JP3893530B2 - 改質セルロース再生繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロース再生繊維の吸湿性を向上させて吸湿発熱性による保温効果を具備させたセルロース再生繊維を提供するものであり、肌着,シャツ等の衣料分野、布団等の中綿に好適に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
繊維が吸湿することにより発熱する現象は従来より知られており、この現象は繊維中のアミノ基,カルボキシル基,ヒドロキシル基等の親水性官能基に水分子が吸着する際の吸着熱に由来する。従って、繊維の吸湿発熱性を向上させるためにはこれらの親水性官能基を繊維に導入し、吸湿性を向上させることが必要である。
【0003】
このことから、セルロース系繊維に吸湿発熱性を付与するために、化学修飾によりアミノ基やカルボキシル基を導入することが知られている。例えば、特開平8−311767号公報にはセルロース系繊維にポリエチレンイミン等の多価アミンを架橋剤によって固定化する方法が開示され、また特開平10−251969号公報にはセルロース系繊維に第4級アンモニウム塩を固定化して吸湿発熱性を付与する方法が開示されている。しかしながら、このような化学反応による方法では、吸湿発熱性を高めるために官能基の導入量を上げる必要があり、その結果得られた繊維が黄変したり、強力等の繊維物性が低下するなどの欠点があった。また、不織布や綿状のセルロース系繊維への応用は困難であった。
【0004】
一方、アルギン酸等の酸性高分子をセルロース系繊維に導入する技術に間しては、例えば、特開平7−173711号公報及び特開平7−197313号公報に開示されているが、上述のような吸湿発熱性を目的としたものではなく、また架橋処理をしていないためにアルカリ性の雰囲気に曝されると導入された酸性高分子が溶出してしまう欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上述の欠点を克服するために鋭意検討を重ねた結果、ある種のカルボキシル基を有する酸性高分子がセルロースビスコースと同様なアルカリ性水溶液に溶解し、かつセルロース再生繊維の紡糸に用いられる凝固再生液で凝固することに着目し、このようなカルボキシル基を有する酸性高分子をセルロースビスコース溶液中に均一に混合溶解させた後に凝固再生浴中に押し出して紡糸し、次いで架橋処理とアルカリ処理をすることによって吸湿性を向上させ、それに伴う優れた吸湿発熱性を具備させたセルロース再生繊維が得られることを見出し本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、セルロース再生繊維中にカルボキシル基を有する酸性高分子であるアルギン酸を含有させ、架橋後アルカリ処理して得られる吸湿発熱性を有する改質セルロース再生繊維であり、アルギン酸塩の含有量が、改質セルロース再生繊維の全体に対して3〜25重量%である改質セルロース再生繊維である。また、このようにして得られる本発明の改質セルロース再生繊維の吸湿発熱温度は7.5℃〜11.5℃である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる吸湿発熱温度は以下に述べる方法で測定した。すなわち、自動記録装置と接続した温度センサーを予め重量を統一した測定試料で包み込み、ガラス製容器内に吊してセットした。容器内をシリカゲル及び塩化カルシウム中を通過させた乾燥空気で充満して低湿度状態にし、温度が安定した後、続いて水中を通過させた高湿度空気を急激に容器内に送り込み、容器内を高湿度状態にした。このとき発生する吸着熱による温度上昇を測定し測定試料の吸湿発熱温度とした。
【0008】
本発明の改質セルロース再生繊維の吸湿発熱温度は、含有させるアルギン酸の量により影響されるが、上述の測定方法によれば7.5℃〜11.5℃である。通常のセルロース再生繊維についてこの方法で測定した吸湿発熱温度は7℃であり、また天然繊維として最も発熱量が高いとされる羊毛は9℃程度である。
【0009】
本発明で用いるカルボキシル基を有する酸性高分子は、セルロースビスコース溶液のpH8〜9程度のアルカリ性溶液中に均一に溶解し、かつセルロース再生繊維の紡糸に通常用いられる凝固再生浴で凝固するものであれば種類を選ばないが、具体例としては、アルギン酸,カルボキシメチルセルロース,アクリル酸等が挙げられるが、特にアルギン酸を用いることが入手、取扱いが容易であり好ましい。また、これらの酸性高分子が有するカルボキシル基は、フリーの状態であってもナトリウム,カリウム等の塩の状態であってもよい。該酸性高分子の分子量があまり高すぎると、セルロースビスコース溶液に添加して得た紡糸原液の粘度が上昇するため好ましくなく、低すぎると添加した酸性高分子が凝固再生浴中で凝固せずに溶出してしまうため好ましくない。従って、該酸性高分子の分子量は、20,000〜200,000の範囲が好適である。
【0010】
本発明では、先ず、予め調製されたセルロースビスコース溶液にアルギン酸を、セルロースビスコース溶液中のセルロースに対して3〜25重量%となるように添加し、均一に混合、溶解させて紡糸原液とする。この紡糸原液中では、添加したアルギン酸のカルボキシル基は、セルロースビスコース溶液中のアルカリにより塩を形成する。このときの酸性高分子の添加量が3重量%に満たないと、紡糸して得られるセルロース再生繊維の吸湿発熱温度が上がらず充分な効果が得られないため好ましくない。また添加量が25重量%を越えると、得られるセルロース再生繊維の繊維物性が低下するため好ましくない。
【0011】
また、前述のアルギン酸をセルロースビスコース溶液に添加する方法は、セルロースビスコース溶液に直接添加して溶解させてもよく、またセルロースビスコース溶液と同濃度の水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた後セルロースビスコース溶液に添加してもよい。このとき得られる紡糸原液中のセルロースとアルギン酸の合計の濃度は特に限定されるものではないが、紡糸可能な粘度範囲から考慮すると、通常4〜12重量%とすることが好ましい。
【0012】
上述の如くして得られた紡糸原液をノズルより酸性の凝固再生浴中に吐出して、アルギン酸を含有したセルロース再生繊維を湿式紡糸法により紡糸するが、このときの凝固再生浴の組成、紡糸速度等の紡糸条件は特に限定されるものではなく、通常の条件で行えばよい。この凝固再生過程により、アルギン酸の有するカルボキシル基は、塩がはずれてフリーな状態となる。
【0013】
次いで、得られたアルギン酸を含有したセルロース再生繊維を架橋処理して、セルロース分子同士あるいはセルロース分子とアルギン酸とを架橋結合させる。架橋処理を行わないと、該繊維がアルカリ性の条件に曝されたときに含有されているアルギン酸が溶出してしまうため、目的とする吸湿発熱性を得ることができない。このときの架橋処理は一般的にセルロース系繊維を架橋するときの方法と条件で行えばよく、特に制限されるものではない。また用いる架橋剤としては、例えば、ジエポキシ化合物,ジイソシアネート化合物,ジハロゲン化アルキル等が挙げられる。
【0014】
このようにして架橋処理を施した酸性高分子を含有したセルロース再生繊維を、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液に接触させ、繊維中に含有されているアルギン酸のカルボキシル基をナトリウム等の塩型に変えた後に十分に水洗し乾燥して、本発明の改質セルロース再生繊維を得る。この際に使用されるアルカリ水溶液は特に限定されないが、カルボキシル基と塩を生じるナトリウムやカリウムといったアルカリ金属類を含むアルカリ性のものが好ましい。このとき使用するアルカリの濃度は、処理しようとする繊維中のカルボキシル基の含有量を考慮する必要があるが、通常0.5%〜25%程度でよい。またアルカリ処理の時間を短縮するために加熱することも可能であるが、高濃度のアルカリではセルロース再生繊維にダメージが加わるため、注意が必要である。
【0015】
上述のアルカリ処理を行い、セルロース再生繊維中に含有されているアルギン酸のカルボキシル基がフリー型であっても吸湿性は向上するが、上述のアルカリ処理を行い、カルボキシル基をフリー型から塩型にすることで更なる吸湿性の向上とそれに伴う吸湿発熱性の向上がもたらされる。
【0016】
以上の如くして得た本発明の改質セルロース再生繊維は、その繊維中にアルギン酸の塩が一様に含有されており、優れた吸湿性と吸湿発熱性を発現する改質セルロース再生繊維である。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。なお、部はすべて重量部を示し、強度,伸度,吸湿率,放湿率吸湿発熱温度は以下の方法より測定した。
【0018】
〈強度、伸度〉
JIS L 1015「化学繊維ステープル試験法」に従って、破断時の引張り強さ(cN/dtex)及びそのときの伸度(%)を測定した。
【0019】
〈吸湿率、放湿率〉
重量Whgを測定しておいた秤量瓶に試料を約1gずつ入れ、蓋を開いた状態で105℃にて60分間乾燥した後、シリカゲル入りデシケータ中にて30分間放置して冷却し、重量Wogを測定した。次いで湿度60%のデシケータ中に一晩放置した後、35℃、90%に調湿した恒温恒湿器内に秤量瓶の蓋を開けて入れ、60分後に蓋を閉めて秤量瓶を取り出し、重量W1gを測定した。更に25℃、53%に調湿した恒温恒湿器内に蓋を開けて秤量瓶を入れ、60分後に蓋を閉めて秤量瓶を取り出し、重量W2gを測定した。これらの結果から、吸湿率、放湿率は次式により求めた。
【数1】
Figure 0003893530
【数2】
Figure 0003893530
【0020】
〈吸湿発熱温度〉
自動記録装置と接続した温度センサーをガラス製容器内に吊し、この温度センサーを予め重量を統一した試料で包み込みセットした。容器内をシリカゲル及び塩化カルシウム中を通過させた乾燥空気で充満して低湿度状態にし、温度が安定した後、水中を通過させた高湿度空気を急激に容器内に送り込み、容器内を高湿度状態にした。このとき発生する吸着熱による温度上昇を測定し吸湿発熱温度とした。
【0021】
〔実施例1〕
通常の方法で調製したポリノジックビスコース溶液(セルロース5.0%、全アルカリ3.5%、全硫黄3.0%)にアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、分子量約60,000)を該ビスコース溶液のセルロースに対して10重量%となるように添加し、均一に溶解後直ちに、0.07mm×500Hのノズルを使用し、紡糸速度30m/分で、硫酸22g/L、硫酸ナトリウム65g/L、硫酸亜鉛0.5g/Lの温度35℃の紡糸浴中に紡糸した。次いで、硫酸2g/L、硫酸亜鉛0.05g/Lの温度25℃の浴中で2倍に延伸し、繊維長38mmとなるように切断し、炭酸ナトリウム1g/L、硫酸ナトリウム2g/Lの温度60℃の浴中で処理を行った後、再度硫酸5g/Lの温度65℃の浴中で処理した。さらに、通常の精練乾燥処理を行って、およそ1.39デシテックスのアルギン酸を含有したポリノジックのセルロース再生繊維約500gを糸切れすることなく製造した。この段階で約50gの試料を採取し、比較試料2´とした。
【0022】
続いて、残りの繊維を4重量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールEX−810)と2重量%の商品名;スミテックスアクセラレータX−120(住友化学工業(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130℃にて15分間処理して架橋処理を行った。次いで、架橋処理した繊維及び先に採取した比較試料2´をそれぞれ5重量%の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後に充分水洗し、乾燥して、アルカリ処理したアルギン酸ナトリウム含有セルロース再生繊維を得、それぞれ試料No.1及び比較試料2とした。また、アルギン酸ナトリウムを添加しない以外は上述と同様な方法でセルロース再生繊維を製造し、比較試料1とした。
得られた各試料の強度,伸度,吸湿率,放湿率,吸湿発熱温度を測定し、結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
Figure 0003893530
【0024】
表1から明らかなように比較試料2は、アルギン酸を含有させて紡糸したが架橋処理をしていないため、アルカリ条件下に曝した後ではアルギン酸が溶出してしまい、吸湿発熱性が通常のポリノジックである比較試料1と同程度であった。
【0025】
これに対して本発明の試料No.1は、アルギン酸を含有させた後架橋処理をしているため、アルカリ条件下に曝されてもアルギン酸が溶出してしまうことがなく、さらにアルカリ処理をして、アルギン酸のカルボキシル基をナトリウム塩型にしているため、優れた吸湿発熱性を示している。吸湿発熱温度としても、本発明の試料No.1は8.9℃であり、羊毛の吸湿発熱温度9℃と同程度の性能が得られている。
【0026】
〔実施例2〕
実施例1と同様に調製したポリノジックビスコース溶液に該ビスコース溶液中のセルロースに対して1、3、5、10、15、25、30重量%となるようにアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、分子量約60,000)を添加し、均一に溶解後、実施例1と同様の紡糸条件により、およそ1.39デシテックスのアルギン酸を含有したポリノジックのセルロース再生繊維7種類をそれぞれ約500gずつ糸切れすることなく製造した。
【0027】
得られた各繊維を4重量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールEX−810)と2重量%の商品名;スミテックスアクセラレータX−120(住友化学工業(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130℃にて15分処理して架橋処理を行った。次いで、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後に充分水洗し、乾燥して架橋しアルカリ処理したアルギン酸ナトリウムを含有したセルロース再生繊維を得、それぞれ試料No.2〜No.8とした。
得られた各試料の強度,伸度,吸湿率,放湿率,吸湿発熱温度を測定し、結果を表2に示した。
【0028】
【表2】
Figure 0003893530
【0029】
表2から明らかなように、アルギン酸ナトリウムの添加量の低い試料No.2は、吸湿発熱温度が低いため好ましくない。逆に、添加量が30%である試料No.8は、吸湿発熱温度は優れているものの強度低下が大きく、また紡糸の時の紡調も悪く実用的では無かった。
【0030】
これに対して、アルギン酸ナトリウムの添加量が3〜25%である本発明の試料No.3〜No.7は、ほぼ添加するアルギン酸ナトリウムの量の増加に比例して吸湿発熱温度が上昇しており、また比較試料1と比べて強度低下も実用上問題にならない程度である。
【0031】
〔実施例3〕
実施例1と同様に調製したポリノジックビスコース溶液に該ビスコース溶液中のセルロースに対して10重量%となるように、分子量がそれぞれ約10,000、20,000、60,000、100,000、200,000のアルギン酸ナトリウム(いずれも和光純薬工業(株)製)を添加し、均一に溶解後、実施例1と同様の紡糸条件により紡糸し、分子量の異なるアルギン酸をそれぞれ含有したおよそ1.39デシテックスのセルロース再生繊維5種約500gずつを得た。このとき分子量約300,000のアルギン酸ナトリウムを同様にビスコース溶液に添加し溶解させたが、粘度が高くなりすぎ、紡糸することができなかった。得られた各繊維を4重量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールEX−810)と2重量%の商品名;スミテックスアクセラレータX−120(住友化学工業(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130℃にて15分間処理して架橋処理を行った。次いで、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後充分水洗し、乾燥して分子量の異なるアルギン酸ナトリウムをそれぞれ含有させて紡糸し、架橋処理しアルカリ処理したセルロース再生繊維を得、それぞれ試料No.〜No.13とした。
得られた各試料の強度,伸度,吸湿率,放湿率,吸湿発熱温度を測定し、結果を表3に示した。
【0032】
【表3】
Figure 0003893530
【0033】
から明らかなように、添加したアルギン酸ナトリウムの分子量が低い試料No.は架橋処理し、アルカリ処理をしても吸湿率があまり向上せず、また強度が大きく低下している。これは添加したアルギン酸ナトリウムが紡糸時に凝固浴中に溶出してしまうためと考えられる。これに対してアルギン酸ナトリウムの分子量が20,000〜200,000である本発明の試料No.10〜No.13は、吸湿率が向上し、優れた吸湿発熱温度が認められ、強度低下も実用上問題とならない程度である。
【0034】
〔実施例
通常の方法で調製したレーヨンビスコース溶液(セルロース9.0%、全アルカリ6.0%、全硫黄2.5%)にアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、分子量約60,000)を該ビスコース溶液のセルロースに対して10重量%となるように添加し、均一に溶解後直ちに、0.09mm×100Hのノズルを使用し、紡糸速度55m/分で、硫酸110g/L、硫酸ナトリウム30g/L、硫酸亜鉛15g/L、温度50℃の紡糸浴中に紡糸した。通常の二浴緊張紡糸法により延伸し、通常の精練乾燥処理を行いおよそ3.33デシテックスのアルギン酸を含有したレーヨンのセルロース再生繊維約500gを糸切れすることなく製造した。ここで約50gの試料を採取し、比較試料4´とした。
【0035】
続いて残りの繊維を4重量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールEX−810)と2重量%の商品名;スミテックスアクセラレータX−120(住友化学工業(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130℃にて15分間処理して架橋処理を行った。次いで、架橋処理した繊維及び比較試料4´をそれぞれ5重量%の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後に充分水洗し、乾燥してアルギン酸ナトリウムを含有したレーヨンのセルロース再生繊維を得、それぞれ試料No.17及び比較試料4とした。また、アルギン酸ナトリウムを添加しない以外は上述と同様な方法でセルロース再生繊維を製造し、比較試料3とした。
得られた各試料の強度,伸度,吸湿率,放湿率,吸湿発熱温度を測定し、結果を表に示した。
【0036】
【表
Figure 0003893530
【0037】
から明らかなように、実施例1のポリノジックのセルロース再生繊維に変えてレーヨンのセルロース再生繊維であっても優れた吸湿発熱性が認められた。すなわち、比較試料4はアルギン酸を含有させて紡糸したが架橋処理をしていないため、アルカリ条件下に曝した後ではアルギン酸が溶出してしまい、吸湿発熱温度が通常レーヨンである比較試料3と同程度であった。
【0038】
これに対して本発明の試料No.14は、アルギン酸を含有させた後架橋処理をしているため、アルギン酸が溶出してしまうことがなく、さらにアルカリ処理によりアルギン酸のカルボキシル基をナトリウム塩型としているため、優れた吸湿発熱性を示している。吸湿発熱温度としても、本発明の試料No.14は、羊毛の吸湿発熱温度9℃と同程度の性能が得られている。
【0039】
【発明の効果】
上述したように本発明の改質セルロース再生繊維は、アルギン酸を通常のセルロース再生繊維の製造に用いられるビスコース溶液の溶媒に溶解させ、液状にして紡糸原液に含有させるため、添加量を高めても紡糸時の紡調を悪化させにくく、紡糸した後に得られた繊維を架橋し、アルカリ処理しているため、アルギン酸の塩を一様に繊維内に混在させた改質セルロース再生繊維である。本発明の改質セルロース再生繊維は、対アルカリ性に優れ、強度、伸度等の基本的な繊維物性を損なうことなく、優れた吸湿性と吸湿発熱性を具備した改質セルロース繊維である。

Claims (3)

  1. アルギン酸を、セルロースビスコース溶液中に含有させて凝固再生後、架橋、アルカリ処理をして得られる吸湿発熱性を有することを特徴とする改質セルロース再生繊維。
  2. アルギン酸塩の含有量が、得られる改質セルロース繊維の全体に対して3〜25重量%であることを特徴とする請求項1に記載の改質セルロース再生繊維。
  3. 前記改質セルロース再生繊維の吸湿発熱温度が7.5〜11.5℃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の改質セルロース再生繊維。
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