JP4182298B2 - カルボスチリル誘導体 - Google Patents
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Description
本発明は新規なカルボスチリル誘導体に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、医薬品として有用な新規カルボスチリル誘導体を提供することを課題とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明のカルボスチリル誘導体は、文献未記載の新規化合物であって、下記一般式(1)で表される。
【0004】
【化4】
【0005】
〔式中Aは低級アルキレン基を示す。Rは基
【0006】
【化5】
【0007】
(Zは酸素原子、窒素原子又はメチン基を示す。nは1又は2を示す。R1はシクロアルキル環上に置換基として水酸基及び低級アルカノイルオキシ基なる群より選ばれる基を有することのあるシクロアルキル基;水酸基;フェニル低級アルキル基;低級アルカノイルオキシ基;低級アルカノイルオキシ低級アルキル基;置換基として水酸基を有することのある低級アルキル基;ピリジル基;置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノカルボニル基;又は置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノ低級アルキル基を示す。)又は基
【0008】
【化6】
【0009】
を示す。カルボスチリル骨格の3位及び4位の炭素間結合は一重結合又は二重結合を示す。〕
血栓症や動脈硬化症等の虚血性疾患は、血流成分の変化、血流の異常及び血管壁の障害の三者の複雑な相互作用により発症、進展する。血栓症の発生要因は多様であるが、主に粥状動脈硬化時の様な血管内皮細胞の障害、それに引き続いて血小板が活性化され、粘着、凝集を起こし発症する。
【0010】
また動脈硬化症は前記三者の複雑な相互作用の結果、血管平滑筋細胞が増殖し、血管内膜が肥厚し、発症する。
【0011】
従って、血栓症、動脈硬化症の様な虚血性疾患の治療剤及び予防剤は、抗血栓作用及び血管内膜肥厚抑制作用の両作用を有することが極めて重要である。
【0012】
本発明者らの研究によれば、上記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩は、インビボ(invivo)での強い抗血栓作用及び血管内膜肥厚抑制作用の両作用を有する物質であり、血小板凝集抑制作用、血小板塊解離作用、脳及び末梢血流増加作用等をも有している。
【0013】
本発明化合物は、上記作用の持続時間が長い上に、心拍数増加作用、血圧降下作用等の循環作用は非常に弱く、毒性(特に心臓に対する毒性)は低い。また本発明化合物は、消化管での吸収はよく血中移行性が優れている。
【0014】
従って、本発明化合物は、血栓性疾患や動脈硬化性疾患の治療、予防に有用である。臨床適用としては、脳粥状硬化、脳梗塞、一過性脳虚血発作(TIA)、回復型虚血性神経脱落症(RIND)等の脳疾患、心筋梗塞、狭心症等の心疾患、バージャー病、閉塞性動脈硬化症、間欠性跛行等の慢性動脈閉塞症、糖尿病性神経症、糖尿病性皮膚潰瘍、糖尿病性腎症等の糖尿病合併症、PTCA、DCAやステントのインターベンション処置後の再狭窄防止、人工血管等の人工臓器や腎等の移植処置後の再閉塞の防止、また手術後、人工腎透析等の体外循環時の血栓、塞栓の発生防止等の虚血性疾患に広く使用できる。
【0015】
また本発明化合物は、Molecular Pharmacology,第46巻,第399頁〜第405頁(1994年)に記載されているホスホジエステラーゼ(以下「PDE」と省略する)の分類方法でPED3(cyclic-GMP inhibited cyclic-AMP PDE)に対して強い阻害活性を有している。
【0016】
このcyclic-AMP(サイクリックアデノシン一リン酸)は生体内における代表的なセカンドメッセンジャーであり、このcyclic-AMP分解酵素であるPDEに対して阻害活性を示す物質はcyclic-AMPの代謝異常によりその低下の認められる各種疾病の予防又は治療に有用な物質となり得る。
【0017】
従ってPDE阻害作用を有する本発明化合物は、Pharmacology&Therapeutics,第51巻,第13頁〜第33頁(1991年)、Trends in Pharmacological Science,第11巻,第150頁〜第155頁(1990年)、Trends in Pharmacological Science,第12巻,第19頁〜第27頁(1991年)等に記載されているように、上記の抗血栓作用及び血管内膜肥厚抑制作用に基づく臨床適応を含め、脂質代謝の促進による肥満の予防及び治療、炎症時のケミカルメディエーターの遊離を抑制することによるアレルギー性疾患及び気管支喘息の治療等にも有用である。
【0018】
本発明によれば、上記一般式(1)で表わされるカルボスチリル誘導体及びその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする抗血栓剤が提供される。
【0019】
本発明によれば、上記一般式(1)で表わされるカルボスチリル誘導体及びその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする血管内膜肥厚抑制剤が提供される。
【0020】
本発明によれば、上記一般式(1)で表わされるカルボスチリル誘導体及びその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする血小板凝集抑制剤が提供される。
【0021】
本発明によれば、上記一般式(1)で表わされるカルボスチリル誘導体及びその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする血小板塊解離剤が提供される。
【0022】
本発明によれば、上記一般式(1)で表わされるカルボスチリル誘導体及びその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする脳及び末梢血流増加剤が提供される。
【0023】
上記一般式(1)において示される各基は、各々次の通りである。
【0024】
低級アルキレン基としては、例えばメチレン、エチレン、メチルメチレン、トリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、2−エチルトリメチレン、1−メチルトリメチレン基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキレン基を挙げることができる。
【0025】
低級アルカノイルオキシ基としては、例えばアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、ヘキサノイルオキシ基等の炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖状のアルカノイルオキシ基を挙げることができる。
【0026】
シクロアルキル環上に置換基として水酸基及び低級アルカノイルオキシ基なる群より選ばれる基を有することのあるシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−ヒドロキシシクロヘキシル、2−アセチルオキシシクロヘキシル、2−ヒドロキシシクロプロピル、3−ヒドロキシシクロブチル、2−ヒドロキシシクロブチル、2−ヒドロキシシクロペンチル、3−ヒドロキシシクロペンチル、3−ヒドロキシシクロヘキシル、4−ヒドロキシシクロヘキシル、2−ヒドロキシシクロヘプチル、3−ヒドロキシシクロヘプチル、4−ヒドロキシシクロヘプチル、2−ヒドロキシシクロオクチル、3−ヒドロキシシクロオクチル、4−ヒドロキシシクロオクチル、5−ヒドロキシシクロオクチル、2,4−ジヒドロキシシクロヘキシル、2,4,6−トリヒドロキシシクロヘキシル、2,4,5−トリヒドロキシシクロヘプチル、2,6−ジヒドロキシシクロオクチル、2−プロピオニルオキシシクロプロピル、3−ブチリルオキシシクロブチル、2−イソブチリルオキシシクロペンチル、4−ペンタノイルオキシシクロヘキシル、3−tert−ブチルカルボニルオキシシクロヘプチル、5−ヘキサノイルオキシシクロオクチル、2,3−ジアセチルオキシシクロヘキシル、2,4,6−トリアセチルオキシシクロオクチル基等のシクロアルキル環上に置換基として水酸基及び炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカノイルオキシ基なる群より選ばれる基を有することのある炭素数3〜8のシクロアルキル基を例示できる。
【0027】
フェニル低級アルキル基としては、例えばベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、2−メチル−3−フェニルプロピル基等のアルキル部分が炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基であるフェニルアルキル基を挙げることができる。
【0028】
低級アルカノイルオキシ低級アルキル基としては、例えばアセチルオキシメチル、2−プロピオニルオキシエチル、1−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、4−イソブチリルオキシブチル、5−ペンタノイルオキシペンチル、6−アセチルオキシヘキシル、6−tert−ブチルカルボニルオキシへキシル、1,1−ジメチル−2−ヘキサノイルオキシエチル、2−メチル−3−アセチルオキシプロピル基等の炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカノイルオキシ基置換炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を例示できる。
【0029】
置換基として水酸基を有することのある低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、5,5,4−トリヒドロキシペンチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシイソプロピル、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル基等の水酸基を1〜3個有することのある炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を例示できる。
【0030】
置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノカルボニル基としては、例えば、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジプロピルアミノカルボニル、ジブチルアミノカルボニル、ジペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニル、N−メチル−N−エチルアミノカルボニル、N−エチル−N−プロピルアミノカルボニル、N−メチル−N−ブチルアミノカルボニル、N−メチル−N−ヘキシルアミノカルボニル基等の置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を1〜2個有することのあるアミノカルボニル基を挙げることができる。
【0031】
置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノ低級アルキル基としては、例えば、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、5−アミノペンチル、6−アミノヘキシル、1,1−ジメチル−2−アミノエチル、2−メチル−3−アミノプロピル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、プロピルアミノメチル、イソプロピルアミノメチル、ブチルアミノメチル、tert−ブチルアミノメチル、ペンチルアミノメチル、ヘキシルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジプロピルアミノメチル、ジブチルアミノメチル、ジペンチルアミノメチル、ジヘキシルアミノメチル、N−メチル−N−エチルアミノメチル、N−エチル−N−プロピルアミノメチル、N−メチル−N−ブチルアミノメチル、N−メチル−N−ヘキシルアミノメチル、2−メチルアミノエチル、1−エチルアミノエチル、3−プロピルアミノプロピル、4−ブチルアミノブチル、1,1−ジメチル−2−ペンチルアミノエチル、5−ヘキシルアミノペンチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ジエチルアミノエチル、1−(N−メチル−N−ヘキシルアミノ)エチル、3−ジヘキシルアミノプロピル、4−ジブチルアミノブチル、2−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)エチル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を1〜2個有することのあるアミノ基を置換基として有する炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。
【0032】
本発明の一般式(1)のカルボスチリル誘導体には、下記の種々の態様の化合物が包含される。この態様でA、R並びにカルボスチリル骨格の3位及び4位の炭素間結合は、全て前記一般式(1)における定義と同じである。
【0033】
(1)Rが基
【0034】
【化7】
【0035】
で、nが1を示し、Zが窒素原子である前記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
【0036】
(2)Rが基
【0037】
【化8】
【0038】
で、nが2を示し、Zが窒素原子である前記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
【0039】
(3)Rが基
【0040】
【化9】
【0041】
で、nが1を示し、Zが酸素原子である前記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
【0042】
(4)Rが基
【0043】
【化10】
【0044】
で、nが2を示し、Zが酸素原子である前記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
【0045】
(5)Rが基
【0046】
【化11】
【0047】
で、nが1を示し、Zがメチン基である前記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
【0048】
(6)Rが基
【0049】
【化12】
【0050】
で、nが2を示し、Zがメチン基である前記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
【0051】
(7)Rが基
【0052】
【化13】
【0053】
である前記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
【0054】
(8)6−{4−〔(4−シクロプロピル−1−ピペラジニル)スルホニル〕ブトキシ}−1,2−ジヒドロ−2−キノリノン。
【0055】
(9)〔(2S)−1−({4−〔(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ〕ブチル}スルホニル)−2−ピロリジニル〕メチル アセテート。
【0056】
(10)6−〔4−({4−〔(1S*,2S*)−2−ヒドロキシシクロヘキシル〕−1−ピペラジニル}スルホニルブトキシ〕−1,2−ジヒドロ−2−キノリノン。
【0057】
上記一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体は、種々の方法により製造され得るが、その一例を示せば下記反応式で示される方法に従い容易に製造される。
【0058】
【化14】
【0059】
〔式中A、R並びにカルボスチリル骨格の3位及び4位の炭素間結合は前記に同じ。Xはハロゲン原子、低級アルカンスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基又はアラルキルスルホニルオキシ基を示す。〕
一般式(2)の化合物と一般式(3)の化合物との反応は、無溶媒又は適当な溶媒中、塩基性化合物の存在下又は非存在下に行われる。該反応は、通常−20〜200℃、好ましくは−20〜150℃にて行われ、一般に10分〜30時間程度にて終了する。ここで使用される溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、アセトン、アセトニトリル等の極性溶媒を例示できる。また使用される塩基性化合物としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン、キノリン等の有機塩基等を例示できる。該反応の反応系内には、沃化カリウム、沃化ナトリウム等のアルカリ金属沃化物等を添加すれば、上記反応は有利に進行する。一般式(3)の化合物は、一般式(2)の化合物に対して通常少なくとも等モル量、好ましくは等モル〜8倍モル量使用するのがよい。
【0060】
前記反応式−1において、Xで示される低級アルカンスルホニルオキシ基としては、具体的にはメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、イソプロパンスルホニルオキシ、プロパンスルホニルオキシ、ブタンスルホニルオキシ、tert−ブタンスルホニルオキシ、ペンタンスルホニルオキシ、ヘキサンスルホニルオキシ基等を例示でき、またアリールスルホニルオキシ基としては、具体的にはフェニルスルホニルオキシ、4−メチルフェニルスルホニルオキシ、2−メチルフェニルスルホニルオキシ、4−ニトロフェニルスルホニルオキシ、4−メトキシフェニルスルホニルオキシ、3−クロロフェニルスルホニルオキシ、α−ナフチルフェニルスルホニルオキシ基等の置換もしくは未置換のアリールスルホニルオキシ基を例示でき、またアラルキルスルホニルオキシ基としては、具体的にはベンジルスルホニルオキシ、2−フェニルエチルスルホニルオキシ、4−フェニルブチルスルホニルオキシ、4−メチルベンジルスルホニルオキシ、2−メチルベンジルスルホニルオキシ、4−ニトロベンジルスルホニルオキシ、4−メトキシベンジルスルホニルオキシ、3−クロロベンジルスルホニルオキシ、α−ナフチルメチルスルホニルオキシ基等の置換もしくは未置換のアラルキルスルホニルオキシ基を例示できる。
【0061】
ハロゲン原子としては、例えば弗素原子、塩素原子、臭素原子及び沃素原子が挙げられる。
【0062】
【化15】
【0063】
〔式中X、A、R並びにカルボスチリル骨格の3位及び4位の炭素間結合は前記に同じ。〕
一般式(4)の化合物と一般式(5)の化合物との反応は、適当な溶媒中、好ましくは塩基性化合物を脱ハロゲン化水素剤とし、通常室温〜200℃、好ましくは50〜150℃の温度条件下、1〜30時間程度で行われる。上記において適当な溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、DMF、DMSO、ヘキサメチルリン酸トリアミド等を例示できる。また脱ハロゲン化水素剤として利用できる塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、カリウムエトキサイド、水素化ナトリウム、金属カリウム、ナトリウムアミド等の無機塩基、ピリジン、キノリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の有機塩基等を例示できる。該反応においては、反応促進剤として沃化カリウム、沃化ナトリウム等の沃化アルカリ金属化合物を反応系内に添加することもできる。一般式(5)の化合物の使用量は、特に制限はないが、一般式(4)の化合物に対して通常等モル〜5倍モル量、好ましくは等モル〜2倍モル量とするのがよい。
【0064】
【化16】
【0065】
〔式中A、X及びRは前記に同じ。X1はハロゲン原子を示す。〕
化合物(6)と化合物(3)との反応は、前記反応式−1における化合物(2)と化合物(3)との反応と同様の条件下に行われる。
【0066】
化合物(7)を化合物(1a)に導く反応は、酸又は塩基性化合物の存在下化合物(7)を加熱することにより行い得る。ここで使用される酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸等を例示できる。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基を例示できる。該反応は、通常50〜150℃、好ましくは70〜120℃付近にて行われ、一般に0.5〜24時間程度にて反応は終了する。
【0067】
該反応で、酢酸等の有機酸を用いた場合、Rが
【0068】
【化17】
【0069】
でR1が水酸基又は水酸基を有する低級アルキル基を示す化合物である場合、該化合物の水酸基が低級アルカノイル化されて、対応するR1が低級アルカノイルオキシ基又は低級アルカノイルオキシ基を有する低級アルキル基である化合物が得られることがあるが、これは容易に分離可能である。
【0070】
【化18】
【0071】
〔式中X1、X、A及びRは前記に同じ。〕
化合物(8)と化合物(5)との反応は、前記反応式−2における化合物(4)と化合物(5)との反応と同様の条件下に行われる。
【0072】
化合物(7)を化合物(1a)に導く反応は、前記反応式−3における化合物(7)を化合物(1a)に導く反応と同様の条件下に行われる。
【0073】
反応式−3及び反応式−4において化合物(3)又は化合物(5)のRが基
【0074】
【化19】
【0075】
を示し、R1が低級アルコキシ低級アルコキシ基又は低級アルコキシ低級アルコキシ低級アルキル基(水酸基及び水酸基を有する低級アルキル基の保護基)である化合物(3)又は化合物(5)を用いて、前記化合物(6)と化合物(3)との反応又は化合物(8)と化合物(5)との反応を行い、得られる化合物(7)を化合物(1a)に導く反応条件で容易に脱保護されて、Rが基
【0076】
【化20】
【0077】
を示し、R1が水酸基又は水酸基を有する低級アルキル基である化合物(1a)に導くことができる。
【0078】
また、R1が置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノカルボニル基である化合物(7)は、R1が低級アルコキシカルボニル基である化合物(7)を通常のエステル加水分解反応条件下に加水分解してR1がカルボキシ基である化合物(7)に導いた後、これを一般式 R2R3NH (R2及びR3は同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基を示す。)のアミンと通常のアミド結合反応条件下に反応させて、R1が置換基として低級アルキル基を有することのあるアミノカルボニル基である化合物(7)に導くことができる。
【0079】
【化21】
【0080】
〔式中、A、Z、n、X1並びにカルボスチリル骨格の3位及び4位の炭素間結合は前記に同じ。R1aは、置換基として水酸基を有する低級アルキル基、水酸基又はシクロアルキル環上に置換基として水酸基を少なくとも一つ有するシクロアルキル基を示す。R1bは、低級アルカノイルオキシ低級アルキル基、低級アルカノイルオキシ基又はシクロアルキル環上に置換基として低級アルカノイルオキシ基を少なくとも一つ有するシクロアルキル基を示す。R2は低級アルカノイル基を示す。〕
一般式(1b)の化合物と一般式(9a)の化合物との反応は、無溶媒又は適当な溶媒中、塩基性化合物の存在下もしくは非存在下、好ましくは存在下に行われる。ここで適当な溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、ピリジン等を使用できる。塩基性化合物としては例えばトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等やこれらの混合物を例示できる。上記反応はまた酢酸等の溶媒中、硫酸等の鉱酸の存在下に実施することもできる。化合物(9a)の使用量は一般式(1b)の化合物に対して等モル量〜大過剰量とすればよく、反応は通常0〜200℃程度、好ましくは0〜150℃程度下に、0.5〜20時間程度で完結する。
【0081】
化合物(1b)と化合物(9b)との反応は、一般に適当な不活性溶媒中、塩基性化合物の存在下又は非存在下にて行われる。用いられる不活性溶媒としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール類、酢酸、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド又はこれらの混合溶媒等を挙げることができる。また塩基性化合物としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、水素化ナトリウム、カリウム、ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等の金属アルコラート、ピリジン、N−エチルジイソプロピルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(DABCO)等の有機塩基等を挙げることができる。一般式(1b)の化合物と一般式(9b)の化合物との使用割合としては、特に限定がなく広い範囲で適宜選択すればよいが、前者に対して後者を少なくとも等モル量程度、好ましくは等モル〜10倍モル量程度用いるのがよい。該反応は通常0〜200℃程度、好ましくは0〜100℃程度にて行われ、一般に30分〜75時間程度で反応は終了する。該反応系内には沃化ナトリウム、沃化カリウム等のアルカリ金属ハロゲン化合物、銅粉等を添加してもよい。
【0082】
一般式(1c)の化合物の加水分解反応は、適当な溶媒中又は無溶媒で、酸又は塩基性化合物の存在下に実施することができる。用いられる溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸、ギ酸等の脂肪酸類、ジメチルホルムアミド、之等の混合溶媒等を挙げることができる。酸としては例えば塩酸、硫酸、臭化水素酸等の鉱酸やギ酸、酢酸、芳香族スルホン酸等の有機酸等を挙げることができ、また塩基性化合物としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物等を挙げることができる。該反応は、通常室温〜200℃程度、好ましくは室温〜150℃程度にて好適に進行し、一般に10分〜50時間程度で終了する。
【0083】
【化22】
【0084】
〔式中A及びRは前記に同じ。〕
また一般式(1d)の化合物の脱水素反応は、適当な溶媒中、酸化剤を使用して行われる。用いられる酸化剤としては例えば2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、クロラニル(2,3,5,6−テトラクロロベンゾキノン)等のベンゾキノン類、N−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、臭素等のハロゲン化剤、二酸化セレン、パラジウム−炭素、パラジウム−黒、酸化パラジウム、ラネ−ニッケル等の水素化触媒等を挙げることができる。ハロゲン化剤の使用量としては特に限定されず広い範囲から適宜選択すればよいが、通常一般式(1d)の化合物に対して通常1〜5倍モル量程度、好ましくは1〜2倍モル量程度使用するのがよい。また水素化触媒を用いる場合には、通常の触媒量とするのがよい。溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシエタノール、ジメトキシエタン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類、酢酸等の極性プロトン溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の極性非プロトン溶媒類等を例示できる。該反応は通常室温〜300℃程度、好ましくは室温〜200℃程度にて行われ、一般に1〜40時間で完結する。
【0085】
一般式(1e)化合物の還元には、通常の接触還元条件が適用される。用いられる触媒としてはパラジウム、パラジウム−炭素、プラチナ、ラネ−ニッケル等の金属を例示でき、斯かる金属は通常の触媒量で用いられる。また用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、酢酸等の脂肪酸を挙げることができる。該還元反応は常圧及び加圧下のいずれでも行うことができるが、通常常圧〜20kg/cm2程度、好ましくは常圧〜10kg/cm2にて行うのがよい。また反応温度は通常0〜150℃程度、好ましくは室温〜100℃程度とするのがよい。
【0086】
上記反応式−2及び反応式−4において出発原料として用いられる化合物(5)は、例えば以下の方法にて製造される。
【0087】
【化23】
【0088】
〔式中R、X、A及びX1は前記に同じ。〕
化合物(3)と化合物(10)との反応は、前記反応式−1における化合物(2)と化合物(3)と同様の条件下に行われる。
【0089】
本発明の一般式(1)で表されるカルボスチリル誘導体のうち酸性基を有する化合物は、医薬的に許容される塩基性化合物を作用させることにより容易に塩を形成させることができる。該塩基性化合物としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム等を挙げることができる。
【0090】
斯くして得られる各々の工程での目的化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製することができる。該分離手段としては、例えば溶媒抽出法、稀釈法、再結晶法、カラムクロマトグラフィー、プレパラテイブ薄層クロマトグラフィー等を例示できる。
【0091】
尚本発明は幾何異性体、光学異性体も当然に包含するものである。
【0092】
一般式(1)の化合物は通常、一般的な医薬製剤の形態で用いられる。製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、潤沢剤等の稀釈剤或いは賦形剤を用いて調製される。この医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠或いは二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカンテン等の崩壊剤等が例示できる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げられる。注射剤として調製される場合には液剤及び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、丸剤及び懸濁剤の形態に成形するのに際しては、稀釈剤としてこの分野において慣用されているものを全て使用でき、例えば水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げられる。尚、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖或いはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を該製剤中に含有せしめてもよい。
【0093】
本発明の医薬製剤中に含有されるべき一般式(1)の化合物の量は特に限定されず広範囲に選択されるが、通常全組成物中1〜70重量%、好ましくは1〜30重量%である。
【0094】
本発明の医薬製剤の投与方法には特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じた方法で投与される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合には単独で或いはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。
【0095】
本発明の医薬製剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常有効成分である一般式(1)の化合物の量は1日当り体重1kg当り約0.1〜10mgとするのがよい。また、投与単位形態中に有効成分を1〜200mg含有するのがよい。
【0096】
【実施例】
以下に製剤例、参考例、実施例及び薬理試験例を掲げる。
【0097】
上記本発明の化合物、乳糖、コーンスターチ及び結晶セルローズを充分混合し、メチルセルローズの5%水溶液で顆粒化し、200メッシュの篩に通して注意深く乾燥し、これを常法により打錠して錠剤1000錠を調製する。
【0098】
上記成分を細かく粉末にし、均一な混合物になるように充分撹拌したのち所望の寸法を有する経口投与用のゼラチンカプセルに充填し、カプセル1000個を調製する。
【0099】
上記パラベン類、メタ重亜硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを撹拌しながら80℃で上記の約半量の蒸留水に溶解し、その溶液を40℃まで冷却し、本発明の化合物、ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートをその溶液中に溶解し、その溶液に注射用蒸留水を加えて最終の容量に調製し、適当なフィルターペーパーを用いて滅菌濾過することにより滅菌して注射剤を調製する。
【0100】
参考例1
N−シクロプロピルピペラジン0.9g及びトリエチルアミン1mlの1,2−ジクロロエタン50m溶液に、4−〔(2−クロロ−6−キノリル)オキシ〕−1−ブタンスルホニル クロリド2gを−10℃にて加え、同温で更に0.5時間撹拌した。反応液を水、飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;塩化メチレン:酢酸エチル:メタノール=10:10:1)で精製し、2.08gの2−クロロ−6−{4−〔(4−シクロプロピル−1−ピペラジニル)スルホニル〕ブトキシ}キノリンを得た。
【0101】
褐色油状
1H−NMR(CDCl3)δppm;0.35−0.55(4H,m)、1.60−1.75(1H,m)、1.95−2.15(4H,m)、2.70(4H,t,J=5Hz)、3.00(2H,t,J=6.9Hz)、3.27(4H,t,J=5Hz)、4.11(2H,t,J=5.7Hz)、7.06(1H,d,J=2.7Hz)、7.30−7.40(2H,m)、7.92(1H,d,J=9.2Hz)、7.97(1H,d,J=8.6Hz)。
【0102】
適当な出発原料を用い、参考例1と同様にして表1〜表4に記載の各化合物を得た。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
1)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.30−1.50(1H,m)、1.65−1.95(3H,m)、1.95−2.40(7H,m)、2.61(1H,t,J=10.2Hz)、2.90−3.20(5H,m)、3.75(1H,dd,J=2.2Hz,J=11.4Hz)、3.89(1H,dd,J=2.6Hz,J=11.3Hz)、4.11(2H,t,J=5.7Hz)、7.05(1H,d,J=2.7Hz)、7.30−7.45(2H,m)、7.91(1H,d,J=9.2Hz)、7.98(1H,d,J=8.6Hz)。
【0108】
2)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.90−2.20(4H,m)、2.53(4H,t,J=4.9Hz)、3.01(2H,t,J=6.9Hz)、3.31(4H,t,J=4.8Hz)、3.54(2H,s)、4.11(2H,t,J=5.7Hz)、7.06(1H,d,J=2.7Hz)、7.15−7.40(7H,m)、7.92(1H,d,J=9.3Hz)、7.98(1H,d,J=8.7Hz)。
【0109】
3)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.85−2.20(8H,m)、3.11(2H,t,J=7.7Hz)、3.35(3H,s)、3.25−3.70(4H,m)、3.95−4.10(1H,m)、4.11(2H,t,J=5.7Hz)、4.62(2H,s)、7.06(1H,d,J=2.7Hz)、7.25−7.40(2H,m)、7.91(1H,d,J=9.2Hz)、7.98(1H,d,J=8.6Hz)。
【0110】
4)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.90−2.40(8H,m)、3.25(2H,t,J=7Hz)、3.40−3.70(2H,m)、3.73(3H,s)、4.12(2H,t,J=6Hz)、4.50−4.60(1H,m)、7.07(1H,d,J=3Hz)、7.30−7.42(2H,m)、7.92(1H,d,J=9.5Hz)、7.98(1H,d,J=9Hz)。
【0111】
5)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.80−2.03(7H,m)、2.10−2.32(1H,m)、3.20−3.50(4H,m)、4.13−4.21(2H,m)、4.21−4.30(1H,m)、7.40−7.50(2H,m)、7.53(1H,d,J=8.5Hz)、7.86(1H,d,J=10Hz)、8.32(1H,d,J=8.5Hz)。
【0112】
6)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.08(3H,t,J=7Hz)、1.23(3H,t,J=7.5Hz)、1.85−2.35(8H,m)、3.17−3.73(8H,m)、4.10(2H,t,J=6Hz)、4.72−4.82(1H,m)、7.06(1H,d,J=3Hz)、7.30−7.52(2H,m)、7.90(1H,d,J=9Hz)、7.98(1H,d,J=8.5Hz)。
【0113】
7)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.68−1.84(2H,m)、1.85−2.22(6H,m)、2.95−3.10(2H,m)、3.15−3.30(2H,m)、3.37(3H,s)、3.42−3.58(2H,m)、3.70−3.87(1H,m)、4.09(2H,t,J=5.5Hz)、4.67(2H,s)、7.06(1H,d,J=2.5Hz)、7.31−7.45(2H,m)、7.91(1H,d,J=9Hz)、7.98(1H,d,J=8.5Hz)。
【0114】
8)1H−NMR(DMSO−d6)δppm;1.00−1.30(4H,m)、1.50−1.70(3H,m)、1.88(1H,br−s)、2.10−2.30(3H,m)、2.45−2.60(2H,m)、2.60−2.75(2H,m)、3.10−3.50(7H,m)、4.08(1H,d,J=2.1Hz)、4.23(2H,t,J=6.1Hz)、7.40−7.60(3H,m)、7.88(1H,d,J=8.9Hz)、8.34(1H,d,J=8.6Hz)。
【0115】
9)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.75−2.50(10H,m)、2.24(6H,s)、3.19(2H,br−t,J=8Hz)、3.25−3.55(2H,m)、3.91−4.05(1H,m)、4.11(2H,t,J=6Hz)、7.06(1H,d,J=3Hz)、7.30−7.42(2H,m)、7.91(1H,d,J=9.5Hz)、7.99(1H,d,J=8.5Hz)。
【0116】
10)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.85−2.15(4H,m)、2.30−2.50(2H,m)、3.25(2H,t,J=7Hz)、3.30(3H,s)、3.36−3.70(4H,m)、4.00−4.10(1H,m)、4.23(2H,t,J=6Hz)、4.63(2H,s)、7.08(1H,d,J=3Hz)、7.30−7.42(2H,m)、7.92(1H,d,J=9Hz)、7.99(1H,d,J=8.5Hz)。
【0117】
11)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.95−2.20(4H,m)、3.03(2H,t,J=7Hz)、3.25−3.32(4H,m)、3.70−3.80(4H,m)、4.12(2H,t,J=6Hz)、7.06(1H,d,J=3Hz)、7.30−7.40(2H,m)、7.92(1H,d,J=9.5Hz)、7.99(1H,d,J=8.5Hz)。
【0118】
12)1H−NMR(CDCl3)δppm;1.95−2.20(4H,m)、3.05(2H,t,J=7Hz)、3.35−3.45(4H,m)、3.62−3.70(4H,m)、4.12(2H,t,J=6Hz)、6.62−6.72(2H,m)、7.05(1H,d,J=3Hz)、7.31−7.37(2H,m)、7.51(1H,br−t,J=9Hz)、7.90(1H,d,J=9Hz)、7.98(1H,d,J=8.5Hz)、8.20(1H,br−d,J=5Hz)。
【0119】
参考例15
メチル (2S)−1−({4−〔(2−クロロ−6−キノリル)オキシ〕ブチル}スルホニル)−2−ピロリジンカルボキシレート4.5gのメタノール溶液100mlに、1N水酸化カリウム水溶液30mlを室温で加えた。50℃で3時間撹拌後、メタノールを減圧留去した。析出晶を濾去後、濾液に濃塩酸を加え酸性とした後、室温で終夜撹拌した。析出晶を濾取して、3.8gの(2S)−1−({4−〔(2−クロロ−6−キノリル)オキシ〕ブチル}スルホニル)−2−ピロリジンカルボン酸を得た。
【0120】
白色粉末状
1H−NMR(CDCl3)δppm;1.80−2.03(7H,m)、2.10−2.32(1H,m)、3.20−3.50(4H,m)、4.13−4.21(2H,m)、4.21−4.30(1H,m)、7.40−7.50(2H,m)、7.53(1H,d,J=8.5Hz)、7.86(1H,d,J=10Hz)、8.32(1H,d,J=8.5Hz)。
【0121】
参考例16
(2S)−1−({4−〔(2−クロロ−6−キノリル)オキシ〕ブチル}スルホニル)−2−ピロリジンカルボン酸1.8g、ジエチルアミン0.6ml及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.8gのジメチルホルムアミド溶液50mlに、0℃撹拌下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1gを加えた。室温で終夜撹拌後、溶媒を減圧留去し、残渣を水で希釈後酢酸エチルで抽出した。水、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;塩化メチレン:メタノール=30:1)で精製し、1.5gのN’,N’−ジエチル−(2S)−1−({4−〔(2−クロロ−6−キノリル)オキシ〕ブチル}スルホニル)−2−ピロリジンカルボキサミドを得た。
【0122】
淡黄色油状
1H−NMR(CDCl3)δppm;1.08(3H,t,J=7Hz)、1.23(3H,t,J=7.5Hz)、1.85−2.35(8H,m)、3.17−3.73(8H,m)、4.10(2H,t,J=6Hz)、4.72−4.82(1H,m)、7.06(1H,d,J=3Hz)、7.30−7.52(2H,m)、7.90(1H,d,J=9Hz)、7.98(1H,d,J=8.5Hz)。
【0123】
実施例1
2−クロロ−6−{4−〔(4−シクロプロピル−1−ピペラジニル)スルホニル〕ブトキシ}キノリン2gの酢酸溶液100mlを4時間加熱還流した。酢酸を減圧留去し、残渣をクロロホルムで希釈後、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;塩化メチレン:酢酸エチル:メタノール=5:5:1)で精製し、エタノールで再結晶して、0.24gの6−{4−〔(4−シクロプロピル−1−ピペラジニル)スルホニル〕ブトキシ}−1,2−ジヒドロ−2−キノリノンを得た。
【0124】
白色結晶
融点:208〜210℃。
【0125】
適当な出発原料を用い、実施例1と同様にして表5〜表10に記載の各化合物を得た。
【0126】
【表5】
【0127】
【表6】
【0128】
【表7】
【0129】
【表8】
【0130】
【表9】
【0131】
【表10】
【0132】
実施例17
6−({4−〔(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジニル〕スルホニル}ブトキシ)−1,2−ジヒドロ−2−キノリノン1.2g、トリエチルアミン1.6g、4−ジメチルアミノピリジン0.1gのクロロホルム溶液300mlに、無水酢酸1.5mlを0℃撹拌下、滴下した。同温で2時間撹拌後、
アンモニア水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:エタノール:酢酸エチル=20:3:20)で精製し、エタノールで再結晶して、1gの〔(2S)−1−({4−〔(オキソ−1,2−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ〕ブチル}スルホニル)−2−ピロリジニル〕メチル アセテートを得た。
【0133】
白色粉末状
融点:165〜166℃
〔α〕D 24=−20.6゜(c=1.0、酢酸)。
【0134】
適当な出発原料を用い、実施例17と同様にして前記実施例4、9、14及び16の化合物を得た。
【0135】
実施例18
1−({4−〔(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−6−キノリニル)オキシ〕ブチル}スルホニル)−4−ピペリジル アセテート1.9gのジメチルホルムアミド懸濁液60mlに、1N−水酸化ナトリウム水溶液11.4mlを室温で加えた。同温度で2日間攪拌後、溶媒を減圧留去し、残渣に水を加えて析出晶を濾取し、エタノールで再結晶して、1.3gの6−{4−〔(4−ヒドロキシピペリジニル)スルホニル〕ブトキシ}−1,2−ジヒドロ−2−キノリノンを得た。
【0136】
無色鱗片状
融点:210〜212℃
適当な出発原料を用い、実施例18と同様にして前記実施例3、11及び15の化合物を得た。
【0137】
薬理試験1(血小板凝集抑制作用)
(1)多血小板血漿(PRP)の調製
無麻酔下にて、雄性ウサギ(NZW種,体重2〜3kg)の頚動脈からクエン酸採血を行い、クエン酸と血液とのボリューム比が1対9になるように調製した。この抗凝固血をプラスチック試験管に約7mlずつ分注し、室温にて低速遠心(900rpm,15分)後、その白濁した上清を多血小板血漿(PRP)とした。乏血小板血漿(PPP)はPRP採取後の残渣を3000rpmで10分遠心し、その上清を用いた。PRPは5×105cells/μlになるようにPPPにて希釈し、凝集能の測定に用いた。
【0138】
(2)凝集測定方法
血小板の凝集は、Bornの比濁法を用いて測定した。ジメチルホルムアミドに溶解した薬物溶剤1μlをキュベットに入れ、更に200μlのPRPを添加後、直ちに血小板凝集能測定装置PAM−8T(メバニクス社)に入れ、37℃で保温した。正確に3分間後、生理食塩水に溶解したADP(PAテストADP「MCM」MCメディカル社)又はコラーゲン溶液(コラーゲンリエージエントホルム,MCメディカル社)を20μl添加した。ADP溶液又はコラーゲン溶液の最終濃度は、それぞれ7.5μM、20μg/mlであった。
【0139】
また、最大凝集率、凝集抑制率の算出は以下の式に従った。
【0140】
【数1】
【0141】
【数2】
【0142】
IC50は薬物濃度の異なる2点間の凝集抑制率から求めた。結果を下記表11に示す。
【0143】
【表11】
【0144】
薬理試験2(抗血栓作用)
抗血栓作用は、マウスにコラーゲンを静脈内投与して誘発される肺塞栓致死に対して薬物(経口投与)による抑制作用(肺塞栓抑制作用)で判定した。
【0145】
雄性ICR系マウス(5週齢、体重約25g)を1夜絶食し、群分け及びナンバリングを行った(各群15匹)。1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910TC−5(HPMC,信越化学工業株式会社)に懸濁した薬物溶液を経口投与した後、10分後に尾静脈より一定速度でコラーゲン溶液(調製、用量は後記)を注入した。その後1時間以内に死亡した個体数より致死率を計算した。薬物の評価はこのマウスの致死率の抑制%で行った。コラーゲン溶液は、コラーゲン(シグマケミカル社製、タイプIII)を2mM塩化カルシウム及び5%グルコースを含む0.05M酢酸溶液に2.5mg/mlになるように4℃にて溶解しておき、使用する前日に水酸化ナトリウムでpHを7.4に合わせた。37℃にて撹拌しながら2時間加温し、その後、室温にて更に一夜撹拌した。使用する直前に再度pHを7.4に合わせて実験に供した。尾静脈注するコラーゲン溶液の量は、肺塞栓による致死率が約75%になるように予備実験を行って決定した。結果を下記表12に示す。
【0146】
【表12】
【0147】
薬理試験3(血管内膜肥厚抑制作用)
雄性SD系ラット(6週齢)を群分け(各群8匹)及びナンバリング後、1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910TC−5(HPMC,信越化学工業株式会社)に懸濁した薬物溶液を経口投与した。またコントロール群には1%HPMCを経口投与した。1〜2時間後に2フレンチバルーンカテーテル(バクスタートラベノール社)を左総頚動脈に挿入し、5回擦過することによるバルーン傷害を行い、この日をDay0とした。次の日(Day1)に朝夕2回薬物を経口投与した。Day2に薬物投与約1時間後、バルーン傷害後の時間が各個体間で正確に一定になるように、1.48MBq/mlの3H−チミジン(NENリサーチプロダクツ社製)を体重1kg当たり5ml尾静脈注射した。正確に3H−チミジン尾静脈注射後45分に総頚動脈を摘出した。尚、薬物投与群はバルーン傷害した左総頚動脈のみ、コントロール群は左右の総頚動脈を摘出した。摘出した総頚動脈は、正確に1cmにカットし、外膜及び神経等不要物をきれいに除去した。総頚動脈をガラスのバイアル瓶に移し、0.5N水酸化ナトリウム0.5mlを添加し、37℃にて一夜加温し、可溶化を行った。5N塩酸を0.05ml加え中和し、更に過酸化水素水を0.1ml添加した。10mlのアクアゾール2(デュポン社製)を添加し、よく撹拌後30分静置し、次いで液体シンチレーションカウンターにてトリチウムのカウントを測定した。肥厚抑制作用を、以下の式に従い調べた。
【0148】
【数3】
【0149】
結果を下記表13に示す。
【0150】
【表13】
Claims (1)
- 一般式
で表されるカルボスチリル誘導体又はその塩。
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JPH10279562A JPH10279562A (ja) | 1998-10-20 |
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