JP5654015B2 - 複合めっき材料とそれを用いた電気・電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は複合めっき材料とそれを用いた電気・電子部品に関する。
銅(Cu)やCu合金、ステンレス(SUS)、鉄合金などからなる導電性基材の上に、銀(Ag)またはAg合金からなるめっき層を設けた材料は、基材の優れた導電性や強度と、AgまたはAg合金の良好な電気接触特性とを兼ね備えた高性能導体として知られており、各種の接点やスイッチなどに広く用いられている。このような材料としては、基材の上に直接、あるいはCuまたはニッケル(Ni)などの下地めっきを施した上に、AgまたはAg合金の表面めっき層を形成したものが用いられている。
近年では、自動車用途の部品に代表されるように、電気・電子部品への通電量の増大や高負荷での使用が増加している。それに伴い接点やスイッチにはこれまで以上の電気的な接触信頼性が要求されるようになっている。しかしながら、Agめっき皮膜は硬度があまり高くなく、摺動や回転に伴う削れや摩耗によりAgめっき層の厚みは減少していく。Agめっき層の厚みの減少が進み、ついには消失した場合、Niめっき等の下地層やCuやSUS等の基材が表面に露出する。このような状態においては、さらなる摺動や回転により下地層や基材の酸化物が形成され、その結果、接触抵抗が上昇して相手材との接触信頼性を喪失してしまう。
このような問題は、Agめっき層の厚みを厚くして、めっき層消失までの時間を長くすることで解消できる。しかしながら、そのようなめっき材料では、生産性の低下やコストの上昇が避けられない。
また、Agめっき層に導電性のグリースを塗布することも、摺動・回転時の摩耗抑制には効果がある。しかしながら、静止状態においては接触抵抗が低く安定しているものの、摺動・回転時や高温環境下においてはグリースの劣化や固化により接触抵抗が上昇しやすく、接触信頼性に劣る。
この他に、上記の要望に応える別のめっき材料としては、Agに他の金属元素、例えばアンチモン(Sb)やセレン(Se)などを添加したAg合金めっき(硬質Agめっき)があげられる。このようなAg合金めっきでは、Agめっきと比べてめっき皮膜の硬度が増して耐摩耗性が向上するので、摺動用途において多く使用されている。
しかしながら、Ag以外の元素を含有する合金においては導電性が低下するため、通電量の増加に対しては接触信頼性の点から好ましくない。また、Ag合金めっきに用いるSbやSeなどの金属元素は人体に対する有毒性を有しており、製造時や廃棄後における環境負荷の面からは好ましくない。
これらの点を考慮したうえで、AgまたはAg合金からなるめっき層の摺動性を高めるために、様々な方法が提案されている。
例えば、摺動性を改善するために、Agめっき層中にセラミックやフッ素樹脂などの硬質粒子を分散させる方法が提案されている(特許文献1、2参照)。この方法で形成されたAgめっき層の場合、Agの摩耗に伴い硬質粒子が表層に露出した際に、硬質粒子の導電性が低いために接触抵抗が大きく上昇することがある。
また、摺動性を高める別の方法として、Agめっき層中にグラファイトを分散させる方法が提案されている(特許文献3、4、5参照)。この方法で形成されたAgめっき層の場合、Agの摩耗に伴いグラファイトが表層に露出した際に、グラファイト自体の導電性は金属並みであるものの、めっき層中におけるグラファイトの配向が不規則であるため、接点における接触面積が減少することにより、接触抵抗が上昇してしまう。
このように、表面にAgまたはAg合金からなるめっき層を形成した従来のめっき材料の場合、その耐摩耗性と導電性との両立が困難であった。
一方、銅(Cu)やCu合金などからなる導電性基材の上に、錫(Sn)またSn合金からなるめっき層を設けた材料は、基材の優れた導電性や強度と、SnまたはSn合金の良好な電気接触特性とを兼ね備えた導体として知られており、各種のコネクタ用端子に広く用いられている。
このような材料としては、基材の上に直接、あるいはCuまたはニッケル(Ni)などの下地めっきを施した上に、SnまたはSn合金のめっきを表面めっき層として施して製造したものが用いられている。この下地めっき層は、基材成分(Cuや亜鉛(Zn)などの合金成分)が表面のSnまたはSn合金へ拡散することを抑制するため、あるいは表面平滑性を得るために設けられるものである。下地めっき層がNiまたはNi合金からなる場合には、高温環境下においても上記の拡散を遅延させる効果が大きく、長時間にわたってSnやSn合金の特性が確保されることになる。
近年では、自動車に代表されるように、最終製品の電気的制御や電気・電子部品の使用量が増大しているため、ワイヤーハーネスの多芯化や、コネクタの多極化が進行しており、組み立て時に必要とされる挿入力が高くなってしまう傾向にある。このため、組み立て作業の効率が落ち、作業者への負担も大きくなるため、製品単位あたりの挿入力を下げることが求められている。
しかしながら、Sn単体でのめっき皮膜は硬度が低く、摺動時にSnめっき層が削れてしまうことにより、挿入力が高くなってしまう。また、極めて細かい振動を受けることによる微摺動摩耗によってSnめっきを由来とする酸化物が形成され、接触抵抗が上昇して接触信頼性を損なう原因となりえる。
前記微摺動摩耗とは、振動や温度変化などが原因で端子の接触面間に起こる振幅が数十μm単位の細かな振動を受けることにより、端子表面の軟質のSnめっき層が摩耗し、酸化して、比抵抗の大きな摩耗粉を生成する現象で、この現象が端子間に発生すると接続不良が起きる。
このような問題は、端子を押し付ける力である接圧の調整により解決している場合が多い。しかしながら、挿入力を下げるために接圧を低くした場合では微摺動摩耗が起こりやすくなり、反対に微摺動摩耗を防ぐために接圧を高くした場合では挿入力が上昇する。
また、Snめっき層に導電性のグリースを塗布することも挿入力の低下には効果がある。しかしながら、静止状態においては接触抵抗が低く安定しているものの、高温環境下においてはグリースの劣化や固化により接触抵抗が上昇しやすく、接触信頼性に劣る。
これまで、SnまたはSn合金からなるめっき層の挿抜性を高めるために、様々な方法が提案されている。
例えば、挿抜性を向上させるために表面のSnめっき層の厚みを薄くする方法が開示されている(例えば、特許文献6、7参照)。この方法で形成されたSnめっき層の場合、嵌合・摺動性における削れ量は低減して挿抜性が良好になる。しかしながら、Snめっき層の厚みが薄いので、熱履歴を受けることによって表面のSnめっき層は基材との間の拡散で合金化して消滅してしまい、相手材との接触抵抗は増大してしまう。
また、端子の挿抜性を高める別の方法として、めっき皮膜そのものに潤滑性を付与して摩擦や摩耗を低減する方法があげられ、例えば、めっき皮膜中に潤滑性粒子を均一分散させてめっき皮膜の潤滑性を向上させた複合めっき材が開示されている(例えば、特許文献8、9、10参照)。この方法で形成されためっき皮膜の場合、基材とめっき皮膜との界面やめっき皮膜中にも潤滑性粒子が存在しており、めっき後の材料にプレス加工や成形加工を施す際に、めっき皮膜の密着性や曲げ加工性などが低下してしまうとともに、端子使用時に必要な導電性や耐熱剥離性も低下してしまう。さらに、SnまたはSn合金からなるめっき層については、めっき後にリフロー処理のような熱処理を施す製造方法もあり、加熱によりめっき皮膜中の潤滑性粒子が消失、変質してしまうことがあった。
このように、表面にSnまたはSn合金からなるめっき層を形成した従来のめっき材料の場合、その挿抜性と耐熱性との両立が困難であることや、製造方法が限定されるという問題があった。
めっき層の耐摩耗性の向上と導電性の確保の両立を図るため、特許文献11、12ではポリアミド系の外壁をもつマイクロカプセルに潤滑油を内包した潤滑性の粒子を入れためっき層を形成することが提案されている。これらの技術により、導電性の向上と耐摩耗性の持続とを実現することができる。
特開昭61−101919号公報 特表2000−508379号公報 特開平4−126314号公報 特開平9−326227号公報 特開平11−149840号公報 特開平11−121075号公報 特開平10−302864号公報 特開昭54−69531号公報 特開平6−330392号公報 特表2005−529242号公報 特開2008−248294号公報 特開2008−248295号公報
前記特許文献11、12に係る技術は本出願人において従前開発されたものである。本発明者らは当該技術についてさらに研究開発を継続し、その性能の一層の向上を図った。
本発明の第一の課題は、AgまたはAg合金からなる表面めっき層を有するめっき材料において、より一層、導電性、強度、耐摩耗性に優れ、しかも接触抵抗が上昇しにくく接触信頼性が良好であるめっき材料を提供することである。また、高い摺動性や耐摩耗性、接触信頼性が要求される接点やスイッチなどの材料として好適なめっき材料の提供を別の課題とする。さらに本発明は、上記のめっき材料を用いた電気・電子部品、例えば摺動型や回転型の接点、スイッチの提供をさらに別の課題とする。
本発明の第二の課題は、SnまたはSn合金からなる表面めっき層を有するめっき材料において、表面めっき層の表層部において潤滑性を付与することにより潤滑性を高めて挿入力の低減を図り、しかも高温環境下における接触信頼性が良好であり、かつまた密着性、曲げ加工性、導電性、耐熱剥離性などが良好なめっき材料を提供することである。また、挿抜性や潤滑性に優れ、接触信頼性の高い端子やコネクタなどの材料として好適なめっき材料の提供を別の課題とする。さらに本発明は、上記のめっき材料を用いた電気・電子部品、例えば挿抜型や嵌合型の端子、コネクタの提供をさらに別の課題とする。
本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)導電性基材の上に、銅、ニッケル、コバルト、鉄、またはこれらの元素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む合金からなる下地めっき層を少なくとも1層有し、その上に銀もしくは銀合金または錫もしくは錫合金からなる表面めっき層を有する複合めっき材料であって、
前記表面めっき層の内部および/または表面に、潤滑剤、耐硫化剤、防錆剤、及び変色防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を内包する微小中空粒子が前記表面めっき層に対して0.1〜30体積%存在し、
前記下地めっき層の厚さが0.05〜2.0μmであり、前記表面めっき層の厚さが0.5〜5μmであり、かつ、
(イ)前記銀または銀合金からなる前記表面めっき層の場合、前記微小中空粒子はその総数に対して60〜70%の数が前記表面めっき層の表面から半分の厚さまでの間に含まれ、前記微小中空粒子は平均粒径0.05〜2μmの球形であり、前記微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さをt(μm)としたとき、t/dが1/100以上1/2未満であるか、または
(ロ)錫または錫合金からなる前記表面めっき層の場合、前記微小中空粒子はその総数に対して60〜75%の数が前記表面めっき層の表面から半分の厚さまでの間に含まれ、前記微小中空粒子は平均粒径0.1〜2μmの球形であり、前記微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さをt(μm)としたとき、t/dが1/100以上1/2未満である、
ことを特徴とする複合めっき材料。
(2)前記下地めっき層上に、微小中空粒子を含まない銀または銀合金からなる中間めっき層を有し、さらに前記中間めっき層上に銀または銀合金からなる前記表面めっき層を有する(1)に記載の複合めっき材料。
(3)前記微小中空粒子が液相中で合成された樹脂からなる(1)または(2)に記載の複合めっき材料。
(4)前記微小中空粒子がゾル−ゲル反応で生成した無機粒子からなる(1)または(2)に記載の複合めっき材料。
(5)前記中間めっき層の厚さが1.0μm以下であることを特徴とする、(2)〜(4)のいずれか1項に記載の複合めっき材料。
(6)前記表面めっき層がパルスめっき法またはPRめっき法で形成されたものである(1)〜(5)のいずれか1項に記載の複合めっき材料。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の複合めっき材料を用いて形成された電気・電子部品。
(8)(1)〜()のいずれか1項に記載の複合めっき材料を用いて形成された摺動型もしくは回転型の接点またはスイッチ。
(9)(1)〜()のいずれか1項に記載の複合めっき材料を用いて形成された挿抜型もしくは嵌合型のコネクタ用端子。
以下、前記(イ)の発明特定事項を含む)項並びに前記()項を直接または間接に引用する前記(2)〜(6)項記載の複合めっき材料を併せて本発明の複合材料の第1の実施形態という。
また、前記(ロ)の発明特定事項を含む)項並びに前記()項を直接または間接に引用する前記(3)〜(6)項記載の複合めっき材料を併せて本発明の複合材料の第2の実施形態という。
なお、特に断らない限り、前記(1)項記載の複合めっき材料と、前記第1の実施形態と第2の実施形態の複合めっき材料とを併せて、本発明の複合めっき材料という。
本発明の第1の実施形態における複合めっき材料はAgまたはAg合金からなる表面めっき層に潤滑剤などの薬剤を内包した微小中空粒子を有している。この微小中空粒子が表面に露出して摩擦を受けたとき、所定の剤が粒子内部から放出され、各種性能を向上させ、しかも接触信頼性は良好なものとして維持することができる。本発明の第1の実施形態における複合めっき材料においては、上記機能性の微小中空粒子が表面めっき層の上方(表面側)に偏在して分散していることで、上記のような特性を維持しつつ、微小中空粒子による導電性の阻害が防止され、耐摩耗性の持続性も向上する。また、微小中空粒子に薬剤として耐硫化剤、防錆剤、変色防止剤を内包させることで、硫化防止効果、防錆効果、変色防止効果など、多様な機能も付与できる。
このような特性を有しているため、本発明の第1の実施形態における複合めっき材料は、電気・電子部品、例えば摺動型や回転型の接点、スイッチの材料として好適である。
本発明の第2の実施形態における複合めっき材料はSnまたはSn合金からなる表面めっき層に潤滑剤などの薬剤を内包した微小中空粒子を有している。この微小中空粒子が表面に露出して摩擦を受けたとき、潤滑剤が滲出して潤滑性が高まり電気・電子部品の挿入力の低減をはかることができ、しかも接触信頼性が良好となる。本発明の第2の実施形態における複合めっき材料においては、微小中空粒子の60〜75%が表面めっき層の表面から半分までの厚さの間に存在する。このような分布で微小中空粒子が分散していることで、上記のような特性を維持しつつ、微小中空粒子による導電性の阻害が防止され、挿入力の低減できる。また、微小中空粒子に薬剤として酸化防止剤、防錆剤、変色防止剤を内包させることで、酸化防止効果、防錆効果、変色防止効果も付与できる。
このような特性を有しているため、本発明の第2の実施形態における複合めっき材料は、電気・電子部品、例えば挿抜型や嵌合型の端子・コネクタの材料として好適である。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の複合めっき材料の一実施態様を模式的に示す断面図である。 本発明の微小中空粒子の直径dと壁の厚さtを示す説明図である。 本発明の第1の実施形態における複合めっき材料において、中間めっき層を有する一実施態様を模式的に示す断面図である。 本発明の第2の実施形態における複合めっき材料の他の一実施態様における表面めっき層を模式的に示す断面図である。
本発明の複合めっき材料は、導電性基材の上に下地めっき層を有し、その上にAgもしくはAg合金、またはSnもしくはSn合金からなる表面めっき層が形成され、表面めっき層の表面、内部、もしくはその両方に潤滑剤などの薬剤を内包した微小中空粒子を有するものである。表面めっき層がAgもしくはAg合金からなるときは、下地めっき層と表面めっき層との間に微小中空粒子を含まない銀または銀合金からなる中間めっき層を有してもよい。
本発明の好ましい実施の形態について、表面めっき層がAgまたはAg合金の場合の第1の実施形態と、表面めっき層がSnまたはSn合金の場合の第2の実施形態とに分けて詳細に説明する。ただし、第2の実施形態については、第1の実施形態と共通する点について説明を省略することがある。これら両実施形態は同一もしくは対応する特別な技術的特徴を有し単一の発明概念を形成するものである。
<第1実施形態>
本実施形態の複合めっき材料は、導電性基材の上に下地めっき層を有し、その上にAgまたはAg合金からなる表面めっき層が形成され、表面めっき層の表面、内部、もしくはその両方に潤滑剤などの薬剤を内包した微小中空粒子を有するものである。下地めっき層と表面めっき層との間には、中間めっき層を設けてもよい。
本実施形態の複合めっき材料の好ましい実施態様は図1の概略断面図で示したように、導電性基材1の上に下地めっき層2が少なくとも1層が形成され、さらにその上に表面めっき層4が形成されており、当該表面めっき層4(表層上部4a、表層下部4b)には微小中空粒子5が0.1〜30体積%、好ましくは1〜30体積%の割合で分散している構造を有するものである。ここで、表面めっき層4の表層上部4aとは、めっき層の最表面側から表面めっき層4の厚さの半分までをいい、表面めっき層中に含まれる微小中空粒子の総量に対して、第1の実施形態では、60〜70%の数が表層上部4aに含まれ、残りが表層下部(基材側の表面めっき層)4bに含まれる。微小中空粒子のうち表層部に存在するものの割合をこのように制御することで、高い導電性と耐摩耗性を維持しつつ、表面の微小中空粒子の密度が高すぎることによる導電性阻害や耐摩耗性の持続性低下を防止できる。下限が6%が好ましいのは、実際の使用時に摺動を受ける表面側の粒子が多くなることによって、微小中空粒子の共析量が同じめっき皮膜であっても摺動抵抗を下げやすいためである。また、上限が70%が好ましいのは、微小中空粒子の偏在比を3倍程度までに抑えることによって、めっきの表面側と基材側の機械的強度の差を小さくすることができ、微小中空粒子を起点とするめっき皮膜の破壊を防ぐことができるためである。
また、本実施形態の複合めっき材料の別の好ましい実施態様においては、図3の概略断面図で示したように、導電性基材1の上に下地めっき層2が少なくとも1層と微小中空粒子を含まない中間めっき層3が順に形成され、さらにその上に表面めっき層4が形成されていてもよい。
[導電性基材]
導電性基材1の材料は格別限定されるものではなく、例えば接続コネクタとしての用途を考慮し、要求される機械的強度、耐熱性、導電性に応じて、例えば、純銅;リン青銅、黄銅、洋白、ベリリウム銅、コルソン合金のような銅合金;純鉄;ステンレス鋼のような鉄合金;各種のニッケル合金;Cu被覆材料やNi被覆材料のような複合材料などから適宜に選定すればよい。
また、導電性基材の形状としては、条材や線材などのいずれの形状でもよい。
これらの材料のうち、CuまたはCu合金が好ましい。なお、導電性基材1がCu系材料でない場合も、後述する銅、ニッケル、コバルト、鉄などが含まれる下地めっき層2を設けることにより、めっき膜の密着性や耐食性の向上が期待できる。
[表面めっき層]
表面めっき層4はAgまたはAg合金で形成され、めっき材料としての電気接触特性、耐食性、はんだ付け性を確保するために設けられる。Ag合金としては、例えば、AgにPd、Cu、Snの少なくとも1種を含有しているものが好適である。これらのAg合金では、耐摩耗性を向上させることができる。
表面めっき層の厚さは0.5〜5μmである。
図1や図3に示すような複合めっき材料では、表面めっき層4が摩耗するたびに微小中空粒子5が表層に露出する。微小中空粒子5が潤滑剤を内包する場合、露出した微小中空粒子5が摩擦を受けると内部に含まれる潤滑剤等が表面に滲出して潤滑性等を付与するため、摩耗量を低減して表面めっき層4の厚みのほぼ全域にわたって耐摩耗性を維持することができる。微小中空粒子5が耐硫化剤、防錆剤、変色防止剤を内包する場合は、微小中空粒子5が表層に露出したときに内部のこれらの薬剤が複合めっき材料の表面に作用して硫化防止、防錆、変色防止の効果を発揮する。また、表面めっき層4と中間めっき層3、下地めっき層2、あるいは導電性基材1との界面には微小中空粒子が含まれないため、めっき密着性や導電性にも優れる。
なお、表面めっき層4の表層に存在する微小中空粒子5がプレス加工等の成型加工や部品加工時に破壊されぬように保護するため、微小中空粒子5を分散した複合めっき層を形成した後に、表面めっき層4の表層に薄い保護層を形成してもよい。保護層としてはAgまたはAg合金からなるものが好ましい。
・微小中空粒子
微小中空粒子5は、潤滑剤、耐硫化剤、防錆剤、変色防止剤から選ばれる薬剤を内包する、樹脂からなるカプセル、無機粒子からなるカプセルなどが挙げられる。
潤滑剤を内包する微小中空粒子を適用しためっき材料で接点を作製した場合、接点を摺動させるまでは潤滑剤は微小中空粒子内で安定に保存されており、接点の摺動時に表面めっき層4が削れることで微小中空粒子が表層に露出し、さらに微小中空粒子が押し潰されて潤滑剤が放出されることにより、はじめて接点間の接触部に潤滑剤が供給される。このため、表面めっき層4の表層全面に潤滑剤を塗布する場合と比べて、潤滑剤成分の経時的な品質劣化が抑制されるとともに、潤滑剤の供給量を制御して必要量の潤滑剤を摺動時にのみ放出することができる。
上記薬剤を内包する微小中空粒子については、以下に外壁の材質や薬剤の種類、製造方法などの一例を記すが、それに限定されるものではない。
本実施形態における微小中空粒子の外壁を構成する材料は、特に限定されないが、めっき液中で安定して使用できるものとして、耐酸、耐アルカリ性に優れ、めっき液温度(例えば、20〜90℃)以上の融点を有する有機高分子または無機粒子を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリスチレン系などの有機高分子や、シリカやチタニアをはじめとする金属酸化物などの無機粒子が好適である。
・薬剤
本実施形態における微小中空粒子に内包される薬剤としては、潤滑剤、耐硫化剤、防錆剤及び変色防止剤から選ばれる少なくとも1種を含む。一般に使用されている物質を使用することができるが、電気的接続を図る用途で用いられることを考えると、接触抵抗への影響が少ない薬剤を用いることが好ましい。
潤滑剤の例としては、パラフィン系やオレフィン系の鉱物油や合成油、高級アルコールや多価アルコールやエーテル類、高級脂肪酸やそのエステル類、液状または固形ワックスなどから選ぶことができる。
耐硫化剤、防錆剤、変色防止剤の例としては、ベンゾトリアゾール類や、メルカプタン類やイミダゾール類、チアゾール類のような含硫黄化合物があげられる。
これらの薬剤は、別の微小中空粒子に内包させても、一つの微小中空粒子に内包させて複数の機能を兼ね備えた一つの粒子としてもよい。
・寸法等
微小中空粒子は薬剤を内包し、めっき材の表面に露出したときに摩擦によって内部の薬剤をめっき材表面に滲出させるものであればよい。形状は、例えば、球状、楕円体状のカプセルなど任意の形が挙げられる。微小中空粒子の粒径は0.05〜2μmであり、0.1〜1μmが好ましい。粒径は平均粒径であり、実際のめっき皮膜内に分散された粒径にもばらつきがあってよい。また、上記のカプセルの粒径は、球状以外の形状のもの、例えば、楕円体状のものでは長径を意味する。
めっき浴中に分散させる微小中空粒子の粒径が大きくなると、めっき皮膜中に安定して分散させることが困難となり、かつ、めっき皮膜中に共析した場合に導電性などのめっき皮膜の特性が低下するため、微小中空粒子の粒径は0.05〜2μmである。ただし、複合めっき層の厚さが2μmよりも薄い場合には、めっき皮膜中における分散状態やめっき皮膜特性への影響を考慮し、カプセル粒径を1μm以下とすることが特に好ましい。
微小中空粒子の壁の厚さをt(μm)とし、微小中空粒子の直径をd(μm)としたとき、t/dは内容積の大きさを表す。微小中空粒子のtとdについては、図2に説明図を示した。図2は微小中空粒子を中央で切断したときの断面図において、直径dと壁の厚さtを示すものである。t/dが小さいと内包する薬剤の量が多く、t/dが大きいと内包する薬剤の量は小さくなる。したがって、t/dを制御することにより、薬剤の効果を制御できる。また、tが小さいとカプセルが壊れやすくなる。これらの点から、例えば平均粒径2μm以下の球形の微小中空粒子では、t/dは1/100以上1/2未満であり、1/10以上2/5以下であることが好ましい。このようなt/dの範囲においては、表面付近に存在する微小中空粒子(マイクロカプセル)が摺動時に表面に出てきたときに摩擦によって自動的に壊れ、表面を潤滑する、あるいは硫化防止、防錆、変色防止する機能を持たせることも可能である。本発明において、壁の厚さtは調製時の混合比や調製時間などによって調節可能である。
(壁の厚さ・直径の測定方法)
なお、本実施形態における微小中空粒子の壁の厚さtと直径dは、以下のようにして測定した値の平均値とする。得られた微小中空粒子(マイクロカプセル)とエポキシ樹脂を混合し、シリコン基板上に固定する。その後、集束イオンビーム加工装置(FIB;例えば日立ハイテクノロジーズ FB−2000A)や断面試料作成装置(例えば日本電子 クロスセクションポリッシャ)にて、試料の断面出し加工を行う。その後、加工断面を走査型電子顕微鏡(SEM:例えば日立製作所 SEMEDX Type M)にて2万倍で撮影し、得られた画像からtおよびdを算出した。
・微小中空粒子の製造
マイクロカプセルを製造する技術については、一般に知られている方法を用いることができ、例えば界面重合法、懸濁重合法、分散重合法、液中乾燥法やコアセルベーション法等の液層中で合成する各種の方法が挙げられる。このうち、めっき皮膜への共析が容易となる微細なカプセルが得やすい、界面重合法や液中乾燥法が好適であり、液−液界面で反応させることにより合成した樹脂からなる微小中空粒子が特に好ましい。
無機粒子からなる微小中空粒子を製造する技術については、通常用いられる一般的方法で行うことができ、ゾル−ゲル反応により生成させた無機粒子が好ましい。
薬剤を内包する微小中空粒子を金属めっき皮膜中に共析させるためには、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの界面活性剤が使用されるが、めっき液中に微小中空粒子を分散して、めっき皮膜中に共析させ得るものであれば、いずれの界面活性剤を使用してもよい。
表面めっき層中における微小中空粒子の共析量は、0.1〜30体積%とする。共析量が少なすぎると薬剤の効果が十分に発揮されなくなり、また多すぎる場合には接点部における導電性を阻害するからである。薬剤の効果と導電性の観点からは共析量が1〜30体積%であることが好ましく、5〜15体積%であることがより好ましい。表面めっき層の表層上部に存在させる微小中空粒子の量は、表面めっき層の総数に対して、第1の実施形態では、60〜70%である。この値を大きくすればそれだけ表面側に中空粒子を多く偏在させその機能を発揮させやすいが、表面にのみ偏在しすぎないことで、十分な効果が得られる。この値が上記範囲で小さいと表層下部における粒子濃度との差が小さいことを意味するが、これを適度な差とすることで、機能性の粒子の効果を十分に発揮させ、かつ耐摩耗の持続性や導電性等をバランス良く実現することができ好ましい。
このような複合めっき材料は、例えば薬剤を内包した微小中空粒子を分散したAgまたはAg合金めっき液中において下地めっき層2及び中間めっき層3を有する基材1に表面めっき層4を施す際に、単一のめっき槽中で撹拌速度や電流密度などのめっき条件を連続的に変化させることや、微小中空粒子の濃度が異なる複数のめっき槽を用いて連続的にめっきすることにより、微小中空粒子5の分散濃度が異なるめっき層を形成して得られる。
本発明においては、表面めっき層中に共析される微小中空粒子の共析量は、めっき液中の微小中空粒子濃度の他に、電流密度、撹拌速度、界面活性剤の濃度により調節することができる。また、パルス的に電流を流すパルス電解や電流の向きを周期的に逆転されるPR電解により、さらに共析量の調製が可能となるため、表面めっき層はパルスめっき法またはPRめっき法で形成されることが好ましい。このときパルスのオン−オフ時間の設定は任意でよいが、1対1に近い方が好ましい。また、PR電解時のオン、オフ、リバース時間の設定、オン電流値、リバース電流値の設定についても任意でよいが、オフ時間がオン、リバース時間より短時間であり、またオン、リバース時間が同程度である方が好ましい。
(粒子濃度分布の測定方法)
粒子濃度分布は以下のように測定した。
すなわち、めっき皮膜を集束イオンビーム加工装置(FIB;例えば日立ハイテクノロジーズ FB−2000A)や断面試料作成装置(例えば日本電子 クロスセクションポリッシャ)にて、めっき皮膜に対して垂直に断面出し加工を行う。その後、加工断面を走査型電子顕微鏡(SEM:例えば日立製作所 SEMEDX Type M)にて2万倍で撮影した。得られた画像に表れている微小中空粒子の面積および個数を測定することによって、粒子濃度を算出した。
[下地めっき層]
導電性基材1の上部に形成される下地めっき層2は、導電性基材1とストライクめっきで形成される中間めっき層3との密着性を向上させるとともに、基材成分が表層側に熱拡散することを防止するバリア層としても機能する。この下地めっき層2に融点が1000℃以上の高融点金属を用いた場合、一般に接点やスイッチが受ける200℃以下の熱履歴においては、下地めっき層2は熱拡散を起こしにくく、基材成分が表層側に熱拡散することを有効に防止する。
高融点金属のうち、価格の点やめっき処理が行いやすい点などから、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)が好適である。また、これらの元素を含む合金めっき層やめっき後に熱処理して合金化した化合物層も同様に有効であり、例えば、Cu−Sn、Ni−Sn、Ni−P、Co−P、Ni−Co、Ni−Co−P、Ni−Cu、Ni−Feなどをあげることができる。
また、下地めっき層2は、必要に応じて成分や特性の異なる層を2層以上積層してもよい。例えば、基材1の上部に第一の下地層としてNi層を設け、その上部に第二の下地層としてCu層を設け、さらにその上部に中間めっき層3および表面めっき層4を設けることができる。
このような複合めっき材料では下地めっき層と表面めっき層の密着性がさらに向上する。
基材成分の熱拡散を防止する目的において、下地めっき層2の厚みは0.05〜2.0μmの範囲内に設定する。この下地めっき層の厚みが薄すぎると上記効果は十分に発揮されなくなり、また必要以上に厚くしても上記効果が飽和するからである。上記の基材成分の表層側への拡散防止効果を十分に発揮させるためには、下地めっき層2の厚さは0.1μm以上が好ましく、0.25μm以上がさらに好ましい。しかし、厚い場合には成型加工時に加工割れを起こす場合もあるため、加工性を考慮して厚みを1μm以下とすることが好ましい。
[中間めっき層]
本実施形態の複合めっき材料は、下地めっき層2上に、ストライクめっきによって形成されたAgまたはAg合金からなる中間めっき層3を有してもよい。中間めっき層3のめっき材料は、微小中空粒子を含有しないこと以外は表面めっき層4と同様である。下地めっき層2と表面めっき層4の間に中間めっき層3を設けることで、中間めっき層との密着性を良化させることができる。このような効果を得る観点から、中間めっき層の厚さは0.1〜1.0μmであり、0.1〜0.5μmであることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態に係る複合めっき材料によれば、表面めっき層の表面側から内部にかけて微小中空粒子の濃度が傾斜的に低下する構造が得られる。具体的には、表層上部には表面めっき層の60体積%を越える粒子が分布し、表層下部には60%未満の粒子が分布する。さらにその下方の中間めっき層には中空粒子が含まれていない。一方その連続相をなす合金はAgもしくはAg合金で中間めっき層から表面めっき層にかけて統一されており、良好な電気的特性あるいは耐摩耗性を実現することができる。
なお、銀などの貴な金属の場合、置換反応による密着力の弱い皮膜が形成されることを防ぐため、ストライクめっきが施されることがあるが、ストライクめっきによる層(中間めっき層)は表面めっき層に比べて十分に薄く、めっきの表面特性に影響を与えることはない。
上記の複合めっき材料は、電気・電子部品に用いられている従来の金属材料に代えて用いることができ、特に、摺動性や耐摩耗性に優れ、接触信頼性が高いので、摺動型や回転型の接点またはスイッチの材料として好適に用いることができる。
<第2実施形態>
本実施形態の複合めっき材料は、導電性基材の上に下地めっき層を有し、その上にSnまたはSn合金からなる表面めっき層が形成され、表面めっき層の表面、内部、もしくはその両方に潤滑剤などの薬剤を内包した微小中空粒子を有するものである。
本実施形態の複合めっき材料の好ましい実施態様は図1の概略断面図で示したように、導電性基材1の上に下地めっき層2が少なくとも1層と表面めっき層4が形成されており、当該表面めっき層4(表層上部4a、表層下部4b)には微小中空粒子5が0.1〜30体積%、好ましくは1〜30体積%の割合で分散している構造を有するものである。ここで、表面めっき層4の表層上部4aとは、めっき層の最表面側から表面めっき層4の厚さの半分までをいい、表面めっき層中に含まれる微小中空粒子の総数に対して、第2の実施形態では、60〜75%の数が前記表層上部4aに含まれ、残りが表層下部(基材側の表面めっき層)4bに含まれる。微小中空粒子のうち表層部に存在するものの割合をこのように制御することで、高い導電性を維持しつつ、電気・電子部品としたときの挿入力を低減し、表面の微小中空粒子の濃度が高すぎることによる導電性阻害などを防止できる。下限が6%が好ましいのは、実際の使用時に摺動を受ける表面側の粒子が多くなることによって、微小中空粒子の共析量が同じめっき皮膜であっても摺動抵抗を下げやすいためである。また、上限が75%が好ましいのは、微小中空粒子の偏在比を3倍程度までに抑えることによって、めっきの表面側と基材側の機械的強度の差を小さくすることができ、微小中空粒子を起点とするめっき皮膜の破壊を防ぐことができるためである。
また、本実施形態の他の一実施態様における表面めっき層4を模式的に示す断面図を図4に示す。図4に示す表面めっき層4において、微小中空粒子5は均一な粒径でなくとも良いが、表面めっき層4には0.1〜30体積%、好ましくは1〜30体積%の割合で存在しており、かつ表面めっき層中に含まれる微小中空粒子の総数に対して60〜75%の量が前記表層上部4aに含まれ、残りが表層下部4bに含まれているものである。
[導電性基材]
導電性基材1の材料は格別限定されるものではなく、例えば接続コネクタとしての用途を考慮し、要求される機械的強度、耐熱性、導電性に応じて、例えば、純銅;リン青銅、黄銅、洋白、ベリリウム銅、コルソン合金のような銅合金;純鉄;ステンレス鋼のような鉄合金;各種のニッケル合金;Cu被覆材料やNi被覆材料のような複合材料などから適宜に選定すればよい。
また、導電性基材の形状としては、条材や線材などのいずれの形状でもよい。
これらの材料のうち、CuまたはCu合金が好ましい。なお、導電性基材1がCu系材料でない場合も、後述する下地めっき層2をCuまたはCu合金からなるものとすることにより、めっき膜の密着性や耐食性がさらに向上する。
[表面めっき層]
表面めっき層4はSnまたはSn合金で形成され、めっき材料としての電気接触特性、耐食性、はんだ付け性を確保するために設けられる。Sn合金としては、例えば、SnにAg、Bi、Cu、Zn、In、Pb、Biの中から少なくとも1種を含有しているものが好適である。これらのSn合金では、挿抜性をさらに向上させることができるうえ、はんだ付け性が良好になり、さらに、ウィスカの発生を抑えることができるからである。
表面めっき層の厚さは0.5〜5μmであり、1〜5μmであることが好ましい。
図1に示すような複合めっき材料では、表面めっき層4が摩耗するたびに微小中空粒子5が表層に露出する。微小中空粒子5が潤滑剤を内包する場合、露出した微小中空粒子5が摩擦を受けると内部に含まれる潤滑剤が表面に滲出して潤滑性を付与するため、摩耗量を低減して表面めっき層4の厚みのほぼ全域にわたって耐摩耗性を維持することができる。微小中空粒子5が酸化防止剤、防錆剤、変色防止剤を内包する場合は、微小中空粒子5が表層に露出したときに内部のこれらの薬剤が複合めっき材料の表面に作用して酸化防止、防錆、変色防止の効果を発揮する。また、表面めっき層4と下地めっき層2、あるいは導電性基材1との界面には微小中空粒子が含まれないため、めっき密着性や導電性にも優れる。
このような複合めっき材料は、例えば薬剤を内包した微小中空粒子を分散したSnまたはSn合金めっき液中において下地めっき層2を有する基材1に表面めっき層4を施す際に、単一のめっき槽中で撹拌速度や電流密度などのめっき条件を連続的に変化させることや、微小中空粒子の濃度が異なる複数のめっき槽を用いて連続的にめっきすることにより、微小中空粒子5の分散濃度が異なるめっき層を形成して得られる。
なお、表面めっき層4の表層に存在する微小中空粒子5がプレス加工等の成型加工や部品加工時に破壊されぬように保護するため、微小中空粒子5を分散した複合めっき層を形成した後に、表面めっき層4の表層に薄い保護層を形成してもよい。保護層としてはSnまたはSn合金からなるものが好ましい。
・微小中空粒子
微小中空粒子5は、潤滑剤、酸化防止剤、防錆剤、変色防止剤から選ばれる薬剤を内包する、樹脂からなるカプセル、無機粒子からなるカプセルなどが挙げられる。
潤滑剤を内包する微小中空粒子を適用しためっき材料で接点を作製した場合、第1の実施形態で述べたと同様である。
上記薬剤を内包する微小中空粒子については、以下に外壁の材質や薬剤の種類、製造方法などの一例を記すが、それに限定されるものではない。
本実施態様における微小中空粒子の外壁を構成する材料は、第1の実施形態におけると同様である。また、Snの融点(約230℃)を超える耐熱性を持つ材料を使用した場合、リフロー処理による熱を受けてもカプセルは変形せず、カプセルの中身が引き続き保護されるといった特徴を持つ。
本実施態様における微小中空粒子に内包される薬剤としては、潤滑剤、変色防止剤、防錆剤及び酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を含む。一般に使用されている物質を使用することができるが、電気的接続を図る用途で用いられることを考えると、接触抵抗への影響が少ない薬剤を用いることが好ましい。
潤滑剤の例としては、第1の実施形態で述べたと同様である。
酸化防止剤、防錆剤、変色防止剤の例としては、ベンゾトリアゾール類や、メルカプタン類やイミダゾール類、チアゾール類のような含硫黄化合物があげられる。
これらの薬剤は、別の微小中空粒子に内包させても、一つの微小中空粒子に内包させて複数の機能を兼ね備えた一つの粒子としてもよい。
・寸法等
微小中空粒子は薬剤を内包し、めっき材の表面に露出したときに摩擦によって内部の薬剤をめっき材表面に滲出させるものであればよい。形状は、例えば、球状、楕円体状のカプセルなど任意の形が挙げられる。微小中空粒子の粒径は0.1〜2μmであり、0.2〜1μmが好ましい。粒径は平均粒径であり、実際のめっき皮膜内に分散された粒径にもばらつきがあってよい。また、上記のカプセルの粒径は、球状以外の形状のもの、例えば、楕円体状のものでは長径を意味する。
めっき浴中に分散させる微小中空粒子の粒径が大きくなると、めっき皮膜中に安定して分散させることが困難となり、かつ、めっき皮膜中に共析した場合に導電性などのめっき皮膜の特性が低下するため、微小中空粒子の粒径は2μm以下であることが好ましい。ただし、複合めっき層の厚さが2μmよりも薄い場合には、めっき皮膜中における分散状態やめっき皮膜特性への影響を考慮し、カプセル粒径を1μm以下とすることが特に好ましい。
微小中空粒子の壁の厚さをt(μm)とし、微小中空粒子の直径をd(μm)としたとき、t/dは内容積の大きさを表す。微小中空粒子のtとdについては、上記第1の実施形態と同様であり、t/dの好ましい範囲も同じである。
(壁の厚さ・直径の測定方法)
なお、本実施態様における微小中空粒子の壁の厚さtと直径dは、上記第1の実施形態と同様に測定した値の平均値とする。
・中空微粒子の製造
中空微粒子は上記第1の実施形態と同様に製造できる。めっき液への共析も上記第1の実施形態と同様であり、好ましい共析量も同じである。粒子濃度分布の測定も第1の実施形態と同様である。
[下地めっき層]
導電性基材1の上部に形成される下地めっき層2は、導電性基材1と表面めっき層4との密着性を向上させるとともに、基材成分が表層側に熱拡散することを防止するバリア層としても機能する。この下地めっき層2に融点が1000℃以上の高融点金属を用いた場合、一般に接点やスイッチが受ける200℃以下の熱履歴においては、下地めっき層2は熱拡散を起こしにくく、基材成分が表層側に熱拡散することを有効に防止する。
好ましい金属や化合物層は、上記第1の実施形態と同様である。
また、下地めっき層2は、上記第1の実施形態と同様に、成分や特性の異なる層を2層以上積層してもよい。このような複合めっき材料では下地めっき層と表面めっき層の密着性がさらに向上する。
下地めっき層の厚みの好ましい範囲は上記第1の実施形態と同様である。
上記の複合めっき材料は、電気・電子部品に用いられている従来の金属材料に代えて用いることができ、特に、摺動性や耐摩耗性に優れ、接触信頼性が高く、部品としたときの挿入力も低減されているので、挿抜型や嵌合型のコネクタ用端子の材料として好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
各実施例で作製した各複合めっき材料について、摩擦係数、接触抵抗、密着性、耐久性、曲げ加工性、耐硫化性の評価を実施した。評価方法は次の通りである。
摩擦係数:
バウデン型摩擦試験機を用いて、導電性基材上の表面めっき層側の表面を摺動させた際の往復100回摺動後の動摩擦係数を評価した。測定条件は、荷重0.98N(100gf)、摺動距離10mm、摺動速度100mm/分とした。相手材は3mmRの鋼球プローブを用いた。Rは、該鋼球プローブの半径を示す。
接触抵抗:
定電流通電時の電圧を測定することにより評価した。先端が5mmRのAgプローブを荷重0.49N(50gf)で接触させ、10mA通電時の電圧を測定し、n=10の平均値より接触抵抗を算出した。Rは、該Agプローブ先端の曲率半径を示す。なお、測定は初期および150℃×1000時間加熱後に実施した。
密着性:
めっき表面からクロスカットを施し、テープピール試験により評価した。クロスカット後のめっき表面に、粘着テープ(寺岡製作所、商品名:631S)を貼り付けて引き剥がした際に、めっき皮膜の剥離が見られないものを○(良)、剥離が見られたものを×(不良)として評価した。
耐久性:
往復100回摺動後に、摺動部における基材または下地めっき層の露出が見られるかを評価した。摺動部を450倍でマイクロスコープ観察し、基材や下地めっき層の露出が見られないものを○(良)、露出が見られたものを×(不良)として評価した。
曲げ加工性:
導電性基材の圧延方向と直角に90°曲げ(0.2R)を施し、曲げ部におけるめっき皮膜の割れにより評価した。曲げ部について500倍でSEM観察し、めっき皮膜に割れが見られないものを○(良)、割れが見られたものを×(不良)として評価した。Rは、複合めっき材料の板厚(mm)を示す。
耐硫化性:
往復100回摺動後に硫化試験を行い、摺動部において表面めっき層の変色が見られるかを評価した。硫化試験後に摺動部を40倍で顕微鏡観察し、変色の見られないものを○(良)、変色が見られたものを×(不良)として評価した。
参考例1−1]
参考例1−1〜1−10、比較例1−1〜1−4
表1−1に示す化学成分組成の銅または銅合金を鋳造、圧延、焼鈍を行い厚さ0.2mmの純銅(C1020:基材A)、黄銅(C2600:基材B)、リン青銅(C5210:基材C)、コルソン系合金(Cu−Ni−Si:基材D)を作製した。ステンレス(SUS304:基材E、厚さ0.2mm)については購入した。これらの基材にめっき前処理として脱脂処理および酸洗処理を順次施し、その後下地めっき層の形成を行い、ストライクめっきで中間めっき層を形成し、表面めっき層を順次施して、複合めっき材料を作製した。各層を形成する際のめっき条件については表1−2に、作製しためっき材料については表1−3に示した。表1−3中の表層含有量とは、表面めっき層の外表面側(表面から表面めっき層の厚みの半分まで)に含まれる微小中空粒子の総量に対する割合である。なお、電流密度を変化させることにより、めっき皮膜に含まれる含有量を操作することが可能である。表層含有量を変化させる方法は、表層めっきの工程中に、電流密度を調整することにより達成でき、具体的には含有量を上げる場合には記載の範囲内で電流密度を上げ、共析量を減らす場合には記載の範囲内で電流密度を下げた。
なお、各めっき層厚は次の通りとした。
下地めっき層:0.5μm
中間めっき層:0.2μm
表面めっき層:1.0μm
表面めっき層の形成においては、表1−2のAgめっき浴に微小中空粒子を表1−3に示す共析量に対応させた量を添加しためっき液を用い、同様のめっき条件にてめっきを施した。なお、めっき液中において微小中空粒子を安定して分散させるために、界面活性剤を適宜用いた。
微小中空粒子としては、界面重合法によりポリアミド系の外壁を形成し、内部にジフェニルエーテル系潤滑剤を内包するカプセルを用いた。得られた微小粒子の形状は平均粒径0.3μmの球形であった。微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さt(μm)としたときのt/dの値は0.3であった(平均粒径、t,dの測定方法は上述の通りである)。
Figure 0005654015
Figure 0005654015
Figure 0005654015
作製した各複合めっき材料について、摩擦係数、接触抵抗、耐久性の評価を実施した。これらの評価結果を表1−4に示す。
Figure 0005654015
表1−4に示されるように、表層部に微小中空粒子を有しない比較例1−1では、摩擦係数が高く、摺動性に劣るものであった。また、微小中空粒子の共析量が多すぎる比較例1−2と表層含有量が高すぎる比較例1−4では、加熱後の接触抵抗が大きく劣化するものとなった。表面付近の濃度が低い比較例1−3では、摺動性が低いものとなった。
これに対して、参考例の複合めっき材料はいずれも摺動性および接触信頼性が良好であり、耐久性も保たれている。参考例の複合めっき材料において微小中空粒子は、摺動によって表面に露出して摩擦を受けたときに内部の薬剤を表面に滲出させ必要な潤滑性を付与しつつ、接触信頼性等を阻害しない。
[実施例1−2]
本発明例1−〜1−、比較例1−5〜1−8、参考例1−11〜1−53
表1−1に示す化学成分組成の銅または銅合金を鋳造、圧延、焼鈍を行い厚さ0.2mmの純銅(C1020:基材A)、黄銅(C2600:基材B)、リン青銅(C5210:基材C)、コルソン系合金(Cu−Ni−Si:基材D)を作製した。ステンレス(SUS304:基材E、厚さ0.2mm)については購入した。これらの基材にめっき前処理として脱脂処理および酸洗処理を順次施し、その後下地めっき層の形成を行い、ストライクめっきで中間めっき層を形成し、表面めっき層を順次施して、めっき材料を作製した。各層を形成する際のめっき条件については表1−2に、作製しためっき材料については表1−5に示した。表1−5中の表層含有量とは、表面めっき層の外表面側(表面から表面めっき層の厚みの半分まで)に含まれる微小中空粒子の総量に対する割合である。
前記脱脂処理は、クリーナー160S(商品名、メルテックス社製)を60g/L含む脱脂液中において、液温60℃で電流密度2.5A/dmの条件で30秒間カソード電解して行った。また、前記酸洗処理は、硫酸を100g/L含む酸洗液中に室温で30秒間浸漬して行った。
表面めっき層の形成においては、表1−2のAgめっき浴に微小中空粒子を表1−5に示す共析量に対応させた量を添加しためっき液を用い、同様のめっき条件にてめっきを施した。表面めっき層を形成したときの電流波形を表5に示した。なお、めっき液中において微小中空粒子を安定して分散させるために、界面活性剤を適宜用いた。
微小中空粒子としては、界面重合法によりポリアミド系の外壁を形成し、内部にジフェニルエーテル系潤滑剤を内包するカプセルと、参考例1−24のようにゾル−ゲル法によりシリカの外壁を形成したカプセルを用いた。また参考例1−21、1−22、1−23、1−24のカプセルは、潤滑剤に加えて耐硫化剤(2−メルカプトベンゾイミダゾール)を合わせて内包するものとした。得られた微小粒子の形状は球形であった。
Figure 0005654015
なお、複合めっき層の表面から微小中空粒子が露出した場合には、めっき層表面から微小中空粒子頂点までの高さは、表1−5における表面めっき層の厚さに含まれない。
t/dは微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さt(μm)としたときの値であり、測定方法は上述の通りである。
作製した各複合めっき材料について、摩擦係数、接触抵抗、密着性、耐久性、曲げ加工性、耐硫化性の評価を実施した。これらの評価結果を表1−6に示す。
Figure 0005654015
表1−6に示されるように、表層部に微小中空粒子を有しない比較例1−5では、摩擦係数が高く、摺動性に劣るものであった。また、微小中空粒子の共析量が多すぎる比較例1−6と表層含有量が高すぎる比較例1−7では、加熱前の接触抵抗が高い上に加熱後の接触抵抗が大きく劣化するものとなった。下地めっき層を有しない比較例1−8においては、密着性が劣り、摩擦係数にも劣るという結果であった。また、めっき厚に関して、下地めっき層が厚い参考例1−51においては、曲げ加工性に劣り、また中間めっき層が厚い参考例1−52においては、加熱後の接触抵抗が悪化するという結果であった。表面めっき層の厚さが薄い参考例1−53では密着性、耐久性、加熱後の接触抵抗が劣るものとなった。
これに対して、表1−6に示されるように、本発明例の複合めっき材料はいずれも密着性、耐久性、曲げ加工性に優れ、しかも摺動性および接触信頼性が良好であった(参考例1−50は密着性に劣るが、密着性を要求されない用途であれば使用できる)。また、耐硫化剤を含む参考例1−21〜1−24では、これらに加えて、耐硫化性にも優れていた。本発明例の複合めっき材料において微小中空粒子は、摺動によって表面に露出して摩擦を受けたときに内部の薬剤を表面に滲出させ必要な潤滑性、耐硫化性を付与しつつ、接触信頼性等を阻害しないという優れた効果を奏している。
<実施例2>
各実施例で作製した各複合めっき材料について、摩擦係数、接触抵抗、微摺動摩耗(フレッティング生成の有無)、密着性、耐熱剥離性、曲げ加工性、耐酸化性の評価を実施した。評価方法は次の通りである。
摩擦係数:
バウデン型摩擦試験機を用いて、導電性基材の圧延方向と直角に摺動させた際の動摩擦係数を評価した。測定条件は、荷重2.94N(300gf)、摺動距離10mm、摺動速度100mm/分、摺動回数1回とした。相手材は板厚0.25mmの黄銅条にリフローSnめっき(1μm)した材料とし、0.5mmRの張出加工をしたものを用いた。
接触抵抗:
定電流通電時の電圧を測定することにより評価した。先端が5mmRのAgプローブを荷重0.98N(100gf)で接触させ、10mA通電時の電圧を測定し、n=10の平均値より接触抵抗を算出した。なお、測定は初期および160℃×120時間加熱後に実施した。
微摺動摩耗試験:
微摺動時における接触抵抗の測定として、摺動距離20μm、荷重2Nで1000回摺動する間における接触抵抗の最大値を評価した。フレッティングピークがみられないものを○(良)、フレッティングにより抵抗が大幅に上昇したものを×(不良)として評価した。
密着性:
めっき表面からクロスカットを施し、テープピール試験により評価した。クロスカット後のめっき表面に、粘着テープ(寺岡製作所、商品名:631S)を貼り付けて引き剥がした際に、めっき皮膜の剥離が見られないものを○(良)、剥離が見られたものを×(不良)として評価した。
耐熱剥離性:
160℃において120時間の熱処理を施した後に、導電性基材の圧延方向と直角に180℃曲げを施し、テープピール試験により評価した。曲げ戻した後のめっき表面に、粘着テープ(寺岡製作所、商品名:631S)を貼り付けて引き剥がした際に、めっき皮膜の剥離が見られないものを○(良)、剥離が見られたものを×(不良)として評価した。
曲げ加工性:
導電性基材の圧延方向と直角に90°曲げ(0.2R)を施し、曲げ部におけるめっき皮膜の割れにより評価した。曲げ部について500倍でSEM観察し、めっき皮膜に割れが見られないものを○(良)、割れが見られたものを×(不良)として評価した。
耐酸化性:
摺動後に加熱試験(180℃で30分間)を行い、摺動部において表面めっき層の変色が見られるかを評価した。加熱試験後に表面を40倍で顕微鏡観察し、変色の見られないものを○(良)、変色が見られたものを×(不良)として評価した。
[実施例2−1]
本発明例2−1、参考例2−1〜2−9、比較例2−1〜2−4
表2−1に示す化学成分組成の銅または銅合金を鋳造、圧延、焼鈍を行い厚さ0.2mmの純銅(C1020:基材A)、黄銅(C2600:基材B)、リン青銅(C5210:基材C)、コルソン系合金(Cu−Ni−Si:基材D)を作製した。ステンレス(SUS304:基材E、厚さ0.2mm)については購入した。これらの基材にめっき前処理として脱脂処理および酸洗処理を順次施し、その後下地めっき層の形成を行い、表面めっき層を施して、複合めっき材料を作製した。各層を形成する際のめっき条件については表2−2に、作製しためっき材料については表2−3に示した。表2−3中の表層含有量とは、表面めっき層の外表面側(表面から表面めっき層の厚みの半分まで)に含まれる微小中空粒子の総数に対する割合である。なお、電流密度を変化させることにより、めっき皮膜に含まれる含有量を操作することが可能である。表層含有量を変化させる方法は、表層めっきの工程中に、電流密度を調整することにより達成でき、具体的には含有量を上げる場合には記載の範囲内で電流密度を上げ、共析量を減らす場合には記載の範囲内で電流密度を下げた。
なお、各めっき層厚は次の通りとした。
下地めっき層:0.5μm
表面めっき層:5.0μm
表面めっき層の形成においては、表2−2のSnめっき浴に微小中空粒子を表2−3に示す共析量に対応させた量を添加しためっき液を用い、同様のめっき条件にてめっきを施した。なお、めっき液中において微小中空粒子を安定して分散させるために、界面活性剤を適宜用いた。
微小中空粒子としては、界面重合法によりポリアミド系の外壁を形成し、内部にジフェニルエーテル系潤滑剤を内包するカプセルを用いた。得られた微小粒子の形状は平均粒径0.3μmの球形であった。微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さt(μm)としたときのt/dの値は0.3であった(平均粒径、t,dの測定方法は上述の通りである)。
Figure 0005654015
Figure 0005654015
Figure 0005654015
作製した各複合めっき材料について、摩擦係数、接触抵抗の評価を実施した。これらの評価結果を表2−4に示す。
Figure 0005654015
表2−4に示されるように、表層部に微小中空粒子を有しない比較例2−1では、摩擦係数が高く、摺動性に劣るものであった。また、微小中空粒子の共析量が多すぎる比較例2−2と表層含有量が高すぎる比較例2−4では、加熱後の接触抵抗が大きく劣化するものとなった。表面付近の濃度が低い比較例2−3では、摺動性が低いものとなった。
これに対して、本発明例の複合めっき材料は摺動性および接触信頼性が良好である。本発明例の複合めっき材料において微小中空粒子は、摺動によって表面に露出して摩擦を受けたときに内部の薬剤を表面に滲出させ必要な潤滑性を付与しつつ、接触信頼性を阻害しないという優れた効果を奏している。各参考例はいずれも本発明例と同等の結果を示した。
[実施例2−2]
本発明例2−22−5、比較例2−5〜2−8、参考例2−10〜2−51
表2−1に示す化学成分組成の銅または銅合金を鋳造、圧延、焼鈍を行い厚さ0.2mmの純銅(C1020:基材A)、黄銅(C2600:基材B)、リン青銅(C5210:基材C)、コルソン系合金(Cu−Ni−Si:基材D)を作製した。ステンレス(SUS304:基材E、厚さ0.2mm)については購入した。これらの基材にめっき前処理として脱脂処理および酸洗処理を順次施し、その後下地めっき層の形成を行い、ストライクめっきで中間めっき層を形成し、表面めっき層を順次施して、めっき材料を作製した。各層を形成する際のめっき条件については表2−2に、作製しためっき材料については表2−5に示した。表2−5中の表層含有量とは、表面めっき層の外表面側(表面から表面めっき層の厚みの半分まで)に含まれる微小中空粒子の総数に対する割合である。
前記脱脂処理は、クリーナー160S(商品名、メルテックス社製)を60グラム/リットル含む脱脂液中において、液温60℃で電流密度2.5A/dmの条件で30秒間カソード電解して行った。また、前記酸洗処理は、硫酸を100グラム/リットル含む酸洗液中に室温で30秒間浸漬して行った。
表面めっき層の形成においては、表2−2のSnめっき浴に微小中空粒子を表2−5に示す共析量に対応させた量を添加しためっき液を用い、同様のめっき条件にてめっきを施した。表面めっき層を形成したときの電流波形を表2−5に示した。なお、めっき液中において微小中空粒子を安定して分散させるために、界面活性剤を適宜用いた。
微小中空粒子としては、界面重合法によりポリアミド系の外壁を形成し、内部にジフェニルエーテル系潤滑剤を内包するカプセルと、ゾル−ゲル法によりシリカの外壁を形成したカプセルを用いた。また参考例2−20〜2−23のカプセルは、潤滑剤に加えて酸化防止剤(2−メルカプトベンゾイミダゾール)を合わせて内包するものとした。得られた微小粒子の形状は球形であった。
Figure 0005654015
なお、複合めっき層の表面から微小中空粒子が露出した場合には、めっき層表面から微小中空粒子頂点までの高さは、表2−5における表面めっき層の厚さに含まれない。
t/dは微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さt(μm)としたときの値であり、測定方法は上述の通りである。
作製した各複合めっき材料について、摩擦係数、接触抵抗(微摺動摩耗を含む)、密着性、耐熱剥離性、曲げ加工性、耐酸化性の評価を実施した。これらの評価結果を表2−6に示す。
Figure 0005654015
表2−6に示されるように、表層部に微小中空粒子を有しない比較例2−5では、摩擦係数が高く摺動性に劣り、微摺動摩耗によりフレッティングを生成して抵抗が大幅に上昇して劣ったものであった。また、微小中空粒子の共析量が多すぎる比較例2−6と表層含有量が高すぎる比較例2−7では、加熱後の接触抵抗が大きく劣化するものとなった。下地めっき層を有しない比較例2−8においては、密着性が劣るという結果であった。また、めっき厚に関して、下地めっき層が厚い参考例2−49においては、曲げ加工性が劣るという結果であった。表面めっき層の厚さが薄い参考例2−50では、加熱後の接触抵抗が劣った上に、微摺動摩耗によりフレッティングを生成して抵抗が大幅に上昇して劣り、さらに密着性が劣ったものとなった。また、リン青銅上に銅下地めっきを厚くつけた場合(参考例2−51)では、耐熱剥離性が悪化してしまうものとなった。
これに対して、表2−6に示されるように、本発明例の複合めっき材料はいずれも密着性、耐熱剥離性、曲げ加工性に優れ、しかも摺動性が良好であり、微摺動摩耗によってもフレッティングを生成することがなく、接触信頼性が良好であった。また、酸化防止剤を含む参考例2−20〜2−23では、これらに加えて、耐酸化性にも優れていた。本発明例の複合めっき材料において微小中空粒子は、摺動によって表面に露出して摩擦を受けたときに内部の薬剤を表面に滲出させ必要な潤滑性、耐酸化性を付与しつつ、接触信頼性等を阻害しないという優れた効果を奏している。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2010年11月18日に日本国で特許出願された特願2010−258162、及び2010年11月18日に日本国で特許出願された特願2010−258163に基づく優先権を主張するものであり、これらはそれぞれここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 導電性基材
2 下地めっき層
3 中間めっき層
4 表面めっき層
5 微小中空粒子
c 中心線

Claims (9)

  1. 導電性基材の上に、銅、ニッケル、コバルト、鉄、またはこれらの元素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む合金からなる下地めっき層を少なくとも1層有し、その上に銀もしくは銀合金または錫もしくは錫合金からなる表面めっき層を有する複合めっき材料であって、
    前記表面めっき層の内部および/または表面に、潤滑剤、耐硫化剤、防錆剤、及び変色防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を内包する微小中空粒子が前記表面めっき層に対して0.1〜30体積%存在し、
    前記下地めっき層の厚さが0.05〜2.0μmであり、前記表面めっき層の厚さが0.5〜5μmであり、かつ、
    (イ)前記銀または銀合金からなる前記表面めっき層の場合、前記微小中空粒子はその総数に対して60〜70%の数が前記表面めっき層の表面から半分の厚さまでの間に含まれ、前記微小中空粒子は平均粒径0.05〜2μmの球形であり、前記微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さをt(μm)としたとき、t/dが1/100以上1/2未満であるか、または
    (ロ)錫または錫合金からなる前記表面めっき層の場合、前記微小中空粒子はその総数に対して60〜75%の数が前記表面めっき層の表面から半分の厚さまでの間に含まれ、前記微小中空粒子は平均粒径0.1〜2μmの球形であり、前記微小中空粒子の直径をd(μm)、壁の厚さをt(μm)としたとき、t/dが1/100以上1/2未満である、
    ことを特徴とする複合めっき材料。
  2. 前記下地めっき層上に、微小中空粒子を含まない銀または銀合金からなる中間めっき層を有し、さらに前記中間めっき層上に銀または銀合金からなる前記表面めっき層を有する請求項1に記載の複合めっき材料。
  3. 前記微小中空粒子が液相中で合成された樹脂からなる請求項1または2に記載の複合めっき材料。
  4. 前記微小中空粒子がゾル−ゲル反応で生成した無機粒子からなる請求項1または2に記載の複合めっき材料。
  5. 前記中間めっき層の厚さが0.1〜1.0μmであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の複合めっき材料。
  6. 前記表面めっき層がパルスめっき法またはPRめっき法で形成されたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合めっき材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合めっき材料を用いて形成された電気・電子部品。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の複合めっき材料を用いて形成された摺動型もしくは回転型の接点またはスイッチ。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の複合めっき材料を用いて形成された挿抜型もしくは嵌合型のコネクタ用端子。
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