JP3429198B2 - 自己架橋性高分子共重合体溶液と、高分子ゲル体およびその製造方法 - Google Patents

自己架橋性高分子共重合体溶液と、高分子ゲル体およびその製造方法

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JP3429198B2
JP3429198B2 JP15802998A JP15802998A JP3429198B2 JP 3429198 B2 JP3429198 B2 JP 3429198B2 JP 15802998 A JP15802998 A JP 15802998A JP 15802998 A JP15802998 A JP 15802998A JP 3429198 B2 JP3429198 B2 JP 3429198B2
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由和 小林
秀一 笹原
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貴彦 藤田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自己架橋性高分子
共重合体溶液と、それを架橋させて得られる高分子ゲル
体およびその製造方法に関する。さらに詳細には、化粧
品、医薬部外品、医薬品、医療用具あるいは衛材等の分
野において、生体表面に貼付または接触させる化粧料、
生体表面から生体内に薬剤を吸収させる経皮吸収剤、電
気的に生体表面から生体内に薬剤を吸収させるイオント
フォレシスの有効成分の担体、または粘着剤、生体電
極、および創傷被覆材、生体用粘着テープ等に用いるこ
とが可能な高分子ゲル体を製造するための自己架橋性高
分子重合体溶液と、該高分子ゲル体およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体に貼付するシート状粘着剤として
は、アクリル酸エステルを用いたいわゆる粘着剤を利用
した物が多く存在する。また、ゲル状の貼付材として
は、ポリアクリル酸またはその共重合体、水および薬剤
を溶解し、シート状に成型したのち、アルミニウムをは
じめとする多価金属によりイオン架橋を行いゲル状物を
得る方法と天然高分子を利用した、いわゆるパップ剤の
形態の物がある(例えば、特公平4−50291号公
報、特開昭59−93012号公報等が挙げられ
る。)。
【0003】一方、ゲル状粘着剤を得る方法として、重
合性単量体、架橋性単量体、水および多価アルコールを
重合架橋して1段階で高分子ゲル粘着剤を得ることもで
きる(例えば、特開平6−181894が挙げられ
る。)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリア
クリル酸系のパップ剤は、イオン性のポリマーを用いて
いるため、イオン性の薬剤を溶解するのが困難であると
いう問題点を有する。また、仮に溶解させることに成功
しても、塩を形成する等イオン間の相互作用のため、皮
膚への吸収を低下させる可能性が大きい。さらに、イオ
ントフォレシス等電気的に薬剤を投与しようとする用途
に対して、イオン性のゲルマトリックス自体が、電極素
子と電気的に反発する性質を有しているため、電極性能
が悪くなり実用的ではない。
【0005】一方、溶媒保持力が高く、粘着力、安定性
等に優れ、低皮膚刺激性である導電性高分子ゲルが特開
平6−181894号公報に記載されている。本公報記
載の製造法においては、マトリックスを形成する高分子
の原料となる重合性単量体と、架橋性単量体と、ゲルの
配合成分を全て均一溶解した後、ラジカル重合を行うこ
とにより重合架橋を行う方法を採っており、溶媒保持力
が高く、粘着力、安定性等に優れた低皮膚刺激性の導電
性高分子ゲルを得ることができる。ただ、架橋重合時
に、あらかじめ薬剤を添加して前記のゲル体を製造しよ
うとすると、ラジカルにより薬剤の一部が破壊され薬効
を失うこともあり、適用薬剤に制限を受ける場合もある
ことから、この点を改善することがより望ましいと考え
られる。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記のような状況におい
て、本発明者らは種々検討した結果、本発明を完成した
ものである。
【0007】すなわち、本発明は、以下の自己加橋性高
分子共重合体溶液と、高分子ゲル体およびその製造方法
に関するものである1)(a) 側鎖に脱離基を有した重合性単量体であっ
て、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 3 OR 4 [式中、R 1
HまたはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1 (式中、n
は0〜6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは
1〜6の整数を示す)を表す](式3)で表される重合
性単量体、式:CH 2 =CR 1 COOR 3 OR 4 [式中、R
1 はHまたはCH 3 を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜
6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜6
の整数を示す)を表す。](式4)で表される重合性単
量体、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 (R 3 O) m 4 [式
中、R 1 はHまたはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1
(式中、nは0〜6の整数を示す)を、R 3 はC n
2n (式中、nは1〜4の整数を示す)を、mは2〜30
の整数を表す。](式5)で表される重合性単量体およ
び式:CH 2 =CR 1 COO(R 3 O) m 4 [R 1 はHま
たはCH 3 を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜6の整
数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜4の整数
を示す)を、mは2〜30の整数を表す。](式6)で
表される重合性単量体よりなる群から選択される重合性
単量体の1種または2種以上と、(b) 水および/またはアルコールに可溶性の重合性単
量体と、よりなる高分子共重合体を少なくとも水と多価
アルコールとの混合溶媒に溶解した、生体に貼付または
接触させるための高分子ゲル製造用である高分子共重合
体含有溶液であって、該共重合体中に前記(a)の重合
性単量体の側鎖に有した脱離基に由来する複数の架橋可
能な脱離基を有する構造単位を含んでなることを特徴と
する自己架橋性高分子共重合体溶液(以下、「自己架橋
性高分子共重合体溶液A」と称することがある。)。 2)(a)側鎖に脱離基を有した重合性単量体であっ
て、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 3 OR 4 [式中、R 1
HまたはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1 (式中、n
は0〜6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、n
1〜6の整数を示す)を表す](式3)で表される重合
性単量体、式:CH 2 =CR 1 COOR 3 OR 4 [式中、R
1 はHまたはCH 3 を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜
6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜6
の整数を示す)を表す。](式4)で表される重合性単
量体、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 (R 3 O) m 4 [式
中、R 1 はHまたはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1
(式中、nは0〜6の整数を示す)を、R 3 はC n
2n (式中、nは1〜4の整数を示す)を、mは2〜30
の整数を表す。](式5)で表される重合性単量体およ
び式:CH 2 =CR 1 COO(R 3 O) m 4 [R 1 はHま
たはCH 3 を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜6の整
数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜4の整数
を示す)を、mは2〜30の整数を表す。](式6)で
表される重合性単量体、よりなる群から選択される重合
性単量体の1種または2種以上と、(b) 水および/またはアルコールに可溶性の重合性単
量体と、(c) 側鎖に脱プロトン基を有していない重合性単量体
であって、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 3 [R 1 はHま
たはCH 3 を、R 2 およびR 3 はC n 2n+1 (式中、nは1
〜6の整数を示す)を表す。](式7)で表される重合
性単量体、および式:CH 2 =CR 1 COOR 2 [式中、
1 はHまたはCH 3 を、R 2 はC n 2n+1 (式中、nは1
〜6の整数を示す)を表す。](式8)で表される重合
性単量体よりなる群から選択される重合性単量体の1種
または2種以上と、よりなる高分子共重合体を少なくと
も水と多価アルコールとの混合溶媒に溶解した、生体に
貼付または接触させるための高分子ゲル製造用である
分子共重合体含有溶液であって、該共重合体中に前記
(a)の重合性単量体の側鎖に有した脱離基に由来する
複数の架橋可能な脱離基を有する構造単位を含んでなる
ことを特徴とする自己架橋性高分子共重合体溶液(以
下、「自己架橋性高分子共重合体溶液B」と称すること
がある。)。 3)上記1)または2)項に記載の自己架橋性高分子共
重合体溶液を架橋させて得た高分子ゲル体。 4)皮膚に適用するための治療用活性物質および/また
は美容用活性物質を含むことを特徴とする上記3)項
記載の高分子ゲル体。 5)導電性を付与するための電解質塩を含むことを特徴
とする上記3)項に記載の高分子ゲル体。 6)人体の部位の輪郭に適合する形状を有することを特
徴とする上記3)〜5)項のいずれかに記載の高分子ゲ
ル体。 7)上記1)または2)項のいずれかに記載の自己架橋
性高分子共重合体溶液を加熱により自己架橋させること
を特徴とする高分子ゲル体の製造方法。
【0008】本発明における「水および/またはアルコ
ールに可溶性の重合性単量体」としては、CH2=CR1
CONR23[式中、R1はHまたはCH3を、R2およ
びR3はCn2n+1(式中、nは0〜6の整数を示す)を
表す。](式1)、CH2=CR1COOR2[式中、R1
はHまたはCH3を、R2はCn2n+1(式中、nは1〜
6の整数を示す)を表す。](式2)で表される化合
物、あるいはビニルピロリドンの1種又は2種以上が挙
げられる。
【0009】さらに、上記式(1)および(2)に示し
たものと、ビニルピロリドン以外に、(メタ)アクリル
酸、ビニルカルボン酸、アリルアミン、ビニルスルホン
酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安
息香酸、ビニルピリジン、ターシャルブチルアクリルア
ミドスルホン酸、メタクリロイルエチルトリメチルアン
モニウムクロライドあるいはジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド等のイオン性の重合性単量体も
使用可能であるが、イオン性の薬剤添加を行う際、凝集
の発生を防ぐため、非イオン性の重合性単量体が好まし
い。
【0010】
【0011】本発明における「側鎖に脱離基を有した重
合性単量体」としては、α−β不飽和カルボニル化合物
であるアクリル誘導体は重合時の反応性が高く、また、
異なるアクリル系モノマー間の共重合性が良好なことか
ら、次の(式3)〜(式6)で表される重合成単量体の
群から選択される1種または2種以上が用いられる。
式:CH2=CR1CONR23OR4[式中、R1はHま
たはCH3を、R2およびR4はCn2n+1(式中、nは0
〜6の整数を示す)を、R3はCn2n(式中、nは1〜
6の整数を示す)を表す](式3)で表される重合性単
量体式:CH2=CR1COOR3OR4[式中、R1
HまたはCH3を、R4はCn2n+1(式中、nは0〜6
の整数を示す)を、R3はCn2n(式中、nは1〜6の
整数を示す)を表す。](式4)で表される重合性単量
式:CH2=CR1CONR2(R3O)m4[式中、
1はHまたはCH3を、R2およびR4はCn2n+1(式
中、nは0〜6の整数を示す)を、R3はCn2n(式
中、nは1〜4の整数を示す)を、mは2〜30の整数
を表す。](式5)で表される重合性単量体式:CH
2=CR1COO(R3O)m 4[R1はHまたはCH
3を、R4はCn2n+1(式中、nは0〜6の整数を示
す)を、R3はCn2n(式中、nは1〜4の整数を示
す)を、mは2〜30の整数を表す。](式6)で表さ
れる重合性単量体
【0012】次に、本発明における「側鎖に脱プロトン
基を有していない重合性単量体」としては、α−β不飽
和カルボニル化合物であるアクリル誘導体は重合時の反
応性が高く、また、異なるアクリル系モノマー間の共重
合性が良好なことと、水またはアルコールとの親和性か
ら、前記のとおりの、CH2=CR1CONR23[R1
はHまたはCH3を、R2およびR3はCn2n+1(式中、
nは1〜6の整数を示す)を表す。](式7)、CH2
=CR1COOR2[式中、R1はHまたはCH3を、R2
はCn2n+1(式中、nは1〜6の整数を示す)を表
す。](式8)で表される群の重合性単量体の1種また
は2種以上が用いられる
【0013】
【0014】自己架橋性高分子共重合体溶液AおよびB
に含有される多価アルコールは、本発明の高分子ゲル体
に主として保湿性を付与するために使用される。該多価
アルコールとしては、エチレングリコール、プロパンジ
オールあるいはブタンジオール等のアルカンジオール
や、グリセリン、ペンタエリスリトールあるいはソルビ
トール等の多価アルコール類の他、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリ
グリセリン等のポリオール類、グルコース、ガラクトー
ス、ショ糖、フルクトースあるいはラクトース等の糖類
および、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、キトサンあるいはヒアルロン酸等の多糖
類または変性多糖類などが使用可能である。これら多価
アルコールは、単独で用いてもよいし、必要に応じて2
種以上を混合して用いてもよい。
【0015】次に、自己架橋性高分子共重合体溶液の調
製法について説明する。本発明でいう「自己架橋性」と
は、溶媒に溶解されて流動性を有する直鎖状高分子が、
一定条件の下で、架橋剤(たとえば、エポキシ化合物
や、イソシアン酸エステル化合物など)を添加せずと
も、直鎖状高分子の側鎖の官能基同士が反応することに
より架橋し、3次元網目構造を有する高分子ゲル体を生
成する性質をいう。
【0016】自己架橋性高分子共重合体溶液を得る際の
重合性単量体溶液の濃度は、5〜40重量%に、より好
ましくは5〜30重量%に設定するのがよい。これは、
5重量%未満では、得られる自己架橋性高分子共重合体
溶液は、粘度が低くハンドリング性はよいものの、高分
子ゲル体を形成させたときのマトリックス濃度が低すぎ
るため、溶媒をかかえきれずブリードしやすく、腰強度
の弱いゲル体しか得られない。一方、40重量%を越え
て製造した高分子共重合体含有溶液は、粘度が高くなり
すぎ、薬剤等を溶解する際のハンドリング性が悪くな
り、実用的でなく、さらに重合時の反応性が高くなりす
ぎ、反応の制御が難しくなり、安定した品質の高分子共
重合体含有溶液を得ることが困難である。
【0017】高分子共重合体含有溶液を得る際の重合性
単量体のうち、側鎖に脱離基を有する重合性単量体の濃
度は、0.02〜15重量%に設定されていることが好
ましい。すなわち、側鎖に脱離基を有する重合性単量体
の配合量を0.02重量%未満で製造した高分子共重合
体含有溶液は、それを用いてゲル化反応を行っても、架
橋密度が低すぎるため、保形を有するソリッドゲルが
得られにくく、一方15重量%を越えて高分子共重合体
含有溶液を製造しようとした場合は重合時に自己架橋を
起こし、不溶性の固形樹脂となるため、薬効成分を添加
して自己架橋させる用途に用いることが困難になる。
【0018】次に、本発明において、自己架橋性高分子
共重合体溶液Bを製造する際に使用される「側鎖に脱プ
ロトン基を有していない重合性単量体」は、最終製品で
ある高分子ゲル体に粘着力を付与するために、重合性単
量体総量に対して、5〜90重量%に設定されているこ
とが好ましい。側鎖に脱プロトン基を有していない重合
性単量体の配合量を5重量%未満で製造した高分子共重
合体含有溶液は、実質的に架橋密度調整に影響がなく、
この単量体を添加していない場合との差が発現しない。
一方、90重量%を越えて製造した高分子共重合体含有
溶液より作成した高分子ゲル体は、マトリックスの非プ
ロトン性の部分が多くなるため、溶媒の拘束力が弱くな
り、ブリードや乾燥がおこりやすい不安定な高分子ゲル
体となりやすく、加えてマトリックスの水素結合力が弱
くなるために架橋に関与しない低分子量成分が存在した
場合、いわゆるべとつきの原因ともなりやすい。
【0019】本発明の自己架橋性高分子共重合体溶液
およびBを製造する際に使用される多価アルコールは、
1〜70重量%に設定されていることが好ましい。この
場合、1重量%未満の添加では実質的に保湿性は期待で
きないし、一方70重量%を越えて製造した高分子共重
合体含有溶液からは、保湿性が高く良好な高分子ゲル体
が得られるものの、マトリックスが多価アルコールを抱
えきれずにブリードしたり、べたつきの原因になりやす
い。多価アルコールは、高分子共重合体含有溶液を作成
した後、薬剤等の配合時に添加して高分子ゲル体を得る
ことも可能であるが、高分子ゲル体のマトリックス濃度
が低くなりすぎたり、固形のものは高分子溶液には溶解
の作業が困難となることが多い。一般には高分子共重合
体含有溶液の作成時にあらかじめ多価アルコールを配合
した後、重合反応を行った方がより好ましい。
【0020】本発明の自己架橋性高分子共重合体溶液
は、次のようにして製造できる。
【0021】自己架橋性高分子共重合体溶液Aを製造す
る場合は、側鎖に脱離基を有している重合性単量体、水
および/またはアルコールに可溶性の重合性単量体,お
よび水と、多価アルコールとを混合し、溶解する。ま
た、最終製品である高分子ゲル体を導電性用途に用いる
場合には、電解質塩類も同時に混合後、溶解する。さら
に、必要に応じて防腐剤、効菌剤、酸化防止剤あるいは
安定剤等を適宜溶解し、最後に重合開始剤を混合溶解す
る。次いで、加熱またはレドックス反応させることによ
り、もしくは光、電子線あるいは紫外線を照射すること
により重合反応させて、高分子共重合体含有溶液を製造
できる。この場合、とりわけ、加熱または紫外線照射に
より重合反応させる方法が好ましい。加熱により重合す
る場合、重合時の加熱温度は、50〜80℃に設定する
のが好ましい。この温度が80℃以上でも反応は可能で
あるが、重合発熱により配合液温度が100℃を越え、
突沸する危険性があり作業上の管理が問題となる。ここ
で、50〜80℃で重合反応させるためには、重合開始
剤の10時間半減期温度が50〜80℃の範囲ものを用
いるのが好ましい。紫外線により重合する場合は、熱暴
走する危険性は少ないが、配合液を冷却してから反応さ
せた方がより好ましい。
【0022】重合開始剤としては、アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオン
アミジン)塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−メチル−
N−フェニルプロピオンアミジン)塩酸塩、2,2‘−
アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン]塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−
2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩等のア
ゾ系開始剤及び、ターシャルブチルヒドロパーオキシ
ド、アセチルアセトンパーオキシド、1−シクロヘキシ
ル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート等の
有機過酸化物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェ
ニル−プロパン−1−オン、1−4−2−ヒドロキシ−
フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン
−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニ
ル−ケトン、2−ブトキシ−1,2−ジフェニルエタン
−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル
エタン−1−オン、ビス−2,6−ジメトキシベンゾイ
ル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキ
サイド、4−ヒドロキシベンゾフェノン、ジエチルチオ
キサントン等の光重合開始剤が使用可能である。レドッ
クス系開始剤としては、過硫酸塩とピロ亜硫酸塩または
テトラメチルエチレンジアミン等の組み合わせが使用可
能である。重合開始剤は、必要に応じて、単独または2
種以上を混合して用いても良い。本発明においては、と
りわけアゾ系開始剤、有機過酸化物または光開始剤を用
いる方法が好ましく採用できる。
【0023】重合開始剤は、高分子共重合体含有溶液中
での組成率が0.001〜5重量%となるように使用す
るのが好ましい。重合開始剤の組成率を0.001重量
%未満にして液状高分子共重合体を作成した場合、重合
反応時のラジカル数が少ないために、反応性が低く、反
応終了後の残存単量体が多くなる。一方、重合開始剤の
組成率が5重量%を越えて高分子共重合体含有溶液を調
製した場合、反応開始時のラジカル数が多すぎるため、
熱暴走し、突沸しやくなると同時に、共重合体が低分子
量化しすぎるて自己架橋時に完全にゲル化せずべたつき
の原因となりやすい。
【0024】本発明の自己架橋性高分子共重合体溶液
製造する場合は、側鎖に脱離基を有している重合性単
量体、水および/またはアルコールに可溶性の重合性単
量体、脱プロトン基を有していない重合性単量体および
と、多価アルコールとを混合し、溶解する。これ以後
は、前述の自己架橋性高分子Aの製造法と同様にして製
造すればよい。
【0025】次に、自己架橋性高分子共重合体溶液を架
橋させて高分子ゲル体を製造する方法について述べる。
【0026】たとえば、側鎖に脱離基を有した重合性単
量体として、N―メチロールアクリルアミドを用いた場
合、通常、側鎖末端OH基が加熱により脱離し、 2CH2=CHCONHCH2OH→CH2=CHCON
HCH2NHCOCH=CH2+H2O+HCHO のような縮合反応が起こり、高分子ゲルを生成する。一
方、N―メチロールアクリルアミドと同時に、側鎖に脱
プロトン基を有する重合性単量体として、アクリルアミ
ドを用いた場合は、 CH2=CHCONHCH2OH+CH2=CHCONH2
→CH2=CHCONHCH2NHCOCH=CH2 のような反応が起こり、より低温での自己架橋が可能で
あることが判明した。これを利用した場合、架橋密度が
高く、腰強度の強いより良好なゲル体が得られる。
【0027】一方において、目的とする高分子ゲル体に
粘着力が必要な場合は、側鎖に脱プロトン基を有してい
ない重合性単量体を共重合して架橋密度をより低く調整
したほうがより好ましいゲル体が得られる。従って、先
にあげた重合性単量体のうち、脱プロトン基を有してい
ない重合性単量体を共重合することにより、より粘着力
の高いゲル体が得られる。
【0028】自己架橋をより低温で迅速に達成させるた
めには、酸触媒を添加することが好ましい。添加する酸
としては、塩酸、硫酸、燐酸、炭酸等の鉱酸、酢酸、プ
ロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタミン酸、アスコル
ビン酸あるいは安息香酸等の有機カルボン酸や、さらに
はフェノール、マロン酸エステル等、酸であれば特に制
限はない。トリフルオロボロンエーテラート、四塩化チ
タンあるいは塩化アルミ等のルイス酸も使用可能であ
る。酸は、高分子ゲル体の皮膚刺激性を低くするため
に、pHが3〜7の間になるように使用するのが好まし
い。
【0029】単に自己架橋を促進する目的からは、塩基
触媒の使用も可能であるが、高分子側鎖の加水分解反応
を促進させるためと、得られる高分子ゲル体が皮膚刺激
性を起こしやすいことから一般には好ましくない。
【0030】自己架橋性高分子共重合体から高分子ゲル
体を製造する際に、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤あるい
は安定剤等の添加物を目的に応じて適宜加えても良い。
【0031】本発明の高分子ゲル体に含有させる治療用
活性物質または/および美容用活性物質(以下、単に
「薬効成分」と称することがある)としては、医薬品、
医薬部外品、化粧品、もしくは衛材分野で使用されてい
る経皮吸収能のあるものであれば特に限定されることは
ない。たとえば、ビタミン剤、アミノ酸、タンパク質、
デオキシリボ核酸及びその塩、鎮痛剤、抗炎症剤、血行
促進剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗ヒスタ
ミン剤、抗菌性物質、植物由来成分あるいは海草由来成
分などが挙げられる。
【0032】高分子ゲル体中の薬効成分は、使用時に適
切に経皮吸収される必要がある。このことは、高分子共
重合体含有溶液の共重合体成分を適宜選択することによ
り、高分子ゲル体のマトリックスと添加する薬効成分と
の親和性をコントロールすることにより可能である。高
分子ゲル体のマトリックスと薬効成分の親和性が高すぎ
ると、経皮吸収能が低下する。たとえば、ポリアクリル
酸塩等のアニオン性マトリックスに、カチオン性の薬効
成分を保持させようとした場合、塩を形成し、マトリッ
クス内に固定化される。使用目的上、薬効成分は溶媒和
の形でマトリックス内に保持されていることが好まし
い。そのために溶媒、多価アルコール等を適宜選択する
ことにより薬効成分を溶媒和させてゲル中に溶解、均一
分散させることができ、効率よく経皮吸収させることが
可能である。一方、親和性が低い場合は、界面活性剤を
用いて分散を補助することもできる。
【0033】本発明の高分子ゲル体は、その形状を使用
目的に応じて適宜に選択して製造することができる。一
般に、人体に使用する場合、シート状に成型することが
好ましい。この場合、高分子共重合体含有溶液をそのま
まで、あるいは酸触媒、薬効成分、香料等を混合し、均
一溶解した後、シート状に成型し、オーブン中で60℃
〜95℃で1時間〜4時間加熱することにより自己架橋
させ、シート状高分子ゲル体を得ることができる。ここ
で、60℃〜80℃の低温でゲル化させる場合は、酸触
媒により反応を促進した方が好ましい。高分子共重合体
含有溶液の粘度が高く、ハンドリング性が悪い場合に
は、適宜に水あるいは多価アルコールを添加して粘度を
下げてもよい。
【0034】シート状に成型する際、あらかじめ、セパ
レーターに液状樹脂を塗工した後、自己架橋させ、ゲル
体を補強するための基材を貼付する場合と、基材に液状
樹脂をコーティングした後、自己架橋させ、セパレータ
ーを貼付する場合の2とおりの方法が採用できる。場合
によっては、基材を用いずに両面にセパレーターを設け
て、ゲル体単体で使用することも可能である。基材(バ
ッキング材)またはセパレーターとしてポリオレフィ
ン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリウ
レタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化
ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリカーボネート、セル
ロース、キトサンあるいはシリコーン樹脂等、またはこ
れらの変性物または共重合体、あるいはラミネートされ
たフィルムや、不織布、発泡シートが使用できる。さら
に、基材またはセパレーターに液状高分子共重合体を塗
工した後、塗工面の上に前記の群より選ばれる基材また
はセパレーターをラミネートした後にゲル化(硬化)反
応させることも可能である。架橋反応した後、得られた
高分子ゲル体を裁断して枚葉で得てもよく、ロール状に
巻き取る方法も可能である。さらに、Ag/AgClをコーテ
ィングしたフィルムを貼付することにより電極として用
いることも可能である。前記セパレーターには、離型性
を高めるためのシリコーン系離型剤や、ワクッス系離型
剤をコーティングしてもよい。また、基材は、高分子ゲ
ル体と強く接着されている必要があるため、高分子ゲル
体と親和性の低い材料を基材として使用する場合は、表
面処理として、コロナ処理、易接着処理、粘着層のコー
ティングまたはラミネート等がなされている方が好まし
い。
【0035】その他の高分子ゲル体の製造方法として
は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、
ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、塩素化ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリカ
ーボネート、セルロース、キトサンあるいはシリコーン
樹脂等、またはこれらの変性物または共重合体、あるい
はラミネートされたフィルムや不織布、発泡シートを熱
成形などによって所定の形状に成型された深凹部に、得
られた液状高分子共重合体をそのまま、あるいは、酸触
媒、薬効成分、香料等を混合、均一溶解した後、充填
し、加熱して自己架橋させる方法がある。さらに、成型
されたフィルムの上部よりセパレーターを貼付し、深凹
部の周囲で裁断することにより、ブリスター形状にパッ
クされたゲル体を得ることが可能となる。なお、密封パ
ックすることが必要な場合は、深凹部の周囲と裁断部の
間がヒートシールされているのが好ましい。一旦自己架
橋させた高分子ゲル体に異なる配合の高分子共重合体溶
液をコーティングし、自己架橋させることにより多層構
造の高分子ゲル体を得ることもできる。
【0036】本発明の薬効成分含有シート状ゲル体を、
人体の部位の輪郭に適合するような形状にする場合にお
いて、適用部位としては、顔(唇、頬部、目元部、目の
上下部、鼻部、額部)、腕部、脚部、胸部、腹部、背
部、首部などが挙げられる。張り付け面積が大きい部位
あるいは、凹凸の有る部位に使用する場合は、高分子ゲ
ル体の粘着力を上昇させるか、厚さを薄めにすることが
好ましい。また、適宜形状を変更することにより人体の
部位の輪郭に適合させることが可能である。たとえば、
目の周囲に用いる場合における角の丸い三日月形状がそ
の例として挙げられる。シート状に成型された高分子ゲ
ル体を裁断するか、前記のごとく、あらかじめ既形状に
成型加工された樹脂フィルムに液状高分子共重合体を注
入し、自己架橋させることにより得られる。本発明のゲ
ル体は、共有結合による安定な架橋体のため、補強基材
無しでの使用も可能であり、この場合、生体表面の曲面
に適合する柔軟なシートが得られる。また、透明で、皮
膚表面への装着時に違和感がなく、皮膚表面の状況をモ
ニターできる等の利点がある。
【0037】本発明の高分子ゲル体をシート状で、人体
の部位の輪郭に適合する形状に加工した具体例を図1〜
4に示す。図1は、あらかじめシート状に成型した高分
子体を裁断し、角の丸い三日月形状に裁断した例であ
る。図2は、シート状に成型された高分子ゲル体の断面
図である。高分子ゲル体Bの両面にフィルムAおよびC
が貼付された構造を有している。フィルムAおよびB
は、何れもセパレーターである場合と、いずれか一方が
セパレーターで、もう一方が高分子ゲル体補強のための
基材である場合とがある。図3は、フィルムEを成型
し、深凹部に高分子ゲル体が充填されている場合の例で
ある。充填された高分子ゲル体の上面にはフィルムDが
貼付されている。フィルムDは、セパレーターである場
合と、高分子ゲル体補強のための基材である場合とがあ
る。図4は、図3において深凹部の高分子ゲル体を充填
した後に上面にフィルムDを貼付し、深凹部の周囲にヒ
ートシール部を施し、密閉構造とした場合である。
【0038】本発明において、高分子ゲル体に電解質を
含有させ導電性を付与することにより生体電極として用
いることができる。電解質は、自己架橋性高分子共重合
体溶液を製造する際にあらかじめ単量体配合液に溶解さ
せておく方法と、調製された自己架橋性高分子共重合体
溶液に電解質を溶解してから自己架橋させて高分子ゲル
体を製造する方法がある。電解質を均一に溶解、分散さ
せるためには、前者の方法が一般に好ましい。
【0039】本発明の高分子ゲル体を生体電極として用
いた例を図5〜図9に示す。
【0040】図5に示すシート状の生体電極は、非導電
性の支持部材に印刷、またはラミネートにより導電性物
質をコーティングした電極エレメントに、高分子ゲル体
に電解質を含有させた導電性高分子ゲルを貼り合わせる
ことにより得られる。ここで、電極エレメントに導電性
高分子ゲルを貼り合わせる際、エレメントの一部分に高
分子ゲル体と接触しない部分を設けて端子部とし、端子
部に、クリップ等でリード線を接続することが可能とな
る。
【0041】エレメントに導電性物質を印刷によりコー
ティングする際、導電性物質として使用可能なものとし
ては、Ag,Ag/AgCl,白金、金、ニッケル、ア
ルミニウム、銅、カーボン等の導電性ペーストが挙げら
れる。なかでも、生体電極として用いる場合は、不分極
性の特徴を有するAg/AgClペーストが好ましい。
印刷の方法は、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビ
ア印刷、ダイレクトコーティング等、特に限定されない
が、金属のコーティング量の均一性が高いスクリーン印
刷が好ましい。
【0042】また、ラミネートによりコーティングする
際は、Ag,Ag/AgCl,白金、金、ニッケル、ア
ルミニウムあるいは銅等の金属箔や、Ag,Ag/Ag
Cl,白金、ニッケル、アルミニウム、銅あるいはカー
ボン等の導電性の粉末を練り込んだ樹脂製フィルムを非
導電性の支持部材にラミネートすることにより得られ
る。非導電性の支持部材としては、ポリオレフィン、ポ
リエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、フッ素樹
脂、ポリカーボネート、セルロース、キトサンあるいは
シリコーン樹脂等、またはこれらの変性物または共重合
体のフィルムや不織物、発泡シートが単独またはこれら
の2種以上をラミネート等により複合して使用すること
ができる。
【0043】図8および図9に示すホック型の端子を有
する電極は、導電性物質をコーティングした円筒状の突
起を有するボタン型のエレメントの突起部分に非導電性
支持部材を貫通させ、貫通した突起部分にホック(スタ
ッド)をかしめて固定し、エレメント部分に導電性高分
子ゲルを貼付することにより得られる。非導電性支持部
材としては、前記と同様なものが使用可能である。
【0044】生体電極の別の例としては、図6または図
7のようにシート状の電極とホック型の端子を有する電
極を複合させた形の電極も作製可能である。
【0045】
【実施例】実施例1、実施例3〜実施例7、参考例1お
よび比較例1〜比較例4まず、重合性単量体として、ア
クリルアミドを(A)重量%、側鎖に脱離基を有する重
合性単量体としてN−メチロールアクリルアミドを
(B)重量%、N,N−ジメチルアクリルアミドを
(C)重量%、多価アルコールとしてグリセリンを
(D)重量%と、溶媒としてのイオン交換水を重量%の
和が99.8%となるように残りの量(重量%)を加え
て、混合、溶解し、無色透明の単量体配合液を作成し
た。次に、開始剤として2,2−アゾビス(2−メチル-
N-フェニルプロピオンアミジン)塩酸塩0.2重量%を
混合した後、撹拌しながら60℃で1時間加熱して、自
己架橋性高分子共重合体溶液を得た。(但し、以下の記
載において「実施例2」は「参考例1」に読み替えるも
のとする。)
【0046】このときの配合を表1に示す。
【0047】
【表1】 得られた各共重合体について、流動性の有無(G)を目
視にて確認した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】 実施例1〜3は、側鎖に脱離基を有する重合性単量体と
してN−メチロールアクリルアミドと、共重合用の単量
体としてアクリルアミドを用いた例である。実施例4〜
6は、実施例1〜3の単量体構成に対して、側鎖に脱プ
ロトン基を有していない重合性単量体の例としてN,N
−ジメチルアクリルアミドを用いた例である。実施例7
は、実施例4〜6の単量体構成からアクリルアミドを除
いた場合の例である。何れも良好な自己架橋性高分子共
重合体溶液が得られた。比較例1は、側鎖に脱離基を有
する単量体を用いない場合の例であり、重合反応は問題
なく起こり、良好な重合体含有溶液が得られた。
【0049】次に、得られた重合体100重量部に対し
て、5重量%塩酸を(H)重量部添加し、均一に混合し
た後、ポリエステルフィルムに厚さが0.5mmになる
ようにコーティングし、(I)℃のオーブン中で1時間
加熱し、高分子ゲル体を作成した。得られた高分子ゲル
体の一部をサンプリングし、イオン交換水に浸けて24
時間後の溶解性(J)を確認した。更に、ここで不溶で
あった高分子ゲル体に関して、垂直引っ張り試験法(治
具先端12mmφ円柱、材質SUS)による粘着力
(K)gを測定すると共に、20mm×120mmに切
り出したサンプル片を用いて、JIS粘着テープ・粘着
シート試験方法Z0237−1980に記載の90度引
き剥がし法によって粘着力(L)gを測定した。
【0050】
【表3】 実施例1〜7および比較例1で得られた高分子共重合体
含有溶液について、自己架橋反応の試験を行った結果、
実施例1〜7で作成されたものからは良好な高分子ゲル
体が得られた。実施例1の場合は、架橋密度が低く、多
価アルコールの配合量が充分多いため、可塑性に富み、
保湿性の高い良好な高分子ゲル体であった。実施例2の
場合は、多価アルコールを配合していないことから、腰
強度の強い、型くずれのしない高分子ゲル体が得られ
た。実施例3の場合は、実施例2より架橋密度を高く設
定しているが、多価アルコール配合による保湿性と可塑
性により粘着性が出ているものと考えられる。実施例4
および5の場合は、側鎖に脱プロトン基を有していない
重合性単量体を共重合させているために、粘着性の著し
い向上がみられる。また、側鎖に脱プロトン基を有して
いない重合性単量体の配合量が多くなると、90度引き
剥がし法の粘着力は微増にとどまる。これは、ゲル体の
マトリックスが柔軟になったためである。実施例6の場
合は、粘着力は低めであるが、腰強度が強く良好な高分
子ゲル体が得られた。これは、側鎖に脱離基を有する重
合性単量体の配合量が多く、架橋密度が高くなっている
ことと、重合性単量体配合量の総量が多いため、最終的
にできあがった高分子ゲル体のマトリックスの密度が高
くなったことで、ゲルの腰強度が強くなったためである
と考えられる。また、実施例7の場合は、実施例4およ
び5と同じ理由で粘着力が高くなっている。
【0051】一方、比較例1の場合は、見かけ上,本発
明の自己架橋性高分子共重合体溶液と変わらないが、自
己架橋が起こらず、粘着性はあるものの保形性がなく、
曳糸性のある溶液状を呈し、さらにに加熱して乾燥する
と、ガラスのように硬い樹脂塊となり、水に接触する
と、再びぬるぬると溶けはじめた。
【0052】比較例2 重合性単量体として、中和してpHを5に調整したアク
リル酸水溶液をイオン交換水に溶解し、単量体濃度が2
0重量%、配合液総量が99.8重量%となるように単
量体配合液を作成した後、重合開始剤として2,2-ア
ゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)塩
酸塩を0.2重量%混合した後、撹拌しながら60℃で
1時間加熱して、高分子共重合体含有溶液を得た。
【0053】次に、塩基性の薬剤として、20%塩酸ジ
ルチアゼム水溶液を上記高分子共重合体溶液100重量
部に対して2.5部を、攪拌しながら滴下し、外観の変
化を観察した。
【0054】その結果を表4に示す。
【0055】
【表4】 実施例4および実施例5で得られた高分子共重合体は、
薬物の添加後も性状に変化はなく良好な配合液が得られ
たが、比較例2の場合は、ポリアクリル酸溶液が薬物の
添加により白濁し、薬物の塩基とポリアクリル酸のアニ
オンが凝集反応しているしていることが観察された。
【0056】実施例8および比較例3 重合反応時に薬剤等の添加物が副反応により変性または
失活することを確認するために、単量体配合液に10%
の青色1号水溶液(染料)を1重量%添加して同様の操
作を行い、重合前後の変色を確認した。
【0057】その結果を表5に示す。
【0058】
【表5】 この結果より、実施例8では、自己架橋反応時に染料が
破壊されることなく、高分子ゲル体生成後も良好な発色
が継続していた。 一方、比較例3では、重合反応時に
徐々に青色が薄くなり、淡緑色へと変化した。これによ
り、本発明の自己架橋性高分子共重合体溶液を用いるこ
とにより、重合反応で失活する薬剤も、失活させること
なく高分子ゲル体を得られることがわかった。
【0059】実施例9 実施例5で得られた自己架橋性高分子共重合体溶液10
0重量部に対して、薬効成分として5%グリチルリチン
酸二カリウム溶液を10重量部添加して、溶解させた
後、5%塩酸を2重量部添加し、均一に溶解した。得ら
れた配合液を300μm厚のポリプロピレンシートを熱
成形して作った長径30mm、短径10mm、深さ0.
7mmの楕円形の皿に流し込み、オーブン中、80℃で
1時間自己架橋反応させた結果、無色透明で、柔軟性の
ある良好な薬効成分含有ゲル体が得られた。
【0060】実施例10 実施例5で得られた自己架橋性高分子共重合体溶液10
0重量部に対して、NMF保湿成分として50%ピロリ
ドン−2−カルボン酸ナトリウム溶液を5重量部添加し
て、溶解させた後、5%塩酸を2重量部添加し、均一に
溶解した。得られた配合液を300μm厚のポリプロピ
レンシートを熱成形して作った長径30mm、短径10
mm、深さ0.7mmの楕円形の皿に流し込み、オーブ
ン中、80℃で1時間自己架橋反応させた結果、無色透
明で、柔軟性のある良好な保湿剤含有の高分子ゲル体が
得られた。
【0061】実施例11および実施例12 表6に示されるように、重合性単量体としてアクリルア
ミドを(A)重量%、側鎖に脱離基を有する重合性単量
体としてN−メチロールアクリルアミドを(B)重量
%、N,N−ジメチルアクリルアミドを(C)重量%、
多価アルコールとしてグリセリンを(D)重量%、電解
質塩類として塩化ナトリウムを(S)重量%、防腐剤と
して安息香酸ナトリウムを0.1重量%、および溶媒と
してのイオン交換水を重量%の和が99.8%となるよ
うに残りの量(重量%)を加えて混合、溶解し、無色透
明の単量体配合液を作成した。次に、重合開始剤として
2,2−アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンア
ミジン)塩酸塩を0.2重量%混合した後、撹拌しなが
ら60℃で1時間加熱して、自己架橋性高分子共重合体
溶液を得た。
【0062】
【表6】 次に、得られた重合体溶液100重量部に対して、5%
塩酸を2重量部添加し、均一に溶解した後、シリコーン
コーティングした厚さ100μmのポリエステルフィル
ムに0.8mmの厚みになるようにコーティングし、上
面に下面のフィルムより軽剥離なシリコーンコーティン
グした厚さ38μmのポリエステルフィルムを貼付し、
85℃で1時間加熱して、導電性高分子ゲルを得た。
【0063】実施例13 実施例1で得られた高分子共重合体含有溶液100重量
部に対して、5%塩酸を2重量部と、電解質塩類として
の塩化ナトリウムを4重量部添加し、均一に溶解した
後、シリコーンコーティングした厚さ100μmのポリ
エステルフィルムに0.8mmの厚みになるようにコー
ティングし、上面に下面のフィルムより軽剥離なシリコ
ーンコーティングした厚さ38μmのポリエステルフィ
ルムを貼付し、85℃で1時間加熱して、導電性高分子
ゲルを得た。
【0064】実施例14 実施例11で得られた高分子共重合体含有溶液100重
量部に対して、薬効成分として5%グリチルリチン酸二
カリウム溶液を10重量部添加して、溶解させた後、5
%塩酸を2重量部添加し、シリコーンコーティングした
厚さ100μmのポリエステルフィルムに0.8mmの
厚みになるようにコーティングし、上面に下面のフィル
ムより軽剥離なシリコーンコーティングした厚さ38μ
mのポリエステルフィルムを貼付し、85℃で1時間加
熱して、薬効成分入りの導電性高分子ゲルを得た。
【0065】実施例15 実施例1で得られた高分子共重合体含有溶液100重量
部に対して、薬効成分として5%グリチルリチン酸二カ
リウム溶液を10重量部添加して、溶解させた後、5%
塩酸を2重量部と、電解質塩類としての塩化ナトリウム
を4重量部添加し、均一に溶解した後、シリコーンコー
ティングした厚さ100μmのポリエステルフィルムに
0.8mmの厚みになるようにコーティングし、上面に
下面のフィルムより軽剥離なシリコーンコーティングし
た厚さ38μmのポリエステルフィルムを貼付し、85
℃で1時間加熱して、薬効成分入りの導電性高分子ゲル
を得た。
【0066】実施例11〜15で得られた導電性高分子
ゲルの上面のポリエステルフィルムを剥離し、かわり
に、導電性物質としてAg/AgClをコーティングし
た厚さ75μmのポリエステルフィルムを貼付し、導電
性高分子ゲルの寸法が20mm×30mmになるように
裁断し、図面5で示される生体電極を作成した。
【0067】得られた電極について、導電性高分子ゲル
表面下の厚さ100μmのポリエステルフィルムを剥離
した後、ゲル面同士を貼り合せて電極対を作成した。こ
の電極対に関して、AAMI(Association of Advance
ment for the Medical instrumentation)の規格に従い
電極対電圧(N)mV、及び、電極対インピーダンス
(O)Ωを測定した。その結果を表7に示す。 比較例4 導電性高分子ゲル作成の比較例として、実施例1で作成
した高分子ゲルを用いて、実施例11〜15と同様に電
極対を作成し、電極性能を測定した。その結果を表7に
示す。
【0068】
【表7】 実施例11および12は、自己架橋製高分子共重合体溶
液製造時に電解質塩類を配合した場合の例であり、実施
例13は、実施例1の自己架橋製高分子共重合体溶液を
一旦製造した後、電解質塩類を添加して自己架橋させた
場合の例である。電解質塩類を溶解する際、溶液の粘度
が低い方が短時間でかつ均一に溶解することが可能であ
るため、自己架橋製高分子共重合体溶液製造時に電解質
塩類を配合した方が好ましい。
【0069】また、実施例14は、実施例11で作成し
た電解質塩類入りの自己架橋製高分子共重合体溶液に、
薬効成分を添加して薬効成分入りの導電性高分子ゲルを
作成した場合の例であり、実施例15は、自己架橋製高
分子共重合体溶液を一旦製造した後、薬効成分と電解質
塩類を添加して自己架橋させた場合の例である。何れの
場合も、薬効成分を含むと同時に交流の電気を流す導電
性高分子ゲルが作成可能であることが判った。先の例と
同様に、電解質塩類を溶解する際、溶液の粘度が低い方
が短時間でかつ均一に溶解することが可能であるため、
自己架橋製高分子共重合体溶液製造時に電解質塩類を配
合した方が好ましい。 比較例4では、高分子ゲル体作
成時に電解質塩類を添加していないため、電極性能、特
に電極対インピーダンスが著しく悪化しており、生体用
電極として使用には適さない。
【0070】
【発明の効果】本発明の自己架橋性高分子共重合体溶液
は、溶液状であるために、薬効成分の溶解、混合が容易
であり、かつ低温で自己架橋させることにより添加した
薬効成分の活性を損なうことなく、化学的に安定で、皮
膚刺激の少ない高分子ゲル体を製造できる。本高分子ゲ
ル体は、化粧品、医薬部外品、医薬品、医療用具あるい
は衛材等の分野において、生体表面に貼付又は接触させ
る化粧料、生体表面から生体内に薬剤を吸収させる経皮
吸収剤、電気的に生体表面から生体内に薬剤を吸収させ
るイオントフォレシスの有効成分の担体、または粘着
剤、生体電極、および創傷被覆材、生体用粘着テープ等
に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における高分子ゲル体の形状の一例であ
り、あらかじめシート状に成型した高分子ゲル体を角の
丸い三日月形状に裁断した例を示す。
【図2】本発明におけるシート状に成型された高分子ゲ
ル体Bの両面にフィルムA及びCが貼付された構造の断
面図を示す。
【図3】成型されたフィルムEの深凹部に高分子ゲル体
を充填し、その上面をフイルムDで貼付した例を示す。
下側の図は、ブリスター成型されたフイルムを斜め上か
らみた形を示し、図中の楕円状の太い実践はヒートシー
ル部分を表す。
【図4】図3の深凹部に高分子ゲル体を充填した後、そ
の上面にフィルムDを貼付し、深凹部の周囲にヒートシ
ール部を施した密閉構造を有する例を示す。下側の図
は、ブリスター成型されたフイルムを斜め上からみた形
を示す。
【図5】本発明の高分子ゲル体を生体電極として用いた
例であり、非導電性支持部材Gに導電性物質Hをコーテ
ィングし、導電性を付与した高分子ゲル体Iを貼り合わ
せた例を示す。導電性物質のコーティングは印刷による
方法あるいはあらかじめフィルム状に成形された導電性
物質を貼り合わせる方法により実施できる。
【図6】生体電極の別の例であり、非導電性支持部材G
に導電性物質Hをコーティングし、導電性を付与した高
分子ゲル体Iを貼り合わせたものに、リード線と接合す
るためのスタッドJを設け、さらに、導電性物質Hとス
タッドJの接合部を設けた例を示す。
【図7】図6において、電極のスタッドJ及びスタッド
接合部の位置を電極の中央に配置し、導電性を付与した
高分子ゲル体Iを貼り合わせた場合の例を示す。
【図8】生体電極の別の例を示す。非導電性の支持部材
Gの中央部にボタン型の導電性物質Mを設け、導電性を
付与した高分子ゲル体Iを貼着し、導電性を付与した高
分子ゲル体Iと反対側をスタッドJに接合させ、リード
線に接続可能にした例を示す。非導電性支持部材は、導
電性高分子ゲルより面積が大きくなっており、導電性高
分子ゲルからはみ出した部分には、粘着剤Lが塗布され
ている。
【図9】図8において電極の導電性支持部材と、導電性
高分子ゲルの面積が同一の場合の例を示す。
【符号の説明】
A:基材又はセパレーター B:高分子ゲル C:セパレーター D:基材又はセパレーター E:ブリスター成型されたフィルム F:ヒートシール部 G:非導電性支持部材 H:導電性物質 I:導電性を付与された高分子ゲル J:スタッド K:スタッド接合部 L:粘着剤 M:導電性
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 33/14 A61B 5/04 300Y (56)参考文献 特開 昭55−155007(JP,A) 特開 平4−179954(JP,A) 特開 平8−59950(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08 A61B 5/0408 A61K 7/00 A61N 1/04 A61N 1/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)側鎖に脱離基を有した重合性単量体
    であって、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 3 OR 4 [式中、R 1 はHま
    たはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1 (式中、nは0
    〜6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜
    6の整数を示す)を表す。](式3)で表される重合性
    単量体、 式:CH 2 =CR 1 COOR 3 OR 4 [式中、R 1 はHまた
    はCH 3 を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜6の整数
    を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜6の整数を
    示す)を表す。](式4)で表される重合性単量体、 式:CH 2 =CR 1 CONR 2 (R 3 O) m 4 [式中、R 1
    はHまたはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1 (式中、
    nは0〜6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、n
    は1〜4の整数を示す)を、mは2〜30の整数を表
    す。](式5)で表される重合性単量体、および式:C
    2 =CR 1 COO(R 3 O) m 4 [R 1 はHまたはCH 3
    を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜6の整数を示す)
    を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜4の整数を示す)
    を、mは2〜30の整数を表す。](式6)で表される
    重合性単量体よりなる群から選択される重合性単量体の
    1種または2種以上 と、(b) 水および/またはアルコールに可溶性の重合性単
    量体と、 よりなる高分子共重合体を少なくとも水と多価アルコー
    ルとの混合溶媒に溶解した、生体に貼付または接触させ
    るための高分子体ゲル製造用である高分子共重合体含有
    溶液であって、 該共重合体中に前記(a)の重合性単量体の側鎖に有し
    た脱離基に由来する複数の架橋可能な脱離基を有する構
    造単位を含んでなることを特徴とする自己架橋性高分子
    共重合体溶液。
  2. 【請求項2】(a)側鎖に脱離基を有した重合性単量体
    であって、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 3 OR 4 [式中、R 1 はHま
    たはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1 (式中、nは0
    〜6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜
    6の整数を示す)を表す](式3)で表される重合性単
    量体、 式:CH 2 =CR 1 COOR 3 OR 4 [式中、R 1 はHまた
    はCH 3 を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜6の整数
    を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜6の整数を
    示す)を表す。](式4)で表される 重合性単量体 式:CH 2 =CR 1 CONR 2 (R 3 O) m 4 [式中、R 1
    はHまたはCH 3 を、R 2 およびR 4 はC n 2n+1 (式中、
    nは0〜6の整数を示す)を、R 3 はC n 2n (式中、n
    は1〜4の整数を示す)を、mは2〜30の整数を表
    す。](式5)で表される重合性単量体、および式:C
    2 =CR 1 COO(R 3 O) m 4 [R 1 はHまたはCH 3
    を、R 4 はC n 2n+1 (式中、nは0〜6の整数を示す)
    を、R 3 はC n 2n (式中、nは1〜4の整数を示す)
    を、mは2〜30の整数を表す。](式6)で表される
    重合性単量体、 よりなる群から選択される重合性単量体の1種または2
    種以上 と、(b) 水および/またはアルコールに可溶性の重合性単
    量体と、(c) 側鎖に脱プロトン基を有していない重合性単量体
    であって、式:CH 2 =CR 1 CONR 2 3 [R 1 はHまたはCH
    3 を、R 2 およびR 3 はC n 2n+1 (式中、nは1〜6の整
    数を示す)を表す。](式7)で表される重合性単量
    体、および式:CH 2 =CR 1 COOR 2 [式中、R 1 はH
    またはCH 3 を、R 2 はC n 2n+1 (式中、nは1〜6の
    整数を示す)を表す。](式8)で表される重合性単量
    体よりなる群から選択される重合性単量体の1種または
    2種以上と 、 よりなる高分子共重合体を少なくとも水と多価アルコー
    ルとの混合溶媒に溶解した、生体に貼付または接触させ
    るための高分子ゲル製造用である高分子共重合体含有溶
    液であって、 該共重合体中に前記(a)の重合性単量体の側鎖に有し
    た脱離基に由来する複数の架橋可能な脱離基を有する構
    造単位を含んでなることを特徴とする自己架橋性高分子
    共重合体溶液。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の自己架橋性高分
    子共重合体溶液を架橋させて得た高分子ゲル体。
  4. 【請求項4】皮膚に適用するための治療用活性物質およ
    び/または美容用活性物質を含むことを特徴とする請求
    項3に記載の高分子ゲル体。
  5. 【請求項5】導電性を付与するための電解質塩を含むこ
    とを特徴とする請求項3に記載の高分子ゲル体。
  6. 【請求項6】人体の部位の輪郭に適合する形状を有する
    ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の高分
    子ゲル体。
  7. 【請求項7】請求項1または2のいずれかに記載の自己
    架橋性高分子共重合体溶液を加熱により自己架橋させる
    ことを特徴とする高分子ゲル体の製造方法。
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