JP3896442B2 - 重金属を含有する飛灰の処理方法 - Google Patents

重金属を含有する飛灰の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ゴミ焼却工場や産業廃棄物焼却工場等における焼却炉や溶融炉あるいは汚泥を処理するセメントキルン等から発生する銅、亜鉛、鉛等の重金属および塩素等を含有する飛灰の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、事業場や一般家庭から排出されるゴミ(「都市ゴミ」または「一般廃棄物」と称されている。)は都市ゴミ焼却工場や産業廃棄物焼却工場等に集められ焼却処分されている。その際に焼却炉等から発生する焼却灰や飛灰は薬剤処理、または、溶融炉、セメントキルン処理等の中間処理を施した後に最終処分場に堆積されている。
しかしながら、上記の溶融炉やセメントキルン処理等の中間処理によると、蒸気圧の高い亜鉛、鉛、カドミウム等の重金属は炉内で揮発して排ガス中に入り、この排ガスに入った重金属は排ガス処理設備内で凝縮して再び飛灰となってしまうという問題があった。
この再度の飛灰中には、塩素、ナトリウム、カルシウムと共に銅、亜鉛、鉛、カドミウム等の重金属が濃縮されて多量に含有されており、これらの回収を含めた安定した飛灰の処理方法が求められていた。
【0003】
このような飛灰について、特開平7−109533号公報には、飛灰を槽内の水に懸濁し、この懸濁液を酸またはアルカリの添加によりアルカリ域の適当値にpH調整することによって飛灰中の重金属を水酸化物として沈殿させ、その沈殿を回収する方法について開示している。また本出願人も、先に、湿式処理方式によって対処する方法を出願している(特開平8−117724号公報および特開平8−141539号公報)。
【0004】
特開平8−117724号公報には、飛灰を水でスラリー化し、pH調整して固液分離する第1工程と、該第1工程からの殿物を酸液でリパルプし、pH3以下に調整した後、固液分離して鉛残渣を得る第2工程と、前記第1工程と前記第2工程からの酸性濾液に中和剤またさらに水硫化ソーダを加えて亜鉛、銅を含む殿物を濾別し、濾過水を排水液とする第3工程とからなる方法が開示されており、特開平8−141539号公報には、飛灰を水と中和剤で中和して固液分離する第1工程と、該第1工程からの殿物をリパルプし、硫酸によりpH3前後に調整した後、固液分離して鉛残渣を得る第2工程と、該第2工程からの濾液にアルカリ中和剤を加えて亜鉛、銅を含む殿物を濾別する第3工程と、該第3工程の濾過水を該第1工程の中和液として繰り返し、該第1工程からの濾液について硫化剤を添加して排液処理する方法が開示されている。
このような湿式処理方法により、飛灰中に含有されている重金属を安定な形で分離し、重金属資源として有効に回収すると共に、飛灰を湿式処理した後の排水を、国の排水基準すなわち水質汚濁防止法第3条第1項の規制に沿って無害化できるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平7−109533号公報によれば回収した重金属殿物中に塩素が鉛、銅等の難溶性化合物であるオキシ塩化物として入り込む場合があり、製錬工程では塩素の混入は不都合であることから重金属のリサイクルという面ではなお問題を残していた。特に、原料飛灰中の銅が高い場合には、オキシ塩化銅が多量に生成し重金属殿物中の塩素含有率はかなり高くなり、銅と塩素の含有率は相関を持つことがわかっている。従って、銅品位が高く価値の大きな製錬原料ほど塩素分が高くなり製錬原料にしにくいという、パラドックスを示す状況となっていた。
【0006】
回収される重金属殿物中の塩素分を低減させる方法として、本出願人は、アルカリによる飛灰の浸出工程を取り入れた処理方法を特願2000−170652号で提案している。この処理方法は、飛灰をパルプ濃度40wt%以上になるように水でリパルプし、アルカリ剤を添加してpH13以上とし、アルカリ浸出液とアルカリ不溶解残渣を得るアルカリ浸出工程と、該アルカリ浸出工程から濾別されたアルカリ不溶解残渣を水でリパルプした後、鉱酸を添加してpH2〜5に調整し、鉱酸浸出液と鉱酸不溶解残渣を得る鉱酸浸出工程と、前記アルカリ浸出工程からのアルカリ浸出液に前記鉱酸浸出工程からの鉱酸浸出液を混合してpH10〜13のpH域において中和し銅、亜鉛または鉛のうち少なくとも一種の重金属を含有する重金属殿物とアルカリ中和液を得るアルカリ中和工程とからなることを特徴とする飛灰からの重金属回収方法で、これにより、重金属品位が高く、塩素の少ない重金属殿物を得ることができるようになった。ただし、工程の数が多いため、設備コスト、薬剤コストが高いという点で問題を残していた。
【0007】
さらに、アルカリ浸出を用いた方法として特開平10−5736号公報には、pH12.5以上のアルカリ域にて銅、亜鉛、鉛を浸出し固液分離した後、液中の溶出重金属を硫化物として回収する方法が提案されている。しかし、この硫化剤を用いる方法では浸出液中の塩素が回収物に混入することになり、やはり製錬原料としての使用に問題を残していた。
本発明は、このような状況に鑑み、飛灰中の有用重金属を回収し、かつ塩素を最大限低減することで、製錬工程において再利用可能な形で分離回収することができる飛灰の処理方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成すべくなされたものであって、第1に、銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加して該重金属を浸出した後に鉱酸を添加してpH7〜12に調整して前記の浸出した重金属を沈殿させてから重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する工程とからなることを特徴とする重金属を含有する飛灰の処理方法を、第2に、銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加して該重金属を浸出した後に水を添加し次いで鉱酸を添加してpH7〜12に調整して前記の浸出した重金属を沈殿させてから重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する工程とからなることを特徴とする重金属を含有する飛灰の処理方法を、第3に、前記重金属含有殿物を100〜1000℃に加熱処理し含有される塩化物を揮発させ分離する第1または2に記載の重金属を含有する飛灰の処理方法を、第4に、前記加熱処理における雰囲気中の酸素濃度が0.1〜21%である第3記載の重金属を含有する飛灰の処理方法を、第5に、前記重金属含有殿物を製錬原料として使用する第1または2に記載の重金属を含有する飛灰の処理方法を、第6に、前記加熱処理された重金属含有殿物を製錬原料として使用する第3または4に記載の重金属を含有する飛灰の処理方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、都市ゴミ焼却工場等の焼却灰処理で発生する二次飛灰(以下、単に飛灰という。)の処理方法の場合を例に、請求項1の処理工程を示す図1を参照して説明する。飛灰は、粒度が1μm〜1000μm程度の粒状のものがよい。飛灰には銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種と塩素とを含有するものが本発明に適宜であり、銅含有率が2wt%以上であればなお良い。以下に説明する発明の形態は、特に記載のない場合は室温(10〜30℃)の大気雰囲気である。
【0010】
まず、飛灰に水を加え、撹拌などを行い水洗することにより、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩素を含有する可溶性塩類を液側に移行(溶解)させ、水洗殿物すなわち水に溶けなかった固形物と水洗液すなわち前記塩素を含有する塩類を溶解した溶液とに固液分離する工程を経る(ここではこの工程を水洗工程という)。飛灰の組成にもよるが水洗殿物の量は、乾量で飛灰重量の5〜70%程度に減少するので、水洗し飛灰の重量を減少させておく方が後工程における薬剤コストを削減でき、ハンドリングが簡単になるという利点がある(しかし、水洗による重量減少が少ない場合にはこの水洗工程を省略して飛灰を水洗せずに、直接、次工程のアルカリ剤添加による重金属の浸出を行うこともできる)。この際の洗浄水量については、飛灰100重量部に対して、200から2000重量部が適当である。これは、200重量部より少ないとスラリーの濃度が高すぎて洗浄効率が落ち、2000重量部より多いと固液分離後の水洗液量が多くなり、排水処理への負担が大きくなるためである。使用できる水の量に余裕がある場合にはできる限り、多量の水で洗浄した方が洗浄効率は上がるが、コスト、設備等を考慮して決定されるべきである。ここで、水洗工程において水を添加するのは、飛灰の飛散汚染防止、ハンドリング性の向上の効果もある。なお、水洗後の固液分離はフィルターによる濾過分離、シックナーによる沈降分離、その他の方法を用いることができる。
【0011】
次に、水洗工程で得られた水洗殿物をアルカリ剤と混合させる。混合した状態はスラリー状が良く、このスラリーを撹拌もしくは混練しながら浸出反応を進行させ、いったん銅、亜鉛、鉛等の重金属を液側に移行させるアルカリ浸出工程を経る。このアルカリ浸出工程では、スラリー状として撹拌、混練することでアルカリ剤との接触時間を増やし、また比重差などによる殿物の沈降を防いで、水洗殿物中の重金属とアルカリ剤との反応速度を向上でき、よりアルカリ剤の使用量の減少をはかることができる。この際に使用されるアルカリ剤は、Na、Kから選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を、10〜50wt%の濃度で水に溶解したものが使用できるが、Kの水酸化物は価格が高いためNaの水酸化物の方が好ましい。さらに好ましくは室温での浸出反応の場合、48%以下の濃度のNa0Hがよい。
【0012】
また、アルカリ剤の添加量は飛灰中の重金属含有率により決定され、重金属含有率が高いほど使用するアルカリ剤の量を多くする必要がある。したがって、飛灰中の重金属含有率および重金属の抽出率を勘案し、アルカリ剤の添加量を決定するのが望ましい。また、できる限り高いスラリー濃度で浸出反応を行った方が、少ないアルカリ剤の量で多くの重金属を浸出させることが可能であり、アルカリ剤コストを削減できる点も考慮に入れるべきである。
【0013】
また、図3に示すように、アルカリ浸出工程によるスラリーを、希釈工程、pH調整工程なしに、重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離し塩素含有液をそのまま前記の水洗工程、アルカリ浸出工程に繰り返すことも可能である。
【0014】
次いで、スラリーに水を添加して希釈した後、硫酸等の鉱酸を添加しpH7〜12に調整することで、浸出した重金属を水酸化物として沈殿させ、重金属含有殿物と塩素、ナトリウム等を含有する塩素含有液とに固液分離する(重金属分離工程。この固液分離法の具体的な方法は水洗後の固液分離法と同様に選択することができる)。得られた重金属含有殿物は、必要に応じて水洗され、製錬原料となる。なお、ここで水を添加して希釈する理由は、アルカリ浸出後のスラリー濃度が高い場合は固液分離ができないこと、またpH調整する際に中和熱による温度上昇のある場合があり、これを防ぐための設備に特殊な保護をする必要を無くし、設備費を安価にさせるためである。従って、温度上昇の考慮を必要としない設備や事情があれば図2、図3に示すように水を加えることを省略できる。この希釈用の水の添加量はスラリー重量に対し1〜20倍が良い。なお、この添加量は、飛灰の性状、特に重金属含有率でアルカリ剤の添加量が決定されるので、飛灰の性状に応じた水の添加量であることが望ましい。
【0015】
pH調整に用いる鉱酸は、硫酸が好ましく、濃度は希釈後に添加するのであれば温度上昇はさほどないので、できる限り高濃度の硫酸を用いるのが望ましい。水を加えず希釈を行わない場合は、必要に応じて、希硫酸を用いる必要がある。調整pHは、7〜12の間で重金属含有殿物中の重金属品位が最も高くなるpHに設定すればよい。
【0016】
図1、図2に示す工程ではpH調整を行うが、コスト、設備等の何らかの理由により、硫酸等でpH調整できない場合には、図3、図4のようにpH調整しない工程が考えられる。この場合には、重金属分離工程後の塩素含有液に鉛、亜鉛等の重金属が溶解したまま固液分離することになるので、この塩素含有液を排出することはできず、繰り返し使用する必要がある。例えば、水洗工程の添加用液、重金属のアルカリ浸出用液、アルカリ浸出後の希釈用液として繰り返し使用することで、結果的に重金属含有殿物の重金属品位はpH調整を行った場合と同程度になる。塩素含有液はpH13以上の高アルカリであるから、水と混合して希釈する必要があるが、繰り返し使用することで水道コストの削減にもつながる。なお、塩素含有液の繰り返し使用は、図1、2の工程においても適用可能である。
【0017】
前記の重金属分離工程で回収される重金属含有殿物は、塩素含有率が極めて少ないものが得られる。これは現在のところ明らかではないが、概ね次の様に推測される。酸性側で重金属を溶出(浸出)させた場合は、金属がM +の様なイオンで液中に存在する。この金属イオンを塩素濃度の高い液中でpH調整するとM(ClO)・yHOの様な難溶性のオキシ塩化物を生成し沈殿する。しかし、本発明の様に高濃度のアルカリ中で飛灰中の重金属を溶出(浸出)させた場合は、MO n-の様なイオンの形態で液中に存在する。これをpH調整した場合は、オキシ塩化物が合成されずに水酸化物として沈殿するため、塩素含有率の極めて少ない重金属含有殿物が得られるものと推測される。
【0018】
前記の重金属分離工程で得られる重金属含有殿物の塩素含有率は、極めて低い水準まで低減されているものの、現実には製錬所の受入基準を満たしていない場合もある。製錬所の原料受入基準は、塩素濃度が0.03〜2wt%という値が一般的であり、最も低い基準が要求された場合は前記処理工程だけで満たすことができない場合もある。そこで、重金属含有殿物を加熱処理することで、鉛、亜鉛等蒸気圧の高い塩化物を揮発させ分離することによって重金属含有殿物中の塩素をさらに低減させることができる。
【0019】
加熱処理においては、酸化雰囲気で行うとPbClだけが揮発するが、還元雰囲気で行うとPbCl、ZnCl両方が揮発し、塩素を効率的に低減できる。ガス吹きこみ型や密閉型の炉等においてガス吹きこみ等をしない場合は、炉内は還元雰囲気になると思われる。従って本発明の重金属含有殿物を加熱処理する際に、投入時、加熱始動時に大気中で行うことができ特別な雰囲気ガスを用いる必要がなく、加熱処理を低コストで安全に実施できる。
【0020】
この際の、加熱処理温度は、100〜1000℃、好ましくは鉛、亜鉛の塩化物が揮発する800〜1000℃での処理が良い。加熱処理により、塩素重量は90%以上減少することがわかっており、この減少率は、従来の処理法で得た殿物に比べても遙かに大きい値である。これは、アルカリ剤で浸出された重金属含有殿物中には銅、鉛などの重金属のオキシ塩化物が生成せず、塩化物もしくは付着水から残留した塩素が主であるため、オキシ塩化物中の塩素よりも揮発しやすいためである。以上の加熱処理工程を加えることで、最も厳しい製錬受入基準をも確実に満たすことができる。しかし、重金属分離工程で十分に塩素が除去された場合や、塩素濃度に関し原料受入基準の緩い製錬所への装入を想定する場合には、加熱処理工程を行う必要はない。
【0021】
水洗工程を経た塩素を含有する水洗液については、工業的に広く使用されている鉄塩の共沈法またはキレート剤への通液等により排水処理され、無害化することが可能である。
【0022】
以上のように、本発明においては、ゴミ焼却施設等からの飛灰を処理して、含有されている銅、亜鉛、鉛等重金属を濃縮し、塩素を極めて低い水準まで除去して製錬原料として利用できる状態で回収し得ることができるものである。
【0023】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施例の記載に限定されるものではない。
【0024】
[実施例1] 図5に示すように、5リットルビーカーに繰り返し水3.3リットルと表1に示される飛灰Aを1kg入れてスラリーとし、30分間撹拌した後、塩素を含有する可溶性塩類の除去された水洗殿物と塩素を含有する塩類が溶解した水洗液とに固液分離した(水洗工程)。なお、繰り返し水は、次工程の塩素含有液に水道水を混合したものである(以下同じ)。次いで、得られた水洗殿物を1リットルビーカーに移し、20%NaOH液200gを入れて10分間強撹拌した。その後、スラリーを3リットルビーカーに移して、繰り返し水1.7リットルを加えて希釈し、中和剤として98%の硫酸を添加してpHを9に調整し30分間維持した後、濾過操作により重金属を主とする重金属含有殿物と塩類を主とする塩素含有液とに分離した(重金属分離工程)。その際、ケーキ洗浄水として750mlの水道水を使用した。ここで得られた重金属含有殿物を、800℃で1時間、ガスの吹き込み無しで加熱処理し、加熱処理前後の殿物をそれぞれ分析し表1に記載した。
【0025】
[表1]
Figure 0003896442
【0026】
[実施例2] 図5に示すように、実施例1と同じ飛灰Aを原料とし、同様の条件で処理するが、実施例2では硫酸による中和を行わずに、固液分離して得られた重金属含有殿物を、800℃で1時間、ガスの吹き込み無しで加熱処理し、加熱処理前後の殿物をそれぞれ分析し表1に記載した。
【0027】
[実施例3] 図5に示すように、5リットルビーカーに繰り返し水3.3リットルと表1に示す飛灰Bを1kg入れてスラリーとし、30分間撹拌した後、塩素を含有する可溶性塩類の除去された水洗殿物と塩素を含有する塩類を溶解した水洗液とに固液分離した(水洗工程)。次いで、得られた水洗殿物を1リットルビーカーに移し、20%NaOH液400gを入れて10分間、強撹拌した。その後、スラリーを3リットルビーカーに移して、繰り返し水1.7リットルを加えて希釈した後、濾過操作により重金属を主とする重金属含有殿物と塩素を含有する塩類を溶解した塩素含有液とに分離した(重金属分離工程)。その際、ケーキ洗浄水として750mlの水道水を使用した。
【0028】
[比較例1] 図6に示すように、5リットルビーカーに繰り返し水3.3リットルと表1に示す飛灰Cを1kg入れてスラリーとし、30分間撹拌した後、塩素を含有する可溶性塩類の除去された水洗殿物と塩素を含有する塩類を溶解した水洗液とに固液分離した(水洗工程)。次いで、得られた水洗殿物を3リットルビーカーに移して、繰り返し水1.7リットルを加えてスラリーとし、98%の硫酸を添加してpHを4に調整し30分間維持した後、20%のNaOHを添加してpHを9に調整し30分間維持した後、濾過操作により重金属を主とする重金属含有殿物と塩類を主とする塩類含有濾液とに分離した(重金属分離工程)。その際、ケーキ洗浄水として750mlの水道水を使用した。ここで得られた重金属含有殿物を、800℃で4時間、ガスの吹き込み無しで加熱処理し、加熱処理前後の重金属含有殿物をそれぞれ分析し表1に記載した。
【0029】
[比較例2] 実施例3と同じ原料飛灰Bを用いて、図6に示すように比較例1と同様の処理工程によって得られた重金属含有殿物を分析し表1に示す。
【0030】
表1に上記の各実施例、各比較例で得られた重金属含有殿物の重金属品位および加熱処理による塩素の重量減少率を示す。各実施例では、製錬工程への持ちこみを嫌う塩素はいずれも0.4wt%以下であり、さらに加熱処理を行うことで重量にして90%以上減少し、0.02wt%以下となっており、最も厳しい製錬の受入基準をも満たしている。また、熱処理により重金属品位が増加しているというメリットもある。
比較例では、浸出薬剤として硫酸を用いているが、重金属含有殿物中の塩素は2%以上となっており、加熱処理を行っても50%以下の塩素の重量減少しかないことがわかる。重金属品位については、同じ原料飛灰で比べた場合、実施例とさほど差はないが、飛灰中の銅含有率が高くなると、重金属含有殿物中の銅含有率に合わせて塩素含有量もかなり増加している。
【0031】
【発明の効果】
飛灰中の重金属類をアルカリ剤を使用して浸出し、次いで鉱酸によりpH調整することにより重金属の回収率が高く、製錬工程への持ちこみを嫌う塩素が極めて少ない製錬原料が得られ、かつ設備コストも安価にすむという効果を奏する。また、重金属の分別回収を可能とし、製錬工程における重金属の回収処理作業の負担を軽減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカリ浸出後に希釈とpH調整を行う本発明の処理工程図
【図2】アルカリ浸出後にpH調整を行う本発明の処理工程図
【図3】アルカリ浸出後に直接に固液分離を行う本発明の処理工程図
【図4】アルカリ浸出後に希釈を行う本発明の処理工程図
【図5】本発明の実施例を示す処理工程図
【図6】本発明に対する比較例を示す処理工程図

Claims (6)

  1. 銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加して該重金属を浸出した後に鉱酸を添加してpH7〜12に調整して前記の浸出した重金属を沈殿させてから重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する工程とからなることを特徴とする重金属を含有する飛灰の処理方法。
  2. 銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加して該重金属を浸出した後に水を添加し次いで鉱酸を添加してpH7〜12に調整して前記の浸出した重金属を沈殿させてから重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する工程とからなることを特徴とする重金属を含有する飛灰の処理方法。
  3. 前記重金属含有殿物を100〜1000℃に加熱処理し含有される塩化物を揮発させ分離する、請求項1または2に記載の重金属を含有する飛灰の処理方法。
  4. 前記加熱処理における雰囲気中の酸素濃度が0.1〜21%である、請求項3記載の重金属を含有する飛灰の処理方法。
  5. 前記重金属含有殿物を製錬原料として使用する、請求項1または2に記載の重金属を含有する飛灰の処理方法。
  6. 前記加熱処理された重金属含有殿物を製錬原料として使用する、請求項3または4に記載の重金属を含有する飛灰の処理方法。
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