JP3898159B2 - 巻掛式動力伝達部材のガイド装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チェーン伝動装置等の巻掛式動力伝達装置に用いられる動力伝達部材のガイド装置、特にその潤滑手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
4ストロークサイクル内燃機関の動弁系に適用される従来のチェーン伝動装置として、例えば特開2000−97042号公報に示されたものがある。図13はその模式図、図14は図13中のテンショナーアームの正面図、図15は同じく平面図、図16は図14のXVI−XVI矢視断面図、図17は図14のXVII−XVII矢視断面図である。
【0003】
まず図13に示すように、このチェーン伝動装置は、クランク軸に取付けられた第1のスプロケット03と、カム軸に取付けられた第2,第3のスプロケット06,07と、これら3個のスプロケット03,06,07に捲掛けられたチェーン08とを備えていて、クランク軸の回転をカム軸に伝達するようになっている。
【0004】
チェーン08の弛み側スパンに配置されたチェーンテンショナ010は、アーム020と、同アーム020に装着され、チェーン08が摺動するガイドシュー030を有している。アーム020はその一端が枢軸021により回動自在に枢支され、他端(自由端)には油圧テンショナー015のピストン015aが当接している。
【0005】
アーム020は図14,図15に示されるように、一端に枢軸021(図13)が挿入されるピン穴023が設けられ、他端には断面長円の貫通孔(導入孔)020aが形成されている。
【0006】
アーム020とガイドシュー030との合わせ面020bは、ほぼ円弧状に延びており、図16,図17に示されるように、この合わせ面020bに沿ってアーム020にほぼ半円形断面の油溝020cが形成されている。この油溝020cの一端は導入孔020aと連通しており、他端はピン穴023の上方に達している。
【0007】
長手方向にほぼ円弧状に延びるガイドシュー030には、複数(図示例では2個)の貫通孔030aが形成されている。ガイドシュー030をアーム020に組付けた時には、これらの貫通孔030aはアーム020の油溝020cと連通するようになっている。またガイドシュー030の上面には、図16,図17に示されるように、チェーン08の走行をガイドする溝部030bが形成されている。
【0008】
油圧テンショナー015のピストン015aには孔(図示せず)が形成されており、図示しない油圧供給源からの潤滑油がこの孔から供給されるようになっている。
【0009】
このようなチェーン伝動装置において、第1のスプロケット03(図13)が回転してチェーン08が矢印の方向に走行するとき、油圧テンショナー015が駆動されることにより、ピストン015aがアーム020の先端を押圧する。これによりアーム020が枢軸021の周りに揺動して、ガイドシュー030がチェーン08を押圧し、その結果チェーン08に適切な緊張力が作用する。
【0010】
このとき、油圧テンショナー015のピストン015aに形成された図示しない孔からは、図示しない油圧供給源から供給された潤滑油が吹出している。吹出した潤滑油は、アーム020の導入孔020aを通って油溝020c内に流入する。油溝020c内に流入した潤滑油は、油溝020cを通ってアーム020のピン穴023側に移動するとともに、油溝020cと連通するガイドシュー030の各貫通孔030aに流入し、各貫通孔030aからガイドシュー030の外面に流出する。
【0011】
一方チェーン08は、ガイドシュー030上を矢印(図13)の方向に走行している。このとき、各貫通孔030aから流出している潤滑油が、ガイドシュー030とチェーン08との間に供給される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のガイド装置は、アーム020とガイドシュー030の合わせ面020bに油溝020cを設け、アーム020側にはその油溝020cに連通する導入孔020a、ガイドシュー030側には同様油溝020cに連通する複数の貫通孔030aを設けるので、構造が複雑になり、高価であった。また導入孔020aがチェーン08の回動方向下流端に設けられているので、ガイドシュー030の表面へ給油が開始されるまでに時間がかかっていた。
【0013】
【課題を解決するための手段および効果】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、巻掛式の動力伝達部材に表面が接触する摺接部材と、該摺接部材の背面を支持し該摺接部材と一体に形成された支持部材と、上記摺接部材の長手方向に沿って設けられた潤滑油の給油溝と、上記支持部材の背面に配され上記支持部材を動力伝達部材に付勢するとともに、上記給油溝を介して上記摺接部材に潤滑油を供給する油圧テンショナとを備えた巻掛式動力伝達部材のガイド装置において、上記給油溝が、上記摺接部材の表面にその長手方向にわたって設けられ、上記給油溝に上記油圧テンショナのピストンの側から潤滑油を供給する連通路が、上記摺接部材の、上記動力伝達部材との接触開始側である、回動方向上流側に配され、潤滑油を供給する上記連通路が、上記支持部材を貫通して、上記摺接部材の上記給油溝に上記回動方向上流側で開口し該給油溝に直線的に連通していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項1の発明は上記のとおり構成され、上記給油溝が、上記摺接部材の表面にその長手方向にわたって設けられ、上記給油溝に上記油圧テンショナのピストンの側から潤滑油を供給する連通路が、上記摺接部材の、上記動力伝達部材との接触開始側である、回動方向上流側に配されて、該回動方向上流側で上記給油溝に開口しそれに直線的に連通するために、動力伝達部材の回動により潤滑油が摺接部材の表面を引張られる。したがって、簡単な構造で、摺接部材の長手方向にわたって潤滑油を供給することができ、動力伝達部材に働く摩擦力を減少させ、その駆動を円滑にする。
【0015】
また、摺接部材の表面に給油溝を設け、そこに潤滑油を供給するので、摺接部材の表面と動力伝達部材との摺動による潤滑油の飛散を抑制することができる。さらに、給油溝を設けたことで動力伝達部材と摺接部材との接触面積が小さくなるので、両者の間の摩擦力が低減し、摩耗が軽減される。
【0016】
また、潤滑油を供給する上記連通路が、上記支持部材を貫通して、上記摺接部材の上記給油溝に回動方向上流側で開口しそれに直線的に連通しているので、潤滑油通路を最短にすることができる。したがって、動力伝達部材の走行開始に伴い、油圧供給源から油圧テンショナへ潤滑油が供給されると同時に、接触面への給油も開始されるので、走行開始時の動力伝達部材との摩擦が軽減されて、動力伝達部材と摺接部材の磨耗が軽減され、かつ安定した動力伝達が可能となる。
【0017】
次に請求項2の発明は、巻掛式の動力伝達部材に表面が接触する摺接部材と、該摺接部材の背面を支持し該摺接部材と一体に形成された支持部材と、上記摺接部材の長手方向に沿って設けられた潤滑油の給油溝と、上記支持部材の背面に配され上記支持部材を動力伝達部材に付勢するとともに、上記給油溝を介して上記摺接部材に潤滑油を供給する油圧テンショナとを備えた巻掛式動力伝達部材のガイド装置において、上記給油溝が、上記摺接部材の表面にその長手方向にわたって複数本設けられ、上記複数の給油溝に上記油圧テンショナのピストンの側から潤滑油を供給する連通路が、上記摺接部材の、上記動力伝達部材との接触開始側である、回動方向上流側に配され、潤滑油を供給する上記連通路が、上記支持部材を貫通して、上記摺接部材の上記複数の給油溝の間の表面に上記回動方向上流側で開口し直線的に連通していることを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明は上記のとおり構成されているので、前記請求項1記載の発明と同様の効果が得られるほか、複数の給油溝間に位置する表面に回動方向上流側で直線的に開口することにより供給された潤滑油は、その両側の給油溝に導かれ、したがって摺動部材の表面と動力伝達部材との摺動による潤滑油の飛散を抑制することができる。
【0019】
次に請求項3の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記複数の給油溝のうち2条が、上記摺接部材の表面の両側縁に設けられた突出部にそれぞれ隣接し且つそれに沿って設けられたことを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は上記のとおり構成され、摺動部材の表面の両側縁に設けられた突出部にそれぞれ隣接し且つそれに沿って給油溝が設けられているので、動力伝達部材が摺接部材の一方に偏って動力伝達部材の側縁部下端が摺動部材の側縁の突出部に接触した時でも、摺動部材の側縁に沿って潤滑油が流れ、したがってこの部分の磨耗が軽減される。
【0021】
また請求項4の発明は、巻掛式の動力伝達部材に表面が接触する摺接部材と、該摺接部材の背面を支持し該摺接部材と一体に形成された支持部材と、上記摺接部材の長手方向に沿って設けられた潤滑油の給油溝と、上記支持部材の背面に配され上記支持部材を動力伝達部材に付勢するとともに、上記給油溝を介して上記摺接部材に潤滑油を供給する油圧テンショナとを備えた巻掛式動力伝達部材のガイド装置において、上記給油溝に上記油圧テンショナのピストンの側から潤滑油を供給する連通路が、上記摺接部材の、上記動力伝達部材との接触開始側である、回動方向上流側に配され、上記油圧テンショナのピストンの側から供給された潤滑油を保持する潤滑油保持機構が上記給油溝に設けられ、潤滑油を供給する上記連通路が、上記支持部材を貫通して、上記摺接部材の上記給油溝に上記回動方向上流側で開口して直線的に連通していることを特徴とする。
【0022】
請求項4の発明は上記のとおり構成され、給油手段から供給された潤滑油を保持する潤滑油保持機構を給油溝内に設けたので、常に一定量の潤滑油が給油溝内に保持される。したがって、運転開始時(動力伝達部材が回動を始めた時)にも動力伝達部材に十分な潤滑油を供給することができるから、動力伝達部材を円滑に回動させるとともに、摩耗・振動等を抑制することができる。その他、前記請求項1記載の発明と同様の効果が奏せられる。
【0023】
さらに請求項5の発明は、上記請求項4の発明において、上記潤滑油保持機構が上記給油溝内を仕切る少なくとも1つの仕切壁であって、高さが上記給油溝の深さよりも低いことを特徴とするものである。
【0024】
請求項5の発明では、上記のように給油溝を仕切る仕切壁を給油溝内に設けることによって、潤滑油を保持するだけでなく、給油溝部の剛性を高めることができる。したがって、給油溝の側壁が動力伝達部材との接触により、給油溝内へ弯曲してくるのを防止することができる。その結果、安定して潤滑油を供給でき、さらに摺接部材の劣化を抑制できる。
【0025】
請求項5の発明ではまた、仕切壁の高さが給油溝の深さよりも低くなっているので、動力伝達部材が仕切壁に接触せず、したがって磨耗が防止され、かつ騒音を低減できる。加えて、潤滑油の給油溝内移動を阻害することなく、潤滑油を給油溝内に保持できる。
【0026】
さらにまた請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の捲掛式動力伝達部材のガイド装置において、上記給油溝が、上記動力伝達部材に接触する上記摺接部材の表面の上記回動方向上流端まで延びており、かつ該上流端で上記給油溝の端部が閉じていることを特徴とする。
【0027】
請求項6の発明は上記のとおり構成されているので、動力伝達部材の停止時にも給油溝内に余分に潤滑油を保持できるため、動力伝達部材の回転開始時点で、その動力伝達部材に確実に潤滑油を供給することができる。したがって、長時間作動を停止していた場合でも、動力伝達部材を滑らかに回動させることができ、また摩耗も抑制される。
【0028】
【発明の実施の形態1】
図1は本発明の一実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を一部切欠いで示す拡大側面図、図2は図1のII−II矢視正面図、図3は図1および図2のIII−III矢視断面図をチェーンとともに描いた図である。
【0029】
これらの図において、1は巻掛式動力伝達部材としてのチェーンであって、多数のリンクプレート1aの列を層状に重ね合わせ、それらをピン1bで無端状に連結して形成されている。2は正面が上記チェーン1に接触する摺接部材としてのガイドシューである。このガイドシュー2の背面には支持部材としてのチェーンテンショナー本体3がガイドシュー2と一体に形成されている。
【0030】
本実施形態では、ガイドシュー2の表面の長手方向にわたって、潤滑油の給油溝6aが設けられている。この給油溝6aの幅は、チェーン1がガイドシュー2の片側にそれた時に、チェーン1の側縁が給油溝に落込まない程度にする。
【0031】
一方、チェーン回動方向上流側のチェーンテンショナ−本体3背後には、ガイドシュー2表面に潤滑油を供給する給油手段として、図示しない油圧テンショナーのピストンが配されており、該ピストン内に油路が形成されている。そして、その油路と上記給油溝6aとを直接連通する連通路として潤滑油通路4が設けられ、ガイドシュー2のチェーン回動方向上流側で給油溝6a内に開口している。
【0032】
ここでチェーン回動方向上流側とは、チェーン1が近付いて来てガイドシュー2と接触を開始する側であり、チェーン回動方向下流側とは、チェーン1がガイドシュー2から離脱して去ってゆく側をいう(以下同じ)。
【0033】
図示しないスプロケットに巻掛けられて回送されるチェーン1はチェーンテンショナーのガイドシュー2によってガイド・押圧される。一方、図示しないオイルポンプから圧送されてきた潤滑油は、チェーンテンショナー本体3の背後の図示しない油圧テンショナーのピストンから潤滑油通路4を経て、ガイドシュー2の正面の給油溝6a内に供給される。この潤滑油は給油溝6aを通って、ガイドシュー2の長手方向にわたって移動する。こうしてチェーン1とガイドシュー2の接触面全体が潤滑される。
【0034】
この場合、チェーン1がサイレントチェーンのように複数枚のリンクプレート1aが連結されたガイドシュー2との接触面が平面に形成されていても、給油溝6aを設けたことにより、チェーン1とガイドシュー2との接触面積が小さくなるので、チェーン1に働く摩擦力を低減させることができる。また、チェーン1が下方から上方に向かって回送される位置であっても、回送方向に潤滑油が引張られるので、ガイドシュー2の全長にわたって潤滑油を送給することができる。
【0035】
本実施形態ではまた、ガイドシュー2表面の給油溝6aに潤滑油を直接供給するので、ガイドシュー2表面とチェーン1との摺動による潤滑油の飛散を抑制することができる。
【0036】
また、油圧テンショナのピストン内に設けられた油路とガイドシュー2に設けられた給油溝6aとが直接連通しているので、潤滑油通路4を最短構成とすることができる。したがって、例えば本実施形態を内燃機関動弁系のチェーン伝動装置に適用した場合、内燃機関の始動(チェーンの走行開始)に伴ない、油圧供給源から油圧テンショナへ潤滑油が供給されると同時に、ガイドシュー2への給油も開始されるので、始動時のチェーン1との摩擦が軽減されて、チェーン1とガイドシュー2の磨耗が軽減され、かつ安定した動力伝達が可能となる。
【0037】
このように本実施形態では、簡単な構造でガイドシュー2の全長にわたって潤滑油を供給することができ、チェーン1に働らく摩擦力を減少させ、その駆動を円滑にする。
【0038】
【発明の実施の形態2】
図4は本発明の第2の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図、図5は図4のV−V矢視断面図をチェーンとともに描いた図である。本実施形態では、ガイドシュー2の正面(接触面)の両側縁に沿って2条の給油溝6b,6bが全長にわたって設けられる。
【0039】
潤滑油通路4を経てガイドシュー2の表面に供給された潤滑油は、これらの給油溝6b,6bに流れ込み、ガイドシュー2の全長にわたって移動する。こうして、チェーン1とガイドシュー2の接触面全体が潤滑される。本実施形態でも、給油溝6b,6bを設けたことにより、チェーン1とガイドシュー2との接触面積が小さくなるので、チェーン1に働く摩擦力が低減する。また、図5に図示されているようにチェーン1がガイドシュー2の一方に偏ってチェーン1の側部下端がガイドシュー2の側縁の突出部に接触した時でも、ガイドシュー2の側縁に沿って潤滑油が流れるので、この部分の摩耗が軽減される。
【0040】
さらに本実施形態では、チェーン1の両側縁のコーナー部分に対応するガイドシュー2の表面に給油溝6bが設けられているので、チェーン1が回動中に傾いた場合でも、チェーンコーナー部によるガイドシュー2表面の片減りが防止される。加えて、接触面に供給された潤滑油のうち、チェーン1表面を潤滑した後の余りの分が、両側の給油溝6bへ流れ込むので、チェーン1の回動により潤滑油が周囲に飛散するのを抑制することができる。
【0041】
【発明の実施の形態3】
図6は本発明の第3の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。本実施形態では、ガイドシュー2の表面にジグザグ状の給油溝6cが設けられる。
【0042】
これによって潤滑油がガイドシュー2の全幅にゆきわたるので、潤滑油の前剪抵抗はさらに減少する。また給油溝がジグザグに進んでゆくことになるので、チェーンが片側に張り付くのを防ぐことができる。
【0043】
図6に示す例では、ガイドシュー2の全長にわたってジグザグ状の給油溝6cが設けられているが、例えば図7に示すように、給油溝6dの終端を前記第1の実施形態と同様にガイドシュー2の中央線に沿わせる等、種々の変形が考えられる。
【0044】
【発明の実施の形態4】
図8は本発明の第4の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。この実施形態では、ガイドシュー2の長手方向に対して同方向に傾斜した給油溝6eが設けられる。
【0045】
この実施形態はチェーンを意識的に片側に寄せたい場合に実施される。チェーンスプロケットの片持ちにより、例えば左向きの力が発生した場合、これを右側への反力によって相殺する。またチェーンが左側に寄った場合、潤滑油も左側へ導かれるので、ガイドシュー2の左側部の摩擦、摩耗が軽減される。
【0046】
【発明の実施の形態5】
図9は本発明の第5の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。本実施形態では、ガイドシュー2とチェーン1との接触開始位置、すなわちガイドシュー2とチェーン1との接触面のチェーン回動方向上流端7よりも上流側のガイドシュー2の幅が他の部分よりも広くなっている。また、給油溝6fは、潤滑油通路4からその接触開始位置7まで上流方向に向かって延びており、かつその端部が閉じられている。
【0047】
上記のように本実施形態では、接触開始位置7よりも上流側のガイドシュー2の幅が他の部分よりも広く、接触面積が大きくなっているので、チェーン1を安定してガイドでき、またガイドシュー2の剛性が高まるので、チェーン1との接触による衝撃を緩和することができる。したがってまた、チェーン1の回動方向下流側にチェーンテンショナー本体3の支点(枢軸)がある場合でも、ガイドシュー2が振動しチェーン1に当たって振動や騒音が発生したり、チェーン1の回動が阻害されるような恐れがなくなる。
【0048】
本実施形態ではまた、給油溝6fがチェーン1との接触開始位置7まで延設され、かつ上流端部が閉じられているので、チェーン1の停止時にも給油溝6f内に余分に潤滑油を保持できるため、チェーン1の回動開始時点で確実にチェーン1に潤滑油を供給することができる。したがって、長時間内燃機関を停止していたような場合でもチェーン1が滑らかに回動し、かつ摩耗が抑制される。
【0049】
なお、チェーン1が上方から下方に向かって回動する位置にガイドシュー2が設けられている場合は、潤滑油通路4を接触開始位置7よりも更に上流側に配置しても、上記と同様の効果が得られる。
【0050】
また、チェーン1が下方から上方に向かって回動する位置にガイドシュー2が設けられている場合は、本実施形態のように給油溝6fが潤滑油通路4から上流方向に向かって延設されていると、その延設部分に潤滑油が溜められるので、特に長時間停止後の再起動時に効果的である。
【0051】
【発明の実施の形態6】
図10は本発明の第6の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図、図11は図10のXI−XI矢視縦断面図、図12は図10のXII−XII矢視横断面図である。
【0052】
本実施形態では、前記第1の実施形態と同様なガイドシュー2の中央線に沿う給油溝6gが設けられ、さらにその給油溝6gを横断して長手方向を区切るように、高さが給油溝6gの深さよりも低い複数の仕切堰8が、仕切壁として設けられる。すなわち、給油溝6gは仕切堰8により複数の区画に区切られて、それぞれ油溜まり9を形成する。
【0053】
したがって、それら複数の油溜まりには常に一定量の潤滑油が保持され、チェーン駆動が円滑になる。また、内燃機関の起動時等で、潤滑油が十分に供給されない時でも、油溜まり9内に潤滑油が保持されているので、潤滑油が供給されるようになるまでの間、円滑にチェーン1を作動できるとともに、摩耗・振動等を抑制することができる。
【0054】
本実施形態ではまた、給油溝6gを区切る仕切堰8を給油溝6g内に設けたので、潤滑油を保持するだけでなく、給油溝6g部の剛性を高めることができる。したがって、給油溝6gの側壁がチェーン1との接触により給油溝6g内へ弯曲してくるのを防止することができる。その結果、安定して潤滑油を供給でき、さらにガイドシュー2の劣化を抑制できる。
【0055】
さらに本実施形態では、仕切堰8の高さが給油溝6gの深さよりも低くなっているので、チェーン1が仕切堰8に接触せず、したがって磨耗が防止され、かつ騒音を低減できる。加えて、潤滑油の給油溝6g内移動を阻害することなく、潤滑油を給油溝6g内に保持できる。
【0056】
仕切堰8としては、図示例のように単に給油溝6gの側壁を横に結ぶものだけでなく、例えばジグザグ状のものでもよい。ただし、チェーン1の回動により給油溝6gの全長にわたって潤滑油が送給されるためには、仕切堰8の高さを給油溝6gの側壁の高さ、すなわち給油溝6gの深さよりも低くすることが必要である。
【0057】
なお、上記の諸実施形態において、給油溝6a,6b等は、ガイドシュー2の長手方向に設けられていればよく、必ずしも全長にわたっていなくてもよい。またガイドシュー2の表面(チェーン1との接触面)は、上方を向いている方が潤滑油を保持する上で好ましいが、たとえ下方を向いていても、チェーン1で覆われているし、しかも潤滑油自体にも粘性があるので、十分に潤滑油を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を一部切欠いて示す拡大側面図である。
【図2】図2は図1のII−II矢視正面図である。
【図3】図3は図1および図2のIII−III矢視断面をチェーンとともに描いた図である。
【図4】図4は本発明の第2の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。
【図5】図5は図4のV−V矢視断面をチェーンとともに描いた図である。
【図6】図6は本発明の第3の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。
【図7】図7は本発明の第3の実施形態の変形例を示す図である。
【図8】図8は本発明の第4の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。
【図9】図9は本発明の第5の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。
【図10】図10は本発明の第6の実施形態におけるチェーンテンショナーの先端部を示す正面図である。
【図11】図11は図10のXI−XI矢視縦断面図である。
【図12】図12は図10のXII−XII矢視横断面図である。
【図13】図13は従来のチェーン伝動装置の一例を示す模式図である。
【図14】図14は図13中のテンショナーアームの正面図である。
【図15】図15は同じく平面図である。
【図16】図16は図14のXVI−XVI矢視断面図である。
【図17】図17は図14のXVII−XVII矢視断面図である。
【符号の説明】
1…チェーン(巻掛式動力伝達部材)、1a…リンクプレート、1b…ピン、2…ガイドシュー(摺接部材)、3…チェーンテンショナー本体(支持部材)、4…潤滑油通路、6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g…給油溝、7…接触開始位置、8…仕切堰、9…油溜まり。
Claims (6)
- 巻掛式の動力伝達部材に表面が接触する摺接部材と、該摺接部材の背面を支持し該摺接部材と一体に形成された支持部材と、上記摺接部材の長手方向に沿って設けられた潤滑油の給油溝と、上記支持部材の背面に配され上記支持部材を動力伝達部材に付勢するとともに、上記給油溝を介して上記摺接部材に潤滑油を供給する油圧テンショナとを備えた巻掛式動力伝達部材のガイド装置において、
上記給油溝が、上記摺接部材の表面にその長手方向にわたって設けられ、
上記給油溝に上記油圧テンショナのピストンの側から潤滑油を供給する連通路が、上記摺接部材の、上記動力伝達部材との接触開始側である、回動方向上流側に配され、
潤滑油を供給する上記連通路が、上記支持部材を貫通して、上記摺接部材の上記給油溝に上記回動方向上流側で開口し該給油溝に直線的に連通していることを特徴とする巻掛式動力伝達部材のガイド装置。 - 巻掛式の動力伝達部材に表面が接触する摺接部材と、該摺接部材の背面を支持し該摺接部材と一体に形成された支持部材と、上記摺接部材の長手方向に沿って設けられた潤滑油の給油溝と、上記支持部材の背面に配され上記支持部材を動力伝達部材に付勢するとともに、上記給油溝を介して上記摺接部材に潤滑油を供給する油圧テンショナとを備えた巻掛式動力伝達部材のガイド装置において、
上記給油溝が、上記摺接部材の表面にその長手方向にわたって複数本設けられ、
上記複数の給油溝に上記油圧テンショナのピストンの側から潤滑油を供給する連通路が、上記摺接部材の、上記動力伝達部材との接触開始側である、回動方向上流側に配され、 潤滑油を供給する上記連通路が、上記支持部材を貫通して、上記摺接部材の上記複数の給油溝の間の表面に上記回動方向上流側で開口し該給油溝に直線的に連通していることを特徴とする巻掛式動力伝達部材のガイド装置。 - 上記複数の給油溝のうち2条が、上記摺接部材の表面の両側縁に設けられた突出部にそれぞれ隣接し且つそれに沿って設けられたことを特徴とする請求項2記載の巻掛式動力伝達部材のガイド装置。
- 巻掛式の動力伝達部材に表面が接触する摺接部材と、該摺接部材の背面を支持し該摺接部材と一体に形成された支持部材と、上記摺接部材の長手方向に沿って設けられた潤滑油の給油溝と、上記支持部材の背面に配され上記支持部材を動力伝達部材に付勢するとともに、上記給油溝を介して上記摺接部材に潤滑油を供給する油圧テンショナとを備えた巻掛式動力伝達部材のガイド装置において、
上記給油溝に上記油圧テンショナのピストンの側から潤滑油を供給する連通路が、上記摺接部材の、上記動力伝達部材との接触開始側である、回動方向上流側に配され、
上記油圧テンショナのピストンの側から供給された潤滑油を保持する潤滑油保持機構が上記給油溝に設けられ、
潤滑油を供給する上記連通路が、上記支持部材を貫通して、上記摺接部材の上記給油溝に上記回動方向上流側で開口し該給油溝に直線的に連通していることを特徴とする巻掛式動力伝達部材のガイド装置。 - 上記潤滑油保持機構は上記給油溝内を仕切る少なくとも1つの仕切壁であって、高さが上記給油溝の深さよりも低いことを特徴とする請求項4記載の捲掛式動力伝達部材のガイド装置。
- 上記給油溝が、上記動力伝達部材に接触する上記摺接部材の表面の上記回動方向上流端まで延びており、かつ該上流端で上記給油溝の端部が閉じていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の捲掛式動力伝達部材のガイド装置。
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