JP2012197343A - 粘着性ハイドロゲル及びその製造方法、粘着性ハイドロゲル製造用組成物及びゲルシート - Google Patents

粘着性ハイドロゲル及びその製造方法、粘着性ハイドロゲル製造用組成物及びゲルシート Download PDF

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Abstract

【課題】皮膚に対して優れた粘着力を有する粘着性ハイドロゲルを提供することを課題とする。
【解決手段】高分子マトリックスに水と多価アルコールとが含まれてなる粘着性ハイドロゲルであって、前記高分子マトリックスが、(A)成分として(メタ)アクリル酸、その誘導体又はカルボキシル基を2つ有する炭素数4〜5のビニル誘導体と、(B)成分として(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(但し、アクリロイルモルホリンを除く)と、(C)成分としてアクリロイルモルホリンとを含む重合性単量体混合物と架橋性単量体との共重合体であり、前記(A)成分、(B)成分及びC)成分が、それぞれ前記粘着性ハイドロゲル100重量部に対して9〜15重量部、2.5〜10重量部及び1.5〜3.5重量部含まれることを特徴とする粘着性ハイドロゲルにより、上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着性ハイドロゲル及びその製造方法、粘着性ハイドロゲル製造用組成物及びゲルシートに関する。更に詳しくは、本発明は、生体用電極、医療用粘着剤、化粧品、医薬部外品、工業計測用電極等の原料として好適に用いることができる粘着性ハイドロゲル及びその製造方法、その製造用組成物、それを含むゲルシートに関する。
ハイドロゲルは、基本的に水との親和性の高いポリマーが水系溶媒中で膨潤したものである。ハイドロゲルは、吸水性、膨潤性、粘着性、導電性等の種々特性を有しており、これらの特性を活かして土木建築、農芸、食品、医療、化粧品、電気等の広範囲の分野において利用されている。
粘着性を有するハイドロゲルは、生体用電極や工業計測用途に導電性ゲルとして、また、経皮吸収製剤や化粧品パック材等として生体をはじめとして各種材料に貼付して用いられる。例えば、センサー用電極等にゲルが用いられる場合には、ゲルを計測対象物と電極素子との間に介在させ、安定した計測を行うために、両者を密着固定させる必要がある。同様に、刺激電極やアース電極にゲルが用いられる場合には、生体から部分的な剥離が生じると、電荷の集中が起こり、火傷等の事故につながる危険性がある。その他、経皮吸収材や化粧品パック等にゲルが用いられる場合においても、安定した治療効果を得るためには、ゲルと生体を密着固定する必要がある。すなわち、これらの用途に用いられるゲルはいずれも、より高粘着であることが望まれる。
従来から、生体に貼付する材料には工夫が重ねられ、例えば、心電図電極においては、食塩水にポリビニルアルコールを溶解し、粘度コントロールした液体をスポンジに含浸させ、電極と生体との間に介在させる方法が知られている。また、化粧品用途においては、薬効成分を溶解した水溶液に、多価アルコールやポリアクリル酸等の水溶性高分子を溶解し、粘度コントロールしたゲル状の液体を不織布に含浸させ、顔面等に貼付する方法が知られている。しかし、これらの方法では、実質水溶性高分子を溶解した粘調な液体として使用しているだけで、材料の粘着性は殆どなく、また比較的短時間で乾燥し、使用不能になる等、機能面に問題があった。
例えば、特開平3−162829号公報(特許文献1)には、ビニルピロリドン(共)重合体と(メタ)アクリル酸(塩)−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体のブレンドポリマーと、電解質及び軟化剤を含有するゲルからなる医療用導電性粘着剤(ハイドロゲル)が開示され、この技術では、ブレンドポリマーの粘調溶液をフィルム上に流延し、乾燥することにより厚さ1mm程度の粘着剤の層を備えた粘着シートを形成している。
また、特開2003−96431号公報(特許文献2)及び特許第4384809号公報(特許文献3)には、所定量の水溶性高分子を使用することにより、粘着性を向上させる技術やそれを利用した医療用電極が開示されている。
特開平3−162829号公報 特開2003−96431号公報 特許第4384809号公報
しかし、特許文献1に記載の医療用導電性粘着剤を生体に貼付して使用する場合には、発汗等による過度の水分との接触による吸水で凝集力が低下して、乾燥前の元来の流動性が回復して粘着力が低下することがある。
また、特許文献2の技術は、ハイドロゲルの粘着力を向上することができるものの、皮膚への粘着性に関してはまだ改善の余地がある。
さらに、特許文献3に記載の水溶性高分子を使用した医療用電極は、粘着力はあるものの、その製造方法は、二層の組成物で構成されているため、簡易なものとは言い難い。
本発明は、皮膚に対して優れた粘着力を有する粘着性ハイドロゲルを提供することを課題とする。
本発明の発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、アクリロイルモルホリンを含む重合性単量体混合物と架橋性単量体との共重合体からなる高分子マトリックスを含むハイドロゲルが、粘着力に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、高分子マトリックスに水と多価アルコールとが含まれてなる粘着性ハイドロゲルであって、
前記高分子マトリックスが、(A)成分として(メタ)アクリル酸、その誘導体又はカルボキシル基を2つ有する炭素数4〜5のビニル誘導体と、(B)成分として(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(但し、アクリロイルモルホリンを除く)と、(C)成分としてアクリロイルモルホリンとを含む重合性単量体混合物と架橋性単量体との共重合体であり、
前記(A)成分、(B)成分及びC)成分が、それぞれ前記粘着性ハイドロゲル100重量部に対して9〜15重量部、2.5〜10重量部及び1.5〜3.5重量部含まれることを特徴とする粘着性ハイドロゲルが提供される。
また、本発明によれば、上記の粘着性ハイドロゲルの製造方法であって、前記(A)成分9〜15重量部と、前記(B)成分2.5〜10重量部と、前記(C)成分1.5〜3.5重量部とを含む重合性単量体混合物と、架橋性単量体と、水と、多価アルコールとを攪拌溶解させてモノマー配合液を得る工程と、
得られたモノマー配合液を加熱又は紫外線照射により、前記重合性単量体混合物と前記架橋性単量体とを共重合させて高分子マトリックスを得る工程と
を含むことを特徴とする、高分子マトリックスに水と多価アルコールとが含まれてなる粘着性ハイドロゲルの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記の粘着性ハイドロゲルの製造に使用される粘着性ハイドロゲル製造用組成物であって、前記粘着性ハイドロゲル製造用組成物100重量部に対して、前記(A)成分9〜15重量部、前記(B)成分2.5〜10重量部及び前記(C)成分1.5〜3.5重量部を含む重合性単量体混合物、架橋性単量体、水及び多価アルコールを含むことを特徴とする粘着性ハイドロゲル製造用組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の粘着性ハイドロゲルを含むことを特徴とするゲルシートが提供される。
本発明による粘着性ハイドロゲルは、皮膚に対して優れた粘着力を有している。そのため、本発明によるハイドロゲルを使用した(電極パッド等の)製品は、医療用導電性粘着剤として用いた場合に、従来の製品に比べて粘着力があり、安定した治療効果が期待できる。
粘着性ハイドロゲルが、高分子マトリックスに(D)成分としてポリビニルピロリドン又はその誘導体が更に含まれてなる粘着性ハイドロゲルであって、(D)成分が、粘着性ハイドロゲル100重量部に対して0.1重量部以上5重量部未満含まれる場合、更に優れた粘着力を有する粘着性ハイドロゲルを提供することができる。
多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン及びポリオキシエチレングリセリンから選択される場合、更に優れた粘着力を有する粘着性ハイドロゲルを提供することができる。
(A)成分の(メタ)アクリル酸、その誘導体又はカルボキシル基を2つ有する炭素数4〜5のビニル誘導体が、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート及び(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレートから選択され、(B)成分の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体が、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)又はその塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドから選択される場合、更に優れた粘着力を有する粘着性ハイドロゲルを提供することができる。
また、粘着性ハイドロゲルが、粘着性ハイドロゲル100重量部に対して0.05〜10重量部の電解質を更に含む場合、導電性を備えた粘着性ハイドロゲルを提供することができる。
本発明による粘着性ハイドロゲル(以下「ハイドロゲル」又は「ゲル」ともいう)は、高分子マトリックスに水と多価アルコールとが含まれてなる。
本発明の粘着性ハイドロゲルの各構成成分について説明するが、以下の説明において「粘着性ハイドロゲル100重量部」とは、重合性単量体、架橋性単量体、水、多価アルコール、任意成分のポリビニルピロリドンおよびその他添加物の総計を意味する。
(高分子マトリックス)
高分子マトリックス(以下「マトリックス」ともいう)は、(A)(メタ)アクリル酸、その誘導体又はカルボキシル基を2つ有する炭素数4〜5のビニル誘導体と、(B)(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(但し、アクリロイルモルホリンを除く)と、(C)アクリロイルモルホリンとを含む重合性単量体混合物と架橋性単量体との共重合体である。なお(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
重合性単量体と架橋性単量体とが重合・架橋することにより、高分子マトリックスが形成される。粘着性ハイドロゲルに含まれる高分子マトリックスの割合は、粘着性ハイドロゲル100重量部に対して13.5〜34重量部であることが好ましい。14〜33重量部がより好ましく、15〜32重量部が特に好ましい。
高分子マトリックスの割合が13.5重量部未満では、得られるゲル中のマトリックス濃度が低すぎ、マトリックスが溶媒を抱えきれずブリードし易くなり、ゲルの腰強度が弱くなることがある。一方、高分子マトリックスの割合が34重量部を超えると、高分子マトリックスを形成する単量体混合物の重合時の発熱が大きくなりすぎ、反応が暴走して、溶媒の沸点を超えて沸騰することがある。また、沸騰した場合にはゲルに気泡が混入するため、良好なゲルが得られないことがある。
(1)重合性単量体混合物
重合性単量体混合物に含まれる(A)成分の(メタ)アクリル酸、その誘導体又はカルボキシル基を2つ有する炭素数4〜5のビニル誘導体と、(B)成分の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(但し、アクリロイルモルホリンを除く)は、重合反応性が良好であるため、残存モノマーを低減することができる。また、粘着性ハイドロゲル中の他の成分との親和性も良好である。
また、(c)成分のアクリロイルモルホリンは、ポリマーを溶かすという性質(可塑性)と、紫外線により樹脂化するという性質(UV硬化性)を併せ持つ。重合性単量体混合物にアクリロイルモルホリンが所定量加えられることにより、高分子マトリックスの重合を促進し、また後述するように高分子マトリックスにポリビニルピロリドンを更に含める場合には、その粘着力を調整して、過度なべとつきを抑制することにより、ハイドロゲルの加工性を改善することができる。
(A)成分としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート及び(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(A)成分は水溶性であることが好ましい。
ここで、(ポリ)エチレンとは、エチレン又はポリエチレンを意味する。また、ポリエチレンとは、エチレン単位を2〜10個備えた構造を意味する。(ポリ)プロピレン及び(ポリ)グリセリンも、(ポリ)エチレンと同様の内容を意味する。
(B)成分としては、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)又はその塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等の非電解質系アクリルアミド誘導体が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(B)成分は水溶性であることが好ましい。
(A)成分は、粘着性ハイドロゲル100重量部に対して9〜15重量部、好ましくは
10〜15重量部含まれる。含まれる量が9重量部未満では、ハイドロゲルの粘着力が低下することがある。一方、含まれる量が15重量部を超えると、残存モノマーが多く発生して後処理工程が煩雑になり、また残存モノマーの影響により得られるハイドロゲルの品質が劣化することがある。
(B)成分は、粘着性ハイドロゲル100重量部に対して2.5〜10重量部、好ましくは3〜10重量部含まれる。含まれる量が3重量部未満では、残存モノマーが多く発生することがある。一方、含まれる量が10重量部を超えると、ハイドロゲルの粘着性が低下することがある。
(C)成分は、粘着性ハイドロゲル100重量部に対して1.5〜3.5重量部、好ましくは1.7〜3.2重量部含まれる。含まれる量が1.5重量部未満では、高分子マトリックスの共重合が不十分になることがある。一方、含まれる量が3.5重量部を超えると、ハイドロゲルの粘着性が低下することがある。また、含まれる量が1.5重量部未満では、ポリビニルピロリドンを添加して粘着力を調整した場合には、粘着力を十分に調整できず、べとつきによりハイドロゲルの加工性が低下することがある。
(2)架橋性単量体
架橋性単量体としては、分子内に重合性を有する二重結合を2つ以上有するものが好ましい。具体的には、メチレンビス(メタ)アクリルアミド[N,N’−メチレンビスアクリルアミド]、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、ジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、架橋性単量体としては、重合性の二重結合を1つ以上と、脱離反応や開環反応による架橋性反応性を有する官能基としてエポキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等を1つ以上有する、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等も挙げられる。
さらに、イオンによる架橋を行う場合には、イオン性重合性単量体の一部に架橋性単量体としての機能を持たせることも可能である。
粘着性ハイドロゲルを製造する際の架橋性単量体の割合は、使用する重合性単量体種や架橋性単量体種によって異なるが、一般的に粘着性ハイドロゲル100重量部に対して0.01〜0.5重量部であることが好ましい。より好ましくは0.03〜0.25重量部、さらに好ましくは0.03〜0.06重量部である。
架橋性単量体の割合が0.01重量部未満では、架橋密度が低くなりゲルの形状安定性が乏しくなり、皮膚に貼付したゲルを剥離する際にちぎれたゲルが皮膚表面に残留することがある。また、電気測定に使用する場合は、厚みの変動により測定値に変動が生じ易くなることがある。一方、架橋性単量体の割合が0.5重量部を超えると、粘着力がほとんどない、硬く脆いゲルになり易い。
(多価アルコール)
本発明の粘着性ハイドロゲルに含まれる多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変性体等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの多価アルコールの中でも、粘着性ハイドロゲルを実際に使用する温度領域(例えば、室内で使用する場合は20℃前後)で液状であるが好ましい。このような多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、グリセリン等が挙げられる。
多価アルコールの割合は、粘着性ハイドロゲル100重量部に対して10〜75重量部であることが好ましい。より好ましくは20〜70重量部、さらに好ましくは40〜55重量部である。
多価アルコールの割合が10重量部未満では、ゲルの保湿力が乏しく、水分の蒸散が著しくなり、ゲルの経時安定性に欠けると共に柔軟性に欠け、ゲルに粘着性を付与することが困難になることがある。一方、多価アルコールの割合が80重量部を超えると、多価アルコールがゲルの表面にブリードして、粘着力が低下することがある。また、多価アルコールと水とポリビニルピロリドンとの配合液調製時に、粘度が高くなりすぎて、ハンドリングが悪くなり、溶解が困難となることがある。さらに、ゲルを成型する際に気泡が混入して、脱泡作業工程が余分に必要になることがある。
(ポリビニルピロリドン)
本発明による粘着性ハイドロゲルは、粘着力がより大きくなるという点で、高分子マトリックスにポリビニルピロリドン又はその誘導体が更に含まれてなるのが好ましい。
ポリビニルピロリドンは、ハイドロゲル100重量部に対して0.1重量部以上5重量部未満含まれることが好ましい。より好ましくは0.2〜4重量部である。
ポリビニルピロリドンの割合が0.1重量部未満では、粘着力が低下することがある。一方、ポリビニルピロリドンの割合が5重量部を超えると、ゲル作製時の配合液の粘度が高くなりすぎ、配合液が凝集して均一溶解が困難となり、均一なゲルが得られないことがある。
ポリビニルピロリドンのK値は、25〜88であることが好ましい。より好ましくは27〜85である。K値が25未満では、生体等にゲルを貼付して、剥離する際、ゲル表面近傍に存在する水溶性高分子が皮膚表面に残留し、不快感が残ることがある。また、ゲル粘着面と貼り付け対象物との界面に水溶性高分子が浮き出した際に、低分子量で凝集性に欠けるため粘着を阻害することがある。一方、K値が88を超えると、添加する水溶性高分子の量が例え微量であっても、ゲルを作製する際に調整する配合液の粘度が高くなりすぎて、均一溶解が困難になり、均一なゲルが得られないことがある。
本発明におけるK値とは、分子量の大きさをフィケンチャー(Fikentscher)法により表した値であり、以下の測定方法によって求めることができる。
K値が20未満である場合には5%(g/100ml)溶液の粘度を測定し、K値が20以上の場合は1%(g/100ml)溶液の粘度を測定する。試料濃度は乾燥物換算する。K値が20以上の場合、試料は1.0gを精密に測りとり、100mlのメスフラスコに入れ、室温で蒸留水を加え、振とうしながら完全に溶かして蒸留水を加えて正確に100mlとする。この試料溶液を恒温槽(25±0.2℃)で30分間放置後、ウベローデ型粘度計を用いて測定する。溶液が2つの印線の間を流れる時間を測定する。数回測定し、平均値をとる。相対粘度を規定するために、蒸留水についても同様に測定する。2つの得られた流動時間をハーゲンバッハ−キュッテ(Hagenbach−Couette)の補正値に基づいて補正する。
K値=[[300ClogZ+(C+1.5ClogZ)2]1/2+1.5ClogZ−C]
/(0.15C+0.003C2) (1)
上記式(1)中、Cは試料の濃度(%:g/100ml)、Zは濃度Cの溶液の相対粘度(ηrel)を示す。
相対粘度ηrelは次式より得られる。
ηrel=(溶液の流動時間)/(水の流動時間) (2)
(水)
粘着性ハイドロゲルに含まれる水の含有量は、特に制限されないが、最終的に得られる粘着特性や電気特性を最適な値とするために、粘着性ハイドロゲル100重量部対して10重量部から50重量部であることが好ましい。より好ましくは10〜45重量部、さらに好ましくは20〜30重量部である。
水の含有量が10重量部未満では、ゲルの平衡水分量に対する含水量が少なすぎるため、吸湿性が強くなり、ゲルが経時的に変質することがある。一方、水の含有量が50重量部を超えると、ゲルの平衡水分量との差が大きくなり、乾燥によるゲルの収縮や物性の変化を生じることがある。
(電解質)
粘着性ハイドロゲルには、電解質が含まれてもよい。電解質が含まれることにより、心電図測定用電極、低周波治療器用電極、各種アース電極等の生体電極用途として好適な導電性のゲルを得ることができる。このような生体電極用途として用いる場合には、電解質が含まれる粘着性ハイドロゲルの比抵抗は0.1〜10kΩ・cmであることが好ましい。
本発明における粘着性ハイドロゲルに含まれる電解質としては、塩が挙げられる。
塩としては、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等、ハロゲン化アルカリ金属やハロゲン化アルカリ土類金属、その他の金属ハロゲン化物や、各種金属の、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、また、アンモニウム塩や、各種錯塩等の無機塩類、酢酸、安息香酸、乳酸、酒石酸等の一価有機カルボン酸塩、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩、スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩、及び有機アンモニウム塩の他、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の高分子電解質の塩が挙げられる。
なお、電解質は、ハイドロゲルの配合作製時には不溶性であり、配合液作製中に分散した形態であっても、時間と共にハイドロゲル中に溶解するという特性のものを使用してもよい。そのような電解質としては、珪酸塩、アルミン酸塩や金属酸化物、水酸化物等が挙げられる。
粘着性ハイドロゲルに好適な導電性を求める場合、電解質は、ハイドロゲル100重量部に対して0.05〜10重量部含まれることが好ましい。より好ましくは0.1〜2重量部である。水分を含んだハイドロゲルは、元来誘電体としての特性を有し、電極素子と複合させて電極を作製した場合は、ゲルの厚さや電極素子面積に応じた電気容量を有する。しかし、電極のインピーダンス(Z)は、特に1kHz未満の低周波領域では電解質濃度に大きく影響される。電解質の含有量が0.05重量部未満であると、インピーダンスが高くなり、導電性用途として好適とはいえなくなる場合がある。一方、10重量部を超えると、電解質のハイドロゲルへの溶解が困難となり、ゲル内部で結晶の析出が生じたり、他の成分の溶解を阻害したりする場合がある。また、導電性能が頭打ちとなり、導電性付与という観点からこれ以上の添加は有益なものとはいえなくなる。
電解質は、ハイドロゲルに導電性を付与する目的以外で用いられてもよい。例えば、ハイドロゲルのpH調整を目的として、酸性塩、塩基性塩、多官能塩が添加されてもよい。また、ハイドロゲルの保湿性能の向上や抗菌性を持たせる目的で、電解質が添加されてもよい。
(その他の添加物)
粘着性ハイドロゲルには、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて、防腐剤、殺菌剤、防錆剤、酸化防止剤、安定剤、香料、界面活性剤、着色剤等、抗炎症剤、ビタミン剤、美白剤等その他の薬効成分を適宜添加してもよい。
これらの添加剤は、ハイドロゲル100重量部に対して0.05〜10重量部用いることができる。
(粘着性ハイドロゲルの製造方法)
本発明の粘着性ハイドロゲルの製造方法は、(A)成分9〜15重量部と、(B)成分2.5〜10重量部と、(C)成分1.5〜3.5重量部とを含む重合性単量体混合物と、架橋性単量体と、水と、多価アルコールと、任意に(D)成分0.1〜5重量部とを攪拌溶解させてモノマー配合液を得る工程と、
得られたモノマー配合液を加熱又は紫外線照射により、前記重合性単量体混合物と前記架橋性単量体とを共重合させて高分子マトリックスを得る工程とが含まれる。モノマー配合液には、必要に応じて重合開始剤が含まれていてもよい。
また、予め重合反応によって形成された高分子マトリックスに、水や非架橋の水溶性高分子等を含浸させることにより得ることも可能である。また、重合性単量体のみを重合させた直鎖状高分子、水、非架橋の水溶性高分子等を溶解又は均一分散して得られるポリマー配合液に、架橋性単量体又は触媒を添加して直鎖状高分子と架橋性単量体を反応させることによりマトリックスを生成する方法により得ることも可能である。
ハイドロゲルを得るための重合方法としては、光重合の他、一般的なラジカル重合、レドックス重合、放射線重合等が可能である。上記種々の重合法の内、製造工程が簡素であり、非常に経済的であると同時に、安定した物性のゲル体を得ることが可能であることから光照射による光重合が好ましい。
光重合においては、光重合性開始剤の存在下、紫外線を照射して重合することが好ましい。紫外線の積算照射量は、1000mJ/cm2以上であることが好ましい。2000mJ/cm2〜10000mJ/cm2であれば、ゲル中の残存モノマー量を100ppm以下にまで低減できるので、より好ましい。紫外線の積算照射量が1000mJ/cm2未満では、重合反応が十分に進まないことがある。紫外線の積算照射量が大きすぎると、大型の紫外線照射装置が必要になり、また不必要なエネルギーを消費することになる。また、紫外線照射により発生する熱を除去する工程が別途必要となり、製造コストが上昇することがある。
光重合性開始剤は、紫外線や可視光線で開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。中でもα−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン等が好ましい。
光重合開始剤の具体例としては、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア2959、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:ダロキュア1173、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:イルガキュア184、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:イルガキュア907、チバスペシャリティーケミカルズ社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア369、チバスペシャリティーケミカルズ社製)等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤は、重合反応を十分に行い、かつ残存モノマー量を低減するために、ハイドロゲル100重量部に対して、0.01〜1重量部添加されることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.5重量部である。光重合開始剤の添加量が0.01重量部未満では、重合反応が十分に進行しないことがある。一方、光重合開始剤の添加量が1重量部を超えると、重合反応後の重合開始剤の残物により、ハイドロゲルが変色(黄変)し、あるいは臭気を帯びることがある。
(粘着性ハイドロゲルの成形方法(ゲルシート)の例示)
粘着性ハイドロゲルは、液状の配合液を重合・架橋してゲル化するため、用途に合わせて適宜成形することが可能である。例えば、樹脂フィルム等のベースフィルムの上に前記組成物を滴下し、滴下後、その上面に樹脂フィルム等のトップフィルムをかぶせて組成物を押し広げ、所望の厚みに制御する。この状態で光(紫外線)照射及び/又は熱により重合・架橋させて、所望の厚さを有する粘着性ハイドロゲルを得ることができる。
例えば、粘着剤として使用する場合等では、厚さ0.01mm〜2.0mmのゲルシートに成型されることがある。その場合、片面又は両面に保護フィルムを設けたゲルシートに成形してもよい。
ゲルシートを作製する際の保護フィルムは、セパレータや支持体として使用することができ、公知のものを使用してもよい。また、ゲルシートの作製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製造することができる。
ベースフィルムには、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、紙又は樹脂フィルムをラミネートした紙等を使用することができる。これらフィルムのゲルシートと接する面は、シリコーンコーティング等の離型処理がなされていることが好ましい。
ベースフィルムを離型紙として使用する場合は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、紙、樹脂フィルムをラミネートした紙等のフィルムの表面に離型処理を施したものが好適に用いられる。二軸延伸したPETフィルムや、OPP等が特に好ましい。離型処理の方法としては、シリコーンコーティングが挙げられ、特に、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティングが好ましい。
ベースフィルムを離型紙でなく、粘着剤のパッキング材(裏打材)として使用する場合は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等を離型処理しないで用いることが好ましい。これらのうち、ポリウレタンフィルムは柔軟性があり、水蒸気透過性を有するものもあるので特に好ましい。また、ポリウレタンフィルムは、通常単独では柔らかすぎ、製造工程での取扱いが困難なため、キャリアフィルムとしてポリオレフィンや紙等でラミネートして用いることが好ましい。
ゲル生成工程は、ベースフィルムにキャリアフィルムを付けた状態で行われることが好ましい。トップフィルムには、基本的にベースフィルムと同じ材質ものを使用することも可能であるが、光重合を妨げないために、光を遮断しない材質のフィルムを選択することが好ましい。また、パッキング材(裏打材)に用いるフィルムは、トップフィルムとして使用しない方が好ましい。特に、パッキング材に使用するフィルムが紫外線等の照射により劣化する可能性がある場合には、直接紫外線が照射される側に位置することになるため好ましくない。
(ハイドロゲルを用いた電極パッド及びその製造方法の例示)
粘着性ハイドロゲルは、安全に皮膚等に粘着する特性を備えている。また、任意に電解質を添加することにより導電性を容易に付与することができる。そのため、電極パッド等の粘着性導電部位として好適に使用することができる。本発明の粘着性ハイドロゲルを電極パッドとして使用する一例について、以下に説明する。
まず、カーボン等の導電物質が練り込まれた導電層の片面に粘着性ハイドロゲルを積層させる。次に、ハイドロゲルが積層された面とは反対側の面に、非導電性の支持体を積層させる。この支持体には、銅線等の導電性物質が導電層と接する形で取り付けられ、それが端子となる。端子を通じて、外部からもしくは外部のモニター等へ電気が流れて、導電層とハイドロゲルを通して貼付対象に電気を流すことができる粘着性導電部位となり得る。
導電層には、ポリエステル系又はポリウレタン系樹脂をバインダーとしてカーボンペーストにより形成されたカーボンコート層、Ag/AgCl等の金属やカーボン等を含む導電性インクを印刷コーティングした層、樹脂フィルム上に金属箔(アルミ、ステンレス、Ag等)、もしくはカーボン等を練りこんだ導電性フィルムをラミネートした層等が使用される。導電層は引っ張り等、外部から力が働いた際に容易に切れないような強度を保持していることが望ましい。容易に切れると、電極を製造する際に途中で導電層が切れたり、伸張により最終製品の電極が変形したり、更に使用者の取扱い方によっては電極中の導電層の断線により、火傷等を誘引する可能性がある。一方で、凹凸のある皮膚面へ貼付するため、柔軟性も必要とされる。使用に際して不具合が起こらないような物性を持った導電層の選択が必要である。
端子は、支持体と導電層がラミネートされたフィルムの場合は、導電層に粘着性ハイドロゲルを積層させる際に、フィルムの一部にハイドロゲルが積層されていない部分を設けることにより形成される。端子(ハイドロゲルが積層されていない部分)は、クリップ等で挟まれてリード線と接続される。
カシメ構造を有する電極の場合は、導電性を有していれば特に限定されないが、ステンレス等の金属やカーボンを練りこんだ樹脂成型品であるスナップ端子と樹脂の成型品がAg/AgCl等の金属でコーティングされたエレメントで、挟まれた構造の部分が端子となり外部へ接続される。
また、金属線等を使用する場合は、金属線の一部が導電層と支持体に挟まれた構造で、導電層と支持体の積層部からはみ出した部分は非導電性の樹脂等で覆われており、金属線の先端がリード線と接続されることで外部へ接続される。
本発明による粘着性ハイドロゲルは、上述したとおり優れた粘着力を有するため、このハイドロゲルを用いて得られたゲルシートや電極パッドは、従来の製品にはみられないような優れた粘着力を有する。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。先ず、実施例及び比較例中の測定方法及び評価方法について説明する。
(初期粘着力の測定方法)
不織布で裏打ちしたサンプルを20mm×100mmの短冊状に切り出し、この試験片をベークライト板(住友ベークライト社製 紙ベークライト 品番:PL113)に貼り付け、テンシロン(オリエンテック社製)にセットする。この後、JIS−Z0237に準じて300mm/分の速度で90°方向に剥離する際の力を粘着力(N)とする。
(皮膚に対する粘着力の測定方法:皮膚180°粘着力)
不織布で裏打ちしたサンプルを20mm×100mmの短冊状に切り出し、この試験片を予めアルコールで軽く拭いた左腕内側の皮膚に貼付する。貼付後2分間経過後、テンシロン(オリエンテック社製)を用いて、試験片を1000mm/分の速度で180°方向に剥離するのに要した力の値を初期の皮膚粘着力(N)とする。なお、測定条件は、温度23℃、湿度60%の雰囲気下とする。
(実施例1)
重合性単量体としてアクリル酸14.4重量部、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸9.6重量部及びアクリロイルモルホリン3重量部、ポリビニルピロリドン(第一工業製薬社製:クリージャスK30、K値:29.2)3重量部、架橋性単量体としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部、多価アルコールとしてグリセリン44重量部、電解質として塩化ナトリウム0.5重量部、紫外線重合開始剤として1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア2959、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.2重量部、電解質として塩化ナトリウム0.5重量部を攪拌溶解させた。
その後、この配合液を50重量%NaOH水溶液でpH4.0〜5.0に調整して、粘着性ハイドロゲルの総量が100重量部になるようにイオン交換水を調製して(イオン交換水の使用量17.25重量部)モノマー配合液100重量部を作製した。
次に、得られたモノマー配合液にメタルハライドランプを使用してエネルギー量3000mJ/cm2の紫外線照射をすることにより、厚さ0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は2.14であり、皮膚に対する粘着力(N)は1.56であった。
(実施例2)
N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部を0.04重量部に、イオン交換水の量を17.25重量部を17.26重量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は3.23であり、皮膚に対する粘着力(N)は2.00であった。
(実施例3)
N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部を0.03重量部に、イオン交換水の量を17.25重量部を17.27重量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は5.02であり、皮膚に対する粘着力(N)は3.15であった。
(実施例4)
アクリル酸14.4重量部を9.2重量部に、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸9.6重量部を6.1重量部に、アクリロイルモルホリン3重量部を1.9重量部に、ポリビニルピロリドン3重量部を1.9重量部に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部を0.04重量部に、グリセリン44重量部を51.2重量部に変え、イオン交換水の量が22.96重量部になるよう調製したこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は2.01であり、皮膚に対する粘着力(N)は1.22であった。
(実施例5)
アクリル酸14.4重量部を12.3重量部に、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸9.6重量部を3.1重量部に、アクリロイルモルホリン3重量部を1.9重量部に、ポリビニルピロリドン3重量部を1.9重量部に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部を0.06重量部に、グリセリン44重量部を51.2重量部に変え、イオン交換水の量が22.84重量部になるよう調製したこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は1.86であり、皮膚に対する粘着力(N)は1.34であった。
(実施例6)
ポリビニルピロリドン3重量部を0重量部に、イオン交換水の量を20.25重量部になるよう調製したこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は1.45であり,皮膚に対する粘着力(N)は1.10であった。
(比較例1)
アクリロイルモルホリンを用いず、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部を0.06重量部に変え、イオン交換水の量が20.24重量部になるよう調製したこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は1.09であり、皮膚に対する粘着力(N)は0.95であった。
(比較例2)
アクリロイルモルホリンおよびポリビニルピロリドンを用いず、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部を0.06重量部に変え、イオン交換水の量が23.24重量部になるよう調製したこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は0.97であり、皮膚に対する粘着力(N)は0.77であった。
(比較例3)
アクリル酸14.4重量部を1.5重量部に、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸9.6重量部を0.5重量部に、アクリロイルモルホリン3重量部を25重量部に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.05重量部を0.04重量部に変え、イオン交換水の量が24.62重量部になるよう調製したこと以外は実施例1と同様にして粘着性ハイドロゲルを得た。このハイドロゲルの初期粘着力は0.90であり、皮膚に対する粘着力(N)は0.85であった。
実施例1〜5及び比較例1〜3の結果を、用いた材料及びそれらの使用量と共に、表1に示す。
Figure 2012197343
表1によれば、重合性単量体として(メタ)アクリル酸、その誘導体又はカルボキシル基を2つ有する炭素数4〜5のビニル誘導体、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(但し、アクリロイルモルホリンを除く)、アクリロイルモルホリンが本発明の範囲内で作製された粘着性ハイドロゲルは、皮膚に対して優れた粘着力を有することがわかる。
また、重合性単量体として、本発明の範囲内でポリビニルピロリドンを用いて作製された粘着性ハイドロゲルは、さらに優れた皮膚に対する粘着力を有することがわかる。

Claims (8)

  1. 高分子マトリックスに水と多価アルコールとが含まれてなる粘着性ハイドロゲルであって、
    前記高分子マトリックスが、(A)成分として(メタ)アクリル酸、その誘導体又はカルボキシル基を2つ有する炭素数4〜5のビニル誘導体と、(B)成分として(メタ)アクリルアミド又はその誘導体(但し、アクリロイルモルホリンを除く)と、(C)成分としてアクリロイルモルホリンとを含む重合性単量体混合物と架橋性単量体との共重合体であり、
    前記(A)成分、(B)成分及びC)成分が、それぞれ前記粘着性ハイドロゲル100重量部に対して9〜15重量部、2.5〜10重量部及び1.5〜3.5重量部含まれることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
  2. 前記粘着性ハイドロゲルが、前記高分子マトリックスに(D)成分としてポリビニルピロリドン又はその誘導体が更に含まれてなる粘着性ハイドロゲルであって、前記(D)成分が、前記粘着性ハイドロゲル100重量部に対して0.1重量部以上5重量部未満含まれる請求項1に記載の粘着性ハイドロゲル。
  3. 前記多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン及びポリオキシエチレングリセリンから選択される請求項1又は2に記載の粘着性ハイドロゲル。
  4. 前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート及び(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレートから選択され、前記(B)成分が、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)又はその塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドから選択される請求項1〜3のいずれか1つに記載の粘着性ハイドロゲル。
  5. 前記粘着性ハイドロゲルが、前記粘着性ハイドロゲル100重量部に対して0.05〜10重量部の電解質を更に含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の粘着性ハイドロゲル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の粘着性ハイドロゲルの製造方法であって、前記(A)成分9〜15重量部と、前記(B)成分2.5〜10重量部と、前記(C)成分1.5〜3.5重量部とを含む重合性単量体混合物と、架橋性単量体と、水と、多価アルコールとを攪拌溶解させてモノマー配合液を得る工程と、
    得られたモノマー配合液を加熱又は紫外線照射により、前記重合性単量体混合物と前記架橋性単量体とを共重合させて高分子マトリックスを得る工程と
    を含むことを特徴とする、高分子マトリックスに水と多価アルコールとが含まれてなる粘着性ハイドロゲルの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の粘着性ハイドロゲルの製造に使用される粘着性ハイドロゲル製造用組成物であって、前記粘着性ハイドロゲル製造用組成物100重量部に対して、前記(A)成分9〜15重量部、前記(B)成分2.5〜10重量部及び前記(C)成分1.5〜3.5重量部を含む重合性単量体混合物、架橋性単量体、水及び多価アルコールを含むことを特徴とする粘着性ハイドロゲル製造用組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の粘着性ハイドロゲルを含むことを特徴とするゲルシート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3520692A4 (en) * 2016-09-30 2020-05-06 Sekisui Plastics Co., Ltd. GEL FILM
CN113402651A (zh) * 2021-06-24 2021-09-17 浙江工业大学 高强度自愈合水凝胶电解质的制备方法及其组装的柔性超级电容器、制备方法
CN114805673A (zh) * 2022-05-26 2022-07-29 成都芯跳医疗科技有限责任公司 一种天然高分子导电水凝胶及其制备方法和应用

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