JP3890858B2 - 電子写真感光体の製造方法、塗布液組成物、電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体の製造方法、該製造方法に用いられる塗布液組成物、電子写真感光体(以下、単に感光体とも云う)、該電子写真感光体を用いた電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置及び該装置に用いられるプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体は有機光導電性物質を含有する有機感光体が最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いこと等が他の感光体に対して有利な点であるが、唯一の欠点は機械的強度が弱く、多数枚の複写やプリント時に感光体表面の劣化や傷の発生があることである。
【0003】
前記のような要求される様々な特性を満たすため、これまで種々のことが検討されてきた。
【0004】
例えば、機械的耐久性に関しては、有機感光体の表面にビスフェノールZ型ポリカーボネートをバインダー(結着樹脂)として用いることにより、表面の摩耗特性、トナーフィルミング特性が改善されることが報告されている。又、特開平6−118681号では感光体の表面保護層として、コロイダルシリカ含有硬化性シリコン樹脂を用いることが報告されている。
【0005】
しかし、ビスフェノールZ型ポリカーボネートバインダーを用いた感光体では、尚耐摩耗特性が不足しており、十分な耐久性を有していない。一方、コロイダルシリカ含有硬化性シリコン樹脂の表面層では耐摩耗特性は改善されるが、繰り返し使用時の電子写真特性が不十分であり、カブリや画像ボケが発生しやすく、やはりこれも耐久性が不十分である。
【0006】
そこで上記欠点を改善する方法として、本発明者等は特願平11−70308号にて、電荷輸送性能を有する構造単位を有し、かつ架橋構造を有するシロキサン系樹脂含有層を感光体の表面層として提案した。この表面層を有する感光体は耐摩耗特性、及び耐環境特性(温度や湿度に対する静電荷発生特性の変化)は改善される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
電荷輸送性能を有する構造単位を有し、かつ架橋構造を有するシロキサン系樹脂は強度特性及び電気的特性に優れ、従来有機感光体の欠点であった強度特性を大幅に改善できる技術である。
【0008】
例えば特開平9−190004号には、電荷輸送性シリコンハードコートの硬化条件を140℃、4時間、或いは120℃、5時間で乾燥処理を行って膜強度の高い表面層を形成することが開示され、又特開平10−83094号には、110℃、4時間で同様に乾燥処理を行うことが、更には特開平10−251277号では、室温で乾燥処理を行うことが開示されている。しかしながら電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物(以下、反応性基を有する電荷輸送性化合物ともいう)と有機ケイ素化合物を反応させ電荷輸送性能を有する構造単位を有し、かつ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を作製する反応条件は前記従来の硬化条件では十分な樹脂層強度特性及び高湿環境での画像特性が得られないという問題が見出された。
【0009】
本発明者等は前記問題を解決するために種々の検討を重ねた結果、有機ケイ素化合物が十分な縮合反応が進行する環境で反応を行うことが重要であることが判明した。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は反応性基を有する電荷輸送性化合物とシロキサン基を有する有機ケイ素化合物を反応させ、前記シロキサン系樹脂を含有する樹脂層を作製するに際し、前記シロキサン系樹脂の架橋反応を十分に行い、前記樹脂層を有する感光体の強度特性及び静電気的特性が優れた電子写真感光体の製造方法、該製造方法に用いられる塗布液組成物、電子写真感光体(以下、単に感光体とも云う)、該電子写真感光体を用いた電子写真画像形成方法、電子写真画像形成装置及び該装置に用いられるプロセスカートリッジの提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成のいずれかをとることにより達成される。
【0012】
1.導電性支持体上の感光性層上に樹脂層を有する電子写真感光体の製造方法において、前記樹脂層を形成するに際し、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物或いはその縮合物の少なくとも1つと、水酸基を有する電荷輸送性化合物、及び該水酸基を有する電荷輸送性化合物に対して0.01重量%以上20重量%以下の金属キレートを混合し塗布液組成物となし塗布し、乾燥して架橋構造を有するシロキサン系樹脂層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【0013】
2.前記塗布液組成物が水酸基を有する電荷輸送性化合物に対して0.1重量%以上10重量%以下の金属キレートを含有することを特徴とする前記1記載の電子写真感光体の製造方法。
【0014】
3.前記水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物が下記一般式(1)で表される化合物若しくはこれらの加水分解生成物であることを特徴とする前記1又は2記載の電子写真感光体の製造方法。
一般式(1) (R)n−Si−(X)4-n
(Rは式中のケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
4.前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(1)′で表される化合物であることを特徴とする前記3記載の電子写真感光体の製造方法。
一般式(1)′ RnSi(OR’)4-n
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アリール基、ビニル基、アミノ基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロオキシプロピル基、CmF2m+1C2H4−を表す。R’は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。mは正の整数を表す。)
【0015】
5.前記有機ケイ素化合物が下記一般式(2)及び(3)で表される化合物若しくはこれらの加水分解生成物であって、且つ一般式(2)と一般式(3)の化合物のモル比M2/M3が0.1以上10以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
一般式(2) RaSi(OR’)3
一般式(3) RaRbSi(OR’)2
(式中、Ra、Rbは炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アリール基、ビニル基、アミノ基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロオキシプロピル基、CmF2m+1C2H4−を表す。R’は炭素数1〜3のアルキル基を表す。mは正の整数を表す。)
【0016】
6.前記水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の少なくとも一部がγ−グリシドキシプロピル基を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
【0017】
7.前記金属キレートがアルミニウムキレートであることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
【0018】
8.前記金属キレートがチタンキレートであることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
【0020】
9.前記塗布液組成物がコロイダルシリカを含有することを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
【0021】
10.前記水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物及びその縮合物の少なくとも1つが水酸基或いは加水分解性基を有するジアルキルシラン、或いはその縮合物であることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
【0022】
11.前記塗布液組成物が酸化防止剤を含有することを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
【0023】
12.導電性支持体上の感光性層上に樹脂層を形成する電子写真感光体の製造に用いられる塗布液組成物が水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物或いはその縮合物の少なくとも1つと水酸基を有する電荷輸送性化合物、及び該水酸基を有する電荷輸送性化合物に対して0.01重量%以上20重量%以下の金属キレートを含有することを特徴とする塗布液組成物。
【0024】
13.前記1〜11のいずれか1項に記載の製造方法により得られたことを特徴とする電子写真感光体。
【0025】
14.前記電子写真感光体の樹脂層が表面層であることを特徴とする前記13記載の電子写真感光体。
【0026】
15.前記13又は14に記載の電子写真感光体を用い、少なくとも帯電、像露光、現像、クリーニングの工程を有し、反転現像法によって現像を行い画像形成することを特徴とする画像形成方法。
【0027】
16.前記13又は14に記載の電子写真感光体を用い、少なくとも帯電、像露光、現像、クリーニングの工程を有し、反転現像法によって現像を行う工程を経て画像形成することを特徴とする画像形成装置。
【0028】
17.電子写真感光体を用い、少なくとも帯電、像露光、現像、クリーニングの手段を有する電子写真画像形成装置に使用するプロセスカートリッジが前記13又は14に記載の電子写真感光体と帯電器、像露光器、現像器、クリーニング器の少なくとも1つとを一体に組み合わせて有しており、且つ前記電子写真画像形成装置に出し入れ自由に設計されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0029】
本発明は、上記問題の解決に当たって、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物或いはその縮合物の少なくとも1つと水酸基を有する電荷輸送性化合物を含有する塗布液組成物中に金属キレートを存在させ、この金属キレートの存在下で塗布膜の硬化反応を行うことにより、水酸基を有する電荷輸送性化合物の分解を抑制するとともに該塗布液組成物より得られるシロキサン樹脂層の十分な架橋条件を確保できるとの知見のもとなされたものであって、前記塗布液組成物から形成された樹脂塗布膜中に金属キレート化合物を存在させることにより、前記樹脂塗布膜の乾燥硬化反応を促進させ、強度特性及び電気的特性に優れるシロキサン系樹脂層を有する電子写真感光体が得られることを見出し本発明に至ったものである。
【0030】
以下本発明を詳細に説明する。
【0031】
〔1〕電子写真感光体の製造方法、塗布液組成物、及び電子写真感光体
本発明は導電性支持体上の感光性層上に樹脂層を有する電子写真感光体の製造方法において、該樹脂層の形成は水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物或いはその縮合物の少なくとも1つと水酸基を有する電荷輸送性化合物、及び該水酸基を有する電荷輸送性化合物に対して0.01重量%以上20重量%以下の金属キレートを含有する塗布液組成物を塗布、乾燥することにより架橋構造を有するシロキサン系樹脂層を形成することによって達成される。
【0032】
即ち、本発明は前述のシロキサン系樹脂層を形成するに当たり、前記塗布液組成物中に金属キレートを含有させることを特徴としているが、前記金属キレート化合物としては以下のような化合物が代表的に挙げられる。
【0033】
即ち、本発明における金属キレートとは2個以上の配位原子をもつ配位子(多座配位子)が環を形成して中心金属に結合した錯体のことを指す。2座のキレート配位子としてはエチレンジアミン、グリシナトイオン、シュウ酸イオン、アセチルアセトナトイオン、エチルアセトナトイオン、アルキレングリコナトイオンなどが挙げられる。3座以上の配位子としてはジエチレントリアミン、イミノ二酢酸、メチオニン、エチレンジアミン四酢酸のイオンなどが挙げられるが特に限定されるものではない。
【0034】
中心金属は2座以上の配位子が配位可能な金属であれば特に限定されないが、アルミニウム、チタンが特に好ましい。アルミニウム或いはチタンキレート化合物を用いると前記シロキサン系樹脂層の膜強度が高く、高温高湿条件下でも良好な電子写真画像特性が得られる。
【0035】
以下に本発明に用いられる代表的な金属キレート化合物例を記載する。
【0036】
本発明における「水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物及びその縮合物」としては、代表的には下記一般式(1)で表される水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物及びその加水分解縮合物が挙げられる。
【0037】
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4-n
Rは式中のケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。
また、前記一般式(1)において、Xが加水分解性基の場合、特に下記一般式(1)′で表される。
一般式(1)′ RnSi(OR’) 4-n
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アリール基、ビニル基、アミノ基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロオキシプロピル基、C m F 2m+1 C 2 H 4 −を表す。R’は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。mは正の整数を表す。)
【0038】
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。特にはメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基が好ましい。又Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。特には炭素数6以下のアルコキシ基が好ましい。
【0039】
又一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独のもの1種でも良いし、2種以上の有機ケイ素化合物を組み合わせて使用しても良い。但し、架橋構造を形成するためには、少なくともnが0又は1の有機ケイ素化合物を使用することが好ましい。
【0040】
又一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0041】
有機ケイ素化合物としては、上記有機ケイ素化合物を酸性条件下〜塩基性条件下で加水分解してオリゴマー化した加水分解縮合物として用いても良い。
【0042】
上記有機ケイ素化合物又はその加水分解縮合物にはコロイダルシリカを加えても良い。コロイダルシリカの添加は有機ケイ素化合物の加水分解縮合時でも良く、その後で加えても良い。
【0043】
本発明の「水酸基又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物とその縮合物の少なくとも1つと、水酸基を有する電荷輸送性化合物を反応させて得られるシロキサン系樹脂」とは、上記水酸基又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物とその縮合物の少なくとも1つ、と後述する水酸基を有する電荷輸送性化合物とが反応して、架橋構造を有するシロキサン系樹脂構造中に部分構造として電荷輸送性能を有する構造単位を取り込んだシロキサン系樹脂である。
【0044】
水酸基を有する電荷輸送性化合物と水酸基又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の少なくとも1つとの反応は該有機ケイ素化合物の加水分解縮合時、又は加水分解縮合後に水酸基を有する電荷輸送性化合物を添加することにより、効果的に生成させることができる。
【0045】
コロイダルシリカを添加した場合は、該コロイダルシリカ表面の水酸基と有機ケイ素化合物又は水酸基を有する電荷輸送性化合物が反応して該コロイダルシリカを架橋の中心点として樹脂が形成されることもある。
【0046】
水酸基を有する電荷輸送性化合物には下記一般式(2)の化学構造を有する電荷輸送性能物質が代表的であるが、有機ケイ素化合物やコロイダルシリカの水酸基と反応する水酸基を有し、且つ電子或いは正孔のドリフト移動度を有する性質を示す化合物であれば良く、下記化学構造に限定されない。
【0047】
一般式(2)
A−(Z)m
Aは電荷輸送性化合物基、Zは水酸基であり、mは1〜4の整数を表す。
【0048】
式中、Aの電荷輸送性化合物基として、正孔輸送型はオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾリン、ビスイミダゾリジン、スチリル、ヒドラゾン、ベンジジン、ピラゾリン、トリアリールアミン、オキサゾロン、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、キナゾリン、ベンゾフラン、アクリジン、フェナジン等の構造単位を含む化合物基及びこれらの誘導体から派生する化合物基が挙げられる。一方、電子輸送型としては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトタシアノエチレン、テトタシアノキノジメタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、テトラニトロベンゼン、ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4、4′−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオロニリデンジシアノメチレンマロニトリル、ポリニトロ−9−フルオロニリデンジシアノメチレンマロニトリル、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、パーフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸等の構造単位を含む化合物基及びこれらの誘導体から派生する化合物基が挙げられるが、これらの構造に限定されるものではない。
【0050】
前記水酸基を有する電荷輸送性化合物は、通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つ水酸基を有している化合物である。即ち、代表的には前記有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることができるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸送能を有し、且つ水酸基を有している化合物であればよい。
【0051】
X−(R7−OH)m
式中、Xは電荷輸送性能付与基、R7は単結合、置換又は無置換のアルキレン基、アリーレン基を表し、mは整数を表す。
【0052】
その中でも代表的なものとして、以下のものが挙げられる。例えばトリアリールアミン系化合物は、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン構造を電荷輸送性能付与基=Xとして有し、前記Xを構成する炭素原子を介して、又はXから延長されたアルキレン、アリーレン基を介して水酸基を有する化合物が好ましく用いられる。mは1〜5の整数が好ましい。
【0053】
1.トリアリールアミン系化合物
【0054】
【化1】
【0055】
2.ヒドラジン系化合物
【0056】
【化2】
【0057】
3.スチルベン系化合物
【0058】
【化3】
【0059】
4.ベンジジン系化合物
【0060】
【化4】
【0061】
5.ブタジエン系化合物
【0062】
【化5】
【0063】
6.その他の化合物
【0064】
【化6】
【0065】
次に、水酸基を有する電荷輸送性化合物の合成例について述べる。
【0066】
・例示化合物T−1の合成
【0067】
【化7】
【0068】
ステップA
温度計、冷却管、攪拌装置、滴下ロートの付いた四頭コルベンに、化合物(1)49gとオキシ塩化リン184gを入れ加熱溶解した。滴下ロートよりジメチルホルムアミド117gを徐々に滴下し、その後反応液温を85〜95℃に保ち、約15時間攪拌を行った。次に反応液を大過剰の温水に徐々に注いだ後、攪拌しながらゆっくり冷却した。
【0069】
析出した結晶を濾過及び乾燥した後、シリカゲル等により不純物吸着及びアセトニトリルでの再結晶により精製を行って化合物(2)を得た。収量は30gであった。
【0070】
ステップB
化合物(2)30gとエタノール100mlをコルベンに投入し攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム1.9gを徐々に添加した後、液温を40〜60℃に保ち、約2時間攪拌を行った。次に反応液を約300mlの水に徐々にあけ、攪拌して結晶を析出させた。濾過後充分水洗して、乾燥し化合物(3)を得た。収量は30gであった。
【0071】
・例示化合物S−1の合成
【0072】
【化8】
【0073】
ステップA
温度計及び攪拌装置を付けた300mlコルベンに、Cuを30g、K2CO3を60g、化合物(1)8g、化合物(2)100gを投入し、約180℃まで昇温して20時間攪拌した。冷却後濾過し、カラム精製により化合物(3)7gを得た。
【0074】
ステップB
温度計、滴下ロート、アルゴンガス導入装置及び攪拌装置を付けた100mlコルベンをアルゴンガス雰囲気にし、これに化合物(3)7g、トルエン50ml、塩化ホスホリル3gを投入した。室温下で攪拌しながら、DMF2gをゆっくりと滴下し、その後約80℃に昇温して16時間攪拌し、約70℃の温水にあけてから冷却した。これをトルエンにて抽出し、抽出液を水のpHが7になるまで水洗した。硫酸ナトリウムにて乾燥した後に濃縮し、カラム精製により化合物(4)5gを得た。
【0075】
ステップC
アルゴンガス導入装置及び攪拌装置を付けた100mlコルベンにt−BuOK1.0g、DMF60mlを投入し、アルゴンガス雰囲気にした。これに化合物(4)2.0g、化合物(5)2.2gを加え、室温で1時間攪拌した。これを大過剰の水にあけ、トルエンにて抽出し、抽出液を水洗した後、硫酸ナトリウムにて乾燥後、濃縮してからカラム精製を行い化合物(6)2.44gを得た。
【0076】
ステップD
温度計、滴下ロート、アルゴンガス導入装置及び攪拌装置を付けた100mlコルベンにトルエンを投入し、アルゴンガス雰囲気にした。これにn−BuLiのヘキサン溶液(1.72M)15mlを加え、50℃に加温した。これに化合物(6)2.44gをトルエン30ml溶解させた液を滴下し、50℃に保って3時間攪拌した。これを−40℃に冷却した後、エチレンオキサイド8mlを加え、−15℃まで昇温して1時間攪拌した。その後室温まで昇温し、水5mlを加えて、エーテル200mlにて抽出後、抽出液を飽和食塩水で洗浄した。洗浄液がpHになるまで洗浄した後、硫酸ナトリウムにて乾燥、濃縮、カラム精製して化合物(7)1.0gを得た。
【0077】
また、Xがメルカプト基を有する電荷輸送性化合物も本発明に用いることができ、その具体例を下記に例示する。
【0078】
メルカプト基を有する電荷輸送性化合物とは、通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つメルカプト基を有している化合物である。即ち、代表的には硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることができるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸送能を有し、且つメルカプト基を有している化合物であればよい。
【0079】
X−(R8−SH)m
Xは電荷輸送性能付与基、R8は単結合、置換又は無置換のアルキレン、アリーレン基を表し、mは整数を表す。mは1〜5の整数が好ましい。
【0080】
その中でも代表的なものとして、以下のものが挙げられる。
【0081】
【化9】
【0082】
また、アミノ基を有する電荷輸送性化合物も本発明に用いることができ、以下説明する。
【0083】
アミノ基を有する電荷輸送性化合物は、通常用いられる構造の電荷輸送物質で、且つアミノ基を有している化合物である。即ち、代表的には硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物を挙げることができるが、下記構造に限定されるものではなく、電荷輸送能を有し、且つアミノ基を有している化合物であればよい。
【0084】
X−(R9−NR10H)m
Xは電荷輸送性能付与基、R9は単結合、置換、無置換のアルキレン、置換、無置換のアリーレン基、R10は水素原子、置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアリール基、mは整数を表す。mは1〜5の整数が好ましい。
【0085】
その中でも代表的なものとして、以下のものが挙げられる。
【0086】
【化10】
【0087】
アミノ基を有する電荷輸送性化合物の中で、第一級アミン化合物(−NH2)の場合は2個の水素原子が有機珪素化合物と反応し、シロキサン構造に連結しても良い。第2級アミン化合物(−NHR10)の場合は1個の水素原子が有機珪素化合物と反応し、R10はブランチとして残存する基でも良く、架橋反応を起こす基でも良く、電荷輸送物質を含む化合物残基でもよい。
【0088】
また、有機珪素含有基を有する電荷輸送性化合物も本発明に用いることができ、以下説明する。
【0089】
有機珪素含有基を有する電荷輸送性化合物は、以下のような構造の電荷輸送物質である。この化合物は化合物中の珪素原子を介してシロキサン系樹脂中に部分構造として含有される。
【0090】
X−(−Y−Si(R11)3-a(R12)a)n
式中、Xは電荷輸送性能付与基であり、R11は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基を示し、R12は加水分解性基又は水酸基を示し、Yは置換若しくは無置換のアルキレン基、アリーレン基を示す。aは1〜3の整数を示し、nは整数を示す。
【0091】
本発明に於ける「水酸基又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物とその縮合物の少なくとも1つ、及び水酸基を有する電荷輸送性化合物を反応させて得られるシロキサン系樹脂」は予め構造単位にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーに触媒や架橋剤を加えて新たな化学結合を形成させ3次元網目構造を形成することもあり、又加水分解反応とその後の脱水縮合によりシロキサン結合を促進させモノマー、オリゴマー、ポリマーから3次元網目構造を形成することもできる。
【0092】
一般的には、アルコキシシランを有する組成物、又はアルコキシシランとコロイダルシリカを有する組成物の縮合反応により3次元網目構造を形成することができる。
【0093】
3次元網目構造を形成させる触媒としては有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート)、スズ有機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等)、アルミニウム、亜鉛のオクテン酸、ナフテン酸塩、アセチルアセトン錯化合物等が挙げられる。
【0094】
しかしながら、本発明の水酸基を有する電荷輸送性化合物の存在する塗布層を硬化し、3次元架橋構造を形成するためには、特異的に金属キレート化合物が有効であり、他の触媒では充分な架橋構造が得られない。
【0095】
本発明の塗布液組成物にはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。
【0096】
前記酸化防止剤とは、その代表的なものは電子写真感光体中ないしは感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。詳しくは下記の化合物群が挙げられる。
【0097】
(1)ラジカル連鎖禁止剤
・フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系)
・アミン系酸化防止剤(ヒンダードアミン系、ジアリルジアミン系、ジアリルアミン系)
・ハイドロキノン系酸化防止剤
(2)過酸化物分解剤
・硫黄系酸化防止剤(チオエーテル類)
・燐酸系酸化防止剤(亜燐酸エステル類)
上記酸化防止剤のうちでは、(1)のラジカル連鎖禁止剤が良く、特にヒンダードフェノール系或いはヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。又、2種以上のものを併用してもよく、例えば(1)のヒンダードフェノール系酸化防止剤と(2)のチオエーテル類の酸化防止剤との併用も良い。更に、分子中に上記構造単位、例えばヒンダードフェノール構造単位とヒンダードアミン構造単位を含んでいるものでも良い。
【0098】
前記酸化防止剤の中でも特にヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系酸化防止剤が高温高湿時のカブリの発生や画像ボケ防止に特に効果がある。
【0099】
ヒンダードフェノール系或いはヒンダードアミン系酸化防止剤の塗布液組成物中の含有量は、該塗布液組成物を塗布、乾燥して形成されるシロキサン系樹脂層中の含有量が0.01〜10重量%となる量が好ましい。前記樹脂層中の含有量が0.01重量%未満だと高温高湿時のカブリや画像ボケに効果がなく、10重量%より多い含有量では樹脂層中の電荷輸送能の低下がおこり、残留電位が増加しやすくなり、又膜強度の低下が発生する。
【0100】
又、前記酸化防止剤は下層の電荷発生層或いは電荷輸送層、中間層等にも必要により含有させて良い。これらの層への前記酸化防止剤の添加量は各層に対して0.01〜10重量%が好ましい。
【0101】
ここでヒンダードフェノールとはフェノール化合物の水酸基に対しオルト位置に分岐アルキル基を有する化合物類及びその誘導体を云う(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い。)。
【0102】
ヒンダードアミン系とはN原子近傍にかさ高い有機基を有する化合物である。かさ高い有機基としては分岐状アルキル基があり、例えばt−ブチル基が好ましい。例えば下記構造式で示される有機基を有する化合物類が好ましい。
【0103】
又、ヒンダードアミンは、例えば下記構造式で示される有機基を有する化合物類が好ましい。
【0104】
【化11】
【0105】
式中のR13は水素原子又は1価の有機基、R14、R15、R16、R17はアルキル基、R18は水素原子、水酸基又は1価の有機基を示す。
【0106】
ヒンダードフェノール部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118137号(P7〜P14)記載の化合物が挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0107】
ヒンダードアミン部分構造を持つ酸化防止剤としては、例えば特開平1−118138号(P7〜P9)記載の化合物も挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0108】
有機リン化合物としては、例えば、一般式RO−P(OR)−ORで表される化合物で代表的なものとして下記のものがある。尚、ここにおいてRは水素原子、各々置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0109】
有機硫黄系化合物としては、例えば、一般式R−S−Rで表される化合物で代表的なものとして下記のものがある。尚、ここにおいてRは水素原子、各々置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。
【0110】
又、製品化されている酸化防止剤としては以下のような化合物、例えば「イルガノックス1076」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス245」、「イルガノックス1330」、「イルガノックス3114」、「イルガノックス1076」、「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル」以上ヒンダードフェノール系、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS2626」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」以上ヒンダードアミン系が挙げられ、チオエーテル系として「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−D」が挙げられ、ホスファイト系として「マーク2112」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、「マークHP−10」が挙げられる。これらの中で特にヒンダードフェノール、ヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。
【0111】
本発明の電子写真感光体の層構成は、一般に公知の感光体の層構成を採用することができるが、感光層として電荷発生物質と電荷輸送物質とがバインダー樹脂中に分散された単層構成或いは電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層が積層された層構成の上に樹脂層を設けた構成が好ましい。しかし、電荷輸送層を本発明の樹脂層として構成することもできるし、前記樹脂層の上に更に、表面改質層を設けても良い。又必要に応じて導電性支持体と感光層との間に中間層を設けてもよい。
【0112】
本発明のシロキサン系樹脂を含有した層を形成するには、通常溶剤にシロキサン系樹脂組成物を溶解して塗布により形成する。溶剤としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類及びこの誘導体;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が使用される。
【0113】
本発明の樹脂層は樹脂層塗布液を感光層上に塗布・積層した後、該樹脂層塗布液を乾燥する条件として加熱乾燥を行い、硬化処理を兼ねることが好ましい。具体的には例えば低温で乾燥を行って予めシロキサン系樹脂の縮合物を形成し、その上で高温・短時間にて乾燥を行い高密度の架橋の促進を図ることにより反応性基を有する電荷輸送性化合物の分解を抑止すると共に強度な膜物性を有する樹脂層を形成することが好ましい。
【0114】
乾燥、硬化温度条件としては温度、時間等の条件を変えて加熱処理を行うのが好ましく、最初の過程での温度は40〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、又引き続き加熱する過程での温度については80〜140℃、好ましくは90〜130℃である。
【0115】
加熱時間については、最初の過程での時間は1〜60分、好ましくは5〜30分であり、又引き続き加熱する過程での時間については10〜360分、好ましくは20〜120分であるのが好ましい。
【0116】
更に加熱処理を行って硬化反応を促進する場合には、温度は110〜140℃、好ましくは120〜140℃であり、時間は5〜180分、好ましくは10〜120分である。
【0117】
このように、樹脂層塗布液を塗布・積層した後、乾燥の際の硬化過程を複数回設けることにより、最初の硬化段階で有機ケイ素化合物の縮合物が生じ、次の段階で該縮合物の更なる架橋反応により、シロキサン系樹脂を形成する架橋反応が効率良く促進される。従って、反応性基を有する電荷輸送性化合物の分解反応を抑止して架橋反応を促進することが可能となり、電荷輸送性化合物基をシロキサン系樹脂構造中に分解させることなく取り込んだ樹脂が形成でき、膜強度の高い樹脂層が形成される。
【0118】
一方感光体側の場所を固定し加熱温度を変化させる場合、その硬化時間としては硬化を行う環境の温度が変化した後の設定温度に達してから以降の時間が十分にあることが好ましい。
【0119】
温度の変化速度は特に規定されないが、0.1〜30(℃/分)の範囲が好ましい。温度変化が0.1℃より下回ると生産性が低下し、又30℃を越えると急激な温度変化によりクラックや構成物の析出が起こりやすくなる。
【0120】
硬化中の温度の変化幅は±10℃以下であるが、±2℃以下で制御することが好ましい。
【0121】
又本発明における感光層に用いられる電荷輸送物質としては公知のどのようなものでも使用でき、例えばトリアリールアミン化合物、トリアリールアミンスチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0122】
電荷発生物質、電荷輸送物質の分散、溶解の使用される溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンクロライド、1,2−ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類及びこの誘導体;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;ピリジンやジエチルアミン等のアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;その他脂肪酸及びフェノール類;二硫化炭素や燐酸トリエチル等の硫黄、燐化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0123】
本発明における感光層の中で表面以外の感光層には以下の樹脂が使用できる。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0124】
本発明における感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対し50〜600重量部が好ましい。又バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対し10〜100重量部が好ましい。
【0125】
本発明における感光層の膜厚は電荷発生層にて0.01〜10μm、電荷輸送層にて1〜40μmが好ましい。又感光層が単層構成の場合は1〜40μmが好ましい。又樹脂層は0.1〜5μmが好ましい。
【0126】
本発明における感光層を支持する導電性支持体としては、アルミニウム、ニッケルなどの金属板・金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックフィルム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックフィルム・ドラムを使用することができる。
【0127】
本発明における中間層に用いられる材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。又シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂化合物が挙げられる。中間層の膜厚は、0.01〜2μmが好ましい。
【0128】
本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、塗布液をデイップ塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等が用いることできる。特に感光層の表面層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又均一塗布加工を達成するためにスプレー塗布、円形量規制型塗布(円形スライドホッパーがその代表例である)を用いるのが好ましい。尚前記スプレー塗布については特開平3−90250号、同3−269238号にその記載があり、前記円形量規制型塗布については特開昭58−189061号に詳細が記載されている。
【0129】
〔2〕画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ
本発明の電子写真感光体は複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置に適用しえるものであるが、さらには電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用しえるものである。
【0130】
図1は本発明の電子写真感光体を有する画像形成装置の1例を示す断面図である。
【0131】
図1において10は像担持体である感光体(ここではドラム状をなすので、以下感光体ドラムという)であり、感光層を導電性ドラム上に塗布し、その上に本発明のシロキサン系樹脂が塗設され、接地されて時計方向に駆動される。12はスコロトロン帯電器で、感光体ドラム10周面に対し一様な帯電をコロナ放電により与える。この帯電器12による帯電に先立ち、前画像での履歴を除去するのに発光ダイオード等を用いた露光部11による露光を行って感光体周面の除電を行っても良い。
【0132】
感光体ドラムへの一様な帯電の後、像露光器13により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器13は図示しないレーザーダイオードを光源とする。回転するポリゴンミラー131、fθレンズを経て反射ミラー132によって光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0133】
その静電潜像は次いで現像器14により現像される。感光体ドラム10周縁にはイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック等のトナー、キャリアからなる現像剤を内蔵した現像器14が配置されていて、先ず1色の現像がマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ141によって行われる。現像剤は例えばフェライトをコアとしてその回りに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、ポリエステルを主材料にして色に応じた顔料、荷電制御剤、シリカ、酸化チタンを加えたトナーからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段よって、現像スリーブ141上に100〜600μmの厚みに規制されて現像域へと搬送され現像が行われる。この時、通常は感光体ドラム10と現像スリーブ141の間に直流及び交流のバイアスをかけて現像が行われる。
【0134】
カラー画像形成においては、1色目の顕像化が終わった後に2色目の画像形成工程に入り、再びスコロトロン帯電器12による一様な帯電が行われ、2色目の潜像形成が像露光器13により行われる。3、4色目の画像形成も2色目と同様に行われ、感光体ドラム10周面上に4色の顕像が形成される。一方、モノクロの電子写真装置では現像器14は単色トナー1種で構成され、1回の現像で画像形成する。
【0135】
記録紙Pは画像形成の後、転写のタイミングが整った時点で給紙ローラ17の回転作動により転写域へ給紙される。転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム10周面に転写ローラ(転写器)18が圧接され、給紙された記録紙Pを狭着して多色像が一括して転写される。
【0136】
次いで記録紙Pは転写ローラと圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)19によって除電され、感光体ドラム10周面より分離して定着装置20に搬送され、熱ローラ201と圧着ローラ202の加熱、加圧によってトナーを溶着した後、排紙ローラ21を介して装置外へ排出される。尚前記転写ローラ18と分離ブラシ19は記録紙Pの通過後、感光体ドラム10周面より退避して次なるトナー像形成に備える。
【0137】
一方、記録紙Pを分離した後の感光体ドラム10はクリーニング器22のブレード221の圧接及びクリーニングローラー222の作用により残留トナーを除去・清掃して再び露光部11による除電と帯電器12による帯電を受けて次なる画像形成に備える。尚感光体上にトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する場合には、ブレード221はクリーニング後、直ちに感光体ドラム10周面より退避する。
【0138】
尚30は感光体、帯電器、転写器、分離器、クリーニング器を一体化して着脱可能に設定されたプロセスカートリッジである。
【0139】
電子写真画像形成装置としては、上述の感光体と現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱可能な構成にしても良い。又帯電器、現像器、像露光器、転写、分離器、クリーニング器の少なくとも一つを感光体と共に1体に支持してプロセスカートリッジを構成し、装置本体に対して着脱自在な単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段で着脱可能な構成にしても良い。
【0140】
像露光は複写機、プリンターとして使用する場合は原稿からの反射光又は透過光を感光体に照射することと或いはセンサーで原稿を読みとり信号化して、この信号に従ってレーザービームの照射、LEDアレイの駆動、液晶シャッタアレイの駆動を行い、感光体に光を照射することにより行われる。尚ファクシミリのプリンターの場合には像露光器は受信データをプリントするための露光を行うこととなる。
【0141】
又、本発明の電子写真感光体は前記したように硬度の高い表面樹脂層を有することができるので、感光体表面への傷ができにくい。このような特性は感光体の表面傷が筋状、ムラ状に画像上に発生しやすい反転現像のプロセスに対して著しい効果が現れる。
【0142】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0143】
実施例1
下記のごとくして感光体を作製した。
【0144】
直径80mmのドラム状アルミニウム導電性支持体(アルミニウムシリンダー)上に下記の下引き層塗布液を調製し、乾燥膜厚1.0μmとなるように塗布した。
【0145】
〈下引き層〉
チタンキレート化合物(TC−750 松本製薬製) 30g
シランカップリング剤(KBM−503 信越化学社製) 17g
2−プロパノール 150ml
この下引き層上に、下記感光層塗布液を分散調液し塗布した。
【0146】
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0147】
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0148】
〈樹脂層〉
酢酸1重量部を攪拌しながらメチルトリメトキシシラン100重量部に滴下した。この溶液に純水26重量部を加え、一晩攪拌を行った。次にこの溶液にエタノール300重量部を加え、更に室温で150時間攪拌を行った。
【0149】
この溶液にコロイダルシリカ20重量部、ジヒドロキシメチルトリフェニルアミン(T−1)40重量部、ヒンダードアミン(サノールLS2626:三共社製)1重量部、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム0.4重量部を加えて均一に混合した後、この溶液を1−ブタノール30重量部で希釈した。
【0150】
次にこの溶液を乾燥膜厚2μmの樹脂層として塗布して、110℃、80分の加熱硬化を行い、感光体1を作製した。
【0151】
実施例2
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウム0.4重量部の代わりに0.01重量部を加えた他は実施例1と全く同様にして感光体2を作製した。
【0152】
実施例3
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウム0.4重量部の代わりに12.5重量部を加えた他は実施例1と全く同様にして感光体3を作製した。
【0153】
実施例4
実施例1において酸化防止剤を用いない以外は実施例1と同様にして感光体4を作製した。
【0154】
実施例5
実施例1においてコロイダルシリカを用いない以外は実施例1と同様にして感光体5を作製した。
【0155】
実施例6
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウムの代わりにチタンテトラアセチルアセトネートを用いた他は実施例1と全く同様にして感光体6を作製した。
【0156】
実施例7
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウムの代わりに亜鉛アセチルアセトナートを用いた他は実施例1と全く同様にして感光体7を作製した。
【0157】
実施例8
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウムの代わりにビス(2,4−ペンタジオナト)ニッケルを用いた他は実施例1と全く同様にして感光体8を作製した。
【0158】
実施例9
実施例1においてメチルトリメトキシシラン100重量部の代わりにメチルトリメトキシシラン70重量部、ジメトキシジメチルシラン30重量部に代えた他は実施例1と同様にして感光体9を作製した。
【0159】
実施例10
実施例1において樹脂層を次のように変えた他は実施例1と同様にして感光体10を作製した。
感光体10の作製
<樹脂層>
メチルトリメトキシシラン 80重量部
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 20重量部
化合物(T−1) 40重量部
酸化防止剤(サノールLS2626:三共社製) 1重量部
2−プロパノール 300重量部
3%酢酸 20重量部
トリスアセチルアセトナトアルミニウム 0.5重量部
を混合し、樹脂層用の塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層の上に円形量規制型塗布装置により厚さ2μmの樹脂層を形成し、110℃、1時間の加熱硬化を行い、架橋構造を有するシロキサン系樹脂層を形成し、感光体10を作製した。
【0160】
比較例1
実施例1において樹脂層中のジヒドロキシメチルトリフェニルアミン(T−1)を用いない以外は実施例1と全く同様にして感光体11を作製した。
【0161】
比較例2
比較例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウムを用いない以外は比較例1と全く同様にして感光体12を作製した。
【0162】
比較例3
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウム0.4重量部の代わりに0.003重量部を加えた他は実施例1と全く同様にして感光体13を作製した。
【0163】
比較例4
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウム0.4重量部の代わりに25重量部を加えた他は実施例1と全く同様にして感光体14を作製した。
【0164】
比較例5
実施例1において樹脂層中のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウムの代わりにトリ−n−プロポキシアルミニウムを用いた他は実施例1と全く同様にして感光体15を作製した。
【0165】
〈評価〉
1.強度評価
強度評価は上記のように作製した感光体ドラムをHEIDON社製「表面性試験装置」に先端の曲率0.15mmのダイヤモンド針を設置し、引っかき速度1mm/secの速度で移動させ、目視で傷が入り始める最小荷重を測定した。
【0166】
2.電位評価/実写評価
評価は上記のように作製した感光体ドラムをコニカ(株)製デジタル複写機Konica7060(レーザー露光、反転現像プロセス、ブレードクリーニング機構を有する複写機)を改造し、露光量を感光体感度に合わせて調整した評価機に搭載し、初期帯電電位を−650Vに設定し、高温高湿環境(30℃、80%RH)にて5万枚コピーの実写評価を行った。評価は5万枚コピー後の露光部(ΔVL)及び未露光部(ΔVH)の電位変動の測定、及び画素率7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像を用いて、A4紙5万枚の連続コピーの画像評価を行った。1000枚毎に文字画像の鮮鋭性、ハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を評価した。結果を表1に示す。
【0167】
【表1】
【0168】
表1から明らかなように、本発明の塗布液組成物を塗布乾燥してシロキサン系樹脂層を形成した電子写真感光体1〜9は強度特性に優れ、しかも電位変動が少ない上に画像も濃度低下やカブリの発生もなく改善されていることが分かる。しかしながら本発明の構成要件の反応性基を有する電荷輸送性化合物を含まない塗布液組成物や金属キレートの量がはずれているもの、或いは金属キレート以外の金属化合物を用いた塗布液組成物から作製されたシロキサン系樹脂層を形成した電子写真感光体11、12、13、14、15は十分な強度がないものや、電位特性が悪く、しかも画像の濃度低下や画像流れが生じるなど、実用に耐えないことが分かる。
【0169】
【発明の効果】
本発明から明らかなように、有機ケイ素化合物、反応性基を有する電荷輸送性化合物及び該電荷輸送性化合物に対し0.01重量%以上20重量%以下の金属キレートを含有する塗布液組成物を導電性支持体上に塗布、乾燥する事により、十分な強度を有し、高温高湿下の電位変動が少なく、しかも良好な画像が得られる電子写真感光体を製造することができる。又、本発明で製造された電子写真感光体を用いた電子写真画像形成方法、該感光体を画像形成装置に組み込んで画像形成する装置では、非常に良好な画像が得られ、又装置自体の耐久性も向上するなど、実用に適したものであることが容易に伺える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する画像形成装置の1例を示す断面図。
【符号の説明】
10 感光体ドラム(又は感光体)
11 発光ダイオード等を用いた露光部
12 帯電器
13 像露光器
14 現像器
17 給紙ローラ
18 転写ローラ(転写器)
19 分離ブラシ(分離器)
20 定着装置
21 排紙ローラ
22 クリーニング器
30 プロセスカートリッジ
Claims (17)
- 導電性支持体上の感光性層上に樹脂層を有する電子写真感光体の製造方法において、前記樹脂層を形成するに際し、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物或いはその縮合物の少なくとも1つと、水酸基を有する電荷輸送性化合物、及び該水酸基を有する電荷輸送性化合物に対して0.01重量%以上20重量%以下の金属キレートを混合し塗布液組成物となし塗布し、乾燥して架橋構造を有するシロキサン系樹脂層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗布液組成物が水酸基を有する電荷輸送性化合物に対して0.1重量%以上10重量%以下の金属キレートを含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物が下記一般式(1)で表される化合物若しくはこれらの加水分解生成物であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体の製造方法。
一般式(1) (R)n−Si−(X) 4-n
(Rは式中のケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは水酸基又は加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。) - 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(1)′で表される化合物であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体の製造方法。
一般式(1)′ RnSi(OR’)4-n
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アリール基、ビニル基、アミノ基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロオキシプロピル基、CmF2m+1C2H4−を表す。R’は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。mは正の整数を表す。) - 前記有機ケイ素化合物が下記一般式(2)及び(3)で表される化合物若しくはこれらの加水分解生成物であって、且つ一般式(2)と一般式(3)の化合物のモル比M2/M3が0.1以上10以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
一般式(2) RaSi(OR’) 3
一般式(3) RaRbSi(OR’) 2
(式中、Ra、Rbは炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アリール基、ビニル基、アミノ基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロオキシプロピル基、C m F 2m+1 C 2 H 4 −を表す。R’は炭素数1〜3のアルキル基を表す。mは正の整数を表す。) - 前記水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の少なくとも一部がγ−グリシドキシプロピル基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記金属キレートがアルミニウムキレートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記金属キレートがチタンキレートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗布液組成物がコロイダルシリカを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物及びその縮合物の少なくとも1つが水酸基或いは加水分解性基を有するジアルキルシラン、或いはその縮合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗布液組成物が酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体上の感光性層上に樹脂層を形成する電子写真感光体の製造に用いられる塗布液組成物が水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物或いはその縮合物の少なくとも1つと水酸基を有する電荷輸送性化合物、及び該水酸基を有する電荷輸送性化合物に対して0.01重量%以上20重量%以下の金属キレートを含有することを特徴とする塗布液組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法により得られたことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体の樹脂層が表面層であることを特徴とする請求項13記載の電子写真感光体。
- 請求項13又は14に記載の電子写真感光体を用い、少なくとも帯電、像露光、現像、クリーニングの工程を有し、反転現像法によって現像を行い画像形成することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項13又は14に記載の電子写真感光体を用い、少なくとも帯電、像露光、現像、クリーニングの工程を有し、反転現像法によって現像を行う工程を経て画像形成することを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体を用い、少なくとも帯電、像露光、現像、クリーニングの手段を有する電子写真画像形成装置に使用するプロセスカートリッジが請求項13又は14に記載の電子写真感光体と帯電器、像露光器、現像器、クリーニング器の少なくとも1つとを一体に組み合わせて有しており、且つ前記電子写真画像形成装置に出し入れ自由に設計されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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