JP3899201B2 - ミシンの釜体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下糸ボビン又は下糸ボビン内蔵ボビンケースを釜正面側からでなく、釜軸側から中釜に装着し得る新形式の垂直釜(釜体)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のミシンの垂直釜は、下糸ボビン又はボビン内蔵ボビンケースの中釜への装着を、いわゆる釜の正面側から行う形式のものであった。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2本針ミシンの場合は、それぞれの釜軸に固定されて対向する各垂直釜は、2本の縫い針に対応し、接近配置されており、各釜の間には間隙がほとんどないので、ボビンの交換は、一方の釜を移動可能とする構造を採用する等の工夫をして互いの間隔を開けてからでないと、実行することができなかった。もっとも、2本針ミシンとしては、下糸ボビンの装着が容易な水平釜を用いたものが一般的である。ところが、水平釜には、中釜を非回転に止める止め部がミシンベッド下方に固定されていて、その止め部を上糸ループが抜けやすくするように作動するオープナーが設けられており、そのオープナーは、釜軸の偏心部にリンク、案内腕を介して取り付けられているので、次のような欠点があり、敬遠されている。その欠点とは、ミシン運転中にオープナーが中釜を叩く音や釜軸の偏心による振動音が大きいこと、高速運転ができないこと、上糸ループの釜回り方向の違いによる撚の入り方の違いによる縫い目むらが生じること、糸締まり不良が生じること、水平に配された下軸から垂直に設けられた釜軸へ動力を伝達するためのスパイラルギヤが高価であること等である。
【0004】
二頭型ミシンは、布団、シーツ、タオルケット等の大きな縫製品の生産効率を上げるためのものであり、2台の本縫いミシンが、それぞれ縫製テーブルにおける被縫製物送り方向と直行する両側に配されたものであるが、その二頭型ミシンの場合は、垂直全回転釜の中釜に下糸ボビンを釜正面側から装着、交換するためのそれぞれの開閉蓋が、縫製作業中には、縫製品の下に隠れた状態となるので、ボビン交換時の開閉が困難である。
【0005】
本発明は、下糸ボビン又は下糸ボビン内蔵ボビンケ一スの釜への装着、交換を簡単に行うことができる、ミシンの垂直釜(釜体)を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1記載のように、
上軸の回転に伴って昇降する複数の縫い針と、
前記縫い針に対応して外釜剣先位置が設定された複数の釜体と、
前記釜体の中釜に個別に収容される複数のボビンケースと、
前記釜体を構成し、前記ボビンケースを中釜に装着するための開口部を有し、釜軸の縫い針側の端部に固定された釜取付台と、
前記釜取付台の縫い針側の端部に設けられた釜と、
前記釜取付台に設けられ、縫い針側への移動により前記ボビンケースを中釜に装着させる複数のボビンケース取付台と、
前記ボビンケース取付台の中央に設けられ、前記ボビンケースを保持する保持部材と、
前記ボビンケース取付台の中央から外れた位置に設けられた位置決め部材と、を備えるミシンの釜体において、
前記釜体は、釜正面から見て反時計方向に回転する正回転用釜体と、釜正面から見て時計方向に回転する逆回転用釜体と、を有し、
前記ボビンケース取付台の位置決め部材と、前記ボビンケースには、
一方に、正回転用と逆回転用とで異なる位置又は形状の孔を形成し、
他方に、前記孔に対応して、正回転用と逆回転用とで、異なる位置又は形状のピンを形成し、
前記ボビンケース取付台に正規のボビンケースが装着される構成とした。
また、請求項2記載のように、請求項1記載のミシンの釜体において、
前記釜体は、縫い針側から順に、前記釜と前記釜取付台が配置されるとともに、前記ボビンケースを、釜正面側からでなく、前記釜取付台の開口部を介して中釜に装着する構成とした。
【0036】
【発明の実施の形態】
図面を参照し、本発明の釜体を2本針ミシンに適用した実施形態について説明する。なお、釜体を構成する部材及び釜体に直接関係する部材には、種々の変形例を提示したものもあるが、機能(役割)上大差のない限り、一貫して同符号を付し、相違点のみ説明する。また、釜体にはK、釜にはA、釜取付台にはB、ボビンケース取付台にはC、ボビンケースにはD、下糸ボビンにはE、中釜押えにはF、釜軸にはSを付し、それぞれの細部部材には枝番号として数字又はローマ字の小文字を併せて付すことにする。また、その他の部材には、直接数字を付すことにする。
【0037】
先ず、主として図1を参照し、概略構成を説明する。
【0038】
2本針ミシンは、図1(1)に示すように、上軸の回転に伴って昇降する2本の縫い針1、1'の位置に対応して外釜剣先位置が設定された2つの釜体K、K'が、不図示のミシンベッドに配置されたものである。各釜体K、K'は、面対称構造であるので、右の釜体Kを中心に説明する。なお、左側の釜体K'を構成する各部材の符号は、右側の釜体Kの構成部材の符号に「’」を付して区別している。
【0039】
図1(2)に示すように、図釜体Kは、釜軸Sの端部に固定された開口部Baを有する釜取付台Bと、その釜軸Sから遠い端部に設けられた釜Aと、釜取付台Bの開口部Ba内に収容されたボビンケース取付台Cと、釜Aの中釜内に収容されるボビンケースDとよりなっている。上記釜取付台Bの開口部Baは、下糸ボビンE(図9(3)参照)(糸巻付け後に芯を抜いた、いわゆるボビンレスボビンも含まれる)を内蔵したボビンケースDを、釜Aを構成する中釜A2に装着するためのものである。また、図1(1)に示す釜軸Sには、釜体Kを回転させるための歯車2(以降、図5(2)以外の図では省略する)が固定される。
【0040】
図2を参照し、釜Aの構造について説明する。
【0041】
釜Aは、前後が開放され、釜取付台Bに一体的に取付けられた環状の外釜A1と、その中に回転可能に支持された環状の中釜A2とよりなっている。なお、従来と同様に、外釜A1は縫製時に回転し、中釜A2は、後述する中釜押えFによって非回転とされる。
【0042】
図9(1)に示すように、従来の釜30の外釜30a及び中釜30bは共に、底のあるものであるが、本発明の外釜A1、中釜A2は、概ね、それぞれ従来の外釜30aの底部を除去したもの、中釜30bにおける斜線で示す部分30b1以外の環状部30b2に相当する。なお、中釜30bの部分30b1は、後述するボビンケースDの第1部材D1に相当する。
【0043】
中釜A2には、図2(2)に示すように、固定ボールA2aが環状部内側に突出するように、遊離状態で設けられている。つまり、環状部には外側から内側に向かうにしたがって徐々に径が小さくなるテーパ穴A2eが形成され、テーパ穴A2eには、テーパ穴A2eの最小径よりも大径、且つ、一部が環状部内側に突出する径を有する固定ボールA2aが挿入され、その固定ボールA2aは環状部の外側に設けられる弾性を有するボ―ル押えA2bにより圧接されており、常には環状部内側方向へと付勢されている。また、中釜A2には、下糸開放板A2cが環状部内側で周方向に突出するように設けられ、更に、環状部内側には2つの固定ピンA2dが相対向して突出している。
【0044】
図2(3)、(4)は、それぞれ正面側から見て反時計方向に回転する正回転釜体K、時計方向に回転する逆回転釜体K'である。なお、正、逆回転釜体を構成する外釜A1、中釜A2、ボビンケースD等は、それぞれ面対象となっている。
【0045】
次に、図1(3)を参照し、釜取付台Bの概要について説明する。
【0046】
釜取付台Bは、ネジB6によって釜軸Sに固定されている。その釜軸S側の基部(釜軸Sに固定される側の略円盤状の直立壁部分)を除く部分は半円筒状となっていて、開口部Baを形成している。基部の上部周囲には、ボビンケース取付台Cを保持するためのストッパーB1、B2が開口部Ba側に突出するようネジ止めされており、ボビンケース取付台Cが釜取付台Bと供回りするようにする回止め用ピンB5が打込まれている。また、開口部Baのそれぞれの縁部には、ボビンケース取付台Cの釜A側への移動を案内するガイドB3、B4がネジ止めされている。釜Aは、ネジB8によって釜取付台Bに固定される。
【0047】
図2(1)、図3ないし図6を参照し、ボビンケース取付台Cについて説明する。
【0048】
ボビンケース取付台Cは、下糸ボビンE(図9(3)参照)を内蔵したボビンケースDの中釜A2への装着、交換を容易にするためのものである。その本体C0は、釜軸Sの中心部の貫通孔に図2(1)中の矢符イ方向にスライド可能に挿通されたガイド軸C2の一端部にネジC12によって固定されたガイド板C10に係合して上下方向に移動可能であり、且つ、最上昇位置で回転することができるようになっている。C3は、座金C12とネジC13によりガイド軸C2の外周にセットされたガイド軸バネである。
【0049】
取付台本体C0は、図3に示すように、取付土台C1、後述する保持ピンC14、位置決めピンC15等からなっている。その取付台本体C0には、前述したガイド軸C2に固定されているガイド板C10と協働して、取付台本体C0をベッド上面近傍へ上昇、下降し得るようにすると共に、最上昇位置で傾倒し得るようにするための機構が設けられている。
【0050】
即ち、図3(1)に示すように、取付土台C1の後面には、取付台本体C0のガイド板C10に沿った上昇、下降を可能とするための、ガイド板C10の幅と略等しい幅の溝C1aが形成されており、その両側の中程には、溝C1aの上まで延びる状態でガイド押えC11がネジ止めされ、その下方の溝C1a中には、対向してガイドピンC16が突設されている。
【0051】
図3(2)に示すように、取付台本体C0は、そのガイド押えC11をガイド板C10の間隙に入れた状態にセットされる。従って、釜軸方向に外れなくなり、上下方向にスライド可能となるが、図3(1)に示すように、ガイド板C10の上部は、切り欠かれて狭くなっているので、取付台本体C1の上昇に伴って、ガイド押えC11はガイド板C10から外れることができる。その後の上昇に際しては、ガイドピンC16がガイド板C10に挟まれた状態となり、最上昇位置では、ガイドピンC16がガイド板C10の上端に引っ掛かり、それ以上の上昇は阻止される。そのため、取付台本体C0は、最上昇位置でガイドピンC16を中心にして、釜軸側に傾倒することができる。このときボビンケース取付台本体C0は図4(2)に示すように、ミシンベッド上面近傍にガイドされ、ボビンケースDのボビンケース取付台本体C0への着脱作業を容易に行なうことが可能となる。
【0052】
この取付台本体C0の傾倒状態では、取付台本体C0、ガイド軸C2及びガイド板C10は釜Aへ移動しようとするが、それらは、バネC3による適度な力で図2(1)における右に引かれているので、取付台本体C1を直立姿勢へ復元させることは容易である。
【0053】
更に、取付台本体C0には、図1(3)に示す釜取付台BのストッパB1、B2と協働して、取付台本体C0を釜取付台B上の待機位置にロックするための機構が設けられている。
【0054】
即ち、図3に示すように、取付土台C1の上部には、両側において後方に互いに開いた状態で突き出す突出部を有する引上げ板C4が設けられており、更に、取付台土C1の両側には、下部が取付土台C1の側面に固定され、上部が引上げ板C4の突出部と同じ形状であるバネ製のストッパC5、C6が引上げ板C4の各突出部より離隔した状態でネジ止めされている。ストッパC5、C6の上部には、ガイド軸C2と平行に延びる係合溝C5a、C6aがそれぞれ形成されており、この中にストッパB1、B2の突出部B1a、B2aが係合するように入り込む。
【0055】
ボビンケースDを中釜A2にセットした後、取付台本体C0を釜取付台B上での待機位置に最後退させるときには、取付台本体C0のガイドB3、B4による上方への移動規制状態が外れ、その代わりに、図2(2)及び図3(5)に示すように、ストッパC5、C6がストッパB1、B2に係合して取付台本体C0の上方への飛び出しが規制される。ミシン稼働時には、取付台本体C1に遠心力が働くが、同様に飛出しが規制される。ストッパB1とストッパC5及びストッパB2とストッパC6のなす角度θは、ほぼ90°であるので、高速回転時においても、確実にロック状態が保たれる。また、回転時における釜方向への取付台本体C1の飛び出しは、ガイド軸バネC3によって規制される。ボビンケース交換時等の取付台本体C0の上方への引き上げは、引上げ板C4と共にストッパC5、C6を指でつまんで図3(5)の2点鎖線で示すようにロックを外し、係合溝C6a(C5a;図示せず)を突出部B2a(B1a;図示せず)から後退させて行われる。
【0056】
ボビンケース取付台Cの釜軸方向への移動及び釜軸回りの回転は、手動でなく、エアーシリンダ等の直動機器やロータリーソレノイド等の回転運動機器によって行なうこともできる。ここでは、図5(2)に示す、エアーシリンダを用いる例を説明する。
【0057】
それは、ガイド軸C2に取付台本体C1を直接固定し、ガイド軸C2の自由端にスプライン軸部C2aと球体C2bを設け、そのスプライン軸部C2aに、エアシリンダC18によって回動する回転レバーC19を作用させ、球体C2bに、エアシリンダC20によって回動するスライドレバーC21を作用させるものである。この回転レバーC19は、先端部の歯車型孔にガイド軸C2を挿通した状態で取付けられ、スライドレバーC21は、先端部の二股部で球体C2bに係合するよう取付けられている。なお、釜体駆動用の歯車2の取付け位置は、前例と多少異なっている。また、ガイド軸C2への取付台本体C0の取付けは、図4(2)に示すように、ガイド板C10を介して行なってもよい。
【0058】
取付台本体C0が待機位置にあるときには、スプライン軸部C2aは回転レバーC19の歯車型孔と非係合状態(図5(3a)) にあるが、エアシリンダC20を駆動してスライドレバーC21を反時計方向に回動させると、ガイド軸C2が釜方向に移動する途中に、スプライン軸部C2aが回転レバーC19の歯車型孔と係合状態(図5(3b)) になる。ガイド軸C2が最終点まで移動すると、エアシリンダC18が駆動して回転レバーC19が矢印ロ方向に回される。そして、取付台本体C0に保持されているボビンケースDが中釜にセットされた後、エアシリンダC20からエアが抜かれると、ガイド軸バネC3によってボビンケース保持手段の保持力に抗してガイド軸C2が元の位置に戻る。ガイド軸C2が戻りはじめてから、エアシリンダC18をハ方向に作動させることにより、取付台本体C0の回転姿勢が元の状態に戻る。スプライン軸部C2aは、取付台本体C1が待機位置に戻る途中で回転レバーC19の歯車型孔から外れる。ボビンケースの取外し時の動作は、上記動作と逆になる。
【0059】
また、取付台本体C1には、保持しているボビンケースDを中釜A2に渡してロックするときに、取付台本体C0を所定角度回転可能とするための機構が設けられている。
【0060】
即ち、図3(2)、(3)、(4)に示すように、取付土台C1の外周には、2つの回転止C7aを有するリングC7が周方向に摺動可能に取付けられており、取付土台C1とリングC7との間には、戻しバネC8が取付土台C1の溝部に収容される状態で設けられている。そして、戻しバネC8が飛び出さないように、戻しバネ蓋C9で覆っている。また、取付土台C1には、ニ方向への一定の角度の回転を許容し、逆の方向の矢印ヘ方向への回転を阻止する回転止めピンC17が突設されている。上記回転止C7aは、釜取付台Bと、それに固定されているガイドB3、B4との間に入り込んで、取付台本体C0が釜取付台Bから外れないようにするために設けられている。また、戻しバネC8は、ボビンケースDを中釜A2に取付けた後に、矢印ニ方向へ回転した状態にある取付台本体C0を、手を離して矢印ホ方向へ回転させ、元の状態に戻すためのものである。
【0061】
なお、図5(1)に示すものは、上記リングC7及び戻しバネ蓋C9を取付土台C1に一体化し、戻しバネC8を廃止したものに相当する。このタイプの取付台本体C0を採用する場合には、釜取付台Bに逃げ溝Bcを形成する必要がある。この逃げ溝Bcは、ボビンケースの中釜への装着に際して、全体を回転させるときに、回転止C7aの動きを阻害しないようにするためのものである。
【0062】
更に、取付土台C1の立面には、ボビンケ一スDを非回転に保持するための保持手段が設けられている。
【0063】
即ち、図6(1)に示すように、その保持手段は、中央部に打込まれた保持ピンC14と、縁部近くに打込まれた位置決めピンC15とよりなっている。
【0064】
孔D1eを位置決めピンC15に合わせてボビンケ一スDを取付台本体C0へ押し付けると、ボビンケ一スDのコイルバネD1dの中に保持ピンC14の先端が入り込み、ボビンケ一スDは取付台本体C0に適度な力で保持されると同時にボビンケ一スDは常に正規の位置で取付台本体C0へと取付けられる。ここで、図2(3)、(4)に示すような面対称の釜体を同時に設けたミシンにおいては、正回転釜の位置決めピンC15と保持ピンC14の芯問隔と、逆回転釜の位置決めピンC15'と保持ピンC14'の芯間隔とを変更し、また、正回転釜用のボビンケースDには位置決めピンC15と保持ピンC14の芯間隔に対応して孔D1eと軸部D1aの芯間隔を設定して形成し、逆回転釜用のボビンケース(不図示)には位置決めピンC15'と保持ピンC14'の芯間隔に対応して孔と軸部の芯間隔を設定して形成することにより、正回転釜用あるいは逆回転釜用のボビンケースを、それぞれ正しい取付台本体にのみ取り付けることができ、ボビンケースの付け間違えを防止することができる。この場合、位置決めピンC15及び位置決めピンC15'は、位置決め部材の役割と正逆取付け違い防止部材の役割を兼ねている。このような正逆の取付け違いを防止手段としては、他に位置決めピン及びその孔の形状を正・逆回転釜でそれぞれ異なった形状としたり、また、一方には大径のピン及び孔を1つ設け、他方には小径のピン及び孔を2つ設けることが考えられる。
【0065】
また、図6(2)に示すように、軸部D1a内部に収容したコイルバネD1dの先端にワッシャー3とリング4を入れ、保持ピンC14をリング4によって保持するようにすることもできる。この場合、保持ピンC14を保持するリング4とコイルバネD1dは、ワッシャー3により離されているので、図6(1)に示すタイプのようにコイルバネD1dが保持ピンC14に斜めにかかることがないので、より安定した保持力を得ることができる。
【0066】
次に、ボビンケ一ス保持手段の他の変形例を示す。
【0067】
図6(3)に示すものは、ボビンケースDの穴に係合してボビンケースDを保持するための切欠部を先端上部に形成したフックピンC22を、取付土台C1の立面に径方向にスライド可能に突設し、このフックピンC22と位置決めピンC15との間にバネC23を係止したものである。これは、フックピンC22がバネC23によって常に径方向外側に押されているが、フックピンC22の先端部及び切欠部は面取りしてあるので、ある限度以上の力が作用するとボビンケースDの穴との係合が外れるので、ボビンケースDの取付台本体C1への取付け、取外しが可能となる。同様の機能を位置決めピンC15に持たせることもできる。
【0068】
図6(4)に示すものは、保持ピンC14に長さ方向のスリットC14aを入れ、先端部にバネ性を持たせたものである。これは、ボビンケースDの装着過程で閉じた保持ピンC14の先端部が、ボビンケースDの中央の穴に入った瞬間に開くことにより、保持状態となる。
【0069】
図6(5)に示すものは、取付土台C1の立面にマグネットc24を設け、ボビンケースDを、保持ピンC14とガイドピンC15によって支え、マグネットc24よって保持するようにしたものである。
【0070】
次に、図7を参照し、ボビンケース取付台Cの変形例を説明する。
【0071】
このボビンケース取付台Cは、上部につまみ部C24aを有し遊離状態の下部が釜取付台Bの側部に形成した溝Bbに係合する板バネC24を中間部で取付土台C1の両側にそれぞれスポット溶接した点、及び図7(4)の下図に示す状態に取付台本体C0を引き上げ、傾倒する際の案内をするガイド板C10を釜取付台Bにネジ止めする点で前例と異なる。
【0072】
この板バネC24が溝Bbに係合して釜取付台Bを挟み付ける力により、ミシン稼働時においても取付台本体C0が釜取付台Bから外れることはない。但し、板バネC24を持上げると、板バネC24の下端が溝Bbより外れ、取付台本体C0を釜取付台Bから外すことができる。また、取付台本体C0の釜軸Sの方向への移動移動及び上方への引上げ並びに傾倒は、つまみ部C24aを持ってその方向へ動かすことにより行なうことができる。
【0073】
次に、図8を参照し、ボビンケース取付台Cの他の変形例を説明する。
【0074】
これは、図7に示すものに、次の変更を加えたものに相当する。それは、取付土台C1の背面にガイド台C25を一体化し、その間の取付土台C1背面側に形成した溝中に、下部が釜A側に延びるL字型のスライド板C26を上下動可能に収容し、且つ、ガイド台C25とスライド板C26に突設したバネピンC28との間に上下バネC27を介在させたものである。従って、スライド板C26には、常に上方に移動させる力が働いている。
【0075】
このボビンケース取付台Cは、取付台本体C0に対するボビンケースDの取付け、取外し方法が、図7に示すものと次の点で異なっている。即ち、ボビンケースDが取付台本体C0に保持されているときには、ボビンケースDはスライド板C26の釜側に延びた下部によって保持ピンC14側に押付けられており、ロック状態となっている。従って、ボビンケースDの取外し(取付け)は、スライド板C26を上下バネC27の力に抗して押下げてから行なうことになる。また、中釜からボビンケースDを取外す際にも、取付台本体C1を前進させるときに、スライド板C26を押下げなければならない。
【0076】
ボビンケ一ス取付台Cは、図15(2)に示すように、釜取付台Bに対して着脱可能とする治具形式とすることもできる。これは、ボビンケースの取付け、取外しを釜取付台から取出して行なうことができる。
【0077】
次に、図9ないし図12を参照し、ボビンケースDについて説明する。
【0078】
このボビンケースDは、二つの本体部材D1、D2からなっている。ところで、従来のボビンケース31は、図9(1)に示すように一つの部材からなっている。本発明のボビンケースDは、あたかも、従来の釜30を構成する中釜30bにおける斜線で示す部分30b1を切り離して第1本体部材D1とし、従来のボビンケース31を第2本体部材D2とし、両者を組み合わせたものに相当する。併せて本発明で使用する外釜A1は、従来の釜30の底部に相当する部分を除去しているので、ボビンケースDを、従来の釜とは逆の、釜軸S側から出し入れすることが可能となった。
【0079】
従来の中釜底部としての機能(針糸が中釜をくぐるときのガイド)を担う第1本体部材D1は、下糸ボビンEを納めた第2本体部材D2を収容する部材であり、中心部に下糸ボビンEを回転可能にする軸部D1aが設けられており、軸部D1aの先端には、軸部D1a内部に収容したコイルバネD1dによって姿勢を保持するラッチD1bが設けられている。第2本体部材D2は、第1本体部材D1に被せて、ラッチD1bを倒すことにより一体化される部材である。
【0080】
第2本体部材D2の底部表面には、半円状に湾曲した糸取りバネD2aが止めネジD2eによって固定されており、周側部には、概ねその曲面に沿った板状の下糸調子バネD2c及び下糸保持板D2dが止めネジD2fによって固定されている。上記糸取りバネD2aは、糸調子ばねD2cと下糸保持板D2dとの間に挟持されている下糸Yを開放したときに、強制的に引き上げ、外釜A1の剣先側に放出するためのものである。なお、ネジD2gは糸取りバネD2aの押え力を調整するためのものである。
【0081】
ボビンケースD内の下糸Yは、図9(4)、(5)に示すように、第2本体部材D2の細い溝を経て、下糸調子バネD2cの先端部D2c2の下側に通され、更に、糸取りバネD2aの先端部D2a1に糸掛けされた後に第2本体部材D2の糸掛け部D2hを経て、糸調子バネD2cと下糸保持板D2dとの間に挟持され、糸調子ばねD2cの糸切り部D2c1で切断される。ボビンケースD内の下糸Yが上記の糸道経路を通って最終的に糸切り部D2c1で切断されることにより、常に所定長さの下糸YがボビンケースD内から引出される。
【0082】
図9(6)、(7)は、それぞれ正面より見て時計方向に糸調子バネD2cの先端部D2c2より下糸Yが繰出される正回転釜K用ボビンケースD2、反時計方向に下糸Yが繰出される逆回転釜K'用ボビンケースD2'である。第2本体部材D2の周側部には、図10(1)に示すように、中釜A2に設けられた固定ボールA2aに対応する位置に溝D2iが形成されており、その時計方向の少し離れた位置に浅い凹部D2i1が設けられている。また、中釜A2の固定ピンA2dに対応する位置に時計方向に向いた逆L状の溝D2jが設けられている。
【0083】
ボビンケース取付台Cを前進させ、保持しているボビンケースDを中釜A2に押込み、時計方向に所定角度回転して中釜A2に渡すときに、中釜A2の固定ボールA2aは、溝D2iに入り、時計方向の転回と共に凹部D2i1に乗り移る。従って、限度以上の力を加えない限り、回転方向への移動が制限される。また、固定ピンA2dは、逆L状の溝D2jに入って回転方向へ進む。従って、ボビンケースDの軸方向への外れが規制される。なお、ボビンケース取付台Cに限度以上の逆回転力を加えると、ロック状態が解除される。
【0084】
前記したボビンケース取付台Cの時計方向への所定角度の回転時には、図11(1)に示すように、中釜A2の下糸開放板A2cが、糸調子バネD2cと下糸保持板D2dとの間に進入し、両者の間に隙間が生じ、保持していた下糸Yが開放される。それと同時に、下糸Yは、下糸張力によって曲がっていた糸取りバネD2aの復元力により、強制的に引き上げられ、外釜A1の剣先側に放出される。
【0085】
次に、ボビンケースの中釜への固定手段の他の変形例を示す。
【0086】
図10(2)に示すものは、固定ボールA2a、ボール押えA2bに換え、基部が環状部外側に固定され、先端が環状部内側に向かってU字形状に湾曲し、この湾曲の極限部A2k1が環状部周面に形成された長穴から環状部内側へと突出するバネ線A2kを採用し、凹部D2i1に換えて湾曲の極限部A2k1が嵌合する凹部D2i2を形成することにより、図10(1)に示すものと同様にボビンケースDを挿入し、回転させ、バネ線A2kの湾曲の極限部A2k1が凹部D2i2に巌合してロックする形式のものである。
【0087】
図10(3)に示すものは、ボビンケ一スDを中釜A2へ挿入するだけでロックする形式のもので、固定ボールA2a、ボール押えA2bに換え、基部が環状部外側に固定され、先端が環状部内側に向かってV字形状に屈曲し、この屈曲の鋭部A2l1が環状部周面に形成される長穴から環状部内側へと突出するバネ線A2lを2本採用し、凹部D2i1に換えて屈曲の鋭部A2l1が嵌合する凹部D2i3を形成するものである。
【0088】
図10(4)に示すものは、図10(3)に示すものと同様に、ボビンケ一スDを中釜A2へ挿入するだけでロックする方式のもので、図2(2)に示すものと同様の固定ボールA2m、ボール押えA2nを備えており、固定ボールA2mが嵌合する凹部D2i4をボビンケースDに形成したものである。
【0089】
次に、下糸開放手段の他の変形例を示す。
【0090】
図11(2)に示すものは、先端部に糸切り用メスD2d1を有する板バネ製の下糸保持板D2dが取付土台C1の縁部に前面側に突出する状態で設けられ、取付台本体C0にボビンケースDを取付けるときに、糸取りバネD2a、糸掛け部D2hに掛けておいたボビンケースD内の下糸Yを、ボビンケースDと下糸保持板D2dとの間に挟持し、下糸保持板D2dのメスD2d1で所定長さに切断するものである。ボビンケースDと下糸保持板D2dとの間に挟持されている下糸Yは、ボビンケースDを中釜A2にセットした後の取付台本体C1の後退により、ボビンケースDから下糸保持板D2dも外れ、開放される。それと同時に、下糸Yは、下糸張力によって曲がっていた糸取りバネD2aの復元力により、強制的に引き上げられ、外釜A1の剣先側に放出される。
【0091】
その他に、ボビンケースから引出した下糸の先端をボビンケース取付台本体とボビンケースとの間でごく軽く保持しておき、ボビンケースを中釜にセットし、取付台本体を外すと同時にエアパイプよりエアを噴出し、保持していた下糸を釜前面側に押出すようにすることもできる。
【0092】
次に、ボビンケース外に引出された下糸の他の処理例を示す。
【0093】
図12(1)に示すものは、ボビンケースDの糸調子バネD2cから引出した下糸Yを、ボビンケースDの外周糸道を経由して溝Mに渡し、下糸Yの糸端を弱い圧力で保持する保持バネDnに掛け、張った状態で保持するようにし、中釜A2へ装着後、その張った下糸Yを、ロータリソレノイド4等の回転運動機器によって所定角度の回動(円弧運動)を行なう糸払い5によって払い、クランプ状態から開放するものである。回転運動機器に換えて、エアーシリンダ6等の直動機器を採用することもできる。
【0094】
図12(2)に示すものは、エアシリンダ7によって上下動する開放ピン8を釜下に設け、中釜A2にボビンケースDをセットした後に、開放ピン8を突上げて下糸保持板D2dを押し開くことにより、下糸調子バネD2cとの間でクランプしていた下糸Yを開放するものである。
【0095】
次に、図4を参照し、ボビンケ一ス取付台Cを用いたボビン内蔵ボビンケースDの中釜A2への装着手順を説明する。
【0096】
先ず、滑り板を針板に対してスライドさせて釜体上方を開口し、図4(1)に示す状態にある取付台本体C0を上方に引上げ、ミシンベッド上面近傍の最上昇位置で釜軸側に傾倒させ、ボビンケースDを保持ピンC14に入れ、穴(図6(1)における符号D1e)を位置決めピンC15に合わせる(図4(2))。次いで、取付台本体C0を垂直に起こして下方の元の位置に戻す(図4(3))。そして、そのボビンケースDを取付台本体C0と共に前進させて中釜A2に押込み、その位置で取付台本体C0を時計方向に所定角度回転してロックさせる(図4(4))。取付台本体C1をそのまま引抜いた後、回転を戻しながら初期位置(図4(1))に後退させる(図4(5))。中釜A2にセットされているボビンケースDを下糸交換時等に取外す手順は、以上の手順と逆になる。なお、個々の詳細な動作は、前述したとおりである。また、本説明においては、図4(2)に示すように、ボビンケースDをミシンベッド上面より中釜A2に装着しているが、釜取付台Bの止め角度を、既説明の状態から奥又は手前に90°傾けるようにすれば、釜対Kの開口部Baがミシンベッド横方向に向くので、ミシンベッド上面が縫製付帯装置等でふさがれ、ミシンベッド側面にボビンケース着脱用の開口を有しているミシンであっても、ミシンベッド横面より水平にボビンケースDを中釜A2に装着することが可能である。
【0097】
ボビンケ一スDが、図4(4)に示すロック状態となっているときには、コイルバネD1dが保持ピンC14を保持する力より、中釜A2がボビンケ一スDを保持する力の方が圧倒的に大きいので、図4(5)に示す後退動作により、保持ピンC14はコイルバネD1dから抜けることができる。また、ボビンケ一スDが中釜A2にロック状態となっていないときには、中釜A2がボビンケ一スDを保持する力は0に近いので、保持ピンC14にコイルバネD1dが嵌まった状態でボビンケ一スDを引出すことができる。
【0098】
次に、図13ないし図15を参照し、その他の、下糸ボビンEの中釜A2への取付け、取外し装置について説明する。
【0099】
図13に示すものは、先例のボビンケ一ス取付台Cを廃止して、釜取付台Bの一側に、第1フック9、第2フック10を釜軸方向に移動可能に支持し、釜取付台Bの基端部内側に、スライダー11を上下動可能に支持するよう、変更したものであり、釜体Kの一部を構成する中釜A2及びボビンケースDは、一般の垂直釜に使用されているものを一部変形し採用する。
【0100】
第1フック9及び第2フック10は、それぞれに設けられているスライダーネジ9a、10aが釜取付台Bの側部に設けられている座付長穴Bd、Beに係合することにより、釜軸方向の移動が可能となる。そして、第1フック9と釜取付台Bの基端部との間には戻しバネ12が設けられており、第2フック10は、釜取付台Bの基端部側にあって、先端の鉤状部が第1フック9の後部に係合した状態となっている。
【0101】
スライダー11は、釜取付台Bの基端面に突設されているスライダーピンB9がスライダ―11に設けられている長穴11aに係合することにより、上下動が可能となる。そのスライダー11の下部両側には、それぞれ載置部材としての、棒状のボビン支え13が釜A側に向けて突設されている。そして、スライダ―11と釜取付台Bの基端部との間には、図13(4)に示すように、押上げバネ14が設けられている。従つて、スライダ一11には、常に上方に移動する力が働いている。また、スライダー11の側部には、最下点にあるときに、第2フック10の後部と係合して上方への移動を阻止するためのロック部11bが突設されている。第2フック10はスライダー11のロック用部材であり、第1フック9はそのロック解除とボビンケ―スDの係止解除とを兼ねた部材である。
【0102】
この装置における、中釜A2とボビンケースDとの関係は、図13(5)に示すようになっている。即ち、ボビンケースDが中釜A2にセットされた状態では、バネDbにより矢印ト方向に付勢されているボビンケースDの係止板Daが、中釜軸部A2a先端のアゴ部に係合している。従来は、取外しレバ一Dcの先端を指先でつまみ上げることにより、係止板Daを矢印リ方向へ移動させて、ボビンケースDを外していた。ところが、この装置においては、図13(2)に示す状態から図13(3)に示す状態に、第1フック9の先端9a1(図13(5))を移動させて、係止板Da先端を矢印リ方向へ押すことにより、軸部A2aのアゴ部止の係止を解除し、ボビンケ―スDを外している。そして、外れたボビンケ―スDは、中釜軸部A2aのバネA2bに押されて飛出し、ボビン支え13の上をスライドしてスライダー11の位置で止まる。
【0103】
更に、第1フック9の先端9a1を移動させると、釜Aの切欠き部Aaに入り第2フック10が第1フック9に引っ張られて釜A側に移動し、スライダー11のロック部11bが第2フック10から外れる。そして、スライダー11は、押上げバネ14の力によって上昇する。それに伴い、ボビンケース支え13に乗っているボビンケースDも、取扱いが容易な位置に上昇する。このとき、第1フック9を移動する力を解除すると戻しバネ12により釜取付台Bの基端部へ第2フック10と共に戻る。つまり、この装置は前記動作を連続的に行なうことで、釜Aにセッ卜されたボビンケ−スDを、あたかも瞬時に取扱いが容易な位置に取り出すことを可能としたことになる。下糸ボビンを交換した後には、そのボビンケースDをボビンケース支え13に乗せ、スライダー11を押し下げれば、ロック部11bに第2フック10が係合し、ロック状態となる。その後、手で移動させることにより、ボビンケースDは中釜A2にセットされる。
【0104】
図14に示すものも、先例のボビンケ一ス取付台Cを廃止して、釜取付台Bの側部の水平軸16に軸方向の僅かな移動を許容する状態で、載置部材としての、半円筒状の受け台15を回動可能に設け、且つ、引掛部18aが釜取付台B内に突出する引出軸18を釜軸Sに摺動可能に設けるよう、変更したものであり、釜体Kの一部を構成するボビンケースDは、底のある形式のものである。
【0105】
受け台15は、通常、図14(1)に示す状態にあって、図14(3)に示すように、釜取付台Bの係止部Bfに係合し、釜取付台Bに設けたバネ17によって押えられているので、ミシン稼働時に飛出すようなことはない。この状態で操作部15aを持って引上げると、図14(2)に示すように、受け台15は上方に回動する。
【0106】
引出軸18の引掛部18aは、図14(4)に示すように、円盤の外周部の一部に突出部を形成した形状となっている。この引出軸18を、図14(5)に示すように、中釜A2内のボビンケースDまで前進させてその溝中に引掛部18aを差し入れ、図14(6)に示す状態から図14(7)に示す状態に回転させると、止め金Deの先端が引掛部18aの回転方向の先端部に押されると同時に、引掛部18aの回転方向の後端部がボビンケースの溝Ddに進入して係合状態になる。止め金Deは、ボビンケースDに揺動可能、且つ、係止部がバネDfにより中心側に移動するように付勢されているので、止め金Deの先端が押されると、止め金Deは中釜A2の軸部A2aから外れる。そして、そのまま18を引戻すと、ボビンケースDが中釜A2より引出される。
【0107】
図15(1)に示すものは、図14に示すものと似ており、釜取付台Bの基部に設けたピン20によって回動可能に、載置部材としての受け台19を支持し、ボビンケースを用いず、有底の中釜A2に下糸ボビンEを直接装着して軸部A2aのラッチ21で止めるものである。
【0108】
受け台19は、通常、図示状態にある。そして、釜軸Sが回転しても、ピン20と釜軸Sの位置関係から、遠心力が受け台19を図示状態を維持するよう働くので、ミシン稼働時に受け台19が飛出すようなことはない。また、ラッチ21を開放すると、中釜A2に装着されている下糸ボビンEはバネA2bの力によって受け台19の上押出される。その後、受け台19の操作部19aを持って引上げると、受け台19は上方に回動し、下糸ボビンEを容易に取出すことができる。
【0109】
最後に、図16を参照し、中釜押えFについて説明する。
【0110】
中釜押えFは、中釜A2に係合して外釜A1の回転による供回りを防ぐものであり、釜体Kが取付けられる不図示の部材に、釜軸Sの方向に位置調整可能に取り付けられる。従って、2本の針1、1'の間隔変更時に、釜Aと一体となって移動し、中釜押えF独自の位置調整は不要である。中釜押えFの先端部は、図16(2)に示す中釜A2の係止溝A2cに係合する中釜係合部となっている。この中釜押えFは、中釜係合部と係止溝A2cとの隙間を縫い糸が通り抜け得るように位置調整し、固定される。
【0111】
ところで、従来の垂直全回転釜を2つ対向配置して2本針ミシンを構成するとすれば、中釜押えF、F'(中釜係合部)の位置と針落ち位置との関係は図16(1)に示すようになる。同図は、各釜30、30'のそれぞれの中釜30b、30b'の対向間隔L1を最小限にしたときのものであり、縫い針1、1'が落ちる針落ち穴30c、30c'と、中釜押えF、F'が係合する中釜30b、30b'の係止溝30d、30d'とが釜軸中心上に存在している。
【0112】
ところが、本発明では、図16(2)に示す位置関係となるようにしている。即ち、中釜A2、A2’の対向幅L2を極力小さくするために、係止溝A2c、A2c'の位置を、針落ち穴A2d、A2d'の外釜回転方向下流側近傍にずらすようにしている。また、本発明の中釜A2、A2'は、対向幅を極力小さくするために、相対向する面突出量を極力少なくしている。なお、対向間隔L2を小さくしようとすると、中釜押えF、F'(中釜係合部)の板厚を薄くせざるを得ないので、強度を上げるために、2つの中釜押えを一体にして一つとし、その共通の中釜係合部で各中釜A2、A2’に係合させて支持するようにしてもよい。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のミシンの釜体は、釜軸から遠い先端部に釜が存在し、釜軸に近い部分に下糸ボビン交換用の開口部を備えているので、対向する釜面側からの下糸交換が困難な2本針ミシンや、釜上方に被縫製布が常に被さった状態にあって下糸交換が困難な二頭型ミシンにおいても、ボビン内蔵ボビンケ一スの中釜への装着、交換を、ミシンべッドの上面より、いつでも、簡単、且つ、短時間に行うことができる。また、中釜押えを針落ち位置の外釜回転方向下流側近傍で各中釜に係合するようにしたので、2本針ミシンにおける釜間隔を接近させることが可能となった。しかも、従来の2本針ミシンに使用されている水平釜に比べ、高速運転が可能であり、騒音を発生することがなく、縫い目むらもなく、糸締まりもよく、高価なスパイラルギヤも不要である。また、下糸ボビンは、一般に使用されているものを使用することができる。更に、釜が釜取付台に取付けられるので、釜軸に取付ける従来のものに比べて交換が容易である。また、ベッド上面からの下糸交換が可能であるので、ベッド下面からの下糸交換が困難な自動機や専用機の1本針本縫いミシンに採用することも有効である。なお、開口部が横向きとなるように釜取付台を止めるようにすれば、ミシンベッド上面が縫製付帯装置等でふさがれ、ミシンベッド側面にボビンケース着脱用の開口を有しているミシンであっても、ミシンベッド横面より水平にボビンケースを中釜に装着することが可能である。
【0114】
ボビンケ一ス取付台を設ける場合は、狭い空間でのボビンケースの中釜への装着を極めて楽に行なうことができる。そのボビンケ一ス取付台をベッド上面近傍へ移動可能とする場合は、狭い空間でのボビンケースの取扱いが一層楽になる。また、ボビンケースから引出された下糸を釜前面側に開放するようにしたので、毛羽のある下糸であっても周囲の部材に付着することなく、外釜剣先の回転経路に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミシンの釜体の概略構成を示す斜視図であり、(1)は2本針ミシンへの採用例、(2)は単体の全体図、(3)はボビンケース取付台を省略したものである。以下の図は、ことわりのない限り、本発明のミシンの釜体に関するものである。
【図2】釜の構造を説明する図であり、(1)は断面図、(2)は中釜の正面図、(3)、(4)はそれぞれ正回転釜、逆回転釜の正面図である。
【図3】(1)は取付台本体とガイド板の斜視図、(2)は取付台本体の断面図、(3)、(4)は取付台本体の回転運動を説明する正面図、(5)は、取付台本体と釜取付台の双方のストッパの関係を説明する図である。
【図4】ボビンケース取付台の動作順序を説明する断面図である。
【図5】ボビンケース取付台に関する図であり、(1)は異なる取付台本体を採用した釜体の斜視図、(2)は取付台本体の駆動機器を説明する図である。
【図6】ボビンケースのボビンケース取付台本体への種々の取付け態様を説明する図である。
【図7】ボビンケース取付台の変形例を説明する図であり、(1)は全体の斜視図、(2)は取付台本体の正面図、(3)は。全体をやや斜め横から見た斜視図、(4)は取付台本体の昇降動作を説明する図である。
【図8】ボビンケース取付台の他の変形例を説明する図であり、(1)は正面図、(2)は(1)におけるX−X断面図、(3)は(1)におけるY−Y断面図である。
【図9】ボビンケースに関する図であり、(1)は従来の釜との形状関係を説明する図、(2)は断面図、(3)は分解斜視図、(4)糸掛け順序を説明する斜視図、(5)は下糸引出し経路を説明する断面図である。
【図10】ボビンケースを中釜へセットするときの種々のロック手段を説明する斜視図である。
【図11】各種の下糸開放手段を説明する図である。
【図12】ボビンケース外に引出された下糸の各種の処理例を示する図である。
【図13】釜取付台にボビンケースの載置部材(ボビン支え)を設けた釜体についての図である。
【図14】釜取付台にボビンケースの他の載置部材(受け台)を設けた釜体についての図である。
【図15】(1)は中釜に下糸ボビンを直接装着する形式の釜体の斜視図であり、(2)はボビンケ一ス取付台を治具形式とした釜体の斜視図である。
【図16】中釜押えの中釜との係合位置を説明する図であり、(1)は比較例、(2)は本発明のものである。
【符号の説明】
A 釜
A2 中釜
B 釜取付台
C ボビンケース取付台
C0 ボビンケース取付台本体
C1 取付土台
D ボビンケース
E 下糸ボビン
F 中釜押え
S 釜軸
K 釜体
13 ボビン支え(載置部材)
15 受け台(載置部材)
19 受け台(載置部材)
Claims (2)
- 上軸の回転に伴って昇降する複数の縫い針と、
前記縫い針に対応して外釜剣先位置が設定された複数の釜体と、
前記釜体の中釜に個別に収容される複数のボビンケースと、
前記釜体を構成し、前記ボビンケースを中釜に装着するための開口部を有し、釜軸の縫い針側の端部に固定された釜取付台と、
前記釜取付台の縫い針側の端部に設けられた釜と、
前記釜取付台に設けられ、縫い針側への移動により前記ボビンケースを中釜に装着させる複数のボビンケース取付台と、
前記ボビンケース取付台の中央に設けられ、前記ボビンケースを保持する保持部材と、
前記ボビンケース取付台の中央から外れた位置に設けられた位置決め部材と、を備えるミシンの釜体において、
前記釜体は、釜正面から見て反時計方向に回転する正回転用釜体と、釜正面から見て時計方向に回転する逆回転用釜体と、を有し、
前記ボビンケース取付台の位置決め部材と、前記ボビンケースには、
一方に、正回転用と逆回転用とで異なる位置又は形状の孔を形成し、
他方に、前記孔に対応して、正回転用と逆回転用とで、異なる位置又は形状のピンを形成し、
前記ボビンケース取付台に正規のボビンケースが装着されることを特徴とするミシンの釜体。 - 請求項1記載のミシンの釜体において、
前記釜体は、縫い針側から順に、前記釜と前記釜取付台が配置されるとともに、前記ボビンケースを、釜正面側からでなく、前記釜取付台の開口部を介して中釜に装着することを特徴とするミシンの釜体。
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