JP3894467B2 - 平版印刷版の作成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷版及びその作成方法に関し、特に新聞印刷に好適な平版印刷版及びその作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム板を支持体とする平版印刷版は市販され広く用いられている。この平版印刷版を製造する方法としては、一般にシート状あるいはコイル状のアルミニウム支持体表面を処理し、ついで酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂などを溶剤に溶かした液を塗布し、乾燥して溶剤を蒸発させたあと、所望のサイズに裁断する方法が取られている。
このような平版印刷版を画像露光、現像、不感脂化して得られた印刷版を用いて印刷する場合、印刷版のサイズより小さい紙に印刷するときのように、印刷物の端部に相当する部分が印刷面とならない場合には問題はないが、新聞印刷のように印刷版の端部に相当する部分も印刷面となる場合は、端部に付着したインクが紙に印刷されて汚れとなり、印刷物の商品価値を著しく損ねてしまう。
そこで印刷版の端部の汚れを防止する方法として種々の試みがなされている。例えば特公昭57−46754号公報には、アルミニウム支持体の端部を削り取るかないしは押さえつけて切欠部を形成する方法が提案されているが、この方法では角部に施された陽極酸化皮膜が破壊されてしまうため、印刷枚数を増やすと徐々に汚れてくるという問題がある。また特開平9−52466号公報には、アルミニウム支持体の親水性層を有する表面と端部端面とで形成される角部が凸曲面で構成されることを特徴とする平版印刷版が開示されているが、角部全体が親水化されておらず、汚れ防止が不十分であった。
更に特許第2910950号公報には、陽極酸化処理した上に感光層を設けたアルミニウム支持体を刃に特定のすき間を設けたスリッターで裁断することにより、切欠部の裁断面が陽極酸化皮膜で覆われた印刷版を作成する方法が開示されているが、切欠部の表面が陽極酸化皮膜であるため、経時した場合に種々の汚れが付着し、露光、現像、不感脂化後でもその汚れが除去できないためインキが付着しやすく、やはり端部が汚れるという問題がある。また特開平11−52557号、特開平11−52558号の各公報の実施例には切欠部の形状を特定した感光性平版印刷版の記載があるが、感光層の種類によっては経時後にやはり端部が汚れるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、改良された平版印刷版の作成方法を提供することにある。より詳しくは、多数枚印刷した場合や、経時によっても端部に汚れが発生しない、特に新聞印刷に好適な平版印刷版を作成する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を行った結果、端部に特定の形状の切欠部を有し、その上に特定の樹脂を含有する樹脂層が存在する平版印刷版においては、経時した場合でも端部に汚れが発生しないことを見出し、本発明に到達したものである。さらに、粗面化処理及び陽極酸化処理をした後特定の化合物により処理を施したアルミニウム支持体を用い、更にその上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた平版印刷版を使用することで、スリッターにより所望のサイズに切断する際、該切欠部上に前記ポリウレタン樹脂を含有する層が残存した平版印刷版となり、この平版印刷版を用いることにより端部に汚れが発生しないことを見いだし、本発明に到達したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、アルミニウム支持体表面に粗面化処理、陽極酸化処理及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施し、該支持体上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた平版印刷版において、対向する少なくとも二方のへりの樹脂層側角部に沿って切欠部が存在し、該切欠部の樹脂層側表面は平面か上に凸の湾曲面であって該支持体の樹脂層表面に対し5〜45度の角度を有しておりかつ該切欠部のダレ高さが30〜100μmであり、及び該切欠部上にも該樹脂層が存在する上記平版印刷版、及びアルミニウム支持体表面に粗面化処理、陽極酸化処理及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施し、該支持体上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する樹脂層を設けた平版印刷版を、刃のすき間を30〜100μmとしたスリッターを用いて裁断することにより、対向する少なくとも二方のへりの樹脂層側角部に沿って該支持体の樹脂層表面に対し5〜45度の角度を有する切欠部を形成させ、かつ該切欠部上に該樹脂層を保持させた、平版印刷版の作成方法に関する。
本発明は、切欠部上に樹脂層が残存しているため、経時の際外部からの汚れ性分の付着を防止することができるという効果を奏する発明である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の平版印刷版は、粗面化処理、陽極酸化処理及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施したアルミニウム支持体上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた平版印刷版であって、対向する少なくとも二方のへりの樹脂層側角部に沿って切欠部を形成させた平版印刷版である。この切欠部の樹脂層側表面は平面か上方に向かって凸の湾曲面であり、切欠部の樹脂層側表面は前記支持体の樹脂層表面に対し5〜45度の角度を有しており、かつ切欠部のダレ高さは30〜100μmである。さらにこの切欠部上には上述した酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層(樹脂層)が存在する。
【0007】
上記平版印刷版は、(1)粗面化処理及び陽極酸化処理を施したアルミニウム支持体表面にケイ酸塩、ホスホン酸及びポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施す工程、(2)支持体上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する樹脂層を設ける工程、及び(3)支持体の対向する少なくとも二方のへりの樹脂層側角部に沿って一定の形状の切欠部を形成させる工程、を含み、及び(4)(3)の工程により形成された切欠部上に(2)の工程において設けられた酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂層が存在すること、を特徴とする方法により作成される。
【0008】
より具体的には、本発明の製造方法としては、アルミニウム支持体表面を粗面化処理、陽極酸化処理及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施した後、該支持体上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する樹脂層を設け、この平版印刷版を刃のすき間を30〜100μmとしたスリッターを用いて裁断する方法が挙げられる。このような方法により作成された平版印刷版の対向する二方または四方のへりの角部には、樹脂層表面に対し5〜45度の角度を有する切欠部が形成され、該切欠部上には酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層が保持される。
【0009】
また、アルミニウム支持体表面を粗面化処理、陽極酸化処理及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施した後、該支持体を刃のすき間を30〜100μmとしたスリッターを用いて裁断し、その後該支持体上全面にわたって酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する樹脂層を設けることによっても、対向する二方または四方のへりの角部に樹脂層表面に対し5〜45度の角度を有する切欠部が形成され、該切欠部上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層が保持された平版印刷版を作成することができる。更に、アルミニウム支持体表面をまずスリッターで裁断するか削る等して切欠部を形成した後、粗面化処理、陽極酸化処理、及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施し、その後該支持体上全面にわたって酸性水素原子を持つ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する樹脂層を設ける方法でも同様に平版印刷版を作成する事ができる。
【0010】
本発明の平版印刷版について以下に説明する。
〔支持体〕
支持体としては、アルミニウム及びアルミニウム被覆された複合支持体が好ましく、さらに鉄を0.1〜0.5重量%、ケイ素を0.03〜0.3重量%、銅を0.001〜0.03重量%、更にチタンを0.002〜0.1重量%含有する1Sアルミニウム板が好ましい。
【0011】
〔粗面化処理〕
アルミニウム材の表面は、保水性を高め、感光層との密着性を向上させる目的で表面処理されていることが望ましい。アルカリ好ましくは、1〜30重量%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム等の水溶液に、20〜80℃の温度で5秒〜250秒間浸漬してエッチングするのもよい。エッチング浴には、アルミニウムイオンをアルカリの5分の1程度加えても良い。ついで、10〜30重量%硝酸または硫酸水溶液に20〜70℃の温度で5秒〜25秒間浸漬して、アルカリエッチング後の中和及びスマット除去を行う。例えば、粗面化方法として、一般に公知のブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング、化学的エッチング、液体ホーニング、サンドブラスト等の方法およびこれらの組合せが挙げられ、好ましくはブラシ研磨法、電解エッチング、化学的エッチングおよび液体ホーニングが挙げられ、これらのうちで、特に電解エッチングの使用を含む粗面化方法が好ましい。さらに、特開昭54−63902号公報に記載されているようにブラシ研磨した後、電解エッチングする方法も好ましい。
【0012】
また、電解エッチングの際に用いられる電解浴としては、酸、アルカリまたはそれらの塩を含む水溶液あるいは有機溶剤を含む水性溶液が用いられ、これらのうちで、特に塩酸、硝酸またはそれらの塩を含む電解液が好ましい。
ブラシ研磨はパミストン−水懸濁液とナイロンブラシとを用いるのが好ましく、平均表面粗さを0.25〜0.9μmとすることが好ましい。
電解エッチング処理に使用される電解液は塩酸、または硝酸の水溶液であり、濃度は0.01〜3重量%の範囲で使用することが好ましく、0.05〜2.5重量%であれば更に好ましい。
また、この電解液には必要に応じて硝酸塩、塩化物、モノアミン類、ジアミン類、アルデヒド類、リン酸、クロム酸、ホウ酸、シュウ酸アンモニウム塩等の腐蝕抑制材(または安定化剤)、砂目の均一化剤などを加えることが出来る。また電解液中には、適当量(1〜10g/リットル)のアルミニウムイオンを含んでいてもよい。
【0013】
電解エッチング処理は、通常10〜60℃の電解液の温度で行なわれる。この際に使用される交流電流は、正負の極性が交互に交換されたものであれば、矩形波、台形波、正弦波いずれのものも用いることができ、通常の商用交流の単相及び三相交流電流を用いることができる。また電流密度は、5〜100A/dm2で、10〜300秒間処理することが望ましい。
本発明におけるアルミニウム合金支持体の表面粗さは、電気量によって調整し、0.2〜0.8μmとすることが好ましい。
【0014】
さらに、粗面化処理の施されたアルミニウム板は、必要に応じて酸またはアルカリの水溶液にてデスマット処理される。
このように砂目立てされたアルミニウム合金は、10〜50重量%の熱硫酸(40〜60℃)や希薄なアルカリ(水酸化ナトリウム等)により、表面に付着したスマットの除去及びエッチング(好ましくは0.01〜2.0g/m2の範囲で)されるのが好ましい。アルカリでスマットの除去及びエッチングした場合は、引き続いて洗浄のため酸(硝酸または硫酸)に浸漬して中和する。
【0015】
〔陽極酸化処理〕
表面のスマット除去を行った後、陽極酸化皮膜が設けられる。陽極酸化法は、従来よりよく知られている方法を用いることが出来るが、硫酸が最も有用な電解液として用いられる。それに次いで、リン酸もまた有用な電解液である。さらに特開昭55−28400号公報に開示されている硫酸とリン酸の混酸もまた有用である。
【0016】
硫酸法は通常直流電流で処理が行われるが、交流を用いることも可能である。硫酸の濃度5〜30重量%、20〜60℃の温度範囲で5〜250秒間電解処理されて、表面に1〜10g/m2の酸化皮膜が設けられる。この電解液には、アルミニウムイオンが含まれていることが好ましい。さらにこのとき電流密度は1〜20A/dm2が好ましい。
リン酸法の場合には、5〜50重量%のリン酸濃度、30〜60℃の温度で、10〜300秒間、1〜15A/dm2の電流密度で処理される。
【0017】
〔ケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸処理〕
上記粗面化及び陽極酸化処理した支持体は、ケイ酸塩、ホスホン酸、及びポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物により処理を行う。
【0018】
本発明では、支持体端部に特定の形状の切欠部を有し、さらにこの切欠部上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層が残存しているため、経時による汚れの付着がないという効果を奏する。特定の形状の切欠部に裁断する時、この樹脂層が脱落せず残存するのは、ケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物により処理による効果が大きいと考えられる。
【0019】
本発明におけるケイ酸塩、ホスホン酸、またはポリビニルホスホン酸の具体例としては、米国特許第2,714,066号明細書や米国特許第3,181,461号明細書に記載されている珪酸塩(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)処理、独国特許第1,134,093号明細書や英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理が挙げられる。
【0020】
処理方法は、ケイ酸塩、ホスホン酸及びポリビニルホスホン酸のうち少なくとも一種の化合物を水溶液として、これに支持体を浸漬するか、この水溶液を支持体に塗布する、あるいはスプレー等で吹き付ける方法が挙げられる。水溶液の濃度は好ましくは0.001〜30重量%であり、さらに好ましくは0.05〜10重量%である。また、ケイ酸塩の場合、pHは9〜13の範囲で使用される事が好ましい。浸漬する時間は水溶液の濃度及び使用する化合物にも依るが、通常0.5〜120秒が適当である。また、処理温度は通常5〜80℃で実施される。
【0021】
また、ケイ酸塩、ポリビニルホスホン酸及びホスホン酸等による上記処理に加えて、さらに、米国特許第2,946,638号明細書に記載されている弗化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号明細書に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号や特開昭58−18291号の各公報に記載されている親水性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホン酸基を有する水溶性重合体の下塗りによる親水化処理、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色処理等を行っってもよい。
【0022】
その他の親水化処理方法としては米国特許第3,658,662号明細書に記載されているシリケート電着をも挙げることが出来る。
また、砂目立て処理及び陽極酸化後、熱水及び無機塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに水蒸気浴などによって行われるその他の封孔処理を施してもよい。
【0023】
〔下塗り〕
さらに、本発明において、アルミニウム支持体には下塗りを施してもよい。
下塗りに用いられる化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホン酸基を有する水溶性重合体、および特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料等が好ましく用いられる。
【0024】
この下塗層は、水、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどもしくはそれらの混合溶剤に上記の化合物を溶解させ、支持体上に塗布、乾燥して設けることができる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
【0025】
〔切欠部の形状及びその製造方法〕
上述した処理を行った支持体、または前記支持体上に後述する酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた支持体の対向する少なくとも二辺をスリッターで裁断し、少なくとも二辺の角部に特定の形状の切欠部を形成する。
【0026】
図4は本発明の平版印刷版の端部の断面図である。なお、図4において樹脂層等は省略されている。
図4に示されるように、形成された切欠部の樹脂層側表面は上方に向かって凸型に湾曲しているか、または平面であってもよい。好ましくは屈曲部を有さない凸型湾曲である。屈曲部を有する場合には屈曲部にインキが付着して汚れが発生する場合がある。
凸型湾曲の場合における、支持体の樹脂層表面(処理表面)に対する切欠部の角度とは、図4に示すように、支持体の処理表面での湾曲開始部と、裁断面の湾曲終了部とを結んだ線と、支持体の処理表面の延長線とのなす角度θをいう。切欠部の角度θは5〜45度、好ましくは10〜40度である。5度より小さくても45度より大きくても端部の汚れが発生しやすくなる。
【0027】
支持体端部断面における切欠部の形状は、裁断ダレ高さ(X)(図4参照)が好ましくは30〜100μm、より好ましくは40〜80μmである。ダレ高さ(X)が30μm未満の場合は、端部に汚れが発生する。また、ダレ高さ(X)が100μmより大きい場合には、バリ高さ(下面部への突出)が大きくなり、切り粉の発生という問題が生じる。
【0028】
切欠部の面積は好ましくは500〜20000μm2、より好ましくは2000〜15000μm2である。切欠部(Y)(図4参照)の面積が500μm2より小さい場合には、端部に汚れが発生する。また切欠部の面積(Y)が20000μm2より大きい場合には、バリ高さが大きくなり、切り粉の発生が生じ、また端部付近の画像部の耐刷性が低下するという問題が生じる。
【0029】
上記切欠部を形成するためのスリッター裁断部の刃の隙間は30〜100μm、好ましくは35〜80μmである。30μmより狭いと、切欠面が形成されないか、形成しても45度より角度が大きくなってしまい端部の汚れが発生する。100μmより広いと、切欠面が形成されないか、形成しても5度より角度が小さくなり、端部の汚れが発生する。また裁断自体が困難になる場合もある。
【0030】
図1は、スリッタ装置の裁断部を示す断面図である。スリッタ装置には、上下一対の裁断刃10、20が左右に配置されている。これらの裁断刃10、20は円板上の丸刃からなり、上側裁断刃10aおよび10bは回転軸11に、下側裁断刃20aおよび20bは回転軸21に、それぞれ同軸上に支持されている。そして、上側裁断刃10aおよび10bと下側裁断刃20aおよび20bとは、相反する方向に回転される。アルミニウムのシート30は、上側裁断刃10a、10bと下側裁断刃20a,20bとの間を通されて所定の幅に裁断される。
【0031】
更に具体的には、図1のスリッタ装置の裁断部の上側裁断刃10aと下側裁断刃20aとの隙間および上側裁断刃10bと下側裁断刃20bとの隙間を、好ましくは30〜100μmに設定して図4に示すような形状の端部を形成させる。図2は、本発明の上側裁断刃10aと下側裁断刃20aの形状を示すものである。
また、図3は、図2のA部の拡大図であって、上側裁断刃10aの先端形状と下側裁断刃20aの先端形状および上側裁断刃と下側裁断刃の隙間を示す。
【0032】
〔ポリウレタン樹脂層〕
本発明においてアルミニウム支持体上に設ける酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂層としては様々なものが適用できる。例えば、感光性組成物を含む酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂層であってもよく、または感光性組成物を含有せず酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂のみを含有する層であってもよい。前者の場合には感光性平版印刷版として使用でき、後者の場合多色印刷用の捨て版として使用できる。
【0033】
本発明の平版印刷版は既に述べたように、支持体端部に特定の形状の切欠部を有し、さらにこの切欠部上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層が残存しているため、経時による汚れの付着がないという効果を奏する。酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂のかわりに他の樹脂を含有する層を用いた場合には、経時による汚れが付着し易い。またこの層は印刷版として使用する場合には現像時に溶解してしまうが、その場合にはすぐに不感脂化処理され版面が保護されるので、印刷時まで汚れ成分の付着はなく、インキが付着しないため汚れとはならない。
【0034】
本発明における酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂層について以下に説明する。
酸性水素原子を持つ置換基とは、その水中での酸解離定数(pKa)が7以下のものを指し、例えば−COOH、−SO2NHCOO−、−CONHSO2−、−CONHSO2NH−、−NHCONHSO2−などが含まれる。特に好適なものは−COOHである。ポリウレタン樹脂1g当りの酸含量は、0.05〜6ミリ当量が好ましい。0.05ミリ当量より少ないとアルカリ現像液での現像性が不十分となり、6ミリ当量より多いと耐摩耗性が劣化してくる。好ましくは0.2〜4ミリ当量である。
【0035】
上記ポリウレタン樹脂は種々の方法で製造することができる。例えば、酸性水素原子を持つ置換基としてカルボキシル基を有する好適なポリウレタン樹脂の場合には、下記一般式(I)で表わされるジイソシアネート化合物と、一般式(II)、(III)又は(IV)で表わされるカルボキシル基を有するジオール化合物との反応生成物を基本骨格とするポリウレタン樹脂が挙げられる。
【0036】
【化1】
Figure 0003894467
【0037】
式中、R1は置換基(例えば、アルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素を示す。必要に応じ、R1中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基、または炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。
【0038】
2は水素原子、置換基(例えば、アルキル、アリール、アルコキシ、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、ハロゲノの各基が好ましい。)を有してもよいアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ、またはアリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基もしくは炭素数2〜8個のアルケニル基、炭素数6〜15個のアリール基を示す。
【0039】
3、R4、R5はそれぞれ同一でも相異していてもよい、単結合、置換基(例えば、アルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アルコキシ及びハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、更に好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また、必要に応じ、R3、R4、R5中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、または炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。なお、R2、R3、R4、R5のうちの2又は3個で環を形成してもよい。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
【0040】
一般式(I)で示されるジイソシアネート化合物として、具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソイアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソイシネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の如き芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の如き脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)−ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の如き脂環族ジイソシアネート化合物:1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルの付加体等の如きシオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0041】
一般式(II)、(III)又は(IV)で示されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
即ち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0042】
また、カルボキシル基以外の酸性水素原子を持つ置換基を有するポリウレタン樹脂としては、一般式(I)のジイソシアネート化合物と、下記一般式(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)のジオール化合物との反応生成物で表わされる構造を基本骨格とするポリウレタン樹脂が含まれる。
【0043】
【化2】
Figure 0003894467
【0044】
式中、R2、R3、R4、R5及びArは前記と同義である。R6は置換基(例えば、アルキル、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい一価の脂肪族又は芳香族炭化水素を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキル基又は炭素数2〜20個のアルケニル基、炭素数6〜15個のアリール基、炭素数7〜15個のアラルキル基を示す。更に好ましくは炭素数1〜8個のアルキル基、又は炭素数2〜8個のアルケニル基、炭素数6〜10個のアリール基を示す。
【0045】
Yは−スルホニルアミド基(−CO−NH−SO2−)、N−スルホニルウレイド基(−NH−CO−NH−SO2−)、N−アミノスルホニルアミド基(−CO−NH−SO2−NH−)又はスルホニルウレタン基(−O−CO−NH−SO2−)を示す。
【0046】
一般式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)で示されるジオール化合物は、例えば一般式(II)、(III)、(IV)で示されるカルボキル基を有するジオール化合物のヒドロキシ基を保護した後、塩基存在下、一般式(IX)、(X)、(XI)又は(XII)の化合物との反応により合成される。更に、クロロスルホニルイソシアネートと反応させた後、一般式(XIII)のアミン化合物と反応させることにより合成される。
【0047】
6−SO2−NCO (IX)
X−R3−CO−NH−SO2−R6 (X)
X−R3−NH−CO−NH−SO2−R6 (XI)
X−R3−CO−NH−SO2−NH−R6 (XII)
6−NH2 (XIII)
【0048】
式中、Xは塩素原子又は臭素原子を示す。
スルホニルウレタン基の場合、トリヒドロキシ化合物の1つのヒドロキシ基を一般式(IX)の化合物と反応させることにより合成できる。
また、一般式(X)の化合物は、例えば下記一般式(XIV)と(XV)の化合物の反応、一般式(XI)化合物は、下記一般式(XVI)と(XV)の化合物の反応、一般式(XII)の化合物は、下記一般式(XVII)とクロロスルホニルイソシアネートの反応の後、一般式(XIII)のアミン化合物との反応により、各々合成される。
【0049】
X−R3−COCl (XIV)
6−SO2−NH2 (XV)
X−R3−NCO (XVI)
X−R3−COOH (XVII)
また、更に一般式(VIII)で示されるジオール化合物は、例えば、一般式(XIV)と下記一般式(XVIII)の化合物の反応、一般式(XVI)と下記一般式(XVIII)の化合物の反応、一般式(XVIII)とクロロスルホニルイソシアネートの反応の後、下記一般式(XIX)の化合物との反応により、各々得られた化合物をヒドロキシ化することにより合成される。
【0050】
X−R4−SO2−NH2 (XVIII)
X−R4−NH2 (XIX))
具体的には一般式(II)、(III)、(IV)及び(V)で示されるジオール化合物としては、以下に示すものが含まれる。
【0051】
【化3】
Figure 0003894467
【0052】
【化4】
Figure 0003894467
【0053】
【化5】
Figure 0003894467
【0054】
【化6】
Figure 0003894467
【0055】
【化7】
Figure 0003894467
【0056】
本発明に用いるポリウレタン樹脂は、一般式(I)のジイソシアネート化合物と一般式(VI)、(VII)、又は(VIII)のジオール化合物との反応生成物であるカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂に、塩基存在下、一般式(IX)、(X)、(XI)又は(XII)の化合物を反応させること、更に上記樹脂とクロロスルホニルイソシアネートとの反応の後に、一般式(XIII)のアミン化合物を反応させることによっても合成できる。
【0057】
更に、カルボキシル基を有せず、イソシアネートと反応しない他の置換基を有していてもよいジオール化合物を、アルカリ現像性を低下させない程度に併用することもできる。
このようなジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。即ち、エチレングリコール、ジエチルレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、2,2−ジメチロールマロン酸ジエチル、ビス−(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビス−フェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
【0058】
本発明に用いるポリウレタン樹脂には、残存の−OH基と一般式(IX)の化合物とを反応させて、酸性水素原子を有する置換基−SO2NHCOO−を導入することができる。
本発明に用いるポリウレタン樹脂は上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知な触媒、例えばジエチルアニリン、2,2,2−ジアザビシクロオクタン、n−ジブチルチンジラウレートなどを添加し、加熱することにより合成される。使用するジイソシアネート及びジオール化合物のモル比は好ましくは0.8:1〜1.2:1であり、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基か残存しない形で合成される。
【0059】
本発明に用いるポリウレタン樹脂の分子量は、好ましくは重量平均で1000以上であり、更に好ましくは5,000〜15万の範囲である。
これらのポリウレタン樹脂は単独で用いても混合して用いてもよい。感光性組成物を含む感光層中に含まれる場合には、これらのポリウレタン樹脂の含有量は50重量%以上、好ましくは50〜95重量%、更に好ましくは約60〜90重量%である。
【0060】
本発明において、前記ポリウレタン樹脂に対して50重量%以下の量で他の樹脂をも混入することができる。混入される樹脂としては例えばポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール形樹脂を挙げることができる。
【0061】
本発明において、上記ポリウレタン樹脂に感光性組成物をさらに加えて感光層として用い、感光性平版印刷版を作成してもよい。感光性組成物としては、例えばジアゾニウム化合物が挙げられる。ジアゾニウム化合物としては米国特許第3,867,147号記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,632,703号明細書記載のジアゾニウム化合物などが挙げられるが、特に芳香族ジアゾニウム塩と例えば活性なカルボニル基含有化合物(例えばホルムアルデヒド)との縮合物で代表されるジアゾ樹脂が有用である。好ましいジアゾ樹脂には、例えばp−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドの縮合物のヘキサフルオロ燐酸塩、テトラフルオロホウ酸塩が含まれる。また、米国特許第3,300,309号に記載されているようなp−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物のスルホン酸塩(例えば、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸塩など)、ホスフィン酸塩(例えばベンゼンホスフィン酸塩など)、ヒドロキシ基含有化合物塩(例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン塩など)、有機カルボン酸塩なども好ましい。
【0062】
更に、特開昭58−27141号に示されているような3−メトキシ−4−ジアゾ−ジフェニルアミンを4,4′−ビス−メトキシ−メチル−ジフェニルエーテルで縮合させ、メシチレンスルホン酸塩としたものなども適当である。この他、特開平1−102456号、同1−102457号、同1−254949号、同1−255246号、及び同2−66号公報に示されているようなジアゾ樹脂なども使用することができる。
これらジアゾニウム化合物の感光性層に対する含有量は、1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%である。また、必要に応じてジアゾニウム化合物2種以上を併用してもよい。
【0063】
本発明において上記感光性組成物には更に種々の添加剤を加えることができる。
例えば塗布性を改良するためのアルキルエーテル類(例えば、エチルセルロース、メチルセルロース)、界面活性剤類(例えば、フッ素系界面活性剤)、膜の柔軟性、耐摩耗性を付与するための可塑剤(例えば、トリクレジルホスフェート、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、燐酸トリオクチル、燐酸トリブチル、クエン酸トリブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、現像後の画像部を可視画化するための着色物質としてはアクリジン染料、シアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料やフタロシアニンなどの顔料やその他ジアゾ樹脂の一般的な安定化剤(燐酸、亜燐酸、ピロ燐酸、蓚酸、ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、リンゴ酸、酒石酸、ジピコリン酸、ポリアクリル酸及びその共重合体、ポリビニルホスホン酸及びその共重合体、ポリビニルスルホン酸及びその共重合体、5−ニトロナフタレン−1−ホスホン酸、4−クロロフェノキシメチルホスホン酸、ナトリウムフェニル−メチル−ピラゾロンスルホネート、2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2,2、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジスルホン酸など)、特公昭62−60701号、特開昭63−262642号などに記載されている着肉性を向上させるための感脂化剤などを添加することが出来る。これらの添加剤の添加量はその使用対象目的によって異なるが、一般には感光性層の全固形分に対して0.5〜30重量%である。
【0064】
本発明において、ポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂を含む感光性組成物は適当な有機溶媒に溶解し、ケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施した支持体上に乾燥塗布重量が0.5〜5g/m2となるように塗布され、多色印刷用の捨て版、または感光性平版印刷版(PS版)を得ることができる。塗布する際のポリウレタン樹脂またはポリウレタン樹脂を含む感光性組成物の固形分濃度は1〜50重量%の範囲とすることが望ましい。使用される塗布溶媒としてはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、メチルセロソルブアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、エチレンジクロライド、乳酸メチル、乳酸エチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。こられの混合溶媒又はこれらの溶媒や混合溶媒に少量の水やトルエン等のジアゾ樹脂や高分子化合物を溶解させない溶媒を添加した混合溶媒も適当である。これらの溶媒にポリウレタン樹脂や感光性組成物を溶解させて得られる塗布液を塗布し、乾燥させる場合、50〜150℃で乾燥させることが望ましい。乾燥方法は始め温度を低くして予備乾燥した後、高温で乾燥させてもよいが、適当な溶媒と濃度を選ぶことによって直接高温で乾燥させてもよい。
【0065】
感光性組成物を含む感光層を設けた場合には、感光層上には相互に独立して設けられた突起物により構成されるマット層を設けることが好ましい。マット層の目的は密着露光におけるネガ画像フィルムと感光性平版印刷版との真空密着性を改良することにより、真空引き時間を短縮し、さらに密着不良による露光時の微小網点のつぶれを防止することである。
マット層の塗布方法としては、特開昭55−12974号公報に記載されているパウダリングされた固体粉末を熱融着する方法、特開昭58−182636号公報に記載されているポリマー含有水をスプレーし乾燥させる方法などがあり、いずれの方法をも用いうる。マット層は実質的に有機溶剤を含まない水性現像液に溶解するか、あるいはこれにより除去可能な物質から構成されることが望ましい。
【0066】
対向する2辺または4辺の端部を上述した形状に形成された、ケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施されたアルミニウム板上に、塗布され乾燥された感光性組成物層を有する感光性平版印刷版は、その後、画像露光後アルカリ水溶液系現像液で現像することによりレリーフ像が得られる。露光に好適な光源としては、カーボンアーク灯、水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ストロボ、紫外線、レーザ光線などが挙げられる。
【0067】
ネガ型感光性平版印刷版の現像に使用されるアルカリ水溶液系現像液としては、特開昭51−77401号、同51−80228号、同53−44202号や同55−52054号の各公報に記載されているような現像液であって、pH=8〜13、水が75重量%以上含まれるものが好ましい。必要により水に対する溶解度が常温で10重量%以下の有機溶媒(ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アルカリ剤(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム)、アニオン界面活性剤(芳香族スルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩)、ノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー)、汚れ防止剤(亜硫酸ナトリウム、スルホピラゾロンのナトリウム塩)や硬水軟化剤(エチレンジアミンテトラ酢酸四ナトリウム塩、ニトロ三酢酸三ナトリウム塩)を加えることができる。
【0068】
しかし、有機溶媒等を含有すると、作業時の毒性、臭気等の衛生上の問題、火災、ガス爆発等の安全性の問題、泡の発生等の作業性の問題、廃液による公害等の問題、コストの問題等が発生するため、実質上有機溶媒を含まないものが更に好ましい。
このような、実質上有機溶媒を含まない水性アルカリ現像液として、例えば特開昭59−84241号、特開昭57−192952号及び特開昭62−24263号公報等に記載されている、ポジ型平版印刷版を画像露光後、現像する際に用いられる現像液組成物を使用することが出来る。
【0069】
本発明の感光性平版印刷版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号の各公報に記載されている方法で製版処理しても良い。即ち、現像処理後、水洗してから版面保護処理、またはそのまま版面保護処理、または酸を含む水溶液での処理、または酸を含む水溶液で処理後、版面保護処理を施してもよい。
【0070】
さらに、この種の感光性平版印刷版の現像工程では処理量に応じてアルカリ水溶液が消費されアルカリ濃度が減少したり、あるいは、自動現像機の長時間運転により空気によってアルカリ濃度が減少するため処理能力が低下するが、その際、特開昭54−62004号公報に記載のように補充液を用いて処理能力を回復させてもよい。この場合、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。
また、上記のような製版処理は、特開平2−7054号、同2−32357号の各公報に記載されているような自動現像機で行うことが好ましい。
【0071】
なお製版工程の最終工程で所望により塗布される版面保護剤としては特公昭62−16834号、同62−25118号、同63−52600号、特開昭62−7595号、同62−11693号、同62−83194号の各公報に記載されているものが好ましい。
なお現像液処理後、必要であれば画像部の不要部分を市販のネガ用消去液で消去するか石棒で擦りとることもできる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明について実施例により更に詳細に説明する。ただし本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。なお「%」は他に指定がない限り重量%を示す。
【0073】
平版印刷版作成例1
99.5%アルミニウムに銅を0.02%、チタンを0.03%、鉄を0.3%、ケイ素を0.07%含有するJIS A1050アルミニウム材の厚さ0.30mmの圧延板を、まず回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)と400メッシュのパミストン(共立窯業製)の20%水性懸濁液とを用いてその表面を砂目立した後、よく水で洗浄した。これを65℃の15%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム5%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングし、流水で水洗後、10%硝酸で中和洗浄した。続いて1%硝酸水溶液(アルミニウム0.5%含有)中で、陽極時電圧10.5V、陰極時電圧9.3Vの短形波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電流波形)を用い、170クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。これを水洗後、35℃の15%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してアルミニウムの溶解量が1g/m2になるようにエッチングし、水洗後引き続き30%の硝酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットしたあと、再度水洗した。更に35℃の15%硫酸水溶液(アルミニウム0.8%含有)中で、直流電流を用いて多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。すなわち電流密度13A/dm2で電解を行い、陽極酸化被覆量が2.7g/m2になるように陽極酸化処理を行った。その後70℃のケイ酸ナトリウムの3%水溶液に1分間浸漬処理し、水洗乾燥した。こうしてまず表面をケイ酸ナトリウムで処理したアルミニウム板〔a〕を得た。
以上のようにして得られたアルミニウム板〔a〕に次に示す塗布液(I)を乾燥重量1.5g/m2になるように塗布し、120℃で1分間乾燥し、平版印刷版〔A〕を得た。
【0074】
Figure 0003894467
【0075】
平版印刷版作成例2
作成例1と同様にして得られた、表面をケイ酸ナトリウムで処理したアルミニウム板〔a〕に、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム=75/10/15(モル比)の共重合体(重量平均分子量60000)を1%水溶液にしたものを乾燥重量0.1g/m2になるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。更に次に示す塗布液(II)を乾燥重量1.8g/m2になるように塗布し、100℃で1分間乾燥して、平版印刷版〔B〕を得た。
Figure 0003894467
【0076】
平版印刷版作成例3
作成例1と同様にして得られた、表面をケイ酸ナトリウムで処理したアルミニウム板〔a〕に、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム=70/15/15(モル比)の共重合体(重量平均分子量60000)を1%水溶液にしたものを乾燥重量0.1g/m2になるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。更に次に示す塗布液(III)を乾燥重量0.5g/m2になるように塗布し、80℃で1分間乾燥して、平版印刷版〔C〕を得た。
Figure 0003894467
【0077】
平版印刷版作成例4
作成例1に記載のアルミニウム板作成方法において、陽極酸化処理までは作成例1と同様に行い、その後60℃のポリビニルホスホン酸の1%水溶液に10秒間浸漬処理し、水洗乾燥することで、表面をポリビニルホスホン酸で処理したアルミニウム板〔b〕を得た。このアルミニウム板に作成例1と同様に塗布液(I)の塗布・乾燥を行って、平版印刷版〔D〕を得た。
【0078】
平版印刷版作成例5
作成例1に記載のアルミニウム板作成方法において、陽極酸化処理までは作成例1と同様に行い、その後ホスホン酸が2%とポリビニルホスホン酸が1%溶解している水溶液に10秒間浸漬処理し、水洗乾燥することで、まず表面をホスホン酸/ポリビニルホスホン酸で処理したアルミニウム板〔c〕を得た。このアルミニウム板を作成例2と同様に共重合体の塗布・乾燥及び塗布液(II)の塗布・乾燥を行って、平版印刷版〔E〕を得た。
【0079】
平版印刷版作成例6
作成例1と同様にして得られた、表面をケイ酸ナトリウムで処理したアルミニウム板〔a〕に、まずメチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム=50/30/20(モル比)の共重合体(重量平均分子量60000)を1%水溶液にしたものを乾燥重量0.05g/m2になるように塗布し、80℃で30秒間乾燥した。更に次に示す塗布液(IV)を乾燥重量2.0g/m2になるように塗布し、110℃で45秒間乾燥して、平版印刷版〔F〕を得た。
【0080】
Figure 0003894467
【0081】
平版印刷版作成例7
作成例1記載のアルミニウム板作成方法において、陽極酸化処理までは作成例1と同様に行い、その後のケイ酸ナトリウム処理を行わなかった。このようにして得られたアルミニウム板〔d〕に作成例1と同様に塗布液(I)の塗布・乾燥を行って、平版印刷版〔G〕を得た。
【0082】
実施例1及び比較例1
作成例1〜7で得られた厚さ0.30mm、幅840mmのコイル状の平版印刷版〔A〕〜〔G〕を、図1のスリッターと図2の裁断刃を用いて、上側裁断刃と下側裁断刃の隙間(D)を50μmに、かみ込み量(S)を250μmに設定して、幅800mm、長さ1100mmになるように裁断した(裁断方法1)。
この裁断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、上に凸の切欠部ができているのが確認され、その角度は場所ごとで若干のバラツキはあったものの、20〜25度の範囲内であった。ダレ高さは60μmであった。また切欠部には、〔A〕〜〔F〕の平版印刷版には塗布物の残存があったが、〔G〕の平版印刷版には塗布物の残存は認められなかった。
【0083】
なお、以下において、平版印刷版〔A〕〜〔G〕に対して裁断方法1により裁断して作成したものを実施例1(〔A〕〜〔D〕)、比較例1(〔F〕、〔G〕)と呼ぶ。
これらの裁断した平版印刷版を45℃湿度75%条件下に14日間放置したあと、次に示す方法で露光、現像、不感脂化処理を行うことで、印刷版を得た。
実施例1の平版印刷版〔A〕、〔B〕及び〔D〕〜〔F〕はまず平版印刷版の上に網点ネガフィルムを重ね、米国ヌアーク社製プリンターFT26V2UPNS(光源;2KWメタルハライドランプ)で200カウント露光した。次に富士写真フィルム(株)製自動現像機STABLON900NBに富士写真フィルム(株)製現像液DN−6及び富士写真フィルム(株)製ガム液FN−2を自動現像機で定められた割合で水道水で希釈した液を入れ準備し、露光した平版印刷版をこの自動現像機に通すことで現像処理と不感脂化処理を同時に行い、印刷版を得た。
実施例1の平版印刷版〔C〕は露光せずに上記自動現像機に通し、現像処理と不感脂化処理を同時に行い、カラー印刷用の空版を得た。
【0084】
なおこのようにして得られた印刷版は、非画像部分の処理表面、切欠部、裁断部、裏面のいずれも不感脂化処理されていることを別途確認した。
これらの印刷版をオフセット輪転印刷機にとりつけ、阪田インキ(株)製の新聞用インキと東洋インキ(株)製の東洋アルキー湿し水を用いて、100000枚/時の速度で印刷した。10000枚印刷した段階で、印刷版の端部に対応する印刷紙面の汚れを確認し、その結果を表2に示した。
【0085】
なお表2で、「なし」は印刷版の端部に対応する印刷紙面の汚れが発生していなかったことを示し、「あり」は汚れが発生していたことを示す。「わずか」は汚れが発生していたもののその程度が軽微だったことを示し、「著しい」は逆にその汚れが著しくひどかったことを示している。
表2の結果から分かるように、表面をケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸の少なくとも1種の化合物で処理し、さらにその上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた平版印刷版〔A〕〜〔D〕を裁断方法1により裁断した実施例1では汚れが発生していなかったが、表面をケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸の少なくとも1種の化合物で処理をしなかった平版印刷版〔G〕または酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層のかわりにアクリル樹脂層を設けた平版印刷版〔F〕を裁断方法1により裁断した比較例1では端部に汚れが発生した。
【0086】
実施例2〜8及び比較例2〜8
裁断方法1と同じように、作成例1〜7で得られた厚さ0.30mm、幅840mmのコイル状の平版印刷版〔A〕〜〔G〕を、図1のスリッターと図2の裁断刃を用いて、幅800mm、長さ1100mmになるように裁断した。このときの上側裁断刃と下側裁断刃の隙間(D)及びかみ込み量(S)を表1に示した。またこのようにして裁断した平版印刷版の裁断面を走査型電子顕微鏡で観察したときの切欠部の形状と角度、及び角平版印刷版での塗布物の残存を同時に表1に示した。
【0087】
これらの平版印刷版を実施例1と同様に、まず45℃湿度75%条件下に14日間放置し、必要に応じ露光したあと、現像、不感脂化処理して印刷版を得た。この印刷版を実施例1と同様に印刷し、10000枚印刷した段階で印刷版の端部に対応する印刷紙面の汚れを確認し、その結果を表2に示した。
【0088】
【表1】
Figure 0003894467
【0089】
【表2】
Figure 0003894467
【0090】
表2の結果から分かるように、表面をケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸の少なくとも1種の化合物で処理し、さらにその上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた平版印刷版〔A〕〜〔D〕を裁断方法2〜8で裁断した実施例2(平版印刷版〔A〕〜〔D〕)〜8(平版印刷版〔A〕〜〔D〕)には汚れが発生していなかったが、表面をケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸の少なくとも1種の化合物で処理をしなかった平版印刷版〔G〕または酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層のかわりにアクリル樹脂層を有する平版印刷版〔F〕を裁断方法2〜8で裁断した比較例2〜8(平版印刷版〔F〕及び〔G〕)には端部に汚れが発生した。
【0091】
比較例9〜12
またスリッターの間隔を30μmより狭くした場合や、逆に100μmより広くした場合、すなわち表1に記載の裁断方法9〜12により裁断した場合は、表面をケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸の少なくとも1種の化合物で処理し、かつ酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた平版印刷版〔A〕〜〔D〕の場合でも端部に汚れが発生した(比較例9〜12(平版印刷版〔A〕〜〔G〕))。
【0092】
実施例9
作成例1と同様にして得られた厚さ0.30mm、幅840mmの表面をケイ酸ナトリウムで処理したコイル状のアルミニウム板〔a〕を、塗布液を塗布する前に裁断方法1に記載したのと同じ方法で幅800mm、長さ1100mmになるように裁断した。この裁断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様の形状であった。このアルミニウム板に作成例1と同様に塗布液(I)を塗布・乾燥して、平版印刷版を得た。得られた平版印刷版には切欠部にも樹脂層が存在していることを別途確認した。
この平版印刷版をまず45℃、湿度75%条件下に14日間放置した後、実施例1と同様の方法で露光、現像、不感脂化処理を行うことで、印刷版を得た。この印刷版をオフセット輪転印刷機にとりつけ、阪田インキ(株)製の新聞用インキと東洋インキ(株)製の東洋アルキー湿し水を用いて、100000枚/時の速度で印刷した。そして10000枚印刷した段階で印刷版の端部に対応する印刷紙面の汚れを確認したところ、汚れは発生していなかった。
【0093】
実施例10〜16
実施例9において裁断方法を実施例2〜8に記載した方法で実施した以外は実施例9と同様にして平版印刷版を得た。裁断面の状態は実施例2〜8とほぼ同じであった。実施例9と同様にして印刷版を得て、端部の汚れを確認したが、いずれも汚れが発生していなかった。
【0094】
比較例13〜16
実施例9において裁断方法を比較例9〜12に記載した方法で実施した以外は実施例9と同様にして平版印刷版を得た。裁断面の状態は比較例9〜12とほぼ同じであった。実施例9と同様にして印刷版を得て、端部の汚れを確認したが、いずれも汚れが発生していた。
【0095】
実施例17
作成例4と同様にして得られた厚さ0.30mm、幅840mmの表面をポリビニルホスホン酸で処理したコイル状のアルミニウム板を、まず先に実施例1に記載したのと同じ方法で幅800mm、長さ1100mmになるように裁断した。この裁断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様の形状であった。
このアルミニウム板に作成例1と同様に塗布液を塗布・乾燥して、平版印刷版を得た。得られた平版印刷版には切欠部にも樹脂層が存在していることを別途確認した。
この平版印刷版をまず45℃、湿度75%条件下に14日間放置した後、実施例1と同様の方法で露光、現像、不感脂化処理を行うことで、印刷版を得た。この印刷版をオフセット輪転印刷機にとりつけ、阪田インキ(株)製の新聞用インキと東洋インキ(株)製の東洋アルキー湿し水を用いて、100000枚/時の速度で印刷した。そして10000枚印刷した段階で印刷版の端部に対応する印刷紙面の汚れを確認したところ、汚れは発生していなかった。
【0096】
実施例18〜24
実施例17において、裁断方法を実施例2〜8に記載した方法で実施した以外は実施例17と同様にして平版印刷版を得た。裁断面の状態は実施例2〜8とほぼ同じであった。実施例17と同様にして印刷版を得て、端部の汚れを確認したが、いずれも汚れは発生していなかった。
【0097】
比較例17〜20
実施例17において、裁断方法を比較例9〜12に記載した方法で実施した以外は実施例17と同様にして平版印刷版を得た。裁断面の状態は比較例9〜12とほぼ同じであった。実施例17と同様にして印刷版を得て、端部の汚れを確認したが、いずれも汚れが発生していた。
【0098】
実施例25
厚さ0.30mm、幅840mmのコイル状のアルミニウム板を、まず実施例1に記載したのと同じ方法で幅800mm、長さ1100mmになるように裁断した。次にこのアルミニウム板を作成例1と同様に表面処理し、表面を珪酸ナトリウムで処理したアルミニウム板を得た。この裁断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様の形状であった。
このアルミニウム板に作成例1と同様に塗布液を塗布・乾燥して、平版印刷版を得た。得られた平版印刷版には切欠部にも樹脂層が存在していることを別途確認した。
この平版印刷版をまず45℃、湿度75%条件下に14日間放置した後、実施例1と同様の方法で露光、現像、不感脂化処理を行うことで、印刷版を得た。この印刷版をオフセット輪転印刷機にとりつけ、阪田インキ(株)製の新聞用インキと東洋インキ(株)製の東洋アルキー湿し水を用いて、100000枚/時の速度で印刷した。そして10000枚印刷した段階で印刷版の端部に対応する印刷紙面の汚れを確認したところ、汚れは発生していなかった。
【0099】
実施例26〜32
実施例25において、裁断方法を実施例2〜8に記載した方法で実施した以外は実施例25と同様にして平版印刷版を得た。裁断面の状態は実施例2〜8とほぼ同じであった。実施例25と同様にして印刷版を得て、端部の汚れを確認したが、いずれも汚れは発生していなかった。
【0100】
比較例21〜24
実施例25において、裁断方法を比較例9〜12に記載した方法で実施した以外は実施例25と同様にして平版印刷版を得た。裁断面の状態は比較例9〜12とほぼ同じであった。実施例25と同様にして印刷版を得て、端部の汚れを確認したが、いずれも汚れが発生していた。
【0101】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版は、その平版印刷版を経時させた後印刷した場合でも印刷版の端部に対応する印刷面に汚れが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】スリッター装置を示す図である。
【図2】スリッター装置の裁断部の断面図である。
【図3】図2のA部の拡大図を示す。
【図4】裁断された支持体断面を示す。
【符号の説明】
10(10a、10b) 上側裁断刃
11、21 回転軸
20(20a、20b) 下側裁断刃
30 裁断する平版印刷版

Claims (2)

  1. アルミニウム支持体表面に粗面化処理、陽極酸化処理及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施し、該支持体上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する層を設けた平版印刷版において、対向する少なくとも二方のへりの樹脂層側角部に沿って切欠部が存在し、該切欠部の樹脂層側表面は平面か上に凸の湾曲面であって該支持体の樹脂層表面に対し5〜45度の角度を有しておりかつ該切欠部のダレ高さが30〜100μmであり、及び該切欠部上にも該樹脂層が存在する上記平版印刷版。
  2. アルミニウム支持体表面に粗面化処理、陽極酸化処理及びケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種類の化合物による処理を施し、該支持体上に酸性水素原子をもつ置換基を有するポリウレタン樹脂を含有する樹脂層を設けた平版印刷版を、刃のすき間を30〜100μmとしたスリッターを用いて裁断することにより、対向する少なくとも二方のへりの樹脂層側角部に沿って該支持体の樹脂層表面に対し5〜45度の角度を有する切欠部を形成させ、かつ該切欠部上に該樹脂層を保持させた、平版印刷版の作成方法。
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