JP3890562B2 - 転写成形方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型間に転写用フィルムをはさみ込み、転写用フィルム上の図柄を成形と同時に成型品に転写する転写成形方法及び転写成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平1−59095号公報に開示された転写成形装置が知られている。
この転写成形装置は、可動盤に設けた可動金型と固定盤に設けた固定金型と射出ノズルと転写用フィルムと前記可動盤の上部に取付けたフィルム送り出し装置と前記可動盤の下部に取付けたフィルム巻取装置を備え、型開き状態で転写用フィルムを移動して可動金型と固定金型との間に位置させ、型閉じして射出ノズルから溶融樹脂を射出して成形と同時に転写用フィルム上の図柄を成型品に転写する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した転写成形装置による転写成形方法は、型開き状態で転写用フィルムを移動した後に型閉じ状態として転写用フィルムをはさみ、溶融樹脂をキャビティ内に射出して成形と同時に転写用フィルムの図柄を成形品に転写する工程を繰り返して行なう方法である。
このために、型開き状態で転写用フィルムを移動する時などに前述の固定金型、可動金型におけるキャビティを形成する凹部、凸部等の成形部に、空気中に浮遊するゴミや転写用フィルムから剥離した図柄の一部分などの異物が付着することがある。
すなわち、転写用フィルムの図柄の全てを成形品に転写するのではなく、その図柄の一部分を成形品に転写しない場合があり、この場合には図柄の一部分が転写用フィルムから剥離し、固定金型、可動金型の成形部に付着することがある。
【0004】
前述のように、固定金型、可動金型の成形部に異物が付着すると、その異物のために図柄を転写した製品の表面に凸凹やゆがみ等が発生して不良品となってしまい、正しい製品が得られない。
そこで、成形部に付着した異物を除去することが考えられるが、その異物は成形圧力によって成形部に押しつけられており、ノズルなどから空気を噴射しても剥れない。
前述の異物を除去するには刃物を用いて異物を削り取るように除去することが考えられるが、金型の成形部表面は鏡面状態であって傷をつけると使用不能となる。
このために、異物が付着した金型を取り外し、金型の成形部表面を刃物で注意深く削り取るようにして異物を除去し、その金型を再び取付けている。
よって、金型の取外し、取付けに時間がかかると共に、異物を除去するのに時間がかかるので、異物を除去するには長時間がかかり、その間は転写成形作業ができないので、転写成形作業効率が悪い。
【0005】
本発明は前述の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、金型の成形部に付着した異物を、金型を取外しせずに短時間に除去できるようにした転写成形方法及び装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図柄21を有する転写用フィルム20を固定金型2と可動金型4ではさみ、金型のキャビティに溶融樹脂を射出して成形と同時に図柄21を成形品に転写する転写成形工程と、
前記転写用フィルム20に空打ち成形用の切欠部を形成し、その切欠部を金型の成形部と対向して転写用フィルム20をはさみ、金型のキャビティに溶融樹脂を射出して空打ち成形する異物除去工程を備え、
通常時には転写成形工程を繰り返し、必要時に異物除去工程を行なうことを特徴とする転写成形方法である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れ、この一対の切れ目25の長手方向一端部間に幅方向の切れ目26を入れ、この幅方向の切れ目26と前記一対の切れ目25で囲まれた部分20aを垂れ下げることで開口窓部24を形成し、
この開口窓部24を空打ち成形用の切欠部とする転写成形方法である。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れ、この一対の切れ目25の長手方向両端部間に亘って幅方向の切れ目26をそれぞれ入れて開口窓部24を形成し、この開口窓部24を空打ち成形用の切欠部とする転写成形方法である。
【0009】
第4の発明は、固定金型2と可動金型4を型閉じ状態、型開き状態にできると共に、両金型間のキャビティに溶融樹脂を射出する射出成型部と、
成形品に転写する図柄21を有する転写用フィルム20と、
前記転写用フィルム20を金型パーティング面に対して長手方向に移動するフィルム移動部と、
前記転写用フィルム20に、空打ち成形用の切欠部を形成するフィルム切断装置を備えていることを特徴とする転写成形装置である。
【0010】
第5の発明は、第4の発明においてフィルム切断装置は、転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れる第1フィルム切断装置16と、転写用フィルム20に幅方向の切れ目26を入れる第2フィルム切断装置17を備えている転写成形装置である。
【0011】
【作 用】
第1の発明によれば、空打ち成形することで金型の成形部に付着した異物が成形品の表面に付着して除去される。
よって、金型の成形部に付着した異物を、金型を取り外しせずに短時間に除去できる。
しかも、転写用フィルム20に切欠部を形成し、その切欠部を金型の成形部と対向して空打ち成形するので、転写用フィルム20が連続した状態であるから、その空打ち成形終了したら直ちに転写用フィルム20を移動して転写成形工程を実施できる。
よって、異物除去工程の後に直ちに転写成形工程を実施できる。
【0012】
第2の発明によれば、転写用フィルム20に開口窓部24を形成し、その開口窓部24を金型の成形部と対向して空打ち成形するので、転写用フィルム20は開口窓部24の幅方向両側部分で長手方向に連続している。
よって、空打ち成形後に転写用フィルム20をスムーズに移動して転写成形工程を実施できる。
しかも、幅方向一対の長手方向の切れ目25と1つの幅方向の切れ目26を入れることで開口窓部24を形成しているので、その開口窓部24を3つの切れ目で形成できるから、開口窓部24を短時間に形成できる。
よって、開口窓部24を形成することで転写成形作業効率が低下することが極めて少ない。
【0013】
第3の発明によれば、請求項2に係る発明と同様に空打ち成形後に転写用フィルム20をスムーズに移動して転写成形工程を実施できる。
【0014】
第4の発明によれば、フィルム移動部で転写用フィルム20を移動すると共に、射出成形部で射出成形することで、成形と同時に転写用フィルム20の図柄21を成形品に転写して転写成形工程を行なうことができる。
フィルム切断装置で転写用フィルム20に切欠部を形成することで、空打ち成形して異物を除去する異物除去工程を実施できる。
【0015】
第5の発明によれば、第1フィルム切断装置16で転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れることができ、第2フィルム切断装置17で転写用フィルム20に幅方向の切れ目26を入れることができる。
よって、第1フィルム切断装置16で転写用フィルム20に一対の長手方向の切れ目25を入れ、その状態で転写用フィルム20を第2フィルム切断装置17まで移動して幅方向の切れ目26を入れることで開口窓部24を形成でき、しかも第1フィルム切断装置16から第2フィルム切断装置17まで転写用フィルム20をスムーズに移動できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の転写成形方法を実施する転写成形装置の一例を説明する。
図1と図2に示すように、固定盤1に取付けた固定金型2と可動盤3に取付けた可動金型4と両金型間のキャビティに溶融樹脂を射出する射出ノズル5で射出成形部を構成している。
前記可動盤3に取付けたフィルム送り出し装置10とフィルム巻取り装置11で転写用フィルム20を可動金型4のパーティング面4aに対して移動するフィルム移動部を構成している。
前記フィルム送り出し装置10とフィルム巻取り装置11は可動金型4の移動方向と直交方向(つまり、転写用フィルム20の幅方向)に第1移動機構12、第2移動機構13でそれぞれ移動する。
【0017】
この実施の形態では固定盤1は架台6に固定され、この固定盤1に固定された4本のタイバー7によって可動盤3が移動自在に案内される。
可動盤3を移動することで固定金型2のパーティング面2aと可動金型4のパーティング面4aが圧接し、金型の成形部、固定金型2の成形部2bと可動金型4の成形部4bでキャビティを形成した型閉じ状態と、各パーティング面2a,4aが離隔した型開き状態となる。
また、射出成形部は、基本的には固定金型2と可動金型4とでキャビティを形成するが、例えば中間プレートなどの附随的な部材が存在してもよい。
【0018】
この実施の形態では可動盤3の上部にフィルム送り出し装置10が取付けられ、前述の第1移動機構12で転写用フィルム20の幅方向に移動される。
フィルム巻取り装置11は、可動盤3の下部に取付けたフィルム引張り機構14と、架台6に取付けたフィルム巻取り機構15を備え、そのフィルム引張り機構14が前記第2移動機構13で転写用フィルム20の幅方向に移動される。
転写用フィルム20は可動金型4のパーティング面4aと離隔し、かつ平行となるように移動される。
これに限ることはなく、フィルム送り出し装置10を可動盤3の下部又は左右側部に取付け、フィルム巻取り装置11を可動盤3の上部又は左右他側部に取付けても良いし、フィルム送り出し装置10、フィルム巻取り装置11を架台6や固定盤1に取付けても良い。
また、フィルム巻取り装置11はフィルム巻取り機構15のみでも良い。
つまり、フィルム移動部は転写用フィルム20を金型パーティング面(固定金型2のパーティング面2a又は可動金型4のパーティング面4a)に対して長手方向に移動、停止できる構成であれば良く、好ましくは転写用フィルム20を幅方向に移動できる構成であれば良い。
【0019】
前記転写用フィルム20は図3に示すように、前述の射出成形部で成型される成形品に転写される図柄21を長手方向に間隔を置いて複数有している。
前記図柄21は印刷模様に限定されず、金属蒸着層からなる図柄でも良い。
また金属蒸着層と印刷模様の組合せ等、従来の転写用フィルムに使用されている模様、文字、記号等のいずれでもよく限定されない。
また、転写用フィルム20は長手方向マーク22、幅方向マーク23を有する。
例えば、幅方向一側部に長手方向マーク22を長手方向に間隔を置いて設け、幅方向他側部に幅方向マーク23を長手方向に連続して設けてある。
この実施の形態では転写用フィルム20は透光性で、各マーク22,23は非透光性であるが、各マーク22,23が半透光性でもよい。また転写用フィルム20が非透光性または半透光性で、各マーク22,23が透光性でも良い。
【0020】
図1と図2に示すように、金型、例えば可動金型4近傍には長手方向センサー30、幅方向センサー、例えば第1・第2幅方向センサー31,32が取付けてある。なお、幅方向センサーは1つでも、3つ以上でも良い。
この実施の形態では、可動金型4上部寄り幅方向一側に長手方向センサー30が取付けてあり、可動金型4上部寄り幅方向他側に第1幅方向センサー31、可動金型4下部寄り幅方向他側に第2幅方向センサー32が取付けてある。
前記長手方向センサー30、第1・第2幅方向センサー31,32は転写用フィルム20の長手方向マーク22、幅方向マーク23を検出する。それによって、フィルム移動部を制御して転写用フィルム20を長手方向に停止、移動と幅方向に移動する。
例えば、各センサーは発光器33と受光器34を備え、その発光器33と受光器34が図3に示すように転写用フィルム20の厚さ方向両側に位置し、発光器33の光を転写用フィルム20を透過して受光器34が受光する。
【0021】
転写用フィルム20に空打ち成形用の切欠部、例えば図3に仮想線で示すように開口窓部24を形成するフィルム切断装置を備えている。すなわち、空打ち成形とは金型の成形部に転写用フィルム20が無い状態でキャビティに溶融樹脂を射出して成形することで、その空打ち成形用の切欠部は、金型の成形部以上の大きさであり、好ましくはほぼ同一の大きさ、すなわち同一の大きさ、又は若干大きい大きさである。
この実施の形態では、金型のフィルム送り込み側、例えばフィルム送り出し装置10に第1フィルム切断装置16が取付けてあり、金型のフィルム送り出し側に第2フィルム切断装置17が取付けてある。
前記第1フィルム切断装置16は図3に仮想線で示すように転写用フィルム20の幅方向両側に長手方向の切れ目25をそれぞれ入れる。
前記第2フィルム切断装置17は図3に仮想線で示すように、転写用フィルム20に幅方向の切れ目26を入れる。
第1フィルム切断装置16と第2フィルム切断装置17とをフィルム送り込み側と送り出し側とに分けて配置したことにより、転写成形装置をコンパクトにすることができる。
さらに、空打ち成形用の切欠部がフィルム送り出し側に配置された第2フィルム切断装置17によって開口されるので、切断されたフィルムが金型に接触してフィルムに印刷された図柄が金型に付着したりする問題が生じることがない。
前記空打ち成形用の切欠部は、前述した矩形状の開口窓部24、三角形、円形の開口窓部、幅方向一側縁に開口したコ字形状、V字形状、半円形状、U字形状等でも良い。
【0022】
本発明の成形方法の一例を説明する。
本発明の転写成形方法は転写成形工程と異物除去工程を有し、通常時には転写成形工程を繰り返し、必要時に異物除去工程を行なう。例えば転写成形工程を所定回数繰り返し実施したら異物除去工程を行なったり、不良品が発生した場合に異物除去工程を行なう。なお、異物除去工程は1回でも良いし、2回以上でも良い。
【0023】
前述の転写成形工程は従来と同様で、例えば図4(a)に示すように固定金型2と可動金型4を型開き状態として転写用フィルム20を移動して図柄21を金型の成形部、例えば固定金型2の成形部2bに位置決めする第1の工程と、この第1の工程の後に可動金型4を移動して図4(b)に示すように型閉じ状態として転写用フィルム20をはさみ、そのキャビティa内に溶融樹脂を射出して成形と同時に成形品に図柄21を転写する第2の工程と、図4(c)に示すように型開き状態として図柄21を転写した成形品bを排出する第3の工程から成る。
【0024】
前述の異物除去工程は、図5(a)に示すように転写用フィルム20に開口窓部24を形成する第1工程と、図5(b)に示すように転写用フィルム20を移動して開口窓部24を金型の成形部(固定金型2の成形部2b)と対向する第2工程と、図5(c)に示すように可動金型4を移動して型閉じ状態として転写用フィルム20をはさみ、キャビティaに溶融樹脂を射出して転写用フィルム20が無い状態で成形(つまり、前述の空打ち成形)する第3工程と、図5(d)に示すように型開き状態としてキャビティaから成形品bを排出する第4工程を有する。
【0025】
前述のように、転写用フィルム20が無い状態でキャビティaに溶融樹脂を射出して成形すると、その樹脂が金型の成形部、固定金型2の成形部2b、可動金型4の成形部4bに密着するので、その成形部に付着した異物が成形物の表面に付着して除去される。
【0026】
次に、前述の開口窓24を形成する第1工程を第1・第2フィルム切断装置16,17で行なう動作を説明する。
図6(a)に示すように、転写用フィルム20の幅方向両側に第1フィルム切断装置16で所定長さの長手方向の切れ目25をそれぞれ入れる。
この切れ目25は図柄21の幅方向両側部に入れてあるので、図柄21を長手方向に位置決めする動作でその切れ目25を入れる長手方向位置を位置決めできる。
【0027】
フィルム送り出し装置10とフィルム巻取り装置11を駆動して転写用フィルム20を長手方向に移動して第2フィルム切断装置17に位置決めする。例えば、図6(b)に示すように切れ目25のフィルム移動方向後端部25aを第2フィルム切断装置17の刃部に位置決めする。
前述の切れ目25のフィルム移動方向後端部25a間を第2フィルム切断装置17で切断して幅方向の切れ目26を入れ、転写用フィルム20にほぼ下向きコ字形状の切れ目25,25,26を入れる。
【0028】
前記フィルム送り出し装置10とフィルム巻取り装置11を前述とは反対方向に駆動して転写用フィルム20を前述とは反対方向に移動して切れ目25,26を入れた部分を図6(c)に示すように金型の成形部、例えば固定金型2の成形部2bと対向させる。
これによって、転写用フィルム20のほぼ下向きコ字形状の切れ目25,25,26で囲まれた部分20aが下方に垂れ下がって開口窓部24が形成され、その開口窓部24が金型の成形部、例えば固定金型2の成形部2bに位置決めされる。
【0029】
このように、幅方向両側に切れ目25を入れた転写用フィルム20を長手方向に移動するので、フィルム幅方向の全域にほぼ均等な引張力が作用し、転写用フィルム20がねじれたりすることがなくスムーズに移動できる。
【0030】
前記第2フィルム切断装置17で幅方向の切れ目26を長手方向の両端部間に亘ってそれぞれ形成して開口窓部24を形成するようにしても良い。
また、幅方向の切れ目26を入れてから長手方向の切れ目25を入れて開口窓部24を形成しても良い。
また、第1・第2フィルム切断装置16,17は前述の位置以外の位置に取付けても良い。
【0031】
前述のように転写用フィルム20に切欠部を形成して空打ち成形するので、転写用フィルム20は連続した状態であるから異物除去工程が終了したら直ちに転写用フィルム20を移動して転写成形工程を実施できる。
【0032】
例えば、転写用フィルム20を切断して空打ちを成形することも考えられるが、このようにした場合には転写用フィルム20が不連続となるので、空打ち成形した後に転写用フィルム20をフィルム移動部、例えばフィルム送り出し装置10からフィルム巻取り装置11まで掛け渡し、それから転写用フィルム20を移動して転写成形工程を実施することになる。
よって、前述のようにして空打ち成形した場合には異物除去工程が終了してから転写成形工程を開始するまでに時間がかかってしまう。
【0033】
特に、開口窓部24を形成した場合は転写用フィルム20の幅方向両側部分が残存するので、その部分に引張力が作用するので、転写用フィルム20をスムーズに移動できる。
【0034】
前記フィルム送り出し装置10の具体形状を説明する。
可動盤3にブラケット40が取付けてあり、このブラケット40に移動体41が可動盤3の移動方向に移動自在に設けてあると共に、
その移動体41にガイド42でハウジング43が転写用フィルム20の幅方向に移動自在に設けてあり、このハウジング43と移動体41とに亘って前記第1移動機構12が設けてある。
前記ハウジング43に送り出し用リール44と送り出しロール45が回転自在に支承され、この送り出し用リール44に転写用フィルム20が巻装されると共に、その送り出し用リール44は第1モータ46で正逆回転駆動される。
【0035】
前記フィルム引張り機構14の具体形状を説明する。
駆動ロール50と従動ロール51を備え、その駆動ロール50は第2モータ52で回転駆動される。従動ロール51は駆動ロール50に圧接・離隔自在で、離隔した状態で転写用フィルム20を駆動ロール50と従動ロール51との間に挿通し、圧接した状態で駆動ロール50を駆動して転写用フィルム20を搬送して張力を付与する。この時、第1モータ46で送り出し用リール44を制動する。
【0036】
例えば、第1ハウジング53に駆動ロール50と第2モータ52を取付け、第2ハウジング54に従動ロール51を取付ける。
第1ハウジング53と第2ハウジング54を揺動自在に連結し、その第1ハウジング53と第2ハウジング54に亘って付勢手段、例えばスプリング55を取付けることで第2ハウジング54が第1ハウジング53に接近方向に揺動付勢され、駆動ロール50と従動ロール51が圧接する。
前記フィルム引張り機構14(例えば第1ハウジング53)が第2移動機構13を介して可動盤3に取付けられる。
例えば、可動盤3にブラケット56が取付けてあり、このブラケット56に移動体57が可動盤3の移動方向に移動自在に設けてあると共に、その移動体57にフィルム引張機構14が第2移動機構13で転写用フィルム20の幅方向に移動自在に取付けてある。
【0037】
前記フィルム巻取り機構15の具体形状を説明する。
図1と図7に示すように、架台6に支持杆60を介してガイドレール61を設け、このガイドレール61に沿って移動する移動体62に巻き取り用リール63を取付ける。
前記ガイドレール61の端部に固着したブラケット64に第3モータ65を取付け、この第3モータ65で回転される回転体66を巻取り用リール63に固着した回転用円板67に圧接することで巻取り用リール63を回転駆動する。
【0038】
このようであるから、巻取り用リール63は図7に仮想線で示すように装置本体8内の巻取り位置と、装置本体8の端部8aよりも外方に突出した取り外し位置に移動自在であり、その巻取り用リール63に巻き取った使用済の転写用フィルム20を装置本体8の外部で簡単に取り外しできる。
なお、ガイドレール61はヒンジ68で折曲自在となっており、通常の巻取り作業する時には折り曲げて装置本体8の端部8aより突出しないようにできる。
【0039】
前記第1フィルム切断装置16の具体形状を説明する。なお、図2において第1フィルム切断装置16を輪郭のみを仮想線で図示してある。
図8〜図10に示すように、装置本体90に一対のカッタ(例えば丸刃カッタ)91がカッタ受け92の表面92aに向けて往復移動自在に取付けてあり、そのカッタ受け92の表面92aに転写用フィルム20を接し、カッタ91を転写用フィルム20に押しつけ、カッタ91と転写用フィルム20を相対的に移動することで転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れる。
この実施の形態ではカッタ91を固定して転写用フィルム20を長手方向に移動しているが、転写用フィルム20を固定してカッタ91を移動するようにしても良い。
【0040】
前記カッタ91は丸刃カッタで、転写用フィルム20の移動によって回転するようにしてあるが、回転しなくとも良いし、モータなどで回転駆動しても良い。
また、カッタ91はナイフ形状としても良い。
【0041】
前記一対のカッタ91は、そのカッタ間の間隔を調整できるようにしてあり、それによって転写用フィルム20に入れる長手方向の切れ目25の間隔を調整できる。
例えば、装置本体90にガイド93を設け、このガイド93に沿って移動自在な一対のカッタ取付体94にシリンダ95をそれぞれ取付け、このシリンダ95でカッタ取付片96をカッタ受け92の表面92aに向けて移動自在に取付け、その各カッタ取付片96にカッタ91を取付ける。
この実施の形態では、装置本体90は底板90aと一対の縦板90bでほぼコ字形状で、その一対の縦板90b間に亘って一対のガイド杆93aを設けてガイド93とし、この一対のガイド杆93aに沿って摺動自在なスライドベース94aに縦板94bを固着してカッタ取付体94としてあり、このスライドベース94aにカッタ受け92がそれぞれ取付けてある。縦板94bにシリンダ95を取付ける。
【0042】
このようであるから、カッタ91とともにカッタ受け92がガイド93に沿って移動し、シリンダ95を伸縮するとカッタ取付片96とともにカッタ91がカッタ受け92に向けて往復移動する。
なお、カッタ受け92は装置本体90に取付けて移動しないようにしても良いし、ガイド93は前述の形状に限ることはなく、例えばガイド93をあり溝を有する形状で、そのあり溝に沿ってカッタ取付体94を移動自在としても良い。
【0043】
前記一対のカッタ取付体94は移動機構で同期して接近方向、離隔方向に移動するようにしてある。
例えば、装置本体90に送りねじ杆97を回転自在に支承し、その送りねじ杆97の第1ねじ部97aと第2ねじ部97bを逆ねじとすると共に、カッタ取付体94(スライドベース94a)にねじ合し、その送りねじ杆97を一方向に回転すると一対のカッタ取付体94が接近する方向に同期して移動し、他方向に回転すると離隔する方向に同期して移動するようにしてある。
【0044】
前記送りねじ杆97にはハンドル98が取付けてあると共に、回り止め手段99を備えている。
この回り止め手段99は装置本体90(縦板90b)に取付けたブラケット99aの孔99bに送りねじ杆97を回転自在に挿通し、そのブラケット99aにロックボルト99cをねじ合し、このロックボルト99cを送りねじ杆97に押しつけることで回り止めする。
【0045】
前記装置本体90は、その一対の縦板90b間に固着したプレート90cと、このプレート90cに固着したブロック90dを備え、このブロック90dに前記ガイド杆93a、送りねじ杆97の長手方向中間部が支持され、そのガイド杆93a、送りねじ杆97が長尺であってもたわむことがないように支持できる。
【0046】
前記装置本体90が図1に示すように、ハウジング43に取付けられ、送り出し用リール44に巻装した転写用フィルム20がカッタ91とカッタ受け92との間を通って送り出しローラ45に到るようにしてある。
具体的には、前記送り出しローラ45と中間ローラ45aとに亘って転写用フィルム20がほぼ水平、好ましくは水平に掛け渡しされている。
前記装置本体90は送り出しローラ45と中間ローラ45aとの間に取付けられ、転写用フィルム20はカッタ受け92の表面92aと離隔して移動するようにしてある。
【0047】
このようであるから、通常の転写成形作業時には転写用フィルム20が第1フィルム切断装置16と干渉、接触せずにスムーズに移動する。
シリンダ95でカッタ91をカッタ受け92に向けて移動すると、そのカッタ91が転写用フィルム20を介してカッタ受け92の表面92aに押しつけられ、転写用フィルム20を移動することで一対の長手方向の切れ目25を入れることができる。
【0048】
前記第2フィルム切断装置17の具体形状を図11〜図14に基づいて説明する。
装置本体100にカッタ101がカッタ受け102に沿って移動自在で、かつカッタ受け102に向けて往復移動自在に取付けてある。
このようであるから、カッタ101をカッタ受け102に向けて移動して転写用フィルム20をカッタ受け102の表面102aに押しつけ、カッタ101をカッタ受け102に沿って移動することで転写用フィルム20に幅方向の切れ目26を入れることができる。
【0049】
前記装置本体100にはフィルム押え103がカッタ受け102に向けて往復移動自在に取付けてあり、このフィルム押え103で転写用フィルム20をカッタ受け102の表面102aに押しつけ保持できるようにしてある。
このようであるから、前述のようにカッタ101を移動して幅方向の切れ目26を入れる際に、転写用フィルム20がカッタ受け102の表面102aに押しつけ保持されているから、スムーズに幅方向の切れ目26を入れることができる。
【0050】
前記カッタ101は丸刃で、回転自在であるが、固定しても良い。
また、カッタ101を丸刃としてモータなどで回転駆動しても良い。
また、カッタ101はナイフなどの尖端形状としても良い。
なお、カッタ101を幅広の切刃形状とし、転写用フィルム20に押しつけることで所定長さの幅方向の切れ目26を入れるようにしても良い。
【0051】
前記装置本体100は、縦板104と、その縦板104の両側に固着した一対の横板105とその横板105と縦板104とに亘って固着した一対のブロック106と、この一対のブロック106間に跨って固着したプレート107を備えている。
前記縦板104の上部寄りにカッタ受け102が取付けてある。
一対の横板105の先端部間に跨ってカッタ101を移動する第1移動手段、例えばロッドレスシリンダ108が取付けてあり、このロッドレスシリンダ108の可動部108aに第2移動手段、例えばシリンダ109が取付けてある。
このシリンダ109でカッタ取付体110がカッタ受け102に対して接近又は離隔する方向に移動され、このカッタ取付体110にカッタ101が取付けてある。
前記フィルム押え103は基板103aにクッション材103bを取付けた形状で、その基板103aが前記プレート107に、そのクッション材103bがカッタ受け102と対向し、かつカッタ受け102に向けて往復移動自在に支承してある。例えば基板103aに固着したガイド杆111がプレート107を貫通し、そのプレート107に固着した支持ブロック112に摺動自在に嵌挿している。
前記プレート107にフィルム押え103を往復移動する第3移動手段、例えばシリンダ113が取付けてある。シリンダ113は伸縮作動するシリンダロッド113aを有し、そのシリンダロッド113aの先端はプレート107を貫通してフィルム押え103に固定されている。
【0052】
前記シリンダロッド113aを伸び作動するとフィルム押え103がカッタ受け102に向けて移動し、そのクッション材103bで転写用フィルム20をカッタ受け102の表面102aに押しつけるので、転写用フィルム20を損傷することがない。
前記シリンダロッド113aを縮み作動するとフィルム押え103がカッタ受け102から離れる方向に移動し、両者の間に隙間が生じ、その隙間に転写用フィルム20が挿通するようにしてある。
前記シリンダ109を伸縮作動するとカッタ取付体110とともにカッタ101がカッタ受け102に向けて移動したり、離れる方向に移動する。
前記ロッドレスシリンダ108の可動部108aを移動するとシリンダ109とともにカッタ101がカッタ受け102に沿って往復移動する。
前記フィルム押え103、プレート107はカッタ101よりも横板105寄りに位置し、カッタ101を移動した時にフィルム押え103、プレート107と干渉しないようにしてある。
【0053】
前記第2フィルム切断機17は図1、図2に示すようにブラケット56に取付けてあり、カッタ受け102とフィルム押え103との間に転写用フィルム20が挿通するようにしてある。
具体的には、装置本体100の縦板104がブラケット56にボルト等で取付けてあり、カッタ101が転写用フィルム20の幅方向に移動するようにしてある。
【0054】
このようであるから、通常の転写成形作業時には転写用フィルム20がカッタ101、カッタ受け102、フィルム押え103と干渉せずにスムーズに移動する。
フィルム押え103で転写用フィルム20をカッタ受け102に押しつけ保持し、カッタ101を転写用フィルム20を介してカッタ受け102に押しつけ、カッタ101を幅方向に移動することで幅方向の切れ目26を入れることができる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、空打ち成形することで金型の成形部に付着した異物が成形品の表面に付着して除去される。
よって、金型の成形部に付着した異物を、金型を取り外しせずに短時間に除去できる。
しかも、転写用フィルム20に切欠部を形成し、その切欠部を金型の成形部と対向して空打ち成形するので、転写用フィルム20が連続した状態であるから、その空打ち成形終了したら直ちに転写用フィルム20を移動して転写成形工程を実施できる。
よって、異物除去工程の後に直ちに転写成形工程を実施できる。
【0056】
請求項2に係る発明によれば、転写用フィルム20に開口窓部24を形成し、その開口窓部24を金型の成形部と対向して空打ち成形するので、転写用フィルム20は開口窓部24の幅方向両側部分で長手方向に連続している。
よって、空打ち成形後に転写用フィルム20をスムーズに移動して転写成形工程を実施できる。
しかも、幅方向一対の長手方向の切れ目25と1つの長手方向の切れ目26を入れることで開口窓部24を形成しているので、その開口窓部24を3つの切れ目で形成できるから、開口窓部24を短時間に形成できる。
よって、開口窓部24を形成することで転写成形作業効率が低下することが極めて少ない。
【0057】
請求項3に係る発明によれば、請求項2に係る発明と同様に空打ち成形後に転写用フィルム20をスムーズに移動して転写成形工程を実施できる。
【0058】
請求項4に係る発明によれば、フィルム移動部で転写用フィルム20を移動すると共に、射出成形部で射出成形することで、成形と同時に転写用フィルム20の図柄21を成形品に転写して転写成形工程を行なうことができる。
フィルム切断装置で転写用フィルム20に切欠部を形成することで、空打ち成形して異物を除去する異物除去工程を実施できる。
【0059】
請求項5に係る発明によれば、第1フィルム切断装置16で転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れることができ、第2フィルム切断装置17で転写用フィルム20に幅方向の切れ目26を入れることができる。
よって、第1フィルム切断装置16で転写用フィルム20に一対の長手方向の切れ目25を入れ、その状態で転写用フィルム20を第2フィルム切断装置17まで移動して幅方向の切れ目26を入れることで開口窓部24を形成でき、しかも第1フィルム切断装置16から第2フィルム切断装置17まで転写用フィルム20をスムーズに移動できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す転写成形装置の側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】転写用フィルムとセンサーの斜視図である。
【図4】転写成形工程の説明図である。
【図5】異物除去工程の検出説明図である。
【図6】開口窓部の形成説明図である。
【図7】図1のB−B断面図である。
【図8】第1フィルム切断装置の断面図である。
【図9】第1フィルム切断装置の平面図である。
【図10】第1フィルム切断装置の斜視図である。
【図11】第2フィルム切断装置の正面図である。
【図12】第2フィルム切断装置の平面図である。
【図13】図12のC−C断面図である。
【図14】第2フィルム切断装置の斜視図である。
【符号の説明】
1…固定盤、2…固定金型、3…可動盤、4…可動金型、5…射出ノズル、8…装置本体、8a…端部、10…フィルム送り出し装置、11…フィルム巻取り装置、12…第1移動機構、13…第2移動機構、14…フィルム引張り機構、15…フィルム巻取り機構、16…第1フィルム切断装置、17…第2フィルム切断装置、20…転写用フィルム、21…図柄、22…長手方向マーク、23…幅方向マーク、24…開口窓部、25…長手方向の切れ目、26…幅方向の切れ目、30…長手方向センサー、31…第1幅方向センサー、32…第2幅方向センサー、33…発光器、34…受光器、90…装置本体、91…カッタ、92…カッタ受け、95…シリンダ、100…装置本体、101…カッタ、102…カッタ受け、103…フィルム押え、108…ロッドレスシリンダ、109…シリンダ。

Claims (5)

  1. 図柄21を有する転写用フィルム20を固定金型2と可動金型4ではさみ、金型のキャビティに溶融樹脂を射出して成形と同時に図柄21を成形品に転写する転写成形工程と、
    前記転写用フィルム20に空打ち成形用の切欠部を形成し、その切欠部を金型の成形部と対向して転写用フィルム20をはさみ、金型のキャビティに溶融樹脂を射出して空打ち成形する異物除去工程を備え、
    通常時には転写成形工程を繰り返し、必要時に異物除去工程を行なうことを特徴とする転写成形方法。
  2. 転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れ、この一対の切れ目25の長手方向一端部間に幅方向の切れ目26を入れ、この幅方向の切れ目26と前記一対の切れ目25で囲まれた部分20aを垂れ下げることで開口窓部24を形成し、
    この開口窓部24を空打ち成形用の切欠部とする請求項1記載の転写成形方法。
  3. 転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れ、この一対の切れ目25の長手方向両端部間に亘って幅方向の切れ目26をそれぞれ入れて開口窓部24を形成し、この開口窓部24を空打ち成形用の切欠部とする請求項1記載の転写成形方法。
  4. 固定金型2と可動金型4を型閉じ状態、型開き状態にできると共に、両金型間のキャビティに溶融樹脂を射出する射出成型部と、
    成形品に転写する図柄21を有する転写用フィルム20と、
    前記転写用フィルム20を金型パーティング面に対して長手方向に移動するフィルム移動部と、
    前記転写用フィルム20に、空打ち成形用の切欠部を形成するフィルム切断装置を備えていることを特徴とする転写成形装置。
  5. フィルム切断装置は、転写用フィルム20の幅方向両側に一対の長手方向の切れ目25を入れる第1フィルム切断装置16と、転写用フィルム20に幅方向の切れ目26を入れる第2フィルム切断装置17を備えている請求項4記載の転写成形装置。
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