JP3888154B2 - 変調信号発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイレクトデジタルシンセサイザ方式による信号発生原理を使用した変調信号発生装置に関し、特に、ダイレクトデジタルシンセサイザ方式を用いて任意の変調周波数で周波数シフトキーイング変調機能等を実現する変調信号発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、正弦波、方形波、三角波等の各種波形の信号を発生させるダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)方式の信号発生原理は、従来から知られている。ここで、このDDS方式信号発生器について説明する。
【0003】
従来知られているDDS方式の信号発生器は、図5の回路ブロック構成に示されるように、周波数レジスタ1、累積加算器2、加算結果を格納する累積加算レジスタ3、波形メモリ4、D/A変換器5、ローパスフィルタ6から構成されており、これらの各構成要素は、同一クロックに同期して動作するものである。図5の信号発生器では、正弦波信号を出力する場合を示している。
【0004】
累積加算器2と累積加算レジスタ3とでアドレス演算器を構成している。累積加算器2の一方の入力端子には、周波数レジスタ1から周波数データが入力され、累積加算器2の出力は、累積加算レジスタ3を介してさらに累積加算器2の他の入力端子に入力される。波形メモリ4には、正弦波に係る波形データが記憶され、アドレス演算器で求められたアドレスデータにより、当該アドレスに記憶された波形デジタルデータが読み出される。波形メモリ4から読み出された波形デジタルデータは、DA変換器5、ローパスフィルタ6に送出されて、所定の周波数を有する正弦波信号が生成され、信号発生器の出力波形信号Sとなる。
【0005】
このような構成において、累積加算器2に周波数レジスタ1から、周波数データnが与えられたとする。このとき、累積加算器2の他方の入力端子は、0であるとすると、累積加算器2は、システムクロックに同期してデータnを累積加算レジスタ3に出力し、累積加算レジスタ3は、そのままデータnを波形メモリ4に送出する。このデータnは、波形メモリ4の最初のアドレスとなる。一方、累積加算レジスタ3の出力は、累積加算器2の他方の入力端子にも供給されているので、その結果、累積加算器2は、次のシステムクロックに同期して周波数データ2nを出力することになる。この様にして、累積加算器2は、これ以降、クロックに同期して、データ3n、4n…を波形メモリ4に順次送出する。これらのデータが、波形メモリ4の読み出しアドレスを指定することになり、波形メモリ4は、この指定されたアドレスに従って、波形に係るデジタルデータを発生する。波形メモリ4に、正弦波以外にも、方形波、三角波に係るデジタルデータを記憶しておくことにより、DDS方式信号発生器として正弦波以外の波形の信号Sを出力することができる。
【0006】
なお、ここでは、加算レジスタ3には、一般的な同期回路設計によるものを使用することを想定しているため、同期をとるためのシステムクロックが入力されているが、図5に示した回路ブロック構成では、図を簡単化し、DDS方式信号発生器の基本的なブロックを示したので、システムクロック供給の関連部分について省略している。
【0007】
図5には、任意のアナログ波形信号Sを出力できるDDS方式信号発生器の回路ブロック構成を示したが、このDDS方式信号発生器を用いて、周波数シフトキーイング(FSK)を内部変調で実現することができる。この具体例を、図6に示した。
【0008】
図6では、図5に示したDDS方式の信号発生器を用いているので、該信号発生器と同じ部分には同じ符号を付した。図6の信号発生器が、図5の信号発生器と異なるところは、周波数シフトキーイングを内部変調で実現するために、周波数レジスタ1と累積加算器2との間に、破線で囲まれているように、FSK周波数レジスタ7と周波数セレクタ8とが挿入されていることである。
【0009】
そこで、周波数セレクタ8に入力される制御信号CS1によって、周波数レジスタ1とFSK周波数レジスタとの出力値を切替えることにより、信号発生器の出力信号として、周波数シフトキーイングされたアナログ波形信号SFSKを出力することができる。
【0010】
また、図6に示した信号発生器では、DDS方式の信号発生器では、FSK変調のみを実現する構成となっているが、実際の機器へのDDS方式信号発生器に変調機能を組み込むとき、一般には、FSK変調、位相シフトキーイング(PSK)変調、FM変調、PM変調の種々の内部変調を一つのDDS方式の信号発生器において実現することが行われている。この場合には、図7に示すように、図6に示された信号発生器において基本としているDDS発振器を第1のDDS発振器とすれば、さらにもう一つの第2のDDS発振器を設けて、各変調方式の内部変調を実現している。
【0011】
FSK周波数レジスタ7、変調周波数レジスタ11、PSK周波数レジスタ15の各々は、CPUなどから値を設定されるレジスタであり、そして、変調加算レジスタ13、メモリ出力レジスタ19のいずれも、システムクロックが入力されて同期しているが、図5及び図6の信号発生器におけると同様に、図を簡単化して見やすくするために、システムクロック供給の関連部分を省略している。
【0012】
ここで、図7に示されたDDS方式の信号発生器において、各変調方式による変調機能を実現する場合について説明する。
【0013】
先ず、FM変調機能を実現する場合には、第2のDDS発振器において、変調周波数レジスタ11に変調周波数を設定し、変調累積加算器12と変調加算レジスタ13で累積加算を行う。変調波形メモリ14には、予め変調波形データが格納されている。変調加算レジスタ13の出力値をアドレスとして、変調波波形メモリ14からそのアドレスに対応する変調周波数に従って、変調波形データを出力する。変調波形データを周波数レジスタ1の値と周波数加算器9で加算し、累積加算器2に入力する。このとき、周波数セレクタ8は、制御信号CS1に応じて周波数加算器9の出力を選択し、累積加算器2にその出力を送出する。PSKセレクタ18は、制御信号CS2に応じて加算レジスタ3の出力を選択する。周波数を決定する累積加算器2の加算値は、第2のDDS発振器の出力が周波数加算器9で周波数レジスタ1の値に加算されて変わっていくので、DDS方式の信号発生器の出力信号Sは、FM変調信号SFMとなる。
【0014】
また、PM変調機能を実現する場合には、第2のDDS発振器において変調周波数レジスタ11に変調周波数を設定し、変調累積加算器12で、変調周波数レジスタ11の値と変調加算レジスタ13の出力値との累積加算を行う。変調波形メモリ14には、予め変調波形データが格納されているので、その変調波形メモリ14から変調周波数に従って変調波形データを出力する。PMセレクタ16は、制御信号CS3に応じてこの変調波形データを選択し、PM加算器17に出力する。そこで、変調波形データは、PM加算器17で加算レジスタ3の値と加算される。PSKセレクタ18は、制御信号SC2に応じてPM加算器17の出力を選択する。ここで、加算レジスタ3の値は、出力波形の位相に相当している。周波数を決定する累積加算器2の加算値は変わらずに、出力波形の位相に相当する加算レジスタ3の値と変調波形データとを加算していくため、DDS方式の信号発生器の出力信号Sは、PM変調信号SPMとなる。
【0015】
さらに、図7のDDS方式の信号発生器においてFSK変調機能を実現する場合には、図6に示した回路構成になるように、各々の加算器、各々のセレクトの動作状態を選択すればよい。周波数加算器9は、周波数レジスタ1の値を加算せずにそのまま周波数セレクタ8に出力し、周波数セレクタ8は、制御信号CS1によって切替えられ、周波数レジスタ1の値又はFSK周波数レジスタ7の値を累積加算器2に出力する。そして、加算レジスタ3の出力は、制御信号CS2で選択動作するPSKセレクタ18によって、波形メモリ4に出力される。この様にして、DDS方式の信号発生器は、出力信号Sとして、周波数シフトキーイング信号SFSKを出力することができる。
【0016】
以上の様にして、第1及び第2のDDS発振器を有するDDS方式の信号発生器において、備えられた加算器への信号入力の仕方、そして、制御信号の供給による各セレクタの選択の仕方を工夫することによって、各種の変調機能を実現することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明してきたDDS方式の信号発生器において、FSK変調を内部変調で行わせたい場合には、信号発生器の機器内部に別の発振器を設け、該発振器の出力によって周波数の切替えを制御することになる。
【0018】
そこで、周波数を切替える信号生成のために、DDS発振器とは別の発振器を内部に用意した場合、別の発振器において、その切替周波数とデューティ比を自由に設定できる機能を持たせるには、一般的に、大がかりな回路を必要とするばかりでなく、また、それらの回路を制御することも必要となる。例えば、周波数を自由に設定できる回路を設け、さらに別途のカウンタを設けてデューティ比を制御しようとした場合、周期に対して時間を換算しカウンタに設定しなければならない。つまり、周波数を変えると、それに応じてカウンタの設定も変えなければならない。また、単安定マルチバイブレータでパルスを作成したとしても、同様に、周期に対して時間を換算し設定しなければならず、複雑な信号処理を行わなければならない。
【0019】
一方、DDS方式の信号発生器において、FM変調やPM変調などの変調機能を搭載する場合には、上述の図7に示すように、通常、もう一つの第2のDDS発振器が備えられている。そのため、この発振器の回路構成を利用することも考えられる。それは、第2のDDS発振器における変調周波数レジスタ11、変調累積加算器12及び変調加算レジスタ13を利用するものである。例えば、変調加算レジスタ13の最上位ビットMSBの出力は、方形波信号となっていることから、この出力を制御信号CSとして使用することができる。これによると、制御信号CSの周波数については、比較的簡単かつ自由に設定できる。しかし、その制御信号CSのデューティ比は、固定のままとなってしまう。そのため、FSK変調機能としては限定的な使用となり、任意のFSK変調を実現しずらいものになっている。
【0020】
そこで、本発明の目的は、DDS方式の信号発生器において、FSK変調等を内部変調で行う場合、DDS発振器の構成を利用して比較的簡単に切替周波数及びデューティ比の変更を可能にした変調信号発生装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明では、第1信号又は第2信号に基づいて変調信号を生成する第1ダイレクトデジタルシンセサイザを有する変調信号発生装置において、第1信号と第2信号とを、所定周期において所定レートで切替える切替え手段と、前記周期で変化するランプ波状の信号を発生する第2ダイレクトデジタルシンセサイザと、該ランプ波状の信号と任意の設定値とを比較して、前記レートに対応するデューティ比を有する制御信号を生成する制御信号生成手段とを備え、前記制御信号によって、第1信号と第2信号とを切替えて前記変調信号を発生するようにした。
【0022】
そして、第1信号と第2信号の周波数が互いに異なるようにし、あるいは、第1信号と第2信号の位相が互いに異なるようにし、さらに、第1信号及び第2信号が、レジスタに夫々設定された値に応じて生成されるものとした。
【0023】
また、第2ダイレクトデジタルシンセサイザには、変調周波数レジスタの所定値に基づいて累積加算した値を出力する変調加算レジスタを含め、前記ランプ波状の信号は、前記変調加算レジスタの出力とした。
【0024】
そして、前記制御信号は、前記変調加算レジスタから出力される前記ランプ波状の信号と、デューティ設定レジスタから出力される前記任意の設定値とがデジタルコンパレータによって比較されることにより生成されるようにした。
【0025】
このような構成によれば、DDS方式を応用した変調信号発生装置において、内部変調でFSK変調等を行う場合、変調周波数を自由に設定でき、そして、第2ダイレクトデジタルシンセサイザにおける変調累積加算の出力は、所定周波数の周期で単調増加を繰り返し、その出力信号は、該周期を持ったランプ波状になるため、デジタルコンパレータを使用して、該ランプ波状の信号に対する比較値を変えることにより、切替えのための制御信号のデューティ比を任意に変更することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のDDS方式による変調信号発生装置に係る実施形態について、図を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明のDDS方式の変調信号発生装置に係る回路ブロック構成の一具体例を示しており、FSK変調機能のみの場合に注目した回路構成例である。ここで採用した変調信号発生装置の回路構成は、図7に示されるDDS方式の信号発生器のように、第1及び第2のDDS発振器を備えた回路ブロック構成を基本とし、図1において、図7と同様の部分には、同一の符号を付してある。なお、図1においては、FSK変調機能の実現に注目しているので、図7の信号発生器における周波数加算器9を省略してある。
【0028】
1は周波数レジスタ、2は累積加算器、3は加算レジスタであり、これらによって第1のDDS発振器を構成している。そこで、FSK変調機能を実現する場合には、従来技術で説明したように、周波数を切替えなければならない。そのため、周波数レジスタ1と累積加算器2との間に、周波数セレクタ8が接続され、周波数セレクタ8は、FSK周波数レジスタ12と、周波数レジスタ1との出力を切替えて累積加算器2にその出力を送出できる。
【0029】
また、FSK変調を実現するため、周波数セレクタ8を制御信号CS1で制御し、FSK周波数レジスタ12と、周波数レジスタ1との出力値を、任意に設定される所定キーレートで切替えて送出するが、本実施形態では、変調波用に、特別の発振器を設けることなく、第1のDDS発振器の他にもう一つ備えられている第2のDDS発振器を利用することを特徴としている。従来においては、制御信号CS1として、変調加算レジスタ13の最上位ビットMSBを用いていたが、本実施形態のFSK変調機能では、変調加算レジスタ13の出力信号が、変調周波数レジスタ11の周波数を有するランプ波状になっていることに着目して、このランプ波形信号を制御信号の生成に利用している。このランプ波状の信号から任意の所定キーレートに対応するデューティ比を有する制御信号CS1を生成することとした。
【0030】
ここで、任意のデューティ比による制御信号CS1の生成について、図2の信号波形図を参照して説明する。変調加算レジスタ13の出力信号の波形を、図2に太線で示した。この出力信号の波形は、単調増加が所定の切替周波数で繰り返されるランプ波状となっている。そこで、このランプ波状の信号と所定の設定値とを比較することにより、FSK変調に必要な所定キーレートのデューティ比が簡単に得られることが分かる。図2では、レベルの異なる設定値TH1乃至TH3と、変調加算レジスタ13の出力ランプ波状の信号とを比較して、幅の異なるハイレベル区間T1乃至T3を有する制御信号CS1乃至CS3が生成されている様子を示している。
【0031】
そこで、図1のDDS方式の信号発生器においては、周波数セレクタ8に供給される制御信号CS1を生成するために、第2のDDS発振器における変調加算レジスタ13の出力側にデジタルコンパレータ22を接続している。デジタルコンパレータ22の一方の入力に変調加算レジスタ13の出力ランプ波形信号を入力し、デジタルコンパレータ22の他方の入力には、デューティ設定レジスタ21に設定されている設定値を入力する。この様にすると、その設定値のレベルに応じたデューティ比を有する制御信号CSが生成され、周波数セレクタ8がそのデューティ比に応じて切替え動作し、周波数レジスタ1の出力値又はFSK周波数レジスタ7の出力値を選択的に累積加算器2に供給する。
【0032】
デジタルコンパレータ22の出力を周波数セレクタ8の制御信号CS1として供給することにより、累積加算器2への入力は、周波数レジスタ1又はFSKレジスタ7のどちらか選択された方の値となる。また、FSK変調の切替周波数を、変調周波数レジスタ11により自由に設定できるだけでなく、新たに設けたデジタルコンパレータ22及びデューティ比設定レジスタ21を使用すれば、デューティ比設定レジスタ21に設定した値に応じて、キーレートに対応するデューティ比も自由に設定することが可能となる。
【0033】
なお、デューティ設定レジスタ21には、複数のレベルを有する設定値が設定されていると、図2に示されるように、デジタルコンパレータ22は、異なるデューティ比を有する信号を出力できるので、この設定値を変更することにより、制御信号CSについて、任意にデューティ比を調整した制御信号CSを供給することができる。また、周波数レジスタ1と、FSK周波数レジスタ7と、変調周波数レジスタ11と、さらに、デューティ比設定レジスタ21とは、CPUなどから書換え可能なレジスタで構成されている。
【0034】
そして、図1に示したDDS方式の信号発生器においても、図5乃至図7の信号発生器と同様に、一般的な同期回路設計を想定しているため、加算レジスタ3、変調加算レジスタ13には、システムクロックが入力されているが、図を簡単化し、見やすくするために、システムクロック供給の関連部分を省略している。
【0035】
この様に、本実施形態のDDS方式の信号発生器においては、各種変調機能を実現するために元々備えられている第2のDDS発振器の一部を構成する変調加算レジスタの出力特性を利用しており、任意のデューティ比を有する制御信号の生成のために、特別な、そして複雑な回路を備える必要がなく、デジタルコンパレータとデューティ設定レジスタの組合せといった簡単な回路構成を付加するだけで、任意のFSK変調を実現することができる。
【0036】
以上に説明した実施形態では、図1に示されるように、FSK変調機能を有するDDS方式の変調信号発生装置においてFSK変調機能を実現する場合を中心にした適用例を示した。次に、図1の実施形態で示された制御信号CSの生成原理を利用すれば、DDS方式の変調信号発生装置において、位相シフトキーイング(PSK)変調機能の実現も可能になる。そこで、その同じ原理を利用して、位相シフトキーイング(PSK)変調機能を実現する場合の適用例について説明する。
【0037】
図3に、DDS方式の変調信号発生装置においてPSK変調機能のみに注目した回路ブロック構成の具体例を示した。ここで採用した変調信号発生装置の回路構成は、図7に示されるDDS方式の信号発生器のように、第1及び第2のDDS発振器を備えた回路構成を基本とし、図3においても図1と同様に、図7と同様の部分には、同一の符号を付してある。なお、図3における回路ブロック構成では、PSK変調機能の実現に注目しているので、図7の信号発生器における周波数セレクタ8、周波数加算器9、PMセレクタ16を省略して示した。
【0038】
そして、図3に示したDDS方式の信号発生器においても、図5乃至図7の信号発生器と同様に、一般的な同期回路設計を想定しているため、加算レジスタ3、変調加算レジスタ13、メモリ出力レジスタ19には、システムクロックが入力されているが、図を簡単化し、見やすくするために、システムクロック供給の関連部分を省略している。
【0039】
図3に示したDDS方式の信号発生器では、PSKレジスタ15とPM加算器17とPSKセレクタ18が設けられている。PSKセレクタ18の制御信号CS2として、デジタルコンバレータ22の出力を使用している。
【0040】
PM加算器17の一方の入力には、累積加算レジスタ3の出力が接続される。そして、その他方の入力には、PSKレジスタ15が接続される。PM加算器17の出力は、PSKセレクタ18の一方の入力に供給され、そのもう一方の入力には、累積加算レジスタ3の出力が供給される。
【0041】
このように回路ブロック構成において、デジタルコンパレータ22の出力をPSKセレクタ18の制御信号CS2とすることにより、PSKセレクタ18の出力は、累積加算レジスタ3とPM加算器17のどちらか選択された方の値となり、この選択された値が、波形メモリ4の読み出しアドレスとなる。そして、デューティ設定レジスタ15の設定値に応じて任意のデューティ比を有する制御信号CS2によって、その選択が行われ、DDS方式の信号発生器の出力信号Sとして、位相シフトキーイング変調されたアナログ変調信号SPSKが出力される。
【0042】
これまで、本実施形態による制御信号CSの生成原理について、FSK変調機能又はPSK変調機能に対して単独に適用した具体例を挙げて、変調機能の実現を説明してきたが、実際には、図7に示されるように、第1及び第2のDDS発振器を用い、各種変調機能を搭載したDDS方式の信号発生器が使用されている。そこで、実際のDDS方式の信号発生器に、本実施形態によって生成される制御信号を適用した回路ブロック構成例について、図4に示した。
【0043】
図4に示したのDDS方式の信号発生器の回路構成が、図7におけるDDS方式の信号発生器のそれと異なる点は、図7に示した回路構成では、制御信号として、第2のDDS発振器における変調加算レジスタ13の最上位ビットMSBの値を利用していたのに対し、図4に示した回路構成では、変調加算レジスタの出力にデューティ設定レジスタ21とデジタルコンパレータ22を接続して、制御信号を生成するようにしたことである。これらの回路接続によって、デューティ設定レジスタ21の設定値を任意に設定することができるようになり、変調周波数の周期で変化し、その設定値に応じて任意のデューティ比を有する制御信号CSを生成することができる。
【0044】
生成された制御信号CSは、DDS方式の信号発生器の出力として必要な変調機能に対応して、各セレクタに供給されるようになっている。例えば、FSK変調機能を実現しようとするものであれば、図1に示した回路構成になるように、あるいは、PSK変調機能を実現しようとするものであれば、図3に示した回路構成となるように、各加算器の動作状態と、各セレクタの動作状態とを適宜組み合わせて回路を構成する。この様にして、FM変調、PM変調、FSK変調、PSK変調の各種変調機能を実現でき、DDS方式の信号発生器は、変調されたアナログ変調信号SFM、SPM、SFSK、SPSKを各々出力することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上の様に、本発明では、DDS方式の信号発生器に備えられた第2のDDS発振器から出力されるランプ波状の信号を利用して制御信号を生成できるようにしたので、生成される制御信号は、第2のDDS発振器によって自由に設定された切替周波数を含んでいるだけでなく、任意のキーレートに対応するデューティ比を有する制御信号を生成できる。
【0046】
そして、ランプ波状の信号と比較する設定値を複数用意しておけば、制御信号のデューティ比について、固定値又は任意の所定値を選択的に変化させることができ、所望する変調度の変調機能を実現することができる。
【0047】
また、制御信号の生成には、第2のDDS発振器のランプ波状の信号を用いたので、制御信号のデューティ比を任意に設定できる特別な発振器を備える必要がなく、デジタルコンパレータとデューティ設定レジスタを接続するだけであるので、簡単な回路構成によって、所望する変調度の変調機能を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を周波数シフトキーイング変調に適用したDDS方式の信号発生器の回路ブロック構成を示す図である。
【図2】本発明で生成される制御信号の生成原理を説明する図である。
【図3】本発明を位相シフトキーイング変調に適用したDDS方式の信号発生器の回路ブロック構成を示す図である。
【図4】本発明によるDDS方式の信号発生器において、各種変調を組み合わせて内部変調を実現した回路ブロック構成を示す図である。
【図5】従来のDDS方式の信号発生器に係る回路ブロック構成を示す図である。
【図6】周波数シフトキーイング変調を適用した従来のDDS方式の信号発生器の回路ブロック構成を示す図である。
【図7】従来のDDS方式の信号発生器において、各種変調を組み合わせて内部変調を実現した回路ブロック構成を示す図である。
【符号の説明】
1…周波数レジスタ
2…累積加算器
3…累積加算レジスタ
4…波形メモリ
5…D/A変換器
6…ローパスフィルタ
7…FSK周波数レジスタ
8…周波数セレクタ
9…周波数加算器
11…変調周波数レジスタ
12…変調累積加算器
13…変調加算レジスタ
14…変調波形メモリ
15…PSK周波数レジスタ
16…PMセレクタ
17…PM加算器
18…PSKセレクタ
19…メモリ出力レジスタ
21…デューティ設定レジスタ
22…デジタルコンパレータ
Claims (6)
- 第1信号又は第2信号に基づいて変調信号を生成する第1ダイレクトデジタルシンセサイザと、
第1信号と第2信号とを、所定周期において所定レートで切替える切替え手段と、
前記周期で変化するランプ波状の信号を発生する第2ダイレクトデジタルシンセサイザと、
前記ランプ波状の信号と任意の設定値とを比較して、前記レートに対応するデューティ比を有する制御信号を生成する制御信号生成手段とを有しており、
前記制御信号によって、第1信号と第2信号とを切替えて前記変調信号を発生することを特徴とする変調信号発生装置。 - 第1信号と第2信号の周波数が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の変調信号発生装置。
- 第1信号と第2信号の位相が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の変調信号発生装置。
- 第1信号及び第2信号は、レジスタに夫々設定された値に応じて生成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の変調信号発生装置。
- 第2ダイレクトデジタルシンセサイザは、変調周波数レジスタの所定値に基づいて累積加算した値を出力する変調加算レジスタを含み、前記ランプ波状の信号は、前記変調加算レジスタの出力であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の変調信号発生装置。
- 前記制御信号は、前記変調周波数レジスタから出力される前記ランプ波状の信号と、デューティ設定レジスタから出力される前記任意の設定値とがデジタルコンパレータによって比較されることにより生成されることを特徴とする請求項5に記載の変調信号発生装置。
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