JP3896322B2 - 消弧装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開路時、固定電極と可動電極との間に発生するアークを消弧する消弧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の消弧装置としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載の構成が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の消弧装置はアーク吸引用の凹部を有する複数のグリッド(磁性体)がU字ブロック状の絶縁体(消弧材)の背面側に形成された複数の切込み部にそれぞれ装着されることにより構成されている。グリッドの一部は絶縁体の内面中央に形成された細溝から露出している。開路時、アーク柱の周囲にはグリッドの存在により片寄った磁束分布が発生し、アークはグリッドの切欠凹部の奥の方へ駆動される。このため、アークは引き伸ばされると共に各磁性体により分断され、陰極降下電圧が高められる。また、アーク熱により絶縁体から発生した熱分解ガスによりアークの冷却が促進される。この結果、アーク電圧が急激に高められて消弧が完了する。
【0004】
一方、特許文献2に記載の消弧装置はアーク誘引用の切欠きを有し所定の間隔をおいて積層された複数のグリッド板と、各グリッド板の間に所定の間隔をおいて介在された絶縁板(消弧材)とを保持部により支持する構成とされている。開路時、アークはグリッド板の切欠きの奥の方へ駆動される。アークは各グリッド板により分断され、これによりアークの陰極降下電圧が高められる。また、アーク熱がグリッド板に伝導することによりアークが冷却される。このアークの冷却はアーク熱により絶縁板から発生した熱分解ガスによりさらに促進される。この結果、アーク電圧が高められて消弧が完了する。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−77417号公報
【特許文献2】
実開昭63−84822号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のグリッド方式の消弧装置においては、例えば3.6/7.2kV以上の高圧交流負荷開閉器における励磁電流及び充電電流等の数十A(アンペア)以下の小電流を遮断すること、即ち自力消弧(アーク熱により消弧すること)することが困難であった。これは、アーク電流のエネルギー不足により各グリッドに発生する電磁力が弱く、アークを積極的に消弧材(前記絶縁体及び絶縁板)に接触させることができないからである。また、エネルギー不足により開路時に発生する熱も少なく消弧性分解ガスの発生量も少ないことも一因となっている。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、消弧性能を向上させて大電流域だけでなく小電流域のアークをも消弧することができる消弧装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、磁性体により形成されると共に可動電極を通過可能としたグリッド通路を有するグリッドと、絶縁性を有しアークとの接触により消弧性分解ガスを発生する合成樹脂材料により形成されると共に可動電極を通過可能とした消弧部材通路を有する消弧部材とを可動電極の移動方向に交互に配置し、開路時には固定電極から離間した可動電極を前記グリッド通路及び消弧部材通路を順次通過させるようにした消弧装置であって、前記各グリッド通路と各消弧部材通路とから可動電極を通過可能とした可動電極通過部を構成し、前記グリッド通路の最奥部には当該グリッド通路よりも幅を小さくした切欠溝を形成し、この各切欠溝から開路時に固定電極と可動電極との間に発生したアークを誘導するアーク誘導部を構成し、前記アーク誘導部の延長線上には当該アーク誘導部により誘導されたアークを固定するアーク拘束部を設け、前記消弧部材通路の最奥部には当該消弧部材通路よりも幅を小さくした切欠奥溝を形成すると共に、前記消弧部材とグリッドとを交互に積層配置した状態において、この各切欠奥溝内には当該切欠奥溝よりも幅が小さい切欠溝の全体が位置するように各切欠溝を設け、各グリッドのアーク誘導部及びアーク拘束部をそれぞれ露出させるようにしたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の消弧装置において、前記消弧部材にはグリッド間の配置間隔を一定に保持する間隔保持部材が設けられると共に、前記消弧部材通路の互いに対向する内側縁には消弧部材の裏面側へ突出する壁部材が形成されており、前記壁部材と消弧部材の表面及び裏面と間隔保持部材とから形成された凹部は、前記消弧部材の側方における沿面距離を確保する沿面距離増大構造であることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の消弧装置において、前記壁部材と消弧部材の表面及び裏面とがそれぞれグリッドに接触しない程度に間隔保持部材の消弧部材の表面及び裏面からの突出高さを設定するようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の消弧装置において、前記壁部材の後端側に肉厚部を前記消弧部材の切欠奥溝に沿うように連続して形成するようにしたことを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の消弧装置において、前記消弧部材の両側縁における後端側にはグリッドの両側縁からそれぞれ突出する張出部を設けるようにしたことを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の消弧装置において、前記切欠溝の幅を1.5mm以下としたことを要旨とする。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、開路時に固定電極と可動電極との間に発生した数十A(アンペア)以下の小電流に伴うアークはアーク誘導部により各グリッドの奥方へ誘導され、アーク拘束部において固定される。そして、消弧性分解ガスの発生が積極的に促され、この消弧性分解ガスにより消弧される。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の消弧装置の作用に加えて、各グリッドの配置間隔は消弧部材の間隔保持部材により一定に保持される。また、消弧部材通路の互いに対向する内側縁には消弧部材の裏面側へ突出する壁部材が形成されており、壁部材と消弧部材の表面及び裏面と間隔保持部材とから形成された凹部により消弧部材の側方における沿面距離が確保される。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の消弧装置の作用に加えて、壁部材と消弧部材の表面及び裏面とはそれぞれグリッドに接触することがないので、沿面距離の確保が容易となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は請求項3に記載の消弧装置の作用に加えて、消弧部材とアークとの接触により発生した消弧性分解ガスは消弧部材通路及び切欠奥溝を通り、壁部材及び肉厚部を介して後方へ導出される。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の消弧装置の作用に加えて、各グリッドの両側縁間でのアークの発生が抑制される。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の消弧装置の作用に加えて、グリッドの切欠溝の幅が1.5mm以下とされることにより、当該グリッドの奥方への電磁力が確保される。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を開閉器の消弧装置に具体化した第1実施形態を図1〜図9に従って説明する。
【0019】
図1に示すように、開閉器11の本体ケース12の互いに対向する両側壁には電源側ブッシング13及び負荷側ブッシング14が3相各相毎(図1においては1相分のみ示す。)に互いに対向するように貫通支持されている。電源側ブッシング13の内端部には棒状の固定電極15が突設されており、同固定電極15の先端上部には耐弧メタル15aが固定されている。負荷側ブッシング14の内端部には導電棒16が突設されており、同導電棒16には軸17を介して可動電極18の基端部が回動可能に支持されている。図2に二点鎖線で示すように、可動電極18は平行平板状の一対の接触刃18a, 18bを備えている。本実施形態において、接触刃18a, 18bの厚みはそれぞれ4mmとされている。
【0020】
一方、図1に示すように、本体ケース12内の下部には、複数のリンク等からなるリンク機構(図示略)を介して本体ケース12外部の操作ハンドル(図示略)に作動連結された回動軸19が設けられており、同回動軸19にはレバー20が一体回動可能に固定されている。レバー20の先端には駆動リンク21の一端が回動可能に連結されており、同駆動リンク21の他端は可動電極18の中央近傍に回動可能に連結されている。従って、前記操作ハンドルが操作されると、可動電極18は前記リンク機構、回動軸19、レバー20及び駆動リンク21を介して軸17を中心に図1に実線で示す投入位置と同じく二点鎖線で示す開放位置との間を移動する。
【0021】
(消弧装置)
図1に示すように、電源側ブッシング13の内端には消弧装置100が固定用金具Bを介して固定されている。図3〜図5に示すように、消弧装置100は、磁性体により板状に形成された複数のグリッド110と絶縁性及び消弧性を有する合成樹脂材料により板状に形成された複数の消弧部材120とが可動電極18の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置されることにより構成されている。図4〜図6に示すように、各グリッド110及び各消弧部材120はそれぞれ一対の支持部材130間に配置され一括して支持されている。
【0022】
(支持部材)
図3〜図6に示すように、支持部材130は絶縁性を有する合成樹脂材料又は無機材料により一体形成されており、固定電極15に固定される固定具131と同固定具131に対して斜状をなす支持部132とを備えている。支持部132には、2つを1組とする複数組(本実施形態では8組)のグリッド用支持孔133が同支持部132の長手方向において所定間隔毎に形成されている。また、支持部132におけるグリッド用支持孔133の各組間にはそれぞれ消弧部材用支持孔134が形成されている。
【0023】
図5に示すように、消弧部材用支持孔134及びグリッド用支持孔133は互いに連通している。そして、消弧部材120とグリッド110との組み付け時において、消弧部材120の後述する係合突部128を消弧部材用支持孔134へ内側から挿入することにより、同時にグリッド110の突起113を支持部材130に固定可能となっている。
【0024】
(グリッド)
図7に示すように、グリッド110は磁性体(本実施形態では、磁性軟鋼)によりW字板状に形成されている。グリッド110の前端縁(負荷側ブッシング14側の側縁)には接触刃18a,18bをそれぞれ通過可能とした一対のグリッド通路111a,111bが所定間隔をおいて形成されている。グリッド通路111a,111bの互いに対向する内側縁において、少なくとも当該グリッド通路111a,111bを通過する際の接触刃18a,18bにそれぞれ対応する部位が互いに平行をなすように、グリッド通路111a,111bは形成されている。グリッド110に発生する電磁力吸引力増大の観点からグリッド通路111a,111bの幅D1は極力狭くすることが望ましく、本実施形態では接触刃18a, 18bの厚み(4mm)よりも若干広い8mmとされている。
【0025】
両グリッド通路111a,111bの最奥部にはそれぞれ切欠溝としての細溝112a,112bが形成されている。細溝112a,112bの幅D2はグリッド通路111a,111bの幅D1よりも小さくされており、本実施形態では0.5mmとされている。細溝112a,112bはグリッド通路111a,111bと同じ方向に所定の長さL(本実施形態では、L=10mm)となるように奥方(即ち、グリッド110の後端縁側)へ延出されている。細溝112a,112bは前記所定の長さLの範囲において幅D2を一定とした平行溝とされている。この細溝112a,112bの幅D2については後に詳述する。また、グリッド110の両側縁の前端寄りには、それぞれ一対の突起113,113が形成されており、両突起113,113は両支持部材130のグリッド用支持孔133にそれぞれ内側から係合している。
【0026】
(消弧部材)
図2及び図4に示すように、消弧部材120は絶縁性を有し、かつアーク熱により消弧性分解ガスを発生する合成樹脂材料(例えば四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂)によりW字板状に形成されている。従って、消弧部材120はアークとの接触により消弧性分解ガスを発生する。
【0027】
消弧部材120の前端縁(負荷側ブッシング14側の側縁)には接触刃18a,18bをそれぞれ通過可能とした一対の消弧部材通路121a,121bが所定間隔をおいて形成されている。消弧部材通路121a,121bの形状はグリッド通路111a,111bとほぼ一致している(図2参照)。
【0028】
両消弧部材通路121a,121bの最奥部にはそれぞれ奥溝122a,122bが形成されている。奥溝122a,122bは消弧部材通路121a,121bと同じ方向に奥方(即ち、消弧部材120の後端縁側)へ延出されている。奥溝122a,122bの幅は消弧部材通路121a,121bの幅よりも小さくされている。
【0029】
支持部材130,130間において消弧部材120とグリッド110とを交互に積層配置した状態において、消弧装置100を消弧部材120及びグリッド110の積層方向において平面視したとき(図3参照)、奥溝122a,122bと細溝112a,112bとの位置関係は次のようになっている。即ち、図2に示すように、奥溝122a,122b内には細溝112a,112bの全体が位置している。
【0030】
図4及び図6に示すように、消弧部材通路121a,121b及び奥溝122a,122bの互いに対向する内側縁にはそれぞれ壁部材123が消弧部材120の裏面に突出するように形成されている(図2においては図示略)。消弧部材120の裏面に突出した壁部材123の内面は連続したフラット面123aを形成している。壁部材123(厳密には、壁部材123のフラット面123a)は大電流開放時などにおいて当該大電流アークと接触して消弧性分解ガスを発生するアーク接触部材として機能する。
【0031】
また、各壁部材123のうち最も外側に位置する2つの壁部材123と消弧部材120の外側縁との間にはそれぞれ間隔保持部材124が消弧部材120の表面及び裏面に突出するように形成されている。この間隔保持部材124は、支持部材130,130間において消弧部材120とグリッド110とを交互に積層配置したとき、各グリッド110に当接することにより当該各グリッド110の配置間隔を一定に保持する。
【0032】
また、間隔保持部材124の消弧部材120の裏面からの突出長さは、壁部材123の消弧部材120の裏面からの突出長さよりも大きくされている。このため、間隔保持部材124は、支持部材130,130間において消弧部材120とグリッド110とを交互に積層配置したとき、壁部材123、消弧部材120の表面及び同じく裏面はそれぞれグリッド110に接触することはない。そして、壁部材123、消弧部材120の表面及び同じく裏面とグリッド110との間には所定の隙間が形成される。換言すれば、壁部材123と消弧部材120の表面及び裏面とがそれぞれグリッド110に接触しない程度に間隔保持部材124の消弧部材120の表面及び裏面からの突出高さが設定されている。
【0033】
図3及び図6に示すように、間隔保持部材124は消弧部材120とグリッド110と交互に積層配置したときに各消弧部材120の両側(図6における左側及び右側)において各グリッド110間を絶縁する絶縁バリヤを兼用する。また、間隔保持部材124は消弧部材120とグリッド110と交互に積層配置したときに各消弧部材120間の両側を閉塞して前方及び後方にそれぞれ開口した空隙S(図6参照)を形成する。
【0034】
消弧部材120の表面及び裏面において、壁部材123と間隔保持部材124と消弧部材120の表面又は裏面とにより凹部125が形成されている。これにより消弧部材120の側方(消弧部材通路121a,121bの長手方向に対して直交する方向)における沿面距離の増大が図られる。
【0035】
図2に示すように、消弧部材120の両側縁における後端側にはそれぞれ張出部127が形成されている。消弧部材120は張出部127がグリッド110の両側縁からそれぞれ突出するように支持部材130の支持部132間に支持されている。この張出部127により消弧装置100における側部の沿面距離が確保される。
【0036】
消弧部材120の両側縁における前端側にはそれぞれ係合突部128が形成されている。張出部127及び係合突部128はそれぞれの外端縁が同一平面上に位置するように形成されている。両係合突部128,128はそれぞれ両支持部材130,130の消弧部材用支持孔134に内側から係合している。
【0037】
加えて、消弧部材120について説明すると、奥溝122a,122bは空隙122c,122dを介して消弧装置100の後方へ開口している。また、壁部材123の後端側には肉厚部122g,122hが形成されている。図8(b)に示すように、上下バリヤ面122jにおいて、壁部材123の後端側には肉厚部122fが形成されている。この肉厚部122fは消弧部材120の後端側へ向かうにつれて肉厚が小さくなるように形成されており、当該肉厚部122fの表面と上下バリヤ面122jとはテーパ面122eにより連続している。この構成により、アークによる消耗に対処するとともに消弧性分解ガスの円滑な放出が可能となる。
【0038】
また、図2に示すように、上下バリヤ面122jをグリッド110の後端縁から大きく張り出すように設けたことにより、遮断時の消弧性分解ガスを消弧装置100の後方へ円滑に案内するとともに、消弧性分解ガスの戻りによるグリッド110間の雰囲気が短絡しやすい雰囲気となることが回避される。尚、この上下バリヤ面122jの後方への張り出している部位(図2にεで示す範囲)は、消弧装置100の後方に近接して消弧性分解ガス放出の妨げとなる部材がない場合は、グリッド110の後端縁が隠れる程度まで省略するようにしてもよい。ちなみに、グリッド110の後端縁と上下バリヤ面122jの後端縁とが面一になるようにすることを含む。
【0039】
(細溝の寸法)
次に、前記グリッド110における細溝112a,112bの幅D2について説明する。
【0040】
細溝112a,112bの幅D2を決定するために、磁性ステンレス鋼及び磁性軟鋼によりグリッド110を形成し、それぞれについて細溝112a,112bの幅D2を変えて小電流(後述する励磁電流及び充電電流;日本工業規格4605準拠)の遮断試験を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003896322
【0042】
【表2】
Figure 0003896322
【0043】
試験条件は次の通りである。即ち、試験電極構造は棒状電極(固定電極15)とした。可動電極は銅製の直刃二枚(接触刃18a,18b)による挟着接触型とし、接触刃18a,18bの厚みを4mmとした。消弧装置100については、7枚のグリッド110と8つの消弧部材120との交互積層形とした。グリッド110の厚みは1mmとし、消弧部材120の高さは6.5mmとした。
【0044】
ちなみに、高圧交流用の負荷開閉器(3.6/7.2V)は表3に示す定格及び性能が要求されている(日本工業規格JIS4605準拠)。例えば定格電流600A(アンペア)の場合、負荷電流600Aを200回、励磁電流30A及び充電電流10Aをそれぞれ10回遮断可能とすることが要求されている。尚、本実施形態では、負荷電流を大電流(本実施形態では、30Aを超える電流値)、励磁電流及び充電電流のうち、5Aを超え且つ30A以下の電流値を小電流という。また、励磁電流及び充電電流のうち、5A未満の電流値を微小電流という。
【0045】
【表3】
Figure 0003896322
【0046】
表1に示す試験結果から、グリッド110の材質を磁性ステンレス鋼とした場合、細溝112a,112bの幅D2の採り得る範囲は0を越え且つ1.5mm以下となる。また、細溝112a,112bの幅D2を0.3mm以下とすれば、日本工業規格(JIS)の全試験電流域(表3参照)に対してアークを遮断可能となる。換言すれば、アークをグリッド110の細溝112a,112bに拘束することができる。細溝112a,112bの幅D2が小さいほど当該細溝112a,112b奥方への電磁吸引力が強くなるからである。
【0047】
表2に示す試験結果から、グリッド110の材質を磁性軟鉄とした場合、細溝112a,112bの幅D2は0を越え且つ1.5mm以下とすることが望ましい。
【0048】
この範囲を超えると、細溝112a,112bに発生する当該細溝112a,112b奥方への電磁吸引力が十分に得られず、アークを細溝112a,112bの奥に安定して吸引固定することが困難となる。換言すれば、日本工業規格(JIS)の全試験電流域におけるアークをグリッド110の細溝112a,112bに拘束することが困難となる。細溝112a,112bの幅D2が小さいほど当該細溝112a,112b奥方への電磁吸引力が強くなるものの、細溝112a,112bの幅D2が0.3mm以下の場合、厚み1mmのグリッド110に対して細溝112a,112bを形成することが困難でである。そして、電流遮断の繰り返しに伴って細溝112a,112bが閉塞するおそれがある。
【0049】
本実施形態ではグリッド110は磁性ステンレス鋼により形成するようにした。これは、磁性ステンレス鋼は磁性軟鉄に比べて電磁吸引力は劣るものの、耐食性に優れているからである。また、細溝112a,112bの幅D2は0.5mmとした。
【0050】
尚、本実施形態において、細溝112a,112bは後述するアーク誘導部を構成する。また、細溝112a,112bは切欠溝を構成する。凹部125は沿面距離増大構造を構成する。
【0051】
さらに、グリッド通路111a,111b及び消弧部材通路121a,121bは可動電極通過部αを構成する。可動電極通過部αより幅を狭くした消弧部材120の奥溝122a,122b及びグリッド110の細溝112a,112bは所定長さを有するアーク誘導部βを構成する。グリッド110の細溝112a,112bの最奥部の平板部112c,112dのうち消弧部材120の奥溝122a,122b内に露出した部位及び当該奥溝122a,122bはアーク拘束部γを構成する。一対の間隔保持部材124,124及び消弧部材120の表面(上バリヤ面)及び同じく裏面(下バリヤ面)は、消弧部材120の奥溝122a,122bと空隙122c、122dを介して連通するとともに消弧装置100の後方へ開口する空隙部δを構成する。そして、図2に示すように、消弧装置100において、可動電極通過部α、アーク誘導部β、アーク拘束部γ及び空隙部δはそれぞれ可動電極18側からこの順で直列配置されている。
【0052】
アーク誘導部βを構成するグリッド110の細溝112a,112bの両側は所定の幅をもって消弧部材120の奥溝122a,122b内に露出するように配置されている。これは、小電流域のアークに対し、特に電磁力が弱い場合に有効に作用する。即ち、グリッド110の細溝112a,112bにおいて発生した磁束により、アークが細溝112a,112bの最奥部へ誘引されるとき、アークが消弧部材120に接触しにくくなり、この部分での消弧性分解ガスの発生が抑制される。このため、細溝112a,112bにおける内圧の上昇が回避される。例えば小電流域の電磁力の弱い駆動力に対してもその反発力となる内圧の上昇が抑えられる。このため、アークの電磁力による動作が妨げられることがなく、当該アークはアーク拘束部γへ円滑に移行される。
【0053】
(実施形態の作用)
次に、前述のように構成された開閉器の消弧装置の作用について説明する。
図1に実線で示す投入状態において、前記操作ハンドルが開路操作されると、回動軸19を介してレバー20が左回動する。これに伴って、駆動リンク21は上方へ移動され、可動電極18が軸17を中心に右回動する。可動電極18が固定電極15から離間すると、両電極15,18間、即ち固定電極15と両接触刃18a,18bとの間にはそれぞれアークIが発生する。
【0054】
図9に示すように、このアーク柱の周囲にはグリッド110の存在により片寄った磁束分布が発生する。右ねじの法則及びフレミング左手の法則に基づいてグリッド110に発生する電磁力とにより、アークIは常にグリッド110の奥の方(図9における矢印方向)へ駆動され、両グリッド通路111a,111b(図2参照)の最奥部を経て細溝112a,112bの奥に集中し固定される。
【0055】
図2に示すように、消弧部材通路121a,121b内にはグリッド通路111a,111bの全てが露出しているので、アークIは消弧部材120に邪魔されることなく、グリッド110(厳密には、細溝112a,112b)の奥へ円滑に駆動される。
【0056】
グリッド通路111a,111bの互いに対向する内側縁において、少なくとも当該グリッド通路111a,111bを通過する際の可動電極18(厳密には接触刃18a,18b)に対応する部位が互いに平行をなしているので、この部位間に発生する電磁力の強さは一様となる。このため、アークIは安定してグリッド通路111a,111bの奥方へ駆動される。
【0057】
グリッド通路111a,111bの幅D1は、開閉時に接触刃18a, 18bが干渉しない範囲内で極力狭くされているので、例えばグリッド110の前端縁に形成された1つの切欠部内に接触刃18a, 18bを通過させるようにした場合に比べて、グリッド110の奥方への電磁吸引力が増大する。この電磁吸引力はグリッド通路111a,111bの幅D1が小さくなるほど強くなるからである。即ち、切欠部の幅は2枚の接触刃18a, 18bが一括して通過可能となる程度とされるのに対し、グリッド通路111a,111bの幅D1はそれぞれ1枚の接触刃18a, 18bが通過可能となる程度とされている。このため、電磁吸引力の増大が図られる。特に、5A程度の微小電流開放時においては有効である。
【0058】
また、細溝112a,112bの幅D2はグリッド通路111a,111bの幅D1よりもいっそう小さくされているので、細溝112a,112bにはグリッド通路111a,111bよりも強力な電磁吸引力が発生する。このため、例えば、励磁電流や充電電流などの小電流開放時において、アーク時間が長くなってもグリッド通路111a,111b及びアーク誘導部βを構成する細溝112a,112bにそれぞれ発生する強力な電磁力により励磁電流アークや充電電流アークは当該細溝112a,112bの奥に吸引される。そして、この細溝112a,112bの奥に位置するアーク拘束部γにおいて固定(拘束)され、アークスポットが形成される。
【0059】
ちなみに、細溝112a,112bを形成しないようにした場合、励磁電流アークや充電電流アーク等の小電流アークの固定制御が不能となる。即ち、エネルギー不足によりアークIをグリッド通路111a,111bの奥方へ駆動させる電磁吸引力が弱く、グリッド通路111a,111b内の消弧性分解ガス圧が高まるにつれてアークIはグリッド通路111a,111bの前端側へ押し戻される。このため、アークの安定した遮断動作が得られない。
【0060】
このように、アークIは細溝112a,112bの最奥部に集中して固定された状態で引き伸ばされると共に各グリッド110により分断され、陽極・陰極降下及び冷却等が有効に作用して、アーク電圧が急激に高められる。アークはグリッド110におけるアーク拘束部γの中央付近で安定する。
【0061】
一方、グリッド110と消弧部材120とが可動電極18の移動方向に交互に配置されていることにより、アークIは消弧部材120の上下バリヤ面122jの上面(表面)及び下面(裏面)に接触しながらグリッド110の奥の方へさらに駆動される。このとき、アーク熱により消弧部材120の上下バリヤ面122jの上面、同じく下面及び壁部材123からは消弧性分解ガスが発生し、この消弧性分解ガスにより消弧が促進される。これは、特に30Aを超えるような大電流開放時に有効に作用する。
【0062】
即ち、大電流アークはエネルギーが大きく各グリッド110に発生する電磁力吸引力も強い。このため、アークIは一気に細溝112a,112bの奥、ひいては消弧部材120の後方側へ駆動され、消弧部材120の上面及び下面に積極的に接触する。また、微小電流アーク及び小電流アークに比べて発生する熱量も多いので、消弧部材120の上面及び下面からの消弧性分解ガス発生量も十分確保される。また、アーク誘導部βに位置する奥溝122a,122bを形成する壁部材123も消弧性分解ガスの発生に貢献する。
【0063】
消弧部材120は陰性原子の一種であるフッ素を含む合成樹脂(本実施形態では、PFA)により形成されてので、アーク熱により発生した消弧性分解ガスにはアーク中の電子を吸着し易い性質を有する陰性原子の一種であるフッ素原子が含まれている。このフッ素原子がアーク中の電子を吸着することにより消弧性能(電流遮断性能)が高められる。
【0064】
また、接触刃18a, 18bが消弧部材通路121a,121bを通過する際、消弧部材通路121a,121bの内面がアークに曝される。アーク熱により消弧部材通路121a,121bの内面からは消弧性分解ガスが発生し、この消弧性分解ガスによって消弧が促進される。これは、特に微小電流開放時に有効に作用する。
【0065】
即ち、大電流アークに比べて微小電流アークはエネルギーが非常に少なく、各グリッド110に発生する電磁力も弱い。このため、アークが細溝112a,112bの奥まで駆動されない場合がある。このような場合、消弧部材120の上面及び下面からの消弧性分解ガス発生量は大電流開放時に比べて低下する。しかし、この微小電流開放時における消弧性分解ガスの発生熱量の低下は、微小電流アーク点の近傍に位置する消弧部材通路121a,121bの内面から発生した消弧性分解ガスにより補われる。
【0066】
また、消弧部材通路121a,121bの内面から発生した消弧性分解ガスは消弧部材120の奥溝122a,122b内に滞留する。このため、奥溝122a,122b内の消弧性分解ガス圧力が高められる。圧力が高められた消弧性分解ガスがアークIに接触することにより消弧が促進される。これは、例えば励磁電流や充電電流などの小電流開放時においてアーク時間が長くなるような場合に有効に作用する。励磁電流アークや充電電流アークは細溝112a,112bの強力な電磁力により当該細溝112a,112bの奥に誘導されるからである。
【0067】
即ち、通常の負荷電流は電流波形と電圧波形とはそれぞれほぼ同一周期であるため、電流0Aのとき電圧も0Vとなる。このため、遮断は容易である。しかし、励磁電流は電圧の位相が電流の位相よりも90度遅れるため、また、充電電流は電圧の位相が電流の位相よりも90度進むため、電流0Aとなった時点で電圧はピークになり、遮断が困難である。消弧部材120の奥溝122a,122b内において圧力が高められた消弧性分解ガスを励磁電流アーク又は充電電流アークに接触させることにより、電圧がピークである電流0点においても消弧可能となる。
【0068】
さらに、消弧部材通路121a,121bの幅は極力狭くされており、当該消弧部材通路121a,121bの内面(即ち、フラット面123a)は接触刃18a, 18bの両側面にそれぞれ近接している。このため、両接触刃18a, 18bが各消弧部材通路121a,121bを順次通過することにより、細隙効果が得られる。即ち、アークIは消弧部材通路121a,121bを構成するフラット面123a間に閉じ込められて密度の高い状態となり、このいわゆる細隙効果により消弧が促進される。これは、微小電流アークを消弧する場合に有効である。
【0069】
また、グリッド110と消弧部材120とが可動電極18の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置されていることにより、各消弧部材120の内面間に炭化物が連続して付着することが防止される。このため、消弧部材120の内面に連続した炭化面が形成されることがなく、消弧性能の劣化が抑制される。さらに、消弧部材120の表面及び裏面にはそれぞれ凹部125が形成されており当該消弧部材120の側方への沿面距離が確保されている。加えて、消弧部材120の側部には張出部127が形成されている。このため、アークIが各グリッド110の側方へ回り込むことが抑制され、各グリッド110の両側部間でのアークIの発生が防止される。
【0070】
消弧部材通路121a,121b内で発生した消弧性分解ガスはフラット面123aに案内されながら消弧部材120の後方へ導出される。特に大電流開放時においては、アークIの発生に伴って消弧性分解ガスは主にグリッド110及び消弧部材120の後方へ流れる。この消弧性分解ガスによりアークIがグリッド110及び消弧部材120の後方へ吹き飛ばされ、当該アークIがさらに引き伸ばされる。即ち、グリッド110及び消弧部材120の後方へ流れる消弧性分解ガスによるアーク吹き飛ばし効果により、消弧が促進される。尚、壁部材123の外面(フラット面123aの反対側の面)はアーク発生部位の陰になっており、消弧性分解ガスに含まれる金属蒸気等が付着しにくくなっている。このため、連続した汚損面が形成されることがなく、各グリッド110間の沿面距離が確保される。
【0071】
図8(a)に矢印で示すように、消弧部材120の後方へ導出されてきた消弧性分解ガスは大きく開口した前記空隙S(図6参照)を介して消弧装置100の後方へ導かれる。また、消弧性分解ガスが滞留することなく消弧部材120の後方へ抜けると共に新しい雰囲気ガス(空気)が導入される。この結果、消弧部材120の奥溝122a,122bの後方における雰囲気の絶縁抵抗が高まり消弧に寄与する。さらに、新たに導入された雰囲気ガス(空気)によりグリッド110が冷却され、消弧が促進される。
【0072】
一旦、消弧性能を発揮した消弧性分解ガスは金属蒸気や遊離炭素を含んでおり再点弧の原因となるものの、消弧性分解ガスは速やかにグリッド110及び消弧部材120の後方へ導出されることにより再点弧が防止される。可動電極18が図1に二点鎖線で示す開放位置まで移動すると、アークは完全に消弧され開路動作が終了となる。閉路時には前述した開路時とは逆の動作が行われる。
【0073】
(実施形態の効果)
(1)グリッド通路111a,111bの最奥部には開路時に固定電極15と可動電極18との間に発生したアークを消弧装置100の最奥部に形成したアーク拘束部γへ誘導するアーク誘導部βを設けるようにした。具体的には、グリッド通路111a,111bの最奥部に所定長さ(10mm)を有するように切欠形成された細溝112a,112bにおいて、小電流であっても強力な電磁力が発生し、アークはアーク拘束部γへ速やかに誘導される。特に小電流域のアークIを消弧装置100内に拘束することにより、当該アークIと消弧部材120から発生する消弧性分解ガスとの接触時間が確保される。この結果、小電流域のアークIも速やかに消弧することができる。従って、大電流域及び小電流域のいずれのアークIをも消弧することができる。換言すれば、大電流域及び小電流域の遮断性能(JIS4605準拠)をいずれも確保することができる。
【0074】
(2)消弧部材通路121a,121bの互いに対向する側縁部には消弧部材120の側方における沿面距離を確保する沿面距離増大構造を設けるようにした。具体的には、消弧部材通路121a,121bの互いに対向する側縁部に当該消弧部材通路121a,121bに沿うように形成された壁部材123と消弧部材120の表面及び裏面と間隔保持部材124とから形成された凹部125により消弧部材120の側方における沿面距離が確保される。即ち、各グリッド110間の沿面距離が確保される。
【0075】
(3)消弧部材通路121a,121bの最奥部には所定長さを有する奥溝122a,122bを切欠形成すると共に、当該奥溝122a,122bを消弧部材120の奥側に開放させるようにした。このため、消弧部材120とアークIとの接触により発生した消弧性分解ガスは消弧部材通路121a,121b及び奥溝122a,122bを通って消弧部材120の後方、即ち消弧装置100の後方へ導出される。このとき、消弧性分解ガスはフラット面123aにより案内されるので、円滑に消弧部材120の後方へ導かれる。
【0076】
(4)消弧部材に120はグリッド110間の配置間隔を一定に保持する間隔保持部材124を設けるようにした。また、消弧部材通路121a,121bの互いに対向する側縁部に当該消弧部材通路121a,121bに沿うように形成された壁部材123と消弧部材120の表面及び裏面と間隔保持部材124とから形成された凹部125により消弧部材120の側方における沿面距離を確保するようにした。そして、壁部材123と消弧部材120の表面及び裏面とがそれぞれグリッド110に接触しない程度に間隔保持部材124の消弧部材120の表面及び裏面からの突出高さをそれぞれ設定するようにした。このため、各グリッド110間の沿面距離の確保が容易となる。
【0077】
(5)消弧部材120の側縁部には張出部127を設けるようにした。このため、各グリッド110の側縁部間でのアークの発生を抑制することができる。
(6)前記細溝112a,112bの幅は0を越え且つ1.5mm以下である。このため、グリッド110の奥方への電磁吸引力が確保され、小電流域のアークIであっても細溝112a,112bに確保することができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図10〜図13に従って説明する。
図10及び図11に示すように、電源側ブッシング13の内端には消弧装置30が設けられている。消弧装置30は、磁性体により薄板状に形成された複数のグリッド40と絶縁性及び消弧性を有する合成樹脂材料により厚板状に形成された複数の消弧部材50とが可動電極18の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置されることにより構成されている。
【0079】
(グリッド)
図12に示すように、グリッド40は鋼材等の磁性体によりW字薄板状に形成されている。本実施形態において、グリッド40の厚みd1は1mmとされている。グリッド40の前端縁(負荷側ブッシング14側の側縁)には接触刃18a,18bをそれぞれ通過可能とした一対のグリッド通路41a,41bが所定間隔をおいて形成されている。
【0080】
図13に示すように、グリッド通路41a,41bの互いに対向する内側縁において、少なくとも当該グリッド通路41a,41bを通過する際の接触刃18a,18bにそれぞれ対応する部位が互いに平行をなすように、グリッド通路41a,41bは形成されている。グリッド40に発生する電磁力吸引力増大の観点からグリッド通路41a,41bの幅D1は極力狭くすることが望ましく、本実施形態では接触刃18a, 18bの厚み(4mm)よりも若干広い8mmとされている。
【0081】
また、両グリッド通路41a,41bの最奥部にはそれぞれ細溝42a,42bが形成されている。細溝42a,42bの幅D2(図13参照)はグリッド通路41a,41bの幅D1よりも狭くされており、グリッド通路41a,41bと同じ方向に奥方へ延びている。細溝42a,42bの幅D2の採り得る範囲は0.5〜2.0mm、望ましい範囲は0.8mm〜1.8mm、最適な範囲は0.8mm〜1.2mmとされており、本実施形態では細溝42a,42bの幅D2はそれぞれ1.0mmとされている。
【0082】
この範囲を超えると、細溝42a,42bに発生する当該細溝42a,42b奥方への電磁吸引力が十分に得られず、アークを細溝42a,42bの奥に安定して吸引固定できないおそれがある。この範囲未満の場合、グリッド40の組付精度を厳密に管理する必要があり、組付作業効率が低減するおそれがある。グリッド40の四隅にはそれぞれ挿通孔44が形成されている。グリッド40の後端縁において、2つの挿通孔44間には切欠部45が形成されている。本実施形態において、細溝42a,42bは電流拘束部を構成する。
【0083】
(消弧部材)
図12に示すように、消弧部材50は絶縁性及び消弧性を有する合成樹脂材料(例えばPTFE(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素樹脂)によりW字厚板状に形成されており、アークとの接触により消弧性分解ガスを発生する。本実施形態において、消弧部材50の厚みd2は6mm程度とされている。
【0084】
消弧部材50の前端縁(負荷側ブッシング14側の側縁)には接触刃18a,18bをそれぞれ通過可能とした一対の消弧部材通路51a,51bが所定間隔をおいて形成されている。消弧部材通路51a,51bの形状はグリッド通路41a,41bとほぼ一致するように形成されており、その幅W1はグリッド通路41a,41bよりも若干狭い7mmとされている。
【0085】
両消弧部材通路51a,51bの最奥部にはそれぞれ連通溝52a,52bを介して横溝53a,53bが形成されている。換言すれば、消弧部材通路51a,51bの途中には幅狭部Wが設けられており、これにより連通溝52a,52bが形成されている。この幅狭部Wは前記消弧性分解ガスの消弧部材50における開口側への移動を抑制する移動抑制構造を構成する。
【0086】
連通溝52a,52bの幅W2は消弧部材通路51a,51bの幅W1よりも狭くされており、本実施形態では2.5mm程度に設定されている。横溝53a,53bは連通溝52a,52bの延びる方向に対して直交する方向に延びる長孔状に形成されており、連通溝52a,52bは横溝53a,53bの中央付近において連通している。両横溝53a,53bはアーク熱により発生した消弧性分解ガスを滞留させるための圧力室を構成する。
【0087】
消弧部材50の上下両面の四隅にはそれぞれ突部54が形成されており、各突部54にはそれぞれ貫通孔55が形成されている。各突部54はグリッド40と消弧部材50との間隔、ひいては可動電極18の移動方向において互いに隣り合う消弧部材50,50の間隔を一定に保持する間隔保持部材として機能する。グリッド40と消弧部材50とを交互に積層した状態において、可動電極18の移動方向において互いに隣り合う消弧部材50,50の配置間隔d3が所定値(本実施形態では、3mm)となるように、各突部54の突出高さが設定されている。
【0088】
(固定構造)
図11に示すように、消弧装置30は固定電極15の上面に対して支持部材60を介して固定されている。即ち、消弧装置30は支持部材60の上面かつ当該支持部材60の上面に所定の間隔をおいて突設された一対の固定部材61,61間に配置されていると共に、両固定部材61,61の上端部にそれぞれ内方に突設された押え部材62,62により上方から押さえ込まれている。また、各グリッド40の挿通孔44及び消弧部材50の貫通孔55を相互に一致させた状態で消弧装置30の四隅上方からそれぞれ絶縁性を有する固定ボルト63(図12参照)を挿通し、支持部材60に対して締め付けることにより、消弧装置30は支持部材60の上面に対して固定されている。
【0089】
(実施形態の作用)
次に、前述のように構成された開閉器の消弧装置の作用について説明する。
前記操作ハンドルの開路操作により可動電極18が固定電極15から離間すると、両電極15,18間、即ち固定電極15と両接触刃18a,18bとの間にはそれぞれアークが発生する。このアーク柱の周囲にはグリッド40の存在により片寄った磁束分布が発生する。右ねじの法則及びフレミング左手の法則に基づいてグリッド40に発生する電磁力とにより、アークは常にグリッド40の奥方へ駆動され、両グリッド通路41a,41b(図12参照)の最奥部を経て細溝42a,42bの奥に集中し固定される。
【0090】
グリッド通路41a,41bの互いに対向する内側縁において、少なくとも当該グリッド通路41a,41bを通過する際の可動電極18(厳密には接触刃18a,18b)に対応する部位が互いに平行をなすので、この部位間に発生する電磁力は一様となる。このため、アークは安定してグリッド通路41a,41bの奥方へ駆動される。
【0091】
グリッド通路41a,41bの幅D1は、開閉時に接触刃18a, 18bが干渉しない範囲内で極力狭くされているので、例えばグリッド40の前端縁に形成された1つの切欠部内に接触刃18a, 18bを通過させるようにした場合に比べて、グリッド40奥方への電磁吸引力が増大する。これは、グリッド通路41a,41bの幅D1は切欠部の幅よりも狭くなっているからである。即ち、切欠部の幅は2枚の接触刃18a, 18bが一括して通過可能となる程度とされるのに対し、グリッド通路41a,41bの幅D1はそれぞれ1枚の接触刃18a, 18bが通過可能となる程度とされている。このため、電磁吸引力の増大が図られる。特に5A未満の微小電流開放時においては有効である。
【0092】
また、細溝42a,42bの幅D2はグリッド通路41a,41bの幅D1よりもいっそう狭くされているので、細溝42a,42bにはグリッド通路41a,41bよりも強力な電磁吸引力が発生する。このため、例えば、励磁電流や充電電流の開放時においてアーク時間が長くなっても細溝42a,42bに発生する強力な電磁力により励磁電流アークや充電電流アークは細溝42a,42bの奥に吸引固定され、この細溝42a,42bの奥にアークスポットが形成される。ちなみに、細溝42a,42bを形成しないようにした場合、励磁電流アークや充電電流アーク等のアーク固定制御が不能となる。
【0093】
このように、アークは細溝42a,42bの最奥部に集中して固定された状態で引き伸ばされると共に各グリッド40により分断され、陽極・陰極降下及び冷却等が有効に作用して、アーク電圧が急激に高められる。アークはグリッド40における細溝42a,42b最奥部と後端縁との間の中央付近で安定する。
【0094】
一方、グリッド40と消弧部材50とが可動電極18の移動方向に交互に配置されていることにより、アークは消弧部材50の上面及び下面に接触しながらグリッド40の奥の方へ駆動される。このとき、アーク熱により消弧部材50の上面及び下面からは消弧性分解ガスが発生し、この消弧性分解ガスにより消弧が促進される。これは、特に30Aを超えるような大電流開放時に有効に作用する。
【0095】
即ち、大電流アークはエネルギーが大きく各グリッド40に発生する電磁力吸引力も強い。このため、アークは一気に細溝42a,42bの奥、ひいては消弧部材50の後方側へ駆動され、消弧部材50の上面及び下面に積極的に接触する。また、微小電流アーク及び小電流アークに比べて発生する熱量も多いので、消弧部材50の上面及び下面からの消弧性分解ガス発生量も十分確保される。
【0096】
また、接触刃18a, 18bが消弧部材通路51a,51bを通過する際、消弧部材通路51a,51bの内面がアークに曝される。アーク熱により消弧部材通路51a,51bの内面からは消弧性分解ガスが発生し、この消弧性分解ガスによって消弧が促進される。これは、特に微小電流開放時に有効に作用する。
【0097】
即ち、大電流アークに比べて微小電流アークはエネルギーが少なく、各グリッド40に発生する電磁力も弱い。このため、アークが細溝42a,42bの奥まで駆動されない場合がある。このような場合、消弧部材50の上面及び下面からの消弧性分解ガス発生量は大電流開放時に比べて低下する。しかし、この微小電流開放時における消弧性分解ガスの発生熱量の低下は、微小電流アーク点の近傍に位置する消弧部材通路51a,51bの内面から発生した消弧性分解ガスにより補われる。 また、各グリッド40における細溝42a,42b奥のアークスポットをアークが走行する際、各消弧部材50の連通溝52a,52bの突き当たり、即ち横溝53a,53bの奥壁において連通溝52a,52bに対応する部分(以下、「突当り壁」という。)からも消弧性分解ガスが発生する。この消弧性分解ガスによっても消弧が促進される。これは、例えば励磁電流や充電電流などの開放時においてアーク時間が長くなるような場合に有効に作用する。励磁電流アークや充電電流アークは細溝42a,42bの強力な電磁力により当該細溝42a,42bの奥に吸引固定されるからである。
【0098】
前記突当り壁等から発生した消弧性分解ガスの消弧部材50における開口側(反奥側)への移動は、連通溝52a,52bの幅W2が消弧部材通路51a,51bの幅W1よりも狭くされていることにより抑制される。即ち、横溝53a,53b内の消弧性分解ガスは当該横溝53a,53bから出にくくなっている。このため、横溝53a,53b内に存在する消弧性分解ガスは横溝53a,53b内に滞留し且つ貯蔵され、これにより横溝53a,53b内の消弧性分解ガス圧力が高められる。圧力が高められた消弧性分解ガスがアークに接触することにより消弧が促進される。これは、特に励磁電流や充電電流の開放時に有効である。
【0099】
即ち、通常の負荷電流は電流波形と電圧波形とはそれぞれほぼ同一周期であるため、電流0Aのとき電圧も0Vとなる。このため、遮断は容易である。しかし、励磁電流は電圧の位相が電流の位相よりも90度遅れるため、また、充電電流は電圧の位相が電流の位相よりも90度進むため、電流0Aとなった時点で電圧はピークになり、遮断が困難である。横溝53a,53b内において圧力が高められた消弧性分解ガスを励磁電流アーク又は充電電流アークに接触させることにより、電圧がピークである電流0点においても消弧可能となる。
【0100】
さらに、消弧部材通路51a,51bの幅W1は極力狭くされており、当該消弧部材通路51a,51bの内面は接触刃18a, 18bの両側面にそれぞれ近接している。また、グリッド40の厚みd1<消弧部材50の配置間隔d3<消弧部材の厚みd2となるように、当該消弧部材50の厚みd2が一定以上確保されている(図12参照)。このため、両接触刃18a, 18bが各消弧部材通路51a,51bを順次通過することにより、細隙効果が得られる。即ち、アークは消弧部材通路51a,51b間に閉じ込められて密度の高い状態となり、このいわゆる細隙効果により消弧が促進される。
【0101】
また、グリッド40と消弧部材50とが可動電極18の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置されていることにより、消弧部材50の内面(消弧部材通路51a,51b内面、連通溝52a,52b内面、横溝53a,53b内面)に炭化物が連続して付着することが防止される。このため、消弧部材50の内面に連続した炭化面が形成されることがなく、消弧性能の劣化が抑制される。
【0102】
また、グリッド40と消弧部材50との間隙はそれらの全周囲に亘って開放されており、消弧部材通路51a,51b内で発生した消弧性分解ガスを外部に導出可能となっている。特に大電流開放時においては、アークの発生に伴って消弧性分解ガスは主にグリッド40及び消弧部材50の後方へ流れる。この消弧性分解ガスによりアークがグリッド40の後方へ吹き飛ばされ、アークがさらに引き伸ばされる。 即ち、グリッド40の後方へ流れる消弧性分解ガスによるアーク吹き飛ばし効果により、消弧が促進される。一旦、消弧性能を発揮した消弧性分解ガスは金属蒸気を含んでおり再点弧の原因となるものの、消弧性分解ガスは速やかにグリッド40の後方へ導出されるので、再点弧が防止される。可動電極18が図1に二点鎖線で示す開放位置まで移動すると、アークは完全に消弧され開路動作が終了となる。閉路時には前述した開路時とは逆の動作が行われる。
【0103】
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)グリッド通路41a,41bを有するグリッド40と消弧部材通路51a,51bを有する消弧部材50とを可動電極18の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置した。そして、開路時には固定電極15から離間した可動電極18をグリッド通路41a,41b及び消弧部材通路51a,51bを順次通過させるようにした。このため、アークは消弧部材50の上面及び下面に接触しながらグリッド40の奥の方へ駆動される。このとき、アーク熱により消弧部材50の上面及び下面からは消弧性分解ガスが発生し、この消弧性分解ガスにより消弧が促進される。従って、消弧性能を向上させることができる。
(2)同じくグリッド40と消弧部材50とを可動電極18の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置したことにより、消弧部材50の内面(即ち、消弧部材通路51a,51b内面、連通溝52a,52b内面及び横溝53a,53b内面)に炭化物が連続して付着することが防止される。従って、消弧部材50の内面に連続した炭化面が形成されることがなく消弧性能の劣化が抑制される。ひいては消弧性能を長く維持することができる。
【0104】
(3)同じくグリッド40と消弧部材50とを可動電極18の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置したことにより、グリッド40と消弧部材50との間隙はそれらの全周方向に亘って開放される。このため、消弧部材通路51a,51b内で発生した消弧性分解ガスを外部に導出可能となる。特に大電流開放時においては、消弧性分解ガスによりアークがグリッド40の後方へ吹き飛ばされ、アークがさらに引き伸ばされる。即ち、グリッド40の後方へ流れる消弧性分解ガスによるアーク吹き飛ばし効果により、消弧を促進させることができる。
【0105】
(4)消弧部材通路51a,51bの最奥部には消弧性分解ガスを滞留させるための横溝53a,53bを形成した。このため、アーク熱により発生した消弧性分解ガスは横溝53a,53b内に滞留し、これにより横溝53a,53b内の消弧性分解ガス圧力が高められる。圧力が高められた消弧性分解ガスがアークに接触することにより消弧が促進され、ひいては消弧性能を向上させることができる。
【0106】
(5)グリッド40の厚みd1、消弧部材50の厚みd2、消弧部材50の配置間隔d3としたとき、「d1<d3<d2」となるようにグリッド40及び消弧部材50を形成し且つ配置するようにした。即ち、消弧部材50の厚みd2を一定以上確保すると共に複数の消弧部材50を所定の間隔で配置するようにした。このため、両接触刃18a, 18bが各消弧部材通路51a,51bを順次通過することにより細隙効果が得られ、消弧が促進される。従って、大電流アーク及び小電流アークに比べて駆動力の小さな微小電流アークを消弧することができる。即ち、消弧性能を向上させることができる。
【0107】
(6)グリッド通路41a,41bの幅D1は、開閉時に接触刃18a, 18bが干渉しない範囲内で極力狭くするようにした。このため、例えばグリッド40の前端縁に形成された1つの切欠部内に接触刃18a, 18bを通過させるようにした場合に比べて、グリッド40に発生するグリッド40奥方への電磁吸引力を増大させることができる。
【0108】
(7)グリッド通路41a,41bの最奥部には細溝42a,42bを形成し、この細溝42a,42bの幅D2はグリッド通路41a,41bの幅D1よりもいっそう狭くするようにした。このため、細溝42a,42bにはグリッド通路41a,41bよりも強力な電磁吸引力が発生する。従って、例えば、励磁電流又は充電電流の開放時においてアーク時間が長くなっても細溝42a,42bに発生する強力な電磁力により励磁電流アークや充電電流アークを細溝42a,42bの奥に吸引固定することができる。
【0109】
(8)グリッド40の後端縁には切欠部45を形成した。グリッド40と消弧部材50との組み付け状態において、切欠部45は消弧部材50の後端縁よりも内方に位置している。このため、アークが各グリッド40の後端縁間を走行することを防止できる。
【0110】
(9)可動電極18を2枚の接触刃18a, 18bからなるダブルブレード型とした。このため、例えば棒状のバット電極を使用した場合と異なり、グリッド通路41a,41bの幅D1を、より狭くすることができる。ひいては、アークにより発生する電磁力も大きくなる。
【0111】
(10)グリッド通路41a,41bの互いに対向する内側縁において、少なくとも当該グリッド通路41a,41bを通過する際の可動電極18に対応する部位が互いに平行をなすようにグリッド通路41a,41bを形成した。このため、当該部位間に発生する電磁力は一様となり、アークは安定してグリッド通路41a,41bの奥方へ駆動される。従って、消弧装置30の消弧性能を向上させることができる。
【0112】
(11)グリッド通路41a,41bの最奥部には当該グリッド通路41a,41bよりも幅狭とした細溝42a,42bを形成し、当該細溝42a,42bの幅D2は0.5〜2mmの範囲内において設定するようにした。このため、細溝42a,42bに発生する当該細溝42a,42b奥方への電磁吸引力を十分に得ることができる。従って、アークがグリッド40の開口側へ戻ること(アークのリバウンド)を防止することができる。
【0113】
(12)消弧部材通路51a,51bの途中には、幅狭部Wを設けることにより連通溝52a,52bを形成するようにした。連通溝52a,52bの幅W2は消弧部材通路51a,51bの幅W1よりも狭いので、横溝53a,53b内に滞留した消弧性分解ガスは消弧部材50の開口側へ戻りにくくなっている。このため、消弧部材通路51a,51bにおける幅狭部Wよりも奥側に存在する消弧性分解ガス(即ち、横溝53a,53b内に滞留した消弧性分解ガス)の消弧部材50における開口側(反奥側)への移動が抑制される。そして、前記消弧性分解ガスは消弧部材通路51a,51bにおける幅狭部よりも奥側に滞留し、当該奥側における消弧性分解ガス圧力が高められる。従って、消弧装置30の消弧性能をさらに向上させることができる。
【0114】
(別例)
尚、前記両実施形態は以下のように変更して実施してもよい。
・前記第2実施形態では、グリッド40の後端縁に切欠部45を形成することにより、各グリッド40の後端縁間におけるアークの走行を防止するようにしたが、次のようにしてもよい。即ち、グリッド40の切欠部45を形成することなく、消弧部材50の後端縁にグリッド40の後端縁よりも外方へ突出する後端張出し部(図示略)を形成する。このようにしても、各グリッド40の後端縁間におけるアークの走行を防止することができる。
【0115】
・前記第2実施形態において、グリッド40の両側縁にそれぞれ切欠部45のような切欠部(図示略)を形成するようにしてもよい。または、消弧部材50の両側縁にグリッド40の両側縁よりも外方へ突出する側縁張出し部(図示略)を形成してもよい。このようにすれば、アークがグリッド40の側方に回り込むことがなく、各グリッド40の両側縁間におけるアークの走行を防止することができる。遮断不能となる際にはグリッド40の両側縁間をアークが走行することもあり、これが防止される。
【0116】
・前記第2実施形態において、図14に示すように、消弧部材50に対して肉取りを施し、不要な部分を削除するようにしてもよい。即ち、消弧部材50は、消弧部材通路51a,51b、連通溝52a,52b及び横溝53a,53bを構成する壁部材70aと、壁部材70aの外面に形成された補強用壁70bとから主に構成されている。このようにすれば、消弧部材50の厚みをd2で均一にした場合と異なり、消弧部材50の形成に必要とされる材料が少なくなる。このため、消弧部材50の材料コストを低減させることができる。ひいては、消弧装置30の製品コストを低減させることができる。尚、壁部材70aは大電流開放時などにおいて当該大電流アークと接触して消弧性分解ガスを発生するアーク接触部材として機能する。補強用壁70bは図14における上下方向において所定間隔毎に配置されたグリッド40間の絶縁を確保するグリッド間絶縁部材として機能する。
【0117】
・前記第2実施形態では、消弧装置30をダブルブレード型の開閉器に使用したが、ダブルブレード型又はシングルブレード型のロータリ式開閉器に使用するようにしてもよい。即ち、図15に示すように、外部操作可能とした開閉リンク機構の作動により軸71を中心として回動する回転碍子72には、一対の可動電極73,74が互いに反対方向に突設されている。可動電極73,74はそれぞれ2枚の接触刃又は単数枚の接触刃から構成されている。このようにすれば、ロータリ式開閉器において、第2実施形態における(1)〜(12)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0118】
・また、前記第2実施形態において、図16に示すように、消弧装置30をシングルブレード型の開閉器に使用するようにしてもよい。この場合、可動電極75は単数枚の接触刃75aから構成されているので、グリッド通路(図示略)、横溝76a及び消弧部材通路76bはそれぞれ1つずつ形成する。また、固定電極(図示略)は例えば一対の固定接触子を所定間隔だけ離間させると共に両固定接触子間に接触刃75aを挟入可能となるように構成する。このようにすれば、シングルブレード型の開閉器において、第2実施形態における(1)〜(12)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0119】
・また、前記第2実施形態において、図17に示すように、可動電極を同相間方向において抜き差しするタイプの開閉器に消弧装置30を使用するようにしてもよい。この場合、グリッド40及び消弧部材50の配置方向が同相間方向となるように消弧装置30を配置する。また、負荷側ブッシング14の内端部には可撓性を有する導電体77を固定し、この導電体77の先端部に可動電極78の基端部を固定する。さらに、可動電極78の基端部は絶縁性駆動リンク79を介して回動軸80に連結する。従って、回動軸80の回転に伴って可動電極78は同相間方向に移動する。このようにすれば、可動電極を同相間方向において抜き差しするタイプの開閉器において、第2実施形態における(1)〜(12)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0120】
・前記第1及び第2実施形態に係る消弧装置100及び消弧装置30は二酸化炭素(CO)等のガス消弧媒体と併用するようにしてもよい。
・前記第2実施形態において、消弧部材50はハロゲン族の元素(電気陰性度が高い)を含む樹脂であればどのような材料で形成してもよい。
【0121】
・前記第2実施形態においては、消弧部材通路51a,51bに対してそれぞれ1つの横溝53a,53bを設けるようにしたが、図18に示すように、消弧部材通路51a,51bに対してそれぞれ複数の横溝53a,53bを消弧部材通路51a,51bの延びる方向に配置してもよい。
【0122】
・前記第2実施形態において、図19に示すように、横溝53a,53bの奥壁に単数又は複数のガス抜き通路81(図19では2つ)を形成するようにしてもよい。ただし、ガス抜き通路81は横溝53a,53bにおける前記突当り壁を避けて形成することが望ましい。アークが当該突当り壁に突き当たることにより発生する消弧性分解ガス量を低減させないためである。このようにすれば、消弧性分解ガスは消弧部材50の後方へいっそう円滑に流れ、アークの吹き飛ばし効果が向上する。
【0123】
・前記第2実施形態では、消弧部材50の表裏を貫通するように横溝53a,53bを形成したが、横溝53a,53bの一部分のみを貫通させるようにしてもよい。例えば、図20(a),(b)に示すように、横溝53a,53bを凹状に形成し、連通溝52a,52bをそのまま横溝53a,53b内に延設する。このようにしても、第2実施形態における(3),(11)と同様の効果を得ることができる。
【0124】
・前記第2実施形態において、図21に示すように、横溝53a,53bを省略するようにしてもよい。即ち、消弧部材通路51a,51bの奥側の途中に幅狭部Wを設け連通溝52a,52bを形成するだけとする。このようにすれば、消弧部材通路51a,51bにおける幅狭部Wよりも奥側に存在する消弧性分解ガスの消弧部材50における開口側(反奥側)への移動を抑制することができる。
【0125】
・前記第1実施形態では、小電流拘束部を構成するグリッド110の細溝112a,112bをそれぞれ幅D2を一定とした平行溝としたが、奥へ向かうほど幅が狭くなるテーパ溝とするようにしてもよい。例えば図22に示すように、細溝112a,112bの入口部の幅を0.8mmとし、同じく最奥部の幅を0.5mmとする。細溝112a,112bの入口部から最奥部に向かって幅に変化を設けるようにしたことにより、電流遮断の繰り返しに伴う細溝112a,112bの閉塞が抑制される。
【0126】
使用頻度が高くなると細溝112a,112bの入口部でグリッド110の表面及び裏面が荒れてくる。すると、細溝112a,112bの幅D2は極力狭くなるように設定されるため、細溝112a,112bが閉塞するおそれがある。この閉塞が起こりやすい細溝112a,112bの入口部の幅を、小電流の拘束が可能となる範囲で広くすることにより、細溝112a,112bの入口部における閉塞が軽減される。ただし、細溝112a,112bの入口部の幅も前述した細溝112a,112bの幅D2の採り得る範囲内において設定する。
【0127】
・前記第1実施形態において、図23に示すように、グリッド通路111a,111bの互いに対向する内側縁にそれぞれ設けられた一対を一組とする壁部材123,123の後端部に、それぞれガイド壁Gを設けるようにしてもよい。両ガイド壁G,Gは消弧部材120の後方へ向かうにつれて拡開するように形成する。このようにすれば、金属蒸気等を含んだ消弧性分解ガスを消弧部材120の後方により効率的に拡散させることができる。
【0128】
・また、前記第1実施形態において、図23に示すように、消弧部材120の裏面側において、奥溝122a,122bの延長線上にはそれぞれ拡散突部126を形成するようにしてもよい。図23では拡散突部126は台形柱状に形成されており、当該拡散突部126は消弧部材120の後方へ向かうにつれて幅広となるように配置されている。このようにすれば、消弧部材120の後方へ導出されてきた金属蒸気などを含んだ消弧性ガスは拡散突部126により拡散され、当該拡散突部126の後方へ回り込むと共に新鮮な空気と混合され希釈されることにより、雰囲気の絶縁が速やかに回復する。また、消弧性分解ガスを円滑に後方へ導くことができる。そして、消弧性分解ガスが拡散されることにより、消弧部材120の奥溝122a,122bの後方における雰囲気の絶縁抵抗が高まると共に、アークIの経路絶縁抵抗が高まり消弧に寄与する。尚、拡散突部126は四角柱状や三角柱状などに形成するようにしてもよい。
【0129】
・前記第1実施形態において、図6に二点鎖線で示すように、支持部材130の支持部132を絶縁部材Zにより外側から覆うようにしてもよい。厳密には、支持部132の外面に露出しているグリッド110の突起113を絶縁部材Zにより外側から覆う。このようにすれば、各グリッド110の両側縁間でのアークの発生を回避することができる。
【0130】
・前記第1実施形態では、消弧部材120をPFAにより形成するようにしたが、陰性原子の一種であるフッ素を含む合成樹脂材料であれば消弧部材120の材質を任意に変更するようにしてもよい。例えば、消弧部材120の材質を、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレンエチレン共重合体(ETFE)、ポリブリニデンフルオライド(PVdF)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)のうちいずれかにする。また、ポリクロルトリフルオルエチレン、フッ化ビニル、三フッ化エチレン、フッ化ビニリデン及び六フッ化プロピレンのいずれか一つとする。陰性原子としては前述したフッ素の他に例えば塩素、臭素及び硫黄などがある。消弧部材120の材質としてこれらの陰性原子を含む材料を選択するようにすれば、アーク熱により消弧部材120から陰性原子が放出され、この陰性原子によってアーク中の電子が吸着される。従って、消弧性能が高められる。
【0131】
・前記第1及び第2実施形態では、消弧装置100及び消弧装置30をそれぞれ高圧交流負荷開閉器に使用するようにしたが、例えば高圧遮断器に使用することもかのうである。
【0132】
・前記第1及び第2実施形態では、消弧部材120,50とグリッド110,40とを個々に用意して組み付けるようにしたが、図24(a),(b)に示すように、消弧部材120とグリッド110とを一体化してユニットとするようにしてもよい。このようにすれば、消弧部材120,50及びグリッド110,40の積層数を適宜選択して組み付けることが可能となる。
【0133】
(付記)
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)磁性体により形成されると共に可動電極を通過可能としたグリッド通路を有するグリッドと、絶縁性を有しアークとの接触により消弧性分解ガスを発生する合成樹脂材料により形成されると共に可動電極を通過可能とした消弧部材通路を有する消弧部材とを可動電極の移動方向に所定の間隔をおいて交互に配置し、開路時には固定電極から離間した可動電極をグリッド通路及び消弧部材通路を順次通過させるようにした消弧装置であって、前記グリッド通路の互いに対向する内側縁において、少なくとも当該グリッド通路を通過する際の可動電極に対応する部位が互いに平行をなすように当該グリッド通路を形成した消弧装置。
【0134】
この構成によれば、アークは消弧部材に接触しながらグリッドの奥の方へ駆動される。グリッド通路の互いに対向する内側縁において、少なくとも当該グリッド通路を通過する際の可動電極に対応する部位が互いに平行をなすので、この部位間に発生する電磁力は一様となる。このため、アークは安定してグリッド通路の奥方へ駆動される。アーク熱により消弧部材から発生した消弧性分解ガスにより消弧が促進される。
(ロ)前記グリッド通路の最奥部には当該グリッド通路よりも幅狭とした細溝を形成し、当該細溝の幅は0.5〜2mmの範囲内において設定するようにした前記(イ)項に記載の消弧装置。
【0135】
この構成によれば、細溝の幅は0.5〜2mmの範囲内において設定される。このため、細溝におけるグリッド奥方への電磁吸引力が確保され、アークのグリッドにおける開口側への移動が抑制される。
(ハ)前記消弧部材通路の途中には、前記消弧性分解ガスの消弧部材における開口側への移動を抑制する移動抑制構造を設けるようにした前記(イ)項又は(ロ)項に記載の消弧装置。
【0136】
この構成によれば、消弧性分解ガスの消弧部材における開口側への移動が抑制される。このため、消弧性分解ガスは消弧部材通路における移動抑制構造よりも奥側に滞留し、当該奥側における消弧性分解ガス圧力が高められる。
【0137】
(ニ)前記消弧部材通路の最奥部には消弧性分解ガスを滞留させるための圧力室を形成した前記(イ)項に記載の消弧装置。この構成によれば、アーク熱により発生した消弧性分解ガスは圧力室内に滞留し、これにより圧力室内の消弧性分解ガス圧力が高められる。
【0138】
(ホ)前記グリッドの厚みをd1、消弧部材の厚みをd2、消弧部材の配置間隔をd3としたとき、d1<d3<d2となるように消弧部材及びグリッドを形成し且つ配置するようにした前記(イ)項又は(ロ)項に記載の消弧装置。
【0139】
この構成によれば、消弧部材の厚みは一定以上確保される。そして、この複数の消弧部材が所定の間隔で配置されることにより、可動電極が各消弧部材通路を順次通過する際に細隙効果が得られ、消弧が促進される。
【0140】
(ヘ)本体ケースの両側壁に相毎に相対するように貫通支持された一対のブッシングと、一方のブッシングの内端部に設けられた固定電極と、他方のブッシングの内端部に回動可能に設けられて前記固定電極に対して接離可能に対応する可動電極と、前記一方のブッシングの内端部に設けられた前記(イ)項〜(ハ)項のうちいずれか一項に記載の消弧装置を備えた開閉器。
【0141】
この構成によれば、開閉器の遮断性能を確保することができる。
(ト)前記圧力室は複数設けられている前記(ロ)項又は(ハ)項に記載の消弧装置。
【0142】
【発明の効果】
本発明によれば、消弧性能を向上させて大電流域だけでなく小電流域のアークをも消弧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における開閉器の正断面図。
【図2】第1実施形態における消弧装置の平面図。
【図3】第1実施形態における消弧装置の正面図。
【図4】第1実施形態における消弧装置の分解斜視図。
【図5】第1実施形態における消弧装置の分解斜視図。
【図6】第1実施形態における消弧装置の図2における1−1線矢視図。
【図7】第1実施形態におけるグリッドの平面図。
【図8】(a)は第1実施形態における消弧部材の下面図、
(b)は図8における2−2線断面図。
【図9】第1実施形態におけるグリッドの平面図。
【図10】第2実施形態における消弧装置の斜視図。
【図11】第2実施形態における消弧装置の斜視図。
【図12】第2実施形態における消弧装置の分解斜視図。
【図13】第2実施形態における消弧装置の平面図。
【図14】別の実施形態における消弧装置の斜視図。
【図15】別の実施形態における消弧装置の正面図。
【図16】別の実施形態における消弧装置の平面図。
【図17】別の実施形態における消弧装置の正面図。
【図18】別の実施形態における消弧装置の平面図。
【図19】別の実施形態における消弧装置の平面図。
【図20】(a)は別の実施形態における消弧装置の平面図、
(b)は図12(a)における3−3線断面図。
【図21】別の実施形態における消弧装置の平面図。
【図22】別の実施形態におけるグリッドの要部平面図。
【図23】別の実施形態における消弧部材の下面図。
【図24】(a)は別の実施形態における消弧部材の平面図、
(b)は図24(a)における4−4線断面図。
【符号の説明】
11…開閉器、15…固定電極、18,73,74,75,78…可動電極、
18a, 18b…接触刃、30,100…消弧装置、40,110…グリッド 、41a,41b,111a,111b…グリッド通路、
42a,42b,112a,11b…電流拘束部及び切欠溝を構成する細溝、
50,120…消弧部材、
51a,51b,76b,121a,121b…消弧部材通路、
52a,52b…連通溝、53a,53b…圧力室を構成する横溝、
70a,123…壁部材、122a,122b…切欠奥溝を構成する奥溝、
124…間隔保持部材、125…沿面距離増大構造を構成する凹部、
127…張出部、d1…グリッドの厚み、d2…消弧部材の厚み、
d3…消弧部材の配置間隔、D1…グリッド通路の幅、D2…細溝の幅、
I…アーク、W…移動抑制構造を構成する幅狭部、W1…消弧部材通路の幅、
W2…細溝の幅、α…可動電極通過部、β…アーク誘導部、γ…アーク拘束部。

Claims (6)

  1. 磁性体により形成されると共に可動電極を通過可能としたグリッド通路を有するグリッドと、絶縁性を有しアークとの接触により消弧性分解ガスを発生する合成樹脂材料により形成されると共に可動電極を通過可能とした消弧部材通路を有する消弧部材とを可動電極の移動方向に交互に配置し、開路時には固定電極から離間した可動電極を前記グリッド通路及び消弧部材通路を順次通過させるようにした消弧装置であって、
    前記各グリッド通路と各消弧部材通路とから可動電極を通過可能とした可動電極通過部を構成し、
    前記グリッド通路の最奥部には当該グリッド通路よりも幅を小さくした切欠溝を形成し、この各切欠溝から開路時に固定電極と可動電極との間に発生したアークを誘導するアーク誘導部を構成し、
    前記アーク誘導部の延長線上には当該アーク誘導部により誘導されたアークを固定するアーク拘束部を設け、
    前記消弧部材通路の最奥部には当該消弧部材通路よりも幅を小さくした切欠奥溝を形成すると共に、前記消弧部材とグリッドとを交互に積層配置した状態において、この各切欠奥溝内には当該切欠奥溝よりも幅が小さい切欠溝の全体が位置するように各切欠溝を設け、各グリッドのアーク誘導部及びアーク拘束部をそれぞれ露出させるようにした消弧装置。
  2. 前記消弧部材にはグリッド間の配置間隔を一定に保持する間隔保持部材が設けられると共に、前記消弧部材通路の互いに対向する内側縁には消弧部材の裏面側へ突出する壁部材が形成されており、
    前記壁部材と消弧部材の表面及び裏面と間隔保持部材とから形成された凹部は、前記消弧部材の側方における沿面距離を確保する沿面距離増大構造である請求項1に記載の消弧装置。
  3. 前記壁部材と消弧部材の表面及び裏面とがそれぞれグリッドに接触しない程度に間隔保持部材の消弧部材の表面及び裏面からの突出高さを設定するようにした請求項2に記載の消弧装置。
  4. 前記壁部材の後端側に肉厚部を前記消弧部材の切欠奥溝に沿うように連続して形成するようにした請求項2又は請求項3に記載の消弧装置。
  5. 前記消弧部材の両側縁における後端側にはグリッドの両側縁からそれぞれ突出する張出部を設けるようにした請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の消弧装置。
  6. 前記切欠溝の幅を1.5mm以下とした請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の消弧装置。
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