JP3885288B2 - 機器固定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器を装着部に固定する機器固定装置に関するもので、特に車載用機器をパネルの装着用ボックスに着脱自在に固定する車載用機器固定装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば樹脂構造の計器盤は、車体側ステーにボルト締めされる計器盤本体(以下インストルメントパネルと言う)、およびこのインストルメントパネルにインサート成形等されて固定されるセーフティパッド等より構成されている。そして、インストルメントパネルの各装着部には、スピードメータやタコメータ等の計器装置、空調装置のエアコン操作パネル、テレビ、ラジオ、カセットデッキやCDプレーヤー等の音響装置および時計装置などの車載用機器が嵌め込まれた状態でビス締めされている。
【0003】
例えば車載用機器は、車体に搭載する艤装部品としては比較的に重量物であり、図10ないし図12に示したように、樹脂構造のパネル本体101の側方に突出するようにブラケット部102が一体成形されている。そして、車載用機器を車体側に固定する方法としては、図10に示したように、車体側の取付ステー103にパネル本体101のブラケット部102を複数本のビス104によりビス締めし、更にブラケット部102やビス104等を乗員側から隠すために、インスメントパネル105がパネル本体101よりも手前側(乗員側)から車体側に装着する方法が多く見受けられる。
【0004】
また、図11に示したように、車体側の取付ステー103の裏側からパネル本体101のブラケット部102を複数本のビス104によりビス締めし、更に同様に、インスメントパネル105がパネル本体101よりも手前側(乗員側)から車体側に装着する方法がある。あるいは、図12に示したように、パネル本体101が差し込まれる角筒型の装着部106、およびこの装着部106の底側壁にパネル本体101が貫通する所定の形状の装着用開口部107をインスメントパネル105の所定の場所に一体成形し、インスメントパネル105の裏側からパネル本体101のブラケット部102を複数本のビス104により装着部106の底側壁に直接ビス締めする方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、車両の振動に耐えるために、パネル本体101を取付ステー103、装着部106に固定する方法としてビス締めを採用しているので、狭くて手の入り難い場所で行うには車両への組付性が非常に悪く、且つビス104の本数分だけ作業工数が必要となるという問題が生じている。そこで、1箇所のみビス締めすることにより、車載用機器を取付ステー103、装着部106に固定することが考えられるが、それでは固定力が不足し脱落する可能性がある。
【0006】
また、小型で軽量な車載用機器として代表的なスイッチ類110は、図13(a)、(b)に示したように、相手部品111に引っ掛けるためのフック部112が樹脂構造のスイッチ本体113に一体成形されているが、相手部品111への固定力はフック部112の反力によっている。この固定方法は、例えばフック部112を燐青銅バネにした場合も、相手部品111への固定力は軽量故にあまり必要はなく、フック部112の先端テーパ部114の反力と摩擦力とで固定し得る。ここで、例えばエアコン操作パネルや音響装置等の重量の大きい車載用機器に小型で軽量なスイッチ類のように樹脂構造の機器本体にフック部を一体成形することが考えられるが、この構造では、車載用機器の相手部品への固定力が不足するため、相手部品から車載用機器が脱落する可能性がある。
【0007】
そこで、例えばエアコン操作パネルや音響装置等のような重量の大きい車載用機器の側面に、金属バネよりなるフック部を取り付けて、パネル本体を大型化した構造が容易に考えられる。ところが、発明者等の実験結果や計算結果では、金属バネよりなるフック部の反力のみでは車載用機器が車両の振動に耐えられず、車載用機器が装着部内で揺れて振動異音が発生するという問題が生じる。また、車載用機器が装着部から脱落したり傾いたりするという問題が生じる。
【0008】
【発明の目的】
本発明の目的は、振動異音や振動による脱落がなく、装着部に機器を容易に固定することのできる機器固定装置の提供にある。また、装着部への機器の組付性を向上させることにより、組付作業時の作業工数を軽減することのできる機器固定装置の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、装着部に機器を挿入すると、機器本体の複数個の突起部が装着部に設けられた複数個の嵌合穴にそれぞれ嵌め合わされることにより、装着部に対する機器の位置決めがなされる。そして、装着部に機器を挿入した際には、フック部が装着部に引っ掛かることにより機器が簡単に固定される。そして、機器を装着部に固定した際には、弾性体に取付方向の付勢荷重が発生することになるので、機器本体が装着部に強固に固定される。このため、弾性体の存在によりフック部のみの固定力よりも大きい固定力が得られるので、仮に重量の大きい機器であっても振動に耐えられる。したがって、機器本体に振動が伝えられても、機器本体が装着部内で揺れることがないので、振動異音の発生を抑えることができ、且つ装着部から機器が脱落することもない。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、フック部として、機器本体とは別体の金属材料により構成され、機器本体の取付方向の奥側に向かって凸形状の板バネを設けることにより、機器本体にフック部のような特殊な形状を設ける必要がなくなるので、機器本体の成形型を簡素化できる。また、請求項3に記載の発明によれば、板バネの表面に被覆材料を被覆することにより、装着部に機器を装着する際に、板バネが装着部に当って傷が付くのを回避することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、機器本体の重心位置近傍にフック部を設けることにより、フック部が装着部に安定した状態で引っ掛かるため、フック部の固定力を最大限に生かすことができる。また、請求項5に記載の発明によれば、フック部から装着部と機器本体との間の隙間に突出する突出片を、機器本体の手前側から治具でこじることにより、フック部が装着部の引っ掛かりを解除することにより、手前側より機器を相手部品の装着部から簡単に取り外すことができる。
【0012】
請求項6に記載の発明によれば、弾性体としてのコイルバネを、各突起部の外周に嵌め合わすことにより、コイルバネを保持するための専用の突起部を設ける必要はない。そして、請求項7に記載の発明によれば、弾性体としてのゴムの環状部を、各突起部の外周に嵌め合わすことにより、相手部品の嵌合穴の周辺にのみゴムの当接部を設ければ良く、またゴムを保持するための専用の突起部を設ける必要はない。さらに、ゴムはコイルバネのようなきしみ音の発生を防止でき、且つコイルバネに対して摩擦係数が高く変形がし易いため、物流時の機器の脱落を防止できる。そして、請求項8に記載の発明によれば、弾性体としてのゴムの第2挟持部が、突起部の外周と嵌合穴の内周との嵌合隙間に挟み込まれることにより、ゴムが嵌合隙間に介在することになり、振動によって突起部と嵌合穴との間で発生する異音を防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態の構成〕
図1ないし図6は本発明の第1実施形態を示したもので、図1および図3は車載用機器を装着用ボックスに取り付けた状態を示した図で、図2は車載用機器を装着用ボックスに取り付ける状態を示した図である。
【0014】
本実施形態の車載用機器固定装置1は、インストルメントパネル、センターコンソールまたはフロアコンソールに一体成形されたセンタパネル2に、計器装置、音響装置(例えばCDプレーヤー、カセットデッキやラジオ)または空調装置(例えばエアコン操作パネル)等の車載用機器3を着脱自在に固定するものである。センタパネル2は、本発明の相手部品に相当するもので、金属材料または樹脂材料により操作性や視認性を考慮した所定の形状に形成され、自動車等の車両の車室内前面の中央部に上下方向に延びるような状態で、車体側ステー(図示せず)にビス締めされている枠体である。
【0015】
このセンタパネル2の上部には、図示しないエアコンユニットから空調空気を乗員の頭胸部に向けて吹き出させるためのセンタフェイス吹出口(図示せず)が形成されている。また、センタパネル2のCDプレーヤーやカセットデッキを装着するための方形状の装着用ボックス(図示せず)の下側には、車載用機器(本例ではエアコン操作パネル等)3を挿入するための装着用ボックス4が一体成形されている。
【0016】
装着用ボックス4は、本発明の装着部に相当する部分で、センタパネル2の前面壁10よりも奥側(車両の前部側、エンジンルーム側または車室外側)に向かって突出するように設けられて、車載用機器3の周囲を覆って保持する角筒形状の保持壁11と、この保持壁11の奥側端を塞ぐように設けられ、車載用機器3が貫通する平板形状の奥側壁12と、この奥側壁12に形成された装着用開口部13とを備えている。
【0017】
奥側壁12の装着用開口部13よりも外側の4隅には、奥側壁12の底面と裏面とを連通するように丸穴形状の嵌合穴14が複数個形成されている。また、奥側壁12の装着用開口部13の左右には、車載用機器3が引っ掛かる2個の被係止片15がそれぞれ形成されている。そして、装着用開口部13は、略十文字形状に形成されており、長方形状の中央部と、この中央部よりも左右に突出した長方形状の貫通穴とから構成されている。なお、貫通穴は、被係止片15に隣設している。
【0018】
車載用機器3は、樹脂材料により所定の形状に一体成形された機器本体5と、この機器本体5に組み付けられ、金属材料によりコイル形状に形成された複数個のコイルバネ6と、機器本体5に組み付けられ、金属材料(例えばステンレス鋼、燐青銅または工具鋼等)により略U字形状に形成された2個の板バネクリップ7とを備えている。
【0019】
先ず、本実施形態の機器本体5を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。機器本体5は、装着用ボックス4の保持壁11内に収容される基体部21と、この基体部21よりも奥側寄りに一体成形された奥側部22とを有している。基体部21のパネル壁23には、エアコンスイッチや風量切替スイッチ等のスイッチ類8、および車室内の希望の温度や吹出口モードをディジタル表示する液晶表示部9などが設けられている。
【0020】
また、基体部21の4隅には、側方に突出したピン台座部24が一体成形されている。このピン台座部24は、略コの字形状または略Eの字形状のリブよりなる。そして、ピン台座部24の裏面からは、装着用ボックス4の嵌合穴14に嵌め合わされる略棒状の位置決めピン(本発明の突起部に相当する)25が奥側に向かって突出している。この位置決めピン25は、装着用ボックス4の嵌合穴14に相対するように設けられている。そして、位置決めピン25の根元部分には、先端側よりも外径の大きい支持部26および環状溝27が形成されている。
【0021】
さらに、上下のピン台座部24の間には、パネル壁23の裏面から奥側部22の側方まで延びる略コの字形状の凸状壁28が形成されている。この凸状壁28と基体部21との間には、板バネクリップ7の根元部分が差し込まれる差込み穴29が形成されている。そして、凸状壁28の奥側端には、板バネクリップ7の根元部分を引っ掛けるための長方形状のフック脱落防止穴(図示せず)が形成されている。
【0022】
奥側部22は、装着用ボックス4の奥側壁12よりも奥側に突出する部分である。この奥側部22の背面からは、車載バッテリからの給電線や、エアコンユニットの冷凍機器に作動および停止信号を出力する出力線等を一箇所にまとめたコネクタ(図示せず)が突出するように形成されている。
【0023】
次に、複数個のコイルバネ6を図2ないし図4に基づいて簡単に説明する。ここで、図4(a)は車載用機器3を装着用ボックス4に取り付ける状態を示した図で、(b)は車載用機器3を装着用ボックス4に取り付けた状態を示した図である。コイルバネ6は、本発明の弾性体に相当するもので、ピン台座部24の裏面から取付方向に突出する位置決めピン25の外周に嵌め合わされ、装着用ボックス4と機器本体5との公差を吸収するための部分である。
【0024】
また、コイルバネ6の一端側(手前側)のコイル状の部分は、図4(a)に示したように、位置決めピン25の支持部26の外周に強固に嵌め合わされている。また、コイルバネ6の他端側(奥側)のコイル状の部分は、図4(b)に示したように、装着用ボックス4の奥側壁12の表面(底面)に圧縮された状態で当接している。
【0025】
次に、2個の板バネクリップ7を図1ないし図3、図5および図6に基づいて簡単に説明する。ここで、図5(a)、(b)は板バネクリップ7を示した図で、図6は車載用機器3を装着用ボックス4から取り外す状態を示した図である。板バネクリップ7は、本発明のフック部に相当するもので、平板形状の金属材料をプレス成形することにより所定の形状に成形されている。
【0026】
板バネクリップ7は、本発明のフック部に相当するもので、機器本体5の重心位置近傍にフック固定された根元部31と、この根元部31の端部より略U字形状に折り返されたコーナ部32と、このコーナ部32より外側に傾斜した状態で延長された傾斜部33と、この傾斜部33の端部より機器本体5側に折り曲げられた折曲げ部(フック部)34と、この折曲げ部34の端部より外側に折り曲げられた係止片(フック部)35と、この係止片35よりも面方向に延長された突出片36とから構成されている。
【0027】
根元部31は、機器本体5の基体部21と凸状壁28との間に形成される差込み穴29に差し込まれる。根元部31には、機器本体5の凸状壁28の奥側端で開口しているフック脱落防止穴に引っ掛けられる係止爪部37が形成されている。この係止爪部37は、根元部31を略コの字形状に切欠きした後に、根元部31より外側に所定の傾斜角度となるように折り返して形成される。なお、根元部31が機器本体5に係止される形状であれば係止爪部37は、設けられていなくても良い。
【0028】
コーナ部32は、機器本体5の取付方向の奥側に向けて凸形状に形成され、外側と内側とに向けて弾性変形が可能な弾性変形部である。そして、コーナ部32の表面は、図示しない被覆材料(例えば樹脂部材がコーティングされているか、あるいはポリエチレンテレフタレートテープが貼り付けられている)によって覆われている。その被覆材料は、機器本体5を構成する樹脂材料と同等かそれ以下の硬さを持つ。係止片35は、図6に示したように、装着用ボックス4の被係止片15に引っ掛かるように形成され、この係止片35は被係止片15に係止する方向に付勢力が働く。
【0029】
〔第1実施形態の取付方法〕
次に、本実施形態の車載用機器3をセンタパネル2に取り付ける取付方法を図1ないし図6に基づいて簡単に説明する。
【0030】
先ず、機器本体5のパネル壁23に、エアコンスイッチや風量切替スイッチ等のスイッチ類8、および液晶表示部9などを組み付ける。そして、機器本体5の背面に一体成形された複数個の位置決めピン25の外周にそれぞれコイルバネ6を嵌め合わせる。このとき、コイルバネ6の一端側のコイル状の部分の内径寸法を、位置決めピン25の支持部26の外径寸法よりも小さく形成している。また、コイルバネ6の一端側のコイル状の部分を環状溝27内に圧入している。このため、コイルバネ6の一端側のコイル状の部分は、図4(a)に示したように、位置決めピン25の支持部26の外周に強固に嵌め合わされている。
【0031】
次に、2個の板バネクリップ7の根元部31を、機器本体5の凸状壁28に形成された差込み穴29内に差し込むことにより、2個の板バネクリップ7が機器本体5の両側に組み付けられる。このとき、板バネクリップ7の根元部31に設けた係止爪部37をフック脱落防止穴に引っ掛けることにより、組み付けた後に板バネクリップ7が機器本体5から脱落することはない。以上の組付作業により車載用機器3が組み立てられる。
【0032】
一方、完成した車体の車体側ステーにセンタパネル2をビス締めすることによりセンタパネル2を車体に固定する。
そして、車載用機器3をセンタパネル2に取り付ける場合には、図2に示したように、車載用機器3を手前側からセンタパネル2に形成された装着用ボックス4内に挿入する。このとき、機器本体5の上端面および下端面が装着用ボックス4の保持壁11の上側壁面および下側壁面に摺接する。また、2個の板バネクリップ7が撓んだ状態で、コーナ部32および傾斜部33が保持壁11の上側壁面および下側壁面に摺接する。
【0033】
さらに、車載用機器3を装着用ボックス4内に挿入すると、機器本体5のピン台座部24の裏面から突出した複数個の位置決めピン25が装着用ボックス4の嵌合穴14内に嵌め込まれて、位置決めピン25の先端部分が奥側壁12より突出する。よって、車載用機器3が上下方向に正確に位置決めされた状態で強固に固定される。このとき、車載用機器3の奥側部22および2個の板バネクリップ7も奥側壁12より突出して、2個の板バネクリップ7の折曲げ部34が装着用ボックス4の被係止片15を通過すると、板バネクリップ7の規制状態が解除されて弾性力によって装着音を響かせながら係止片35が被係止片15に引っ掛かるように外側に変位する。
【0034】
このとき、複数個の位置決めピン25の外周に嵌め合わされた複数個のコイルバネ6は、図4(b)に示したように、コイルバネ6の他端側のコイル状の部分が、装着用ボックス4の奥側壁12の表面に圧縮された状態で当接することにより、組付後に複数個のコイルバネ6に軸方向の押し出し荷重が発生する。
【0035】
そして、複数個のコイルバネ6の押し出し荷重(付勢力)は、装着用ボックス4の奥側壁12と機器本体5の基体部21との間を離間させる方向に働くので、機器本体5の基体部21と装着用ボックス4の奥側壁12との公差が吸収されて、車載用機器3が装着用ボックス4に隙間なく固定される。また、複数個のコイルバネ6の押し出し荷重は、板バネクリップ7の折曲げ部34と奥側壁12の被係止片15の背面とを近づける方向に働く。
【0036】
すなわち、複数個のコイルバネ6の押し出し荷重が大きければ大きい程、板バネクリップ7の装着用ボックス4への引っ掛かり具合が増す。よって、車載用機器3が水平方向(前後方向)に強固に固定される。以上により、車載用機器3をセンタパネル2に簡単に取り付けることができると共に、車載用機器3をセンタパネル2に上下方向および水平方向に強固に固定できる。
【0037】
〔第1実施形態の取外し方法〕
次に、本実施形態の車載用機器3をセンタパネル2から取り外す取外し方法を図1ないし図6に基づいて簡単に説明する。
【0038】
車載用機器3をセンタパネル2から取り外す場合には、図6に示したように、治具Aを装着用ボックス4の保持壁11と機器本体5のピン台座部24との間に差し込んで、治具Aを矢印方向に動かして突出片36を治具Aの先端部により抉ることにより、板バネクリップ7の係止片35を被係止片15より外すことにより、板バネクリップ7による被係止片15への拘止状態が解除される。その後に突出片36を治具Aにより内側に傾けて係止片35を被係止片15よりも内側に位置させながら、車載用機器3を装着用ボックス4から手前に引き戻すことにより、車載用機器3をセンタパネル2から簡単に取り外すことができる。
【0039】
〔第1実施形態の効果〕
以上のように、本実施形態の車載用機器固定装置1は、重量の大きい(例えば0.3kg以上の)車載用機器3のセンタパネル2への組み付けや取り外しが容易となる。また、複数個のコイルバネ6の軸方向の押し出し荷重により機器本体5の基体部21と装着用ボックス4の奥側壁12との公差が吸収されて、車載用機器3が装着用ボックス4に隙間なく固定される。また、複数個のコイルバネ6の押し出し荷重が、板バネクリップ7の折曲げ部34と奥側壁12の被係止片15の背面とを近づける方向に作用する。これにより、車両の走行振動やエンジン振動に耐えることができるので、車載用機器3が装着用ボックス4内で揺れ動くことを防止できる。したがって、車載用機器3が装着用ボックス4内で揺れ動くことにより発生する振動異音を抑えることができ、且つ振動による脱落もない。
【0040】
また、機器本体5に設けた位置決めピン25にて装着用ボックス4に位置決め固定できるので、車載用機器3をセンタパネル2に上下を逆転して組み付けてしまう誤組付を防止することができる。さらに、車載用機器3をセンタパネル2に取り付ける際に、装着用ボックス4と板バネクリップ7とが摺動するコーナ部32に被覆部材を被覆することにより板バネクリップ7に傷が発生することを防止できる。
【0041】
そして、車載用機器3をセンタパネル2に取り付ける際に、板バネクリップ7の係止片35が被係止片15に引っ掛かる時、装着用ボックス4に対する装着音が発生することにより、板バネクリップ7の引っ掛かり具合が見えなくても、車載用機器3がセンタパネル2に組み付いたことを確認できる。これにより、車載用機器3の装着用ボックス4への組付性が向上することにより、車載用機器3の組付作業時の作業工数を軽減することができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
図7および図8は本発明の第2実施形態を示したもので、図7は位置決めピンとキャップ形状のゴムを示した図で、図8はキャップ形状のゴムを示した図である。
【0043】
本実施形態では、弾性体としてキャップ形状のゴム40を利用している。このゴム40は、位置決めピン25の外周に嵌め合わされる第2挟持部としてのキャップ部41と、このキャップ部41の端部に設けられて、車載用機器3をセンタパネル2の装着用ボックス4に取り付けた時に奥側壁12とピン台座部24との間に挟み込まれる第1挟持部としての環状部(ワッシャ部)42とからなる。
【0044】
そして、ゴム40のキャップ部41が位置決めピン25と共に奥側壁12の嵌合穴14内に差し込まれることにより、位置決めピン25と嵌合穴14との公差が吸収される。また、ゴム40の環状部42によって、機器本体5の基体部21と装着用ボックス4の奥側壁12との公差が吸収される。これにより、車載用機器3が装着用ボックス4に隙間なく固定されることにより、車両の振動に対して振動異音や振動による脱落もなくセンタパネル2に車載用機器3を固定できる。
【0045】
本実施形態のように、弾性体としてキャップ形状のゴム40を使用することにより、ゴム40の弾性力(反力)が不足し、車両の振動により位置決めピン25と装着用ボックス4の奥側壁12との間で移動することによって発生する振動異音は、ゴム40の弾性効果により緩衝し得る効果がある。また、当然、ゴム40の場合には、コイルバネのようなきしみ音を防止できると共に、摩擦係数が高く、変形がし易いため、物流時の車載用機器3の脱落を防止できる。なお、キャップ形状のゴム40の代わりにワッシャ形状のゴムを弾性体として使用しても良い。
【0046】
〔他の実施形態〕
本実施形態では、本発明を車載用機器固定装置1に適用した例を示したが、本発明を航空機、船舶、鉄道車両等の機器固定装置に適用しても良い。また、車載用機器固定装置の場合でも、ドアインナパネル、天井、リヤサイドに設けられた相手部品に車載用機器3を固定する車載用機器固定装置に適用しても良い。
【0047】
本実施形態では、位置決めピン25を4個設けたが、位置決めピン25を2個、3個また5個以上設けても良い。なお、突起部として丸棒状の位置決めピン25を使用したが、突起部として方形形状の断面を有する台状部を使用しても良い。また、位置決めピン25の外周に、図9に示したように、十文字状の溝部43を形成して良い。なお、44は板バネクリップ7の係止爪部37をフックする長方形形状のフック脱落防止穴である。
【図面の簡単な説明】
【図1】車載用機器を装着用ボックスに取り付けた状態を示した透視図である(第1実施形態)。
【図2】車載用機器を装着用ボックスに取り付ける状態を示した分解図である(第1実施形態)。
【図3】車載用機器を装着用ボックスに取り付けた状態を示した斜視図である(第1実施形態)。
【図4】(a)は車載用機器を装着用ボックスに取り付ける状態を示した断面図で、(b)は車載用機器を装着用ボックスに取り付けた状態を示した断面図である(第1実施形態)。
【図5】(a)は板バネクリップを示した側面図で、(b)は板バネクリップを示した正面図である(第1実施形態)。
【図6】車載用機器を装着用ボックスから取り外す状態を示した断面図である(第1実施形態)。
【図7】位置決めピンとキャップ形状のゴムを示した断面図である(第2実施形態)。
【図8】キャップ形状のゴムを示した斜視図である(第2実施形態)。
【図9】機器本体を示した側面図である(他の実施形態)。
【図10】従来の車載用機器を相手部品に取り付ける状態を示した分解図である(第1従来例)。
【図11】従来の車載用機器を相手部品に取り付ける状態を示した分解図である(第2従来例)。
【図12】従来の車載用機器を相手部品に取り付ける状態を示した分解図である(第3従来例)。
【図13】(a)はスイッチ類を示した斜視図で、(b)はスイッチ類を相手部品に取り付けた状態を示した断面図である(第4従来例)。
【符号の説明】
A 治具
1 車載用機器固定装置(機器固定装置)
2 センタパネル(相手部品)
3 車載用機器
4 装着用ボックス(装着部)
5 機器本体
6 コイルバネ(弾性体)
7 板バネクリップ(フック部)
10 前面壁
11 保持壁
12 奥側壁
13 装着用開口部
14 嵌合穴
15 被係止片
21 基体部
22 奥側部
24 ピン台座部
25 位置決めピン(突起部)
31 根元部
32 コーナ部
34 折曲げ部
35 係止片
36 突出片
42 環状部

Claims (8)

  1. 空調装置、音響装置または計器装置等の機器と、この機器を挿入することにより装着する装着部とを備えた機器固定装置において、
    前記機器は、取付方向に突出した複数個の突起部を有する機器本体と、前記装着部と前記機器本体との間に挟み込まれ、前記機器本体の取付方向に付勢荷重が発生する弾性体と、前記機器本体に設けられ、前記装着部に引っ掛けられるフック部とを備え、
    前記装着部は、前記複数個の突起部に相対する位置に、前記複数個の突起部がそれぞれ嵌め合わされる複数個の嵌合穴を設けたことを特徴とする機器固定装置。
  2. 請求項1に記載の機器固定装置において、
    前記フック部は、前記機器本体とは別体の金属材料により構成され、前記機器本体の取付方向の奥側に向かって凸形状の板バネであることを特徴とする機器固定装置。
  3. 請求項2に記載の機器固定装置において、
    前記フック部の表面は、前記装着部と同等かそれ以下の硬さを持つ被覆材料に被覆されていることを特徴とする機器固定装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の機器固定装置において、
    前記フック部は、前記機器本体の重心位置近傍に設けられていることを特徴とする機器固定装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の機器固定装置において、
    前記フック部は、前記装着部と前記機器本体との間の隙間に突出する突出片を有することを特徴とする機器固定装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の機器固定装置において、
    前記弾性体は、前記複数個の突起部の外周に嵌め合わされたコイルバネであることを特徴とする機器固定装置。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の機器固定装置において、
    前記弾性体は、前記複数個の突起部の外周に嵌め合わされる環状部を有するゴムであることを特徴とする機器固定装置。
  8. 請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の機器固定装置において、
    前記弾性体は、前記装着部と前記機器本体との間に挟み込まれる第1挟持部と、および前記突起部の外周と前記嵌合穴の内周との嵌合隙間に挟み込まれる第2挟持部とからなるゴムであることを特徴とする機器固定装置。
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