JP3883603B2 - 粘着ゲル基材および粘着組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、経皮または経粘膜に対して適用するのに好適な粘着ゲル基剤およびそれを含む粘着組成物に関する。より詳細には、本発明は、経皮治療システム(TTS)の原理またはイオントフォレーシスの原理を用いた経皮、経粘膜薬物投与に使用するのに特に好適な粘着ゲル基剤及び粘着組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、外用製剤分野では種々の剤型が開発され、関心が次第に高まりつつある。その理由は、皮膚や粘膜から局所性または全身性にその薬理作用を期待する薬物を投与した場合、薬物の持続性が期待できること、薬物の吸収速度の調節が容易であり投与過剰による副作用の防止が可能なこと、経口投与に見られるような肝臓による初回通過効果による代謝の影響などが少なく薬物の有効利用が可能であること、肝臓障害などを伴う薬物でも比較的安全に投与できること等の利点を有する為である。
【0003】
従来、TTSを利用した治療に用いる粘着組成物としては、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系またはシリコーン系などの親油性基剤を含有するものが知られている。また、親水性粘着剤としてポリアクリル酸ナトリウムやカルボキシビニルポリマーなどの親水性基剤をベースポリマーとしたパップ剤が知られている。さらに、粘着力を上げるためにメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体を多官能エポキシ化合物で架橋した粘着組成物が特開昭56−154421号公報または特開昭59−204117号公報に開示されている。
【0004】
一方、イオントフォレーシスを利用した治療に用いる粘着組成物に含有される基剤は水溶性の基剤であることが必須であり、従来、カラヤガム系の基剤、ポリビニルアルコール系の基剤などが知られている。また、金属で架橋させた水溶性ポリマーを基剤とした粘着組成物は通電時にゲルの凝集力が低下して粘着力が落ちるため、それを改善させるために無水マレイン酸共重合体またはマレイン酸共重合体、多官能エポキシ化合物および多価アルコールを含有する粘着組成物が特開昭63−92683号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の親油性粘着組成物については有機溶剤を必要とし、製造時に多くの熱量を必要とし、またエマルジョン型のアクリル系粘着剤に見られるように界面活性剤を必要とするという問題があった。また、このような親油性の粘着組成物は皮膚刺激性が比較的大きく、製造時における作業環境にも問題があった。更に、このような親油性粘着組成物を用いたパップ剤については未だ十分な粘着力が得られていなかった。
【0006】
また、特開昭56−154421号公報や特開昭59−204117号公報に開示されている従来の親水性粘着組成物には、展膏時の粘度が低いために厚みのコントロールが困難であるという問題があった。
【0007】
一方、イオントフォレーシス用の従来のカラヤガム系の基剤、ポリビニルアルコール系の粘着組成物には粘着力が低くまた経時安定性に劣るという問題があった。
【0008】
また、特開昭63−92683号公報に開示されている従来の親水性粘着組成物には、展膏時の粘度が低いために展膏を可能とするためにベースポリマーの量を増やさなければならないという問題や、かかるベースポリマーを溶解させるためにアルカリで中和しなければならないという問題があった。そのため、上記従来の親水性粘着組成物においては薬物の拡散抵抗の増加または輸率の減少が引き起こされ、実質的に薬物の透過性が減少してしまうという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、皮膚刺激性が低くかつ薬物放出性に優れており、しかも展膏が容易で安価に製造可能であり、更にインピーダンスが小さくかつ塩析や分極が生じないためにイオントフォレーシスにも好適である、経皮または経粘膜適用の親水性粘着ゲル基剤及び親水性粘着組成物を提供することを目的とする。
【0010】
そこで、本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、基剤成分がメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体、N−ビニルアセトアミド架橋体、多官能エポキシ化合物、水および多価アルコールからなる粘着ゲル基剤、並びにその粘着ゲル基剤と薬物および/または電解質を含有する粘着組成物が上記目的の達成に有効であることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
本発明の粘着組成物は、皮膚または粘膜に適用される粘着組成物であって、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体、N−ビニルアセトアミド架橋体、多官能エポキシ化合物、水および多価アルコールからなり、
前記N−ビニルアセトアミド架橋体が、下記一般式:
【化2】
[式中、R1,R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子またはメチル基を示す]
で表されるN−ビニルアセトアミドを主繰返し単位とする主鎖を、1分子中に重合可能な不飽和基を少なくとも2個以上有する化合物で架橋してなるポリマーである粘着ゲル基剤を含有し、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体の配合量が、粘着組成物基準でメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体として5〜35重量%であり、イオントフォレーシスに用いられることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物の好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0013】
本発明の粘着ゲル基剤は、前述のように、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体、N−ビニルアセトアミド架橋体、多官能エポキシ化合物、水および多価アルコールからなるものであり、本発明の粘着組成物は上記本発明の粘着ゲル基剤を含有するものである。
【0014】
本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物はそれぞれ常温かつ無溶剤で製造可能な親水性の粘着ゲル基剤および粘着組成物であり、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体をベースポリマーとすることで輸率の減少すなわち薬物透過の減少を極力抑えることができる。また、架橋剤として多官能エポキシ化合物を使用することで、使用時の付着力の低下を抑えることが可能となり、かつベースポリマーのカルボキシル基をエポキシ基と反応させることによりpHが上昇することで皮膚刺激性が低減しかつイオントフォレーシス用に使用した場合に薬物の水素イオンとの競合が減って薬物の皮膚または粘膜透過性が高まる。さらに、多価アルコールの添加により粘着組成物の凝集力、保水力および薬物溶解性の上昇が可能になる。
【0015】
また、本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物においては、ゲル化剤として後述するN−ビニルアセトアミド架橋体を用いることで、粘着ゲル基剤および粘着組成物がチキソトロピックな粘性を有する非ニュートン液体(ゲル)となり、展膏時における液だれが防止され、展膏が容易になる。また、本発明にかかるN−ビニルアセトアミド架橋体は解離性の官能基を持たないことから薬物等と競合することがなく、薬物等の塩析が防止され、イオントフォレーシス用に使用した場合には分極の発生が防止される。さらに、本発明にかかるN−ビニルアセトアミド架橋体は多価アルコールや電解質との相溶性が大きいことから、適用中における水の揮散が抑制され、また電荷移動媒体としての電解質が豊富に保持されることにより安定な通電状態および/または薬物透過性が維持される。
【0016】
本発明の粘着組成物は上記本発明の粘着ゲル基剤を含有するものであり、該組成物を経皮・経粘膜投与製剤として用いる場合は薬物をさらに含有し、イオントフォレーシス用製剤として用いる場合は薬物および/または電解質をさらに含有してもよい。
【0017】
本発明において使用されるメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体は水中で加水分解されメトキシエチレンマレイン酸共重合体となるが、その配合量はメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体として約5〜35重量%(得られる組成物基準)であることが好ましい。上記配合量が約5重量%未満では凝集力が十分ではなく、剥離時に膏体残りが発生する傾向にあり、他方約35重量%を超えるとポリマーが室温で溶解せず実用的ではなくなる傾向にある。
【0018】
本発明において使用されるN−ビニルアセトアミド架橋体は、下記一般式:
【化3】
[式中、R1,R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子またはメチル基を示す]で表わされるN−ビニルアセトアミドを主繰返し単位とする主鎖を架橋剤にて架橋してなるポリマーであり、乾燥時の平均粒子径が10μm以下の微粒子状であることが好ましい。また、本発明にかかるN−ビニルアセトアミド架橋体の主鎖の平均重合度は100〜500000であることが好ましく、架橋密度は1/10000〜1/10であることが好ましい。更に、上記架橋剤としては1分子中に重合可能な不飽和基を少なくとも2個以上有する化合物が用いられ、例えばN,N’−低級アルキレンビスアクリルアミド、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオールトリ(メタ)アクリレート、ジビニル化合物、ポリアリル化合物、N,N’−低級アルキレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド)、N,N’−ポリアルキレングリコールビス(N−ビニルカルボン酸アミド)、N,N’−キシリレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド)が挙げられる。また、かかる架橋剤の含量は0.01〜10モル%(モノマー成分基準)が好ましい。
【0019】
本発明にかかるN−ビニルアセトアミド架橋体としては、例えば昭和電工株式会社製PNVA(GX−205)、同PNVA(NA−010)、同PNVA(NA−300)が挙げられるが、その中でもPNVA(GX−205)が特に好ましい。本発明にかかるN−ビニルアセトアミド架橋体の配合量は約1〜8重量%(得られる組成物基準)であることが好ましい。上記配合量が約1重量%未満では粘度が不十分となる傾向にあり、他方約8重量%を超えると凝集力が落ちる傾向にある。
【0020】
本発明において使用される多官能エポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。本発明にかかる多官能エポキシ化合物の配合量は、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体100gに対して約6〜180ミリエポキシ当量であることが好ましい。なお、エポキシ当量はグラム当量をエポキシ基の数で割ったものとして定義される。上記配合量が約6ミリエポキシ当量未満では成形能を有さない傾向にあり、他方約180ミリエポキシ当量を超えると粘着性が無くなる傾向にある。
【0021】
本発明において使用される多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどが挙げられ、中でもポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが好ましい。これらは単独で使用してもよく、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発明にかかる多価アルコールの配合量は約10〜60重量%(得られる組成物基準)であることが好ましい。上記配合量が約10重量%未満では十分な凝集力が得られない傾向にあり、他方約60重量%を超えると粘着性が無くなる傾向にある。
【0022】
本発明の粘着組成物に含有される薬物は特に限定されるものではないが、TTS用として用いる場合は、例えばサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l−メントール、カンフル、ニコチン酸ベンジル、イブプロフェン、ピロキシカム、ケトプロフェン、インドメタシン、スプロフェン、ロキソプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェンなどの皮膚刺激剤および鎮痛消炎剤;アムシノニド、吉草酸酢酸プレドニゾロン、吉草酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、酢酸ジフロラゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルドキシコルチド、プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、ベタメタゾン、酪酸クロベタゾン、酢酸ヒドロコルチゾンなどの副腎皮質ホルモン剤;アミノ安息香酸エチル、リドカイン、テトラカイン、プロカインなどの局所麻酔剤;プロプラノロール、ピンドロール、カルテオロール、チモロールなどのβ−遮断薬;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニフェジピン、ジルチアゼムなどの冠血管拡張剤;プロカテロール、イソプロテレノール、テオフィリンなどの気管支喘息治療剤;ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、カルビノキサミン、メキタジン、フマル酸クレマスチンなどの抗ヒスタミン剤;トラニラスト、フマル酸ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、アンレキサノクスなどの抗アレルギー剤;クロニジンなどの血圧降下剤;その他抗菌剤;ホルモン剤;生薬エキスなどが挙げられる。
【0023】
イオントフォレーシス用として用いる場合は、上記本発明の粘着組成物(粘着ゲル基剤)に溶解し、陽イオンまたは陰イオンに解離するものであれば、あらゆる治療分野における薬剤が使用可能であり、特に分子量100〜1000000の薬物が広く用いられる。
【0024】
このような薬物群としては抗微生物薬、抗悪性腫瘍薬、ホルモン剤、抗アレルギー薬、肝疾患用薬、糖尿病治療薬、代謝性医薬品、血液用薬、抗炎症剤、中枢神経系作用薬、末梢神経作用薬、循環器官作用薬、呼吸器官作用薬、消化器官作用薬、麻薬、頻尿治療剤が挙げられる。本発明にかかる薬物の配合量は特に制限されず、用いる薬物に応じて適宜選択されるが、約50重量%以下(得られる組成物基準)であることが好ましく、0.000001〜50重量%であることが特に好ましい。
【0025】
陽イオンに解離しうる種々の薬物の例としてはバカンピシリン、スルタミシリン、セフポドキシムプロキセチル、セフテラムピボキシル、セフメノキシム、セフォチアム、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、ロキタマイシン、アミカシン、アルベカシン、アストロマイシン、ジベカシン、ゲンタマイシン、イセパマイシン、カナマイシン、ミクロノマイシン、シソマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、エタンブトール、イソニアジド、フルコナゾール、フルシトシン、ミコナゾール、アシクロビル、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、ホスホマイシン、バンコマイシン、アクラルビシン、ブレオマイシン、シタラビン、ダカルバジン、ニムスチン、ペプロマイシン、プロカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、カルシトニン類、パラチロイドホルモン(PTH)、顆粒球コロニー形成刺激因子(G−CSF)、メカセルミン、アリメマジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、メキタジン、アゼラスチン、ケトチフェン、オキサトミド、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、コルヒチン、カモスタット、ガベキサート、ナファモスタット、ミゾリビン、ピロキシカム、プログルメタシン、エモルファゾン、チアラミド、ブプレノルフィン、エルゴタミン、フェナセチン、リルマザホン、トリアゾラム、ゾピクロン、ニトラゼパム、クロナゼパム、アマンタジン、ブロモクリプチン、クロルプロマジン、スルトプリド、クロルジアゼポキシド、クロキサゾラム、ジアゼパム、エチゾラム、オキサゾラム、アミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、セチプチリン、チクロピジン、アトロピン、臭化ブチルスコポラミン、エペリゾン、臭化パンクロニウム、チザニジン、臭化ピリドスチグミン、ドブタミン、ドパミン、ベニジピン、ジルチアゼム、ニカルジピン、ベラパミル、アセブトロール、アテノロール、カルテオロール、メトプロロール、ニプラジロール、ピンドロール、プロプラノロール、ジピリダモール、ニコランジル、トラジピル、アジマリン、アプリンジン、シベンゾリン、ジソピラミド、フレカイニド、イソプレナリン、リドカイン、メキシレチン、プロカイン、プロカインアミド、テトラカイン、ジブカイン、プロパフェノン、キニジン、ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、トリパミド、アゾセミド、アモスラロール、ブドララジン、ブナゾシン、カドララジン、クロニジン、デラプリル、エナラプリル、グアネチジン、ヒドララジン、ラベタロール、プラゾシン、レセルピン、テラゾシン、ウラジピル、ニコモール、エピネフリン、エチレフリン、ミドドリン、パパベリン、クレンブテロール、フェノテロール、マブテロール、プロカテロール、サルブタモール、テルブタリン、ツロブテロール、チペピジン、アンブロキソール、ブロムヘキシン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ロキサチジンアセタート、ベネキサート、オメプラール、ピレンゼピン、スルピリド、シサプリド、ドンペリドン、メトクロプラミド、トリメブチン、コデイン、モルヒネ、フェンタニル、ペチジン、オキシブチニン、リトドリン、テロジリン及びそれらの塩が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
陰イオンに解離しうる種々の薬物の例としてはアモキシシリン、アンピシリン、アスポキシシリン、ベンジルペニシリン、メチシリン、ピペラシリン、スルベニシリン、チカルシリン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファトリジン、セフィキシム、セフラジン、セフロキサジン、セファマンドール、セファゾリン、セフメタゾール、セフミノクス、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォタテン、セフォキシチン、セフピラミド、セフスロジン、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフゾナム、アズトレオナム、カルモナム、フロモキセフ、イメペネム、ラタモキセフ、シプロフロキサシン、エノキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ビダラゾン、フルオロウラシル、メトトレキサート、リン酸デキサメタゾンナトリウム、レボチロキシン、リオチロニン、アンレキサノクス、クロモグリク酸、トラニラスト、グリクラジド、インスリン類、ベンズブロマロン、カルバゾクロム、トラネキサム酸、アルクロフェナク、アスピリン、ジクロフェナク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メフェナム酸、スリンダク、チアプロフェン酸、トルメチン、スルピリン、ロベンザリット、ペニシラミン、アモバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、チオペンタール、フェニトイン、バルプロ酸、ドロキシドパ、レボドパ、バクロフェン、ダントロレン、デノパミン、フロセミド、アセタゾラミド、ブメタニド、カンレノ酸、エタクリン酸、アラセプリル、カプトプリル、リシノプリル、メチルドパ、クロフィブラート、プラバスタチン、プロブコール、アルプロスタジル、アミノフィリン、テオフィリン、カルボシステイン及びそれらの塩が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
また、本発明の粘着組成物は前述のように電解質を含んでもよく、このような電解質としては例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂などが挙げられる。本発明にかかる電解質の配合量は特に制限されず、用いる電解質に応じて適宜選択されるが、約0.01〜10重量%(得られる組成物基準)であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の粘着組成物は、必要に応じて安定化剤、防腐剤、吸収促進剤、pH調節剤等をさらに含有することも可能である。
【0029】
次に、本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物の製造法の例について説明する。
【0030】
先ず、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体を好ましくは約5倍(重量基準)の量の精製水に添加し、室温で一昼夜放置して溶解させる。別に、多価アルコールに撹拌しながらN−ビニルアセトアミド架橋体を徐々に加え、均一に分散させる。次いで、調製しておいたメトキシエチレンマレイン酸共重合体水溶液を得られた分散液に加え、さらに残りの精製水、必要ならば薬物および/または電解質を加え、均一に分散・溶解させる。最後に、上記分散液に多官能エポキシ化合物を加え、均一になるまで撹拌することによって本発明の粘着組成物(粘着ゲル基剤)が得られる(以下、この方法を「方法1」という)。
【0031】
また、他の方法としては、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体を精製水に加熱しながら添加して溶解し、次に多価アルコールを添加し、さらに撹拌しながらN−ビニルアセトアミド架橋体を撹拌しながら添加して本発明の粘着ゲル基剤を得る方法も可能である。この場合、任意のタイミングで薬物および/または電解質を加えて本発明の粘着組成物を得ることが可能である(以下、この方法を「方法2」という)。
【0032】
上記本発明の粘着組成物を適当な支持体に展膏し、ライナーで覆い、所望の形状に切断して製品(貼付部材)を得るか、あるいは一旦、離型処理の施されたフィルムに本発明の粘着組成物を展膏した後、適当な支持体に転写圧着して製品を得ることもできる。また、支持体の展膏面にあらかじめ導電性ペーストを印刷しておくかあるいは金属箔を張り合わせておくことによって電極を形成し、その電極上に本発明の粘着組成物を展膏することによってイオントフォレーシス用製品を得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例、試験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−169) 10重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 3重量部
グリセリン 20重量部
精製水 63.5重量部
エチレングリコールジグリシジルエーテル 0.5重量部
クロニジン 3重量部。
【0035】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して本発明の粘着組成物を得、その組成物をサンドマット処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(藤森工業(株)製)上に厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して本発明の粘着組成物を備えた貼付部材を得た。
【0036】
(実施例2)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−139) 25重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 2重量部
プロピレングリコール 30重量部
精製水 39.3重量部
エチレングリコールジグリシジルエーテル 0.7重量部
硝酸イソソルビド 3重量部。
【0037】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して本発明の粘着組成物を得、その組成物をサンドマット処理PETフィルム(藤森工業(株)製)上に厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して本発明の粘着組成物を備えた貼付部材を得た。
【0038】
(実施例3)
メトキシエチレンマレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ S−97) 12重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 3重量部
1,3−ブチレングリコール 45重量部
精製水 6.5重量部
ジグリセロールポリグリシジルエーテル 1重量部
ツロブテロール 2.5重量部。
【0039】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して本発明の粘着組成物を得、その組成物をサンドマット処理PETフィルム(藤森工業(株)製)上に厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して本発明の粘着組成物を備えた貼付部材を得た。
【0040】
(実施例4)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−169) 9重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 4重量部
グリセリン 30重量部
精製水 53重量部
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル 1重量部
塩酸リドカイン 3重量部
エピネフリン 0.006重量部。
【0041】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して本発明の粘着組成物を得、ブレンダーム(3M社製)に貼り合わせた40μm銀フィルム上にその組成物を厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して本発明の粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を得た。
【0042】
(実施例5)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−139) 20重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 3重量部
グリセリン 30重量部
精製水 43重量部
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル 1重量部
塩酸リドカイン 3重量部
エピネフリン 0.006重量部。
【0043】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して本発明の粘着組成物を得、ブレンダーム(3M社製)に貼り合わせた40μm銀フィルム上にその組成物を厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して本発明の粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を得た。
【0044】
(実施例6)
メトキシエチレンマレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ S−97) 13重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 2.5重量部
ポリエチレングリコール(マクロゴール400) 30重量部
精製水 49.5重量部
グリセロールポリグリシジルエーテル 2重量部
塩酸リドカイン 3重量部
エピネフリン 0.006重量部。
【0045】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して本発明の粘着組成物を得、ブレンダーム(3M社製)に貼り合わせた40μm銀フィルム上にその組成物を厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して本発明の粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を得た。
【0046】
(実施例7)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−139) 25重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 2重量部
ジプロピレングリコール 15重量部
精製水 55.3重量部
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル 1.8重量部
塩化ナトリウム 0.9重量部。
【0047】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して本発明の粘着組成物を得、ブレンダーム(3M社製)に貼り合わせた塩化銀/銀フィルム(0.9%塩化ナトリウム水溶液中銀フィルムを0.5mA/cm2、60分直流通電して作製)上にその組成物を厚さが500μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して本発明の粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を得た。
【0048】
(比較例1)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−169) 10重量部
グリセリン 20重量部
精製水 66.5重量部
エチレングリコールジグリシジルエーテル 0.5重量部
クロニジン 3重量部。
【0049】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して比較粘着組成物を得、その組成物をサンドマット処理PETフィルム(藤森工業(株)製)上に厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して比較粘着組成物を備えた貼付部材を得た。
【0050】
(比較例2)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−169) 30重量部
グリセリン 20重量部
精製水 45.5重量部
エチレングリコールジグリシジルエーテル 1.5重量部
クロニジン 3重量部。
【0051】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して比較粘着組成物を得、その組成物をサンドマット処理PETフィルム(藤森工業(株)製)上に厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して比較粘着組成物を備えた貼付部材を得た。
【0052】
(比較例3)
メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体
(ISP社製、商品名:ガントレッツ AN−169) 10重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 3重量部
精製水 83.5重量部
エチレングリコールジグリシジルエーテル 0.5重量部
クロニジン 3重量部。
【0053】
この処方における諸成分を前述の方法1にしたがって調合して比較粘着組成物を得、その組成物をサンドマット処理PETフィルム(藤森工業(株)製)上に厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して比較粘着組成物を備えた貼付部材を得た。
【0054】
(比較例4)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
(日本合成ゴム(株)製、商品名:SIS 5002) 20重量部
水添ロジングリセリンエステル
(荒川工業(株)製、商品名:エステルH) 38重量部
流動パラフィン 39重量部
クロニジン 3重量部。
【0055】
この処方におけるクロニジン以外の諸成分を180℃で加熱撹拌して溶解した後、クロニジンを添加して比較粘着組成物を得、その組成物をサンドマット処理PETフィルム(藤森工業(株)製)上に厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して比較粘着組成物を備えた貼付部材を得た。
【0056】
(比較例5)
イソブチレン無水マレイン酸共重合体
(クラレ(株)製、商品名:イソバン−10) 13重量部
水酸化ナトリウム 2.6重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 2.5重量部
ポリエチレングリコール(マクロゴール400) 30重量部
精製水 46.9重量部
グリセロールポリグリシジルエーテル 2重量部
塩酸リドカイン 3重量部
エピネフリン 0.006重量部。
【0057】
この処方におけるイソブチレン無水マレイン酸共重合体と水酸化ナトリウムを精製水に沸騰温度で溶解させた。得られた溶液の温度が室温まで下がったところでポリエチレングリコールを加え、撹拌しながらさらにN−ビニルアセトアミドを徐々に加えた。得られた配合物が均一になったところでグリセロールポリグリシジルエーテルおよび塩酸リドカインを添加して比較粘着組成物を得た。ブレンダーム(3M社製)に貼り合わせた40μm銀フィルム上にその組成物を厚さが200μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して比較粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を得た。
【0058】
(比較例6)
イソブチレン無水マレイン酸共重合体
(クラレ(株)製、商品名:イソバン−10) 25重量部
水酸化ナトリウム 5重量部
N−ビニルアセトアミド架橋体
(昭和電工(株)製、商品名:PNVA GX−205) 2重量部
ジプロピレングリコール 15重量部
精製水 50.3重量部
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル 1.8重量部
塩化ナトリウム 0.9重量部。
【0059】
この処方におけるイソブチレン無水マレイン酸共重合体と水酸化ナトリウムを精製水に沸騰温度で溶解させた。得られた溶液の温度が室温まで下がったところでジプロピレングリコールを加え、撹拌しながらさらにN−ビニルアセトアミドを徐々に加えた。得られた配合物が均一になったところでポリグリセロールポリグリシジルエーテルおよび塩化ナトリウムを添加して比較粘着組成物を得た。ブレンダーム(3M社製)に貼り合わせた塩化銀/銀フィルム(0.9%塩化ナトリウム水溶液中銀フィルムを0.5mA/cm2、60分直流通電して作製)上にその組成物を厚さが500μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して比較粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を得た。
【0060】
(比較例7)
カラヤガム 40重量部
グリセリン 50重量部
プロピレングリコール 3重量部
精製水 3重量部
塩化ナトリウム 0.7重量部
塩化カルシウム 0.6重量部。
【0061】
この処方における諸成分の混合物を80℃に加熱しながら均一になるまで撹拌混合して比較粘着組成物を得た。ブレンダーム(3M社製)に貼り合わせた塩化銀/銀フィルム(0.9%塩化ナトリウム水溶液中銀フィルムを0.5mA/cm2、60分直流通電して作製)上にその組成物を厚さが500μmとなるように展膏し、離型処理PETライナー(帝人(株)製)の離型面と貼り合わせ、適当な形状に裁断して比較粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を得た。
【0062】
(試験例1)
実施例1から実施例7の本発明の粘着組成物、並びに比較例1から比較例3の比較粘着組成物の展膏直前の室温での粘度を測定した。また、展膏・裁断の後に裁断面から膏体がはみ出したかどうかを、得られた貼付部材を室温で2週間放置した後に確認した。なお、膏体がはみ出していないものを○、はみ出したものを×とした。結果を表1に示す。
【0063】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1から実施例7までで得られた本発明の粘着組成物はいずれも膏体のはみ出しがなく、容易にかつ確実に展膏ができた。N−ビニルアセトアミドを抜いた以外は実施例1と同様の処方である比較例1の比較粘着組成物は粘度が低く、膏体のはみ出しが観察された。また、比較例1の処方に比べてベースポリマーの量を増した処方である比較例2の比較粘着組成物は粘度が高いにも関わらず、膏体のはみ出しが観察された。したがって本発明の粘着組成物は製法上有用性が高いことが確認された。また、実施例1から実施例7までで得られた本発明の粘着組成物において薬物の塩析は確認されなかった。
【0064】
【表1】
【0065】
(試験例2)
実施例1から実施例7の本発明の粘着組成物を備えた貼付部材並びに比較例3の比較粘着組成物を備えた貼付部材をその展膏後室温で2週間放置した後にライナーを剥がし、支持体面を90度折り曲げた時の膏体の様子を観察した。支持体面を元に戻したときに実施例1から実施例7までで得られた本発明の粘着組成物にはどのような形状変化も観察されなかったが、多価アルコールが未添加の比較例3の比較粘着組成物については膏体に割れが観察された。したがって本発明の粘着組成物は経時的安定性に優れており、物性的に有用性が高いことが確認された。
【0066】
(試験例3)
実施例1の本発明の粘着組成物を備えた貼付部材並びに比較例4の比較粘着組成物を備えた貼付部材をそれぞれ直径2cmの円状に裁断し、除毛した日本白色家兎(A〜D)の背部に48時間貼付した後、貼付部材を剥離して皮膚の状態を観察した。結果を表2に示す。
【0067】
表2に示した結果から明らかなように、実施例1で得られた本発明の粘着組成物を貼付した被験動物にはいずれも異常が認められなかったが、油性基剤である比較例4の比較粘着組成物を貼付したいずれの被験動物にも紅斑が観察された。したがって、本発明の粘着組成物は皮膚刺激性の面で有用性が高いことが確認された。
【0068】
判定基準
− ・・・・・・・変化なし
± ・・・・・・・微弱な発赤
+ ・・・・・・・明瞭な発赤
++ ・・・・・・・重篤な浮腫
【0069】
【表2】
【0070】
(試験例4)
本発明の粘着組成物における薬物放出性を確認するためにリドカインの局所麻酔効果を薬物透過性の指標として以下の方法で評価した。すなわち、実施例4から実施例6の本発明の粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材並びに比較例5の比較粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材を直径2cmの円状に裁断したものをそれぞれ陽極、他方、実施例7の本発明の粘着組成物を備えた貼付部材を直径2cmの円状に裁断したものを全ての陰極として5名の健康成人男子に適用し、表3に示す各通電時間後に注射針で適用部位を軽く刺し、下記の評価基準で評価を行った。結果を表3に示す。
【0071】
表3に示した各通電時間後の効果指数から明らかなように、実施例4から実施例6で得られた本発明の粘着組成物を用いた場合はすべて15分以内に顕著な効果指数を示したが、解離性の高い官能基を持つベースポリマーを用いた比較例5の比較粘着組成物を用いた場合は60分通電後も充分な効果指数を示さなかった。したがって、本発明の粘着組成物は薬物放出性の面で有用性が高いことが確認された。また、実施例4から実施例6までで得られた本発明の粘着組成物において分極は確認されなかった。
【0072】
判定 評価基準 評価点
─────────────────────────────────
− 痛い(何もしていない部分と変わらない) 0
(±) 少し痛い 0.2
± 触れているのがわかるが痛くない 0.5
+ 痛くない(触れているのもわかりにくい) 1.0
++ 全く感じない 2.0
─────────────────────────────────
効果指数:(評価点の総和/試験症例数)×100 有効値>100。
【0073】
【表3】
通電条件:パルス電流6mA、周波数30kHz、ON/OFF=3/7。
【0074】
(試験例5)
実施例7の本発明の粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材並びに比較例6および比較例7の比較粘着組成物を備えたイオントフォレーシス用貼付部材をそれぞれ直径2.5cmの円状に裁断し、PETフィルムを剥離し、直径2.5cmの円状に裁断した厚さ40μmの銀フィルムと貼り合わせた。これらのイオントフォレーシス用貼付部材の銀フィルムを陽極、塩化銀/銀フィルムを陰極に接続し、1kΩの抵抗を直列に接続して直流電流を1mA流したときの1、2および3時間後の電圧値を測定した。結果を表4に示す。
【0075】
表4に示した結果から明らかなように、実施例7で得られた本発明の粘着組成物を用いた場合に比べ、解離性の高い官能基を持つベースポリマーを用いた比較例6の比較粘着組成物を用いた場合および水の含有量が少ないカラヤガム系の粘着組成物である比較例7の比較粘着組成物を用いた場合は電圧値が大きい。したがって本発明の粘着組成物はインピーダンスが小さく、電気的特性の面で有用性が高いことが確認された。また、実施例7で得られた本発明の粘着組成物において分極は確認されなかった。
【0076】
【表4】
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物は、熱源の必要なしに製造可能で、しかも展膏時に膏体のはみ出しが生じないため連続的に容易に塗膏が可能でかつ安価に製造することが可能である。また、本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物は皮膚刺激性が低く、経時的安定性に優れており、しかも薬物放出性にも優れている。さらに、本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物はインピーダンスが小さく電気的特性にも優れており、しかも塩析や分極が生じないため、イオントフォレーシスにも好適に使用可能である。
【0078】
このように、本発明の粘着ゲル基剤および粘着組成物は、取扱性、皮膚刺激性、経時的安定性、薬物放出性、電気的特性および経済性の全てにおいて高水準を確保した、経皮・経粘膜適用の粘着ゲル基剤および粘着組成物として産業上非常に有用である。
Claims (3)
- 皮膚または粘膜に適用される粘着組成物であって、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体、N−ビニルアセトアミド架橋体、多官能エポキシ化合物、水および多価アルコールからなり、
前記N−ビニルアセトアミド架橋体が、下記一般式:
で表されるN−ビニルアセトアミドを主繰返し単位とする主鎖を、1分子中に重合可能な不飽和基を少なくとも2個以上有する化合物で架橋してなるポリマーである粘着ゲル基剤を含有し、
前記メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体またはメトキシエチレンマレイン酸共重合体の配合量が、粘着組成物基準でメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体として5〜35重量%であり、
前記N−ビニルアセトアミド架橋体の配合量が、粘着組成物基準で1〜8重量%であり、
前記多価アルコールの配合量が、粘着組成物基準で10〜60重量%であり、
前記多官能エポキシ化合物の配合量が、前記メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体または前記メトキシエチレンマレイン酸共重合体のメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体としての100gに対して6〜180ミリエポキシ当量であり、
イオントフォレーシスに用いられることを特徴とする粘着組成物。 - 粘着組成物基準で50重量%以下の薬物をさらに含有することを特徴とする請求項1記載の粘着組成物。
- 粘着組成物基準で0.01〜10重量%の電解質をさらに含有することを特徴とする請求項1記載の粘着組成物。
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