JP3889238B2 - 車両用灯具 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は灯具ボディやリフレクタ等（以下、これらを総称してリフレクタと称する）にバルブソケットを用いてバルブ（電球）を支持する構造の車両用灯具に関し、特にバルブソケットの取り付け部分の見栄えを改善した車両用灯具に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等の車両用灯具では、リフレクタに取着するバルブ交換を可能とするために、リフレクタに対して着脱可能なバルブソケットによりバルブの取り付けを行っているが、バルブソケットをリフレクタに着脱可能にする構造として従来からバヨネット構造が用いられている。図７は従来のバヨネット構造の一例の斜視図である。バルブソケット７はコンタクト電極７５が内装されバルブ５のベース部５１を支持するためのバルブ支持用開口７２が開口されたソケット本体７１を有しており、そのソケット本体７１の周面の複数箇所には外径方向にバヨネット片７３が突出されている。また、前記バヨネット片７３と筒軸方向に微小寸法、すなわち後述するリフレクタ２の板厚寸法だけ離れた位置に軸方向のばね性が与えられた大径のフランジ７４が形成されている。一方、前記バルブソケット７が取着されるリフレクタ８には前記バルブソケット７のソケット本体７１が挿通可能な円形のバルブ取付穴８１が開口されるとともに、その円周複数箇所には、前記バヨネット片７３が挿通可能な切欠き溝８２が形成されている。
【０００３】
このバルブソケット７をリフレクタ８に取着する際には、図８（ａ）に断面図を示すように、リフレクタ８の背面側からソケット取付穴８１にバルブソケット７のソケット本体７１を挿入し、さらにバヨネット片７３を切欠き溝８２に挿通し、フランジ７４をリフレクタ８の背面に当接させる。その上でバルブソケット７を筒軸方向に所定角度だけ回動することにより、バヨネット片７３とフランジ７４との間にリフレクタ８のソケット取付穴８１の開口縁部が進入されて当該開口縁部が挟持状態とされ、この挟持力によりバルブソケット７がリフレクタ８に取り付けられる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のバルブソケットの取付構造では、バルブソケット７のソケット本体７１の周面に複数個のバヨネット片７３が突出されており、バルブソケット７をリフレクタ８に取り付けたときには、図８（ｂ）に前面方向から見た状態を示すように、リフレクタ８の前面側の反射面において複数のバヨネット片７３がソケット本体７１の周囲に露見した状態となる。そのため、バルブソケット７の周囲のリフレクタ８の反射面８ａがこれらバヨネット片７３によって隠されることになり、また切欠き溝８２の部分には反射面８ａが存在せず、さらにソケット本体７１の凹んだ部分７１ａがソケット本体７１の前端面よりも後退した位置にあるために、灯具を前面方向から見たときに、これらの部分での光反射は少なく、これらの部分が暗黒部（点描部）として見え、灯具の見栄えが低下する要因となる。また、バルブソケット７を装着するソケット取付穴８１の領域はリフレクタ８の反射面８ａが反射面として機能しないため、その分リフレクタ８の反射効率が低いものになることは避けられない。さらに、ソケット本体７１にそれよりも大径のバヨネット片７３及びフランジ７４を形成することが必要であるために、バルブソケット７の全体の径寸法が大きくなり小型化が困難なものになる。
【０００５】
また、従来では、図９（ａ）に断面図を示すように、リフレクタ８の背面一部を円筒容器状に凹設したソケット取付筒部８３を形成し、このソケット取付筒部８３の背面に図６に示したと同様のソケット取付穴８１及び切欠き溝８２を設けて前記したバルブソケット７を取り付ける構造も提案されている。しかしながら、この構造では、ソケット取付筒部８３の内径寸法をバヨネット片７３の外径寸法よりも大きく形成する必要があるため、灯具を前面側から見たときには、図９（ｂ）に示すように、バルブソケット７の周囲にソケット取付筒部８３とソケット本体７１との間の間隙による暗黒部（点描部）が生じ、灯具の見栄えが低下する要因となる。また、この構成においても、バルブソケット７を装着するソケット取付筒部８３の領域はリフレクタ８の反射面８ａが反射面として機能しないため、その分リフレクタ８の反射効率が低いものになる。
【０００６】
本発明の目的はバルブソケットをリフレクタ等に取り付けたときの暗黒部の発生を抑制して灯具の外観上の見栄えの低下を防止した車両用灯具を提供するものである。また、本発明の他の目的はバルブソケットの小型化、特に小径化を実現した車両用灯具を提供するものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は反射面を有するリフレクタにバルブソケットを用いてバルブを支持する構成の車両用灯具であって、前記バルブソケットは円筒状をしたソケット本体と、前記ソケット本体の外周面に形成されソケット本体の前端面から後端部に向けて傾斜した嵌合溝とを備え、前記リフレクタは後方に向けて突出された前記ソケット本体の外径とほぼ同じ内径寸法のソケット取付筒部と、前記ソケット取付筒部の後部寄りの内周面に内径方向に突出形成され前記嵌合溝に嵌合可能な嵌合突起と、前記ソケット取付筒部の前端部の内周面に内径方向に突出形成され前記嵌合溝の前端部を閉塞可能な閉塞突起とを備える。ここで、バルブソケットをリフレクタに取着したときにソケット本体の前端面が閉塞突起の前端面とほぼ同一面に位置されることが好ましい。また、ソケット本体の外周面にはソケット取付筒部の内面に弾接して防水を行うシールリングが嵌着されることが好ましい。
【０００８】
本発明によればバルブソケットをソケット取付筒部内に挿入して取着した状態では、嵌合溝と嵌合突起及び閉塞突起との嵌合によってバルブソケットはリフレクタに支持される。同時に、閉塞突起により嵌合溝の前端部が閉塞されるため、ソケット本体に切り欠かれた嵌合溝の前端部がリフレクタの前面側に露呈されて暗く見えるようなことはなく見栄えが向上する。さらに、ソケット本体にはフランジやバヨネット片を形成する必要がなく、バルブソケットの径寸法が増大することなく小型化が実現できる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図１は本発明を適用した車両用灯具１の全体構成を示す平面方向の断面図であり、前記車両用灯具１は、内面がアルミニウム膜等の反射膜により反射面２１として構成され、ほぼ中心部にバルブ（電球）５を支持したバルブソケット４が取着可能な樹脂成形されたリフレクタ２と、前記リフレクタ２の前面開口２ａに取着されたレンズ３とを備えている。前記レンズ３は周縁部にシール脚部３１を有しており、前記リフレクタ２の周縁部に設けられたシール溝２５内に前記シール脚部３１が挿入され、シール剤３０により固定されている。
【００１０】
図２は前記リフレクタ２、バルブソケット４、及びバルブ５の分解斜視図、図３は背面側から見た一部分解斜視図である。ここで、本実施形態では前記バルブ５は偏平に近い形状をしたベース部５１に内蔵フィラメントに電気接続される電極５２が配設された、いわゆるウェッジベースバルブが用いられている。前記リフレクタ２は、後面に向けて突出した円筒状のソケット取付筒部２２が一体に形成されている。また、前記バルブソケット４は、前記ソケット取付筒部２２の内径寸法にほぼ等しい外径寸法で、かつソケット取付筒部２２の筒軸寸法にほぼ等しい長さの円筒状をしたソケット本体４１を有している。
【００１１】
図４（ａ），（ｂ），（ｃ）は前記バルブソケットの前面図、側面図、背面図であり、前記ソケット本体４１の前端面４０１には前記バルブ５のベース部５１を挿入支持するための細長いバルブ支持用の開口４０２が設けられ、前記バルブ５のベース部５１が内挿支持される。また、前記バルブ支持用開口４０２の内部には一対のコンタクト電極４０３が並んで配設され、前記バルブ支持用開口４０２に内挿される前記バルブ５の電極５２に前記接続が行われるようになっている。なお、前記コンタクト電極４０３の間にはバルブ５のベース部５１に設けられた凸部５３に嵌合してバルブ５を保持するための一対の係合片４０４が配設されている。また、前記ソケット本体４１の後端面４１１にはソケット本体４１を筒軸回り方向に操作する際に用いる一対の操作片４１２が径方向に沿って立設されるとともに、この操作片４１２の間には前記コンタクト電極４０３に接続されるコード４１４を引き出すための一対のコード筒部４１３が突出形成されている。
【００１２】
また、前記ソケット本体４１の径方向に対向する円周方向２箇所の外周面には、ソケット本体４１の前端面４０１においてその円周一部を切り欠いた状態で開口され、ソケット本体４１の筒軸方向に対して傾斜した状態で延長されてソケット本体４１の後端面４１１の近傍位置で終端された螺旋状の嵌合溝４２がそれぞれ形成されている。前記嵌合溝４２の開口された前端部４２１は溝幅が若干大きくなるように一側面が垂直面４２１ａで他側面がテーパ面４２１ｂとして形成されている。また、前記嵌合溝４２の終端側の後端部４２２は円形に近い形状とされ、かつ前記後端部４２２の近傍には溝内面を内側に突出させて当該部位の溝幅寸法を小さくしたロック用突起４２３が形成されている。なお、前記ソケット本体４１の後端面４１１と前記嵌合溝４２の後端部４２２との筒軸方向の間の外周面には全周にわたって円形溝４３が形成され、この円形溝４３内には防水用のシールリング４４が嵌着されている。
【００１３】
一方、前記ソケット取付筒部２２の後端側の内周面の円周２箇所、ここでは径方向に対向する位置には、前記ソケット本体４１の嵌合溝４２内に進入可能な径及び長さ寸法の円柱状をした一対の嵌合突起２３が内径方向に突出形成されている。また、前記ソケット取付筒部２２の前端側の内周面の円周２箇所の径方向に対向する位置には、前記嵌合溝４２の前端部４２１に進入可能な寸法の閉塞突起２４が内径方向に突出形成されている。前記閉塞突起２４はその前端面２４ｃから後方に向けて幅寸法が徐々に小さくなるように一側面が垂直面２４ａで他側面がテーパ面２４ｂとして形成された逆台形状に形成されている。ここで、前記嵌合突起２３と閉塞突起２４の位置関係は、前記ソケット本体４１に設けた嵌合溝４２の後端部４２２と前端部４２１の位置に対応するような位置関係に設定されている。また、前記閉塞突起２４の前端面２４ｃは前記リフレクタ２の反射面２１とほぼ同一面となるように形成されており、かつ当該反射面２１の一部として構成され、光を反射するように形成されている。
【００１４】
以上の構成の車両用灯具では、リフレクタ２に対してバルブソケット４を装着する際には、最初にバルブソケット４のバルブ支持用開口４０２にバルブ５のベース部５１を挿入してバルブ５を支持させる。この支持構造はこれまでのバルブソケットと同じであるので詳細な説明は省略する。その上で、先ず図５（ａ）のように、バルブソケット４をリフレクタ２の背面側からソケット取付筒部２２内に挿入する。このとき、ソケット本体４１の各嵌合溝４２の前端部４２１をソケット取付筒部２２内の一対の嵌合突起２３に位置合わせし、バルブソケット４を僅かにソケット取付筒部２２内に押し込み、両嵌合突起２３を嵌合溝４２の前端部４２１内に進入させる。そして、操作片４１２を利用してソケット本体４１を同図の時計方向に軸回りさせると、図５（ｂ）のように、嵌合溝４２と嵌合突起２３との摺接によりソケット本体４１は螺進されながら、すなわち軸回り方向に回動されながらソケット取付筒部２２内に進入されて行く。そして、図５（ｃ）のように、嵌合溝４２の後端部４２２の手前まで嵌合突起２３が進入された後、さらにソケット本体４１を螺進させると、図５（ｄ）のように、嵌合突起２３がロック用突起４２３を乗り越えて後端部４２２に到達し、嵌合突起２３はロック用突起４２３によって後端部４２２内に挟持された状態が保持されるロック状態とされ、ソケット本体４１がソケット取付筒部２２から容易には離脱されない状態となりバルブソケット４の取着が完了される。
【００１５】
このように、バルブソケット４の取着が完了されると同時に、図５（ｄ）に示し、かつ図６（ａ）に模式斜視図を示すように、嵌合溝４２の前端部４２１内には閉塞突起２４が進入され、閉塞突起２４と前端部４２１の各垂直面２４ａ，４２１ａとテーパ面２４ｂ，４２１ｂとが互いに当接することによって嵌合溝４２の前端部４２１が塞がれた状態となる。これにより、バルブソケット４は一対の嵌合溝４２の前端部４２１において閉塞突起２４により支持され、かつ後端部４２２において嵌合突起２３により支持されるため、合計で４箇所において支持されてソケット取付筒部２２内に安定に取り付けられることになる。また、従来のバヨネット構造のようにソケット本体に径寸法の大きなフランジを設ける必要がなく、ソケット本体の外径寸法を低減しバルブソケットの小型化を図ることが可能になる。
【００１６】
同時に、嵌合溝４２の前端部４２１が閉塞突起２４によって塞がれたことにより、図６（ｂ）に示すように、リフレクタ２を前面側から見たときに、ソケット本体４１の前端面４０１に切り欠かれている嵌合溝４２の前端部４２１は閉塞突起２４によって覆い隠されることになり、この嵌合溝４２の前端部４２１がリフレクタ２の前面側、すなわち反射面２１の一部領域内に露呈してその部分が暗く見えるようなことはなく、リフレクタ２ないし灯具の見栄えが向上する。特に、この実施形態では、閉塞突起２４の前端面２４ｃはソケット本体４１の前端面４０１とほぼ同一面に位置され、しかも当該前端面２４ｃはリフレクタ２の反射面２１と同一反射面として形成されているため、見栄えをさらに高めることが可能になる。すなわち、図６（ｂ）において点描で示すように、ソケット取付筒部２２の内周面とソケット本体４１の外周面との間の極僅かな隙間の領域が暗く見えるのに過ぎず、他の領域は反射面と同程度に明るく見えることになる。
【００１７】
一方、ソケット取付筒部２２の内周面と、その内部に挿入されたソケット本体４１の外周面との間の隙間は、ソケット本体４１の外周面の円形溝４３内に嵌着されたシールリング４４によって封止され、当該隙間の防水効果が図られる。また、前記ソケット取付筒部２２の内周面に形成される嵌合突起２３及び閉塞突起２４が円周方向に異なる位置となるように設計することにより、リフレクタ２の金型による成形時にスライダを用いる必要がなく、また、バルブソケット４においても嵌合溝４２をソケット本体の径方向に金型で抜くことができるため、従来と同様にバルブ支持用開口４０２を成形するためのスライダを用いる他は、本構造を採ることによる新たなスライダを用いる必要はなく、リフレクタ２及びバルブソケット４の成形を容易にし、かつ低コストに製造することが可能になる。
【００１８】
ここで、前記実施形態では、バルブソケットに２本の嵌合溝を設けた例を説明したが、バルブソケットの径寸法に応じて３本、あるいはそれ以上の嵌合溝を設けてもよい。また、ソケット取付筒部に設けた嵌合突起と閉塞突起の形状は前記実施形態の形状に限られる適宜に変更してもよい。さらに、ソケット本体の後端部にフランジを設け、このフランジにシールリングを保持してソケット取付筒部の後端部との間で防水を図るようにしても良いことは言うまでもない。
【００１９】
なお、前記実施形態では、リフレクタにレンズを取着した構成の車両用灯具に本発明を適用した例を示したが、灯具ボディとレンズとで灯室を構成し、当該灯室内にリフレクタを内装する構成の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【００２０】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、バルブソケットには円筒状をしたソケット本体と、ソケット本体の外周面に前端面から後端部に向けて傾斜した嵌合溝とを備え、リフレクタには反射面から後方に向けて突出されたソケット本体の外径とほぼ同じ内径寸法のソケット取付筒部と、ソケット取付筒部の内周面に内径方向に突出形成され、嵌合溝に嵌合可能な嵌合突起と嵌合溝の前端部を閉塞可能な閉塞突起とを備えるので、バルブソケットをソケット取付筒部内に挿入して取着した状態では、嵌合溝と嵌合突起及び閉塞突起との嵌合によってバルブソケットはリフレクタに支持されると同時に、閉塞突起により嵌合溝の前端部が閉塞されるため、嵌合溝の開口された前端部がリフレクタの前面側に露呈されることがなく、灯具を前面側から見たときの見栄えが向上し、さらに、ソケット本体にはフランジやバヨネット片を形成する必要がなく、バルブソケットの径寸法が増大することなく小型化が実現できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の灯具の平面方向の断面図である。
【図２】図１の灯具の要部の部分分解斜視図である。
【図３】図１の灯具を背面方向から見た一部の分解斜視図である。
【図４】バルブソケットの前面図、側面図、背面図である。
【図５】バルブソケットの取付動作を示す模式図である。
【図６】バルブソケット取付状態の模式斜視図とリフレクタの前面図である。
【図７】従来のバルブソケット取付構造の一例の分解斜視図である。
【図８】図７のバルブソケット取付構造の断面図と取り付けた状態のリフレクタの前面図である。
【図９】従来の他の例のバルブソケット取付構造の断面図と取り付けた状態のリフレクタの前面図である。
【符号の説明】
１ 車両用灯具
２ リフレクタ
３ レンズ
４ バルブソケット
５ バルブ
２１ 反射面
２２ ソケット取付筒部
２３ 嵌合突起
２４ 閉塞突起
４１ ソケット本体
４２ 嵌合溝
４２１ 前端部
４２２ 後端部
４２３ ロック用突起
４４ シールリング

Claims (3)

1. 反射面を有するリフレクタにバルブソケットを用いてバルブを支持する構成の車両用灯具であって、前記バルブソケットは、円筒状をしたソケット本体と、前記ソケット本体の外周面に形成されソケット本体の前端面から後端部に向けて傾斜した嵌合溝とを備え、前記リフレクタは、後方に向けて突出された前記ソケット本体の外径とほぼ同じ内径寸法のソケット取付筒部と、前記ソケット取付筒部の後部寄りの内周面に内径方向に突出形成され前記嵌合溝に嵌合可能な嵌合突起と、前記ソケット取付筒部の前端部の内周面に内径方向に突出形成され前記嵌合溝の前端部を閉塞可能な閉塞突起とを備えることを特徴とする車両用灯具。
2. 前記バルブソケットを前記リフレクタに取着したときに、前記ソケット本体の前端面が前記閉塞突起の前端面とほぼ同一面に位置されることを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。
3. 前記ソケット本体の外周面には、前記ソケット取付筒部の内面に弾接して防水を行うシールリングが嵌着されていることを特徴とする請求項１または２に記載の車両用灯具。

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