JP3896301B2 - 水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置に関する。
【0002】
【前提構成】
本発明の水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置は、例えば図1・図2( 本発明 )、図3、図4(参考例)、または図5(従来技術)に示すように、次の前提構成を有するものを対象とする。
【0003】
【0004】
【0005】
水冷多気筒エンジンのシリンダブロック ( 1 )内にシリンダジャケット(2)を形成する。前後方向に直列する複数本の各シリンダ(3)(3)同士間にシリンダジャケット(2)の横断水路部分(4)を横断させる。
【0006】
シリンダブロック(1)の上壁(5)のうち、前後の両シリンダ(3)(3)同士間に位置する横断水路上壁部分(6)の左右両側部に、左右一対の各ヘッドボルトボス(7)(7)を前後の両シリンダ(3)(3)と連続させて形成する。両ヘッドボルトボス(7)(7)間で、横断水路上壁部分(6)に上り冷却水路(8)を上向きに貫通させる。
【0007】
ウオータポンプ(10)によりシリンダジャケット(2)内に圧送されてきた冷却水の一部を、横断水路部分(4)および上り冷却水路(8)を順に通過させて、シリンダヘッド(11)内のヘッドジャケット(12)内に流入させるように構成する。
シリンダブロック(1)の砂型鋳造後に横断水路部分(4)の水路天井面(13)に付着した鋳物砂を落とすための鋳物砂落とし操作口(14)を、シリンダジャケット(2)の横側壁(15)に開口する。
【0008】
【従来の技術】
上記前提構成において、横断水路上壁部分(6)を冷却するための構成として、従来技術では図5に示すものがあり、この従来技術では、前記横断水路部分(4)の水路天井面(13)は、前記左右一対のヘッドボルトボス(7)(7)のボス下端面(16)に対して、同じ高さで横一直線状に形成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、次の問題がある。
[ イ. 熱負荷の特に高い横断水路上壁部分(6)は、その平均厚さが厚い分だけ冷却性能が悪く、エンジンの高負荷連続運転時の過熱を抑制し難い。 ]
【0010】
横断水路上壁部分(6)は、周知のとおり、前後の両シリンダ(3)(3)内の両燃焼室から高温高圧の燃焼熱を受けるため、熱負荷が特に高く、エンジンの高負荷連続運転時に過熱され易い。
【0011】
横断水路上壁部分(6)の平均厚さは、ヘッドボルトボス(7)の長さと比べて、同じ寸法の厚いものとなる。このため、熱負荷の特に高い横断水路上壁部分(6)は、その平均厚さが厚い分だけ冷却性能が悪く、エンジンの高負荷連続運転時の過熱を抑制し難い。
【0012】
本発明の課題は、次のようにすることにある。
(イ).熱負荷の特に高い横断水路上壁部分は、その平均厚さを薄くして冷却性能を高めることにより、エンジンの高負荷連続運転時の過熱を抑制できるようにする。
(ロ).横断水路部分の水路天井面の鋳物砂落とし作業を容易にできるようにする。
【0013】
(ハ).熱負荷の最も高い横断水路上壁部分の中央肉壁部分は、「1. 上り冷却水路内を流れる冷却水で直接強力に冷却する事」と、「2. 水路下端入口部に冷却水が流れ込み易くして、上り冷却水路内の冷却水量を多くする事」との相乗効果により、強力に冷却して、エンジンの高負荷連続運転時の過熱の抑制効果を、さらに向上させるようにする。
【0014】
(ニ).「1. シリンダ内の燃焼高圧ガスのヘッドガスケット接当面から外部への漏れ出しを防止する事」と、「2. シリンダ内の燃焼高圧ガスのヘッドガスケット接当面から上り冷却水路への漏れ出しを防止する事」とを、両立させる。
(ホ).横断水路部分内の上部空間内を流れる冷却水を上り冷却水路へ案内することにより、熱負荷の特に高い上り冷却水路(8)内を流れる冷却水量を多くして、横断水路上壁部分冷却性能を一層向上させる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0016】
【0017】
【0018】
○ 発明1. 請求項1. 図1・図2参照.
請求項1に係る発明1は、前記前提構成において、次のようにしたことを特徴とする。
前記横断水路部分(4)の水路天井面(13)は、前記左右一対のヘッドボルトボス(7)(7)のボス下端面(16)に対して高く凹入させる。
【0019】
前後のシリンダ(3)(3)の両シリンダ軸心(3S)(3S)を通るシリンダ軸心面(9)を想定する。前記水路天井面(13)のうちの、シリンダ軸心面(9)よりも鋳物砂落とし操作口(14)に近い側に位置する操作口側天井面部分(17)のボス下端面(16)からの第1立上り面部分(18)を上り凹曲状または上り傾斜状に形成し、鋳物砂落とし操作口(14)から遠い側に位置する反操作口側天井面部分(19)のボス下端面(16)からの第2立上り面部分(20)を、第1立上り面部分 (18) よりも急な上り凹曲状または急な上り傾斜状に形成する。
【0020】
【0021】
前記横断水路上壁部分(6)に貫通させた上り冷却水路(8)は、シリンダ軸心面(9)を貫通する斜め横上向きに方向づけ、この斜め横上向きの上り冷却水路(8)の水路下端入口部(21)は前記反操作口側天井面部分(19)に開口させる。これに対し、その水路上端出口部(22)は前記横断上壁部分(6)の上面のうちの前記シリンダ軸心面(9)よりも前記鋳物砂落とし操作口(14)に近い側の上面部分に開口させる。
【0022】
【0023】
前記シリンダ軸心面(9)を起点として、鋳物砂落とし操作口(14)から遠い側のヘッドボルトボス(7)の偏心寸法(L1)に比べ、鋳物砂落とし操作口(14)に近い側のヘッドボルトボス(7)の偏心寸法(L2)を長く設定したことを特徴とする。
【0024】
○ 発明2. 請求項2. 図1参照.
請求項2に係る発明2は、前記前提構成において、次のようにしたことを特徴とする。
前記横断水路部分 ( 4 ) の水路天井面 (13) は、前記左右一対のヘッドボルトボス ( 7 )( 7 ) のボス下端面 (16) に対して高く凹入させ、
前後のシリンダ ( 3 )( 3 ) の両シリンダ軸心 ( 3S )( 3S ) を通るシリンダ軸心面 ( 9 ) を想定し、前記水路天井面 (13) のうちの、シリンダ軸心面 ( 9 ) よりも鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側に位置する操作口側天井面部分 (17) のボス下端面 (16) からの第1立上り面部分 (18) を上り凹曲状または上り傾斜状に形成し、鋳物砂落とし操作口 (14) から遠い側に位置する反操作口側天井面部分 (19) のボス下端面 (16) からの第2立上り面部分 (20) を、第1立上り面部分 (18) よりも急な上り凹曲状または急な上り傾斜状に形成し、
前記横断水路上壁部分 ( 6 ) に貫通させた上り冷却水路 ( 8 ) は、シリンダ軸心面 ( 9 ) を貫通する斜め横上向きに方向づけ、この斜め横上向きの上り冷却水路 ( 8 ) の水路下端入口部 (21) は前記反操作口側天井面部分 (19) に開口させるのに対し、その水路上端出口部 (22) は前記横断上壁部分 ( 6 ) の上面のうちの前記シリンダ軸心面 ( 9 ) よりも前記鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側の上面部分に開口させ、
前記横断水路部分(4)内において、冷却水(23)が鋳物砂落とし操作口(14)に近い側から遠い側に向かって流れるように構成したことを特徴とする。
【0025】
【発明の効果】
本発明の水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置は、つぎの効果を奏する。
○ 発明1. 請求項1. 図1・図2参照.
[ イ. 熱負荷の特に高い横断水路上壁部分(6)は、その平均厚さが薄くなった分だけ冷却性能が高まり、エンジンの高負荷連続運転時の過熱を抑制することができる。 ]
【0026】
横断水路上壁部分(6)は、周知のとおり、前後の両シリンダ(3)(3)内の両燃焼室から高温高圧の燃焼熱を受けるため、熱負荷が特に高く、エンジンの高負荷連続運転時に過熱され易い。
【0027】
この問題に対処するために、本発明1ではつぎのように構成する。前記横断水路部分(4)の水路天井面(13)は、前記左右一対のヘッドボルトボス(7)(7)のボス下端面(16)に対して高く凹入させる。
【0028】
前後のシリンダ(3)(3)の両シリンダ軸心(3S)(3S)を通るシリンダ軸心面(9)を想定する。前記水路天井面(13)のうちの、シリンダ軸心面(9)よりも鋳物砂落とし操作口(14)に近い側に位置する操作口側天井面部分(17)のボス下端面(16)からの第1立上り面部分(18)を、上り凹曲状または上り傾斜状に形成する。これに対し、鋳物砂落とし操作口(14)から遠い側に位置する反操作口側天井面部分(19)のボス下端面(16)からの第2立上り面部分(20)を、第1立上り面部分 (18) よりも急な上り凹曲状または急な上り傾斜状に形成する。
【0029】
この構成から、横断水路上壁部分(6)の平均厚さはヘッドボルトボス(7)の長さと比べて、水路天井面(13)を凹入させた分だけ薄くなるうえ、反操作口側天井面部分(19)のボス下端面からの第2立上り面部分(20)を急な上り形状にした分だけ更に薄くなる。
【0030】
このため、熱負荷の特に高い横断水路上壁部分(6)は、その平均厚さが薄くなった分だけ、冷却性能が高まり、エンジンの高負荷連続運転時の過熱を抑制することができる。
【0031】
[ ロ. 操作口側天井面部分(17)は、第1立上り面部分 (18)の上り角度が緩やかになった分だけ、ショットブラストなどの噴射流がヘッドボルトボス(7)のボス下端面(16)に邪魔される度合いが小さくなり、その鋳物砂落とし作業が容易になる。 ]
【0032】
上記効果[イ.横断水路上壁部分(6)の冷却性能が高めること]を得るための手段として、水路天井面(13)はヘッドボルトボス(7)のボス下端面(16)に対して高く凹入させることが必要である。
【0033】
この場合、水路天井面(13)の中でも操作口側天井面部分(17)は、鋳造後の鋳物砂落とし時に、鋳物砂落とし操作口(14)からのショットブラストなどの噴射流が、ヘッドボルトボス(7)のボス下端面(16)に邪魔され易いため、その鋳物砂落とし作業が困難になる。
【0034】
本発明では、操作口側天井面部分(17)のボス下端面(16)からの第1立上り面部分(18)の上り角度を第2立上り面部分 (20) よりも緩やかに形成した。
【0035】
この構成から、操作口側天井面部分(17)は、第1立上り面部分 (18)の上り角度が緩やかになった分だけ、ショットブラストなどの噴射流がヘッドボルトボス(7)のボス下端面(16)に邪魔される度合いが小さくなり、その鋳物砂落とし作業が容易になる。
【0036】
[ ハ. 熱負荷の最も高い横断水路上壁部分(6)の中央肉壁部分は、「1. 上り冷却水路(8)内を流れる冷却水で直接強力に冷却される事」と、「2. 水路下端入口部(21)に冷却水が流れ込み易くなって、上り冷却水路(8)内の冷却水量が多くなる事」との、相乗効果により強力に冷却されるため、エンジンの高負荷連続運転時の過熱の抑制効果を、さらに向上させることができる。 ]
【0037】
周知のとおり、横断水路上壁部分(6)の中でも、その左右方向の中央肉壁部分は、これの左右両側の肉壁部分よりも薄くなっている分だけ、熱負荷が最も高くなる。
【0038】
この問題を解決するために、本発明2では次のように構成した。
前記横断水路上壁部分(6)に貫通させた上り冷却水路(8)は、シリンダ軸心面(9)を貫通する斜め横上向きに方向づける。この斜め横上向きの上り冷却水路(8)の水路下端入口部(21)は、前記反操作口側天井面部分(19)に開口させる。これに対し、その水路上端出口部(22)は前記横断上壁部分(6)の上面のうちの前記シリンダ軸心面(9)よりも前記鋳物砂落とし操作口(14)に近い側の上面部分に開口させる。
【0039】
この構成から、 1. この熱負荷の最も高い横断水路上壁部分(6)の中央肉壁部分は、その肉壁内に上り冷却水路(8)が斜め横上向きに横断しており、その上り冷却水路(8)内を流れる冷却水で直接強力に冷却される。
【0040】
2. しかも、斜め上向きの上り傾斜水路(8)の水路下端入口部(21)は、高くて広い反操作口側天井面部分(19)に開口しているので、冷却水が流れ込み易くなる。これにより、上り傾斜水路(8)内を流れる冷却水の水量が多くなる分だけ、横断水路上壁部分(6)の中央肉壁部分の冷却性能が更に高まる。
【0041】
3. 以上のように、熱負荷の最も高い横断水路上壁部分(6)の中央肉壁部分は、上記「1. 上り冷却水路(8)内を流れる冷却水で直接強力に冷却される事」と、上記「2. 水路下端入口部(21)に冷却水が流れ込み易くなって、上り冷却水路(8)内の冷却水量が多くなる事」との、相乗効果により強力に冷却される。このため、エンジンの高負荷連続運転時の過熱の抑制効果を、さらに向上させることができる。
【0042】
[ ニ. 「1. シリンダ(3)内の燃焼高圧ガスのヘッドガスケット接当面から外部への漏れ出しを防止する事」と、「2. シリンダ(3)内の燃焼高圧ガスのヘッドガスケット接当面から上り冷却水路(8)への漏れ出しを防止する事」とを、両立させる。 ]
【0043】
本発明では、前記シリンダ軸心面(9)を起点として、鋳物砂落とし操作口(14)から遠い側のヘッドボルトボス(7)の偏心寸法(L1)に比べて、鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側のヘッドボルトボス ( 7 ) の偏心寸法 ( L2 ) を長く設定する。
【0044】
1. この構成から、ヘッドボルトボス(7)がシリンダ(3)の内周面に近づいた分だけ、シリンダ(3)とシリンダヘッド(11)とのヘッドガスケットを挟んでのヘッドボルトの締め付け力による封止力が高まる。このため、シリンダ(3)内での燃焼高圧ガスが、ヘッドガスケットの接当面から外部へ漏れ出すことを、強力に防止することができる。
【0045】
2. この構成から、ヘッドボルトボス(7)がシリンダ(3)の内周面から遠くなる分だけ、シリンダブロック(1)の上端面における、上り冷却水路(8)の水路上端出口部(22)が開口する部分での、前後両シリンダ(3)(3)同士間の肉壁幅が大きくなる。このため、シリンダ(3)内の燃焼高圧ガスが、ヘッドガスケットの接当面から上り冷却水路(8)へ漏れ出すことを、強力に防止することができる。
【0046】
3. 以上のように、上記「1. シリンダ(3)内の燃焼高圧ガスのヘッドガスケット接当面から外部への漏れ出しを防止する事」と、上記「2. シリンダ(3)内の燃焼高圧ガスのヘッドガスケット接当面から上り冷却水路(8)への漏れ出しを防止する事」とを、両立させることができる。
【0047】
○ 発明2. 請求項2. 図1参照.
請求項2に係る発明2は、上記発明1の効果[イ]・[ロ]・[ハ]に加えて、つぎの効果を奏する。
[ ホ. 横断水路部分(4)内の上部空間内を流れる冷却水は、水路天井面(13)下の凹入空間に入り、反操作口側天井面部分(19)の急な上り形状の立上り面部分(20)で受け止められて、上り冷却水路(8)へ案内されて行くため、熱負荷の特に高い上り冷却水路(8)内を流れる冷却水量が多くなり、横断水路上壁部分(6)の冷却性能が一層向上する。 ]
【0048】
本発明では、前記横断水路部分(4)内において、冷却水(23)が鋳物砂落とし操作口(14)に近い側から遠い側に向かって流れるように構成した。
【0049】
この構成から、横断水路部分(4)内の上部空間内を流れる冷却水は、水路天井面(13)下の凹入空間に入り、反操作口側天井面部分(19)の急な上り形状の立上り面部分(20)で受け止められて、上り冷却水路(8)へ案内されて行く。
このため、熱負荷の特に高い上り冷却水路(8)内を流れる冷却水量が多くなり、横断水路上壁部分(6)の冷却性能が一層向上する。
○ 発明3. 請求項3. 図1参照.
請求項3に係る発明3は、上記発明1と発明2の効果[イ]・[ロ]・[ハ] [ ニ ] ・ [ ホ ] を奏する。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置の実施の形態を、図面に基づき説明する。
【0051】
○ 実施形態 請求項1・2・3. 図1・図2参照.
図1・図2は本発明の水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置の実施形態を示す。図1(A)は水冷多気筒縦形ディーゼルエンジンのシリンダブロックのシリンダ同士間水冷装置の縦断正面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図。図2は水冷多気筒縦形ディーゼルエンジンの強制水冷装置の縦断右側面図である。
【0052】
図2において、符号(1)はシリンダブロック、(11)はシリンダヘッド、(31)はピストン、(32)はクランク軸である。符号(33)はオイルパン、(34)はヘッドカバー、(35)はラジエータ、(35)はラジエータファンである。
【0053】
シリンダブロック(1)内のシリンダジャケット(2)内の冷却水は、ウオーターポンプ(10)の送水作用により、シリンダジャケット(2)から、昇水孔(40)・シリンダヘッド(11)内のヘッドジャケット(12)・サーモスタット(37)・温水ホース(38)・ラジエータ(35)・冷水ホース(39)・ウオーターポンプ(10)を順に通って、シリンダジャケット(2)内に戻されて循環する。
【0054】
図1に示すように、水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置のシリンダブロック(1)内にシリンダジャケット(2)を形成する。前後方向に直列する複数本の各シリンダ(3)(3)同士間に、シリンダジャケット(2)の横断水路部分(4)を横断させる。
【0055】
シリンダブロック(1)の上壁(5)のうち、前後の両シリンダ(3)(3)同士間に位置する横断水路上壁部分(6)の左右両側部に、左右一対の各ヘッドボルトボス(7)(7)を前後の両シリンダ(3)(3)と連続させて形成する。両ヘッドボルトボス(7)(7)間で、横断水路上壁部分(6)に上り冷却水路(8)を上向きに貫通させる。
【0056】
ウオータポンプ(10)によりシリンダジャケット(2)内に圧送されてきた冷却水の一部を、横断水路部分(4)および上り冷却水路(8)を順に通過させて、シリンダヘッド(11)内のヘッドジャケット(12)内に流入させるように構成する。
シリンダブロック(1)の砂型鋳造後に、横断水路部分(4)の水路天井面(13)に付着した鋳物砂を落とすための鋳物砂落とし操作口(14)を、シリンダジャケット(2)の横側壁(15)に開口する。
【0057】
前記横断水路部分(4)の水路天井面(13)は、前記左右一対のヘッドボルトボス(7)(7)のボス下端面(16)に対して高く凹入させる。
【0058】
前後のシリンダ(3)(3)の両シリンダ軸心(3S)(3S)を通るシリンダ軸心面(9)を想定する。前記水路天井面(13)のうちの、シリンダ軸心面(9)よりも鋳物砂落とし操作口(14)に近い側に位置する操作口側天井面部分(17)のボス下端面(16)からの第1立上り面部分(18)を上り凹曲状に形成し、鋳物砂落とし操作口(14)から遠い側に位置する反操作口側天井面部分(19)のボス下端面(16)からの第2立上り面部分(20)を、第1立上り面部分 (18) よりも急な上り凹曲状に形成する。第1立上り面部分 (18) は上り凹曲状または上り傾斜状に形成し、第2立上り面部分 (20) は、第1立上り面部分 (18) よりも急な上り凹曲状または急な上り傾斜状に形成すればよい。
【0059】
前記横断水路上壁部分(6)に貫通させた上り冷却水路(8)は、シリンダ軸心面(9)を貫通する斜め横上向きに方向づける。この斜め横上向きの上り冷却水路(8)の水路下端入口部(21)は前記反操作口側天井面部分(19)に開口させる。これに対し、その水路上端出口部(22)は前記横断上壁部分(6)の上面のうちの前記シリンダ軸心面(9)よりも前記鋳物砂落とし操作口(14)に近い側の上面部分に開口させる。
【0060】
前記シリンダ軸心面(9)を起点として、鋳物砂落とし操作口(14)から遠い側のヘッドボルトボス(7)の偏心寸法(L1)に比べ、鋳物砂落とし操作口(14)に近い側のヘッドボルトボス(7)の偏心寸法(L2)を長く設定する。
前記横断水路部分(4)内において、冷却水(23)が鋳物砂落とし操作口(14)に近い側から遠い側に向かって流れるように構成したものである。
【0061】
○ 参考例1. 図3参照.
この参考例1は、上記実施形態の構成において、その一部を次のように変更したものである。
【0062】
前記上り冷却水路(8)は、上記実施形態の図1に示す斜め上向きに方向づけた1本の上り冷却水路(8)に代えて、図3に示すように真上向きに方向づけた左右に並列する3本の上り冷却水路(8)( 8 )( 8 )に変更したものである。
【0063】
○ 参考例2. 図4参照.
この参考例2は、上記実施形態の構成において、その一部を次のように変更したものである。
【0064】
前記上り冷却水路(8)は、上記実施形態の図1に示す斜め上向きに方向づけた1本の上り冷却水路(8)に代えて、図に示すように真上向きに方向づけた左右に並列する2本の上り冷却水路(8)( 8 )に変更したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1・図2は本発明の水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置の実施形態1を示す。図1(A)は水冷多気筒縦形ディーゼルエンジンのシリンダブロックのシリンダ同士間水冷装置の縦断正面図。図1(B)は図1(A)のB−B線断面図。
【図2】 水冷多気筒縦形ディーゼルエンジンの強制水冷装置の縦断右側面図。
【図3】 本発明の参考例1を示す、水冷多気筒縦形ディーゼルエンジンのシリンダブロックのシリンダ同士間水冷装置の縦断正面図。
【図4】 本発明の参考例2を示す、水冷多気筒縦形ディーゼルエンジンのシリンダブロックのシリンダ同士間水冷装置の縦断正面図。
【図5】 従来技術の水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置を示す縦断正面図。
【符号の説明】
1…シリンダブロック、 2…シリンダジャケット、 3…シリンダ、 3S…シリンダ軸心、 4…横断水路部分、 5…1の上壁、 6…横断水路上壁部分、 7…ヘッドボルトボス、 8…上り冷却水路、 9…シリンダ軸心面、 10…ウオータポンプ、 11…シリンダヘッド、 12…ヘッドジャケット、13…水路天井面、 14…鋳物砂落とし操作口、 15…横側壁、 16…ボス下端面、 17…操作口側天井面部分、 18…第1立上り面部分、 19…反操作口側天井面部分、 20…第2立上り面部分、 21…水路下端入口部、 22…水路上端出口部、 23…冷却水、 L1・L2…偏心寸法。
Claims (3)
- 水冷多気筒エンジンのシリンダブロック ( 1 ) 内にシリンダジャケット ( 2 ) を形成し、前後方向に直列する複数本の各シリンダ ( 3 )( 3 ) 同士間にシリンダジャケット ( 2 ) の横断水路部分 ( 4 ) を横断させ、
シリンダブロック ( 1 ) の上壁 ( 5 ) のうち、前後の両シリンダ ( 3 )( 3 ) 同士間に位置する横断水路上壁部分 ( 6 ) の左右両側部に、左右一対の各ヘッドボルトボス ( 7 )( 7 ) を前後の両シリンダ ( 3 )( 3 ) と連続させて形成し、両ヘッドボルトボス ( 7 )( 7 ) 間で、横断水路上壁部分 ( 6 ) に上り冷却水路 ( 8 ) を上向きに貫通させ、
ウオータポンプ (10) によりシリンダジャケット ( 2 ) 内に圧送されてきた冷却水の一部を、横断水路部分 ( 4 ) および上り冷却水路 ( 8 ) を順に通過させて、シリンダヘッド (11) 内のヘッドジャケット (12) 内に流入させるように構成し、
シリンダブロック ( 1 ) の砂型鋳造後に横断水路部分 ( 4 ) の水路天井面 (13) に付着した鋳物砂を落とすための鋳物砂落とし操作口 (14) をシリンダジャケット ( 2 ) の横側壁 (15) に開口して構成した水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置において、
前記横断水路部分 ( 4 ) の水路天井面 (13) は、前記左右一対のヘッドボルトボス ( 7 )( 7 ) のボス下端面 (16) に対して高く凹入させ、
前後のシリンダ ( 3 )( 3 ) の両シリンダ軸心 ( 3S )( 3S ) を通るシリンダ軸心面 ( 9 ) を想定し、前記水路天井面 (13) のうちの、シリンダ軸心面 ( 9 ) よりも鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側に位置する操作口側天井面部分 (17) のボス下端面 (16) からの第1立上り面部分 (18) を上り凹曲状または上り傾斜状に形成し、鋳物砂落とし操作口 (14) から遠い側に位置する反操作口側天井面部分 (19) のボス下端面 (16) からの第2立上り面部分 (20) を、第1立上り面部分 (18) よりも急な上り凹曲状または急な上り傾斜状に形成し、
前記横断水路上壁部分 ( 6 ) に貫通させた上り冷却水路 ( 8 ) は、シリンダ軸心面 ( 9 ) を貫通する斜め横上向きに方向づけ、この斜め横上向きの上り冷却水路 ( 8 ) の水路下端入口部 (21) は前記反操作口側天井面部分 (19) に開口させるのに対し、その水路上端出口部 (22) は前記横断上壁部分 ( 6 ) の上面のうちの前記シリンダ軸心面 ( 9 ) よりも前記鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側の上面部分に開口させ、
前記シリンダ軸心面(9)を起点として、鋳物砂落とし操作口(14)から遠い側のヘッドボルトボス(7)の偏心寸法(L1)に比べて、鋳物砂落とし操作口(14)に近い側のヘッドボルトボス(7)の偏心寸法(L2)を長く設定した、ことを特徴とする水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置。 - 水冷多気筒エンジンのシリンダブロック ( 1 ) 内にシリンダジャケット ( 2 ) を形成し、前後方向に直列する複数本の各シリンダ ( 3 )( 3 ) 同士間にシリンダジャケット ( 2 ) の横断水路部分 ( 4 ) を横断させ、
シリンダブロック ( 1 ) の上壁 ( 5 ) のうち、前後の両シリンダ ( 3 )( 3 ) 同士間に位置する横断水路上壁部分 ( 6 ) の左右両側部に、左右一対の各ヘッドボルトボス ( 7 )( 7 ) を前後の両シリンダ ( 3 )( 3 ) と連続させて形成し、両ヘッドボルトボス ( 7 )( 7 ) 間で、横断水路上壁部分 ( 6 ) に上り冷却水路 ( 8 ) を上向きに貫通させ、
ウオータポンプ (10) によりシリンダジャケット ( 2 ) 内に圧送されてきた冷却水の一部を、横断水路部分 ( 4 ) および上り冷却水路 ( 8 ) を順に通過させて、シリンダヘッド (11) 内のヘッドジャケット (12) 内に流入させるように構成し、
シリンダブロック ( 1 ) の砂型鋳造後に横断水路部分 ( 4 ) の水路天井面 (13) に付着した鋳物砂を落とすための鋳物砂落とし操作口 (14) をシリンダジャケット ( 2 ) の横側壁 (15) に開口して構成した水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置において、
前記横断水路部分 ( 4 ) の水路天井面 (13) は、前記左右一対のヘッドボルトボス ( 7 )( 7 ) のボス下端面 (16) に対して高く凹入させ、
前後のシリンダ ( 3 )( 3 ) の両シリンダ軸心 ( 3S )( 3S ) を通るシリンダ軸心面 ( 9 ) を想定し、前記水路天井面 (13) のうちの、シリンダ軸心面 ( 9 ) よりも鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側に位置する操作口側天井面部分 (17) のボス下端面 (16) からの第1立上り面部分 (18) を上り凹曲状または上り傾斜状に形成し、鋳物砂落とし操作口 (14) から遠い側に位置する反操作口側天井面部分 (19) のボス下端面 (16) からの第2立上り面部分 (20) を、第1立上り面部分 (18) よりも急な上り凹曲状または急な上り傾斜状に形成し、
前記横断水路上壁部分 ( 6 ) に貫通させた上り冷却水路 ( 8 ) は、シリンダ軸心面 ( 9 ) を貫通する斜め横上向きに方向づけ、この斜め横上向きの上り冷却水路 ( 8 ) の水路下端入口部 (21) は前記反操作口側天井面部分 (19) に開口させるのに対し、その水路上端出口部 (22) は前記横断上壁部分 ( 6 ) の上面のうちの前記シリンダ軸心面 ( 9 ) よりも前記鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側の上面部分に開口させ、
前記横断水路部分(4)内において、冷却水(23)が鋳物砂落とし操作口(14)に近い側から遠い側に向かって流れるように構成した、ことを特徴とする水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置。 - 請求項1に記載した水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置において、
前記横断水路部分 ( 4 ) 内において、冷却水 (23) が鋳物砂落とし操作口 (14) に近い側から遠い側に向かって流れるように構成した、ことを特徴とする水冷多気筒エンジンのシリンダ同士間水冷装置。
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