JP3895900B2 - 高耐食性複合電気めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高耐食性複合電気めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未塗装あるいは塗装後の状態において優れた耐食性、成形加工性ならびに溶接性を示し、自動車用防錆鋼板や家電製品材料,建材等として好適な複合亜鉛系電気めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車をはじめ、家電製品、建材等の分野では各種の表面処理鋼板が利用されてきたが、近年、これら表面処理鋼板に対する防錆能力向上の要望が一段と強くなってきており、例えば自動車用表面処理鋼板の場合には,塩害地にて10年耐孔あき腐食や5年耐外面錆を目標とする高耐食性が要求されている。
なお、従来の防錆鋼板としては亜鉛を主体とするめっきを施した表面処理鋼板が一般的であったが、このような防錆めっき鋼板はその耐食性の基本が亜鉛の持つ犠牲防食作用にあるため道路凍結防止用に岩塩を散布されたような寒冷地における冬期の過酷な腐食環境下では十分な防食性能を有しているとは言えなかった。
【0003】
つまり、亜鉛は亜鉛単体では鋼板素地に比較して十分に電気化学的に卑な電位を持つため鋼板の犠牲防食という観点からは十分であるが、逆に塩分の存在する条件下ではその亜鉛の溶出速度が非常に速く、長期にわたって鋼板の防錆効果を維持することが出来ないという問題があった。
そこで、これを改善するためZn−Fe合金やZn−Ni合金等のめっきを施したZn系合金めっき鋼板が使用されるようになってきた。この合金めっき皮膜は腐食が開始するとその電位が貴に移行する特性を有しており、そのため素地鋼板との電位差が縮まって過酷な腐食電流が流れるのが抑制されるので、長い防食寿命を達成することができるわけである。
【0004】
しかしながら、Zn−Fe合金電気めっき材では皮膜中のFe分が腐食する時に赤錆を発生するという欠点があり、一方、Zn−Ni合金電気めっき材では皮膜中のNiが金属状態で残存するために腐食がある程度進行すると素地鋼板との電位関係が逆転し、逆に素地鋼板の孔食を促進するという問題があった。
これに対して、最近、防錆めっき層を2層化することによって耐食性の更なる向上を図った複層めっき鋼板が提案されている(特開昭60−215789号公報、特公昭58−15554号公報)。しかし、近年の需要家が要求する製品性能を考えた場合には、これらの複層めっき鋼板にも次のような問題が指摘されていた。
【0005】
即ち、前記特開昭60−215789号公報に開示された複層めっき鋼板は、付着量が10〜300g/m2 のZnめっき層を下層に、Ni及び/又はCoの一方又は両者の合計が15〜30wt%で、付着量が1〜20g/m2 のZn系合金めっき層を上層に配して成るものであるが、この複層めっき鋼板に高い耐食性能を発揮させるためには、下層たるZnめっき層の高付着量化が必要であり、加工性や加工後の耐食性、スポット溶接性等に問題が生じる。また、この複層めっき鋼板は,上層のZn系合金めっき層が高価なNiやCoを多く含むことから、コスト的にも不利であった。
【0006】
一方、特公昭58−15554号公報に記載の複層めっき鋼板は、りん酸塩化成処理性や電着塗装性を向上させる目的で上層にFe系フラッシュめっきを配し、これに基づく塗膜密着性の向上効果による間接的な高耐食性化を狙ったものである。しかし、このような複層めっき鋼板では裸耐食性の改善にはつながらない上、塗装後の耐食性向上の程度も僅かでしかなく、耐食性は基本的には下層であるZn系めっき層の特性及び付着量に依存するところが大きかった。
また、特開平7−70794号公報に記載の有機物複合めっき鋼板は、めっき浴中に腐食抑制剤を直接溶解し、電解することにより腐食抑制剤を共析させ耐食性の向上を目指したものであるが、本方法ではめっき中に取り込まれる量には限界があり、また、電析過程で分解する腐食抑制剤の割合も比較的多いために、それによる耐食性向上には限りがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、本発明が目的としたのは、成形加工性やスポット溶接性の低下が起こらない薄目付けでありながらも、過酷な腐食環境に耐え、裸耐食性、塗装後の疵部耐食性や端面耐食性等にも十分に優れたコストの安い高耐食性複合電気めっき鋼板およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記問題点をめっき層中に腐食抑制剤(インヒビター)を分散させることにより、有効に解決しできることを見いだし、それを基に本発明を完成させたものであって、その要旨とするところは、以下の通りである。
(1)裸鋼板またはめっき鋼板の片面もしくは両面に、ペンチン、ヘキシン、へプチン、オクチンであるアルキン類、プロパルギルアルコール、1−ヘキシン−3−オール、1−ヘプチン−3−オールであるアルキノール類、フェノール、カテコール、クレゾールであるフェノール類、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、トリヂシルアミン、セチルアミンであるアミン類もしくはその塩、デシルメルカプタン、セチルメルカプタン、チオ尿素、ジメチルスルフィドであるチオ化合物、ピリジン、ベンゾチアゾール、キノリン、インドール、タンニン酸、カテキン、フラボノイドである複素環化合物並びに安息香酸、サリチル酸、スルイル酸、ナフタレンカルボン酸である芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩の中から選ばれた少なくとも1種類の有機化合物からなる腐食抑制剤を吸着させた酸化物粒子が分散し、C含有量が0.001〜20質量%である複合電気めっき層を有することを特徴とする複合電気めっき鋼板。
(2)前記酸化物粒子が、SiO2 ,Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 の1種または2種以上からなることを特徴とする前記(1)に記載の複合電気めっき鋼板。
【0009】
(3)前記(1)または(2)に記載の複合電気めっき鋼板を製造するにあたり、前記腐食抑制剤の含有量が0.001〜100g/L、前記酸化物粒子の含有量が0.001〜100g/Lであるめっき浴を使用し、浴温40〜65℃、電流密度10〜150A/dm 2 、液流速0.06〜3m/secの電解条件でめっきすることを特徴とする複合電気めっき鋼板の製造方法
【0010】
(4)複合電気めっき層が、Znのみからなるか、もしくは、Co,Mn,Cr,Sn,Sb,Pb,Ni,Mo,Fe,Mg,Siの1種または2種以上を、さらに含有し、片面あたりの付着量が10mg/m2 〜200g/m2 であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の複合電気めっき鋼板。
(5)下地にめっき鋼板を用いる場合の下地めっき層が、ZnとAlの1種または2種のみからなるか、もしくは、Co,Mn,Cr,Sn,Sb,Pb,Ni,Mo,Fe,Mg,Siの1種または2種以上を、さらに含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の複合電気めっき鋼板である。
【0011】
【発明の実施の形態】
発明者らは亜鉛系めっき中へ腐食抑制剤を分散させることにより、耐食性を飛躍的に向上させることができた。本発明の最重要部分は、腐食抑制剤をいかに分散させるかである。単純にめっき浴中へ腐食抑制剤を溶解しても、めっき中に取り込まれる量には限界があり、また電析過程で分解する腐食抑制剤の割合も比較的多いため、それによる耐食性向上には限りがある。
そこで、本発明では、酸化物粒子を利用することにより、めっき中に取り込まれる腐食抑制剤の量を飛躍的に向上させる。つまり、めっき浴に添加する前に、図1に模式的に示すように、あらかじめ腐食抑制剤を酸化物粒子に吸着させめっき浴へ添加することにより、めっき層中へ効率よく分散させることができる。なお、符号1は鋼板であり、また、2はZn系電気めっきである。
【0012】
そして、本発明で使用する腐食抑制有機化合物(有機インヒビター)はめっき材が腐食環境に置かれて腐食する過程で腐食抑制剤として作用するため、めっき皮膜層中における腐食抑制有機化合物の含有割合と該めっき皮膜層の付着量が特定の範囲にあると著しい耐食性改善効果を発揮し、従来の複層型めっき鋼板を凌駕する高耐食性を確保することが可能となる。
しかも、このようなめっき鋼板は、成形加工性やスポット溶接性の点でも十分に満足することができる。また、めっき層の腐食抑制有機化合物の含有量(共析量)は、めっき皮膜層中のC(炭素)含有量(共析量)と対応しており、C量によって的確に把握できる。
【0013】
本発明では、上記腐食抑制有機化合物として、アルキン類,アルキノール類,フェノール類,アミン類もしくはその塩,チオ化合物,複素環化合物,並びに芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩から選ばれた少なくとも1種の化合物を使用する。
また、C(炭素)含有量が0.001〜20質量%で、好ましくは付着量が10mg/m2 〜200g/m2 の複合亜鉛系めっき皮膜層を有することにより、優れた裸耐食性、塗装後の疵部耐食性や端面耐食性、成形加工性、スポット溶接性を兼備せしめた。
【0014】
本発明は裸鋼板あるいは亜鉛系めっき鋼板の片面又は両面の上に腐食抑制有機化合物(アルキン類等の腐食抑制有機化合物)を含有する電気めっき層(腐食抑制有機化合物含有フラッシュめっき層)を設けた複合めっき鋼板に係るものであるが、母材たる鋼板の種類は特に制限されるものではなく、通常の鋼板や自動車車体用冷延鋼板等の何れを適用しても相応の効果を確保することができる。
また、腐食抑制有機化合物含有複合めっき皮膜層の形成に供する素材鋼板が亜鉛系めっき鋼板の場合は、その亜鉛系めっき(亜鉛めっき又は亜鉛合金めっき)の種類が制限されるわけではなく、公知の何れの溶融もしくは電気亜鉛系めっき鋼板であっても良い。
【0015】
また、腐食抑制有機化合物含有複合めっき皮膜層の形成に供する素材鋼板がアルミ系めっき鋼板の場合も同様にそのアルミ系めっき(アルミめっき又はアルミ合金めっき)の種類が制限されるわけではない。
上記、いずれのめっき層においても、Co,Mn,Cr,Sn,Sb,Pb,Ni,Mo,Fe,Mg,Siの1種または2種以上を含むことができる。
なお、複合亜鉛系電気めっき皮膜層を形成させるためのめっき浴組成、電解条件としては、例えば腐食抑制有機化合物を共析させる亜鉛めっきの場合を例示すると下記の通りである。
【0016】
[I]めっき浴組成
ZnSO4 ・7H2 O : 50〜400g/L、
Na2 SO4 : 10〜200g/L、
2 SO4 : 5〜50g/L、
酸化物粒子 : 0.001〜100g/L、
腐食抑制有機化合物 : 0.001〜100g/L、
pH : 0〜4
【0017】
[II]電解条件
浴温 : 40〜65℃、
電流密度 : 40〜150A/dm2
液流速 : 0.5 〜3m/sec
また、腐食抑制有機化合物を共析させる亜鉛系合金めっきの場合には、上記と同様のめっき浴中に合金元素を硫酸塩,酢酸塩,炭酸塩,モリブデン酸塩,次亜りん酸塩,有機金属塩の形態で添加するか、あるいは予めこれらの金属元素を溶解した状態で狙いの組成となるように添加しためっき浴を使用すれば良い。
勿論、上記浴組成はあくまでも例示であり、腐食抑制有機化合物および酸化物粒子をそれぞれ0.001〜100g/L含有する亜鉛系電気めっき浴である限り、上記浴組成に限定されるものではない。
【0018】
本発明に適用される腐食抑制有機化合物は、アルキン類,アルキノール類,フェノール類,アミン類もしくはその塩,チオ化合物,複素環化合物並びに芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩のうちの1種以上である。
このうちのアルキン類とは、炭素−炭素三重結合を含む有機化合物のことでありペンチン,ヘキシン,ヘプチン,オクチンである。
アルキノール類とは、上記アルキン類に1個以上の水酸基を有する有機化合物のことであり、プロパルギルアルコール,1−ヘキシン−3−オール,1−ヘプチン−3−オールである。
【0019】
フェノール類とは、ベンゼン環に1個以上の水酸基が結合した有機化合物でありフェノール,カテコール,クレゾールである。
アミン類とは、分子中に窒素原子を1個以上含む有機化合物を意味し、脂肪族,芳香族の何れをも含む。このようなアミン類としては、オクチルアミン,ノニルアミン,デシルアミン,ラウリルアミン,トリヂシルアミン,セチルアミンである。
チオ化合物とは、分子中に硫黄原子を1個以上含む有機化合物を意味するが、このようなチオ化合物としては、デシルメルカプタン,セチルメルカプタン,チオ尿素、ジメチルスルフィドである
【0020】
複素環化合物とは、環状の分子において環の構成元素として炭素以外の原子が含まれている有機化合物を意味するが、このような複素環化合物としては、ピリジン,ベンゾチアゾール,ベンゾトリアゾール,キノリン,インドール,タンニン酸,カテキン,フラボノイドである。
そして、芳香族カルボン酸としては、安息香酸,サリチル酸,スルイル酸,ナフタレンカルボン酸である。なお、アミン及びカルボン酸についてはその塩を用いることも可能であり、この場合でも同等の効果を得ることができる。
【0021】
これらの化合物は、電析時に形成されるめっき皮膜層中に共析し、腐食過程で腐食抑制剤として作用するため、耐食性の向上に対して著しい改善効果を発揮することは既に述べた通りであり、従来の2層型めっき皮膜では得難い耐食性が確保される。
しかも、有機化合物の一部がC(炭素)としてめっき金属マトリックス中に取り込まれるため、機械的特性、電気的特性が改善されて良好な成形性、スポット溶接性をも具備するようになる。
【0022】
なお、本発明に係る表面処理鋼板では、C以外の腐食抑制有機化合物を構成する元素、例えばN,O,S等がめっき皮膜中に存在することを防げるものではなく、それによっても十分所望を効果を確保することができる。
しかし、めっき浴中に添加される腐食抑制有機化合物の量が0.001g/L未満であるとめっき皮膜層中への共析量が殆どなく、C含有量で0.001質量%を下回る。従って耐食性の改善に効果がない。
【0023】
一方、腐食抑制有機化合物の量が100g/Lを越えると溶解度の点でめっき浴中へ添加することが困難になる上、腐食抑制有機化合物の種類によっては表面性状の低下が生じる。従って、めっき浴の腐食抑制有機化合物の含有量は0.001〜100g/Lと限定したが、好ましくは、0.05〜50g/Lに調整するのが良い。より好ましくは、アルキン類やアルキノール類やフェノール類の場合には0.1〜20g/Lに、アミン類もしくはその塩の場合には0.1〜20g/Lに、チオ化合物では0.2〜20g/Lに、複素環化合物では1.5〜20g/Lに、芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩では3〜15g/Lに調整することが推奨される。
【0024】
また、めっき浴中に添加される酸化物粒子の量が0.001g/L未満であるとその効果(C共析量増加)が殆どなく、100g/Lを越えると酸化物粒子が凝集して沈殿を生じやすくなる。従って,めっき浴の酸化物粒子の含有量は0.001〜100g/Lと限定した
【0025】
かかる腐食抑制有機化合物を吸着させた酸化物粒子を添加しためっき浴を使用することにより、鋼板面上にC共析量(C含有量)が0.001〜20質量%の複合電気めっき皮膜層を形成させることができるが、かかる複合電気めっき皮膜層中のC含有量の確認は、複合めっき皮膜層のみを素地鋼板から機械的に剥離し、燃焼法(ガス分析)等により定量することで容易に可能である。
【0026】
ここで、本発明における腐食抑制有機化合物添加めっき浴にて得られるC含有量が0.001〜20質量%の複合電気めっき皮膜層の付着量は10mg/m2 〜200g/m2 に調整されることが好ましい。これは、付着量が10mg/m2 未満では所望する前記効果が十分に発揮されず、一方、200g/m2 の付着量になれば十分な効果を確保できこれを超えても効果は飽和するばかりであるからである。より好ましくは、1〜200g/m2 に調整されることが好ましい。
【0027】
【実施例】
本発明の効果を実施例により更に具体的に説明する。
(実施例1)
冷延鋼板をめっき母材とすると共に、表1に示す基本組成に各種腐食抑制有機化合物および酸化物粒子を添加して成るめっき浴(比較例については腐食抑制有機化合物および酸化物粒子の添加なし)を用い、同じく表1に示す電気めっき条件で各種の亜鉛系電気めっき鋼板を作成した。
このようにして得られためっき鋼板のめっき皮膜構成を、めっき浴に添加・含有させた腐食抑制有機化合物および酸化物粒子の種類、及びめっき浴における含有量と共に表2に示すそして、これらめっき鋼板について“裸耐食性”、“塗装後の疵部耐食性”、“塗装後の端面耐食性”、“塗膜密着性”、“成形加工性”並びに“スポット溶接性”を評価し、その評価結果も表2に併せて示した。
なお、上記“裸耐食性”、“塗装後の疵部耐食性”、“塗装後の端面耐食性”、“塗膜密着性”、“成形加工性”及び“スポット溶接性”は、次に示す方法で評価した。
【0028】
【表1】
Figure 0003895900
【0029】
【表2】
Figure 0003895900
【0030】
(A)裸耐食性
まず、めっき鋼板から70mm×150mmの試験片を切り出した後、この未加工の平板の端面と裏面をシールして5%NaClによる塩水噴霧試験(SST)を35℃で24時間行い、めっき表面の白錆、赤錆の面積割合により次のような段階に区別して裸耐食性の評価を行った。
◎:白錆、赤錆ともに1%以下、
○:白錆10%以下、赤錆1%以下、
△:白錆50%以上、赤錆1%以下、
×:白錆50%以上、赤錆1〜30%、
××:白錆50%以上、赤錆30%以上
【0031】
(B)塗装後の疵部耐食性
まず、めっき鋼板から70mm×150mmの試験片を切り出した後、この未加工の平板を脱脂剤FC4336(商品名:日本パーカライジング社)で脱脂し、PZT(商品名:日本パーカライジング社)で表面調整した後、PB−L3080(商品名:日本パーカライジング社)を用いてりん酸塩処理を行い、次いで、U−80(商品名:日本ペイント社)で厚さ20±1μmのカチオン電着塗装を施し、175℃で25分間焼付けた。そして、その後、自動車用アルキッド系塗料の中塗り(40μm)、焼付け、メラミン・ポリエステル系塗料の上塗り(40μm)、焼付けを行って試料を作成した。
【0032】
次いで、この試料の評価面(塗装面)側にカッターナイフで鋼板素地に達するクロスカットを入れ、下記のサイクル設定の複合腐食試験を行った。
塩水噴霧(5%NaCl、35℃、7時間)→乾燥(50℃、2時間)→湿潤(RH85%、50℃、15時間)
疵部耐食性の評価は、上記の腐食サイクル試験を30サイクル実施後、クロスカット部のブリスター度合いを次のような段階に区分して行った。
◎: ブリスター幅<0.5mm、
○: ブリスター幅<1.0mm、
△: ブリスター幅<2.0mm、
×: ブリスター幅<3.0mm、
××: ブリスター幅≧3.0mm
【0033】
(C)塗装後の端面耐食性
まず、めっき鋼板から試験片端面のカエリが板厚の10%となるように金型のクリアランスを調整してプレス打抜きを行い、打ち抜いた試験片に上記と同様の電着塗装、中塗り、上塗りを行って試料を作成した。そして、この試験片を前記と同様の腐食サイクル試験に供した。
端面耐食性の評価は、腐食サイクル試験を60サイクル実施後、端面の赤錆発生面積率を次のような段階に区分して行った。
◎: 赤錆発生なし、
○: 赤錆発生が5%以下、
△: 赤錆発生が10%以下、
×: 赤錆発生が30%以下、
××: 赤錆発生が30%超
【0034】
(D)塗膜密着性
前述した方法にて作成した塗装鋼板を40℃の温水に10日間浸漬し、2mmの碁盤目×100マスを入れ,テーピングにより塗膜剥離率を測定した。
塗膜密着性の評価は次のような段階に区分して行った。
◎: 塗膜剥離率 0%、
○: 塗膜剥離率 5%以下、
△: 塗膜剥離率 5〜20%、
×: 塗膜剥離率 20〜50%、
××: 塗膜剥離率 50%以上
【0035】
(E)成形加工性
(a)加工性
めっき鋼板から90mmφの円盤状のブランクを採取し、これを直径が50mmφで深さが28mmの円筒状に深絞り成形した後、その側壁面のめっき皮膜を粘着テープで剥離させる試験を行い、その剥離量を目視調査して評価した。加工性の評価は,剥離量を次の段階に区分して行った。
5: 全く剥離なし、
4: 剥離片の付着しているテープ面積が10%未満、
3: 剥離片の付着しているテープ面積が30%未満、
2: 剥離片の付着しているテープ面積が50%未満、
1: テープ全面に付着
【0036】
(b)成形性
成形性については、上述した加工性評価を行う際の“深絞り成形時”における母材破断の有無(有:○,無:×)で評価した。なお、評価の結果は,
○: 母材破断なし、
×: 母材破断あり
で表示した。
【0037】
(F)スポット溶接性
めっき鋼板から試験片を採取し、スポット溶接の連続打点可能数で評価した。なお,連続打点溶接条件は次の通りであった。
電流: 10000A、
加圧力: 200kgf、
通電時間: 12cycle(at60Hz)、
電極形状: ドーム形、
溶接方法:“1点/2秒で20点連続打点溶接後、40秒以上の休止”というサイクルを繰り返す。100点毎に3個のせん断試験片を採取し、引張試験後にナゲット径を測定する。
【0038】
スポット溶接性の評価は、1500点以上を可とし、次の段階で表示した。
◎:2000点以上、
○:1500点以上、
△:1500点未満、
×:1000点未満
2に示される結果からも明らかなように、本発明に係る複合亜鉛めっき鋼板は、何れも非常に優れた塗装後の疵部耐食性、塗装後の端面耐食性、塗膜密着性、成形加工性及び溶接性を兼備していることが分かる。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、従来の表面処理鋼板を凌駕する非常に優れた塗装後耐食性を示すだけでなく、ユーザーでの使い勝手である溶接性や成形加工性にも優れる表面処理鋼板を安定して提供することが可能となり、自動車、家電製品、建材等の性能向上に大きく寄与できるなど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のめっき層における酸化物粒子への吸着による腐食抑制有機化合物(有機インヒビター)の分散形態を模式的に示す図である。

Claims (5)

  1. 裸鋼板またはめっき鋼板の片面もしくは両面に、ペンチン、ヘキシン、へプチン、オクチンであるアルキン類、プロパルギルアルコール、1−ヘキシン−3−オール、1−ヘプチン−3−オールであるアルキノール類、フェノール、カテコール、クレゾールであるフェノール類、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、トリヂシルアミン、セチルアミンであるアミン類もしくはその塩、デシルメルカプタン、セチルメルカプタン、チオ尿素、ジメチルスルフィドであるチオ化合物、ピリジン、ベンゾチアゾール、キノリン、インドール、タンニン酸、カテキン、フラボノイドである複素環化合物並びに安息香酸、サリチル酸、スルイル酸、ナフタレンカルボン酸である芳香族カルボン酸化合物もしくはその塩の中から選ばれた少なくとも1種類の有機化合物からなる腐食抑制剤を吸着させた酸化物粒子が分散し、C含有量が0.001〜20質量%である複合電気めっき層を有することを特徴とする複合電気めっき鋼板。
  2. 前記酸化物粒子が、SiO2 ,Al2 3 ,ZrO2 ,TiO2 の1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1に記載の複合電気めっき鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の複合電気めっき鋼板を製造するにあたり、前記腐食抑制剤の含有量が0.001〜100g/L、前記酸化物粒子の含有量が0.001〜100g/Lであるめっき浴を使用し、浴温40〜65℃、電流密度10〜150A/dm 2 、液流速0.06〜3m/secの電解条件でめっきすることを特徴とする複合電気めっき鋼板の製造方法。
  4. 複合電気めっき層が、Znのみからなるか、もしくは、Co,Mn,Cr,Sn,Sb,Pb,Ni,Mo,Fe,Mg,Siの1種または2種以上を、さらに含有し、片面あたりの付着量が10mg/m 2 〜200g/m 2 であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合電気めっき鋼板。
  5. 下地にめっき鋼板を用いる場合の下地めっき層が、ZnとAlの1種または2種のみからなるか、もしくは、Co,Mn,Cr,Sn,Sb,Pb,Ni,Mo,Fe,Mg,Siの1種または2種以上を、さらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の複合電気めっき鋼板。
JP2000067870A 2000-03-13 2000-03-13 高耐食性複合電気めっき鋼板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3895900B2 (ja)

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