JP3894348B2 - 田植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばセンタフロートの傾斜角度の変化より植付部と田面間の距離の変化を検出し、植付部の昇降制御を行って植付部の植付深さを一定維持させるようにした田植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
このような植付部の昇降制御にあって、植付深さの設定は本機停止時にレバー操作でフロートと植付部との間の支持高さを機械的に変化させて行っているが、レバーは通常運転席より離れた位置にあるため操作がし難く、また操作を行う場合にはその都度植付部を上昇させる必要などあり、極めて操作性が悪いものであった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、走行車の後側にリンク機構を介して昇降可能に連結された植付部と、前記植付部の植付深さを変更する植深変更駆動部材と、前記植付部の基準植付深さを設定する植深設定操作部材と、植付作業状態を検出する植付検出手段と、前記植深設定操作部材の基準植付深さ設定値に基づき前記植深変更駆動部材を作動するコントローラとを備えてなる田植機において、植付作業状態で、前記植深設定操作部材によって設定された基準植付深さ設定値が車速等によって補正された後、補正された基準植付深さ設定値に基づき、前記植深変更駆動部材を作動するように構成する一方、植付作業状態から非植付作業状態に移行することにより、補正された基準植付深さ設定値から、前記植深設定操作部材によって設定された基準植付深さ設定値に戻し、前記植深設定操作部材によって設定された基準植付深さ設定値に基づき、前記植深変更駆動部材を作動するように構成したものであるから、植付作業中断後、植付作業を再開する場合、作業者が希望する当初の設定植付深さに基づいて植付作業を開始でき、植付作業を再開するための操作性を向上できるものである。
【0004】
【0005】
【0006】
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0008】
また、図中(15)は6条植え用の苗載台(16)並びに複数の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側にローリング支点軸(23)を介してヒッチブラケット(24)を設け、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含む昇降リンク機構(27)を介して走行車(1)後側にヒッチブラケット(24)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる油圧昇降制御機構である油圧昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0009】
また、図中(29)は主変速レバー、(30)は副変速レバーでもある植付レバー、(31)は昇降目標値設定器、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センタフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は6条用の側条施肥機である。
【0010】
さらに、図3、図4に示す如く、前低後高(傾斜角約4度)に傾斜させる前記車体フレーム(3)前部上面に架台(37)を一体固定させ、架台(37)の上面に防振ゴム(38)及びエンジン台(39)を介して前記エンジン(2)を上載させ、前記エンジン(2)の左側に燃料タンク(40)を、またエンジン(2)の右側にマフラー(41)を取付けると共に、車体フレーム(3)前端側略中央にバッテリ(43)を取付けている。
【0011】
またさらに、前記車体フレーム(3)にケース台(44)を一体固定させ、ケース台(44)にステアリングケース(45)を取付け、ハンドル筒体(46)に内挿させる操向ハンドル(14)のステアリング軸(14a)を、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央でステアリングケース(45)上面に立設させると共に、ステアリングケース(45)下面に出力軸(47)を突設させ、左右の前輪(6)(6)を方向転換させる操向アーム(48)を前記出力軸(47)に取付けている。
【0012】
また、前記エンジン(2)下方のエンジン台(39)下側に、前後方向に略水平な円筒形の軸受体(49)を熔接固定させ、前記軸受体(49)にカウンタ軸(50)を挿通支持させ、軸受体(49)前方に突出させるカウンタ軸(50)前端にカウンタプーリ(51)を取付けると共に、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央上方でエンジン(2)の前方にエンジン出力軸(52)を突設させ、該出力軸(52)に出力プーリ(53)を取付け、該出力プーリ(53)を前記カウンタプーリ(51)にVベルト(54)を介して連結させている。
【0013】
さらに、前記車体フレーム(3)後端部にリヤアクスルケース(7)をボルト止め固定させ、前記リヤアクスルケース(7)前面にミッションケース(4)後面を連結固定させると共に、ミッションケース(4)の右側前面にクラッチケース(55)を一体形成し、クラッチケース(55)前面に無段ベルト変速ケース(56)右側後面を嵌合固定させ、また昇降シリンダ(28)を作動させる油圧ポンプ(57)をベルト変速ケース(56)の左側後面に固定させるもので、四角パイプ形の左右車体フレーム(3)(3)の間でこの上面よりも低位置に前記各ケース(4)(55)(56)及び油圧ポンプ(57)を吊下げ固定させ、ユニバーサルジョイント付き伝動軸(58)を前記カウンタ軸(50)後端とベルト変速ケース(56)間に設け、エンジン(2)出力をベルト変速ケース(56)に伝えると共に、フロントアクスルケース(5)とミッションケース(4)間に前輪伝動軸(59)を設け、ミッションケース(4)の変速出力を各アクスルケース(5)(7)を介して前後輪(6)(8)に伝えるように構成している。
【0014】
図5乃至図8に示す如く、前記センタフロート(34)の前部を上下に揺動自在に支持するピッチング支点軸(60)をフロート(34)後部上面のブラケット(61)に設け、前記植付ケース(20)に回動自在に枢支する植付深さ調節支点軸(62)に、植付深さ調節リンク(63)の基端を固設させると共に、該リンク(63)の先端を前記ピッチング支点軸(60)に連結させている。
【0015】
そして、前記植付ケース(20)側に固定アーム(64a)を介し支持する支軸(65)に出力リンク(66)中間を回動自在に枢支し、前記調節支点軸(62)に基端を固設する揺動アーム(67)の先端に、結合ピン(68)を介して出力リンク(66)後端を連結させると共に、該出力リンク(66)前端の軸(69)に昇降リンク(70)を連結させ、センタフロート(34)の前部上面に固設するブラケット(71)の軸(72)と前記昇降リンク(70)一端側の軸(73)間を揺動リンク(74)を介し連結させている。
【0016】
また、前記支軸(65)にセンサリンク(75)の中間を回動自在に枢支し、センサリンク(75)一端側の軸(76)と前記昇降リンク(70)他端側の軸(77)間を連動リンク(78)で連結させると共に、植付ケース(20)側に固定アーム(64b)を介し支持するポテンショメータ式昇降センサ(79)の検出アーム(80)の長孔(81)に前記センサリンク(75)他端側の検出軸(82)を係合連結させて、耕盤の凹凸或いは深さの変化などで植付深さが変化するとき、昇降センサ(79)によってこれを検出するように構成している。
【0017】
図9乃至図11にも示す如く、前記支点軸(62)に基端を固設する基準植付深さ設定用の植深調節レバー(83)を植深変更駆動部材である植深モータ(84)により適宜駆動制御するようにしたもので、中央の植付ケース(20)より右側の伝動パイプ(85)に取付板(86)及び側板(87)を介しモータ取付台(88)を固設させ、該モータ取付台(88)のモータ(84)の回転ネジ軸(89)に結合させる移動子(90)のU字形係合金具(91)に、調節レバー(83)に設けるL形係合軸(92)の一端側を係合させて、モータ(84)の駆動によって移動子(90)がネジ軸(89)に沿って上下方向に移動するとき、調節レバー(83)を上下方向に揺動させて支点軸(62)を回動させ、基準植付深さの調節を行うように構成している。
【0018】
また、前記調節レバー(83)は支点軸(62)に固設する基端フレーム部(83a)と、前記係合軸(92)を固設する先端操作部(83b)とに分割させるもので、フレーム部(83a)先端に回動軸(93)を介し左右揺動自在に操作部(83b)を連結させると共に、これらフレーム部(83a)の係合軸(92)と操作部(83b)の軸(94)間に回動軸(93)を中心とした支点越えバネ(95)を張設して、回動軸(93)を中心として操作部(83b)を右方向に揺動させて係合金具(91)より係合軸(92)を離脱させるとき、手動による調節レバー(83)の操作を可能とさせるように構成している。なお、取付台(88)のレバーガイド孔(88a)の一側にはレバー位置決めノッチ(88b)を形成して、調節レバー(83)の手動操作時には操作部(83b)に固設する位置決め板(83c)をノッチ(88b)に係合させて、調節レバー(83)の位置固定を行うように構成している。
【0019】
さらに、前記調節レバー(83)の操作部(83b)は短寸に形成し、モータ取付台(88)に開閉自在に固定するカバー(96)内にコンパクトに配置させると共に、前記モータ取付台(88)にはフレーム部(83a)のセンサピン(97)の移動位置をアクチュエータ(98a)を介して検出するポテンショメータ式フィードバックセンサ(98)を設けて、植付深さ位置を検出するように構成している。なお前記移動子(90)には取付台(88)の移動ガイド孔(88c)に挿入するガイドローラ(90a)を設けて、ネジ軸(89)回転時の移動子(90)の共回りを防止している。
【0020】
そして前記植深モータ(84)或いは調節レバー(83)により支点軸(62)を中心とした植深変更時にはピッチング支点軸(60)部の上下変位置と、出力リンク(66)前端の軸(69)部の上下変位置とを略同一とさせて、植深を変更させても昇降センサ(79)の出力を変化させないように構成している。
【0021】
一方、前記変速ケース(56)の入力軸部には伝動軸(58)を介し伝達されるエンジン(2)からの回転数を検出するエンジン回転センサ(99)を、また前記フロントアクスルケース(5)の入力軸部には伝動軸(59)を介し伝達されるミッションケース(4)からの走行出力を検出する作業検出手段である車速センサ(100)を設けると共に、車体カバー(12)の後部略中央には走行車(1)の前後傾きを検出する振り子形或いは静電容量形などの傾斜センサ(101)を設けている。
【0022】
図5、図12に示す如く、左側の車体フレーム(3)にセンサ取付板(102)を介しポテンショメータ式昇降位置センサ(103)を設置すると共に、前記昇降シリンダ(28)のピストンロッド(28a)先端とロワーリンク(26)とを連結するリフトアーム(104)に検出板(105)を固設して、前記位置センサ(103)の検出アーム(106)先端の検出軸(106a)を検出板(105)の長孔に係合させて、前記昇降シリンダ(28)による植付部(15)の昇降時この昇降位置をセンサ(103)で検出するように構成している。
【0023】
図3、図13にも示す如く、前記車速センサ(100)は前輪伝動軸(59)とフロントアクスルケース(5)の入力軸(5a)とを連結するスプライン継手(107)外周の固定ギヤ(108)の回転パルスを検出して走行出力である車速を算出させるもので、回転センサ(近接スイッチ)などで車速センサ(100)を形成し、該センサ(100)を取付けるセンサ台(109)を車体フレーム(3)に固設するアクスルケース(5)の取付台(110)にボルト(111)を介し取外し自在に固定させて、前記車速センサ(100)の取付及び交換を容易とさせて保守点検作業の至便化を図ると共に、ミッションケース(4)に直付のセンサのような切粉で誤動作するなどした不都合も解消させて検出精度の安定維持を図るように構成している。
【0024】
図14に示す如く、エンジン(2)によって駆動する油圧ポンプ(112)の供給油圧回路を、フローコントロールバルブ(113)によって高圧油路(114)と低圧油路(115)に分岐して、操向ハンドル(14)によって操向シリンダ(116)の操向バルブ(117)を切換える操向バルブユニット(118)と、ソレノイド式上昇及び下降バルブ(119)(120)操作によって昇降シリンダ(28)を駆動する昇降バルブユニット(121)とを高圧油路(114)に設けると共に、植付部(15)の左右傾斜姿勢を制御する水平シリンダ(122)の水平操作用ソレノイドバルブ(123)を有する水平バルブユニット(124)とを低圧油路(115)に設けて、植付部(15)の昇降制御を前記バルブ(119)(120)の上昇及び下降ソレノイド(125)(126)の励磁操作によって行うように構成している。
【0025】
そして図15に示す如く、前記植深モータ(84)のリレー回路(127)と、前記ソレノイド(125)(126)とに出力接続させるコントローラ(128)を備えるもので、前記植付レバー(30)の植付下降及び上昇位置をそれぞれ検出する植付検出手段である下降スイッチ(129)及び上昇スイッチ(130)と、前記各センサ(79)(98)(99)(100)(101)(103)と、基準植付深さをダイヤル(131a)の回動によって設定する植深設定器(131)と、基準植付深さを前後方向の切換えによって設定する植深設定操作部材である植深手動スイッチ(132)と、圃場表面硬度に応じ昇降シリンダ(28)の昇降目標値を設定する昇降目標値設定器(31)とを前記コントローラ(128)に入力接続させて、植付深さを一定維持させる昇降制御を行うように構成している。
【0026】
ところで図16、図17に示す如く、前記ダイヤル(131a)式植深設定器(131)或いは植深手動スイッチ(132)の何れか一方を、運転席(13)前方の操作パネル台(133)に設置すると共に、該パネル台(133)の表示パネル(134)を前記コントローラ(128)に接続させて、前記設定器(131)或いは手動スイッチ(132)によって設定される植付深さを表示パネル(134)に画像表示して、運転席(13)位置で作業者が前向き姿勢で作業をしながら、植付部(15)を上昇させることなく植付深さの設定や変更を容易に行うように構成している。
【0027】
また、図18に示す如く、前記ダイヤル(131a)式の植深設定器(131)に換え、スライダック(135)を前後方向にスライド操作して植付深さを設定するスライダック(135)式植深設定器(131)を用いても良く、さらに図19に示す如く、ハンドル(14)略中央の操作板(136)に手動スイッチ(132)に換わる浅植え及び深植え用押ボタンスイッチ(137a)(137b)を設けて、該押ボタンスイッチ(137a)(137b)の操作で植付深さの設定や変更を行っても良い。なお前記コントローラ(128)にはエンジン(2)を駆動するキースイッチ(138)を接続させて、植付作業の一旦終了後の再開などを検出するように設けている。
【0028】
さらに図16に示す如く、前記パネル台(133)には植付爪(17)によって取出される苗の取出量を調節する苗取量調節スイッチ(139)を設けるもので、図20に示す如く苗載台(16)下端の苗取出板(140)を軸(141)及び長孔(142)を介し植付ケース(20)に上下動自在に支持させ、苗取出板(140)にアーム(143)・支点軸(144)・レバー(145)・ネジ結合体(146)を介してステッピング式苗取量調節モータ(147)のネジ軸(148)を連結させて、運転席(13)位置より前記スイッチ(139)操作によってモータ(147)を正逆駆動して、小さな操作力で容易に苗取出量の調節を行うことを可能とさせるように構成している。
【0029】
また図21に示す如く、前記昇降センサ(79)などで構成する植付昇降制御機構(149)・前記植深モータ(84)やフィードバックセンサ(98)などで構成する植付深さ変更機構(150)・前記苗取量調節モータ(147)などで構成する苗縦取り量調節機構(151)・苗載台(16)の横送り切換えをモータなどで行う苗載台横送り切換機構(152)・縦送りクラッチの入切をモータなどで行う苗縦送りクラッチ機構(153)・施肥機(36)の各2条毎の駆動を停止させる施肥条止め機構(154)、植付部(15)の各2条毎の植付ユニットクラッチをモータなどで入切する植付ユニットクラッチ機構(155)、ユニットクラッチ機構(155)の動作不良などをブザーなどで警報するユニットクラッチ警報装置(156)、苗継ぎ作業をブザーなどで警報する苗継ぎ警報装置(157)、施肥タンクの肥料不足などをブザーなどで警報する施肥警報装置(158)、施肥タンクから供給される肥料の肥料詰りをブザーなどで警報する肥料詰まり警報装置(159)、ウインカ作動機構(160)など全てを電装化し、植付部(15)に装備させるサブコントローラ(161)にこれら機構(149)〜(156)・(160)及び装置(156)〜(158)を接続させると共に、本機に装備させるメインコントローラ(162)に2本のハーネス(163)を介してサブコントローラ(161)を接続させることによって、本機走行車(1)と植付部(15)と間に接続させるワイヤやハーネスを低減させ、構造のコンパクト且つ簡素化を図って、植付部(15)の脱着作業や保守点検作業での至便化を可能とさせることができるものである。
【0030】
本実施例は上記の如く構成するものにして、前記手動スイッチ(132)で植付深さの設定や変更を行う場合を図22、図23を参照して説明すると、例えば主変速レバー(29)が「移動走行」位置にあって植付作業を一旦終了した後に、キースイッチをオンとして植付作業を開始するときには、予めコントローラ(128)のメモリに記憶されている植付深さ設定値(標準値)まで植深モータ(84)を駆動し、この後下降スイッチ(129)がオンとなる植付作業中或いは下降スイッチ(129)がオフ状態の非作業中(植付上昇中)の何れにおいても手動スイッチ(132)が操作されないときには、予めコントローラ(126)に記憶される標準植付深さを設定植付深さとさせて、このときのセンタフロート(34)の傾斜角度を一定維持させる昇降制御を行って設置植付深さを常に一定維持させるもので、途中車速や圃場表面硬度に変化が発生したときにはその都度植付深さの設定値を変更補正するものである。
【0031】
而して図24、図25に示す如く、植付作業中(下降スイッチ(129)がオン)にあって車速や圃場表面硬度に変化が発生したときには、昇降目標値設定器(31)及び車速センサ(100)の出力値に基づいて植付深さ設定値となる調節レバー(83)のレバー位置を補正して、植付深さ目標値(V1)を算出させ、コントローラ(128)に内蔵するタイマの一定時間(T)(例えばT=200ミリ秒)はこの出力を禁止させ、一定時間(T)経過後はフィードバックセンサ(98)で検出されるセンサ値(V2)(現調節レバー(83)位置)と目標値(V1)との偏差(V1−V2)に応じて植深モータ(84)を正逆駆動し、植付深さを浅植え或いは深植え側に補正して、標準植付深さを一定維持させるもので、植深モータ(84)の使用頻度を低減(バッテリ消費の抑制、高寿命化)させると共に、植深モータ(84)の動作のハンチングを防止して、この植深補正制御を滑らかな動作で行って制御の安定性を向上させるように構成したものである。
【0032】
また、キースイッチのオン操作後で植付作業前に標準値以外の植付深さを設定する場合、或いは植付作業中に植付深さ設定値を変更する場合には前記手動スイッチ(132)によって植深モータ(84)を駆動して植付深さを標準より深植え側或いは浅植え側に変更するもので、植深モータ(84)の駆動によって変化するフロート(34)(35)の支持高さの変化量(植付深さ変化量)をフィードバックセンサ(98)の検出値より算出し、この変化量だけ設定値を更新し、以後この更新設定値を基準植付深さとして一定に保った植付作業が行われると共に、植付作業中車速や圃場表面硬度に変化が発生したときには前述同様車速や圃場表面硬度に応じた設定値の補正制御が行われる。またこのような補正制御中においても手動スイッチ(132)が操作されたときには、該スイッチ(132)の操作が優先されて設定値の更新が行われるものである。
【0033】
このような手動スイッチ(132)による植付深さの設定制御は、前記押ボタンスイッチ(137)(138)によっても同様に行われるものである。
【0034】
図26に示すものも、前述図22の実施例と略同様の植付深さの設定制御を示すもので、作業初期前記手動スイッチ(132)が操作されたときには、植深モータ(84)の駆動量に応じて標準値を更新した設定値を記憶し、手動スイッチ(132)の非操作時には予めメモリに記憶される標準値を設定値としてそのまま記憶し、植付スイッチ(129)がオンの植付下降時で車速センサ(100)が車速の0以上を検出するとき、植付作業状態として車速や圃場表面硬度が変化したときにはこれらに基づいた設定値の補正を行うと共に、植付作業中に手動スイッチ(132)が操作されたときには、このスイッチ(132)操作を優先させて植深モータ(84)を駆動させ、植付深さを変更させて植付深さ設定値を更新させ、植付が下降から中立或いは車速が0となるとき、初期の設定値に戻すように構成したものである。
【0035】
而してこの場合前実施例同様、車速及び油圧感度に基づく補正制御を行って、植深モータ(84)の使用頻度を低下させると共に、例えば少なくとも車速が0でキースイッチがオフの作業終了後の作業再開時には作業者が意図する前回の初期設定値(通常補正状態でキースイッチをオフとすると、キースイッチのオン時にはオフ時の補正設定値が次回設定値となる)に戻して違和感のない常に適正植付深さ状態からの精度良好な作業開始が行えるものである。
【0036】
図27に示すものは、図17、図18の前記ダイヤル(131a)式或いはスライダック(135)式植深設定器(131)で植付深さの基準値を設定する構成例を示すもので、ポテンショメータ型の設定器(131)で設定される植付深さの設定値(V1)を目標値として、フィードバックセンサ(98)の出力センサ値(V2)が同一レベルとなるように植深モータ(84)を駆動制御すると共に、作業中設定器(131)で設定値が変更された場合には変更後の設定値(V1)を読込んで目標値を更新し、以後この更新値(V1)のレベルにフィードバックセンサ(98)の出力センサ値(V2)を一致させる植深モータ(84)の駆動制御を行って、容易に目標値の設定や変更を可能とさせるように構成したものである。
【0037】
図28に示すものは、キースイッチがオンからオフに切換り時、キースイッチがオン時の植付作業中に感度・車速・本機角度・土壌条件などで補正された植深補正設定値を、キースイッチのオフ時に記憶し、キースイッチがオンの植付再開時に補正設定値をそのまま目標値として使用するもので、各種運転条件同一状態下では、植付再開時に設定値を再補正する手間を省略化できるものである。
【0038】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように、請求項1に係る発明は、走行車(1)の後側にリンク機構(27)を介して昇降可能に連結された植付部(15)と、植付部(15)の植付深さを変更する植深変更駆動部材(84)と、植付部(15)の基準植付深さを設定する植深設定操作部材(132)と、植付作業状態を検出する植付検出手段(129)と、植深設定操作部材(132)の基準植付深さ設定値に基づき植深変更駆動部材(84)を作動するコントローラ(128)とを備えてなる田植機において、植付作業状態で、植深設定操作部材(132)によって設定された基準植付深さ設定値が車速等によって補正された後、補正された基準植付深さ設定値に基づき、植深変更駆動部材(84)を作動するように構成する一方、植付部(15)が植付作業状態から非植付作業状態に移行することにより、補正された基準植付深さ設定値から、植深設定操作部材(132)によって設定された基準植付深さ設定値に戻し、植深設定操作部材(132)によって設定された基準植付深さ設定値に基づき、植深変更駆動部材(84)を作動するように構成したものであるから、植付作業中断後、植付作業を再開する場合、作業者が希望する当初の設定植付深さに基づいて植付作業を開始でき、植付作業を再開するための操作性を向上できるものである。
【0039】
【0040】
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図である。
【図2】田植機の全体平面図である。
【図3】走行車体の側面説明図である。
【図4】走行車体の平面説明図である。
【図5】植付部の側面説明図である。
【図6】フロート部の平面説明図である。
【図7】センタフロート部の平面説明図である。
【図8】センタフロート部の側面説明図である。
【図9】植深調節部の側面説明図である。
【図10】植深調節部の正面説明図である。
【図11】植深調節部の平面説明図である。
【図12】昇降位置センサ部の取付説明図である。
【図13】車速センサの取付説明図である。
【図14】油圧回路図である。
【図15】制御回路図である。
【図16】操作パネル部の説明図である。
【図17】操作パネル部の説明図である。
【図18】操作パネル部の説明図である。
【図19】操向ハンドル部の説明図である。
【図20】苗取量調節部の説明図である。
【図21】コントローラ部の説明図である。
【図22】植深設定制御のフローチャートである。
【図23】出力線図である。
【図24】植深補正制御のフローチャートである。
【図25】出力線図である。
【図26】植深設定制御のフローチャートである。
【図27】植深設定制御のフローチャートである。
【図28】出力線図である。
【符号の説明】
(1)走行車
(15)植付部
(27)リンク機構
(79)昇降センサ
(84)植深モータ(植深変更駆動部材)
(128)コントローラ
(129)下降スイッチ(植付検出手段)
(132)手動スイッチ(植深設定操作部材)
Claims (1)
- 走行車の後側にリンク機構を介して昇降可能に連結された植付部と、前記植付部の植付深さを変更する植深変更駆動部材と、前記植付部の基準植付深さを設定する植深設定操作部材と、植付作業状態を検出する植付検出手段と、前記植深設定操作部材の基準植付深さ設定値に基づき前記植深変更駆動部材を作動するコントローラとを備えてなる田植機において、
植付作業状態で、前記植深設定操作部材によって設定された基準植付深さ設定値が車速等によって補正された後、補正された基準植付深さ設定値に基づき、前記植深変更駆動部材を作動するように構成する一方、
植付作業状態から非植付作業状態に移行することにより、補正された基準植付深さ設定値から、前記植深設定操作部材によって設定された基準植付深さ設定値に戻し、前記植深設定操作部材によって設定された基準植付深さ設定値に基づき、前記植深変更駆動部材を作動するように構成したことを特徴とする田植機。
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