受と、このスラスト玉軸受を構成するスラスト玉軸受外輪の外側面と上記トラニオンの内側面との間に設けられ、上記パワーローラから上記スラスト玉軸受外輪に加わるスラスト荷重を支承しつつ、上記枢支軸部及び上記スラスト玉軸受外輪が上記支持軸部を中心として揺動する事を許容するスラストニードル軸受とを備え、上記第一、第二のディスクの内側面はそれぞれ断面が円弧形の凹面であり、パワーローラの周面は球面状の凸面であり、この周面と上記両ディスクの内側面とが互いに当接しており、上記トラニオンの内側面で上記スラストニードル軸受が設けられる部分は、上記円孔の開口周縁部を含めて平坦に形成されており、上記ラジアルニードル軸受は、上記円孔の内側に嵌合固定される円筒状でこの円孔の軸方向長さ寸法よりも大きな長さ寸法を有するラジアルニードル軸受外輪を含んで構成されており、上記スラストニードル軸受は、複数のニードルを転動自在に保持するポケット及び上記円孔の開口部に対向する円形の通孔を形成した保持器を含んで構成されており、上記ラジアルニードル軸受外輪の軸方向一端部が上記通孔の内側に挿入される事により、上記トラニオンに対する上記保持器の位置決めが図られているトロイダル型無段変速機に於いて、上記ラジアルニードル軸受外輪の軸方向一端部の上記トラニオンの内側面からの突出量をHとし、このラジアルニードル軸受外輪の軸方向一端部外周縁に形成した面取りの軸方向寸法をCとし、上記スラストニードル軸受を構成する、上記トラニオンの内側面に添設されたスラストレースの厚さをTとし、上記スラストニードル軸受を構成するニードルの直径をDa とし、上記保持器の厚さをTc とした場合に、H−C>T+Da −Tc を満たす事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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