JP3886183B2 - 釣り竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸導入孔を手元側に有するとともに糸導出口を先端部に有する釣り竿に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、釣り竿において釣り糸は、釣り竿の先端に結ばれたり、釣り竿に装着されたリールから釣り竿に沿って案内されて釣り竿先端から繰り出されたりする。この釣り糸の先端には釣り針が装着される。釣行中には、釣り糸が切れて釣り針を交換しなければならないことがよく起こる。釣り針を釣行中に交換するときには、従来、釣り糸の先端を手元側まで持ってきて片手で釣り糸の先端を持ち、もう片方の手で釣り針を持って釣り糸を釣り針に通し、次に両手で釣り糸を持って釣り針に釣り糸を結束している。
【0003】
一方、中通し竿は、竿体内部に釣り糸の挿通経路を有するとともに、手元側に糸挿通経路内に釣り糸を導入するための糸導入孔を有し、さらに穂先先端には釣り糸を外部に導き出す糸導出口を有している。このような中通し竿では、リールからの釣り糸は糸導入孔を通して竿体内部の糸挿通経路に導入され、さらに穂先の糸導出口から外部に導出される。そして、導出された釣り糸の先端に釣り針を装着している。
【0004】
この種の中通し竿において、糸導入孔(又は糸導出口)を通して糸挿通経路に釣り糸を導入し、さらに糸導出口(又は糸導入孔)から取り出すために糸通し具が用いられる。従来の糸通し具は、複数の素線をよって形成されたワイヤで形成されている。ワイヤの長さは、収納時の糸導入孔から糸導出口までの長さより長くなっている。このワイヤの後端に釣り糸を係止する糸止め部が設けられている。また、ワイヤの先端には、ワイヤの素線が広がるのを防止するためにキャップが固定されている。
【0005】
このような糸通し具を用いて釣り糸を中通し竿に通す場合は、まず、糸通し具の糸止め部に釣り糸を係止する。次に、糸通し具の先端を元竿の糸導入孔から穂先側竿体内部の糸挿通経路に挿入する。そして、糸通し具を押すことで穂先側に送っていき、糸通し具の先端を穂先の糸導出口から外部に導出する。その後、糸通し具の先端をつまんで外部へ引っ張り出し、糸止め部に係止されている釣り糸を糸導出口から取り出す。
【0006】
また、糸導入孔から糸挿通経路に糸通し具の先端を挿入しにくいときには、穂先側の糸導出口から糸通し具の後端の糸止め部を挿入する。この場合、糸通し具を竿尻側に押し、糸挿通経路から出てきた糸止め部を糸導入孔から取り出す。そして、糸止め部に釣り糸を係止した後、再度糸通し具を糸導出口から引っ張り出して、釣り糸を糸挿通経路に通す。さらに、糸止め部に釣り糸を係止した状態で、糸通し具の先端のキャップを穂先側の糸導出口から挿入し、糸導入孔からキャップを取り出し、リールに釣り糸を巻き付けることも行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような釣り糸に釣り針を装着する場合、片手で釣り糸を持ち、もう片方の手で釣り針を持つ必要があるので、釣り針の交換を行うときに両手が塞がり、釣り糸を釣り針に結束する作業がやりにくいという問題がある。一方、中通し竿においては、このような糸通し具を糸導出口側から挿入して糸通しを行う場合、糸導入孔から糸通し具を取り出す作業で糸通し具の端部をつまんで取り出す作業が必要である。この糸通し具の端部をつまんで取り出すには、たとえば、糸導入孔を下向きにして糸通し具を撓ませてつまんだり、ラジオペンチやピンセットのような先端が細い道具を糸導入孔から内部に入れ、糸通し具の端部をつまんだりしなければならない。この糸通し具の撓みを利用した取り出し作業や道具による取り出し作業では、端部をうまくつまみにくく、つまみ出しに失敗することがある。このため、取り出し作業に長時間を要し、糸導入孔からの糸通し具の取り出し作業が煩わしいものになる。
【0008】
本発明の課題は、釣り糸の先端に釣り針を装着しやすくすることにある。本発明の別の課題は、釣り竿の糸導入孔から糸通し具を取り出す際に、容易にかつ素早く糸通し具を取り出すことができるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る釣り竿は、竿元部に磁化部材が設けられた竿本体を備えた釣り竿であって、竿本体は、糸挿通経路を内部に、糸導出口を先端にそれぞれ有するとともに、リールからの釣り糸を糸挿通経路に導入するための糸導入部を周部に有し、釣り竿は、磁性体製の部材を有する糸通し具が使用される中通し竿であり、磁化部材は、糸挿通経路に通された糸通し具の端部を竿本体内部から外方に引き寄せるために糸導入部の竿本体外部に位置する部分に配置されている。
【0010】
この場合には、糸導出口から糸通し具を挿入し、それを竿尻側に押し、糸通し具の端部が糸導入部に到達すると、糸導入部近傍に配置された磁化部材により磁性体製の部材を用いた糸通し具の端部が竿本体の内部から外方に引き寄せられる。このため、端部を手で簡単につまむことができ、糸通し具の糸導入部からの取り出しを容易かつ素早く行える。
【0011】
発明2に係る釣り竿は、発明1に記載の竿において、前記糸導入部は、竿本体の外周面に形成された糸導入孔と、糸導入ガイドとを有している。糸導入ガイドは、糸導入孔の両側に形成され竿本体の外周面に固定される前後の固定部と、アーチ状の連結部とを含んでいる。連結部は、リールからの釣り糸が挿通可能でかつこの釣り糸を糸導入孔に案内するためのガイド部を有し、前後の固定部を連結する。この場合には、糸導入部が前後2か所で固定されるので強度上安定するとともに、連結部が他の部材に衝突してもガイド部が折れ曲がりにくい。
【0012】
発明3に係る釣り竿は、発明2に記載の竿において、磁化部材は連結部に設けられている。この場合には、糸導入孔の両側に固定された前後の固定部を連結するアーチ状の連結部は、糸導入孔に対向して配置されることになり、この連結部に磁化部材が設けられているので、糸通し具の端部を磁化部材により糸導入孔から竿本体外方に確実に引き寄せることができる。
【0013】
発明4に係る釣り竿は、発明3に記載の竿において、連結部材は磁化された磁性体製の部材であり、磁化部材を構成している。この場合には、連結部材が磁化部材であるので、糸導入部の構成が簡素化する。
【0014】
発明5に係る釣り竿は、発明3に記載の竿において、磁化部材は前記竿元部に移動又は着脱自在に取り付けられている。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
まず、本発明の一実施形態による釣り竿である中通し竿について説明する。この中通し竿は、図1に示すように、元竿1と、元竿1に装着された複数の竿体からなる穂先側竿体ユニット2とを有している。
【0016】
元竿1は、わずかに先細りの筒状に形成され、その一面にはリール3が装着されるリールシート4が形成されている。また、元竿1の先端(穂先側)外周部には長円状の糸導入孔1aが形成されており、この糸導入孔1aから竿体内部にリール3からの釣り糸Lが導入される。また、元竿1の前端には糸導入ガイド4が装着されている。
【0017】
糸導入ガイド4は、図2に示すように、パイプ材の軸方向中間部を切り欠くとともに切り欠かれた部分を外方に湾曲させて形成したものであり、筒状の前固定部10および後固定部11と、前後の固定部10,11を連結する連結部12とを有している。前後の固定部10,11は糸導入孔1aを挟んで形成されている。連結部12は、前後の固定部10,11から滑らかに外方に湾曲するアーチ状に形成されている。また、軸方向中間部はその前後の部分に比べて徐々に幅が狭くなっている。
【0018】
糸導入ガイド4は、糸導入孔1aの上方にアーチ状連結部12の前方側傾斜部が位置するように元竿1に固定されている。そして、アーチ状連結部12のリール側(後方側)傾斜部にガイド部15が設けられている。ガイド部15は、連結部12に形成された貫通孔16と、貫通孔16の開口縁部に装着されたセラミック等からなる硬質リング17aとを有している。なお、糸導入孔1aの縁にも硬質リング17bが嵌め込まれている。
【0019】
この糸導入ガイド4では、パイプ材を用いて前後の固定部10,11及び連結部12を一体で形成でき、製造が容易である。また、製造工程も簡略化される。また、前後の固定部10,11によって竿に支持されるので、連結部12が他の部材に衝突しても従来のように糸導入ガイド4が折れ曲がったりしにくい。さらに、連結部12がアーチ状に形成され、前後の固定部10,11に滑らかに連続しているので、リール3から繰り出された釣り糸がふけた場合でも、連結部12等にふけた釣り糸が絡むことがすくない。また、糸導入孔1aが見やすいように糸導入ガイド4が構成されているので、糸通しを中子竿体ユニット2の後端に挿入する際に作業がしやすい。
【0020】
糸導入ガイド4の連結部12の糸導入孔1aに対向する下面には、磁石18が着脱自在に固定されている。磁石18は、トップガイド20(後述)から挿入された糸通し具の端部を連結部12側へ引き寄せるために設けられている。なお、この磁石18を装着するための装着部18aを元竿1(又は穂先側竿体ユニット2)の周面に設ければ、磁石18を連結部12から外して装着部18aに固定することができる。このようにすると、たとえば、釣り針に釣り糸を結束するとき等に釣り針を磁石18で保持することにより釣り針を持つ必要がなくなり、釣り針の装着作業を行いやすくなる。
【0021】
穂先側竿体ユニット2は、図1に示すように、トップガイド20を有する最も先端(穂先側)の穂先竿21と、穂先竿21を内部に収納可能でかつ元竿1に挿入可能な元上竿22とを有している。このように、穂先側竿体ユニット2を構成する2本の竿21、22は振出形式で連結されている。各竿21,22は先細りの筒状に形成されている。そして、これらの竿の内部には、釣り糸Lが挿通する糸挿通経路Pが形成される。また、トップガイド20の先端面には、釣り糸Lを外部に導出するための糸導出口20aが形成されている。なお、糸挿通経路Pや糸導出口20aの開口端縁には、セラミック製の硬質リングが装着されている。
【0022】
糸通し具30は、図3に示すように、糸通し本体31と、糸通し本体の先端部に装着されたキャップ32と、糸通し本体31の後端部に装着された糸止め部33とを有している。糸通し具30の全体の長さは、中通し竿の収納状態における糸導入ガイド4のガイド部15から糸導出口20aまでの長さよりも長く形成されており、たとえばキャップ32先端から糸止め部33の後端までの長さは1800mmである。
【0023】
糸通し本体31は、複数の素線をよって形成されたワイヤで形成されており、表面には樹脂コートが施されている。またこの糸通し本体31は糸挿通経路Pに沿って自由に弾性変形が可能である。キャップ32は、金属素材を切削してほぼ円柱状に形成されたものである。糸止め部33は、糸通し本体31よりも径の小さい磁性金属製のワイヤでリング状に形成されており、釣り糸が係止可能である。
【0024】
次に、糸通し具30の使用方法について説明する。糸挿通経路P内に釣り糸Lを通す場合は、まず、穂先側竿体ユニット2を収納状態とする。次に、糸通し具30の糸止め部33を糸導出口20aから挿入し竿尻側に押す。そして、糸止め部33が糸導入孔1aまで到達すると、磁石18により糸止め部33が吸引され、糸止め部33が、図2に示すように、糸導入孔1aから外方に引き寄せられる。このため、糸止め部33を容易にかつ素早くつかむことができる。糸止め部33をつかむと、それを糸導入孔1aから少し取り出し、硬質リング17aを通して後方へ引き出す。そして、リール4に巻き付けられた釣り糸を糸止め部33に係止する。釣り糸を糸止め部33に係止すると、トップガイド20から少し出ているキャップ32をつまんで引っ張り、糸通し具30全体を糸挿通経路Pから竿先側へ取り出す。これにより、糸止め部33に係止された釣り糸も糸挿通経路Pの外部に引き出され、糸通し作業が完了する。
【0025】
このように、糸止め部33を連結部12に取り付けた磁石18により吸引して糸導入ガイド4側(元竿1外方)へ引き寄せているので、糸通し具30を容易にかつ素早く糸導入孔1aから取り出すことができる。
【0026】
〔実施形態2〕
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
【0027】
図4において、本発明の別の実施形態による振出竿は、尻栓1aを有する手元竿1と、手元竿1に振出形式で装着された穂先側竿体ユニット2とを有している。手元竿1はわずかに先細りの筒状に形成され、その外周面には、釣り糸L巻取用のリール3が装着されるリールシート4が形成されている。
【0028】
穂先側竿体ユニット2は、穂先ガイド40を有する最も先端側(穂先側)の1番竿41と、1番竿41を支持するとともにこの1番竿41を内部に収納可能な2番竿42と、2番竿42を内部に収納可能でかつ手元竿1に挿入可能な3番竿43とを有している。このように、穂先側竿体ユニット2を構成する3本の竿41、42、43は振出形式で連結されている。各竿41〜43は先細り筒状に形成されており、その外周面には釣り糸を穂先に案内する釣り糸ガイド44〜46がそれぞれ遊動自在に装着されている。
【0029】
手元竿1のリールシート4の逆側の外周面と尻栓1aの端面とには、装着面47a,47bがそれぞれ設けられている。装着面47a,47bは磁性金属製の部材であり、この装着面47a,47bのいずれかに磁石18が吸着されて保持されている。装着面47aに磁石18を装着すると、この磁石18に釣り針を付けることで、釣り針を保持する必要がなくなる。このため、両手で釣り糸を持つことができ、釣り針の交換を容易に行える。また、磁石18を装着面47bに装着すると重心がより竿尻側に移動し、両手で釣り竿をキャストするフルキャスティングを行いやすくなる。
【0030】
〔他の実施形態〕
(a)キャップ32を糸導出口20aから挿入する場合には、キャップ32を磁性金属製にすればよい。
(b)糸導入ガイド4に磁石18を取り付ける構成に代えて、糸導入ガイド4の連結部12を磁化された磁性金属等で構成し、磁石と連結部12とを一体化した構成にしてもよい。
【0031】
(c)糸導入ガイド4側を磁化した構成に代えて、糸通し具30を磁化する構成にしてもよい。この場合、糸導入ガイド4の連結部12に磁石18に代えて磁性金属製の部材を取り付けるか、又は連結部12を磁性金属製の部材にし、かつ糸通し具30の糸止め部33又はキャップ32を磁化された磁性金属等の部材により構成すればよい。
【0032】
(d)糸導入ガイド4と糸通し具30の双方を互いに吸引するような極性で磁化してもよい。また、元竿1の糸導入孔1aと逆側の内周面に、糸通し具30を離反させるような極性の磁石を配置してもよい。
(e) 磁石18を連結部12に着脱自在に固定してもよい。この場合、磁石単体を適宜の係止手段により連結部12に係止してもよく、また、連結部12を磁性体製の部材で構成し、それに磁力により吸着されるようにしてもよい。また、糸通し具30の糸止め部33又はキャップ32に磁石を着脱自在に装着してもよい。このように構成すれば、磁石18だけを既製品の中通し竿や糸通し具に装着することで、簡単に糸通し具の一端を糸導入部から取り出すことができる。
【0033】
(f) 磁石18を着脱自在ではなく移動自在に配置してもよく、また、固定してもよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、竿本体の竿元部に設けられた磁化部材に釣り針を吸着することで、釣り針を手で持つ必要がなくなり、両手で釣り糸の結束作業が行える。このため、釣り糸の先端に釣り針を装着しやすくなる。また、糸通し具の端部が糸導入部に到達すると、糸導入部近傍に配置された磁化部材または磁性体製の部材により、磁性体製の部材を用いた糸通し具の端部又は磁化された糸通し具の端部が竿本体の内部から外方に引き寄せられる。このため、端部を手で簡単につまむことができ、糸通し具の糸導入部からの取り出しを素早く容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による中通し竿の側面図。
【図2】その糸導入ガイドの斜視部分図。
【図3】本発明の一実施形態による糸通し具の側面図。
【図4】別の実施形態の図1に相当する図。
【符号の説明】
1 元竿
1a 糸導入孔
4 糸導入ガイド
10 前固定部
11 後固定部
12 連結部
16 ガイド孔
18 磁石
20 トップガイド
20a 糸導出口
30 糸通し具
31 糸通し本体
32 キャップ
33 糸止め部
Claims (5)
- 竿元部に磁化部材が設けられた竿本体を備えた釣り竿であって、
前記竿本体は、糸挿通経路を内部に、糸導出口を先端にそれぞれ有するとともに、リールからの釣り糸を前記糸挿通経路に導入するための糸導入部を周部に有し、
前記釣り竿は、磁性体製の部材を有する糸通し具が使用される中通し竿であり、
前記磁化部材は、前記糸挿通経路に通された前記糸通し具の端部を前記竿本体内部から外方に引き寄せるために前記糸導入部の前記竿本体外部に位置する部分に配置されている、
釣り竿。 - 前記糸導入部は、前記竿本体の外周面に形成された糸導入孔と、
前記糸導入孔の両側に形成され前記竿本体の外周面に固定される前後の固定部と、
前記リールからの釣り糸が挿通可能でかつ前記釣り糸を前記糸導入孔に案内するためのガイド部を有し、前記前後の固定部を連結するアーチ状の連結部とを含む糸導入ガイドとを有する、請求項1に記載の釣り竿。 - 前記磁化部材は前記連結部に設けられている、請求項2に記載の釣り竿。
- 前記連結部は磁化された磁性体製の部材であり、前記磁化部材を構成している、請求項3に記載の釣り竿。
- 前記磁化部材は前記竿元部に移動又は着脱自在に取り付けられた、請求項3に記載の釣り竿。
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