JP3893188B2 - 計量水設定方法及び計量水設定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は計量水設定方法及び計量水設定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート二次製品を製造する際には、セメント、水、砂、砂利などの混練により生成したコンクリートを、製造すべき製品に応じた形状を有する型枠に充填し、コンクリートが経時変化により所定の強度を呈する状態に固化した後、コンクリートが固化することにより形成されたコンクリート二次製品を型枠から取り出している。
【0003】
コンクリート二次製品を効率よく生産するためには、型枠に充填されるコンクリートの早期硬化を図って型枠の利用効率を高め、単一の型枠における単位期間あたりのコンクリート二次製品の生産数を増加させる必要がある。
【0004】
そこで、ミキサの混練槽に混練物に対する蒸気送給手段を設け、セメント、水、砂の混練により生成されるモルタルに温度が150〜160℃の過熱蒸気を送給することによって、モルタル、砂利の混練により生成されるコンクリートの温度を40〜50℃程度に昇温し、コンクリートの硬化を促進するホットコンクリートミキシングが実施されている。
【0005】
このようなホットコンクリートミキシングでは、コンクリートの種々の配合比のそれぞれについて、モルタルに送給すべき蒸気量、モルタルに送給すべき蒸気及びスランプ調整用の補正水を配合によって定まる配合水から差し引いた計量水の重量、補正水の重量を記載した配合表が、モルタルに送給すべき蒸気の重量ごとに段階的に予め作成されている。
【0006】
なお、補正水には、配合水から該配合水の約10%程度を確保するようにしている。
【0007】
コンクリートの生成にあたっては、その日の外気温度、実績などに基づき、ミキサの運転者がモルタルへ供給すべき蒸気量を想定して配合表を選択し、この選択した配合表により蒸気量、計量水の重量を決定することにより、モルタルに送給されるべき蒸気量を増減させても、生成されるコンクリートが所定の配合比を保つようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンクリートの種々の配合比のそれぞれについて、モルタルへ送給すべき種々の蒸気量に対応するように、多数の配合表を作成することは容易ではなく、配合表が作成されていない配合比のコンクリートを生成する際には、その配合比に応じた配合表を新たに作成しなければならない。
【0009】
また、多数の配合表の中から想定した蒸気の重量に応じたものを選択するのは煩わしく、配合表の選択を誤ることも懸念される。
【0010】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、ホットコンクリートミキシングにおける計量水重量を容易に設定できるようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載した計量水設定方法では、各配合材料をミキサにより混練し且つ混練中の配合材料に蒸気を送給して所定の配合比のコンクリートを生成する際に、コンクリートの練り上がり目標温度と外気温度と各配合材料の重量及び比熱とから、配合材料の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度に昇温するために必要な付加熱量を求め、該付加熱量と混練される配合材料に送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量とから、ミキサに送給すべき蒸気量を求め、該蒸気量と配合比及び混練量から定まる配合水重量、補正水重量とに基づき混練開始時にミキサへ供給すべき計量水重量を求める。
【0012】
更に、本発明の請求項2に記載した計量水設定装置では、コンクリートの練り上がり目標温度に応じた目標温度信号を出力する目標温度設定器と、外気温度に応じた外気温度信号を出力する外気温度設定器と、配合比及び混練量に基づき各配合材料の重量に応じた重量信号を出力する重量演算器と、前記の目標温度信号、外気温度信号、重量信号及び各配合材料の比熱に基づき配合材料の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度に昇温するために必要な付加熱量を求める付加熱量演算器と、該付加熱量演算器から出力される付加熱量信号並びにミキサにより混練される配合材料に送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量に基づきミキサへ送給すべき蒸気量を求める蒸気量演算器と、該蒸気量演算器より出力される蒸気量信号並びに重量演算器より出力される配合水及び補正水の重量信号から混練開始時にミキサへ供給すべき計量水重量を求める計量水演算器とを備えている。
【0013】
本発明の請求項1に記載した計量水設定方法においては、配合材料の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度に昇温するために必要な付加熱量を、練り上がり目標温度と外気温度と配合材料の重量及び各材料の比熱とから求め、ミキサに送給すべき蒸気量を、付加熱量と混練されるモルタルに送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量とから求め、混練開始時にミキサへ供給すべき計量水重量を、蒸気量と配合比及び混練量から定まる配合水重量、補正水重量とに基づき求める。
【0014】
更に、本発明の請求項2に記載した計量水設定装置においては、付加熱量演算器によって、練り上がり目標温度と外気温度と配合材料の重量及び各材料の比熱とから、配合材料の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度に昇温するために必要な付加熱量を算出し、蒸気量演算器によって、付加熱量と混練されるモルタルに送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量とからミキサに送給すべき蒸気量を算出し、計量水演算器によって、蒸気量と配合比及び混練量から定まる配合水重量及び補正水重量とに基づき混練開始時にミキサへ供給すべき計量水重量を算出する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の計量水設定装置の実施の形態の一例を示すもので、この計量水設定装置は、設定部1と演算部2とを備えている。
【0017】
設定部1は、目標温度設定器4、外気温度設定器5、配合比混練量設定器6、蒸気熱量設定器7を有している。
【0018】
目標温度設定器4は、手動操作により設定されるコンクリートの練り上がり目標温度t1に応じた目標温度信号8を出力するように構成されている。
【0019】
外気温度設定器5は、手動操作により入力される外気温度tc、あるいは温度検出器(図示せず)が検出した外気温度tcに応じた外気温度信号9を出力するように構成されている。
【0020】
配合比混練量設定器6は、手動操作により選択されるコンクリートの配合比及び混練量に応じた配合比混練量信号10を出力するように構成されている。
【0021】
蒸気熱量設定器7は、手動操作により設定される蒸気の単位重量あたりの熱量Qg(kcal/kg)に応じた蒸気熱量信号11を出力するように構成されている。
【0022】
演算部2は、重量演算器12、付加熱量演算器13、蒸気量演算器14、計量水演算器15を有している。
【0023】
重量演算器12は、前記の配合比混練量設定器6からの配合比混練量信号10に基づき、配合材料のそれぞれの重量(kg)、すなわち、セメント重量C、配合水重量W、補正水重量W’、砂重量(細骨材重量)S、砂利重量(粗骨材重量)Gを算出し、これらの重量に応じた重量信号16を出力するように構成されている。
【0024】
付加熱量演算器13は、前記の目標温度設定器4からの目標温度信号8、外気温度設定器5からの外気温度信号9、重量演算器12からの重量信号16、予め付加熱量演算器13に入力設定されているセメント、水、砂(細骨材)、砂利(粗骨材)の比熱(kcal/kg℃)に基づき、下記の数式1の関係により、外気温度tcと略等しく温度を呈すると仮定したセメント、水、砂、砂利の混練によって生成されるコンクリートを、練り上がり目標温度t1に昇温するために必要な付加熱量Q1を算出し、該付加熱量Q1に応じた付加熱量信号17を出力するように構成されている。
【0025】
[数1]
Q1={(C+S+G)×0.2+W×1.0}×(t1−tc)
【0036】
なお、上記の数式では、セメント、砂、砂利の比熱を0.2kcal/kg℃、水の比熱を1.0kcal/kg℃としている。
【0027】
蒸気量演算器14は、前記の蒸気熱量設定器7からの蒸気熱量信号11、付加熱量演算器13からの付加熱量信号17に基づき、下記の数式2の関係により、ミキサ18へ送給すべき蒸気量(重量)Gwを算出し、該蒸気量Gwに応じた蒸気量信号19を出力するように構成されている。
【0028】
[数2]
Gw=Q1/Qg
【0029】
計量水演算器15は、前記の重量演算器12からの配合水及び補正水の重量信号16、蒸気量演算器14からの蒸気量信号19に基づき、下記の数式3の関係により混練開始時にミキサ18へ供給すべき計量水重量Waを算出し、該計量水重量Waに応じた計量水重量信号20をバッチャプラント操作盤3に対して出力するように構成されている。
【0030】
[数3]
Wa=W−(Gw+W’)
【0031】
バッチャプラント操作盤3は、蒸気量演算器14からの蒸気量信号19、計量水演算器15からの計量水重量信号20、ミキサ18に対して供給すべき水を計量する水計量器25の重量検出器(ロードセル)26からの計量信号27に基づき、水貯留槽28から水計量器25への計量水管路29に設けられた水計量弁(遠隔操作弁)30を開閉する弁開閉信号31、水計量器25からミキサ18への供給水管路32に設けられた水供給弁(遠隔操作弁)33を開閉する弁開閉信号34、蒸気発生源(図示せず)からミキサ18への供給蒸気管路35に設けられた蒸気供給弁(遠隔操作弁)36を開閉する弁開閉信号37を出力するように構成されている。
【0032】
以下、図1に示す計量水設定装置の作動を説明する。
【0033】
コンクリートを生成させる際には、配合比混練量設定器6においてコンクリートの配合比及び混練量を選択すると、配合比混練量設定器6からの配合比混練量信号10に基づくセメント重量C、配合水重量W、補正水重量W’、砂重量(細骨材重量)S、砂利重量(粗骨材重量)Gが、重量演算器12において算出され、該重量演算器12から付加熱量演算器13、計量水演算器15のそれぞれに対して重量信号16が出力される。
【0034】
目標温度設定器4においてコンクリートの練り上がり目標温度t1を設定し且つ外気温度設定器5において外気温度tcを入力すると、目標温度設定器4からの目標温度信号8、外気温度設定器5からの外気温度信号9、重量演算器12からの重量信号16、予め付加熱量演算器13に入力設定されている配合材料の比熱に基づく付加熱量Q1が、付加熱量演算器13によって算出され、該付加熱量演算器13から蒸気量演算器14に対して付加熱量信号17が出力される。
【0035】
蒸気熱量設定器7においてミキサ18へ供給される蒸気の単位重量あたりの熱量Qgを設定すると、蒸気熱量設定器7からの蒸気熱量信号11、付加熱量演算器13からの付加熱量信号17に基づく蒸気量Gwが、蒸気量演算器14によって算出され、該蒸気量演算器14から計量水演算器15、バッチャプラント操作盤3のそれぞれに対して蒸気量信号19が出力される。
【0036】
また、計量水演算器15により、混練開始時にミキサ18へ供給すべき計量水重量Waが、重量演算器12からの重量信号16、蒸気量演算器14からの蒸気量信号19に基づいて算出され、計量水重量Waに応じた計量水重量信号20が計量水演算器15からバッチャプラント操作盤3に対して出力される。
【0037】
バッチャプラント操作盤3に、上述した蒸気量演算器14からの蒸気量信号19、計量水演算器15からの計量水重量信号20が入力されると、供給水管路32の水供給弁33を閉じる弁開閉信号34及び計量水管路29の水計量弁30を開く弁開閉信号31がバッチャプラント操作盤3から出力され、水貯留槽28から計量水管路29を経て水計量器25へ水が流入する。
【0038】
一方、バッチャプラント操作盤3においては、前記の計量水重量信号20と水計量器25の重量検出器(ロードセル)26からの計量信号27が対比され、前記の計量水重量Waに応じた重量の水が水計量器25に充填された時点で、水計量弁30を閉じる弁開閉信号31がバッチャプラント操作盤3から出力され、配合比及び混練量によって定まる配合水からミキサ18に供給すべき蒸気とスランプ調整用の補正水とを差し引いた計量水が水計量器25に貯留された状態になる。
【0039】
次いで、水供給弁33を開く弁開閉信号34がバッチャプラント操作盤3から出力され、計量水重量Waに応じた計量水がミキサ18へ流入する。
【0040】
このミキサ18への計量水の流入に合せて、前記のセメント重量C、砂重量Sに応じた重量のセメント、砂をミキサ18へ投入し、該ミキサ18により計量水、セメント、砂を混練してモルタルを生成させる。
【0041】
所定時間が経過すると、蒸気供給弁36を開く弁開閉信号37がバッチャプラント操作盤3から一定時間出力され、蒸気発生源(図示せず)から供給蒸気管路35を経てミキサ18に前記の蒸気量Gwに応じた蒸気が流入する。
【0042】
このミキサ18への蒸気の流入に合せて、前記の砂利重量Gに応じた砂利をミキサ18に投入し、該ミキサ18によりモルタル、蒸気、砂利を混練してコンクリートを生成させる。
【0043】
更に、生成されたコンクリートのスランプ調整にあたっては、手動操作にてバッチャプラント操作盤3から水計量弁30を開く弁開閉信号31、水供給弁33を開く弁開閉信号34を出力させ、スランプ調整用の補正水をミキサ18へ供給する。
【0044】
また、バッチャプラント操作盤3が補正水自動添加機能を具備している場合には、バッチャプラント操作盤3の手動操作が行われなくても、自動的に補正水がミキサ18へ供給されることになる。
【0045】
このように、図1に示す計量水設定装置においては、練り上がり目標温度t1と外気温度tcとセメント重量C、配合水重量W、砂重量S、砂利重量G及び各材料の比熱とから、セメント、配合水、砂、砂利の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度t1に昇温するために必要な付加熱量Q1を算出し、付加熱量Q1とミキサ18により混練されるモルタルに送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量Qgとから、ミキサ18に送給すべき蒸気量Gwを算出し、該蒸気量Gwと配合比及び混練量から定まる配合水重量W及び補正水重量W’とから混練開始時にミキサ18へ供給すべき計量水重量Waを算出するので、生成すべきコンクリートの配合比が変更されても計量水重量Waを容易に設定することができ、よって、生成すべきコンクリートを所定の配合比に保ちつつ、コンクリートを略目標練り上がり温度t1に昇温することができる。
【0046】
なお、本発明の計量水設定方法及び計量水設定装置は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、配合比混練量設定器及び重量演算器をバッチャプラント操作盤に含めた構成とすること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の計量水設定方法及び計量水設定装置では、配合材料の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度に昇温するために必要な付加熱量を、練り上がり目標温度と外気温度と配合材料の重量及び各材料の比熱とから求め、ミキサに送給すべき蒸気量を、付加熱量と混練されるモルタルに送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量とから求め、混練開始時にミキサへ供給すべき計量水重量を、蒸気量と配合比及び混練量から定まる配合水重量、補正水重量とに基づき求めるので、生成すべきコンクリートの配合比が変更されても計量水重量を容易に設定することができ、よって、生成すべきコンクリートを所定の配合比に保ちつつ、コンクリートを略目標練り上がり温度に昇温することができる、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の計量水設定装置の実施の形態の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
4 目標温度設定器
5 外気温度設定器
8 目標温度信号
9 外気温度信号
12 重量演算器
13 付加熱量演算器
14 蒸気量演算器
15 計量水演算器
16 重量信号
17 付加熱量信号
18 ミキサ
19 蒸気量信号
C セメント重量
G 砂利重量
Gw 蒸気量
Q1 付加熱量
Qg 蒸気の単位重量あたりの熱量
S 砂重量
Wa 計量水重量
W’ 補正水重量
W 配合水重量
t1 コンクリートの練り上がり目標温度
tc 外気温度
Claims (2)
- 各配合材料をミキサにより混練し且つ混練中の配合材料に蒸気を送給して所定の配合比のコンクリートを生成する際に、コンクリートの練り上がり目標温度と外気温度と各配合材料の重量及び比熱とから、配合材料の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度に昇温するために必要な付加熱量を求め、該付加熱量と混練される配合材料に送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量とから、ミキサに送給すべき蒸気量を求め、該蒸気量と配合比及び混練量から定まる配合水重量、補正水重量とに基づき混練開始時にミキサへ供給すべき計量水重量を求めることを特徴とする計量水設定方法。
- コンクリートの練り上がり目標温度に応じた目標温度信号を出力する目標温度設定器と、外気温度に応じた外気温度信号を出力する外気温度設定器と、配合比及び混練量に基づき各配合材料の重量に応じた重量信号を出力する重量演算器と、前記の目標温度信号、外気温度信号、重量信号及び各配合材料の比熱に基づき配合材料の混練によって生成されるコンクリートを練り上がり目標温度に昇温するために必要な付加熱量を求める付加熱量演算器と、該付加熱量演算器から出力される付加熱量信号並びにミキサにより混練される配合材料に送給すべき蒸気の単位重量あたりの熱量に基づきミキサへ送給すべき蒸気量を求める蒸気量演算器と、該蒸気量演算器より出力される蒸気量信号並びに重量演算器より出力される配合水及び補正水の重量信号から混練開始時にミキサへ供給すべき計量水重量を求める計量水演算器とを備えてなることを特徴とする計量水設定装置。
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