JP3896552B2 - チアゾール誘導体−金属錯体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なチアゾール誘導体−金属錯体に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、医薬品として有用な新規チアゾール誘導体−金属錯体を提供することを課題とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明のチアゾール誘導体−金属錯体は、文献未記載の新規化合物であって、下記チアゾール誘導体又はその陰イオン体と金属又は金属塩との錯体である。
【0004】
チアゾール誘導体は、一般式
【0005】
【化3】
【0006】
〔式中R1はフェニル環上に置換基として低級アルコキシ基を1〜3個有することのあるフェニル基を示す。R2は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜3個有する5〜15員環の単環、二項環又は三項環の複素環残基を示す。上記単環、二項環又は三項環の複素環残基には置換基として低級アルキル基、ベンゾイル基、低級アルキルチオ基、フェニルアミノチオカルボニル基、置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノ低級アルコキシカルボニル基、オキシラニル基、水酸基置換低級アルキル基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ低級アルキル基、シアノ基、オキソ基、カルボキシ置換低級アルキル基、置換基として低級アルコキシカルボニル基又はシアノ基を有する低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、置換基としてピリジル基、フリル基、フェニル基、カルボキシ基及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜2個有する低級アルキル基、カルボキシ置換低級アルコキシ基、カルボキシ置換低級アルキルチオ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、水酸基、基−(A)l −NR3R4(Aは置換基として水酸基を有していてもよい低級アルキレン基又は基−COを示す。lは0又は1を示す。R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、水酸基、ピロリジニル低級アルキル基、カルボキシ置換低級アルキル基又は置換基として低級アルキル基もしくはフェニル低級アルコキシカルボニル基を有することのあるアミノ置換低級アルキル基を示す。またこのR3及びR4は、これらが結合する窒素原子と共に、窒素原子もしくは酸素原子を介し又は介することなく互いに結合して5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環を形成してもよい。該複素環には、低級アルキル基又はカルボキシ基が置換していてもよい。)、アミジノ基、アミノチオカルボニル基及び基
【0007】
【化4】
【0008】
(R5はヒドロキシアミノ基又は低級アルキルチオ基を示す。)なる群から選ばれた基を1〜3個有していてもよい。〕
で表される。
【0009】
好中球は、生体に於いて侵入した外敵に対し、遊走反応、貧食作用、活性酸素O2 -の産生、リソゾーム酵素の放出によって殺菌作用を示し、生体防御で重要な役割を担っていると考えられている。ところが、この生体防御反応と共に、各組織の虚血、及びそれに引き続く血液の再潅流時、或いは急性期の炎症時に於いて組織或いは好中球が放出する活性酸素が、細胞を破壊し組織機能に障害を与えるということが、明らかにされてきている〔B.R.Lucchesi,アニュアル レビューオブ ファーマコロジー アンド トキシコロジー(Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.),26,201(1986);B.A.Freeman et al .,ラボラトリー インベスティゲーション(Laboratory Investigation) ,47,412(1982);E.Braunwald.,R.A.Kloner ,ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲーション(J.Clin. Invest. ),76,1713(1985);J.L.Romson et al.,サーキュレーション(Circulation),67,1016(1983)〕。
【0010】
上記一般式(1)で表わされるチアゾール誘導体又はその陰イオン体と金属又は金属塩との錯体(以下「本発明の化合物」という)は、好中球からの活性酸素の放出を抑制すると共に、活性酸素種(ラジカル)を除去(スカベンジ)する活性をも併有する。従って、過酸化脂質の生体内生成を防止する作用及びこれを低下させる作用を発揮する。よって、上記本発明の化合物は、上記活性酸素種の過剰発生、過酸化脂質の生体内蓄積、或いはこれらに対する防御機構の欠損に起因する各種障害乃至疾患の予防及び治療剤として有用である。より具体的には、本発明の化合物は、虚血、及び血液再開通に伴う障害から各種組織細胞を保護するような薬剤、例えばストレス性潰瘍等の消化器性潰瘍に対する治療剤;心筋梗塞・不整脈等の心臓虚血疾患に対する治療剤;脳出血・脳梗塞・一過性脳虚血発作等の脳血管疾患に対する治療剤;移植・微小循環不全等に依る障害に対する肝及び腎機能改善剤;又は、虚血以外の原因で異常に発生した活性酸素に依ると考えられる各種細胞障害を抑制する様な薬剤、例えばベーチェット病、皮膚血管炎、潰瘍性大腸炎、悪性リウマチ、関節炎、動脈硬化、糖尿病、成人呼吸窮迫症候群(Adult Respinatory Distress Syndrom、ARDS)等の治療剤として医薬品分野で有用である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本明細書において示される各基は、より具体的にはそれぞれ次の通りである。
【0012】
低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基を例示できる。
【0013】
フェニル環上に置換基として低級アルコキシ基を1〜3個有することのあるフェニル基としては、例えば、フェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、4−イソプロポキシフェニル、4−ペンチルオキシフェニル、4−ヘキシルオキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3−エトキシ−4−メトキシフェニル、2,3−ジメトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3−プロポキシ−4−メトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジペンチルオキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3−メトキシ−4−エトキシフェニル基等のフェニル環上に置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基を1〜3個有することのあるフェニル基を例示できる。
【0014】
窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜3個有する5〜15員環の単環、二項環又は三項環の複素環残基としては、例えばピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリノ、ピリジル、1,2,5,6−テトラヒドロピリジル、チエニル、キノリル、1,4−ジヒドロキノリル、ベンゾチアゾリル、ピラジル、ピリミジル、ピリダジル、ピロリル、カルボスチリル、3,4−ジヒドロカルボスチリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾリジニル、イソキノリル、キナゾリジニル、キノキサリニル、シンノリニル、フタラジニル、カルバゾリル、アクリジニル、クロマニル、イソインドリニル、イソクロマニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリジニル、フェノチアジニル、ベンゾフリル、2,3−ジヒドロベンゾ〔b〕フリル、ベンゾチエニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、4H−クロメニル、1H−インダゾリル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、イソインドリニル、2−イミダゾリニル、2−ピロリニル、フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラニル、ピラゾリジニル、2−ピラゾリニル、キヌクリジニル、1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、1,4−ベンゾチアジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリニル、1,3−ジチア−2,4−ジヒドロナフタレニル、フェナントリジニル、1,4−ジチアナフタレニル、ジベンズ〔b,e〕アゼピニル、6,11−ジヒドロ−5H−ジベンズ〔b,e〕アゼピニル、4H−フロ〔2,3−e〕−1,2−オキサジニル、4a,7a−ジヒドロ−4H−フロ〔2,3−e〕−1,2−オキサジニル基等を例示できる。
【0015】
低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。
【0016】
低級アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキルチオ基を例示できる。
【0017】
置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノ低級アルコキシカルボニル基としては、例えばアミノメトキシカルボニル、2−アミノエトキシカルボニル、1−アミノエトキシカルボニル、3−アミノプロポキシカルボニル、4−アミノブトキシカルボニル、5−アミノペンチルオキシカルボニル、6−アミノヘキシルオキシカルボニル、1,1−ジメチル−2−アミノエトキシカルボニル、2−メチル−3−アミノプロポキシカルボニル、メチルアミノメトキシカルボニル、1−エチルアミノエトキシカルボニル、2−プロピルアミノエトキシカルボニル、3−イソプロピルアミノプロポキシカルボニル、4−ブチルアミノブトキシカルボニル、5−ペンチルアミノペンチルオキシカルボニル、6−ヘキシルアミノヘキシルオキシカルボニル、ジメチルアミノメトキシカルボニル、2−ジメチルアミノエトキシカルボニル、3−ジメチルアミノプロポキシカルボニル、(N−エチル−N−プロピルアミノ)メトキシカルボニル、2−(N−メチル−N−ヘキシルアミノ)エトキシカルボニル基等の置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を1〜2個有することのあるアミノ基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基を例示できる。
【0018】
水酸基置換低級アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、5,5,4−トリヒドロキシペンチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシイソプロピル、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル基等の水酸基を1〜3個有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を例示できる。
【0019】
低級アルカノイル基としては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、tert−ブチルカルボニル、ヘキサノイル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカノイル基を挙げることができる。
【0020】
低級アルカノイルオキシ置換低級アルキル基としては、例えば、ホルミルオキシメチル、アセチルオキシメチル、2−プロピオニルオキシエチル、1−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、2,3−ジアセチルオキシプロピル、4−イソブチリルオキシブチル、5−ペンタノイルオキシペンチル、6−tert−ブチルカルボニルオキシヘキシル、1,1−ジメチル−2−ヘキサノイルオキシエチル、5,5,4−トリアセチルオキシペンチル、2−メチル−3−アセチルオキシプロピル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカノイルオキシ基を1〜3個有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。
【0021】
カルボキシ置換低級アルキル基としては、例えばカルボキシメチル、2−カルボキシエチル、1−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル、2−メチル−3−カルボキシプロピル基等のアルキル部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基であるカルボキシアルキル基を挙げることができる。
【0022】
置換基として低級アルコキシカルボニル基又はシアノ基を有する低級アルキル基としては、例えばシアノメチル、1−シアノエチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、4−シアノブチル、1,1−ジメチル−2−シアノエチル、5−シアノペンチル、6−シアノヘキシル、2−メチル−3−シアノプロピル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−プロポキシカルボニルエチル、1−ブトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、2,3−ジエトキシカルボニルプロピル、4−イソブトキシカルボニルブチル、5−ペンチルオキシカルボニルペンチル、6−tert−ブトキシカルボニルヘキシル、1,1−ジメチル−2−ヘキシルオキシカルボニルエチル、5,5,4−トリメトキシカルボニルペンチル、2−メチル−3−エトキシカルボニルプロピル、1−エトキシカルボニル−1−シアノメチル、2−エトキシカルボニル−1−シアノエチル基等の置換基として炭素数が1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基又はシアノ基を有する、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を例示できる。
【0023】
低級アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基を例示できる。
【0024】
置換基としてピリジル基、フリル基、フェニル基、カルボキシ基及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜2個有する低級アルキル基としては、例えば(2−ピリジル)メチル、1−(3−ピリジル)エチル、2−(4−ピリジル)エチル、3−(2−ピリジル)プロピル、4−(3−ピリジル)ブチル、5−(4−ピリジル)ペンチル、6−(2−ピリジル)ヘキシル、1,1−ジメチル−2−(3−ピリジル)エチル、2−メチル−3−(4−ピリジル)プロピル、1−(2−ピリジル)−1−ヒドロキシメチル、2−(3−ピリジル)−1−ヒドロキシエチル、3−(4−ピリジル)−1−ヒドロキシプロピル、5−(2−ピリジル)−4−ヒドロキシペンチル、6−(2−ピリジル)−6−ヒドロキシヘキシル、(2−フリル)メチル、1−(3−フリル)エチル、2−(2−フリル)エチル、3−(2−フリル)プロピル、4−(3−フリル)ブチル、5−(2−フリル)ペンチル、6−(3−フリル)ヘキシル、1,1−ジメチル−2−(2−フリル)エチル、2−メチル−3−(2−フリル)プロピル、1−(2−フリル)−1−ヒドロキシメチル、2−(2−フリル)−1−ヒドロキシエチル、1,1−ジフェニルメチル、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、2−メチル−3−フェニルプロピル、1−フェニル−1−ヒドロキシメチル、2−フェニル−1−ヒドロキシエチル、1−フェニル−2−ヒドロキシエチル、3−フェニル−1−ヒドロキシプロピル、4−フェニル−4−ヒドロキシブチル、5−フェニル−5−ヒドロキシペンチル、6−フェニル−6−ヒドロキシヘキシル、2−メチル−3−フェニル−3−ヒドロキシプロピル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、1−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル、2−メチル−3−カルボキシプロピル、1−カルボキシ−1−ヒドロキシメチル、2−カルボキシ−1−ヒドロキシエチル、3−カルボキシ−1−ヒドロキシプロピル、5−カルボキシ−4−ヒドロキシペンチル、6−カルボキシ−6−ヒドロキシヘキシル基等の置換基としてピリジル基、フリル基、フェニル基、カルボキシ基及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜2個有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を例示できる。
【0025】
カルボキシ置換低級アルコキシ基としては、例えばカルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、1−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、4−カルボキシブトキシ、5−カルボキシペンチルオキシ、6−カルボキシヘキシルオキシ、1,1−ジメチル−2−カルボキシエトキシ、2−メチル−3−カルボキシプロポキシ基等のアルコキシ部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基であるカルボキシアルコキシ基を挙げることができる。
【0026】
カルボキシ置換低級アルキルチオ基としては、例えばカルボキシメチルチオ、2−カルボキシエチルチオ、1−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、4−カルボキシブチルチオ、5−カルボキシペンチルチオ、6−カルボキシヘキシルチオ、1,1−ジメチル−2−カルボキシエチルチオ、2−メチル−3−カルボキシプロピルチオ基等のアルキルチオ部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキルチオ基てあるカルボキシアルキルチオ基を挙げることができる。
【0027】
ハロゲン原子としては、例えば弗素原子、塩素原子、臭素原子及び沃素原子が挙げられる。
【0028】
置換基として水酸基を有していてもよい低級アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、1−メチルトリメチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、1−ヒドロキシエチレン、2−ヒドロキシエチレン、2−ヒドロキシトリメチレン、2−ヒドロキシテトラメチレン、3−ヒドロキシペンタメチレン、3−ヒドロキシヘキサメチレン基等の置換基として水酸基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキレン基を例示できる。
【0029】
ピロリジニル低級アルキル基としては、例えば(1−ピロリジニル)メチル、2−(1−ピロリジニル)エチル、1−(1−ピロリジニル)エチル、3−(1−ピロリジニル)プロピル、4−(1−ピロリジニル)ブチル、5−(2−ピロリジニル)ペンチル、6−(3−ピロリジニル)ヘキシル、1,1−ジメチル−2−(2−ピロリジニル)エチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピル基等のアルキル部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基であるピロリジニルアルキル基を挙げることができる。
【0030】
フェニル低級アルコキシカルボニル基としては、例えばベンジルオキシカルボニル、2−フェニルエトキシカルボニル、1−フェニルエトキシカルボニル、3−フェニルプロポキシカルボニル、4−フェニルブトキシカルボニル、5−フェニルペンチルオキシカルボニル、6−フェニルヘキシルオキシカルボニル、1,1−ジメチル−2−フェニルエトキシカルボニル、2−メチル−3−フェニルプロポキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基であるフェニルアルコキシカルボニル基を挙げることができる。
【0031】
置換基として低級アルキル基もしくはフェニル低級アルコキシカルボニル基を有することのあるアミノ低級アルキル基としては、アミノメチル、2−アミノエチル、1−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、5−アミノペンチル、6−アミノヘキシル、1,1−ジメチル−2−アミノエチル、2−メチル−3−アミノプロピル、メチルアミノメチル、1−エチルアミノエチル、2−プロピルアミノエチル、3−イソプロピルアミノプロピル、4−ブチルアミノブチル、5−ペンチルアミノペンチル、6−ヘキシルアミノヘキシル、ジメチルアミノメチル、(N−エチル−N−プロピルアミノ)メチル、2−(N−メチル−N−ヘキシルアミノ)エチル、2−ジメチルアミノエチル、ベンジルオキシカルボニルアミノメチル、2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル、1−(2−フェニルエトキシカルボニルアミノ)エチル、2−(3−フェニルプロポキシカルボニルアミノ)エチル、3−(4−フェニルブトキシカルボニルアミノ)プロピル、4−(5−フェニルペンチルオキシカルボニルアミノ)ブチル、5−(6−フェニルヘキシルオキシカルボニルアミノ)ペンチル、6−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキシル、ジベンジルオキシカルボニルアミノメチル、2−(N−メチル−N−ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル基等の置換基として炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基又は炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝鎖状フェニルアルコキシカルボニル基を1〜2個有することのあるアミノ基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を例示できる。
【0032】
R3及びR4がこれらが結合する窒素原子と共に、窒素原子もしくは酸素原子を介し又は介することなく互いに結合して形成する5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環としては、例えば、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピロリニル、2−イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5,6−テトラヒドロピリジル基等を例示できる。
【0033】
低級アルキル基又はカルボキシ基が置換した上記複素環としては、例えば3−カルボキシピペラジニル、3−カルボキシピロリジニル、2−カルボキシピロリジニル、4−カルボキシピペリジニル、3−カルボキシピペラジニル、2−カルボキシモルホリノ、4−メチルピペラジニル、4−エチルピペラジニル、3−エチルピロリジニル、2−プロピルピロリジニル、4−ブチルピペリジニル、3−ペンチルモルホリノ、3−メチル−1,2,4−トリアゾリル、2−ヘキシルピペラジニル、2−カルボキシピロリジニル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基又はカルボキシ基が置換した上記複素環を例示できる。
【0034】
低級アルキル基、ベンゾイル基、低級アルキルチオ基、フェニルアミノチオカルボニル基、置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノ低級アルコキシカルボニル基、オキシラニル基、水酸基置換低級アルキル基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ低級アルキル基、シアノ基、オキソ基、カルボキシ置換低級アルキル基、置換基として低級アルコキシカルボニル基又はシアノ基を有する低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、置換基としてピリジル基、フリル基、フェニル基、カルボキシ基及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜2個有する低級アルキル基、カルボキシ置換低級アルコキシ基、カルボキシ置換低級アルキルチオ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、水酸基、基−(A)l−NR3R4(式中Aは置換基として水酸基を有していてもよい低級アルキレン基又は基−COを示す。lは0又は1を示す。R3及びR4は、同一又は異なって水素原子、低級アルキル基、水酸基、ピロリジニル低級アルキル基、カルボキシ置換低級アルキル基又は置換基として低級アルキル基もしくはフェニル低級アルコキシカルボニル基を有することのあるアミノ置換低級アルキル基を示す。またR3及びR4は、これらが結合する窒素原子と共に、窒素原子もしくは酸素原子を介し又は介することなく互いに結合して5〜6員環の飽和又は不飽和複素環を形成してもよい。該複素環上には低級アルキル基又はカルボキシ基が置換していてもよい。)、アミジノ基、アミノチオカルボニル基及び上記化4で示される基(R5はヒドロキシアミノ基又は低級アルキルチオ基)なる群より選ばれた基を1〜3個有する前記複素環としては、例えばジベンズ〔b,e〕アゼピン−3−イル−6−オン、4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリル、1−オキソピリジル、2−オキソピリジル、1−メチル−3,4−ジヒドロカルボスチリル、1−エチルカルボスチリル、1−ブチル−3,4−ジヒドロカルボスチリル、1−ヘキシルカルボスチリル、6−メトキシ−3,4−ジヒドロカルボスチリル、3−オキソ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、2−カルボキシ−3−ヒドロキシピリジル、2−アセチルオキシメチルピリジル、1−エトキシピリジル、2−エトキシカルボニル−3−ヒドロキシピリジル、3−エトキシカルボニル−4a,7a−ジヒドロ−4H−フロ〔2,3−e〕−1,2−オキサジニル、2−クロロピリジル、4−クロロピリジル、2−〔1−(2−ピリジル)−1−ヒドロキシメチル〕ピリジル、2−〔1−(2−フリル)−1−ヒドロキシメチル〕ピリジル、2−(1−フェニル−1−ヒドロキシメチル)ピリジル、4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリニル、2−カルボキシメチルピリジル、2−(2−カルボキシエチル)ピリジル、2−シアノメチルピリジル、2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピリジル、2−モルホリノピリジル、2−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)ピリジル、2−(2−カルボキシ−1−ピロリジニル)ピリジル、2−(2−カルボキシエチル)アミノピリジル、2−(2−ジメチルアミノエチル)アミノピリジル、2−(2−カルボキシエトキシ)ピリジル、2−(2−カルボキシエチルチオ)ピリジル、2−カルボキシピラジル、4−カルボキシピリミジル、5−カルボキシイミダゾリル、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、7−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロカルボスチリル、8−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロカルボスチリル、3−フルオロ−2−カルボキシピリジル、4−メトキシ−2−カルボキシピリジル、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3−ヒドロキシ−2−カルボキシピリジル、2−オキソベンゾイミダゾリル、4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H、1,4−ベンゾオキサジニル、4−アミノ−2−カルボキシピリジル、2−オキソベンゾチアゾリル、2−オキソベンゾオキサゾリル、2−オキソ−3−メチルベンゾチアゾリル、1,3−ジメチル−2−オキソベンゾイミダゾリル、6−ヒドロキシ−3,4−ジメチルキノリル、4−オキソピリジル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、4−ペンチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリル、3−ジメチルアミノ−2−カルボキシピリジル、2,4−ジカルボキシピリジル、2−カルボキシピリジル、2−カルボキシピロリル、2−エトキシカルボニルピリジル、2−メトキシカルボニルピロリル、1−メチルピリジウム、1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル、2−メトキシカルボニルフリル、2−カルボキシフリル、2−ジメチルアミノカルボニルピリジル、1−オキソ−2−ヒドロキシメチル−4−メチルピリジル、、2−ヒドロキシメチルピリジル、2−エトキシカルボニル−4−メチルピリジル、2−カルボキシ−4−メチルピリジル、2−(4−メチル−1−ピペラジニル)カルボニルピリジル、2−(2−ジメチルアミノエトキシカルボニル)ピリジル、2−ジメチルアミノメチルピリジル、2−エトキシカルボニルチエニル、2−メチル−7−カルボキシベンゾフリル、2−カルボキシチエニル、4−エトキシカルボニルチアゾリル、4−カルボキシチアゾリル、4−メチル−5−カルボキシチアゾリル、3−カルボキシピリジル、2,2−ジメチル−7−カルボキシ−2,3−ジヒドロベンゾ〔b〕フリル、4−カルボキシピリジル、2−シアノピリジル、4−シアノピリジル、2−メチル−4−カルバモイルピリジル、2,6−ジメチル−3−カルバモイルピリジル、2−メチル−3−カルボキシピリジル、2,6−ジメチル−3−カルボキシピリジル、2−ホルミルピリジル、3−アセチルピリジル、2−{〔2−(1−ピロリジニル)エチル〕アミノカルボニル}ピリジル、2−アミノチオカルボニルピリジル、2−(1−イミノ−1−メチルチオメチル)ピリジル、2−アミジノピリジル、2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)ピリジル、2−(1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ピリジル、2−(2−カルボキシ−1−ピロリジニル)ピリジル、3−カルボキシピラジニル、4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピリジル、2−〔2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−1−ヒドロキシエチル〕ピリジル、2−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)ピリジル、2−(2−ヒドロキシ−1−ジメチルアミノエチル)ピリジル、2−(1−カルボキシ−1−ヒドロキシメチル)ピリジル、2−〔(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル)アミノカルボニル〕ピリジル、2−(1−ヒドロキシアミノ−1−イミノメチル)ピリジル、4−オキソピラジニル、1,4−ジオキソピラジニル、3−シアノピラジニル、5−シアノピラジニル、2−(1−エトキシカルボニル−1−シアノメチル)ピリジル、2−(1,2−ジヒドロキシエチル)ピリジル、6−カルボキシピリミジニル、2−オキシラニルピリジル、1−オキソピリミジニル、6−シアノピリミジニル、1−オキソピリジル、2−シアノピリジル、2−(1−メトキシカルボニル−1−シアノメチル)ピリジル、1−ベンゾイル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1−ベンゾイルカルボスチリル、4−ベンゾイル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾイル−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリニル、4−ベンゾイル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、2−エチルチオベンゾオキサゾリル、2−プロピルチオベンゾイミダゾリル、2−ブチルチオベンゾチアゾリル、6−ペンチルチオカルボスチリル、7−ヘキシルチオ−3,4−ジヒドロカルボスチリル、2−(2−ジメチルアミノエトキシカルボニル)ピリジル、2−フェニルアミノチオカルボニルピリジル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基、ベンゾイル基、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキルチオ基、フェニルアミノチオカルボニル基、置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を1〜2個有することのあるアミノ基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基、オキシラニル基、水酸基を1〜3個有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカノイル基、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカノイルオキシ基を1〜3個有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基、シアノ基、オキソ基、アルキル部分の炭素数が1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキルであるカルボキシアルキル基、置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基又はシアノ基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基、置換基としてピリジル基、フリル基、フェニル基、カルボキシ基及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜2個有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基、アルコキシ部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基であるカルボキシアルコキシ基、アルキルチオ部分の炭素数が1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキルチオ基であるカルボキシアルキルチオ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基、水酸基、基−(A)l NR3R4(式中Aは置換基として水酸基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキレン基又は基−COを示す。lは0又は1を示す。R3及びR4は、同一又は異なって水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基、水酸基、アルキル部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基であるピロリジニルアルキル基、アルキル部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基であるカルボキシアルキル基、又は置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基もしくは炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状フェニルアルコキシカルボニル基を1〜2個有することのあるアミノ基を有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を示す。またR3及びR4は、これらが結合する窒素原子と共に、窒素原子もしくは酸素原子を介し又は介することなく互いに結合して5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環を形成してもよい。該複素環上には炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基又はカルボキシ基が置換していてもよい。)、アミジノ基、アミノチオカルボニル基及び上記化4で示される基(R5はヒドロキシアミノ基又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキルチオ基を示す。)なる群より選ばれた基を1〜3個有する前記複素環を例示することができる。
【0035】
R2で示される複素環基を構成する複素環のうち、ピリジン、ピロール、チオフェン、ピリミジン、ピラジン、チアゾール、フラン等が特に好ましく、また複素環上にはカルボキシル基が少なくとも1個置換しているのが好ましい。
【0036】
一般式(1)のチアゾール誘導体の陰イオン体としては、該誘導体中のR2で示される複素環上の置換基の中で、水酸基置換低級アルキル基;カルボキシ置換低級アルキル基;置換基としてピリジル基、フリル基、フェニル基、カルボキシ基及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜2個有する低級アルキル基;カルボキシ置換低級アルコキシ基;カルボキシ置換低級アルキルチオ基;カルボキシ基;水酸基;基−(A)l−R3R4'(A、l及びR3は前記に同じ。R4'は水酸基又はカルボキシ置換低級アルキル基を示す。またこのR3及びR4'は、これらが結合する窒素原子と共に窒素原子もしくは酸素原子を介し又は介することなく互いに結合して5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環を形成してもよい。該複素環上には、置換基として少なくとも一つのカルボキシ基が置換しているものとする。)及び基
【0037】
【化5】
【0038】
(R5'はヒドロキシアミノ基を示す。)のうち少なくとも一つの水酸基又はカルボキシ基部分が陰イオン(−O-又は−COO-)に変換された化合物を例示できる。
【0039】
本発明の化合物(錯体)を構成する金属としては、例えば周期律表第IA属、第IIA属、第IIB属、第IIIB属、第IVB属及び第VB属に属する典型金属や周期律表第IIIA属、第IVA属、第VA属、第VIA属、第VIIA属、第VIII属及び第IB属の所謂dブロック遷移金属等を挙げることができる。これらの中で、鉄、銅、白金、バナジウム、ニッケル、コバルト、マンガン等の遷移金属や、バリウム、亜鉛等の典型金属が特に好ましい。
【0040】
本発明の一般式(1)のチアゾール誘導体は、例えば特開平5−51318号公報や特開平6−65222号公報に開示されており、その製法についてもこれら公報に記されている。
【0041】
本発明のチアゾール誘導体−金属錯体は、種々の方法により製造されるが、その代表的な製造例を示せば、上記一般式(1)のチアゾール誘導体を適当な溶媒中で金属塩と反応させる方法を挙げることができる。
【0042】
この方法で使用される溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、水、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の極性溶媒等やこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0043】
またこの方法で使用される金属塩とは、上記金属の塩であり、例えば一般式 MnXm(式中Mは上記の金属と同じである。Xはハロゲン原子、水酸基、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、PY6イオン(Yはハロゲン原子)、R6SO3イオン(R6はハロゲン原子を有する低級アルキル基)、YO4イオン(Yは前記に同じ)、BY4イオン(Yは前記に同じ)又はR7O−基(R7は低級アルカノイル基)を示す。n及びmはそれぞれ1〜8の整数を示す。)で表される金属塩やH2PtCl6等の金属塩を挙げることができる。上記一般式におけるXで示される定義のうち、ハロゲン原子及び低級アルカノイル基については既に上記した通りである。またハロゲン原子を有する低級アルキル基としては、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ヨードメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3−クロロプロピル、4−クロロブチル、3,4−ジクロロブチル、3−フルオロペンチル、2,3,4−トリフルオロペンチル、2,3−ジクロロヘキシル、6,6−ジブロモヘキシル基等のハロゲン原子を1〜3個有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。
【0044】
上記一般式 MnXm で表される金属塩の具体例としては、例えばFeCl2、FeBr2、FeI2、FeSO4、FeCO3、Fe(OH)2、FeCl3、FeBr3、FeI3、Fe2(CO3)2、Fe(OH)3、Fe3(SO4)2、Fe(NO3)2、Fe(NO3)3、Fe(ClO4)3、Fe(ClO4)2、Cu2I2、Cu2Cl2、CuCl2、CuBr2、CuF2、Cu(OH)2、Cu(OCOCH3)2、Cu(NO3)2、CuSO4、Cu2Br2、Cu2SO4、Cu2(OH)2、ZnCl2、ZnI2、ZnBr2、ZnF2、Zn(NO3)2、Zn(OH)2、Zn(OCOCH3)2、ZnSO4、BaBr2、BaCO3、BaCl2、BaF2、BaI2、Ba(OH)2、Ba(OCOCH3)2、Ba(ClO4)2、Ba(NO3)2、BaSO4、PtBr2、PtCl2、Pt(OH)2、PtI2、PtF5、VBr3、VCl2、VCl4、VF2、VF3、VF4、V(OH)2、V(OH)3、MnCl3、MnCl2、MnBr2、MnF2、MnI2、Mn(OH)3、Mn(OH)2、Mn(OCOCH3)2、MnCO3、Mn2(SO4)3、MnSO4、Mn(NO3)2、NiBr2、NiCl2、NiI2、Ni(OCOCH3)2、Ni(NO3)2、NiCO3、NiSO4、Ni(OH)2、CoBr2、CoI2、CoCl2、Co(OCOCH3)2、Co(OH)2、CoCO3、Co(NO3)2、CoSO4等を挙げることができる。
【0045】
一般式(1)のチアゾール誘導体と金属塩との使用割合としては、特に制限がなく広い範囲内から適宜選択され得るが、通常前者に対して後者を0.1〜5倍モル量、好ましくは0.5〜2倍モル量使用するのがよい。
【0046】
一般式(1)のチアゾール誘導体と金属塩との反応においては、反応系内に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム等の塩基性化合物を添加してもよい。
【0047】
一般式(1)のチアゾール誘導体と金属塩との反応は、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃付近にて好適に進行し、一般に数分〜1週間程度で該反応は終了する。
【0048】
斯くして得られる本発明の化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製することができる。該分離手段としては例えば溶媒抽出法、希釈法、再結晶法、カラムクロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー等を例示できる。
【0049】
本発明の化合物は、溶媒和物として提供されることもある。また本発明の化合物がカチオン性の錯体構造を採るときは、一般式 MnXm(M、X、n及びmは前記に同じ)で表される金属塩のXと塩を形成し得る。更にカチオン性錯体構造を採るときは、一般式(1)のチアゾール誘導体の他に、OH-等の陰イオンとも結合し得る。
【0050】
本発明の化合物は、通常一般的な医薬製剤の形態で用いられる。製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いて調製される。この医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)、軟膏剤等が挙げられる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フイルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカンテン等の崩壊剤等が例示できる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。注射剤として調製される場合には、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、乳剤及び懸濁剤の形態に製剤するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものをすべて使用でき、例えば水、乳酸水溶液、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有せしめてもよい。ペースト、クリーム及びゲルの形態に製剤するに際しては、希釈剤としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば白色ワセリン、パラフイン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト等を使用できる。
【0051】
本発明の化合物を医薬製剤中に含有させるべき量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通常医薬製剤中1〜70重量%とするのがよい。
【0052】
上記の医薬製剤の投与方法は特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、患者の症状の程度等に応じた方法で投与される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合には単独であるいはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。
【0053】
本発明の医薬製剤の投与量は用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分である本発明の化合物の量は1日当り体重1kg当り約0.2〜200mgとするのがよい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0055】
実施例1
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール500mgをエタノール70mlに溶解し、これに硫酸第2銅・5水和物169mgの10ml水溶液を加え、室温にて14時間放置することにより緑色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して517mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・銅(II)錯体を得た。
【0056】
得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールと銅との比が2:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は三斜晶形に属し、空間群はP−1であった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0057】
【化6】
【0058】
実施例2
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール500mgをエタノール80mlに加熱溶解し、冷却放置した。これに硫酸第1鉄・7水和物375mgの20ml水溶液を加え、室温にて1週間放置することにより赤色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して340mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・鉄(II)錯体を得た。
【0059】
λ(max)(メタノール):262nm,296nm得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールと鉄との比が2:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は三斜晶形に属し、空間群はP−1であった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0060】
【化7】
【0061】
実施例3
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール500mgをエタノール60mlに加熱溶解し、これに硝酸第2鉄・9水和物545mgの10ml水溶液を加え、室温にて48時間放置することにより茶色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して400mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・鉄(III)錯体を得た。
【0062】
得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールと鉄との比が1:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は単斜晶形に属し、空間群はP21/aであった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0063】
【化8】
【0064】
実施例4
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール500mgをメタノール100mlに加熱溶解し、これに酢酸亜鉛・2水和物148mgのメタノール10ml溶液を加え、室温にて48時間放置後、溶媒を留去した。得られる残渣にアセトニトリル80mlを加え、加熱溶解した。室温にて48時間放置することにより無色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して485mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・亜鉛(II)錯体を得た。
【0065】
得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールと亜鉛との比が2:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は三斜晶形に属し、空間群はP−1であった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0066】
【化9】
【0067】
実施例5
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール500mgをエタノール80mlに加熱溶解し、これに塩化亜鉛185mgのエタノール20ml溶液を加え、室温にて14時間放置することにより無色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して558mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・ZnCl2錯体を得た。
【0068】
得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールと亜鉛との比が1:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は単斜晶形に属し、空間群はP21/nであった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0069】
【化10】
【0070】
実施例6
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール500mgをエタノール80mlに加熱溶解し、これに酢酸マンガン・4水和物331mgのエタノール20ml溶液を加え、室温にて24時間放置することにより黄色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して320mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・マンガン(II)錯体を得た。
【0071】
得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールとマンガンとの比が2:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は三斜晶形に属し、空間群はP−1であった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0072】
【化11】
【0073】
実施例7
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール200mg及び水酸化ナトリウム22mgを水54mlに加熱溶解し、これに硫酸ニッケル・6水和物71mgの水溶液36mlを加え、80℃で10分間加熱後、室温にて14時間放置することにより青色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して161mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・ニッケル(II)錯体を得た。
【0074】
得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールとニッケルとの比が2:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は単斜晶形に属し、空間群はC2/cであった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0075】
【化12】
【0076】
実施例8
2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール148mg及び水酸化ナトリウム16mgを水40mlに加熱溶解し、これに塩化コバルト・6水和物48mgの水溶液20mlを加え、80℃で10分間加熱後、室温にて14時間放置することにより赤色プリズム晶を得た。この結晶の一部をX線構造解析に供し、残りの結晶を濾取、乾燥して90mgの2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・コバルト(II)錯体を得た。
【0077】
得られた金属錯体は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾールとコバルトとの比が2:1の錯体であることを、X線結晶構造解析法により確認した。結晶は単斜晶形に属し、空間群はC2/cであった。結晶の格子定数は下記表1に示した通りであり、また決定された構造を次に示す。
【0078】
【化13】
【0079】
【表1】
【0080】
薬理試験
(1)ヒト末梢静脈血からの好中球の調製
マーケルトらの方法 [M.Markert,P.C.Andrews and B.M.Babior;in "Methods in Enzymology",vol.105,358-365(1984)] に従った。即ち、朝食を絶した健常成人ボランティアよりJMS血液バッグ(日本メディカル・サプライ社製、CPD入り)を用いて上腕静脈穿刺により血液を採取した。この静脈血に更にACD溶液(クエン酸ナトリウム0.2M、クエン酸0.14M及びブドウ糖0.22Mを含有)、6%デキストランT−70(ファルマシア社製)をそれぞれ血液の0.2容、0.5容づつ加え、撹拌後1時間静置し、赤血球を沈殿させた。上清を遠心管にとり、1000rpm×15分の遠心で血球成分を沈殿させた。上清を捨て、残った沈殿に0.1mM EDTAを含む蒸留水を加え、赤血球をパンクさせた後、高張塩化ナトリウムで等張に戻した。1000rpm×15分の遠心で得られた沈渣に再度低張処理を施し等張に戻した後、フィコール−パック(ファルマシア社製)溶液に重層し、25℃で1200rpm×25分の遠心を行った。遠心管底に沈殿した好中球画分のみを0.1mM EDTAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁し、PBSで洗浄した後細胞数を数え、実験に供した。
【0081】
(2)好中球からのO2 -産生のアッセイ法
上記方法で調製した好中球を用いて、O2 - がチトクロームCを還元した時に460nmにおける吸光度が変化することを利用してO2 - の定量を行った。即ち、ヒト好中球106セル/チューブ、15mMヘペス−ハンクス緩衝液(日水製薬社製のハンクス(組織培養用、フェノールレッド不含)に15mMとなる様にヘペスを加え、水酸化ナトリウムでpHを7.4に調整したもの)及び供試化合物よりなる反応混液を37℃で20分間プレインキュベートした。刺激剤添加10分前にサイトカラシンB(シグマ社製、ジメチルホルムアミドに溶解)を1μg/mlとなる様に、更に反応開始5分前にチトクロームC(シグマ社製、15mMヘペス−ハンクス緩衝液に溶解)を1.31mg/mlとなる様に加えた。刺激剤としてはN−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニン(fMLP)及び4β フォルボル 12β ミリステート アセテート(PMA)を用いた。これら刺激剤の濃度は、前者が3×10-7Mであり、後者が1×10-8Mである。刺激剤を加えることで反応を開始し、予め調べた直線性を与える時間後(fMLPの場合は約4分間、PMAの場合は約10分間)、反応を停止する目的で45μg/mlとなるようにN−エチルマレイミド(シグマ社製、蒸留水に溶解)を加えた。3000rpm×10分の遠心で好中球を沈め、その上清の460nmにおける吸光度を分光光度計(日本分光、UVIDEC−340)で測定した。
【0082】
O2 - に特異的なチトクロームCの還元を見る目的から、スーパーオキサイドディムスターゼ(SOD、シグマ社製、15mMヘペス−ハンクス緩衝液に溶解)の存在下及び非存在下での吸光度の差を取り、刺激剤添加後の吸光度を産生O2 -量とした。SOD非存在下はデュプリケート、SOD存在下はシングルでアッセイを行い、その差の平均値を溶媒存在下(供試化合物非存在下)での吸光度に対する%で示した。
【0083】
結果を下記表2に示す。
【0084】
【表2】
Claims (4)
- 2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール又はその陰イオン体と金属又は金属塩との錯体。
- 金属が、鉄、銅、白金、バナジウム、ニッケル、コバルト、マンガン、バリウム又は亜鉛である請求項1に記載の錯体。
- 金属塩が、一般式 MX 2 (式中、Mは、鉄、銅、白金、バナジウム、ニッケル、コバルト、マンガン、バリウム又は亜鉛を示す。Xはハロゲン原子、水酸基、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、PY 6 イオン(Yはハロゲン原子)、R 6 SO 3 イオン(R 6 はハロゲン原子を有するC 1-6 アルキル基)、YO 4 イオン(Yは前記に同じ)、BY 4 イオン(Yは前記に同じ)又はR 7 O−基(R 7 はC 1-6 アルカノイル基)を示す。)で表される金属塩又はH 2 PtCl 6 である請求項1に記載の錯体。
- 錯体が、2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・銅( II )錯体、2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・鉄( II )錯体、2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・鉄( III )錯体、2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・亜鉛( II )錯体、2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・ZnCl 2 錯体、2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・マンガン( II )錯体、2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・ニッケル( II )錯体又は2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−(2−カルボキシ−6−ピリジル)チアゾール・コバルト( II )錯体である請求項1に記載の錯体。
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