JP2003164829A - 重金属を含有する飛灰の処理方法 - Google Patents

重金属を含有する飛灰の処理方法

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JP2003164829A JP2001365916A JP2001365916A JP2003164829A JP 2003164829 A JP2003164829 A JP 2003164829A JP 2001365916 A JP2001365916 A JP 2001365916A JP 2001365916 A JP2001365916 A JP 2001365916A JP 2003164829 A JP2003164829 A JP 2003164829A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飛灰中の有用重金属を塩素と分離し、製錬工
程において再利用可能な形で分離回収する方法を提供す
る。 【解決手段】 飛灰を水洗し塩素を含有する可溶性塩類
を溶解除去して水洗殿物を得る水洗工程と、アルカリ剤
として好ましくは水酸化ナトリウムの溶液を水洗殿物に
加えて重金属を浸出した後、このスラリーを希釈し、さ
らに鉱酸を添加してpH7〜12に調整した後、重金属
含有殿物と塩類含有液とに分別する重金属分離工程とを
備え、必要に応じて、この重金属含有殿物をさらに加熱
処理する加熱処理工程を加えた処理方法とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ゴミ焼却工場
や産業廃棄物焼却工場等における焼却炉や溶融炉あるい
は汚泥を処理するセメントキルン等から発生する銅、亜
鉛、鉛等の重金属および塩素等を含有する飛灰の処理方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、事業場や一般家庭から排出され
るゴミ(「都市ゴミ」または「一般廃棄物」と称されて
いる。)は都市ゴミ焼却工場や産業廃棄物焼却工場等に
集められ焼却処分されている。その際に焼却炉等から発
生する焼却灰や飛灰は薬剤処理、または、溶融炉、セメ
ントキルン処理等の中間処理を施した後に最終処分場に
堆積されている。しかしながら、上記の溶融炉やセメン
トキルン処理等の中間処理によると、蒸気圧の高い亜
鉛、鉛、カドミウム等の重金属は炉内で揮発して排ガス
中に入り、この排ガスに入った重金属は排ガス処理設備
内で凝縮して再び飛灰となってしまうという問題があっ
た。この再度の飛灰中には、塩素、ナトリウム、カルシ
ウムと共に銅、亜鉛、鉛、カドミウム等の重金属が濃縮
されて多量に含有されており、これらの回収を含めた安
定した飛灰の処理方法が求められていた。
【0003】このような飛灰について、特開平7−10
9533号公報には、飛灰を槽内の水に懸濁し、この懸
濁液を酸またはアルカリの添加によりアルカリ域の適当
値にpH調整することによって飛灰中の重金属を水酸化
物として沈殿させ、その沈殿を回収する方法について開
示している。また本出願人も、先に、湿式処理方式によ
って対処する方法を出願している(特開平8−1177
24号公報および特開平8−141539号公報)。
【0004】特開平8−117724号公報には、飛灰
を水でスラリー化し、pH調整して固液分離する第1工
程と、該第1工程からの殿物を酸液でリパルプし、pH
3以下に調整した後、固液分離して鉛残渣を得る第2工
程と、前記第1工程と前記第2工程からの酸性濾液に中
和剤またさらに水硫化ソーダを加えて亜鉛、銅を含む殿
物を濾別し、濾過水を排水液とする第3工程とからなる
方法が開示されており、特開平8−141539号公報
には、飛灰を水と中和剤で中和して固液分離する第1工
程と、該第1工程からの殿物をリパルプし、硫酸により
pH3前後に調整した後、固液分離して鉛残渣を得る第
2工程と、該第2工程からの濾液にアルカリ中和剤を加
えて亜鉛、銅を含む殿物を濾別する第3工程と、該第3
工程の濾過水を該第1工程の中和液として繰り返し、該
第1工程からの濾液について硫化剤を添加して排液処理
する方法が開示されている。このような湿式処理方法に
より、飛灰中に含有されている重金属を安定な形で分離
し、重金属資源として有効に回収すると共に、飛灰を湿
式処理した後の排水を、国の排水基準すなわち水質汚濁
防止法第3条第1項の規制に沿って無害化できるように
なった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平7−109533号公報によれば回収した重金属殿
物中に塩素が鉛、銅等の難溶性化合物であるオキシ塩化
物として入り込む場合があり、製錬工程では塩素の混入
は不都合であることから重金属のリサイクルという面で
はなお問題を残していた。特に、原料飛灰中の銅が高い
場合には、オキシ塩化銅が多量に生成し重金属殿物中の
塩素含有率はかなり高くなり、銅と塩素の含有率は相関
を持つことがわかっている。従って、銅品位が高く価値
の大きな製錬原料ほど塩素分が高くなり製錬原料にしに
くいという、パラドックスを示す状況となっていた。
【0006】回収される重金属殿物中の塩素分を低減さ
せる方法として、本出願人は、アルカリによる飛灰の浸
出工程を取り入れた処理方法を特願2000−1706
52号で提案している。この処理方法は、飛灰をパルプ
濃度40wt%以上になるように水でリパルプし、アル
カリ剤を添加してpH13以上とし、アルカリ浸出液と
アルカリ不溶解残渣を得るアルカリ浸出工程と、該アル
カリ浸出工程から濾別されたアルカリ不溶解残渣を水で
リパルプした後、鉱酸を添加してpH2〜5に調整し、
鉱酸浸出液と鉱酸不溶解残渣を得る鉱酸浸出工程と、前
記アルカリ浸出工程からのアルカリ浸出液に前記鉱酸浸
出工程からの鉱酸浸出液を混合してpH10〜13のp
H域において中和し銅、亜鉛または鉛のうち少なくとも
一種の重金属を含有する重金属殿物とアルカリ中和液を
得るアルカリ中和工程とからなることを特徴とする飛灰
からの重金属回収方法で、これにより、重金属品位が高
く、塩素の少ない重金属殿物を得ることができるように
なった。ただし、工程の数が多いため、設備コスト、薬
剤コストが高いという点で問題を残していた。
【0007】さらに、アルカリ浸出を用いた方法として
特開平10−5736号公報には、pH12.5以上の
アルカリ域にて銅、亜鉛、鉛を浸出し固液分離した後、
液中の溶出重金属を硫化物として回収する方法が提案さ
れている。しかし、この硫化剤を用いる方法では浸出液
中の塩素が回収物に混入することになり、やはり製錬原
料としての使用に問題を残していた。本発明は、このよ
うな状況に鑑み、飛灰中の有用重金属を回収し、かつ塩
素を最大限低減することで、製錬工程において再利用可
能な形で分離回収することができる飛灰の処理方法の提
供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成すべくなされたものであって、第1に、銅、亜鉛、鉛
の少なくとも一種の重金属と塩素とを含有する飛灰を水
洗し水洗殿物と水洗液とに固液分離する工程と、該水洗
殿物にアルカリ剤を添加して該重金属を浸出した後に水
を添加し次いで鉱酸を添加してpH7〜12に調整し重
金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する工程とから
なることを特徴とする重金属を含有する飛灰の処理方法
を、第2に、銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属と
塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに固
液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加して
該重金属を浸出した後に鉱酸を添加してpH7〜12に
調整し重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する工
程とからなることを特徴とする重金属を含有する飛灰の
処理方法を、第3に、銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の
重金属と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗
液とに固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を
添加して該重金属を浸出し重金属含有殿物と塩素含有液
とに固液分離する工程とからなることを特徴とする重金
属を含有する飛灰の処理方法を、第4に、銅、亜鉛、鉛
の少なくとも一種の重金属と塩素とを含有する飛灰を水
洗し水洗殿物と水洗液とに固液分離する工程と、該水洗
殿物にアルカリ剤を添加して該重金属を浸出した後に水
を添加し重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する
工程とからなることを特徴とする重金属を含有する飛灰
の処理方法を、第5に、前記重金属含有殿物を100〜
1000℃に加熱処理し含有される塩化物を揮発させ分
離する、第1〜4のいずれかに記載の重金属を含有する
飛灰の処理方法を、第6に、前記加熱処理における雰囲
気中の酸素濃度が0.1〜21%である、第5記載の重
金属を含有する飛灰の処理方法を、第7に、前記重金属
含有殿物を製錬原料として使用する、第1〜4のいずれ
かに記載の重金属を含有する飛灰の処理方法を、第8
に、前記加熱処理された重金属含有殿物を製錬原料とし
て使用する、第5または6記載の重金属を含有する飛灰
の処理方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、都市ゴミ
焼却工場等の焼却灰処理で発生する二次飛灰(以下、単
に飛灰という。)の処理方法の場合を例に、請求項1の
処理工程を示す図1を参照して説明する。飛灰は、粒度
が1μm〜1000μm程度の粒状のものがよい。飛灰
には銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種と塩素とを含有する
ものが本発明に適宜であり、銅含有率が2wt%以上で
あればなお良い。以下に説明する発明の形態は、特に記
載のない場合は室温(10〜30℃)の大気雰囲気であ
る。
【0010】まず、飛灰に水を加え、撹拌などを行い水
洗することにより、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の
塩素を含有する可溶性塩類を液側に移行(溶解)させ、
水洗殿物すなわち水に溶けなかった固形物と水洗液すな
わち前記塩素を含有する塩類を溶解した溶液とに固液分
離する工程を経る(ここではこの工程を水洗工程とい
う)。飛灰の組成にもよるが水洗殿物の量は、乾量で飛
灰重量の5〜70%程度に減少するので、水洗し飛灰の
重量を減少させておく方が後工程における薬剤コストを
削減でき、ハンドリングが簡単になるという利点がある
(しかし、水洗による重量減少が少ない場合にはこの水
洗工程を省略して飛灰を水洗せずに、直接、次工程のア
ルカリ剤添加による重金属の浸出を行うこともでき
る)。この際の洗浄水量については、飛灰100重量部
に対して、200から2000重量部が適当である。こ
れは、200重量部より少ないとスラリーの濃度が高す
ぎて洗浄効率が落ち、2000重量部より多いと固液分
離後の水洗液量が多くなり、排水処理への負担が大きく
なるためである。使用できる水の量に余裕がある場合に
はできる限り、多量の水で洗浄した方が洗浄効率は上が
るが、コスト、設備等を考慮して決定されるべきであ
る。ここで、水洗工程において水を添加するのは、飛灰
の飛散汚染防止、ハンドリング性の向上の効果もある。
なお、水洗後の固液分離はフィルターによる濾過分離、
シックナーによる沈降分離、その他の方法を用いること
ができる。
【0011】次に、水洗工程で得られた水洗殿物をアル
カリ剤と混合させる。混合した状態はスラリー状が良
く、このスラリーを撹拌もしくは混練しながら浸出反応
を進行させ、いったん銅、亜鉛、鉛等の重金属を液側に
移行させるアルカリ浸出工程を経る。このアルカリ浸出
工程では、スラリー状として撹拌、混練することでアル
カリ剤との接触時間を増やし、また比重差などによる殿
物の沈降を防いで、水洗殿物中の重金属とアルカリ剤と
の反応速度を向上でき、よりアルカリ剤の使用量の減少
をはかることができる。この際に使用されるアルカリ剤
は、Na、Kから選ばれる少なくとも1種の金属の水酸
化物を、10〜50wt%の濃度で水に溶解したものが
使用できるが、Kの水酸化物は価格が高いためNaの水
酸化物の方が好ましい。さらに好ましくは室温での浸出
反応の場合、48%以下の濃度のNa0Hがよい。
【0012】また、アルカリ剤の添加量は飛灰中の重金
属含有率により決定され、重金属含有率が高いほど使用
するアルカリ剤の量を多くする必要がある。したがっ
て、飛灰中の重金属含有率および重金属の抽出率を勘案
し、アルカリ剤の添加量を決定するのが望ましい。ま
た、できる限り高いスラリー濃度で浸出反応を行った方
が、少ないアルカリ剤の量で多くの重金属を浸出させる
ことが可能であり、アルカリ剤コストを削減できる点も
考慮に入れるべきである。
【0013】また、図3に示すように、アルカリ浸出工
程によるスラリーを、希釈工程、pH調整工程なしに、
重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離し塩素含有液
をそのまま前記の水洗工程、アルカリ浸出工程に繰り返
すことも可能である。
【0014】次いで、スラリーに水を添加して希釈した
後、硫酸等の鉱酸を添加しpH7〜12に調整すること
で、浸出した重金属を水酸化物として沈殿させ、重金属
含有殿物と塩素、ナトリウム等を含有する塩素含有液と
に固液分離する(重金属分離工程。この固液分離法の具
体的な方法は水洗後の固液分離法と同様に選択すること
ができる)。得られた重金属含有殿物は、必要に応じて
水洗され、製錬原料となる。なお、ここで水を添加して
希釈する理由は、アルカリ浸出後のスラリー濃度が高い
場合は固液分離ができないこと、またpH調整する際に
中和熱による温度上昇のある場合があり、これを防ぐた
めの設備に特殊な保護をする必要を無くし、設備費を安
価にさせるためである。従って、温度上昇の考慮を必要
としない設備や事情があれば図2、図3に示すように水
を加えることを省略できる。この希釈用の水の添加量は
スラリー重量に対し1〜20倍が良い。なお、この添加
量は、飛灰の性状、特に重金属含有率でアルカリ剤の添
加量が決定されるので、飛灰の性状に応じた水の添加量
であることが望ましい。
【0015】pH調整に用いる鉱酸は、硫酸が好まし
く、濃度は希釈後に添加するのであれば温度上昇はさほ
どないので、できる限り高濃度の硫酸を用いるのが望ま
しい。水を加えず希釈を行わない場合は、必要に応じ
て、希硫酸を用いる必要がある。調整pHは、7〜12
の間で重金属含有殿物中の重金属品位が最も高くなるp
Hに設定すればよい。
【0016】図1、図2に示す工程ではpH調整を行う
が、コスト、設備等の何らかの理由により、硫酸等でp
H調整できない場合には、図3、図4のようにpH調整
しない工程が考えられる。この場合には、重金属分離工
程後の塩素含有液に鉛、亜鉛等の重金属が溶解したまま
固液分離することになるので、この塩素含有液を排出す
ることはできず、繰り返し使用する必要がある。例え
ば、水洗工程の添加用液、重金属のアルカリ浸出用液、
アルカリ浸出後の希釈用液として繰り返し使用すること
で、結果的に重金属含有殿物の重金属品位はpH調整を
行った場合と同程度になる。塩素含有液はpH13以上
の高アルカリであるから、水と混合して希釈する必要が
あるが、繰り返し使用することで水道コストの削減にも
つながる。なお、塩素含有液の繰り返し使用は、図1、
2の工程においても適用可能である。
【0017】前記の重金属分離工程で回収される重金属
含有殿物は、塩素含有率が極めて少ないものが得られ
る。これは現在のところ明らかではないが、概ね次の様
に推測される。酸性側で重金属を溶出(浸出)させた場
合は、金属がMn+の様なイオンで液中に存在する。こ
の金属イオンを塩素濃度の高い液中でpH調整するとM
(ClO)・yHOの様な難溶性のオキシ塩化物を
生成し沈殿する。しかし、本発明の様に高濃度のアルカ
リ中で飛灰中の重金属を溶出(浸出)させた場合は、M
n-の様なイオンの形態で液中に存在する。これをp
H調整した場合は、オキシ塩化物が合成されずに水酸化
物として沈殿するため、塩素含有率の極めて少ない重金
属含有殿物が得られるものと推測される。
【0018】前記の重金属分離工程で得られる重金属含
有殿物の塩素含有率は、極めて低い水準まで低減されて
いるものの、現実には製錬所の受入基準を満たしていな
い場合もある。製錬所の原料受入基準は、塩素濃度が
0.03〜2wt%という値が一般的であり、最も低い
基準が要求された場合は前記処理工程だけで満たすこと
ができない場合もある。そこで、重金属含有殿物を加熱
処理することで、鉛、亜鉛等蒸気圧の高い塩化物を揮発
させ分離することによって重金属含有殿物中の塩素をさ
らに低減させることができる。
【0019】加熱処理においては、酸化雰囲気で行うと
PbClだけが揮発するが、還元雰囲気で行うとPb
Cl、ZnCl両方が揮発し、塩素を効率的に低減
できる。ガス吹きこみ型や密閉型の炉等においてガス吹
きこみ等をしない場合は、炉内は還元雰囲気になると思
われる。従って本発明の重金属含有殿物を加熱処理する
際に、投入時、加熱始動時に大気中で行うことができ特
別な雰囲気ガスを用いる必要がなく、加熱処理を低コス
トで安全に実施できる。
【0020】この際の、加熱処理温度は、100〜10
00℃、好ましくは鉛、亜鉛の塩化物が揮発する800
〜1000℃での処理が良い。加熱処理により、塩素重
量は90%以上減少することがわかっており、この減少
率は、従来の処理法で得た殿物に比べても遙かに大きい
値である。これは、アルカリ剤で浸出された重金属含有
殿物中には銅、鉛などの重金属のオキシ塩化物が生成せ
ず、塩化物もしくは付着水から残留した塩素が主である
ため、オキシ塩化物中の塩素よりも揮発しやすいためで
ある。以上の加熱処理工程を加えることで、最も厳しい
製錬受入基準をも確実に満たすことができる。しかし、
重金属分離工程で十分に塩素が除去された場合や、塩素
濃度に関し原料受入基準の緩い製錬所への装入を想定す
る場合には、加熱処理工程を行う必要はない。
【0021】水洗工程を経た塩素を含有する水洗液につ
いては、工業的に広く使用されている鉄塩の共沈法また
はキレート剤への通液等により排水処理され、無害化す
ることが可能である。
【0022】以上のように、本発明においては、ゴミ焼
却施設等からの飛灰を処理して、含有されている銅、亜
鉛、鉛等重金属を濃縮し、塩素を極めて低い水準まで除
去して製錬原料として利用できる状態で回収し得ること
ができるものである。
【0023】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明の技術的範囲はこの実施例の記載
に限定されるものではない。
【0024】[実施例1] 図5に示すように、5リッ
トルビーカーに繰り返し水3.3リットルと表1に示さ
れる飛灰Aを1kg入れてスラリーとし、30分間撹拌
した後、塩素を含有する可溶性塩類の除去された水洗殿
物と塩素を含有する塩類が溶解した水洗液とに固液分離
した(水洗工程)。なお、繰り返し水は、次工程の塩素
含有液に水道水を混合したものである(以下同じ)。次
いで、得られた水洗殿物を1リットルビーカーに移し、
20%NaOH液200gを入れて10分間強撹拌し
た。その後、スラリーを3リットルビーカーに移して、
繰り返し水1.7リットルを加えて希釈し、中和剤とし
て98%の硫酸を添加してpHを9に調整し30分間維
持した後、濾過操作により重金属を主とする重金属含有
殿物と塩類を主とする塩素含有液とに分離した(重金属
分離工程)。その際、ケーキ洗浄水として750mlの
水道水を使用した。ここで得られた重金属含有殿物を、
800℃で1時間、ガスの吹き込み無しで加熱処理し、
加熱処理前後の殿物をそれぞれ分析し表1に記載した。
【0025】[表1]
【0026】[実施例2] 図5に示すように、実施例
1と同じ飛灰Aを原料とし、同様の条件で処理するが、
実施例2では硫酸による中和を行わずに、固液分離して
得られた重金属含有殿物を、800℃で1時間、ガスの
吹き込み無しで加熱処理し、加熱処理前後の殿物をそれ
ぞれ分析し表1に記載した。
【0027】[実施例3] 図5に示すように、5リッ
トルビーカーに繰り返し水3.3リットルと表1に示す
飛灰Bを1kg入れてスラリーとし、30分間撹拌した
後、塩素を含有する可溶性塩類の除去された水洗殿物と
塩素を含有する塩類を溶解した水洗液とに固液分離した
(水洗工程)。次いで、得られた水洗殿物を1リットル
ビーカーに移し、20%NaOH液400gを入れて1
0分間、強撹拌した。その後、スラリーを3リットルビ
ーカーに移して、繰り返し水1.7リットルを加えて希
釈した後、濾過操作により重金属を主とする重金属含有
殿物と塩素を含有する塩類を溶解した塩素含有液とに分
離した(重金属分離工程)。その際、ケーキ洗浄水とし
て750mlの水道水を使用した。
【0028】[比較例1] 図6に示すように、5リッ
トルビーカーに繰り返し水3.3リットルと表1に示す
飛灰Cを1kg入れてスラリーとし、30分間撹拌した
後、塩素を含有する可溶性塩類の除去された水洗殿物と
塩素を含有する塩類を溶解した水洗液とに固液分離した
(水洗工程)。次いで、得られた水洗殿物を3リットル
ビーカーに移して、繰り返し水1.7リットルを加えて
スラリーとし、98%の硫酸を添加してpHを4に調整
し30分間維持した後、20%のNaOHを添加してp
Hを9に調整し30分間維持した後、濾過操作により重
金属を主とする重金属含有殿物と塩類を主とする塩類含
有濾液とに分離した(重金属分離工程)。その際、ケー
キ洗浄水として750mlの水道水を使用した。ここで
得られた重金属含有殿物を、800℃で4時間、ガスの
吹き込み無しで加熱処理し、加熱処理前後の重金属含有
殿物をそれぞれ分析し表1に記載した。
【0029】[比較例2] 実施例3と同じ原料飛灰B
を用いて、図6に示すように比較例1と同様の処理工程
によって得られた重金属含有殿物を分析し表1に示す。
【0030】表1に上記の各実施例、各比較例で得られ
た重金属含有殿物の重金属品位および加熱処理による塩
素の重量減少率を示す。各実施例では、製錬工程への持
ちこみを嫌う塩素はいずれも0.4wt%以下であり、
さらに加熱処理を行うことで重量にして90%以上減少
し、0.02wt%以下となっており、最も厳しい製錬
の受入基準をも満たしている。また、熱処理により重金
属品位が増加しているというメリットもある。比較例で
は、浸出薬剤として硫酸を用いているが、重金属含有殿
物中の塩素は2%以上となっており、加熱処理を行って
も50%以下の塩素の重量減少しかないことがわかる。
重金属品位については、同じ原料飛灰で比べた場合、実
施例とさほど差はないが、飛灰中の銅含有率が高くなる
と、重金属含有殿物中の銅含有率に合わせて塩素含有量
もかなり増加している。
【0031】
【発明の効果】飛灰中の重金属類をアルカリ剤を使用し
て浸出し、次いで鉱酸によりpH調整することにより重
金属の回収率が高く、製錬工程への持ちこみを嫌う塩素
が極めて少ない製錬原料が得られ、かつ設備コストも安
価にすむという効果を奏する。また、重金属の分別回収
を可能とし、製錬工程における重金属の回収処理作業の
負担を軽減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカリ浸出後に希釈とpH調整を行う本発明
の処理工程図
【図2】アルカリ浸出後にpH調整を行う本発明の処理
工程図
【図3】アルカリ浸出後に直接に固液分離を行う本発明
の処理工程図
【図4】アルカリ浸出後に希釈を行う本発明の処理工程
【図5】本発明の実施例を示す処理工程図
【図6】本発明に対する比較例を示す処理工程図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 15/00 C22B 15/10 19/00 19/24 19/30 13/04 15/08 (72)発明者 一箭 健治 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同 和鉱業株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA37 AB03 AC05 BA05 CA13 CA15 CA22 CA35 CA40 CB05 CB21 CB31 CC12 DA03 DA06 DA10 DA20 4K001 AA09 AA20 AA30 BA14 DB08 DB23

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属
    と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに
    固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加し
    て該重金属を浸出した後に水を添加し次いで鉱酸を添加
    してpH7〜12に調整し重金属含有殿物と塩素含有液
    とに固液分離する工程とからなることを特徴とする重金
    属を含有する飛灰の処理方法。
  2. 【請求項2】 銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属
    と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに
    固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加し
    て該重金属を浸出した後に鉱酸を添加してpH7〜12
    に調整し重金属含有殿物と塩素含有液とに固液分離する
    工程とからなることを特徴とする重金属を含有する飛灰
    の処理方法。
  3. 【請求項3】 銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属
    と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに
    固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加し
    て該重金属を浸出し重金属含有殿物と塩素含有液とに固
    液分離する工程とからなることを特徴とする重金属を含
    有する飛灰の処理方法。
  4. 【請求項4】 銅、亜鉛、鉛の少なくとも一種の重金属
    と塩素とを含有する飛灰を水洗し水洗殿物と水洗液とに
    固液分離する工程と、該水洗殿物にアルカリ剤を添加し
    て該重金属を浸出した後に水を添加し重金属含有殿物と
    塩素含有液とに固液分離する工程とからなることを特徴
    とする重金属を含有する飛灰の処理方法。
  5. 【請求項5】 前記重金属含有殿物を100〜1000
    ℃に加熱処理し含有される塩化物を揮発させ分離する、
    請求項1〜4のいずれかに記載の重金属を含有する飛灰
    の処理方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱処理における雰囲気中の酸素濃
    度が0.1〜21%である、請求項5記載の重金属を含
    有する飛灰の処理方法。
  7. 【請求項7】 前記重金属含有殿物を製錬原料として使
    用する、請求項1〜4のいずれかに記載の重金属を含有
    する飛灰の処理方法。
  8. 【請求項8】 前記加熱処理された重金属含有殿物を製
    錬原料として使用する、請求項5または6記載の重金属
    を含有する飛灰の処理方法。
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