JP3886285B2 - リチウム二次電池用負極材料およびその製造方法、リチウム二次電池用負極並びにリチウム二次電池 - Google Patents
リチウム二次電池用負極材料およびその製造方法、リチウム二次電池用負極並びにリチウム二次電池 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、電池用負極材料、特に、リチウム二次電池用負極材料に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
携帯電話や携帯用情報機器(例えば、所謂電子手帳や携帯用パーソナルコンピューター)などに代表される携帯用電子機器類の小型化・軽量化が目覚しく進展しつつある今日では、そのような携帯用電気機器類を駆動するための小型で軽量な二次電池の開発が要望されている。このような背景の下、小型に構成でき、しかも高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が注目を集めており、その開発が盛んに行われている。
【0003】
一般的なリチウム二次電池は、負極活物質として箔状のリチウムを、正極活物質として金属カルコゲン化物や金属酸化物を、また、電解液として非プロトン性有機溶媒に種々の塩を溶解させたものをそれぞれ用いている。ところが、このようなリチウム二次電池は、充放電を繰り返すに従って、負極に樹枝状リチウム(デンドライト)が生成し、これが正極と負極との間の短絡を引き起こすことになるため、充放電のサイクル寿命が短いという欠点を有している。
【0004】
一方、デンドライトを生成し易い箔状のリチウムに代えて、アルミニウム、鉛、カドミウムまたはインジウムを含む可融性リチウム合金を負極材料として用い、充電時にリチウム合金を析出させ、放電時にリチウム合金からリチウムを溶解させるように構成したリチウム二次電池が提案されている(例えば、米国特許第4002492号参照)。しかし、このような二次電池は、デンドライトの生成は抑制できるものの、負極の加工性に劣り、また、充放電サイクルを繰り返すに従って、或いは深い充放電を実施した場合に、負極において合金の偏析が生じ易く、結果的にサイクル特性を長期間安定に維持するのは困難である。
【0005】
そこで、上述のような不具合を解消でき、サイクル特性および安全性に優れたリチウム二次電池を実現可能な負極材料として、リチウムイオンの出入り、すなわち挿入・脱離が可能な炭素材料からなるものが数多く提案されており、実用化されつつある。ここで、炭素材料からなるリチウム二次電池用の負極材料は、主として、1,000℃程度で焼成された炭素系のものと、2,000℃を超える温度で焼成された黒鉛系のものとの2種類に分類することができるが、炭素系の負極材料は、リチウムイオンの放出に伴う電位の変化が大きく、安定なリチウム二次電池を構成し難いという欠点がある。これに対し、黒鉛系の負極材料は、このような電位の変化が小さく、安定なリチウム二次電池を構成可能であるため、炭素系の負極材料に比べて有利であり、リチウム二次電池用の負極材料として主流になりつつある。
【0006】
ところが、黒鉛系の負極材料は、リチウムイオンや電解液と反応し易く、その結果として理論容量値が372Ah/kgであるものの、実際の容量は320Ah/kg程度に低下してしまい、初期効率が通常は85%未満である。負極材料の初期効率は、リチウム二次電池を小型にかつ安価に構成する上での重要なパラメーターである。すなわち、負極材料の初期効率が低い場合は、より多くの正極材料が必要となるため、リチウム二次電池が高価になり、同時にそのような多くの正極材料をパッキングする必要性からリチウム二次電池が必然的に大型化してしまう。
【0007】
そのため、黒鉛系材料の表面にピッチやタールなどの固体或いは液体有機物によるコーティング層を配置し、それによって当該黒鉛系材料からなる負極材料とリチウムイオンや電解液との反応を抑制する試みがなされている。しかし、このコーティング層は、黒鉛系材料と電解液等との反応を抑制することはできるものの、同時に充放電時のリチウムイオンの通過を阻止することになるため、初期効率および容量の低下を却って招くことになる。
【0008】
本発明の目的は、高い初期効率および容量を有するリチウム二次電池用負極材料を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るリチウム二次電池用負極材料は、黒鉛系炭素材料を、軟化点が150〜300℃のピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理する工程を経て得られるものである。
【0010】
このリチウム二次電池用負極材料において、黒鉛系炭素材料は、通常、X線回折法により得られる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以下のものである。
また、ピッチは、例えば、下記の式(1)で示される芳香族指数(fa)が0.60〜0.98のものである。
【0011】
【数2】
【0012】
なお、このようなピッチは、例えば石炭系ピッチである。
さらに、熱処理は、例えば、不活性雰囲気および還元性雰囲気のうちの1つの雰囲気の常圧下における600〜1,300℃の温度による処理である。
このようなリチウム二次電池用負極材料は、熱処理後の黒鉛系炭素材料の重量増加率が例えば5%未満である。
【0013】
また、このようなリチウム二次電池用負極材料は、通常、放電容量が少なくとも330mAh/gでありかつ初期効率が少なくとも85%である。
【0014】
本発明に係るリチウム二次電池用負極材料の製造方法は、黒鉛系炭素材料と軟化点が150〜300℃のピッチとを同じ閉空間内に別々に配置する工程と、当該閉空間内の温度をピッチの熱分解温度以上に高めるための工程とを含んでいる。
【0015】
本発明のリチウム二次電池用負極は、集電体と、集電体上に配置された本発明のリチウム二次電池用負極材料とバインダーとを含む活物質層とを備えている。活物質層は、密度が少なくとも1.4g/cm3、放電容量が少なくとも330mAh/gおよび初期効率が少なくとも85%である。
本発明のリチウム二次電池は、本発明に係る上述の各種のリチウム二次電池用負極材料を含む負極を備えたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウム二次電池用負極材料で用いられる黒鉛系炭素材料は、黒鉛として一般に理解される範疇に入る炭素材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、並びにメソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ粉末、等方性ピッチ粉末および樹脂炭などの炭素前駆体を焼成して黒鉛化したものなどを挙げることができる。なお、これらの黒鉛系炭素材料は、2種以上のものが併用されてもよい。
【0017】
なお、本発明で用いられる黒鉛系炭素材料として特に好ましいものは、X線回折法により得られる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以下のもの、特に、0.335nm以上0.340nm以下のものである。
【0018】
上述の黒鉛系炭素材料の形状・形態は特に限定されるものではなく、鱗片状、塊状、繊維状、ウイスカー状、球状および破砕状などの各種のものである。また、このような黒鉛系炭素材料の平均粒径は、通常、1〜50μm程度が好ましい。なお、黒鉛系炭素材料は、2種以上の形状・形態のものの混合物であってもよい。
【0019】
本発明で用いられる上述のような黒鉛系炭素材料は、炭素前駆体を1,000℃程度の比較的低温で焼成することにより得られる炭素材料とは異なり、通常、リチウム二次電池において用いられる電解質、例えば、非プロトン性有機溶媒と塩とを含む電解液やリチウムイオンに対する活性点、すなわち、当該電解液と反応して電解液を分解したり、充放電時に移動するリチウムイオンと反応する活性点を部分的に有している。この活性点は、詳細が明らかではないが、一般には、黒鉛系炭素材料の外側に配向している、結晶子の端面(edge plane)であると理解されている。
【0020】
なお、上述の電解液を構成する非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートおよびγ−ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフランや2−メチルテトラヒドロフランなどのフラン類、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンおよびメトキシエトキシエタンなどのエーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチル並びに酢酸メチルなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、2種以上が混合して用いられていてもよい。一方、このような非プロトン性有機溶媒に溶解される塩は、例えば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、6フッ化りん酸リチウム、6フッ化砒酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ハロゲン化リチウムおよび塩化アルミン酸リチウムなどのリチウム塩である。これらの塩は、2種以上が同時に溶解されていてもよい。
【0021】
一方、本発明で用いられるピッチは、公知の各種のピッチであり、軟化点が150〜300℃の範囲であれば特に限定されるものではない。但し、本発明で用いるピッチは、軟化点がこのような範囲でありかつ下記の式(1)で示される芳香族指数(fa)が0.60〜0.98のものが好ましい。芳香族指数がこの範囲外の場合は、却って容量および初期効率の低下を招くおそれがある。
【0022】
【数3】
【0023】
因みに、上述のような軟化点を有しかつ芳香族指数が上述の範囲にあるピッチとしては、例えば、石炭系等方性ピッチなどの石炭系ピッチおよび石油系等方性ピッチなどの石油系ピッチを挙げることができるが、本発明では石炭系ピッチ、特に石炭系等方性ピッチを用いるのが好ましい。
なお、本発明では、2種以上のピッチが併用されてもよい。
【0024】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のような黒鉛系炭素材料を、上述のようなピッチの熱分解生成物を含む、通常は窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下または水素混合気体などの還元性雰囲気下において熱処理することにより得られるものである。
【0025】
ここでの熱処理方法としては、例えば、▲1▼加熱炉などの閉空間内に黒鉛系炭素材料を配置し、加熱炉内にピッチの熱分解生成物を含む不活性ガスまたは還元性ガスを導入しつつ黒鉛系炭素材料を加熱処理する方法、および▲2▼加熱炉などの閉空間内に黒鉛系炭素材料と上述のようなピッチとを別々に配置し、両者を同時に加熱する方法などを採用することができる。
【0026】
このような熱処理時における、加熱炉などの閉空間内の不活性雰囲気または還元性雰囲気中に含まれるピッチの熱分解生成物の濃度は、通常、処理する黒鉛系炭素材料の量や熱処理時間に応じて適宜設定することができる。
【0027】
なお、熱処理方法として上述の▲2▼の方法を採用する場合は、加熱炉などの閉空間内に配置するピッチの量を、上述のような熱分解生成物濃度を達成するために必要な量に設定する。
【0028】
また、熱処理は、常圧で実施するのが好ましく、またその際の設定温度は、通常、600〜1,300℃に設定するのが好ましく、900〜1,200℃に設定するのがより好ましい。設定温度が600℃未満の場合は、黒鉛系炭素材料と熱分解生成物とが十分に反応せず、結果的にリチウムイオンや電解液と反応しにくい負極材料が得られにくくなる。逆に、1,300℃を超える場合は、容量および初期効率の低下を招くおそれがある。
なお、熱処理方法として上述の▲2▼の方法を採用する場合、設定温度は、上述の範囲でありかつピッチの熱分解温度以上(例えば石炭系ピッチを用いる場合は、石炭系ピッチの熱分解温度以上)に設定する。
【0029】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のような製造工程を経て得られるものであるため、黒鉛系炭素材料の表面全体が炭素質材料からなるコーティング層により被覆されている従来のものとは異なり、黒鉛系炭素材料の主として活性点が選択的にピッチの熱分解生成物と反応し、電解液やリチウムイオンに対して不活性化されている。すなわち、この負極材料は、黒鉛系炭素材料の主として活性点部分が選択的に上述のピッチの熱分解生成物によるコーティング層により被覆されているものと考えられる。
【0030】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、このように黒鉛系炭素材料の主として活性点が選択的に処理されているもの、すなわち、黒鉛系炭素材料の表面が部分的に処理されているものであるため、通常、熱処理前の黒鉛系炭素材料の重量を基準とした場合の重量増加率が多くても5%(すなわち5%未満)、好ましい場合は多くても1%(すなわち1%未満)である。
【0031】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のような電解液やリチウムイオンと反応しにくく、電解液を分解したり、充放電に関与するリチウムイオンを捕捉しにくいと共にそれ自体も電解液との反応による破壊を受け難い。また、黒鉛系炭素材料の表面が部分的にしか処理されていないので、充放電時のリチウムイオンの通過を安定に確保することができ、容量が従来のものに比べて対理論容量比で大幅に低下しにくく、また、初期効率も従来のものに比べて高い。より具体的には、本発明の負極材料は、少なくとも330mAh/gの放電容量および少なくとも85%の初期効率を達成することができる。
【0032】
本発明のリチウム二次電池用負極は、集電体と、その上に配置された活物質層とを主に備えている。集電体は、銅などの金属からなる、例えば箔状の部材であり、また、活物質層は、本発明のリチウム二次電池用負極材料とバインダーとを含んでいる。このようなリチウム二次電池用負極を形成する場合は、本発明のリチウム二次電池用負極材料をフッ素系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーまたは合成ゴムなどの公知のバインダーと混合してペースト状にし、そのペーストを金属製等の集電体上に塗布して活物質層を形成する。
【0033】
活物質層は、通常、単位面積当たりの容量を確保するために、加圧されて密度が高められるが、本発明のリチウム二次電池用負極は、活物質層の密度が1.4g/cm3以上に高められた場合であっても、容量および初期効率の低下が起こり難い。従って、このリチウム二次電池用負極は、密度を少なくとも1.4g/cm3に維持しつつ、少なくとも330mAh/gの放電容量および少なくとも85%の初期効率を達成することができる。
【0034】
本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、電解質およびこれらを収納するための容器を主に備えている。ここで、正極は、リチウムを含有する酸化物、例えば、LiCoO2と公知のバインダーとを混合してペースト状にしたもの(活物質)を金属製などの集電体上に塗布したものであり、また、負極は、本発明に係る上述の負極材料を用いて形成されたものである。さらに、電解質は、上述のような非プロトン性有機溶媒に塩を溶解した電解液であって正極と負極との間に配置されており、例えば、正極と負極との短絡を防止するための不織布等からなるセパレーターに含浸されて保持されている。
【0035】
このような本発明のリチウム二次電池は、負極に本発明の負極材料を用いているため、負極の容量および初期効率が高く、正極の活物質量を抑制することができる。このため、このリチウム二次電池は、多量の正極活物質を収容するための大型の容器を用いる必要がないので、従来のものに比べて小型化することができかつ容量が大きく、また、負極が電解液と反応しにくいため安全性が高い。
【0036】
なお、本発明のリチウム二次電池は、上述の電解液に代えて、公知の無機固体電解質や高分子固体電解質などの他の電解質を用いた場合も同様に実施することができる。
【0037】
【実施例】
実施例1〜4
表1に示す人造黒鉛と石炭系等方性ピッチとを炭化炉内に別々に配置した。ここでは、炭化炉内に配置されたメッシュ上に人造黒鉛を載置し、また、当該メッシュ下に人造黒鉛と等重量の石炭系等方性ピッチを入れたトレーを配置した。そして、炭化炉内を窒素ガスで満たした後、炭化炉内の温度を300℃/時の昇温速度で1,100℃まで高めて人造黒鉛を熱処理し、リチウム二次電池用負極材料を得た。なお、熱処理後の人造黒鉛の重量増加率は表1に示す通りである。
【0038】
得られた負極材料、ポリフッ化ビニリデン樹脂およびN−メチルピロリドン溶媒を混合してペーストを調製した。このペーストを、厚さが25μmの銅箔上に1×1cmの面積で厚さ120〜150μmになるようドクターブレードを用いて塗布した後に乾燥し、活物質層を形成した。このようにして得られた活物質層をロールプレス機を用いて圧縮し、各実施例について活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を得た。
【0039】
得られたリチウム二次電池用負極の充放電特性を調べた。ここでは、先ず、参照極および対極としてリチウム箔を用い、また、電解液として1Mの過塩素酸リチウムを電解質として含むエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=1:1溶液を用いたセルを作成した。そして、このセルを1mA/cm2で1mVまで定電流充電し、1mVに到達したところで1mVの定電位充電に切り替え、充電時間が合計で12時間になったところで充電を終了した。次に、充電されたセルを、1mA/cm2で1.2Vまで定電流放電した。このような一連の充放電過程より判明した、各実施例で得られたリチウム二次電池用負極材料の充電容量、放電容量および初期効率は表1に示す通りである。
【0040】
実施例5〜7
石炭系等方性ピッチに代えて石油系等方性ピッチを用いた点を除いて実施例1〜4の場合と同様に各実施例について活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を作成し、この負極の充電容量、放電容量および初期効率を実施例1〜4の場合と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0041】
比較例1
実施例3で用いたものと同じ人造黒鉛を熱処理せずにそのまま用いて実施例1〜4と同様に活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を作成し、この負極の充電容量、放電容量および初期効率を実施例1〜4の場合と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、黒鉛系炭素材料を上述のようなピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下で熱処理したものであるため、従来のリチウム二次電池用の黒鉛系負極材料に比べて容量および初期効率が高い。
【0044】
また、本発明に係るリチウム二次電池用負極材料の製造方法は、黒鉛系炭素材料を上述のようなピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下で熱処理しているため、従来のリチウム二次電池用の黒鉛系負極材料に比べて容量および初期効率が高いリチウム二次電池用負極材料を実現することができる。
【0045】
さらに、本発明のリチウム二次電池用負極は、本発明の負極材料を用いているため、活物質層の密度を高めた場合であっても容量および初期効率が低下しにくい。
【0046】
さらに、本発明のリチウム二次電池は、容量および初期効率が高い上述の負極材料を用いているため、容量を高めつつ小型化することができ、また、負極が電解液と反応しにくいため安全性が高い。
【発明が属する技術分野】
本発明は、電池用負極材料、特に、リチウム二次電池用負極材料に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
携帯電話や携帯用情報機器(例えば、所謂電子手帳や携帯用パーソナルコンピューター)などに代表される携帯用電子機器類の小型化・軽量化が目覚しく進展しつつある今日では、そのような携帯用電気機器類を駆動するための小型で軽量な二次電池の開発が要望されている。このような背景の下、小型に構成でき、しかも高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が注目を集めており、その開発が盛んに行われている。
【0003】
一般的なリチウム二次電池は、負極活物質として箔状のリチウムを、正極活物質として金属カルコゲン化物や金属酸化物を、また、電解液として非プロトン性有機溶媒に種々の塩を溶解させたものをそれぞれ用いている。ところが、このようなリチウム二次電池は、充放電を繰り返すに従って、負極に樹枝状リチウム(デンドライト)が生成し、これが正極と負極との間の短絡を引き起こすことになるため、充放電のサイクル寿命が短いという欠点を有している。
【0004】
一方、デンドライトを生成し易い箔状のリチウムに代えて、アルミニウム、鉛、カドミウムまたはインジウムを含む可融性リチウム合金を負極材料として用い、充電時にリチウム合金を析出させ、放電時にリチウム合金からリチウムを溶解させるように構成したリチウム二次電池が提案されている(例えば、米国特許第4002492号参照)。しかし、このような二次電池は、デンドライトの生成は抑制できるものの、負極の加工性に劣り、また、充放電サイクルを繰り返すに従って、或いは深い充放電を実施した場合に、負極において合金の偏析が生じ易く、結果的にサイクル特性を長期間安定に維持するのは困難である。
【0005】
そこで、上述のような不具合を解消でき、サイクル特性および安全性に優れたリチウム二次電池を実現可能な負極材料として、リチウムイオンの出入り、すなわち挿入・脱離が可能な炭素材料からなるものが数多く提案されており、実用化されつつある。ここで、炭素材料からなるリチウム二次電池用の負極材料は、主として、1,000℃程度で焼成された炭素系のものと、2,000℃を超える温度で焼成された黒鉛系のものとの2種類に分類することができるが、炭素系の負極材料は、リチウムイオンの放出に伴う電位の変化が大きく、安定なリチウム二次電池を構成し難いという欠点がある。これに対し、黒鉛系の負極材料は、このような電位の変化が小さく、安定なリチウム二次電池を構成可能であるため、炭素系の負極材料に比べて有利であり、リチウム二次電池用の負極材料として主流になりつつある。
【0006】
ところが、黒鉛系の負極材料は、リチウムイオンや電解液と反応し易く、その結果として理論容量値が372Ah/kgであるものの、実際の容量は320Ah/kg程度に低下してしまい、初期効率が通常は85%未満である。負極材料の初期効率は、リチウム二次電池を小型にかつ安価に構成する上での重要なパラメーターである。すなわち、負極材料の初期効率が低い場合は、より多くの正極材料が必要となるため、リチウム二次電池が高価になり、同時にそのような多くの正極材料をパッキングする必要性からリチウム二次電池が必然的に大型化してしまう。
【0007】
そのため、黒鉛系材料の表面にピッチやタールなどの固体或いは液体有機物によるコーティング層を配置し、それによって当該黒鉛系材料からなる負極材料とリチウムイオンや電解液との反応を抑制する試みがなされている。しかし、このコーティング層は、黒鉛系材料と電解液等との反応を抑制することはできるものの、同時に充放電時のリチウムイオンの通過を阻止することになるため、初期効率および容量の低下を却って招くことになる。
【0008】
本発明の目的は、高い初期効率および容量を有するリチウム二次電池用負極材料を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るリチウム二次電池用負極材料は、黒鉛系炭素材料を、軟化点が150〜300℃のピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理する工程を経て得られるものである。
【0010】
このリチウム二次電池用負極材料において、黒鉛系炭素材料は、通常、X線回折法により得られる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以下のものである。
また、ピッチは、例えば、下記の式(1)で示される芳香族指数(fa)が0.60〜0.98のものである。
【0011】
【数2】
【0012】
なお、このようなピッチは、例えば石炭系ピッチである。
さらに、熱処理は、例えば、不活性雰囲気および還元性雰囲気のうちの1つの雰囲気の常圧下における600〜1,300℃の温度による処理である。
このようなリチウム二次電池用負極材料は、熱処理後の黒鉛系炭素材料の重量増加率が例えば5%未満である。
【0013】
また、このようなリチウム二次電池用負極材料は、通常、放電容量が少なくとも330mAh/gでありかつ初期効率が少なくとも85%である。
【0014】
本発明に係るリチウム二次電池用負極材料の製造方法は、黒鉛系炭素材料と軟化点が150〜300℃のピッチとを同じ閉空間内に別々に配置する工程と、当該閉空間内の温度をピッチの熱分解温度以上に高めるための工程とを含んでいる。
【0015】
本発明のリチウム二次電池用負極は、集電体と、集電体上に配置された本発明のリチウム二次電池用負極材料とバインダーとを含む活物質層とを備えている。活物質層は、密度が少なくとも1.4g/cm3、放電容量が少なくとも330mAh/gおよび初期効率が少なくとも85%である。
本発明のリチウム二次電池は、本発明に係る上述の各種のリチウム二次電池用負極材料を含む負極を備えたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウム二次電池用負極材料で用いられる黒鉛系炭素材料は、黒鉛として一般に理解される範疇に入る炭素材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、並びにメソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ粉末、等方性ピッチ粉末および樹脂炭などの炭素前駆体を焼成して黒鉛化したものなどを挙げることができる。なお、これらの黒鉛系炭素材料は、2種以上のものが併用されてもよい。
【0017】
なお、本発明で用いられる黒鉛系炭素材料として特に好ましいものは、X線回折法により得られる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以下のもの、特に、0.335nm以上0.340nm以下のものである。
【0018】
上述の黒鉛系炭素材料の形状・形態は特に限定されるものではなく、鱗片状、塊状、繊維状、ウイスカー状、球状および破砕状などの各種のものである。また、このような黒鉛系炭素材料の平均粒径は、通常、1〜50μm程度が好ましい。なお、黒鉛系炭素材料は、2種以上の形状・形態のものの混合物であってもよい。
【0019】
本発明で用いられる上述のような黒鉛系炭素材料は、炭素前駆体を1,000℃程度の比較的低温で焼成することにより得られる炭素材料とは異なり、通常、リチウム二次電池において用いられる電解質、例えば、非プロトン性有機溶媒と塩とを含む電解液やリチウムイオンに対する活性点、すなわち、当該電解液と反応して電解液を分解したり、充放電時に移動するリチウムイオンと反応する活性点を部分的に有している。この活性点は、詳細が明らかではないが、一般には、黒鉛系炭素材料の外側に配向している、結晶子の端面(edge plane)であると理解されている。
【0020】
なお、上述の電解液を構成する非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートおよびγ−ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフランや2−メチルテトラヒドロフランなどのフラン類、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンおよびメトキシエトキシエタンなどのエーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチル並びに酢酸メチルなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、2種以上が混合して用いられていてもよい。一方、このような非プロトン性有機溶媒に溶解される塩は、例えば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、6フッ化りん酸リチウム、6フッ化砒酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ハロゲン化リチウムおよび塩化アルミン酸リチウムなどのリチウム塩である。これらの塩は、2種以上が同時に溶解されていてもよい。
【0021】
一方、本発明で用いられるピッチは、公知の各種のピッチであり、軟化点が150〜300℃の範囲であれば特に限定されるものではない。但し、本発明で用いるピッチは、軟化点がこのような範囲でありかつ下記の式(1)で示される芳香族指数(fa)が0.60〜0.98のものが好ましい。芳香族指数がこの範囲外の場合は、却って容量および初期効率の低下を招くおそれがある。
【0022】
【数3】
【0023】
因みに、上述のような軟化点を有しかつ芳香族指数が上述の範囲にあるピッチとしては、例えば、石炭系等方性ピッチなどの石炭系ピッチおよび石油系等方性ピッチなどの石油系ピッチを挙げることができるが、本発明では石炭系ピッチ、特に石炭系等方性ピッチを用いるのが好ましい。
なお、本発明では、2種以上のピッチが併用されてもよい。
【0024】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のような黒鉛系炭素材料を、上述のようなピッチの熱分解生成物を含む、通常は窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下または水素混合気体などの還元性雰囲気下において熱処理することにより得られるものである。
【0025】
ここでの熱処理方法としては、例えば、▲1▼加熱炉などの閉空間内に黒鉛系炭素材料を配置し、加熱炉内にピッチの熱分解生成物を含む不活性ガスまたは還元性ガスを導入しつつ黒鉛系炭素材料を加熱処理する方法、および▲2▼加熱炉などの閉空間内に黒鉛系炭素材料と上述のようなピッチとを別々に配置し、両者を同時に加熱する方法などを採用することができる。
【0026】
このような熱処理時における、加熱炉などの閉空間内の不活性雰囲気または還元性雰囲気中に含まれるピッチの熱分解生成物の濃度は、通常、処理する黒鉛系炭素材料の量や熱処理時間に応じて適宜設定することができる。
【0027】
なお、熱処理方法として上述の▲2▼の方法を採用する場合は、加熱炉などの閉空間内に配置するピッチの量を、上述のような熱分解生成物濃度を達成するために必要な量に設定する。
【0028】
また、熱処理は、常圧で実施するのが好ましく、またその際の設定温度は、通常、600〜1,300℃に設定するのが好ましく、900〜1,200℃に設定するのがより好ましい。設定温度が600℃未満の場合は、黒鉛系炭素材料と熱分解生成物とが十分に反応せず、結果的にリチウムイオンや電解液と反応しにくい負極材料が得られにくくなる。逆に、1,300℃を超える場合は、容量および初期効率の低下を招くおそれがある。
なお、熱処理方法として上述の▲2▼の方法を採用する場合、設定温度は、上述の範囲でありかつピッチの熱分解温度以上(例えば石炭系ピッチを用いる場合は、石炭系ピッチの熱分解温度以上)に設定する。
【0029】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のような製造工程を経て得られるものであるため、黒鉛系炭素材料の表面全体が炭素質材料からなるコーティング層により被覆されている従来のものとは異なり、黒鉛系炭素材料の主として活性点が選択的にピッチの熱分解生成物と反応し、電解液やリチウムイオンに対して不活性化されている。すなわち、この負極材料は、黒鉛系炭素材料の主として活性点部分が選択的に上述のピッチの熱分解生成物によるコーティング層により被覆されているものと考えられる。
【0030】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、このように黒鉛系炭素材料の主として活性点が選択的に処理されているもの、すなわち、黒鉛系炭素材料の表面が部分的に処理されているものであるため、通常、熱処理前の黒鉛系炭素材料の重量を基準とした場合の重量増加率が多くても5%(すなわち5%未満)、好ましい場合は多くても1%(すなわち1%未満)である。
【0031】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のような電解液やリチウムイオンと反応しにくく、電解液を分解したり、充放電に関与するリチウムイオンを捕捉しにくいと共にそれ自体も電解液との反応による破壊を受け難い。また、黒鉛系炭素材料の表面が部分的にしか処理されていないので、充放電時のリチウムイオンの通過を安定に確保することができ、容量が従来のものに比べて対理論容量比で大幅に低下しにくく、また、初期効率も従来のものに比べて高い。より具体的には、本発明の負極材料は、少なくとも330mAh/gの放電容量および少なくとも85%の初期効率を達成することができる。
【0032】
本発明のリチウム二次電池用負極は、集電体と、その上に配置された活物質層とを主に備えている。集電体は、銅などの金属からなる、例えば箔状の部材であり、また、活物質層は、本発明のリチウム二次電池用負極材料とバインダーとを含んでいる。このようなリチウム二次電池用負極を形成する場合は、本発明のリチウム二次電池用負極材料をフッ素系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーまたは合成ゴムなどの公知のバインダーと混合してペースト状にし、そのペーストを金属製等の集電体上に塗布して活物質層を形成する。
【0033】
活物質層は、通常、単位面積当たりの容量を確保するために、加圧されて密度が高められるが、本発明のリチウム二次電池用負極は、活物質層の密度が1.4g/cm3以上に高められた場合であっても、容量および初期効率の低下が起こり難い。従って、このリチウム二次電池用負極は、密度を少なくとも1.4g/cm3に維持しつつ、少なくとも330mAh/gの放電容量および少なくとも85%の初期効率を達成することができる。
【0034】
本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、電解質およびこれらを収納するための容器を主に備えている。ここで、正極は、リチウムを含有する酸化物、例えば、LiCoO2と公知のバインダーとを混合してペースト状にしたもの(活物質)を金属製などの集電体上に塗布したものであり、また、負極は、本発明に係る上述の負極材料を用いて形成されたものである。さらに、電解質は、上述のような非プロトン性有機溶媒に塩を溶解した電解液であって正極と負極との間に配置されており、例えば、正極と負極との短絡を防止するための不織布等からなるセパレーターに含浸されて保持されている。
【0035】
このような本発明のリチウム二次電池は、負極に本発明の負極材料を用いているため、負極の容量および初期効率が高く、正極の活物質量を抑制することができる。このため、このリチウム二次電池は、多量の正極活物質を収容するための大型の容器を用いる必要がないので、従来のものに比べて小型化することができかつ容量が大きく、また、負極が電解液と反応しにくいため安全性が高い。
【0036】
なお、本発明のリチウム二次電池は、上述の電解液に代えて、公知の無機固体電解質や高分子固体電解質などの他の電解質を用いた場合も同様に実施することができる。
【0037】
【実施例】
実施例1〜4
表1に示す人造黒鉛と石炭系等方性ピッチとを炭化炉内に別々に配置した。ここでは、炭化炉内に配置されたメッシュ上に人造黒鉛を載置し、また、当該メッシュ下に人造黒鉛と等重量の石炭系等方性ピッチを入れたトレーを配置した。そして、炭化炉内を窒素ガスで満たした後、炭化炉内の温度を300℃/時の昇温速度で1,100℃まで高めて人造黒鉛を熱処理し、リチウム二次電池用負極材料を得た。なお、熱処理後の人造黒鉛の重量増加率は表1に示す通りである。
【0038】
得られた負極材料、ポリフッ化ビニリデン樹脂およびN−メチルピロリドン溶媒を混合してペーストを調製した。このペーストを、厚さが25μmの銅箔上に1×1cmの面積で厚さ120〜150μmになるようドクターブレードを用いて塗布した後に乾燥し、活物質層を形成した。このようにして得られた活物質層をロールプレス機を用いて圧縮し、各実施例について活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を得た。
【0039】
得られたリチウム二次電池用負極の充放電特性を調べた。ここでは、先ず、参照極および対極としてリチウム箔を用い、また、電解液として1Mの過塩素酸リチウムを電解質として含むエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=1:1溶液を用いたセルを作成した。そして、このセルを1mA/cm2で1mVまで定電流充電し、1mVに到達したところで1mVの定電位充電に切り替え、充電時間が合計で12時間になったところで充電を終了した。次に、充電されたセルを、1mA/cm2で1.2Vまで定電流放電した。このような一連の充放電過程より判明した、各実施例で得られたリチウム二次電池用負極材料の充電容量、放電容量および初期効率は表1に示す通りである。
【0040】
実施例5〜7
石炭系等方性ピッチに代えて石油系等方性ピッチを用いた点を除いて実施例1〜4の場合と同様に各実施例について活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を作成し、この負極の充電容量、放電容量および初期効率を実施例1〜4の場合と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0041】
比較例1
実施例3で用いたものと同じ人造黒鉛を熱処理せずにそのまま用いて実施例1〜4と同様に活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を作成し、この負極の充電容量、放電容量および初期効率を実施例1〜4の場合と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、黒鉛系炭素材料を上述のようなピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下で熱処理したものであるため、従来のリチウム二次電池用の黒鉛系負極材料に比べて容量および初期効率が高い。
【0044】
また、本発明に係るリチウム二次電池用負極材料の製造方法は、黒鉛系炭素材料を上述のようなピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下で熱処理しているため、従来のリチウム二次電池用の黒鉛系負極材料に比べて容量および初期効率が高いリチウム二次電池用負極材料を実現することができる。
【0045】
さらに、本発明のリチウム二次電池用負極は、本発明の負極材料を用いているため、活物質層の密度を高めた場合であっても容量および初期効率が低下しにくい。
【0046】
さらに、本発明のリチウム二次電池は、容量および初期効率が高い上述の負極材料を用いているため、容量を高めつつ小型化することができ、また、負極が電解液と反応しにくいため安全性が高い。
Claims (10)
- 黒鉛系炭素材料を、軟化点が150〜300℃のピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理する工程を経て得られるリチウム二次電池用負極材料。
- 前記黒鉛系炭素材料は、X線回折法により得られる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 前記ピッチが石炭系ピッチである、請求項3に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 前記熱処理は、不活性雰囲気および還元性雰囲気のうちの1つの雰囲気の常圧下における600〜1,300℃の温度による処理である、請求項1、2、3または4に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 前記熱処理後の前記黒鉛系炭素材料の重量増加率が5%未満である、請求項1、2、3、4または5に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 放電容量が少なくとも330mAh/gでありかつ初期効率が少なくとも85%である、請求項1、2、3、4、5または6に記載のリチウム二次電池用負極材料。
- 黒鉛系炭素材料と、軟化点が150〜300℃のピッチとを同じ閉空間内に別々に配置する工程と、
前記閉空間内の温度を前記ピッチの熱分解温度以上に高めるための工程と、
を含むリチウム二次電池用負極材料の製造方法。 - 集電体と、
前記集電体上に配置された、請求項1乃至7に記載のリチウム二次電池用負極材料とバインダーとを含む活物質層とを備え、
前記活物質層は、密度が少なくとも1.4g/cm3、放電容量が少なくとも330mAh/gおよび初期効率が少なくとも85%である、
リチウム二次電池用負極。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料を含む負極を備えたリチウム二次電池。
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