JP6396040B2 - リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法、並びに該負極材料を用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法、並びに該負極材料を用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法、並びに該負極材料を用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池に関する。
携帯電話や携帯用情報機器(電子手帳、ノートパソコン、タブレット型コンピュータ等)等に代表される携帯用電子機器類の小型化・軽量化が目覚しく進展しつつある今日では、そのような携帯用電子機器類を駆動するための小型で軽量な二次電池の開発が要望されている。このような背景の下、小型に構成でき、しかも高エネルギー密度を有するリチウム二次電池(リチウムイオン二次電池等)が注目を集めており、その開発が盛んに行われている。このリチウム二次電池は、上記のような携帯用電子機器の他、電気自動車や再生可能エネルギーの電力貯蔵等にもニーズが広がっており、これらのニーズに対応するため、構成する電極材料の一層の高エネルギー密度化が求められている。
一般的なリチウム二次電池としては、デンドライトを生成し易いリチウムではなく、サイクル特性及び安全性に優れたリチウム二次電池を実現可能な負極材料として、リチウムイオンの出入り、すなわち挿入・脱離が可能な炭素材料からなるものが数多く提案されており、実用化されつつある。ここで、炭素材料からなるリチウム二次電池用の負極材料は、主として、1000℃程度で焼成された炭素系負極材料と、2000℃を超える温度で焼成された黒鉛系負極材料との2種類に分類することができるが、炭素系負極材料は、リチウムイオンの放出に伴う電位の変化が大きく、安定なリチウム二次電池を構成し難いという欠点がある。これに対し、黒鉛系負極材料は、このような電位の変化が小さく、安定なリチウム二次電池を構成可能であるため、炭素系の負極材料に比べて有利であり、リチウム二次電池用の負極材料として主流になりつつある。
上記の黒鉛系負極材料は、理論容量が372mAh/gである一方、シリコンは理論容量4200mAh/gであり、実に黒鉛系負極材料の約10倍の理論容量を有するため、シリコン負極の利用が期待されている(非特許文献1〜2)。しかしながら、シリコンは充放電に伴う体積変化が極めて大きいため、負極材料が割れたり、電極から剥がれたり、活性面の露出による電解液との副反応が起こったりして実際の容量が低下してしまうことから、十分な充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性を兼ね備える負極材料とはなり得なかった。
十分な充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性を兼ね備える負極材料を得るため、シリコンを炭素材と複合化させることが検討されている。
Robert A. Huggins, Journal of Power Sources, 81-82 (1999) 13-19 B. A. Boukamp, G. C. Lesh, and R. A. Huggins, Journal of The Electrochemical Society, volume 128 (1981) 725-729
しかしながら、十分な充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性を兼ね備える負極材料は、いまだ得られていない。そこで、本発明は、十分な充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性を兼ね備えるリチウム二次電池用の負極材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を重ねてきた。その結果、シリコン材料表面の活性点を、特定のピッチの熱分解生成物を含むコーティング層で被覆することにより、上記の課題を解決し、十分な充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性を兼ね備えるリチウム二次電池用の負極材料が得られることを見出した。また、本発明者らは、このようなリチウム二次電池用の負極材料は、シリコン材料を、特定のピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理することにより得られることも見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成したものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.シリコン材料表面の活性点が、軟化点が150〜300℃のピッチの熱分解生成物を含むコーティング層で被覆されている、リチウム二次電池用負極材料。
項2.前記シリコン材料表面の活性点が、前記コーティング層により不活性化されている、項1に記載のリチウム二次電池用負極材料。
項3.前記シリコン材料100重量部に対して、ピッチの熱分解生成物を5重量部以下含む、項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極材料。
項4.前記シリコン材料は、平均粒子径が1nm〜100μmである、項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
項5.前記シリコン材料は、表面が酸化している、項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
項6.前記ピッチは、以下の一般式(1):
Figure 0006396040
で示される芳香族指数(fa)が0.50〜0.98である、項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
項7.前記ピッチが石炭系ピッチである、項1〜6のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
項8.初期放電容量が2000mAh/g以上であり、且つ、クーロン効率が55%以上である、項1〜7のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
項9.前記シリコン材料を、前記ピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理することにより得られる、項1〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料。
項10.前記熱処理は、不活性雰囲気又は還元性雰囲気下に、600〜1100℃における処理である、項9に記載のリチウム二次電池用負極材料。
項11.前記熱処理後の前記シリコン材料の重量増加率が5重量%以下である、項9又は10に記載のリチウム二次電池用負極材料。
項12.(1)シリコン材料と、軟化点が150〜300℃のピッチとを同じ閉空間内に別々に配置する工程、及び
(2)前記閉空間内の温度を前記ピッチの熱分解温度以上に高める工程
を備える、リチウム二次電池用負極材料の製造方法。
項13.前記工程(2)において、前記閉空間内の雰囲気が不活性雰囲気又は還元性雰囲気である、項12に記載の製造方法。
項14.前記工程(2)における加熱温度が600〜1100℃である、項12又は13に記載の製造方法。
項15.集電体及び前記集電体上に配置された負極活物質層を備え、
前記活物質層は、項1〜11のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料を含み、且つ、密度が1.4g/cm以上である、
リチウム二次電池用負極。
項16.前記負極活物質層が、さらに、黒鉛系炭素材料を含む、項15に記載のリチウム二次電池用負極。
項17.項15又は16に記載のリチウム二次電池用負極を備えたリチウム二次電池。
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上記のような構成を有することから、従来のリチウム二次電池用のシリコン系負極材料に比べても、非常に高い充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性を有している。また、本発明のリチウム二次電池用負極材料は、その活性点をコーティング層で被覆していることから、電解液に曝された場合であっても電解液と反応しにくく、高い安全性を有する。
また、このようなリチウム二次電池用負極材料は、シリコン材料を特定のピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理するという非常に簡便な方法により得ることができる。
また、本発明のリチウム二次電池用負極は、本発明のリチウム二次電池用負極材料を用いることにより、単位体積当たりの容量(体積エネルギー密度)を向上させるために活物質層の密度を高めた場合であっても、充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性の低下を抑制することができる。
さらに、本発明のリチウム二次電池は、高い充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性を兼ね備え、活物質層を高密度化した場合でもこれらの性能を低下させにくいため、充放電容量を高めつつ、活物質層の密度を高めて小型化することができる。
1.リチウム二次電池用負極材料
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、シリコン材料表面の活性点が、軟化点が150〜300℃のピッチの熱分解生成物を含むコーティング層で被覆されている。
シリコン材料としては、シリコンを含む材料(特にシリコンからなる材料)であれば特に制限されないが、結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン材料の粉末等が挙げられる。
結晶シリコン、アモルファスシリコン等の粉末としては、特に制限されないが、汎用の結晶シリコン、アモルファスシリコン等を切削等により粉末にしたもの等を用いることができる。結晶シリコン、アモルファスシリコン等の製造、加工等の過程において発生する規格外の製品、廃棄物等を使用してもよい。また、本発明において使用する結晶シリコン、アモルファスシリコン等は、形成時にリン系、ホウ素系化合物等の導入によりn型半導体又はp型半導体になっていてもよい。また、シリコン材料は、その表面が酸化されていてもよい。これらのシリコン材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
ただし、特に制限されるわけではないが、シリコン材料としては、充放電に伴う体積変化により割れることをより抑制するために、シリコン材料の粒径が小さいものを使用することが好ましい。
シリコン材料の平均粒子径は、特に制限されないが、通常1nm〜100μm程度が好ましく、2nm〜50μm程度がより好ましく、3nm〜500nm程度がさらに好ましい。シリコン材料の平均粒子径を上記範囲内とすることにより、ハンドリングや分散を容易にすることができ、且つ、充放電に伴うシリコンの割れがより緩和される。なお、シリコン材料の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)により測定されるものとする。
本発明で用いられる上述のようなシリコン材料は、通常、リチウム二次電池において用いられる電解質、例えば、非プロトン性有機溶媒と塩とを含む電解液やリチウムイオンに対する活性点、すなわち、当該電解液と反応して電解液を分解したり、充放電時に移動するリチウムイオンと反応する活性点を部分的に有している。この活性点は、詳細が明らかではないが、一般には、シリコン材料の外側に配向している、結晶子の端面(edge plane)や、膨張等によって生じた割れの端面であると理解されている。
なお、上述の電解液を構成する非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフランや2−メチルテトラヒドロフラン等のフラン類;ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド;スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン類;アセトニトリル等が挙げられる。これらの非プロトン性有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
一方、このような非プロトン性有機溶媒に溶解される塩は、例えば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、6フッ化リン酸リチウム、6フッ化砒酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ハロゲン化リチウム、塩化アルミン酸リチウム等のリチウム塩が挙げられる。これらの塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
一方、本発明で用いられるピッチは、公知の各種のピッチであり、軟化点が150〜300℃のものである。
このようなピッチの軟化点は、150℃以上、好ましくは180℃以上である。ピッチの軟化点が150℃未満では、昇温過程において早くから軟化及び気化するため、シリコンの活性点を不活性化するための反応温度に到達する前に、ピッチの気化成分がなくなってしまい、十分な気相コーティングができない等の問題がある。また、ピッチの軟化点は、300℃以下、好ましくは270℃以下である。ピッチの軟化点が300℃をこえると、昇温過程における軟化、気化が高温となるため、シリコンの活性点を不活性化する際に副反応が起き、十分な気相コーティングができない等の問題がある。なお、ピッチの軟化点は、通常、ASTM D3104又はASTM D3461の規格に従って測定するものとする。
本発明で用いるピッチは、軟化点が上記範囲内であれば得に制限されないが、以下の一般式(1):
Figure 0006396040
で示される芳香族指数(fa)は、0.50〜0.98が好ましく、0.60〜0.96がより好ましい。芳香族指数をこの範囲内とすることにより、充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性をより向上させることができる。
上述のような条件を有するピッチとしては、例えば、石炭系等方性ピッチ等の石炭系ピッチ、石油系等方性ピッチ等の石油系ピッチ等を挙げることができるが、本発明では石炭系ピッチ、特に石炭系等方性ピッチを用いるのが好ましい。これらのピッチは、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のように、シリコン材料の主として活性点が選択的にピッチの熱分解生成物と反応し、電解液やリチウムイオンに対して不活性化されている。すなわち、この負極材料は、シリコン材料表面が、上記ピッチの熱分解生成物を含むコーティング層で完全に被覆されているわけではなく、また、シリコン材料表面の活性点が、上記ピッチの熱分解生成物を含むコーティング層で被覆されることにより、不活性化されているものと考えられる。
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、このようにシリコン材料の主として活性点が選択的に被覆されている材料、すなわち、シリコン材料の表面が部分的に被覆されている材料であるため、通常、シリコン材料100重量部に対して、ピッチの熱分解生成物(コーティング層)の含有量は、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。また、ピッチの熱分解生成物(コーティング層)の含有量は、負極材料が割れたり、電極から剥がれたり、活性面の露出による電解液との副反応が起こったりして実際の容量が低下することをより抑制するために、0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。
本発明のリチウム二次電池用負極材料は、上述のような電解液やリチウムイオンと反応しにくく、電解液を分解したり、充放電に関与するリチウムイオンを捕捉しにくいと共にそれ自体も電解液との反応による破壊を受け難い。また、シリコン材料の表面が部分的にしか被覆されていないので、充放電時のリチウムイオンの通過を安定に確保することができ、容量が従来のものに比べて対理論容量比で大幅に低下しにくく、また、クーロン効率も従来のものに比べて高い。より具体的には、本発明の負極材料は、2000mAh/g以上の初期放電容量、及び55%以上のクーロン効率(特に初期クーロン効率;経時後のクーロン効率は90%以上)を達成することができる。
2.リチウム二次電池用負極材料の製造方法
上記した本発明のリチウム二次電池用負極材料は、特に制限されるわけではないが、上記したシリコン材料を、上記したピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理することにより得ることができる。
より具体的には、本発明のリチウム二次電池用負極材料は、
(1)シリコン材料と、軟化点が150〜300℃のピッチとを同じ閉空間内に別々に配置する工程、及び
(2)前記閉空間内の温度を前記ピッチの熱分解温度以上に高める工程
を備える方法により得ることができる。
このように、工程(1)において、シリコン材料とピッチとを同じ閉空間内に別々に配置し、後の工程(2)において、加熱処理を施すことで、シリコン材料を、ピッチの熱分解生成物を含む雰囲気下において熱処理することができる。
工程(1)において、シリコン材料及びピッチは上記したものである。
シリコン材料とピッチとを同じ閉空間に別々に配置する方法としては特に制限されず、(A)加熱炉等の閉空間内にシリコン材料を配置し、加熱炉内にピッチの熱分解生成物を含む不活性気体又は還元性ガスを導入する方法が挙げられる。また、(B)加熱炉等の閉空間内にシリコン材料とピッチとを別々に配置する方法も挙げられる。
工程(2)において、加熱処理をする際の雰囲気はシリコンの酸化被膜形成や炭素の燃焼をより避けるため、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性気体雰囲気下や、上記した不活性気体と水素との混合気体等の還元性雰囲気下等において熱処理することが好ましいが、炭素自身が還元剤として働くため、厳密な雰囲気制御は必要ではなく、窒息雰囲気等でもよい。
加熱処理時における、加熱炉等の閉空間内の雰囲気中に含まれるピッチの熱分解生成物の濃度は、通常、加熱処理するシリコン材料の量や加熱処理時間に応じて適宜設定することができる。例えば、工程(1)において、上述の(B)の方法を採用する場合は、加熱炉等の閉空間内に配置するピッチの量を適宜設定すればよい。
また、加熱処理は、減圧又は常圧(0.1Pa〜0.15MPa程度)で実施するのが好ましく、またその際の設定温度は、特に(B)の方法を採用する場合にはピッチの熱分解温度以上であれば特に制限はないが、通常、600〜1100℃に設定するのが好ましく、900〜1000℃に設定するのがより好ましい。加熱温度をこの範囲内とすることで、容量やクーロン効率をより維持しつつ、シリコン材料とピッチの熱分解生成物とをより十分に反応させてリチウムイオンや電解液とより反応しにくい負極材料が得られる。
加熱時間は、上記したピッチの熱分解生成物の濃度や加熱時間、得ようとする負極材料中のピッチの熱分解生成物の含有量等に応じて適宜設定すればよいが、0.1〜30時間が好ましく、0.5〜2時間がより好ましい。
このような条件で加熱処理をすることにより、原料のシリコン材料の0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の重量増加が見られ得る。これにより、本発明のリチウム二次電池用負極材料が得られる。
3.リチウム二次電池用負極
本発明のリチウム二次電池用負極は、集電体及び前記集電体上に配置された負極活物質層を主に備えている。
集電体は、銅、銀、金等の金属からなる、例えば箔状、メッシュ状等の部材である。
また、負極活物質層は、本発明のリチウム二次電池用負極材料を含んでいる。
当該負極活物質層は、本発明のリチウム二次電池用負極材料以外にも、バインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては、リチウム二次電池に使用されるバインダーであれば特に制限はないが、具体的には、フッ素系ポリマー(ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等)、ポリオレフィン系ポリマー、合成ゴム等の公知のバインダーを使用することができる。
さらに、負極活物質層には、さらに、導電材として、黒鉛系炭素材料を含ませてもよい。
黒鉛系炭素材料は、黒鉛として一般に理解される範疇に入る炭素材料であれば特に制限されないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ粉末、等方性ピッチ粉末、樹脂炭等の炭素前駆体を焼成して黒鉛化したもの等を挙げることができる。なお、これらの黒鉛系炭素材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
なお、本発明で用いられる黒鉛系炭素材料として特に好ましいものは、X線回折法により得られる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以下の炭素材料、特に、0.335〜0.340nmの炭素材料である。
上述の黒鉛系炭素材料の形状・形態は特に限定されるものではなく、鱗片状、塊状、繊維状、ウイスカー状、球状、破砕状等の各種のものが使用できる。なお、黒鉛系炭素材料は、2種以上の形状・形態のものの混合物であってもよい。
また、このような黒鉛系炭素材料の平均粒径は、特に制限されず、通常、1〜50μm程度が好ましく、5〜30μm程度がより好ましい。なお、黒鉛系炭素材料の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)により測定されるものとする。
上記のような負極活物質層において、各成分の含有量は、特に制限されないが、本発明のリチウム二次電池用負極材料と黒鉛系炭素材料の合計量に対して、本発明のリチウム二次電池用負極材料を50〜100重量%(特に60〜80重量%)、黒鉛系炭素材料を0〜50重量%(特に20〜40重量%)とすることが好ましい。これにより、高い容量と優れたサイクル特性をより両立しやすい。また、バインダーの含有量は、本発明のリチウム二次電池用負極材料と黒鉛系炭素材料の合計量100重量部に対して、1〜40重量部(特に5〜30重量部)とすることが好ましい。これにより、高い容量と優れたサイクル特性をより両立しやすい。
また、負極活物質層の厚みは、特に制限されないが、早い充放電速度及び高いクーロン効率と、単位体積当たりへの高パッキングをより両立するという観点から、1〜500μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
このようなリチウム二次電池用負極を形成する場合は、本発明のリチウム二次電池用負極材料を、必要に応じてバインダー及び黒鉛系炭素材料と混合してペースト状にし、そのペーストを集電体上に塗布して負極活物質層を形成することが好ましい。
負極活物質層は、通常、単位面積当たりの容量を確保するために、加圧されて密度が高められるが、本発明のリチウム二次電池用負極は、活物質層の密度が1.4g/cm以上(特に1.42〜2.00g/cm)に高められた場合であっても、充放電容量、クーロン効率及びサイクル特性の低下が起こり難い。従って、このリチウム二次電池用負極は、密度を少なくとも1.4g/cm(特に1.42g〜2.00/cm)に維持しつつ、2000mAh/g以上(特に2000〜4000mAh/g)の初期放電容量及び55%以上(特に55〜99%)のクーロン効率(特に初期クーロン効率;経時後のクーロン効率は90%以上)を達成することができる。
4.リチウム二次電池
本発明のリチウム二次電池は、上記した本発明のリチウム二次電池用負極を備えている。また、本発明のリチウム二次電池は、本発明のリチウム二次電池用負極以外に、公知のリチウム二次電池に適用される正極、電解液及びこれらを収納するための容器を備えることができる。
正極は、リチウムを含有する酸化物、例えば、LiCoO等のリチウム複合酸化物と公知のバインダーとを混合してペースト状にしたものを金属製等の正極集電体上に塗布したものである。なお、集電体は、負極集電体と同様のものを使用することができる。
また、電解液は、上述のような非プロトン性有機溶媒に塩を溶解した電解液であって、正極と負極との間に配置されており、例えば、正極と負極との短絡を防止するための不織布等からなるセパレータに含浸されて保持されている。
このような本発明のリチウム二次電池は、負極に本発明の負極材料を用いているため、負極の充放電容量及びクーロン効率が高く、正極の活物質量を抑制することができる。このため、このリチウム二次電池は、多量の正極活物質を収容するための大型の容器を用いる必要がないので、従来のものに比べて小型化することができ、且つ充放電容量が大きく、また、負極が電解液と反応しにくいため安全性が高い。
なお、本発明のリチウム二次電池は、上述の電解液に代えて、公知の無機固体電解質や高分子固体電解質等の他の電解質を用いた場合も同様に実施することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
[実施例1〜4]
表1に示すシリコンと石炭系等方性ピッチとを炭化炉内に別々に配置した。ここでは、炭化炉内に配置されたメッシュ上にシリコンを載置し、また、当該メッシュ下にシリコンと等重量の石炭系等方性ピッチを入れたトレーを配置した。そして、炭化炉内を窒素ガスで満たした後、炭化炉内の温度を300℃/時の昇温速度で950℃まで高めてシリコンを1.5時間加熱処理し、実施例1〜4のリチウム二次電池用負極材料を得た。なお、熱処理後のシリコンの重量増加率は表1に示す通りである。
得られた負極材料70重量部に対し、アセチレンブラック30重量部、バインダーとして20重量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を加え、メノウ乳鉢で混合し、リチウム二次電池用負極合材を得た。
この合材12gを、東洋システム(株)製コインセル評価治具にセットした。セパレータにはグラスフィルターを使用し、1M LiPFを約300μL添加したエチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート(EC/DEC)=1:1(体積比)を電解液 とし、対極はリチウム金属(φ16mm×1mm)を用いた。組み立ては、内部圧10N/cmとなるよう、アルゴン雰囲気下、露点−80℃以下のグローブボックス内で行った。
そして、このセルを1mA/cmで1mVまで定電流充電し、10mVに到達したところで10Vの定電位充電に切り替え、充電時間が合計で12時間になったところで充電を終了した。次に、充電されたセルを、1mA/cmで2.5V(vs.Li/Li)まで定電流放電した。このような一連の充放電過程より判明した、各実施例で得られたリチウム二次電池用負極材料の充電容量、放電容量及びクーロン効率は表1に示す通りである。
[実施例5〜7]
石炭系等方性ピッチに代えて石油系等方性ピッチを用いた点を除いて実施例1〜4の場合と同様に各実施例について活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を作成し、この負極の充電容量、放電容量及びクーロン効率を実施例1〜4の場合と同様にして評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例3で用いたものと同じシリコンを熱処理せずにそのまま用いて実施例1〜4と同様に負極活物質層の密度が異なる2種類のリチウム二次電池用負極を作成し、この負極の充電容量、放電容量及びクーロン効率を実施例1〜4の場合と同様にして評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006396040

Claims (9)

  1. (1)シリコンと、軟化点が150〜300℃のピッチとを同じ閉空間内に別々に配置する工程、及び
    (2)前記閉空間内の温度を前記ピッチの熱分解温度以上に高める工程
    を備える、リチウム二次電池用負極材料の製造方法。
  2. 前記工程(2)において、前記閉空間内の雰囲気が不活性雰囲気又は還元性雰囲気である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(2)における加熱温度が600〜1100℃である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(2)後の前記シリコンの重量増加率が5重量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記シリコンは、平均粒子径が1nm〜100μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記シリコンは、表面が酸化している、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記ピッチは、以下の一般式(1):
    Figure 0006396040
    で示される芳香族指数(fa)が0.50〜0.98である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記ピッチが石炭系ピッチである、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記リチウム二次電池用負極材料の初期放電容量が2000mAh/g以上であり、且つ、クーロン効率が55%以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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