JP3882976B2 - 田植機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は植付部に支持するフロートの支持高さを変化させて、苗の植付深さを変更するようにした田植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、植付部の植付ケースに支持する植付深さ調節支点軸に、調節リンクなどを介しフロートは支持されていて、調節支点軸に連結する植深レバーを段階的に揺動操作することによって、フロートの支持高さを変化させて植付深さを変更している。
【0003】
また、植深レバーを後車輪と干渉しないように平面視後車輪より内側に配置させ、植深レバーの一端側を運転席方向に延設させて運転席よりのレバー操作を可能とさせるように設けているが、このような場合植深レバーを含む植深変更部材が大型且つ重量化する不都合があるばかりでなく、3点リンク機構や植付ケースなど部品によって配置箇所も制約を受け、配置箇所もセンタフロート上など限られた範囲となって自由度も少ないものであった。またセンタフロート上方に植深変更部材を配置させた場合、植付部の重心が高位置となって機体が不安定となる不都合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、走行車の後側にリンク機構を介して昇降可能に連結された植付部と、前記植付部の苗植付深さを変更する植深変更ユニットとを備え、前記植深変更ユニットには、前記植付部に設けたセンタフロート及びサイドフロートの支持高さを変更する 植深調節部材と、前記植深調節部材に連動部材を介して連結して苗植付深さを無段階に調節する調節作動部材と、該調節作動部材を作動させる植深モータとを有し、前記植深モータによって前記調節作動部材を介して前記植深調節部材が作動されるように構成してなる田植機において、前記植付部には、前記植深モータを配置するモータ取付台と、前記モータ取付台上の前記植深モータの少なくとも前方及び上方及び左右側方を覆うカバーとを配置し、前記植付部の伝動パイプに前記モータ取付台を固設し、前記モータ取付台に前記カバーを開閉可能に連結する一方、平面視で、前記センタフロートの前半部と、前記センタフロートに隣接した前記サイドフロートの前半部との間に、前記植深変更ユニットを配置したものであるから、前記センタフロートと前記サイドフロートの間に前記植深変更ユニットをコンパクトに配置でき、前記走行車に近づけて前記センタフロート及び前記サイドフロートを配置でき、前記走行車の前後バランスを向上できるものである。
【0005】
請求項2に係る発明は、側面視で、前記センタフロートの前半部とラップする高さ位置に、前記植深変更ユニットを配置したものであるから、前記植付部の低位置に前記植深変更ユニットを配置でき、前記植付部の重心を低くして、前記植付部の左右バランスを向上できるものである。
【0006】
請求項3に係る発明は、平面視で、前記走行車の後輪より後方に、前記植深変更ユニットを配置したものであるから、後輪に干渉させることなく、前記植深変更ユニットを配置できるものである。
【0007】
請求項4に係る発明は、前記植付部に設けた苗載台の横送り軸の下方に、前記植深変更ユニットを配置したものであるから、前記植付部の低位置に前記植深変更ユニットをコンパクトに配置でき前記植付部の重心を低くして、前記植付部の左右バランスを向上できるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に後車輪である水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0009】
また、図中(15)は6条植え用の苗載台(16)並びに複数の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側にローリング支点軸(23)を介してヒッチブラケット(24)を設け、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含む昇降リンク機構(27)を介して走行車(1)後側にヒッチブラケット(24)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる油圧昇降制御機構である油圧昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0010】
また、図中(29)は主変速レバー、(30)は副変速レバーでもある植付レバー、(31)は感度設定器、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センタフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は6条用の側条施肥機である。
【0011】
さらに、図3、図4に示す如く、前低後高(傾斜角約4度)に傾斜させる前記車体フレーム(3)前部上面に架台(37)・・・を一体固定させ、架台(37)・・・の上面に防振ゴム(38)・・・及びエンジン台(39)を介して前記エンジン(2)を上載させ、前記エンジン(2)の左側に燃料タンク(40)を、またエンジン(2)の右側にマフラー(41)を取付けると共に、車体フレーム(3)前端側略中央にバッテリ(43)を取付けている。
【0012】
またさらに、前記車体フレーム(3)にケース台(44)を一体固定させ、ケース台(44)にステアリングケース(45)を取付け、ハンドル筒体(46)に内挿させる操向ハンドル(14)のステアリング軸(14a)を、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央でステアリングケース(45)上面に立設させると共に、ステアリングケース(45)下面に出力軸(47)を突設させ、左右の前輪(6)(6)を方向転換させる操向アーム(48)を前記出力軸(47)に取付けている。
【0013】
また、前記エンジン(2)下方のエンジン台(39)下側に、前後方向に略水平な円筒形の軸受体(49)を熔接固定させ、前記軸受体(49)にカウンタ軸(50)を挿通支持させ、軸受体(49)前方に突出させるカウンタ軸(50)前端にカウンタプーリ(51)を取付けると共に、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央上方でエンジン(2)の前方にエンジン出力軸(52)を突設させ、該出力軸(52)に出力プーリ(53)を取付け、該出力プーリ(53)を前記カウンタプーリ(51)にVベルト(54)を介して連結させている。
【0014】
さらに、前記車体フレーム(3)後端部にリヤアクスルケース(7)をボルト止め固定させ、前記リヤアクスルケース(7)前面にミッションケース(4)後面を連結固定させると共に、ミッションケース(4)の右側前面にクラッチケース(55)を一体形成し、クラッチケース(55)前面に無段ベルト変速ケース(56)右側後面を嵌合固定させ、また昇降シリンダ(28)を作動させる油圧ポンプ(57)をベルト変速ケース(56)の左側後面に固定させるもので、四角パイプ形の左右車体フレーム(3)(3)の間でこの上面よりも低位置に前記各ケース(4)(55)(56)及び油圧ポンプ(57)を吊下げ固定させ、ユニバーサルジョイント付き伝動軸(58)を前記カウンタ軸(50)後端とベルト変速ケース(56)間に設け、エンジン(2)出力をベルト変速ケース(56)に伝えると共に、フロントアクスルケース(5)とミッションケース(4)間に前輪伝動軸(59)を設け、ミッションケース(4)の変速出力を各アクスルケース(5)(7)を介して前後輪(6)(8)に伝えるように構成している。
【0015】
図5乃至図8に示す如く、前記センタフロート(34)の前部を上下に揺動自在に支持するピッチング支点軸(60)をフロート(34)後部上面のブラケット(61)に設け、前記植付ケース(20)に回動自在に枢支する植付深さ調節支点軸(62)に、植付深さ調節リンク(63)の基端を固設させると共に、該リンク(63)の先端を前記ピッチング支点軸(60)に連結させている。
【0016】
そして、前記植付ケース(20)側に固定アーム(64a)を介し支持する支軸(65)に出力リンク(66)中間を回動自在に枢支し、前記調節支点軸(62)に基端を固設する揺動アーム(67)の先端に、結合ピン(68)を介して出力リンク(66)後端を連結させると共に、該出力リンク(66)前端の軸(69)に昇降リンク(70)を連結させ、センタフロート(34)の前部上面に固設するブラケット(71)の軸(72)と前記昇降リンク(70)一端側の軸(73)間を揺動リンク(74)を介し連結させている。
【0017】
また、前記支軸(65)にセンサリンク(75)の中間を回動自在に枢支し、センサリンク(75)一端側の軸(76)と前記昇降リンク(70)他端側の軸(77)間を連動リンク(78)で連結させると共に、植付ケース(20)側に固定アーム(64b)を介し支持するポテンショメータ式昇降センサ(79)の検出アーム(80)の長孔(81)に前記センサリンク(75)他端側の検出軸(82)を係合連結させて、耕盤の凹凸或いは深さの変化などで植付深さが変化するとき、昇降センサ(79)によってこれを検出するように構成している。
【0018】
図8乃至図12にも示す如く、前記支点軸(62)に基端を固設する基準植付深さ設定用の植深調節部材である植深調節レバー(83)を植深制御部材である植深モータ(84)により適宜駆動制御するようにしたもので、中央の植付ケース(20)より右側の伝動パイプ(85)に取付板(86)及び側板(87)を介しモータ取付台(88)を固設させ、該モータ取付台(88)のモータ(84)の調節作動部材である回転ネジ軸(89)に結合させる連動部材である移動子(90)のU字形係合金具(91)に、調節レバー(83)に設けるL形係合軸(92)の一端側を係合させて、モータ(84)の駆動によって移動子(90)がネジ軸(89)に沿って上下方向に移動するとき、調節レバー(83)を上下方向に揺動させて支点軸(62)を回動させ、基準植付深さの調節を行うように構成している。
【0019】
また、前記調節レバー(83)は支点軸(62)に固設する基端フレーム部(83a)と、前記係合軸(92)を固設する先端操作部(83b)とに分割させるもので、フレーム部(83a)先端に回動軸(93)を介し左右揺動自在に操作部(83b)を連結させると共に、これらフレーム部(83a)の係合軸(92)と操作部(83b)の軸(94)間に回動軸(93)を中心とした支点越えバネ(95)を張設して、回動軸(93)を中心として操作部(83b)を右方向に揺動させて係合金具(91)より係合軸(92)を離脱させるとき、手動による調節レバー(83)の操作を可能とさせるように構成している。なお、取付台(88)のレバーガイド孔(88a)の一側にはレバー位置決めノッチ(88b)を形成して、調節レバー(83)の手動操作時には操作部(83b)に固設する位置決め板(83c)をノッチ(88b)に係合させて、調節レバー(83)の位置固定を行うように構成している。
【0020】
さらに、前記調節レバー(83)の操作部(83b)は短寸に形成し、モータ取付台(88)に開閉自在に固定するケースであるカバー(96)内にコンパクトに配置させると共に、前記モータ取付台(88)にはフレーム部(83a)のセンサピン(97)の移動位置をアクチュエータ(98a)を介して検出するポテンショメータ式フィードバックセンサである植深センサ(98)を設けて、植付深さ位置を検出するように構成している。なお前記移動子(90)には取付台(88)の移動ガイド孔(88c)に挿入するガイドローラ(90a)を設けて、ネジ軸(89)回転時の移動子(90)の共回りを防止している。
【0021】
そして前記植深モータ(84)或いは調節レバー(83)により支点軸(62)を中心とした植深変更時にはピッチング支点軸(60)部の上下変位置と、出力リンク(66)前端の軸(69)部の上下変位置とを略同一とさせて、植深を変更させても昇降センサ(79)の出力を変化させないように構成している。
【0022】
一方、前記変速ケース(56)の入力軸部には伝動軸(58)を介し伝達されるエンジン(2)からの回転数を検出するエンジン回転センサ(99)を、また前記フロントアクスルケース(5)の入力軸部には伝動軸(59)を介し伝達されるミッションケース(4)からの走行出力を検出する車速センサ(100)を設けると共に、車体カバー(12)の後部略中央には走行車(1)の前後傾きを検出する振り子形或いは静電容量形などの傾斜センサ(101)を設けている。
【0023】
図5、図14に示す如く、左側の車体フレーム(3)にセンサ取付板(102)を介しポテンショメータ式昇降位置センサ(103)を設置すると共に、前記昇降シリンダ(28)のピストンロッド(28a)先端とロワーリンク(26)とを連結するリフトアーム(104)に検出板(105)を固設して、前記位置センサ(103)の検出アーム(106)先端の検出軸(106a)を検出板(105)の長孔に係合させて、前記昇降シリンダ(28)による植付部(15)の昇降時この昇降位置をセンサ(103)で検出するように構成している。
【0024】
ところで図6、図7、図9にも示す如く、前記調節レバー(83)・植深モータ(84)・ネジ軸(89)・移動子(90)などで構成する植深変更部材である植深変更ユニット(107)を、平面視(図6)でセンタフロート(34)と右サイドフロート(35)間で、且つ側面視(図9)で支点軸(60)を中心とした各フロート(34)(35)の上下揺動域内で各フロート(34)(35)とラップする位置に配置して、センタ及びサイドフロート(34)(35)間に植深変更ユニット(107)をコンパクトに配置すると共に、各フロート(34)(35)を植深変更ユニット(107)に干渉させることなく本機側に近接配置させて植付部(15)の前後バランスを良好とさせるように構成している。
【0025】
また、植深変更ユニット(107)をセンタ及びサイドフロート(34)(35)に干渉させることなく、これらフロート(34)(35)間の最大限低位置に配置させ、植付部(15)を低重心化させて、植付部(15)の左右バランスを良好とさせると共に、平面視で後輪(8)後方に植深変更ユニット(107)を配置させた場合、後輪(8)に最大限植深変更ユニット(107)を近接させて、このユニット(107)の配置の自由度と機体の前後バランスを向上させ、構成でのコンパクト化を図るように構成している。
【0026】
さらに、前記苗載台(16)を横送りする中央植付駆動ケース(20a)からの横送り軸(108)の下方に、植深変更ユニット(107)をコンパクトに配置させて、植付部(15)を低重心化させて機体の左右バランスを向上させるように構成している。
【0027】
また図9にも示す如く、前記調節支点軸(62)からピッチング支点軸(60)までの長さ(b)に対し、調節支点軸(62)から植深変更ユニット(107)或いはモータ(84)前端まで長さ(a)を略2倍以内(a≦2b)に設けて、植深変更ユニット(107)を最大限本機側に近接させ、この重心を前移動化させて、機体の前後バランスを良好とさせるように構成している。
【0028】
図10、図11に示す如く、前記モータ取付台(88)前面下部のブラケット(109)に、カバー(96)内側底面のブラケット(110)を軸(111)を介して回動自在に連結させて、モータ取付台(88)にカバー(96)を開閉自在に取付けて、自動切換時には調節レバー(83)を閉状態のカバー(96)内に収納するように設けている。また前記カバー(96)内に収納する調節レバー(83)の先端部に対応するカバー(96)位置に長円状のレバー確認孔(112)を開設して、カバー(96)内に収納する調節レバー(83)の植付深さ位置をカバー(96)の外側から確認孔(112)を通して視認して、自動操作中の植付深さの確認を容易に行うように構成している。
【0029】
而して、前記植深モータ(84)による自動植付深さ調節にあっては、前記ネジ軸(89)に結合させる移動子(90)の無段階の移動によって、植付深さの無段階な微調整を行って、植付深さ調節を高精度なものとさせると共に、植深モータ(84)を駆動する植深操作スイッチや、前記センサ(98)によって検出される植付深さの表示用パネルを運転席(13)前方などに配設することによって、運転席(13)位置から植付深さの変更操作や確認を容易に可能とさせることができるものである。またこの場合植付深さを直接的に変更する調節レバー(83)位置よりセンサ(98)で植付深さを検出することによって、部品の組立誤差などに影響されることのない常に正確な植付深さの検出が行われる。
【0030】
また、前記調節レバー(83)は植付深さの手動調節時の上下操作方向に対し、係合金具(91)に係合軸(92)を係脱させて行う自動及び手動の切換えを左右方向とさせて、植深操作方向と自動及び手動切換方向とを直交させ、係合金具(91)と係合軸(92)とが係合する自動から、係合軸(92)が離脱する手動に切換った場合にも植付深さを変化させることなく一定維持させるもので、植付深さの自動調節中に電気系の故障や不具合が発生しても、作業を停止させることなく植付深さを一定維持させた状態のまま手動による作業を継続させることができるものである。さらに機体整備時などにもキースイッチやバッテリ充電などの作業を行うことなく、手動による調節レバー(83)の操作によって、フロート(34)(35)の上下動作の確認などが容易に行えて、保守点検などでの至便化を図ることができる。
【0031】
また、調節レバー(83)の自動及び手動の切換方向と手動による植付深さ調節の操作方向とが略90度異なるため、誤操作を防止し操作フィーリング性を良好とさせると共に、手動切換時には切換方向終端のノッチ(88b)に位置決め板(83c)を確実に係合させて、植付深さを一定維持させることができる。
【0032】
また、通常の自動操作中前記調節レバー(83)やモータ(84)などのカバー(96)内収納によって、これらの性能や耐久性を向上させ、誤動作を防止することができると共に、収納される調節レバー(83)の植付深さ位置を、カバー(96)外側より確認孔(112)を通して確実に視認して、別途特別な植深用インジケータなど用いることなく、植付深さの確認を容易に行うことができる。
【0033】
さらに、前記取付台(88)の移動ガイド孔(88c)に移動子(90)のガイドローラ(90a)を挿入させることによって、移動子(90)のネジ軸(90)に沿った移動がスムーズとなって、モータ(84)の駆動負荷を軽減させ、モータ(84)の小型軽量化を可能とさせて、前後バランスを良好とさせることができる。
【0034】
このように、調節レバー(83)でもって自動及び手動の切換えが行われる植付深さ調節機構において、本実施例の如くレバー(83)位置の検出をレバー(83)に連結させるセンサ(98)のみで行う構成の場合、手動に切換えてレバー(83)を移動操作すると、センサ(98)からの出力で植深モータ(84)が駆動してフロート(34)(35)などの破損事故に連がる不具合がある。
【0035】
そのため、図13に示す如く、係合金具(91)と係合軸(92)との係合を検出するロック確認用センサ(113)をレバー(83)或いは移動子(90)側の何れか一方に設置して、手動切換えで係合軸(92)が係合金具(91)より離脱するときには、ロック確認用センサ(113)からの信号で植深センサ(98)出力で植深モータ(84)が駆動するのを中断させ、モータ(84)による植付深さ調節が行われるのを中止させるように構成している。
【0036】
また図15に示すものは、前記植深センサ(98)を移動子(90)側に設け、自動操作中で植深モータ(84)により移動子(90)が移動するときのみ植深センサ(98)を動作させ、センサ(98)の出力値と目標値とが一致するまで植深モータ(84)を駆動する構成例を示すもので、移動子(90)にセンサピン(97)を固設させ、該ピン(97)に当接させるアクチュエータ(98a)によって移動子(90)の移動位置を検出する植深センサ(98)を取付台(88)に設けて、係合金具(91)より係合軸(92)の離脱した調節レバー(83)の手動操作時には、植深センサ(98)との連結関係を遮断して、植深モータ(84)による植付深さ調節を中止させるものである。
【0037】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように、請求項1に係る発明は、走行車(1)の後側にリンク機構(27)を介して昇降可能に連結された植付部(15)と、前記植付部(15)の苗植付深さを変更する植深変更ユニット(107)とを備え、前記植深変更ユニット(107)には、前記植付部(15)に設けたセンタフロート(34)及びサイドフロート(35)の支持高さを変更する植深調節部材(83)と、前記植深調節部材(83)に連結して苗植付深さを無段階に調節する調節作動部材(89)と、該調節作動部材(89)を作動させる植深モータ(84)とを有し、前記植深モータ(84)によって前記調節作動部材(89)を介して前記植深調節部材(83)が作動されるように構成してなる田植機において、前記植付部(15)には、前記植深モータ(84)を配置するモータ取付台(88)と、前記モータ取付台(88)上の前記植深モータ(84)の少なくとも前方及び上方及び左右側方を覆うカバー(96)とを配置し、前記植付部(15)の伝動パイプ(85)に前記モータ取付台(88)を固設し、前記モータ取付台(88)に前記カバー(96)を開閉可能に連結する一方、平面視で、前記センタフロート(34)の前半部と、前記センタフロート(34)に隣接した前記サイドフロート(35)の前半部との間に、前記植深変更ユニット(107)を配置したものであるから、前記センタフロート(34)と前記サイドフロート(35)の間に前記植深変更ユニット(107)をコンパクトに配置でき、前記走行車(1)に近づけて前記センタフロート(34)及び前記サイドフロート(35)を配置でき、前記走行車(1)の前後バランスを向上できるものである。
【0038】
請求項2に係る発明は、側面視で、前記センタフロート(34)の前半部とラップする高さ位置に、前記植深変更ユニット(107)を配置したものであるから、前記植付部(15)の低位置に前記植深変更ユニット(107)を配置でき、前記植付部(15)の重心を低くして、前記植付部(15)の左右バランスを向上できるものである。
【0039】
請求項3に係る発明は、平面視で、前記走行車(1)の後輪(8)より後方に、前記植深変更ユニット(107)を配置したものであるから、後輪(8)に干渉させることなく、前記植深変更ユニット(107)を配置できるものである。
【0040】
請求項4に係る発明は、前記植付部に設けた苗載台(16)の横送り軸(108)の下方に、前記植深変更ユニット(107)を配置したものであるから、前記植付部の低位置に前記植深変更ユニット(107)をコンパクトに配置でき前記植付部(15)の重心を低くして、前記植付部(15)の左右バランスを向上できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図である。
【図2】田植機の全体平面図である。
【図3】走行車体の側面説明図である。
【図4】走行車体の平面説明図である。
【図5】植付部の側面説明図である。
【図6】フロート部の平面説明図である。
【図7】センタフロート部の平面説明図である。
【図8】センタフロート部の側面説明図である。
【図9】植深調節部の側面図である。
【図10】植深調節部の側面説明図である。
【図11】植深調節部の正面説明図である。
【図12】植深調節部の平面説明図である。
【図13】植深センサ部の平面説明図である。
【図14】昇降位置センサ部の取付説明図である。
【図15】植深センサ部の他の実施構造の説明図である。
【符号の説明】
(1)走行車
(8)後輪
(15)植付部
(16)苗載台
(27)リンク機構
(34)センタフロート
(35)サイドフロート
(83)植深調節レバー(植深調節部材)
(84)植深モータ
(88)モータ取付台
(89)ネジ軸(調節作動部材)
(96)カバー
(107)植深変更ユニット
(108)横送り軸

Claims (4)

  1. 走行車の後側にリンク機構を介して昇降可能に連結された植付部と、前記植付部の苗植付深さを変更する植深変更ユニットとを備え、
    前記植深変更ユニットには、前記植付部に設けたセンタフロート及びサイドフロートの支持高さを変更する植深調節部材と、前記植深調節部材に連動部材を介して連結して苗植付深さを無段階に調節する調節作動部材と、該調節作動部材を作動させる植深モータとを有し、
    前記植深モータによって前記調節作動部材を介して前記植深調節部材が作動されるように構成してなる田植機において、
    前記植付部には、前記植深モータを配置するモータ取付台と、前記モータ取付台上の前記植深モータの少なくとも前方及び上方及び左右側方を覆うカバーとを配置し、
    前記植付部の伝動パイプに前記モータ取付台を固設し、前記モータ取付台に前記カバーを開閉可能に連結する一方、
    平面視で、前記センタフロートの前半部と、前記センタフロートに隣接した前記サイドフロートの前半部との間に、前記植深変更ユニットを配置したことを特徴とする田植機。
  2. 側面視で、前記センタフロートの前半部とラップする高さ位置に、前記植深変更ユニットを配置したことを特徴とする請求項1記載の田植機。
  3. 平面視で、前記走行車の後輪より後方に、前記植深変更ユニットを配置したことを特徴とする請求項1記載の田植機。
  4. 前記植付部に設けた苗載台の横送り軸の下方に、前記植深変更ユニットを配置したことを特徴とする請求項1記載の田植機。
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