JP3887974B2 - 折板屋根の支持構造、支持部材及び支持方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば広く建築物の屋根の支持構造に関し、特に金属折板を用いた建築物の折板屋根の支持構造、支持部材及び支持方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の折板屋根の支持構造を示す断面図、図7は図6のA−A線断面図、図8は従来の断熱折板屋根の支持構造を示す断面図、図9は図8のB−B線断面図である。
図において、1は建築物の母屋、2は母屋1上に設置したタイトフレーム、3はタイトフレーム2に締着具であるボルト4aとナット4bによって固定された吊子、3aは吊子3の下端側に設けられた貫通穴、5はタイトフレーム2と吊子3によって支持される両端にはぜ部5aを有する金属折板である。
【0003】
このようなはぜ式の金属折板5の場合、タイトフレーム2は通常、鋼帯をプレス成型加工するなどして金属折板5の略断面形状に構成される。
そして、タイトフレーム2が金属折板5と同様の断面形状を呈する場合は、母屋1上に設置されたタイトフレーム2の両端側の上部水平部分から直角に下方に折れ曲がった両端部2aに吊子固定用のボルト穴6が開けられており、隣り合うタイトフレーム2の両端部2aの間に吊子3の下端側を介装させ、その両端部2aの吊子固定用のボルト穴6と吊子3の貫通穴3aにボルト4aを螺合し、そのボルト4aにナット4bを締着することにより、隣り合うタイトフレーム2の両端部2aに吊子3を固定するようにしている。このとき、吊子3の高さはタイトフレーム2の上部水平部分が金属折板5のはぜ部5aに隣接する水平肩部分5bを支持可能な高さとほぼ同一の高さとなるように設定する。
【0004】
次いで、隣り合うタイトフレーム2の両端部2aに固定された吊子3に隣り合う金属折板5の両端部のはぜ部5aを嵌合させ、金属折板5の仮葺きを行う。その際、金属折板5は隣り合う金属折板5に対して、はぜ部5aが下側となる側から葺き、当該はぜ部5aに次に葺く金属折板5のはぜ部5aをかぶせて順次仮葺きを進める。
金属折板5の仮葺きが終了した後、はぜ締め機を用いてはぜ部5aを締め込み、折板屋根が構成される。
また、断熱折板の支持構造では特開平10−245940号公報に記載の断熱屋根構造がある。これは母屋上に設置するタイトフレーム間の折板を架設する長手方向に断熱支持材を架設し、その後その架設した断熱支持材上に断熱材を載置し、その上に折板屋根を敷設した断熱屋根工法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の折板屋根の支持構造では、隣り合うタイトフレーム2の両端部2aに固定された吊子3に金属折板5の両端部のはぜ部5aを嵌合させ、タイトフレーム2と吊子3とで金属折板5を支持するものであるが、金属折板5を葺いた場合に、図6に示すようにタイトフレーム2と金属折板5に数mmの隙間を生じて固定される。
また、この支持構造ではタイトフレーム2の全体で直接金属折板5の全体を支持していないばかりか、上部水平部分で金属折板5のはぜ部5a近傍の水平部分も支持しておらず、タイトフレーム2の形状を金属折板5の略断面形状とする合理的根拠がなく、その形状、加工に無駄があるものであった。
さらに、図8に示すように金属折板5の裏面に表面被覆シート8で覆われたマット状の断熱材7を配置して構成した断熱折板屋根の場合、断熱材7の厚さが厚くなったときには、金属折板5とタイトフレーム2の間に断熱材7が挟み込まれることにより、金属折板5の設置が不能となるか、設置が可能だった場合でも、断熱材7の圧密により断熱性能が著しく低下するという問題があった。
【0006】
また、図8に示すように、タイトフレーム2の端部側の上部水平部分と斜辺部分との接点部分(肩部分)や図9に示すようにタイトフレーム2の縁部分が断熱材7に強く押し込まれるため、表面被覆シート8や断熱材7が切断されてしまう危険がある。その場合、冬季においては断熱材7の内部に結露を生じる危険もあり、本来の断熱折板屋根の機能を発揮できなくなる可能性が高い。
また、吊子3の高さは若干調整が可能で、タイトフレーム2と金属折板5の間隔を5〜10mm程度あけられるものもあるが、例えば断熱材7を50mm厚のロックウール或いはグラスウールとした場合では、上記の問題の解決は困難であった。
そこで、断熱材7の厚さによって吊子3を変更することで対処することも考えられるが、例えば、断熱材なし、厚さ25mm用、50mm用の吊子3を用意することはコストアップにつながり、また誤使用によって現場でトラブルになる可能性も考えられる。
【0007】
さらに、特開平10−245940号公報に記載の断熱屋根構造は、断熱材と折板を別工程で施工するため、本願出願人が既に出願し、出願公開された特開平7−150697号公報に記載の金属複合屋根の施工方法に比べて工数が多い。また、特開平7−150697号公報に記載のはぜ式の金属複合屋根材を施工する場合、従来のタイトフレーム式の支持構造と同様にタイトフレーム上片部で表面被覆材及び断熱材を圧密、切断等の損傷を与える危険は解決されていない。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、タイトフレームの無駄をなくして金属折板を支持でき、さらに任意の厚さの断熱材を裏張りした折板屋根においても、断熱材を圧密、或いは切断するおそれがなく、断熱性能や耐久性が損なわれず、コストも上昇しない折板屋根の支持構造を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る折板屋根の支持構造は、母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子と、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板とを備え、前記金属折板に裏張りされた断熱材の厚さが、金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離未満であり、金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置させられ、吊子及び吊子取付部材が断熱材を圧密しないようにしたものである。
また、上記吊子取付部材又は上記吊子の両側に上記金属折板に裏張りされた断熱材の斜辺部の一部を受ける断熱材受け材をそれぞれ取り付けたものである。
【0010】
本発明に係る折板屋根の支持部材は、母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子とを備え、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と、当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置可能な大きさ、形状としたものである。
【0011】
本発明に係る折板屋根の支持方法は、母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子と、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板とを備えた折板屋根の支持方法であって、前記金属折板に裏張りされた断熱材の厚さを、金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離未満とし、金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と当該吊子が固定された吊子取付部材を、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置し、吊子及び吊子取付部材が断熱材を圧密しないようにしたものである。
【0012】
本発明の折板屋根の支持構造及び支持方法においては、母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子と、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板とを備え、前記金属折板に裏張りされた断熱材の厚さが、金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離未満であり、金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置させられ、吊子及び吊子取付部材が断熱材を圧密しないようにしたから、金属折板に断熱材が裏張りされたとしても、その断熱材の厚さは金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離以上になることはないため、任意の厚さの断熱材を金属折板に裏張りした断熱折板屋根においても、吊子と吊子取付部材とが断熱材を圧密、或いは切断する危険がなくなり、断熱性能や耐久性が損なわれることもなく、しかも断熱材を裏張りしない金属折板に用いられる吊子と吊子取付部材と同一のものの使用でよいため、誤使用による現場のトラブルがなく、かつコストも上昇しない。
【0013】
本発明の折板屋根の支持構造においては、吊子取付部材又は吊子の両側に金属折板に裏張りされた断熱材の斜辺部の一部を受ける断熱材受け材をそれぞれ取り付けたから、断熱材が脱落する危険がなく、また常時は断熱材を圧密せずに保持が可能となり、耐久性の保持に効果がある。
【0014】
本発明の折板屋根の支持部材においては、母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子とを備え、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と、当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置可能な大きさ、形状にさせられたから、金属折板と同様の断面形状を有するタイトフレームと同様の機能を確保しつつ、材料費が減り、施工・加工コストが低減され、しかも折板屋根全体が軽くなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る断熱折板屋根の支持構造を示す断面図である。図において、従来例と同一の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。
10は高さが150mmのL字状の吊子取付部材で、L−150×90、板厚9mmの不等辺山形鋼を幅50mmに切り出して形成されている。この吊子取付部材は母屋1の上フランジ上に幅方向が母屋と直交方向となるように500mm間隔で配置され、溶接或いはボルト等の固定手段で固定されている。11は母屋1の上フランジ上に固定された吊子取付部材10の立ち上がり部に形成された円形の吊子取付用ボルト穴である。12は吊子取付部材10に取り付けられる吊子、13は吊子12の下端側に形成された取付穴、14は吊子12の上端に形成されたはぜ受け部である。
【0016】
次に、本発明の実施の形態1の断熱折板屋根の支持構造について説明する。
まず、母屋1の上フランジ上に固定された吊子取付部材10の吊子取付用ボルト穴11に吊子12の取付穴13を整合させ、これらの吊子取付用ボルト穴11と取付穴13にボルト15を螺合し、そのボルト15にナット16を締着して吊子取付部材10に吊子12を取り付ける。
次に、その吊子12に金属折板5の端部に設けられたはぜ部5aをそれぞれ嵌合させ、金属折板5の仮葺きを行う。その際、金属折板5は隣り合う金属折板5に対して、はぜ部5aが下側となる側から葺き、当該はぜ部5aに次に葺く金属折板5のはぜ部5aをかぶせて順次仮葺きを進める。このとき、吊子取付部材10とその吊子取付部材10に固定された吊子12とが、金属折板5のはぜ部5aのはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板5の斜辺部分と平行な平行面と母屋1の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置させられている。
こうして金属折板5の仮葺きが終了したあと、はぜ締め機をもちいてはぜ部5aを締め込み、吊子12に金属折板5が支持された折板屋根が構成される。
【0017】
このように、金属折板5のはぜ部5aが嵌合させられたはぜ受け部14を有する吊子12と当該吊子12が固定手段であるボルト15とナット16とで固定された吊子取付部材10とが、金属折板5のはぜ部5aのはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板5の斜辺部分と平行な平行面と母屋1の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置可能な大きさ、形状にさせられたから、金属折板5と同様の断面形状を有するタイトフレームと同様の機能を確保しつつ、材料費が減り、施工・加工コストが低減され、しかも折板屋根全体が軽くなる。
【0018】
実施の形態2.
図2は本発明の実施の形態2に係る断熱折板屋根の支持構造を示す断面図、図3は同断熱折板屋根の支持構造に用いられる吊子取付部材の変形例を示す断面図である。
この実施の形態2は、実施の形態1の金属折板5に断熱材7が裏張りされた例を示すもので、それ以外の構成は実施の形態1と同様である。
この実施の形態2では、母屋1の上フランジ上に固定された吊子取付部材10に吊子12を取り付けた後、その吊子12に断熱材7が裏張りされた金属折板5の端部に設けられたはぜ部5aをそれぞれ嵌合させ、金属折板5の仮葺きを行う。
【0019】
その際、金属折板5は隣り合う金属折板5に対して、はぜ部5aが下側となる側から葺き、当該はぜ部5aに次に葺く金属折板5のはぜ部5aをかぶせて順次仮葺きを進める。このとき、吊子取付部材10とその吊子取付部材10に固定された吊子12とが、金属折板5のはぜ部5aのはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板5の斜辺部分と平行な平行面と母屋1の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置させられている。
こうして金属折板5の仮葺きが終了した後、はぜ締め機を用いてはぜ部5aを締め込み、吊子12に断熱材7が裏張りされた金属折板4が支持された断熱折板屋根が構成される。
【0020】
このように、金属折板5のはぜ部5aが嵌合させられたはぜ受け部14を有する吊子12と当該吊子12が固定手段であるボルト15とナット16とで固定された吊子取付部材10とが、金属折板5のはぜ部5aのはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板5の斜辺部分と平行な平行面と母屋1の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置させられたから、金属折板5に断熱材7が裏張りされたとしても、その断熱材7の厚さは金属折板5の斜辺部分からはぜ部5aのはぜ立ち上がり部分を始点とした該斜辺部分と平行な平行面までの距離以上になることはないため、任意の厚さの断熱材7を金属折板5に裏張りした折板屋根においても、吊子12と吊子取付部材10とが断熱材7を圧密、或いは切断する危険がなくなり、断熱性能や耐久性が損なわれることもなく、しかも断熱材7を裏張りしない金属折板5に用いられる吊子12と吊子取り付け部材12と同一のものの使用でよいため、誤使用による現場のトラブルがなく、かつコストも上昇しない。
【0021】
上記実施の形態1、2の吊子取付部材10は最低1個以上の円形の吊子取付用ボルト穴11を有しているが、この吊子取付用ボルト穴11は、楕円形でもよく、またボルトの周り止め対策など、その他必要に応じて四角形やその他の形状でも良い。
また、母屋1上に所定間隔で吊子取付部材10をそれぞれ取り付けてなる例について述べたが、吊子取付部材10を予め所定の間隔で配した部材を母屋1上に設置するようにしてもよい。
さらに、L字状の吊子取付部材10に剛性確保のために、図3の(a)に示すように吊子取付部材10の立ち上がり部にリブ18を設けて補剛措置をとっても良い。
【0022】
また、吊子取付部材10は不等辺山形鋼から形成されたL字状に限定するわけでなく、図3の(b)に示すようにパイプの上部を扁平につぶし、その扁平部分に吊子取付用ボルト穴11を設けたものや、図3の(c)に示すように略L字状で、立ち上がり部に折れ曲がり部を形成した吊子取付部材10を一対組み合わせたものでもよく、金属折板5のはぜ部5a近傍の上部水平部分を支持する構成を有せず、金属折板5に裏張りした断熱材7と干渉することのない形状、寸法であれば、任意の形状、寸法を選択することができる。
【0023】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3に係る断熱折板屋根の支持構造を示す断面図、図5は同断熱折板屋根の支持構造の変型例を示す断面図である。
この実施の形態3は、吊子取付部材10の両側に断熱材7を受ける断熱材受け材20を取り付けたものである。
この断熱材受け材20は吊子取付部材10の幅と同程度の幅のアルミ板材を折り曲げて形成したもので、断熱材7の勾配と略同一の勾配を有する断熱材受け部20aと、断熱材受け部20aの端部から折れ曲がって水平な水平部20bと、水平部20bの端部から直角に下方に折れ曲がり、取付穴21を有する取付部20cとからなる。また、吊子取付部材10には受け材取付穴22が設けられている。
【0024】
かかる断熱材受け材20の吊子取付部材10への取り付けは次のようにして行う。
吊子取付部材10の両側にそれぞれ断熱材受け材20の取付部20cを当接させ、吊子取付部材10の受け材取付穴22に取付部20cの取付穴21を整合させ、整合したこれらの穴にボルト23を螺合し、そのボルト23にナット24を締着して吊子取付部材10の両側にそれぞれ断熱材受け材20を取り付ける。
このようにして吊子取付部材10の両側にそれぞれ取り付けられた断熱材受け材20は、その断熱材受け部20aが金属折板5に裏張りされた断熱材7を受けているので、断熱材7が脱落する危険がなく、また常時は断熱材7を圧密せずに保持が可能となり、耐久性の保持に効果がある。
【0025】
上記実施の形態3では、断熱材受け材20の取付穴21および吊子取付部材10の受け材取付穴22はそれぞれ円形で1箇所設けられているが、矩形あるいは長穴としてもよく、また裏張りされる断熱材の厚さ毎に取付穴21あるいは受け材取付穴22を複数個設けてもよい。
さらに、断熱材受け材20は吊子取付部材10の幅と同程度のアルミ板材で一体に形成したが、幅を母屋のフランジ幅あるいは複数の母屋間に亘るような長尺材として連続させてもよく、材料についてもアルミ以外の金属の他、ポリカーポネートなどの合成樹脂、その他任意の材料を使用してもよい。また、複数の部品により構成することも可能である。
【0026】
図5は本発明の実施の形態3の変型例を示すもので、この断熱材受け材20は取付部20cが水平部20bの端部から直角に上方に折れ曲がって形成されたものである。その断熱材受け材20の取付部20cは吊子12を吊子取付部材10に取り付けるボルト15とナット16とを共用させて取り付けるようにしたものである。
この変型例の作用、効果は実施の形態2と同様であるので、その説明は省略する。
この変型例では、吊子取付部材10に受け材取付穴22を設けなくとも済み、構成がより簡単になる。
上記実施の形態3の変型例は、実施の形態3と同様に、断熱材受け材20の取付穴21を円形、矩形で複数設けてもよく、幅や材料等も任意に選択できる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明の折板屋根の支持構造及び支持方法によれば、母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子と、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板とを備え、前記金属折板に裏張りされた断熱材の厚さが、金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離未満であり、金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置させられ、吊子及び吊子取付部材が断熱材を圧密しないようにしたから、金属折板に断熱材が裏張りされたとしても、その断熱材の厚さは金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離以上になることはないため、任意の厚さの断熱材を金属折板に裏張りした断熱折板屋根においても、吊子と吊子取付部材とが断熱材を圧密、或いは切断する危険がなくなり、断熱性能や耐久性が損なわれることもなく、しかも断熱材を裏張りしない金属折板に用いられる吊子と吊子取付部材と同一のものの使用でよいため、誤使用による現場のトラブルがなく、かつコストも上昇しないという効果がある。
【0028】
また、本発明の折板屋根の支持構造によれば、吊子取付部材又は吊子の両側に金属折板に裏張りされた断熱材の斜辺部の一部を受ける断熱材受け材をそれぞれ取り付けたから、断熱材が脱落する危険がなく、また常時は断熱材を圧密せずに保持が可能となり、耐久性の保持に効果がある。
【0029】
本発明の折板屋根の支持部材によれば、母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子とを備え、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と、当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置可能な大きさ、形状にさせられたから、金属折板と同様の断面形状を有するタイトフレームと同様の機能を確保しつつ、材料費が減り、施工・加工コストが低減され、しかも折板屋根全体が軽くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る断熱折板屋根の支持構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る断熱折板屋根の支持構造を示す断面図である。
【図3】同断熱折板屋根の支持構造に用いられる吊子取付部材の変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る断熱折板屋根の支持構造を示す断面図である。
【図5】同断熱折板屋根の支持構造の変型例を示す断面図である。
【図6】従来の折板屋根の支持構造を示す断面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】従来の断熱折板屋根の支持構造を示す断面図である。
【図9】図8のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 母屋
5 金属折板
5a はぜ部
10 吊子取付部材で
11 吊子取付用ボルト穴
12 吊子
13 取付穴
14 はぜ受部
15 ボルト(固定手段)
16 ナット(固定手段)
Claims (4)
- 母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子と、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板とを備え、
前記金属折板に裏張りされた断熱材の厚さが、金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離未満であり、
金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置させられ、吊子及び吊子取付部材が断熱材を圧密しないことを特徴とする折板屋根の支持構造。 - 上記吊子取付部材又は上記吊子の両側に上記金属折板に裏張りされた断熱材の斜辺部の一部を受ける断熱材受け材をそれぞれ取り付けたことを特徴とする請求項1記載の折板屋根の支持構造。
- 母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子とを備え、
屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と、当該吊子が固定された吊子取付部材とが、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置可能な大きさ、形状であることを特徴とする折板屋根の支持部材。 - 母屋上に設けられた吊子取付部材と、吊子取付部材に固定手段で固定され、上端にはぜ受け部を有する吊子と、屋内側に断熱材を裏張りし、両端にはぜ部を有する金属折板とを備えた折板屋根の支持方法であって、
前記金属折板に裏張りされた断熱材の厚さを、金属折板の斜辺部からはぜ部の立ち上がり部分を始点とした該斜辺部と平行な平行面までの距離未満とし、
金属折板のはぜ部が嵌合させられたはぜ受け部を有する吊子と当該吊子が固定された吊子取付部材を、金属折板のはぜ部のはぜ立ち上がり部分を始点とした金属折板の斜辺部分と平行な平行面と母屋の上面とで囲まれる略三角形断面範囲内に配置し、吊子及び吊子取付部材が断熱材を圧密しないようにしたことを特徴とする折板屋根の支持方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP31430698A JP3887974B2 (ja) | 1998-11-05 | 1998-11-05 | 折板屋根の支持構造、支持部材及び支持方法 |
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JP31430698A JP3887974B2 (ja) | 1998-11-05 | 1998-11-05 | 折板屋根の支持構造、支持部材及び支持方法 |
Publications (2)
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