JP2001181961A - 改質セルロース再生繊維 - Google Patents
改質セルロース再生繊維Info
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Abstract
熱性による保温効果を具備したセルロース再生繊維を提
供する。 【解決手段】 セルロース再生繊維中にカルボキシル基
を有する酸性高分子を含有させ、架橋後アルカリ処理し
て得られる吸湿発熱性を有する改質セルロース再生繊維
であり、そのカルボキシル基を有する酸性高分子の含有
量が、改質セルロース再生繊維の全体に対して3〜25
重量%である改質セルロース再生繊維である。また、カ
ルボキシル基を有する酸性高分子は、水酸化ナトリウム
に溶解し、かつセルロースビスコース溶液の凝固再生浴
中で凝固するものであり、得られる改質セルロース再生
繊維の吸湿発熱温度は7.5℃〜11.5℃である。
Description
維の吸湿性を向上させて吸湿発熱性による保温効果を具
備させたセルロース再生繊維を提供するものであり、肌
着,シャツ等の衣料分野、布団等の中綿に好適に利用さ
れるものである。
は従来より知られており、この現象は繊維中のアミノ
基,カルボキシル基,ヒドロキシル基等の親水性官能基
に水分子が吸着する際の吸着熱に由来する。従って、繊
維の吸湿発熱性を向上させるためにはこれらの親水性官
能基を繊維に導入し、吸湿性を向上させることが必要で
ある。
熱性を付与するために、化学修飾によりアミノ基やカル
ボキシル基を導入することが知られている。例えば、特
開平8−311767号公報にはセルロース系繊維にポ
リエチレンイミン等の多価アミンを架橋剤によって固定
化する方法が開示され、また特開平10−251969
号公報にはセルロース系繊維に第4級アンモニウム塩を
固定化して吸湿発熱性を付与する方法が開示されてい
る。しかしながら、このような化学反応による方法で
は、吸湿発熱性を高めるために官能基の導入量を上げる
必要があり、その結果得られた繊維が黄変したり、強力
等の繊維物性が低下するなどの欠点があった。また、不
織布や綿状のセルロース系繊維への応用は困難であっ
た。
ース系繊維に導入する技術に間しては、例えば、特開平
7−173711号公報及び特開平7−197313号
公報に開示されているが、上述のような吸湿発熱性を目
的としたものではなく、また架橋処理をしていないため
にアルカリ性の雰囲気に曝されると導入された酸性高分
子が溶出してしまう欠点があった。
点を克服するために鋭意検討を重ねた結果、ある種のカ
ルボキシル基を有する酸性高分子がセルロースビスコー
スと同様なアルカリ性水溶液に溶解し、かつセルロース
再生繊維の紡糸に用いられる凝固再生液で凝固すること
に着目し、このようなカルボキシル基を有する酸性高分
子をセルロースビスコース溶液中に均一に混合溶解させ
た後に凝固再生浴中に押し出して紡糸し、次いで架橋処
理とアルカリ処理をすることによって吸湿性を向上さ
せ、それに伴う優れた吸湿発熱性を具備させたセルロー
ス再生繊維が得られることを見出し本発明に到達した。
ロース再生繊維中にカルボキシル基を有する酸性高分子
を含有させ、架橋後アルカリ処理して得られる吸湿発熱
性を有する改質セルロース再生繊維であり、そのカルボ
キシル基を有する酸性高分子の含有量が、改質セルロー
ス再生繊維の全体に対して3〜25重量%である改質セ
ルロース再生繊維である。また、本発明で用いるカルボ
キシル基を有する酸性高分子は、水酸化ナトリウム水溶
液に溶解し、かつセルロースビスコース溶液の凝固再生
浴中で凝固するものである。また、このようにして得ら
れる本発明の改質セルロース再生繊維の吸湿発熱温度は
7.5℃〜11.5℃である。
下に述べる方法で測定した。すなわち、自動記録装置と
接続した温度センサーを予め重量を統一した測定試料で
包み込み、ガラス製容器内に吊してセットした。容器内
をシリカゲル及び塩化カルシウム中を通過させた乾燥空
気で充満して低湿度状態にし、温度が安定した後、続い
て水中を通過させた高湿度空気を急激に容器内に送り込
み、容器内を高湿度状態にした。このとき発生する吸着
熱による温度上昇を測定し測定試料の吸湿発熱温度とし
た。
熱温度は、含有させるカルボキシル基を有する酸性高分
子の量により影響されるが、上述の測定方法によれば
7.5℃〜11.5℃である。通常のセルロース再生繊
維についてこの方法で測定した吸湿発熱温度は7℃であ
り、また天然繊維として最も発熱量が高いとされる羊毛
は9℃程度である。
性高分子は、セルロースビスコース溶液のpH8〜9程
度のアルカリ性溶液中に均一に溶解し、かつセルロース
再生繊維の紡糸に通常用いられる凝固再生浴で凝固する
ものであれば種類を選ばないが、具体例としては、アル
ギン酸,カルボキシメチルセルロース,アクリル酸等が
挙げられる。また、これらの酸性高分子が有するカルボ
キシル基は、フリーの状態であってもナトリウム,カリ
ウム等の塩の状態であってもよい。該酸性高分子の分子
量があまり高すぎると、セルロースビスコース溶液に添
加して得た紡糸原液の粘度が上昇するため好ましくな
く、低すぎると添加した酸性高分子が凝固再生浴中で凝
固せずに溶出してしまうため好ましくない。従って、該
酸性高分子の分子量は、20,000〜200,000
の範囲が好適である。
ースビスコース溶液に上述のカルボキシル基を有する酸
性高分子を、セルロースビスコース溶液中のセルロース
に対して3〜25重量%となるように添加し、均一に混
合、溶解させて紡糸原液とする。この紡糸原液中では、
添加した酸性高分子のカルボキシル基は、セルロースビ
スコース溶液中のアルカリにより塩を形成する。このと
きの酸性高分子の添加量が3重量%に満たないと、紡糸
して得られるセルロース再生繊維の吸湿発熱温度が上が
らず充分な効果が得られないため好ましくない。また添
加量が25重量%を越えると、得られるセルロース再生
繊維の繊維物性が低下するため好ましくない。
コース溶液に添加する方法は、セルロースビスコース溶
液に直接添加して溶解させてもよく、またセルロースビ
スコース溶液と同濃度の水酸化ナトリウム水溶液に溶解
させた後セルロースビスコース溶液に添加してもよい。
このとき得られる紡糸原液中のセルロースとカルボキシ
ル基を有する酸性高分子の合計の濃度は特に限定される
ものではないが、紡糸可能な粘度範囲から考慮すると、
通常4〜12重量%とすることが好ましい。
より酸性の凝固再生浴中に吐出して、カルボキシル基を
有する酸性高分子を含有したセルロース再生繊維を湿式
紡糸法により紡糸するが、このときの凝固再生浴の組
成、紡糸速度等の紡糸条件は特に限定されるものではな
く、通常の条件で行えばよい。この凝固再生過程によ
り、酸性高分子の有するカルボキシル基は、塩がはずれ
てフリーな状態となる。
ルロース再生繊維を架橋処理して、セルロース分子同士
あるいはセルロース分子と酸性高分子とを架橋結合させ
る。架橋処理を行わないと、該繊維がアルカリ性の条件
に曝されたときに含有されている酸性高分子が溶出して
しまうため、目的とする吸湿発熱性を得ることができな
い。このときの架橋処理は一般的にセルロース系繊維を
架橋するときの方法と条件で行えばよく、特に制限され
るものではない。また用いる架橋剤としては、例えば、
ジエポキシ化合物,ジイソシアネート化合物,ジハロゲ
ン化アルキル等が挙げられる。
子を含有したセルロース再生繊維を、水酸化ナトリウム
水溶液等のアルカリ水溶液に接触させ、繊維中に含有さ
れている酸性高分子のカルボキシル基をナトリウム等の
塩型に変えた後に十分に水洗し乾燥して、本発明の改質
セルロース再生繊維を得る。この際に使用されるアルカ
リ水溶液は特に限定されないが、カルボキシル基と塩を
生じるナトリウムやカリウムといったアルカリ金属類を
含むアルカリ性のものが好ましい。このとき使用するア
ルカリの濃度は、処理しようとする繊維中のカルボキシ
ル基の含有量を考慮する必要があるが、通常0.5%〜
25%程度でよい。またアルカリ処理の時間を短縮する
ために加熱することも可能であるが、高濃度のアルカリ
ではセルロース再生繊維にダメージが加わるため、注意
が必要である。
生繊維中に含有されている酸性高分子のカルボキシル基
がフリー型であっても吸湿性は向上するが、上述のアル
カリ処理を行い、カルボキシル基をフリー型から塩型に
することで更なる吸湿性の向上とそれに伴う吸湿発熱性
の向上がもたらされる。
ス再生繊維は、その繊維中にカルボキシル基を有する酸
性高分子の塩が一様に含有されており、優れた吸湿性と
吸湿発熱性を発現する改質セルロース再生繊維である。
が、本発明はこの範囲に限定されるものではない。な
お、部はすべて重量部を示し、強度,伸度,吸湿率,放
湿率吸湿発熱温度は以下の方法より測定した。
学繊維ステープル試験法」に従って、破断時の引張り強
さ(cN/dtex)及びそのときの伸度(%)を測定
した。
おいた秤量瓶に試料を約1gずつ入れ、蓋を開いた状態
で105℃にて60分間乾燥した後、シリカゲル入りデ
シケータ中にて30分間放置して冷却し、重量Wogを
測定した。次いで湿度60%のデシケータ中に一晩放置
した後、35℃、90%に調湿した恒温恒湿器内に秤量
瓶の蓋を開けて入れ、60分後に蓋を閉めて秤量瓶を取
り出し、重量W1gを測定した。更に25℃、53%に
調湿した恒温恒湿器内に蓋を開けて秤量瓶を入れ、60
分後に蓋を閉めて秤量瓶を取り出し、重量W2gを測定
した。これらの結果から、吸湿率、放湿率は次式により
求めた。
温度センサーをガラス製容器内に吊し、この温度センサ
ーを予め重量を統一した試料で包み込みセットした。容
器内をシリカゲル及び塩化カルシウム中を通過させた乾
燥空気で充満して低湿度状態にし、温度が安定した後、
水中を通過させた高湿度空気を急激に容器内に送り込
み、容器内を高湿度状態にした。このとき発生する吸着
熱による温度上昇を測定し吸湿発熱温度とした。
ジックビスコース溶液(セルロース5.0%、全アルカ
リ3.5%、全硫黄3.0%)にアルギン酸ナトリウム
(和光純薬工業(株)製、分子量約60,000)を該
ビスコース溶液のセルロースに対して10重量%となる
ように添加し、均一に溶解後直ちに、0.07mm×5
00Hのノズルを使用し、紡糸速度30m/分で、硫酸
22g/L、硫酸ナトリウム65g/L、硫酸亜鉛0.
5g/Lの温度35℃の紡糸浴中に紡糸した。次いで、
硫酸2g/L、硫酸亜鉛0.05g/Lの温度25℃の
浴中で2倍に延伸し、繊維長38mmとなるように切断
し、炭酸ナトリウム1g/L、硫酸ナトリウム2g/L
の温度60℃の浴中で処理を行った後、再度硫酸5g/
Lの温度65℃の浴中で処理した。さらに、通常の精練
乾燥処理を行って、およそ1.39デシテックスのアル
ギン酸を含有したポリノジックのセルロース再生繊維約
500gを糸切れすることなく製造した。この段階で約
50gの試料を採取し、比較試料2´とした。
グリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業
(株)製、商品名;デナコールEX−810)と2重量
%の商品名;スミテックスアクセラレータX−120
(住友化学工業(株)製)を含む溶液に30分間浸漬
し、130℃にて15分間処理して架橋処理を行った。
次いで、架橋処理した繊維及び先に採取した比較試料2
´をそれぞれ5重量%の水酸化ナトリウム水溶液に10
分間浸漬した後に充分水洗し、乾燥して、アルカリ処理
したアルギン酸ナトリウム含有セルロース再生繊維を
得、それぞれ試料No.1及び比較試料2とした。ま
た、アルギン酸ナトリウムを添加しない以外は上述と同
様な方法でセルロース再生繊維を製造し、比較試料1と
した。得られた各試料の強度,伸度,吸湿率,放湿率,
吸湿発熱温度を測定し、結果を表1に示した。
ルギン酸を含有させて紡糸したが架橋処理をしていない
ため、アルカリ条件下に曝した後ではアルギン酸が溶出
してしまい、吸湿発熱性が通常のポリノジックである比
較試料1と同程度であった。
ルギン酸を含有させた後架橋処理をしているため、アル
カリ条件下に曝されてもアルギン酸が溶出してしまうこ
とがなく、さらにアルカリ処理をして、アルギン酸のカ
ルボキシル基をナトリウム塩型にしているため、優れた
吸湿発熱性を示している。吸湿発熱温度としても、本発
明の試料No.1は8.9℃であり、羊毛の吸湿発熱温
度9℃と同程度の性能が得られている。
リノジックビスコース溶液に該ビスコース溶液中のセル
ロースに対して1、3、5、10、15、25、30重
量%となるようにアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業
(株)製、分子量約60,000)を添加し、均一に溶
解後、実施例1と同様の紡糸条件により、およそ1.3
9デシテックスのアルギン酸を含有したポリノジックの
セルロース再生繊維7種類をそれぞれ約500gずつ糸
切れすることなく製造した。
コールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)
製、商品名;デナコールEX−810)と2重量%の商
品名;スミテックスアクセラレータX−120(住友化
学工業(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130
℃にて15分処理して架橋処理を行った。次いで、5重
量%の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後に
充分水洗し、乾燥して架橋しアルカリ処理したアルギン
酸ナトリウムを含有したセルロース再生繊維を得、それ
ぞれ試料No.2〜No.8とした。得られた各試料の
強度,伸度,吸湿率,放湿率,吸湿発熱温度を測定し、
結果を表2に示した。
を有する酸性高分子の添加量の低い試料No.2は、吸
湿発熱温度が低いため好ましくない。逆に、添加量が3
0%である試料No.8は、吸湿発熱温度は優れている
ものの強度低下が大きく、また紡糸の時の紡調も悪く実
用的では無かった。
加量が3〜25%である本発明の試料No.3〜No.
7は、ほぼ添加するアルギン酸ナトリウムの量の増加に
比例して吸湿発熱温度が上昇しており、また比較試料1
と比べて強度低下も実用上問題にならない程度である。
リノジックビスコース溶液に該ビスコース溶液のセルロ
ースに対して10重量%となるように、アルギン酸ナト
リウム(和光純薬工業(株)製、分子量約60,00
0)、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業
(株)製、分子量約70,000)、アクリル酸ナトリ
ウム(和光純薬工業(株)製、分子量約60,000)
をそれぞれ添加し、均一に溶解後、実施例1と同様の紡
糸条件により、アルギン酸、カルボキシメチルセルロー
ス、アクリル酸をそれぞれ含有したおよそ1.39デシ
テックスのセルロース再生繊維3種類を約500gずつ
得た。得られた各繊維を4重量%のエチレングリコール
ジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品
名;デナコールEX−810)と2重量%の商品名;ス
ミテックスアクセラレータX−120(住友化学工業
(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130℃にて
15分間処理して架橋処理を行った。次いで、5重量%
の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後に充分
水洗し、乾燥して、アルギン酸ナトリウム、カルボキシ
メチルセルロース、アクリル酸ナトリウムをそれぞれ含
有させて紡糸した後、架橋処理しアルカリ処理したセル
ロース再生繊維を得、それぞれを試料No.9〜No.
11とした。得られた各試料の強度,伸度,吸湿率,放
湿率,吸湿発熱温度を測定し、結果を表3に示した。
を有する酸性高分子の種類をアルギン酸ナトリウム、カ
ルボキシメチルセルロース、アクリル酸ナトリウムと変
化させても吸湿率及び吸湿発熱温度に優れており、ま
た、強度低下も実用上問題とならない程度であった。
リノジックビスコース溶液に該ビスコース溶液中のセル
ロースに対して10重量%となるように、分子量がそれ
ぞれ約10,000、20,000、60,000、1
00,000、200,000のアルギン酸ナトリウム
(いずれも和光純薬工業(株)製)を添加し、均一に溶
解後、実施例1と同様の紡糸条件により紡糸し、分子量
の異なるアルギン酸をそれぞれ含有したおよそ1.39
デシテックスのセルロース再生繊維5種約500gずつ
を得た。このとき分子量約300,000のアルギン酸
ナトリウムを同様にビスコース溶液に添加し溶解させた
が、粘度が高くなりすぎ、紡糸することができなかっ
た。得られた各繊維を4重量%のエチレングリコールジ
グリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品
名;デナコールEX−810)と2重量%の商品名;ス
ミテックスアクセラレータX−120(住友化学工業
(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130℃にて
15分間処理して架橋処理を行った。次いで、5重量%
の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後充分水
洗し、乾燥して分子量の異なるアルギン酸ナトリウムを
それぞれ含有させて紡糸し、架橋処理しアルカリ処理し
たセルロース再生繊維を得、それぞれ試料No.12〜
No.16とした。得られた各試料の強度,伸度,吸湿
率,放湿率,吸湿発熱温度を測定し、結果を表4に示し
た。
ン酸ナトリウムの分子量が低い試料No.12は架橋処
理し、アルカリ処理をしても吸湿率があまり向上せず、
また強度が大きく低下している。これは添加したアルギ
ン酸ナトリウムが紡糸時に凝固浴中に溶出してしまうた
めと考えられる。これに対してアルギン酸ナトリウムの
分子量が20,000〜200,000である本発明の
試料No.13〜No.16は、吸湿率が向上し、優れ
た吸湿発熱温度が認められ、強度低下も実用上問題とな
らない程度である。
ンビスコース溶液(セルロース9.0%、全アルカリ
6.0%、全硫黄2.5%)にアルギン酸ナトリウム
(和光純薬工業(株)製、分子量約60,000)を該
ビスコース溶液のセルロースに対して10重量%となる
ように添加し、均一に溶解後直ちに、0.09mm×1
00Hのノズルを使用し、紡糸速度55m/分で、硫酸
110g/L、硫酸ナトリウム30g/L、硫酸亜鉛1
5g/L、温度50℃の紡糸浴中に紡糸した。通常の二
浴緊張紡糸法により延伸し、通常の精練乾燥処理を行い
およそ3.33デシテックスのアルギン酸を含有したレ
ーヨンのセルロース再生繊維約500gを糸切れするこ
となく製造した。ここで約50gの試料を採取し、比較
試料4´とした。
リコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)
製、商品名;デナコールEX−810)と2重量%の商
品名;スミテックスアクセラレータX−120(住友化
学工業(株)製)を含む溶液に30分間浸漬し、130
℃にて15分間処理して架橋処理を行った。次いで、架
橋処理した繊維及び比較試料4´をそれぞれ5重量%の
水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後に充分水
洗し、乾燥してアルギン酸ナトリウムを含有したレーヨ
ンのセルロース再生繊維を得、それぞれ試料No.17
及び比較試料4とした。また、アルギン酸ナトリウムを
添加しない以外は上述と同様な方法でセルロース再生繊
維を製造し、比較試料3とした。得られた各試料の強
度,伸度,吸湿率,放湿率,吸湿発熱温度を測定し、結
果を表5に示した。
ノジックのセルロース再生繊維に変えてレーヨンのセル
ロース再生繊維であっても優れた吸湿発熱性が認められ
た。すなわち、比較試料4はアルギン酸を含有させて紡
糸したが架橋処理をしていないため、アルカリ条件下に
曝した後ではアルギン酸が溶出してしまい、吸湿発熱温
度が通常レーヨンである比較試料3と同程度であった。
アルギン酸を含有させた後架橋処理をしているため、ア
ルギン酸が溶出してしまうことがなく、さらにアルカリ
処理によりアルギン酸のカルボキシル基をナトリウム塩
型としているため、優れた吸湿発熱性を示している。吸
湿発熱温度としても、本発明の試料No.17は、羊毛
の吸湿発熱温度9℃と同程度の性能が得られている。
再生繊維は、カルボキシル基を有する酸性高分子を通常
のセルロース再生繊維の製造に用いられるビスコース溶
液の溶媒に溶解させ、液状にして紡糸原液に含有させる
ため、添加量を高めても紡糸時の紡調を悪化させにく
く、紡糸した後に得られた繊維を架橋し、アルカリ処理
しているため、カルボキシル基を有する酸性高分子の塩
を一様に繊維内に混在させた改質セルロース再生繊維で
ある。本発明の改質セルロース再生繊維は、対アルカリ
性に優れ、強度、伸度等の基本的な繊維物性を損なうこ
となく、優れた吸湿性と吸湿発熱性を具備した改質セル
ロース繊維である。
Claims (4)
- 【請求項1】 セルロース再生繊維中にカルボキシル基
を有する酸性高分子を含有させ、架橋後アルカリ処理し
て得られる吸湿発熱性を有することを特徴とする改質セ
ルロース再生繊維。 - 【請求項2】 カルボキシル基を有する酸性高分子の含
有量が、得られる改質セルロース再生繊維の全体に対し
て3〜25重量%であることを特徴とする請求項1に記
載の改質セルロース再生繊維。 - 【請求項3】 カルボキシル基を有する酸性高分子が、
水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、かつセルロースビス
コース溶液の凝固再生浴中で凝固するものであることを
特徴とする請求項1又は請求項2に記載の改質セルロー
ス再生繊維。 - 【請求項4】 カルボキシル基を有する酸性高分子を含
有させ、架橋後アルカリ処理して得られる改質セルロー
ス再生繊維の吸湿発熱温度が7.5℃〜11.5℃であ
ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに
記載の改質セルロース再生繊維。
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JP36672299A JP3893530B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 改質セルロース再生繊維 |
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