JPH10109077A - 溶融飛灰から重金属を回収する方法 - Google Patents

溶融飛灰から重金属を回収する方法

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JPH10109077A
JPH10109077A JP26311296A JP26311296A JPH10109077A JP H10109077 A JPH10109077 A JP H10109077A JP 26311296 A JP26311296 A JP 26311296A JP 26311296 A JP26311296 A JP 26311296A JP H10109077 A JPH10109077 A JP H10109077A
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residue
heavy metal
slurry
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Keisuke Nakahara
啓介 中原
Tsuyoshi Nakao
強 仲尾
Masahiro Sudo
雅弘 須藤
Takuya Shinagawa
拓也 品川
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 飛灰を浸出処理して重金属が濃縮された残渣
を得る最初の段階で、pH7未満にすると、亜鉛の溶出
が起こるので、この濾液から亜鉛を回収する処理をしな
ければならない。また、上記の処理で得た残渣から亜鉛
を溶出させて回収する際に、塩酸を用いてpH調整する
と、鉛の溶出が起こるので、亜鉛濃縮物の品位が低下す
る。 【解決手段】 溶融飛灰に水を加え、pH7〜11のス
ラリーを調製し、このスラリーを固液分離して可溶性塩
類を含む溶液と重金属類が濃縮された残渣とに分け、こ
の残渣に水と硫酸を加えてpH4〜6のスラリーを調製
し、このスラリーを固液分離して亜鉛を含む溶液と鉛を
含む残渣とに分け、この残渣を鉛の精錬原料として回収
する。そして、上記亜鉛を含む溶液にアルカリおよび硫
化剤を加えて亜鉛を沈澱させ、この沈澱物を分離して亜
鉛の精錬原料として回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却残渣を溶
融処理した際に捕集される飛灰(以下、溶融飛灰と言
う)から重金属を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみや産業廃棄物などを焼却した際
に発生する焼却残渣の多くは埋め立て処分されている
が、埋立地の確保が困難になるにしたがって、その減容
化が要望されてきた。また、焼却残渣のうち、燃焼排ガ
スと共に飛散して集塵機で捕集されたもの(焼却飛灰)
は、鉛などの重金属を含んでおり、特別管理一般廃棄物
に指定されているので、その廃棄処分に際しては、重金
属を無害化する処理をしなければならない。このため、
焼却炉から直接取り出された焼却灰を減容化すると共
に、飛灰を無害化する必要が生じている。
【0003】このような問題に対処し、焼却残渣の減容
化と重金属の不溶化・無害化を同時に行うことができる
技術として、焼却残渣を溶融する処理方法が開発されて
いる。この溶融処理においては、上記焼却飛灰、または
焼却炉から直接排出された残渣、または上記両者を混ぜ
て成分調整したものを溶融炉へ投入して溶融させ、この
溶融物を固化させる処理が行われ、重金属が安定な状態
になって無害化されると共に、処理物が減容化される。
【0004】ところで、焼却残渣には、沸点が低い塩化
ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類や亜鉛、鉛などの
重金属が含まれており、このような焼却残渣を溶融する
と、その溶融温度が非常に高いので、相対的に沸点が低
い重金属の多くは上記塩類と一緒に揮散し、排ガスと共
に飛散する。そして、これらの低沸点物は飛散中に凝縮
し、集塵処理された際に捕集される溶融飛灰の中に集め
られる。このため、溶融飛灰は焼却残渣中の低沸点物が
濃縮された状態になっており、その中には、亜鉛、鉛な
どの重金属や上記アルカリ塩類が多量に含まれている。
【0005】このように、溶融飛灰中には多量の重金属
が含まれているので、この重金属を資源として回収する
方法(特開平8−117724号公報)が提案されてい
る。図4はその処理方法を示す図である。
【0006】この方法においては、 焼却炉や溶融炉から発生する飛灰に水を加えてスラリ
ーにし、鉱酸を添加してpH3〜7に調整した後、固液
分離して重金属を含む残渣と可溶性塩類を含む濾液とに
分離する(第1工程)。
【0007】第1工程で得た残渣をリパルプし、pH
を3よりも低く調整して亜鉛を主体とする重金属を溶出
させ、固液分離して鉛を主体とする残渣と濾液に分離す
る(第2工程)。この処理で得られた残渣は鉛の製錬原
料として回収される。
【0008】第1工程で得られた濾液と第2工程で得
られた濾液を混合し、これに中和剤を添加して亜鉛を主
体とする重金属の水酸化物を沈澱させるとともに、さら
に必要に応じて硫化剤を添加して重金属の硫化物を沈澱
させ、これらの沈澱物を濾別して亜鉛を主体とする残渣
を得る(第3工程)。この処理で得られた残渣は亜鉛の
製錬原料として回収される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来方
法においては、焼却飛灰や溶融飛灰を浸出処理する最初
の段階(第1工程)で、鉱酸を添加してpH3〜7に調
整した後、固液分離するが、その浸出処理条件が適切で
はないので、以後の処理工程において、種々の不都合が
生ずる。さらに、pH調整のために添加する鉱酸の種類
が特定されておらず、適切な酸類を使用しないことによ
る問題も起こる。
【0010】すなわち、亜鉛や鉛などの重金属を回収し
ようとする場合、酸を加えてpHが酸性領域になるよう
にすると、重金属が可溶性になり、その溶出が起こる。
このため、飛灰中の亜鉛や鉛が可溶性塩類を含む濾液と
残渣の双方に分配される。特に、pHを6付近よりも小
さい範囲にすると、極めて多量の重金属が溶出する。こ
のようにして、重金属の溶出が起こるので、第3工程に
おいては、第1工程の濾液と第2工程濾液を混合し、そ
の双方の濾液に含まれる重金属(亜鉛)を回収する処理
を行わなければならない。この結果、亜鉛を回収する際
の処理液量が非常に増加してしまう。
【0011】ところで、焼却飛灰や溶融飛灰を浸出処理
して重金属を回収する方法においては、飛灰やその浸出
残渣あるいは沈澱物よりなるスラリーを濾過する操作が
行われるが、飛灰や沈澱物は微細な粒子であるので、そ
の際の濾過速度は非常に小さい。このため、重金属回収
プロセスにおいては、その濾過を如何に効率よく実施す
ることができるか、否かによって、プロセス全体の処理
効率が左右される。従って、第3工程における処理液量
が増加すると、濾過操作の負荷が非常に大きくなり、こ
れが重金属回収プロセス全体の処理効率を低下させてい
る。
【0012】また、亜鉛や鉛などの重金属を回収しよう
とする場合、酸を加えてpHが酸性領域になるようにす
ると、重金属が可溶性になり、その溶出が起こる。この
際、硫酸を加えてpH調整した場合には、亜鉛は溶出す
るが、鉛の溶出は微量にとどまる。しかし、塩酸を添加
した場合には、亜鉛と鉛の双方が溶出するようになる。
このため、飛灰中の亜鉛や鉛が可溶性塩類を含む濾液と
残渣の双方に分配される。特に、pHを6付近よりも小
さい範囲にすると、極めて多量の亜鉛や鉛が溶出する。
このようにして、第1工程で分離された亜鉛を含む濾液
中に多量の鉛が混入してしまうので、この濾液を沈澱処
理して得た亜鉛濃縮物の品位が低下する。
【0013】本発明は、上記従来技術の問題点を解消
し、濾過操作の負荷を軽減させることができると共に、
亜鉛濃縮物の品位低下が起こらない、溶融飛灰から重金
属を回収する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明に係る方法は、ごみ焼却残渣を溶
融処理した際に捕集される飛灰に水を加え、必要に応じ
てアルカリを加えて、pH7〜11のスラリーを調製
し、このスラリーを固液分離して可溶性塩類を含む溶液
と重金属が濃縮された残渣とに分け、この重金属が濃縮
された残渣に水を加え、さらに硫酸を加えてpH4〜6
のスラリーを調製し、このスラリーを固液分離して亜鉛
を主体とする重金属を含む溶液と鉛を主体とする重金属
を含む残渣とに分けることを特徴としている。
【0015】また、請求項2の発明に係る方法は、請求
項1の方法において、亜鉛を主体とする重金属を含む溶
液にアルカリおよび硫化剤を加えて亜鉛を主体とする重
金属を沈澱させ、この沈澱物を分離することを特徴とし
ている。
【0016】表1は、ごみ焼却炉で発生した焼却残渣を
電気抵抗式溶融炉で溶融した際に、集塵機で捕集された
溶融飛灰の分析値の一例である。この表のように、溶融
飛灰はその大部分がNa,K,Cl,Pb,Znによっ
て占められており、Si,Al,Fe,Caなどの成分
および他の重金属類(以下、他の灰分成分と言う)はご
く僅かしか含まれていない。このように、溶融飛灰の成
分は、Na,K,Clで表されているアルカリ金属の塩
化物と、Zn,Pbよりなる重金属の酸化物と、他の灰
分成分とに分類される構成になっている。
【0017】溶融飛灰を水や溶液で浸出して上記重金属
を製錬原料として回収しようとする場合、上記のよう
に、他の灰分成分はその含有率が非常に少ないので、必
ずしも、分離・除去しなければならないものではない。
そこで、本発明においては、まず、可溶性塩類であるア
ルカリ金属の塩化物を溶出させて除去して、亜鉛および
鉛を主体とする重金属を含む残渣を取り出す処理を行
い、次いで、この残渣を亜鉛分と鉛分とに分別する処理
を行う。
【0018】そして、溶融飛灰を浸出処理して可溶性塩
類を除去する際には、pH値を適切な範囲に調整するこ
とによって、重金属の溶出を抑え、分離・除去される可
溶性塩類溶液中の重金属濃度を、その回収をする価値が
ない程度の低濃度に留めるようにする。
【0019】図2および図3は、表1の分析に供したも
のと同じ溶融飛灰の溶出試験結果に基づいて作成したも
のであり、図2は亜鉛の溶出特性を示し、図3は鉛の溶
出特性を示す。図2および図3において、★はpH調整
をしなかった場合(溶媒:精製水、溶出液のpH6.
2)の値であり、実線は塩酸を添加してpH調整した場
合の溶出濃度の変化、点線は硫酸を添加してpH調整し
た場合の溶出濃度の変化を示す。
【0020】図2によれば、pH値を6.2付近よりも
低くすると、亜鉛の溶出量は急激に増大する。また、図
3によれば、酸の種類によって、鉛の溶出濃度は異なる
が、pH値が6.2よりも低くなると(塩酸添加の場
合)、鉛の溶出濃度は急激に上昇する。
【0021】このため、本発明においては、可溶性塩類
を溶出・除去する処理を行う際のpH値を7以上にし、
亜鉛および鉛の溶出濃度が極めて低い値になるようにす
る。
【0022】ところで、溶融飛灰中に含まれている亜鉛
や鉛の形態は、溶融処理された際の条件によって異な
り、電気抵抗式溶融炉のような還元雰囲気で溶融した場
合の溶融飛灰中の亜鉛や鉛は殆どが酸化物の形態になっ
ているが、酸化雰囲気で溶融処理した場合の溶融飛灰に
は、酸化物の形態のものの外に可溶性の塩化物などが含
まれている。このため、亜鉛および鉛の一部が塩化物の
形態で含まれている溶融飛灰を浸出処理した際の溶出特
性は、図2および図3の結果とは若干異なる。
【0023】しかし、pH値を7以上にすれば、亜鉛や
鉛が塩化物の形態で含まれていても、それらの濃度は非
常に低い値に抑えられる。すなわち、pH7における亜
鉛の溶出濃度は50mg/l程度、鉛の溶出濃度は5mg/l程
度であり、その溶出量は極めて少ないので、溶融飛灰中
の亜鉛や鉛の殆どは浸出残渣に残留する。このため、溶
融飛灰を浸出処理した溶液は排水処理がなされた後に放
流可能な状態になる。
【0024】なお、亜鉛および鉛は両性金属であり、p
H値を12以上にすると、水酸化錯体となって溶解して
しまうので、溶融飛灰を浸出処理する際のpHの上限は
11程度にすべきである。
【0025】また、本発明において、可溶性塩類が除去
された残渣中の亜鉛を溶出させて亜鉛含有溶液と鉛含有
残渣とに分別する処理を行う際には、pHを4〜6の範
囲に調整すると共に、その際に添加する酸の種類を特定
している。図3に示すように、酸の種類によって、鉛の
溶出濃度が著しく異なる。すなわち、硫酸を添加した場
合には、鉛はPbSO4 の形態で存在するので、pHを
1.0まで下げても、鉛の溶出濃度は非常に低い範囲に
抑えられ、ほぼ一定の値(分析値は20〜30mg/l)に
なっているのに対し、塩酸を添加した場合には、pH値
が6.2よりも低くなると、鉛の溶出濃度は急激に上昇
する。
【0026】このように、残渣中の亜鉛を溶出させ、亜
鉛分と鉛分を分別しようとする場合、塩酸を加えてpH
調整すると、多量の鉛が溶出して亜鉛を含む溶液中に混
入し、その溶液から得た亜鉛濃縮物のZn含有率が低下
するので、本発明においては、pH調整用の酸として
は、硫酸を使用する。
【0027】上述のように、浸出処理によって、溶融飛
灰中の亜鉛および鉛を効率よく回収しようとする場合に
は、各浸出段階におけるpH値を適切な範囲に調整する
必要があり、また、酸を添加してpH調整を行う際に
は、硫酸を使用する必要がある。
【0028】なお、本発明においては、可溶性塩類を除
去した残渣から亜鉛を溶出させて分離する処理を行う際
のpH値が4〜6の範囲に限定されているが、このpH
値の範囲は次のようにして決められた。図2に示すよう
に、pH値を6よりも低い範囲にすれば、亜鉛の殆どが
溶出する。このため、pH値を必要以上に下げても、酸
の消費量が増加し、さらに、後の亜鉛回収工程においけ
る中和剤の使用量が増加するだけであるので、pH調整
値は亜鉛の溶出操作に支障を生じない範囲に止めるべき
である。そこで、本発明においては、上記処理における
pH値の下限を4程度としている。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は本発明の処理方法を示す図
である。本発明は、溶融飛灰を浸出処理して可溶性塩類
を溶出・除去し、亜鉛および鉛を主とする重金属が濃縮
された残渣を得る工程、この残渣を浸出処理して残渣中
の亜鉛を溶出させ、鉛を主とする残渣(鉛濃縮物)を得
る工程、上記の亜鉛を溶出させた溶液から亜鉛の沈澱物
(亜鉛濃縮物)を得る工程よりなる。
【0030】溶融飛灰を浸出処理する工程においては、
まず、溶融飛灰に水を加えてスラリーにし、さらに必要
に応じて苛性ソーダなどのアルカリを添加してpHを7
〜11に調整した後、所定時間攪拌し、溶融飛灰中の可
溶性塩類を溶出させる。そして、このスラリーを固液分
離して、可溶性塩類の溶液を分離し、亜鉛および鉛を主
とする重金属が濃縮された残渣を得る。
【0031】なお、分離された溶液は、排水処理された
後、放流されるか、または塩類を回収する工程へ送られ
る。分離された溶液に含まれている塩類は、その大部分
がNaClとKClであるので、回収工程において、蒸
発乾固等の処理が行われて粉末化される。この粉末は工
業塩として供給することができる。また、上記重金属が
濃縮された残渣は、鉛分と亜鉛分に分別することなく、
鉛・亜鉛同時製錬用の原料として供給することもでき
る。
【0032】次いで、重金属が濃縮された残渣を浸出処
理する工程においては、この残渣に水を加えてスラリー
にし、硫酸を加えてpH4〜6に調整した後、所定時間
攪拌し、残渣中の亜鉛を溶出させる。そして、このスラ
リーを固液分離して、亜鉛を含む溶液を分離し、鉛を主
とする重金属を含む残渣を得る。この残渣は鉛濃縮物と
して回収され、製錬原料に供される。
【0033】そして、亜鉛を溶出させた溶液から亜鉛濃
縮物を得る工程においては、この溶液にアルカリおよび
硫化剤を添加して亜鉛を硫化物として沈澱させ、この沈
澱物を分離し、亜鉛を主とする重金属を含む残渣を得
る。この残渣は亜鉛濃縮物として回収され、製錬原料に
供される。
【0034】
【実施例】図1に示す処理方法の順序に従って、溶融飛
灰中の亜鉛および鉛を回収する試験を実施した。
【0035】ごみ焼却残渣を電気抵抗式溶融炉で溶融し
た際に捕集された溶融飛灰(分析値は表1に示す)10
kgに水100リットルを加えてスラリーにし、このス
ラリーに苛性ソーダを添加してpH9に調整すると共
に、30分間攪拌して溶融飛灰中の可溶性塩類を溶出さ
せた。そして、このスラリーをフィルタープレスで濾過
し、残渣A1 と溶液B1 に分けた。得られた残渣A1
7.4kgで、その含水率は39%であった。また、溶
液B1 は102kgであった。上記残渣の分析値は表2
に、溶液の分析値は表3示す。なお、残渣の分析値は乾
ベースにて示す。残渣A1 (亜鉛・鉛濃縮物)は、Pb
を約23%、Znを約48%含有しており、鉛・亜鉛同
時製錬用の原料として供給しうるものであった。そし
て、溶液B1はZnの含有量も非常に少なく、また、有
害金属であるPbの濃度も排水基準値以下であるので、
酸を加えてpH7付近に調整すれば、放流可能のもので
あった。
【0036】次に、上記残渣A1 に水29リットルを加
えてスラリーにし、これに20%硫酸を添加してpH5
に調整した。このpH調整時には、20%硫酸を約1
6.2kg添加した。このスラリーを30分間攪拌した
後、濾過し、残渣A2 4.5kg(鉛濃縮物)と溶液B
2 48.1kgを得た。残渣A2 の含水率は46%であ
った。残渣A2 は、表2のように、Pb約44%、Zn
約8%を含有し、鉛の製錬原料として供給しうるもので
あった。溶液B2 には、表3のように、Zn4%と、P
b30mg/lが含まれていた。
【0037】そして、溶液B2 に20%の水硫化ソーダ
12.3kgと苛性ソーダを加えてpH9に調整すると
共に、30分間攪拌した後、濾過し、残渣A3 (亜鉛濃
縮物)6.1kgと溶液B3 56.6kgを得た。残渣
3 の含水率は46%であった。残渣A3 は、表2のよ
うに、Zn含有率が約62%、Pb含有率が0.1%未
満のものであり、亜鉛の製錬原料として供給しうるもの
であった。
【0038】溶液B3 は、表3に示すように、有害金属
濃度が排水基準値以下であり、酸を加えてpH7付近に
調整すれば、放流可能のものであった。
【0039】残渣A2 、残渣A3 の分析値と溶融飛灰の
分析値から求めた重金属の回収率は、Znが96%、P
bがほぼ100%で、極めて良好な値であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明においては、亜鉛および鉛を回収
するために、溶融飛灰を浸出処理して可溶性塩類を除去
するに際し、pH値を適切な範囲に調整するので、亜鉛
の溶出が起こらず、亜鉛の殆どは残渣中に残留する。こ
のため、溶融飛灰を浸出処理した際に分離された溶液か
ら亜鉛を回収する処理を行う必要がないので、後の亜鉛
回収工程における処理液量が減少し、濾過操作の負荷が
軽減される。
【0044】また、本発明においては、pH調整用の酸
として硫酸を使用するので、鉛の溶出が起こらず、亜鉛
回収工程で得られる亜鉛濃縮物の品位低下が起こらな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法を示す図である。
【図2】溶融飛灰中の亜鉛の溶出特性を示す図である。
【図3】溶融飛灰中の鉛の溶出特性を示す図である。
【図4】従来技術の処理方法を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 品川 拓也 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ごみ焼却残渣を溶融処理した際に捕集さ
    れた飛灰に水を加え、必要に応じてアルカリを加えてp
    H7〜11のスラリーを調製した後、このスラリーを固
    液分離し、可溶性塩類が溶出した溶液と重金属が濃縮さ
    れた残渣とに分け、この重金属が濃縮された残渣に水を
    加え、さらに硫酸を加えてpH4〜6のスラリーを調製
    し、このスラリーを固液分離して亜鉛を主体とする重金
    属を含む溶液と鉛を主体とする重金属を含む残渣とに分
    けることを特徴とする溶融飛灰から重金属を回収する方
    法。
  2. 【請求項2】 亜鉛を主体とする重金属を含む溶液にア
    ルカリおよび硫化剤を加えて亜鉛を主体とする重金属を
    沈澱させ、この沈澱物を分離することを特徴とする請求
    項1に記載の溶融飛灰から重金属を回収する方法。
JP26311296A 1996-10-03 1996-10-03 溶融飛灰から重金属を回収する方法 Pending JPH10109077A (ja)

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