JPH11254848A - 平版印刷版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版の製造方法

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Publication number
JPH11254848A
JPH11254848A JP6560198A JP6560198A JPH11254848A JP H11254848 A JPH11254848 A JP H11254848A JP 6560198 A JP6560198 A JP 6560198A JP 6560198 A JP6560198 A JP 6560198A JP H11254848 A JPH11254848 A JP H11254848A
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JP
Japan
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plate
acid
resin layer
water
mat
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Application number
JP6560198A
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English (en)
Inventor
Akira Nishioka
明 西岡
Hideji Sumitomo
秀司 住友
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造された平版印刷版を長期間保管しても印
刷汚れが発生せず、しかも製造過程でガム引きが完了す
るまでの取扱いによるキズがつきにくく、白灯下で取扱
うことが出来、版面を保護するための合紙および合紙を
抜きとるための作業が全く不要な平版印刷版、特に平版
印刷用捨版の製造方法を提供すること 【解決手段】 親水性表面を有する金属支持体上に水溶
性化合物の下塗層および表面がマット化された水不溶性
の非感光性樹脂層が設けられた平板印刷原版を合紙を重
ねることなく複数枚(通常30枚以上)積み重ね、1枚
毎に自動現像機に自動給版し、該自動現像機で上記下塗
り層及び非感光性樹脂層を溶解、除去することを含む工
程からなる平版印刷版の製造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版の製造方
法に関するものであり、特に好適な態様として多色印刷
装置に用いられる平版印刷版用捨版の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】特開平3−175090号公報には、P
S版の感光層を全面除去し捨版とした場合、感光層を完
全には除去することが出来ず、印刷汚れが起きたと記述
されている。更に、これを解決する方法として、感光層
が塗布されていなかったベース上にインキ付着防止用の
保護膜が設けてなる捨版が提案されている。しかしなが
らこのように前もって保護膜が設けられた捨版では、印
刷開始時不必要なインキが付着したものが完全に除去さ
れるのに必要な印刷枚数(通常黒損と称される)が増大
してしまう欠点を有しており、市場に全く受け入れられ
ていない。黒損が増大してしまう理由は、長期間保管し
ても印刷汚れが発生しないように保護膜が通常PS版の
ガム引き量よりも非常に多いこと、および長期保管によ
り印刷時の湿し水への溶解性が劣化することによる。
【0003】このため市場には保護膜も全く設けられて
いないベースがPS版メーカーより供給されており、こ
れは、印刷寸前にPS版と同様の親水化、ガム引きがな
されて使用されている。このような捨版用未塗布板の欠
点としては長期保管時に種々の汚染により、印刷汚れが
発生しやすいことである。特に版面保護のために版面に
重ねられる合紙の中に含有されているサイズ剤の種類に
よっては、非常に汚れを発生させてしまうものがある。
この際、合紙と重ねて長期間特に高温高湿下で保管する
と版の端部側から合紙のシワ状パターンに、更にひどく
なると全面印刷汚れが発生してしまう。更にガム引きが
完了するまでの取り扱いによりキズがつきやすい。この
ため、連続するアルミ板から表面処理された未塗布版を
シート状に裁断、集積する場合に、合紙がない状態では
自動的に集積することは非常に困難なため、合紙と重ね
た後シート状に裁断、集積されている。
【0004】しかし、ガム引きが終了するまでには必ず
合紙をはがしとる必要があるが、ガム引き直前に1枚毎
に合紙をとってガム引きすることは経済的でないので、
前もってPS版メーカーまたは使用者側で何枚か合紙を
抜きとって保管されることが多く、この作業時にキズが
つきやすいことがしばしば問題となっている。更に抜き
とられた後の合紙は不要となるため、経済的にも環境的
にも問題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製造
された平版印刷版を長期間保管しても印刷汚れが発生せ
ず、しかも製造過程において、ガム引きが完了するまで
の取扱いによるキズがつきにくく、白灯下で取扱うこと
が出来、版面を保護するための合紙および合紙を抜きと
るための作業が全く不要な平版印刷版、特に平版印刷用
捨版の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記平
版印刷版の製造方法が提供されて、上記本発明の目的が
達成される。 (1)親水性表面を有する金属支持体上に水溶性化合物
の下塗層および表面がマット化された水不溶性の非感光
性樹脂層を設けられた平版印刷原版を、合紙を重ねるこ
となく複数枚積み重ね、1枚毎に自動現像機に自動給版
し、該自動現像機で上記下塗り層および非感光性樹脂層
を溶解、除去することを特徴とする平版印刷版の製造方
法。 (2)連続したアルミ板に表面処理を施し、下塗層およ
び表面がマット化された水不溶性の非感光性樹脂層を設
け、そしてシート状に裁断することにより行うことを特
徴とする(1)に記載の製造方法。 (3)マット化が中心線平均粗さ(Ra)が0.35μ
m以上となるようにすること、または、1〜10μmの
マット剤を樹脂層に内添すること、または、樹脂層表面
にマット高さ1〜10μmの外添マットを設けることに
よりマット化されることを特徴とする(1)、(2)の
いずれかに記載の製造方法。 (4)裁断が、 (i)裁断用の上刃と下刃との隙間を30〜100μm
の間に設定して、 (ii)支持体の対向する2辺または4辺の端部の裁断
だれ高さが20〜100μm、且つ裁断面の粗さが、最
大高さ平均値で、1.2〜12μmの範囲内となり、し
かも裁断する際に発生する最大開口幅0.5μm以上
のクラックが、端部から内側に25μm以内の位置で発
生がなく、且つ下面に発生するバリが50μm以下とな
るように行われることを特徴とする(1)〜(3)に記
載の製造方法。本発明は、水溶性の下塗層により印刷汚
れ防止効果、水溶性の非感光性樹脂層により取扱いによ
るキズつきにくさ効果、表面のマット化により複数枚積
み重ね自動給版する際確実に1枚毎給版する効果が達成
されるものと考えられる。以下本発明を詳述するが、そ
れにより本発明の他の目的、利点および効果が明らかと
なるであろう。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の平版印刷版は、親水性表
面を有する金属支持体上に水溶性化合物の下塗層および
表面がマット化された水不溶性の非感光性樹脂層を設け
られたものでである。上記の金属支持体としては、アル
ミニウム支持体およびアルミニウム被覆された複合支持
体(以下、両者合わせて「アルミニウム材」ともいう)
が好ましい。より好ましい支持体としては、鉄を0.1
〜0.5重量%、ケイ素を0.03〜0.3重量%、銅
を0.001〜0・03重量%含有するアルミニウム材
(板)、特には更にチタンを0.002〜0.1重量%
含有する1Sアルミニウム材(板)が好ましい。
【0008】アルミニウム材の表面は、親水性を高める
目的で表面処理されていることが望ましい。表面処理方
法としては、アルカリ水溶液、好ましくは1〜30重量
%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、珪酸ナトリウム等のアルカリ水溶液(エッチング
浴)に、20〜80℃の温度で5秒〜250秒間浸漬し
てエッチングする方法を挙げることができる。上記エッ
チング浴には、アルミニウムイオンをアルカリの1/5
程度加えてもよい。浸漬後、10〜30重量%硝酸また
は硫酸水溶液に20〜70℃の温度で5秒〜25秒間浸
漬して、アルカリエッチング後の中和およびスマット除
去を行う。
【0009】また、アルミニウム材の表面は、保水性を
高めるために粗面化されていることが好ましい。粗面化
方法として、一般に公知のブラシ研磨法、ボール研磨
法、電解エッチング、化学的エッチング、液体ホーニン
グ、サンドブラスト等の方法およびこれらの組合せが挙
げられ、好ましくはブラシ研磨法、電解エッチング、化
学的エッチングおよび液体ホーニングが挙げられる。こ
れらのうちで、特に電解エッチングの使用を含む粗面化
方法が好ましい。また、特開昭54−53902号公報
に記載されているようにブラシ研磨した後、電解エッチ
ングする方法も好ましい。
【0010】上記電解エッチングの際に用いられる電解
浴としては、酸、アルカリまたはそれらの塩を含む水溶
液あるいは有機溶剤を含む水性溶液が用いられ、なかで
も、塩酸、硝酸またはこれらの塩を含む電解液が好まし
い。上記ブラシ研磨法は、パミストン−水懸濁液とナイ
ロンブラシとを用いるのが好ましく、アルミニウム材表
面の平均表面粗さ(Ra)を0.25〜0.9μmとする
ことが好ましい。
【0011】上記電解エッチング処理に使用される電解
液は、好ましくは塩酸または硝酸の水溶液である。これ
ら酸の濃度は、0.01〜3重量%の範囲であることが
好ましく、0.05〜2.5重量%であれば更に好まし
い。また、この電解液には必要に応じて、硝酸塩、塩化
物、モノアミン類、ジアミン類、アルデヒド類、リン
酸、クロム酸、ホウ酸、シュウ酸アンモニウム塩等の腐
蝕抑制材(または安定化剤)、砂目の均一化剤等を加え
ることが出来る。また、電解液中は、適当量、例えば1
〜10g/リットル濃度でアルミニウムイオンを含んで
いてもよい。
【0012】電解エッチング処理は、通常10〜60℃
の電解液の温度で行なわれる。この際に使用される交流
電流は、正負の極性が交互に交換されたものであれば、
矩形波、台形波、正弦波いずれのものも用いることがで
き、通常の商用交流の単相および三相交流電流を用いる
ことができる。また電流密度は、5〜100A/dm2 で、
10〜300秒間処理することが望ましい。
【0013】本発明におけるアルミニウム材の表面粗さ
は、電気量によって調整し、0.2〜0.8μmとする
ことが好ましい。更に、粗面化処理の施されたアルミニ
ウム材は、必要に応じて酸またはアルカリ性水溶液によ
りスマットの除去処理が施される。
【0014】このように砂目立てされたアルミニウム材
は、10〜50重量%の熱硫酸(40〜60℃)や希薄
なアルカリ(水酸化ナトリウム等)により、表面に付着
したスマットの除去およびエッチング(好ましくは0.
01〜2.0g/m2の範囲で)されるのが好ましい。アル
カリでスマットの除去およびエッチングした場合は、引
き続いて洗浄のため酸(硝酸または硫酸)に浸漬して中
和する。
【0015】表面のスマット除去を行った後、陽極酸化
皮膜が設けられる。陽極酸化法は、従来よりよく知られ
ている方法を用いることが出来るが、硫酸が最も有用な
電解液として用いられる。それに次いで、リン酸もまた
有用な電解液である。更に特開昭55−28400号公
報に開示されている硫酸とリン酸の混酸もまた有用であ
る。
【0016】硫酸法は通常直流電流で処理が行われる
が、交流を用いることも可能である。硫酸の濃度5〜3
0重量%、20〜60℃の温度範囲で5〜250秒間電
解処理されて、表面に1〜10g/m2の酸化皮膜が設けら
れる。この電解液には、アルミニウムイオンが含まれて
いることが好ましい。更にこのとき電流密度は1〜20
A/dm2 が好ましい、リン酸法の場合には、5〜50重量
%のリン酸濃度、30〜60℃の温度で10〜300秒
間、1〜15A/dm2 の電流密度で処理される。
【0017】また、更に必要に応じて米国特許第2,7
14,066号明細書や米国特許第3,181,461
号明細書に記載されている珪酸塩(ケイ酸ナトリウム、
ケイ酸カリウム)処理、米国特許第2,946,638
号明細書に記載されている弗化ジルコニウム酸カリウム
処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載さ
れているホスホモリブデート処理、英国特許第1,10
8,559号明細書に記載されているアルキルチタネー
ト処理、独国特詐第1,091,433号明細書に記載
されているポリアクリル酸処理、独国特詐第1,13
4,093号明細書や英国特許第1,230,447号
明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特
公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸
処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載さ
れているフィチン酸処理、特開昭58−16893号や
特開昭58−18291号の各公報に記載されている親
水性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理に
よって親水化処理を行うことが出来る。珪酸塩処理は親
水化能力が高くかつ処理も簡便であるため、特に好まし
い。
【0018】その他の親水化処理方法としては米国特許
第3,658,662号明細書に記載されているシリケ
ート電着をも挙げることが出来る。また、砂目立て処理
および陽極酸化後、封孔処理を施すことが出来る。かか
る封孔処理は熱水および無機塩または有機塩を含む熱水
溶液への浸漬ならびに水蒸気浴等によって行われる。
【0019】このように処理された親水性表面を有する
支持体に水溶性化合物の下塗層を設ける。下塗層に用い
られる水溶性化合物としては例えば、カルボキシメチル
セルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノ
エチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、
置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホ
スホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、
メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸等の
有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン
酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリ
ン酸等の有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホ
スフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィ
ン酸およびグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン
酸、グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類、およびト
リエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有す
るアミンの塩酸塩、特開昭59−101651号公報に
記載されているスルホン酸基を有する水溶性重合体等が
好ましく用いられ、スルホン酸基を有する水溶性重合体
が特に好ましい。
【0020】この下塗層は、水、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等も
しくはそれらの混合溶剤に上記の化合物を溶解させ、支
持体上に塗布、乾燥して設けることができる。下塗層の
乾燥後の被覆量は、10〜500mg/m2 が適当であり、
好ましくは50〜200mg/m2 である。下塗層が10mg
/m2 より少ないと印刷汚れ防止能力が不足する。下塗層
が500mg/m2 より多いと後で塗布される非感光性樹脂
層の膜強度が低下し、取り扱いによるキズつき防止能力
が低下する。
【0021】下塗層に引き続いて、非感光性樹脂層が設
けられる。非感光性樹脂として好ましいものは、酸含量
0.1〜3.0meq/g 、好ましくは0.2〜2.0meq/
g であり、実質的に水不溶性(すなわち中性または酸性
水溶液に不溶性)な、皮膜形成性を有する有機高分子化
合物である。また、該樹脂は、アルカリ水溶液に溶解ま
たは膨潤することができるものが好ましい。なお、酸含
量0.1meq/g 未満では溶解が困難であり、3.0meq/
g を超えると特に高温高湿保管時の膜強度が著しく弱く
なるので、好ましくない。
【0022】特に好適な非感光性樹脂としてはアクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須
成分として含む共重合体、例えば特開昭50−1188
02号公報に記載されている様な2−ヒドロキシエチル
アクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル、アク
リル酸またはメタクリル酸および必要に応じて他の共重
合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭53−12
0903号公報に記載されているような末端がヒドロキ
シ基であり、かつジカルボン酸エステル残基を含む基で
エステル化されたアクリル酸またはメタクリル酸、アク
リル酸、またはメタクリル酸および必要に応じて他の共
重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭54−9
8614号公報に記載されている様な芳香族性水酸基を
末端に有する単量体(例えばN−(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタクリルアミド等)、アクリル酸またはメタク
リル酸および必要に応じて他の共重合可能なモノマーと
の多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載さ
れている様なアルキルアクリレート、アクリロニトリル
またはメタクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸より
なる多元共重合体をあげることが出来る。この他、酸性
ポリビニルアルコール誘導体や酸性セルロース誘導体も
有用である。またポリビニルアルコールやポリウレタン
をアルカリ可溶化した特公昭54−19773号、特開
昭57−94747号、同60−182437号、同6
2−58242号、同62−123453号記載の結合
剤も有用であり、ポリウレタンをアルカリ可溶化した樹
脂が膜強度が高く特に好ましい。
【0023】樹脂層には種々の添加剤、例えば塗布層を
判別するための色素溶解促進のための可塑剤または低分
子酸化合物、フッ素系界面活性剤等の塗布面質改良剤、
表面マット化のためのマット剤等を添加することが出来
る。特に、ジピコリン酸、リンゴ酸、スルホサリチル
酸、スルホフタル酸、トリカルバニル酸等のカルボン酸
基またはスルホン酸基を含有する低分子酸化合物は、溶
解促進作用と共に長期保管時の印刷汚れ防止作用があり
好ましい。また、フッ素系界面活性剤は、塗布面質改良
効果のみならずキズつきにくさ向上効果があり好まし
い。
【0024】非感光性樹脂層を形成するための非感光性
樹脂組成物は公知の種々の塗布溶剤に溶解し、親水性表
面および下塗層を有するアルミニウム支持体上に乾燥塗
布重量が0.2〜3.0g/m2となる様に、好ましくは
0.3〜1.5g/m2となる様に塗布し乾燥する。塗布量
が0.2g/m2より少ないとキズつき防止能力が不足し、
逆に3.0g/m2以上はキズつき防止能力として十分であ
り、溶解除去時の溶解スピードが低下したり、溶解液の
処理能力を低下させてしまう。塗布する際の非感光性樹
脂組成物の固形分濃度は1.0〜50重量%が適当であ
り、好ましくは2.0〜30重量%が適当である。
【0025】支持体上に非感光性樹脂組成物を塗布する
方法としては従来公知の方法、たとえばロールコーティ
ング、バーコーティング、スプレーコーティング、カー
テンコーティング、回転塗布等の方法を用いることがで
きる。塗布された樹脂層組成物溶液は50〜150℃で
乾燥させるのが好ましい。乾燥方法は、始め温度を低く
して予備乾燥した後、高温で乾燥させてもよいし、直接
高温度で乾燥させてもよい。
【0026】非感光性樹脂層の表面はマット化される。
マット化の目的はキズつきにくさ向上効果および版材保
管後1枚毎に自動給版する場合に、多数枚が給版される
ことを防止することである。マット化は、中心線平均粗
さ(Ra)が0.35μm以上、好ましくは0.40μ
m以上、より好ましくは0.45μm以上となるように
するのが好ましく、これより低いと効果が得られなくな
る。
【0027】マット化する方法としては、支持体表面粗
度を活用する方法、樹脂層にマット剤を内添する方法、
樹脂層表面に樹脂層類似組成物を溶剤溶解した溶液をス
プレー塗布する方法、特開昭55−12974号公報に
記載されているパウダリングされた固体粉末を熱融着す
る方法、特開昭58−182636号公報に記載されて
いるポリマー含有水をスプレーし、乾燥させる方法等が
あり、いずれの方法をも用いうる。
【0028】支持体表面粗度を活用する方法では、支持
体表面粗さを0.4〜0.9μm、好ましくは0.45
〜0.9μmとし、下塗層および樹脂層を合せた塗布量
を2.0g/m2以下、好ましくは1.0g/m2以下とするこ
とにより、マット化するのがよい。マット剤を内添する
場合、マット剤の大きさ(粒径)を1〜10μm、好ま
しくは3〜10μmとするのが好ましい。マット剤とし
ては、SiO2 微粉末等公知のものを使用出来る。樹脂
層を形成後、マットを外添する場合、マット高さが1〜
10μm、好ましくは3〜10μmになるように設ける
のが好ましい。なお、マット剤を内添または外添する場
合、マットの個数が非常に多くないとRa測定ではマッ
ト部を確実に測定することが難しくなる。従って、Ra
測定のn数を多くして最大の測定値で判断するか、もし
くは電子顕微鏡観察によってマットの高さを測るのが適
当である。
【0029】本発明では、本発明の方法で製造された平
版印刷版が、裁断により得られるシート状支持体の裁断
辺に付着したインクで印刷紙面を汚すという額縁汚れを
防止する目的で、支持体の対向する2辺若しくは4辺の
端部の裁断だれ高さが20〜100μm、その側断面の
粗さが、最大高さ平均値で、1.2〜12μmの範囲内
となるように裁断することが好ましい。
【0030】ここでいう裁断面の粗さの最大高さ平均値
とは、裁断面に現われる2つの面(刃で剪断される剪断
面、亀裂が進展してできる破断面)の各々の粗さの最大
高さをその裁断面における割合で加重平均したものであ
る。この平均値をSとすると、下記式で表すことができ
る。 S=剪断面の粗さ×(剪断面/裁断面)+破断面の粗さ
×(破断面/剪断面)
【0031】このような裁断は、処理前のアルミ板、表
面処理後の支持体、下塗層および樹脂層を設けた後いず
れの段階で行なってもよい。また、陽極酸化皮膜を設け
た後に裁断する場合、裁断によって陽極酸化皮膜にクラ
ックを生じてしまうが、この際に発生するクラックが裁
断された支持体の端部から内側に25μm以上離れた位
置で発生するのが好ましい。更にクラック等の表面欠陥
部に不感脂化処理を行うことで、インキ付着を防止ある
いは抑制することができる。
【0032】このクラックにより現れた新生面は、経時
とともに表面が汚染され親油性を増し、インキが付着し
やすくなる。実験によって種々のインクを用いて印刷を
行ったところ、特定のインクがクラック汚れとして発生
することが確認された。特にクラック汚れは、クラック
の位置に左右され、版の端部にクラックが集中している
場合に汚れやすくなる。一方、刃の形状、隙間を最適化
することで、だれ形状による変形が一部に集中せず、分
散し、かつクラックの最大開口幅が0.5μm以上のも
のが、端部から内側に25μm以内になく25μmより
内側の版面に分布している場合は、この汚れが軽減され
ることが判明した。更に好ましくはこの25μm以内の
部分を不感脂化或いは経時による汚染防止の処理を行う
ことにより、クラック汚れの出やすいインクを用いた印
刷でもクラック汚れが出ないことが判明した。だれ形状
で得られる線状汚れに加えて、このクラック汚れを防止
することにより額縁汚れを大幅に減少させることができ
る。
【0033】このような裁断形状を設けるには、金属支
持体を所定サイズに裁断する上刃と下刃との隙間を、3
0μmから100μmに設定するのがよい。
【0034】このような条件で裁断すれば、裁断された
支持体の裁断辺に発生するだれを0.1mmから0.3mm
の巾で30μmから100μmのだれ高さとし、また下
面(印刷しない面)に発生するバリを50μm以下にす
ることが出来る。また、裁断面の粗さを、最大高さ平均
値で、1.2〜12μmにすることもでき、親水性が向
上し額縁汚れ減少に効果がある。
【0035】だれ高さを高くするに従い、額縁汚れ減少
に効果があるが、だれ高さが100μmを超えてしまう
と、下面のバリ高さが50μmを超えてしまうので、合
紙を重ねることなく、大量に積み重ねたり、取り扱いす
る際に版面にキズがつきやすくなり、また本発明の方法
で製造される平版印刷用捨版を輪転機に固着した時に該
平版印刷用捨版の平坦度が悪化する。したがって、印刷
に悪影響を与えてしまう。また、裁断面の粗さの最大高
さ平均値が0.1μm程度であると、良好な親水性を得
ることができず、額縁汚れを減少させることはできな
い。また、粗さを粗くするにはクリアランスを拡げた
り、切刃先の表面粗さを粗くしたりすることが挙げられ
るが、過度に条件を変更するとクリアランスが100μ
mを超えると前述のように、大きなバリが発生したり、
切刃先の表面粗さが3S以上になると切り粉が発生した
りする等、その他の幣害が発生する。
【0036】良好な裁断面を得るための手段として、回
転平刃によるスリッタ装置で、上刃と下刃との軸方向隙
間(クリアランス)を通常最適条件と言われている板厚
の5〜10%よりも広げた値(例えば、板厚0.3mmな
ら30μmから100μm)とする。刃先の表面仕上げ
は0.4S程度が好ましい。また、上刃と下刃とをバネ
で押し付け通常ゼロクリアランスと言われているゲーベ
ルタイプのスリッタを使用しても、どちらかの刃先に3
0μmから100μmの切り欠きを設けることで前記裁
断面が得られる。
【0037】本発明においては、下塗り層および非感光
性樹脂層が設けられ、裁断された支持体は、版面を保護
するための合紙を重ねることなく、大量に、通常30枚
以上積み重ねて、1枚毎に自動現像機に供給され、該自
動現像機で上記下塗り層および非感光性樹脂層を溶解、
除去する。上記のように積み重ねるには、連続したアル
ミ板を表面処理を行い、下塗層および樹脂層を設けたも
のを、合紙を重ねることなく、シート状に裁断集積する
のが好ましい。この際、ダレ形状は、連続したアルミ板
端辺に設けておくか、またはシート状にする直前に端辺
をダレ形状にスリットした後、長手方向に裁断してシー
ト状にするのが好ましい。従来公知の未塗布支持体を捨
版とする場合、版面にキズが非常につきやすく、版面保
護のための合紙と重ねて集積する必要があったが、本発
明では版面にキズがつきにくいため、合紙を重ねる必要
が全くない。
【0038】親水性表面層および下塗層を有する支持体
上に乾燥された樹脂層を有する平版印刷用捨版は、アル
カリ水溶液で溶解することにより機でアルカリ水溶液に
より溶解、除去する。
【0039】アルカリ水溶液としては、特開昭51−7
7401号、同51−80228号、同53−4420
2号や同55−52054号の各公報に記載されている
ような感光性平版印刷用現像液であって、pH=8〜1
3、水が75重量%以上含まれるものが好ましい。必要
により水に対する溶解度が常温で10重量%以下の有機
溶媒(ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル)、アルカリ剤(トリエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、リン
酸ナトリウム、炭酸ナトリウム)、アニオン界面活性剤
(芳香族スルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、
アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキル
硫酸エステル塩)、ノニオン界面活性剤(ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンブロックポリマー)、汚れ防止剤(亜硫酸ナトリ
ウム、スルホピラゾロンのナトリウム塩)や硬水軟化剤
(エチレンジアミンテトラ酢酸四ナトリウム塩、ニトリ
ル三酢酸三ナトリウム塩)を加えることができる。
【0040】しかし、有機溶媒等を含有すると、作業時
の毒性、臭気等の衛生上の問題、火災、ガス爆発等の安
全性の問題、泡の発生等の作業性の問題、廃液による公
害等の問題、コストの問題等が発生するため、実質上有
機溶媒を含まないものが更に好ましい。このような、実
質上有機溶媒を含まない水性アルカリ現像液として、例
えば特開昭59−84241号、特開昭57−1929
52号および特開昭62−24263号公報等に記載さ
れている現像液組成物を使用することが出来る。
【0041】本発明の方法においては、特開昭54−8
002号、同55−115045号、同59−5843
1号の各公報に記載されている方法で製版処理してもよ
い。即ち、現像処理後、水洗してから不感脂化処理を、
またはそのまま不感脂化処理を、または酸を含む水溶液
での処理後または酸を含む水溶液で処理後、不感脂化処
理を施してもよい。
【0042】更に、この種の現像工程では処理量に応じ
てアルカリ水溶液が消費されアルカリ濃度が減少した
り、あるいは、自動現像機の長時間運転により空気によ
ってアルカリ濃度が減少するため処理能力が低下する
が、その際、特開昭54−62004号公報に記載のよ
うに補充液を用いて処理能力を回復させてもよい。この
場合、米国特許第4,882,246号に記載されてい
る方法で補充することが好ましい。
【0043】また、本発明では、上記のような製版処理
は、特開昭2−7054号、同2−32357号の各公
報に記載されているように自動現像機で行われる。なお
製版工程の最終工程で所望により塗布される不感脂化ガ
ムとしては特公昭62−16834号、同62−251
18号、同63−52600号、特開昭62−7595
号、同62−11693号、同62−83194号の各
公報に記載されているものが好ましい。
【0044】本発明の方法では、自動現像機で下塗り層
および非感光性樹脂層を有する平版印刷用捨版を処理す
る際、合紙を重ねることなく、大量に、通常30枚以上
積み重ねたものから、ゴム吸盤等により1枚毎に自動給
版する。上記支持体は、版面にキズがつきにくく、か
つ、マット層によって版が相互に密着することを防止す
る作用があるため、自動給版に適している。
【0045】以上説明した裁断、集積工程および給版、
溶解工程からなる本発明の方法は、平版印刷版、特に平
版印刷用捨版の製造に好適に用いられる。
【0046】
【実施例】(実施例1)評価材として以下の捨版用平版
印刷版を作成、使用した。アルミニウムを99.5重量
%、銅を0.01重量%、チタンを0.03重量%、鉄
を0.3重量%、ケイ素を0.1重量%含有するJIS
A1050アルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、
400メッシュのパミストン(共立窯業製)の20重量
%水性懸濁液と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイ
ロン)とを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で
洗浄した。
【0047】これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液
(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニ
ウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングした後、
流水で水洗した。更に、1重量%硝酸で中和し、次に
0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含
有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.
3ボルトの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、
特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電
流波形)を用いて160クーロン/dm2の陽極時電気量で
電解粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量%
水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶
解量が1g/m2になるようにエッチングし、水洗した。次
に、50℃30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマ
ットした後、水洗した。
【0048】更に、35℃の硫酸20重量%水溶液(ア
ルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用いて、
多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。すなわち電流密
度13A/dm2 で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7gとした。この支持体を水洗後、7
0℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間浸
漬処理し、水洗、乾燥した。
【0049】以上のように得られたアルミニウム支持体
はマクベスRD920反射濃度計で測定した反射濃度は
0.30で中心線平均粗さは0.48μmであった。次
に、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(仕込
重量比65/20/15)共重合体の一部をナトリウム
塩としたものを1.0重量%メタノール/水=90/1
0溶液とし、バーコーターにより乾燥後の塗布量が0.
1g/m2になるように塗布した。
【0050】更に下記に示す樹脂層組成物1をバーコー
ターを用いて塗布し、110℃で45秒間乾燥させた。
乾燥塗布量は0.7g/m2であった。樹脂層の表面粗さR
aは0.43μmであった。 樹脂組成物1 ・アルカリ可溶性ウレタンバインダー 5.0g (重量平均分子量85,000、酸含量1.64meq/g) 4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート 37.5モル% ヘキサメチレンジイソシアネート 12.5モル% 2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸 32.5モル% テトラエチレングリコール 17.5モル% ・ビクトリアピュアブルー 0.05g ・スルホフタル酸 0.3g ・FC−430(3M社製フッ素系界面活性剤) 0.05g ・メタノール 30g ・メチルエチルケトン 30g ・1−メトキシ−2−プロパノール 25g ・乳酸メチル
【0051】更にマット層形成用樹脂液として、先に下
塗層に使用した共重合体を12重量%水溶液とし、回転
霧化静電塗装機で、回転数25000rpm 、送液量4ml
/分、印加電圧−90kV、周囲環境25℃50%RH
とし、塗布後25秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤さ
せ、ついで湿潤した3秒後に温度60℃湿度10%RH
の温風を5秒間吹き付けて乾燥させた。マットの高さは
平均6μm、大きさは平均行30μm、塗布量は150
mg/m2 であった。マットを付与後Raをn=5で測定し
たところ、Raは0.50〜0.65であった。かくし
て得られた板厚0.3mm、幅820mmのコイル状の版を
幅400mmとなるように、合紙を重ねることなく、スリ
ッター装置にて裁断したのち、カット長1100mmのシ
ートに切断し、合紙がないまま連続的に自動集積、50
0枚積み重ねて大量包装した。なお、この版材は非感光
性であるため、すべて白灯下での作業が可能であった。
【0052】下刃は各刃先角が90℃の平刃を用いた。
上刃は耳屑を保持するためのスペーサとの干渉を防ぐ
為、先端0.5mmを残し、60度で逃げを設けてある。
また耳保持スペーサは刃と略同径で角部にC0.5の面
取りを施してある。スペーサと刃との隙間は3mmとし、
耳が狭い場合でも保持できるようにしている。
【0053】刃径はφ160mmを用いた。上下刃の上下
方向ラップ量は板厚の30%〜50%に変化させても裁
断形状に大きな差異がみられなかったので、100%一
定で加工した。裁断面のだれ形状はクリアランスに影響
され、ひいては額縁汚れに影響するため、クリアランス
を50μmとして裁断した。この時だれ高さ60μm、
だれ幅150μm、最大開口径0.5μm以上のクラッ
ク位置は30〜150μm、下面に発生するバリは15
μmであった。このように作成、集積された版を、版さ
ばきのための水平エアーブローおよび吸盤ゴムで1枚毎
に版材を自動給版する装置で、800H(富士写真フイ
ルム(株)製自動現像機)に給版した。800Hでは、
DN−3C(富士写真フイルム(株)製ネガ型PS版用
アルカリ水溶液系現像液)を水で1:1に稀釈した液に
て溶出し、ただちにFN−2(富士写真フイルム(株)
製ガム)を1:1に稀釈した液を塗り、乾燥した。この
捨版をオフセット輪転機にて坂田インキ(株)の新聞用
インキと東洋インキ(株)の東洋アルキー湿し水を用い
て100,000枚/時のスピードで20,000枚印
刷し、汚れ状況を評価した。
【0054】本実施例の場合、裁断、集積、自動給版等
の一連の工程で全くトラブルが発生せず、キズ汚れも全
く発生しなかった。長期(6ケ月)保管および40℃8
0%RH6日間保管後の印刷を含め、黒損が100枚、
地汚れの発生が全くなく、更に額縁汚れもほとんど発生
がなく、捨版として非常に良好な印刷結果を得た。また
本発明は非感光性であるため、白灯下で取扱い保管して
も全く問題が出なかった。
【0055】(比較例1)実施例1において塗布層を全
く設けずに、実施例1と同様の裁断、集積を行なったと
ころ集積時、版面にキズつきが多数発生した。合紙を重
ねて集積後、合紙を手で抜きとり、再度集積を行なった
が、非常に注意を払ったにもかかわらず、一部の版にキ
ズがついてしまった。合紙を重ねたまま、1枚毎、合紙
を抜きとりながら800Hで処理をしたが、長期(6ケ
月)保管および40℃80%RH6日間保管の版材で合
紙のシワ状汚れが発生した。
【0056】(比較例2)比較例1において、アラビア
ゴムを0.5g/m2塗布乾燥後、実施例1と同様の裁断、
集積を行ない、後処理することなく捨版として印刷し
た。長期(6ケ月)保管および40℃80%RH6日間
保管後の版材で、印刷スタート時の黒損が300枚と劣
る結果であった。なお、実施例1と同様800Hで溶
出、ガム引きを行なった版材の黒損は約100枚であっ
た。更に40℃80%RH6日間保管した合紙のない版
で一部版どうしが接着してしまっていたのがあった。
【0057】(比較例3)実施例1で樹脂層の塗布量を
2.1g/m2とし、マットを付与しなかった。樹脂層表面
の中心線平均粗さ(Ra)は0.30μmであった。自
動給版装置で、多数枚送りが何度か発生してしまった。
【0058】(実施例2)実施例1において、樹脂液を
回転霧化静電塗装することによるマット層を設けること
なく、樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.43
μmのままで、実施例1と同様使用したところ、問題な
く使用出来た。
【0059】(実施例3)比較例3において、実施例1
と同様のマットを設けた。マットの高さは実施例1同様
平均6μmであった。マット付与後の表面粗さは、n=
5測定で、0.38〜0.60μmであった。これを実
施例1と同様、使用したところ、問題なく使用出来た。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、製造された平版印刷版
を長期間保管しても印刷汚れが発生せず、しかも製造過
程において、ガム引きが完了するまでの取扱いによるキ
ズがつきにくく、白灯下で取扱うことができ、版面を保
護するための合紙および合紙を抜きとるための作業が全
く不要な平版印刷版、特に平版印刷用捨版の製造方法が
提供される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を有する金属支持体上に水溶
    性化合物の下塗層および表面がマット化された水不溶性
    の非感光性樹脂層を設けられた平版印刷原版を、合紙を
    重ねることなく複数枚積み重ね、1枚毎に自動現像機に
    自動給版し、該自動現像機で上記下塗り層および非感光
    性樹脂層を溶解、除去することを特徴とする平版印刷版
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 連続したアルミ板に表面処理を施し、下
    塗層および表面がマット化された水不溶性の非感光性樹
    脂層を設け、そしてシート状に裁断することにより行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 マット化が中心線平均粗さ(Ra)が
    0.35μm以上となるようにすること、または、1〜
    10μmのマット剤を樹脂層に内添すること、または、
    樹脂層表面にマット高さ1〜10μmの外添マットを設
    けることによりマット化されることを特徴とする請求項
    1、2のいずれかに記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 裁断が、 (i)裁断用の上刃と下刃との隙間を30〜100μm
    の間に設定して、 (ii)支持体の対向する2辺または4辺の端部の裁断
    だれ高さが20〜100μm、且つ裁断面の粗さが、最
    大高さ平均値で、1.2〜12μmの範囲内となり、し
    かも裁断する際に発生する最大開口幅0.5μm以上
    のクラックが、端部から内側に25μm以内の位置で発
    生がなく、且つ下面に発生するバリが50μm以下とな
    るように行われることを特徴とする請求項1〜3に記載
    の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7097956B2 (en) 2003-01-27 2006-08-29 Eastman Kodak Company Imageable element containing silicate-coated polymer particle
JP2007160594A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Okamoto Kagaku Kogyo Kk 平版印刷版用捨版およびその製造方法
JP2011218778A (ja) * 2010-03-26 2011-11-04 Fujifilm Corp 平版印刷版用捨て版原版、平版印刷版用捨て版原版集積体、及び、平版印刷版用捨て版の製版方法
JP2012116165A (ja) * 2010-12-03 2012-06-21 Fujifilm Corp 平版印刷版用捨て版原版、平版印刷版用捨て版原版集積体、及び、平版印刷版用捨て版の製版方法

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