JP3896076B2 - 数値制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の系統を制御する多系統の数値制御部と、多系統のシーケンス制御部を有する数値制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多系統の数値制御部を有する数値制御装置においては、従来、1系統のシーケンス制御部でシーケンス制御を行っている。このような数値制御装置を用いた工作機械等にワークローダやパレットチェンジャーなどの周辺機器を付加するような場合、この周辺機器をシーケンス制御するプログラマブル・コントローラ(PLC)を追加して、制御していた。
【0003】
また、数値制御装置のCNCボードにCNC回路と数値制御装置内に内蔵されたシーケンス制御回路(PMC回路)を備え、工作機械等をCNC回路により数値制御し、PMC回路で、CNC回路からの補助機能信号(M機能、T機能等)や機械からの信号を受けてシーケンス制御を行う数値制御装置において、システム内に周辺機器を追加するとき、新たにPLCを追加しないで制御するためには、数値制御装置に、新たにPMCボードを追加し、このPMCボードで周辺機器のシーケンス制御を行うようにしている。この場合、CNC回路とPMC回路間で本来インターフェースが取られており、これに、数値制御装置に備えるPMC回路と追加したPMCボードとの間でインターフェースを取ることによって、CNC回路を含めたシステムの全体的なインターフェースが取られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−3307号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
工場等の自動化の要求にともなって、数値制御システムに新たな周辺機器等を追加し、システムアップすることが増加している。しかし、すでに存在する数値制御システムに新たに周辺機器を追加してシステムアップを図ろうとするとき、従来の方法では、周辺機器を追加する毎にプログラマブル・コントローラ(PLC)あるいはPMCボードを追加する必要があり、システムの構成が複雑になると共にコストが高くなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、制御システムの構築、拡大が簡単で安価に達成できるとともに、多様なシステム構成にも柔軟なシーケンス制御部を構築することができる数値制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、数値制御する系統を複数有する数値制御部と、複数のシーケンスプログラムを記憶し、該シーケンスプログラムを実行するシーケンス制御部とを有する数値制御装置であり、数値制御部の系統と前記シーケンス制御部とを結合するインターフェース部を数値制御部の系統に対応して設けるとともに、数値制御部の系統に対応したインターフェース部に対して、数値制御部の系統を制御するシーケンスプログラムとのインターフェースを割り付けるインターフェース設定手段を備えたことを特徴とするものである。そして、前記数値制御部とシーケンス制御部は、前記割り付けられた系統に基づいて信号のやりとりを行う。又、割り付けられたシーケンスプログラムと該シーケンスプログラムの信号テーブルのアドレスを特定する情報を不揮発性の記憶部に設定するものとした。さらに、系統が割り付けられないシーケンスプログラムは、数値制御部で制御されない機器をこのシーケンス制御部で制御できるようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の概要説明図である。図1(a)では、数値制御部10は、制御系統1,2で、機械31の2つの系統を数値制御し、系統3でワークローダ32を、系統4で周辺機器33を数値制御するように構成されている。シーケンス制御部(PMC)20は、独立した入出力信号をもったシーケンスプログラム(ラダー)を複数有し、これらシーケンスプログラムを並列して実行するものである。又、シーケンス制御部20と数値制御部10との間のインターフェースは数値制御部の系統毎に独立して備えており、図1(a)の例では、シーケンスプログラムのラダー1には数値制御部10の系統1,2のインターフェースが割り当てられ、ラダー2には系統3が、ラダー3には系統4のインターフェースが割り当てられている。
【0009】
一方、図1(b)では、数値制御部10の系統1で機械34を、系統2で周辺機器35を、系統3で機械36を、系統4で周辺機器37を数値制御するようシステムを変更したとき、シーケンス制御部(PMC)20のラダー1には系統1,3のインターフェースが割り当てられ、ラダー2には系統2,4のインターフェースが割り当てられている。
【0010】
このように、本発明は、数値制御部10の系統に対してシーケンス制御部(PMC)のシーケンスプログラムを自由に割り当てることができるようにしたものである。
【0011】
図2は、本発明の一実施形態の数値制御装置の要部ブロック図である。数値制御装置の数値制御部10のプロセッサ11には、数値制御部を制御する制御ソフトウェアを格納するRAM12、ワークRAM13、RAMで構成された不揮発性メモリ14、制御する機械の軸を駆動するサーボモータを制御する軸制御手段15がバス16で接続されている。ワークRAM13には、シーケンス制御部(PMC)20との系統別のインターフェース部を構成する、系統別のシーケンス制御部への出力信号を記憶する信号テーブルF、シーケンス制御部から該数値制御部への入力信号を記憶する信号テーブルGを備えている。
【0012】
又、シーケンス制御部20の、プロセッサ21には、該シーケンス制御部を制御する制御ソフトウェアを格納するRAM22、各種シーケンスプログラムを格納するRAM23、ワークRAM24、信号メモリ(RAM)25、機械や周辺機器に接続される入出力ディバイス26がバス27で接続されている。信号メモリ(RAM)25には、数値制御部10とのインターフェース部を構成する系統別の、数値制御部からシーケンス制御部への出力信号を記憶する信号テーブルF、シーケンス制御部から数値制御部への出力信号を記憶する信号テーブルGを備えている。なお、バス16とバス27はバス18で接続されている。
【0013】
そして、周期的に、数値制御部10のワークRAM13に設けられた各系統の信号テーブルF,Gとシーケンス制御部20の信号メモリの各系統の信号テーブルF,Gが転送書き替えられることによって、両者間のインターフェースが取られている。即ち、数値制御部10の、該数値制御部からシーケンス制御部への出力信号を記憶する信号テーブルFの記憶内容が、周期的にシーケンス制御部20の信号テーブルFに書き込まれ、シーケンス制御部20の、シーケンス制御部から数値制御部への出力信号を記憶する信号テーブルGの内容が周期的に数値制御部10の信号テーブルGに書き込まれる。
上述した数値制御装置の構成は、従来の数値制御装置と比較し、系統別に信号テーブルF,Gが設けられている点を除けば、他の構成は従来と同一である。
【0014】
本実施形態では、数値制御部の各系統の信号テーブルを各シーケンスプログラムに割り当てるパラメータ値として数値制御部10の不揮発性メモリ14に格納しておく。図3は、このパラメータ値の一例である。この図3の例で説明すると、パラメータ値「100」は、数値制御部のある系統の信号テーブルをシーケンスプログラム1用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767に割り当てることを示すものである。また、パラメータ値「101」は、シーケンスプログラム1用の信号テーブルFのアドレスF1000〜F1767、信号テーブルGのアドレスG1000〜G1767に割り当てることを示すものである。さらに、パラメータ値「200」は、シーケンスプログラム2用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767に割り当てることを、パラメータ値「300」は、シーケンスプログラム3用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767に割り当てることを示すものである。以下、図3に示すように、各シーケンスプログラムに対して信号テーブルF,Gのアドレスが各パラメータ値に対し、シーケンスプログラム番号と信号テーブルF,Gの各ブロックの組合わせが意味付けられている。パラメータ値については、上記の形態の他に、図示されていない数値制御装置内の他の不揮発性メモリ、もしくは揮発性メモリに格納される形態もある。
【0015】
そこで、図4に示すような制御システムを構築する場合について、まず説明する。図4の制御システムの例は、数値制御装置によって3系統を有する複合機械40と、該機械40へワークを供給する2台のワークローダ41,42を制御するシステムである。数値制御部10の1系統目、2系統目、3系統目が、それぞれ複合機械40の第1系統(x1,z1)、第2系統(x2,z2)、第3系統(x3,z3)を制御し、数値制御部10の4系統目がローダ41を、5系統目がローダ2を制御するように構成したものである。
【0016】
この場合、図5に示すように、パラメータ番号「5100」に「100」を設定し、不揮発性メモリ14に記憶する。又、パラメータ番号「5101」に「101」、パラメータ番号「5102」に「102」、パラメータ番号「5103」に「200」、パラメータ番号「5104」に「300」を設定し、不揮発性メモリ14に記憶する。
【0017】
パラメータ番号は「5100」は1系統目、「5101」は2系統目、「5102」は3系統目、「5103」は4系統目、「5104」は5系統目、「5105」は6系統目、…を設定するものであり、図5のように設定することによって、1系統目に対してはパラメータ番号5100が「100」に設定されるため、系統1の数値制御部10に対してシーケンス制御部20のインターフェースを構成するシーケンスプログラム1用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767が割り当てられる。同様に、2系統目に対して、信号テーブルFのアドレスF1000〜F1767、信号テーブルGのアドレスG1000〜G1767、3系統目に対して、信号テーブルFのアドレスF2000〜F2767、信号テーブルGのアドレスG2000〜G2767が割り当てられることになる。また、パラメータ番号5103が「200」に設定されることにより、4系統目に対して、シーケンスプログラム2用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767が割り当てられることになる。又、パラメータ番号5104が「300」に設定されることにより、5系統目に対して、シーケンスプログラム3用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767が割り当てられることになる。
【0018】
その結果、数値制御部10とシーケンス制御部20との間のインターフェースは、複合機械40の系統1の制御についてはシーケンスプログラム1用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767を用いて信号の送受が行われることになる。又、複合機械40の系統2の制御についてはシーケンスプログラム1用の信号テーブルFのアドレスF1000〜F1767、信号テーブルGのアドレスG1000〜G1767を用いて信号の送受が行われることになる。以下同様で、複合機械40の系統3は、信号テーブルFのアドレスF2000〜F2767、信号テーブルGのアドレスG2000〜G2767を用いて信号の送受がなされ、ローダ41の制御についてはシーケンスプログラム2用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767を用いて信号の送受が行われ、ローダ42の制御については、シーケンスプログラム3用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767を用いて信号の送受が行われることになる。
【0019】
一方、システムを変更又は新たに構築して、図6に示すように、4系統を有する複合機械50とローダb42を数値制御装置で制御する場合、数値制御部10の1〜5の各系統と機械50及びローダb42が図6に示すように接続した場合、数値制御部10とシーケンス制御部20間のインターフェースのためのパラメータ設定を図7に示すように設定し不揮発性メモリ14に記憶させる。
【0020】
すなわち、パラメータ番号「5100」に設定値「100」、パラメータ番号「5101」に設定値「101」、パラメータ番号「5102」に設定値「102」、パラメータ番号「5103」に設定値「103」を設定することによって、シーケンスプログラム1用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767が、複合機械50の1系統に、信号テーブルFのアドレスF1000〜F1767、信号テーブルGのアドレスG1000〜G1767が、複合機械50の2系統に、信号テーブルFのアドレスF2000〜F2767、信号テーブルGのアドレスG2000〜G2767が、複合機械50の3系統に、信号テーブルFのアドレスF3000〜F3767、信号テーブルGのアドレスG3000〜G3767が、複合機械50の4系統に、割り当てられる。又、パラメータ番号「5104」に設定値「300」が設定されることによって、シーケンスプログラム3用の信号テーブルFのアドレスF0〜F767、信号テーブルGのアドレスG0〜G767が、ローダb42用に割り当てられることになる。
【0021】
以上のように、パラメータを設定、設定変更することによって、数値制御部10とシーケンス制御部20との間のインターフェースを任意に設けることができ、システムの変更、拡充が極めて容易で、新たにプログラマブルコントローラ等を追加する必要がないので、低コストでシステム変更を行うことができる。
【0022】
又、この数値制御装置が有するシーケンス制御部を用いて、数値制御部では制御しない機器をも制御することもできる。
図8は、このような例のブロック図である。数値制御装置が制御する機械60は1系統の例を示し、数値制御部10とシーケンス制御部20とのインターフェースは、系統1だけ、パラメータを設定することによって設けているものである。そして、シーケンス制御部20に格納されたシーケンスプログラム2に対して、数値制御部10との間のインターフェースを取るためにパラメータを設定しなければ、シーケンス制御部20は、シーケンスプログラム2に対しては数値制御部10とのインターフェースを備えず、シーケンス制御部20に格納されたシーケンスプログラム2によって、独立した周辺機器43を制御することになる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、多系統の数値制御部に対して、複数のシーケンス制御部のシーケンスプログラムを自由に割り付けることができるので、数値制御システムの変更、拡充が容易にでき、周辺機器の追加変更が容易となる。又、周辺機器等のシステムへの追加変更を行っても、新たなプログラマブルコントローラ等を設ける必要がなく、安価に数値制御システムを変更、拡充することができる。さらに、制御する機械や周辺機器に応じて柔軟なシーケンスプログラムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態の要部ブロック図である。
【図3】同実施形態におけるパラメータ設定値の定義を説明する図である。
【図4】同実施形態において構築した制御システムの1例を示すブロック図である。
【図5】同制御システムの1例を構築するためのパラメータ番号へ設定する設定値の説明図である。
【図6】同実施形態において、制御システムを変更したときの例を示すブロック図である。
【図7】同制御システム変更したときのパラメータ番号へ設定する設定値の説明図である。
【図8】同実施形態において、独立した機器をシーケンス制御部で制御する例のブロック図である。
【符号の説明】
10 数値制御部
20 シーケンス制御部(PMC)
Claims (4)
- 数値制御する系統を複数有する数値制御部と、複数のシーケンスプログラムを記憶し、該シーケンスプログラムを実行するシーケンス制御部とを有する数値制御装置であって、
前記数値制御部の系統と前記シーケンス制御部とを結合するインターフェース部を前記数値制御部の系統に対応して有し、
前記数値制御部の系統に対応したインターフェース部に対して、前記数値制御部の系統を制御するシーケンスプログラムとのインターフェースを割り付けるインターフェース設定手段を備えたことを特徴とする数値制御装置。 - 前記数値制御部と前記シーケンス制御部は、前記割り付けられた系統に基づいて信号のやりとりを行う請求項1に記載の数値制御装置。
- 前記インターフェース設定手段は、数値制御部の系統に対するインターフェース部に対応して、該数値制御部の系統を制御するシーケンスプログラムと該シーケンスプログラムの信号テーブルのアドレスを特定する情報を数値制御装置内の不揮発性記憶部に設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の数値制御装置。
- 数値制御する系統を複数有する数値制御部と、複数のシーケンスプログラムを記憶し、該シーケンスプログラムを実行するシーケンス制御部とを有する数値制御装置であって、
前記数値制御部の系統と前記シーケンス制御部とを結合するインターフェース部を前記数値制御部の系統に対応して有し、
前記数値制御部の系統に対応したインターフェース部に対して、前記数値制御部の系統を制御するシーケンスプログラムとのインターフェースを割り付けるインターフェース設定手段とを備え、
前記シーケンス制御部は、前記数値制御部の系統が割り付けられないシーケンスプログラムにより、数値制御部で制御されない機器を制御することを特徴とする数値制御装置。
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