JP2001164419A - 改質セルロース再生繊維の製造方法 - Google Patents

改質セルロース再生繊維の製造方法

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JP2001164419A
JP2001164419A JP35266999A JP35266999A JP2001164419A JP 2001164419 A JP2001164419 A JP 2001164419A JP 35266999 A JP35266999 A JP 35266999A JP 35266999 A JP35266999 A JP 35266999A JP 2001164419 A JP2001164419 A JP 2001164419A
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Mitsunori Itoyama
糸山  光紀
Masaki Mihashi
正樹 三橋
Hiroaki Yabe
博昭 谷邊
Kikuo Kakizaki
喜久男 柿崎
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Fuji Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロース再生繊維の水に対する膨潤性を軽
減し、且つ風合いに優れた改質セルロース再生繊維の製
造方法を提供する。 【解決手段】 分子中に2個以上の反応性官能基を有す
る架橋剤をセルロースビスコース溶液中に添加した後、
そのビスコース溶液を凝固再生浴中に押し出して紡糸
し、次いで加熱処理する改質セルロース再生繊維の製造
方法であり、用いる架橋剤はエポキシ系架橋剤で、架橋
剤の添加量が添加するセルロースビスコース溶液のセル
ロースに対して1〜15重量%である改質セルロース再
生繊維の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース再生繊
維の欠点である水に対する膨潤性を改善した、風合いに
優れた改質セルロース再生繊維の製造方法に関するもの
で、本発明により得られた改質セルロース再生繊維は、
上記性能を備えた糸,編織物,不織布、製紙等として幅
広い分野に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】レーヨン,ポリノジック等のセルロース
再生繊維は綿,麻等の天然繊維と同様にセルロースで構
成される繊維であり、吸湿性や生分解性等が優れてお
り、今や衣料品分野では欠かすことのできない材料とな
っている。しかしながら、セルロース再生繊維特にレー
ヨンは柔らかく、ソフトな風合いでドレープ性に優れる
反面、コシが無く反発弾性にかける欠点がある。また耐
水性が悪く、水中での膨潤度が大きいことや洗濯による
縮みが大きいこと等の欠点があった。
【0003】ポリノジックは、レーヨンが有するこれら
の欠点を大きく改善させるために開発された繊維であ
り、確かに上記レーヨンの欠点がかなり改善されてはい
るが、綿,麻等の天然セルロース繊維に比べると耐水
性、コシといった面では必ずしも満足する性能にはなっ
ていない。これらの欠点を解消し、満足できる性能を得
るために架橋剤で処理することが以前から試みられてい
る。
【0004】例えば、特開昭59−94681号公報に
はセルロース系繊維含有織編物をエポキシ架橋剤で架橋
処理してウオッシュアンドウェアー性、防しわ性を付与
する方法が、また特開平10−237765号公報には
人造セルロース繊維及び布帛をポリエチレングリコール
とエポキシ化合物で処理して、風合いを改善する方法が
開示されている。しかし、セルロース再生繊維を架橋す
る場合、セルロースが繊維を形成した後に架橋剤を作用
させても繊維内部へは架橋剤が到達しにくいため、繊維
の表面近傍のみが架橋されるに留まり、水に対する膨潤
度を抑制するには不十分であり、物性に関してもコシが
出にくい欠点がある。
【0005】また、特開平9−170126号公報には
セルロース繊維糸条をホルムアルデヒドガスに接触させ
た後に熱処理する方法が開示されている。この方法によ
れば、ホルムアルデヒドのような低分子の疎水性架橋剤
を用いているため繊維内部まで架橋が可能であり、膨潤
度の抑制や防しわ性の向上は可能であるが、レーヨンが
持つ吸湿性という優れた性能が低下し、強度の低下を生
じる欠点がある。さらに、膨潤度の抑制や物性改善をよ
り向上させるために用いる架橋剤量を多くすると、繊維
が堅くなりやすく繊維強度の低下や、フィブリル化を起
こしやすくなる欠点がある。
【0006】セルロース再生成型物の成型途中に架橋剤
を反応させ、成型物内部にまで架橋剤を反応させる方法
としては、特開平11−187871号公報にビスコー
ス溶液を凝固浴中に滴下後、完全に凝固再生が完了しな
いうちに取り出して架橋剤と反応させる方法が開示され
ている。この方法は、内部まで架橋剤を反応させるため
に凝固途中で成型物を取り出す必要があり、繊維に応用
する場合スキンコア構造のレーヨンには適応できても、
ポリノジックへの応用は困難である。さらに、凝固過程
の制御は難しく特に繊維のように連続して生産する工程
への応用は実用的ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の欠点を解消してセルロース再生繊維の欠点である水
に対する膨潤性を軽減し、且つ風合いに優れた改質セル
ロース再生繊維の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記欠点を克
服するために鋭意検討を重ねた結果、セルロースビスコ
ース溶液に架橋剤を添加した後に凝固再生浴中に押し出
して紡糸し、次いで熱処理を行うと、セルロースの凝固
再生過程が進行するのと同時に架橋反応がある程度進行
し、続いて行う熱処理により架橋反応が完結するため、
強力,吸湿性の低下や風合いの劣化を伴わずに、セルロ
ース再生繊維の大きな欠点である水に対する膨潤度、繰
り返し洗濯による収縮、コシのなさ等を低減させ得るこ
とを見出し本発明に至った。
【0009】すなわち本発明は、分子中に2個以上の反
応性官能基を有する架橋剤をセルロースビスコース溶液
中に添加した後、そのビスコース溶液を凝固再生浴中に
押し出して紡糸し、次いで加熱処理する改質セルロース
再生繊維の製造方法であり、用いる架橋剤がエポキシ系
架橋剤である改質セルロース再生繊維の製造方法であ
り、また、架橋剤の添加量が添加するセルロースビスコ
ース溶液のセルロースに対して1〜15重量%である改
質セルロース再生繊維の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用する架橋剤は、その
分子中に2個以上の反応性官能基を有するものであり、
その反応性官能基は、グリシジルエーテル基またはクロ
ルヒドリン基であることが好ましい。具体的には、例え
ば、エチレングリコールジグリシジルエーテル,ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテル等のエチレング
リコール系や、プロピレングリコールジグリシジルエー
テル,ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
等のプロピレングリコール系の分子中に2個の官能基を
有する物が挙げられるが、グリセロールグリシジルエー
テル等の3個以上の官能基を持つエポキシ系架橋剤でも
問題なく使用することが可能である。また、エポキシに
環化させる前のクロルヒドリンは、セルロースビスコー
ス溶液に添加すると、セルロースビスコース溶液に高濃
度で含有されている水酸化ナトリウムの作用により、直
ちにエポキシに環化されるため本発明の架橋剤として問
題なく使用することが可能である。
【0011】本発明の改質セルロース再生繊維の製造方
法においては、先ず、予め調製したセルロースビスコー
ス溶液に上述した架橋剤を、セルロースビスコース溶液
中のセルロースに対して1〜15重量%となるように添
加し、均一に混合して紡糸原液を得る。このときの架橋
剤の添加量が1重量%に満たないと得られるセルロース
再生繊維の水に対する膨潤度の抑制等にほとんど効果が
なく、15重量%を越えると強度等の繊維物性が低下す
るため好ましくない。
【0012】架橋剤の添加方法は、架橋剤が水溶性であ
る場合は単にビスコース溶液に添加すればよく、架橋剤
の添加時期は、紡糸直前であつても、添加後、所定時間
攪拌した後に紡糸を行ってもよいが、水溶性が高いエチ
レングリコール系の架橋剤の場合には、凝固再生浴中に
架橋剤が漏出してしまう恐れがあるため注意する必要が
ある。この場合、例えば架橋剤をビスコース溶液に添加
した後ある程度の時間攪拌することにより、凝固再生浴
中への架橋剤の漏出を防ぐことができる。水溶性があま
り高くないプロピレングリコール系の架橋剤の場合に
は、紡糸直前に添加しても凝固浴中への漏出は起こら
ず、好適に使用できる。また、架橋剤の水溶性が低くほ
とんど水に不溶の場合には、そのまま添加し混合しても
良いが、予め界面活性剤などの分散剤で分散させた後
に、この分散液をビスコース溶液に添加することが架橋
剤の反応性の面で好ましい。また、疎水性架橋剤の場合
には、添加するタイミングとしては予めビスコース溶液
に混ぜておいても、紡糸直前に添加して用いても支障は
ない。
【0013】また、本発明においては上述した架橋剤を
添加する以外に、抗菌性、消臭性、染色性改善等の他の
機能に発現させるため、例えば微小粒状再生キトサン、
中空微粒子、アニオン化剤等の微粒子状の練り込み剤を
併用することももちろん可能である。
【0014】上述の如くして得た紡糸原液を紡糸してセ
ルロース再生繊維を製造するが、このときの紡糸条件
は、通常のセルロース再生繊維を得るための条件であれ
ばよく、特に制限されるものではない。
【0015】紡糸して得られたセルロス再生繊維は、続
いて加熱処理を行い、繊維中に含有されている架橋剤を
十分に反応させ、繊維の中心部まで架橋結合を形成させ
て改質セルロース再生繊維を得る。このときの加熱処理
条件としては、架橋剤の反応が十分に進行する条件であ
ればよく、通常は、130℃において15分間処理する
程度の条件で十分である。
【0016】上述の如き本発明の改質セルロース再生繊
維の製造方法によれば、繊維中に含有させた架橋剤を繊
維内部で反応させセルロースを架橋するため、セルロー
ス再生繊維の持つ本来の優れた性質を損うことなく、セ
ルロース再生繊維の欠点である水膨潤性,コシの弱さ等
の物性を改善することが出来る。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこの範囲に限定されるものではない。な
お、部はすべて重量部を示し、膨潤度,洗濯収縮率,強
度,伸度,風合いは、以下の方法より測定した。
【0018】〈膨潤度〉JIS L 1015「化学繊
維ステープル試験方法」7.25(水膨潤度)に従い、
水膨潤度を測定した。 〈洗濯収縮率試験〉JIS L 1042「織物の収縮
率試験方法」に従い、40回洗濯による収縮率を測定し
た。 〈強度,伸度〉JIS L 1015「化学繊維ステー
プル試験方法」に従って、破断時の引張り強さ(cN/
dtex)及びそのときの伸度(%)を測定した。 〈風合い(柔軟性、コシ)〉被験者10人により、本発
明の架橋処理を施したセルロース再生繊維を用いて作製
した編地の風合いを触感判定し、風合いが良いものを1
点、悪いものを0点とし、各人に評価してもらいその総
点から下記の基準に従い風合いを判定した。 8〜10点 ○(良好) 4〜7点 △(やや良い) 0〜3点 ×(悪い)
【0019】〔実施例1〕通常の方法によりポリノジッ
クビスコース溶液(セルロース5.0%、全アルカリ
3.5%、全硫黄3.0%)を調製し、該ビスコース溶
液にポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールEX−
931)を該ビスコース溶液のセルロースに対して0.
5、1、3、5、10、15、20重量%となるように
それぞれ添加し均一に混合して紡糸原液7種を調製し
た。得られた各紡糸原液を0.07mm×500Hのノ
ズルを使用し、紡糸速度30m/分で、硫酸22g/
L、硫酸ナトリウム65g/L、硫酸亜鉛0.5g/L
の温度35℃の紡糸浴中に紡糸した。次いで、硫酸2g
/L、硫酸亜鉛0.05g/Lの温度25℃の浴中で2
倍に延伸し、繊維長38mmとなるように切断し、炭酸
ナトリウム1g/L、硫酸ナトリウム2g/Lの温度6
0℃の浴中で処理を行った後、再度硫酸5g/Lの温度
65℃の浴中で処理した。さらに、通常の精練漂白、水
洗を行った後に130℃で15分間熱処理した。再度水
洗し、乾燥して、およそ1.39デシテックスのポリノ
ジックの改質セルロース再生繊維7種をそれぞれ5kg
ずつ糸切れすることなく製造し、試料No.1〜No.
7とした。また、架橋剤を添加しない以外は上述と同様
に製造した通常のポリノジックのセルロース再生繊維を
比較試料1とした。
【0020】次に、試料No.1〜No.7の各試料を
用いて綿糸番手40番手の紡績糸を製造し、これを用い
て平編の編地を製造し、試料No.8〜No.14とし
た。また、比較試料1を用いて同様に製造した編地を比
較試料2とした。試料No.1〜No.7の各試料及び
比較試料1を用いて、強度,伸度,膨潤度を測定し、結
果を表1に示した。試料No.8〜No.14の各試料
及び比較試料2を用いて、洗濯収縮率,風合いを測定
し、結果を表2に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表1及び表2から明らかなように、架橋剤
の添加量が低い試料No.1は膨潤度が比較試料1の通
常のポリノジック繊維と変わらず、この繊維を用いて編
地とした試料No.8は、比較試料2の編地と比べて洗
濯収縮率,風合いが改善されていない。逆に架橋剤を2
0%添加した試料No.7では強度低下が著しく、また
紡糸時の紡調も悪く実用的では無かった。
【0024】これに対して架橋剤の添加量が1〜15%
の本発明の試料No.2〜No.6は、ほぼ添加した架
橋剤の量に比例して膨潤度が改善されている。また、こ
れらの繊維を用いて編地とした試料No.9〜No.1
3は洗濯収縮率が大幅に改善され、またセルロース再生
繊維の特徴である柔軟性を損うことなく、コシのある風
合いが得られている。
【0025】〔実施例2〕実施例1と同様に調製したポ
リノジックビスコース溶液のセルロースに対して5重量
%となるように、エチレングリコールジグリシジルエー
テル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールE
X−810)、プロピレングリコールジグリシジルエー
テル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールE
X−911)、ポリプロピレングリコールジグリシジル
エーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコー
ルEX−931)、グリセロールポリグリシジルエーテ
ル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコールEX
−314)、ヘキサメチレンビス−(3−クロロ−2−
ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド)
(一方社油脂工業(株)製、商品名;カチオノン−U
K)をそれぞれ添加し、1時間攪拌して、紡糸原液5種
を調製した。実施例1と同様の条件にて紡糸し、通常の
精練漂白、水洗を行った後に130℃で15分間熱処理
し、再度水洗、乾燥して、およそ1.39デシテックス
のポリノジックの改質セルロース再生繊維5種をそれぞ
れ5kgずつ糸切れすることなく製造し、試料No.1
5〜No.19とした。
【0026】さらに、試料No.15〜No.19の各
繊維を用いて実施例1と同様にして編地を製造し、試料
No.20〜No.24とした。試料No.15〜N
o.19の各試料を用いて、強度,伸度,膨潤度を測定
し、結果を表3に示した。試料No.20〜No.24
の各試料を用いて、洗濯収縮率,風合いを測定し、結果
を表4に示した。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】表3及び表4から明らかなように、実施例
1の架橋剤とは異なる架橋剤を用いても、本発明の方法
によれば、強度,伸度を損うことなく膨潤度が向上し、
これらの繊維を用いて編地とした試料においても本来の
柔軟性を損うことなく、洗濯収縮率が大幅に改善され、
コシのある風合いが得られている。
【0030】〔実施例3〕通常の方法により調製したレ
ーヨンビスコース溶液(セルロース9.0%、全アルカ
リ6.0%、全硫黄2.5%)のセルロースに対して、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ナガ
セ化成工業(株)製、商品名;デナコールEX−93
1)が0.5、1、3、5、10、15、20重量%と
なるように添加して均一に混合して紡糸原液7種を調製
した。得られた各紡糸原液を0.09mm×100Hの
ノズルを使用し、紡糸速度55m/分で、硫酸110g
/L、硫酸ナトリウム30g/L、硫酸亜鉛15g/
L、温度50℃の紡糸浴中に紡糸した。通常の二浴緊張
紡糸法により延伸し、38mmに切断した後、通常の精
練,漂白処理を行い水洗を行った後に130℃で15分
間熱処理を行った。その後再度水洗し、乾燥して、およ
そ3.33デシテックスのレーヨンの改質セルロース再
生繊維7種を糸切れすることなく製造し、各水準ともお
よそ5kgの試料を得、それぞれを試料No.25〜N
o.31とした。また、架橋剤を添加しない以外は同様
にして通常のレーヨンのセルロース再生繊維を製造し、
比較試料3とした。
【0031】続いて、試料No.25〜No.31の各
試料を用いて綿糸番手40番手の紡績糸を製造し、これ
を用いて平編の編地を製造し、試料No.32〜No.
38とした。また、比較試料3を用いて同様に製造した
編地を比較試料4とした。試料No.25〜No.31
の各試料及び比較試料3を用いて、強度,伸度,膨潤度
を測定し、結果を表5に示した。試料No.32〜N
o.38の各試料及び比較試料4を用いて、洗濯収縮
率,風合いを測定し、結果を表6に示した。
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】表5及び表6から明らかなように、架橋剤
の添加量が低い試料No.25は膨潤度が比較試料3の
通常のレーヨン繊維と変わらず、この繊維を用いて編地
とした試料No.32は、比較試料4と比べて洗濯収縮
率,風合いが改善されていない。逆に架橋剤を20%添
加した試料No.31では強度低下が著しく、また紡糸
時の紡調も悪く実用的では無かった。
【0035】これに対して架橋剤の添加量が1〜15%
の本発明の試料No.26〜No.30は、ほぼ添加し
た架橋剤の量に比例して膨潤度が改善されており、強度
についても架橋結合の形成により若干増加する傾向にあ
る。また、これらの繊維を用いて編地とした試料No.
33〜No.37は洗濯収縮率が大幅に改善され、また
セルロース再生繊維の特徴である柔軟性を損うことな
く、コシのある風合いが得られている。
【0036】〔実施例4〕脱アセチル化度82%、平均
分子量42,000のキトサンを酢酸水溶液に溶解させ
た後、アルカリ性溶液中で粒状に凝固再生させ、充分水
洗した後に粉砕して180℃の高温雰囲気中に噴霧乾燥
して、粒子径が10μm以下の微小粒状再生キトサンを
調製した。実施例1と同様に調製したポリノジックビス
コース溶液に先に調製した微小粒状再生キトサンをビス
コース溶液のセルロースに対して1重量%となるように
添加し、さらに、ポリプロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品名;デナコ
ールEX−931)をビスコース溶液中のセルロースに
対して5重量%となるように添加し、1時間攪拌して紡
糸原液を調製した。実施例1と同様の条件にて紡糸し、
通常の精練漂白、水洗を行った後に130℃で15分間
熱処理し、再度水洗,乾燥して、およそ1.39デシテ
ックスのポリノシックの改質セルロース再生繊維5kg
を糸切れすることなく製造し、試料No.39とした。
この繊維を用いて実施例1と同様にして編地を製造し、
試料No.40とした。試料No.39を用いて、強
度,伸度,膨潤度を測定し、結果を表7に示した。試料
No.40を用いて、洗濯収縮率,風合いを測定し、結
果を表8に示した。
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】表7及び表8から明らかなように、本発明
の製造方法により改質セルロース再生繊維を製造すると
きにセルロースビスコース溶液中に他の添加剤である微
小粒状再生キトサンを添加しても、強度,伸度を損なう
ことなく膨潤度が改善されている。また、この繊維を用
いて編地とした試料No.40は洗濯収縮率が大幅に改
善され、柔軟性を損うことなく、コシのある風合いが得
られている。さらに、試料No.40の編地を用いて、
JIS L 1902(1998)により抗菌性を評価
した結果、十分な抗菌性が認められた。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明の製造方法
は、分子中に2個以上の反応性官能基を有する架橋剤を
紡糸原液中に添加して紡糸し、紡糸工程の進行とともに
繊維の内部から表面まで一様に架橋反応を進行させ、加
熱処理により架橋反応を完結させるものである。この方
法により得られる改質セルロース再生繊維は、セルロー
ス再生繊維が本来有している高い吸湿性や柔軟性を損う
ことなく、セルロース再生繊維の欠点であるコシのなさ
を改善し、耐水性に優れたものであり、セルロース再生
繊維の利用が可能な種々の分野への展開が期待できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に2個以上の反応性官能基を有す
    る架橋剤をセルロースビスコース溶液に添加混合した
    後、該ビスコース溶液を凝固再生浴中に押し出して紡糸
    し、続いて加熱処理することを特徴とする改質セルロー
    ス再生繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記架橋剤がグリシジルエーテル基また
    はクロルヒドリン基を有するエポキシ系架橋剤であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の改質セルロース再生繊
    維の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記架橋剤の添加量が添加するセルロー
    スビスコース溶液中のセルロースに対して1〜15重量
    %であることを特徴とする請求項1または2に記載の改
    質セルロース再生繊維の製造方法。
JP35266999A 1999-12-13 1999-12-13 改質セルロース再生繊維の製造方法 Pending JP2001164419A (ja)

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