JP3883271B2 - 繊維処理剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維材料に耐久力のある柔軟性、吸水・吸湿性、防汚性、平滑性、防しわ性、圧縮回復性、帯電防止性などの諸性質を付与し、かつ処理された繊維材料に黄変を生じさせない繊維処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、繊維に柔軟性、吸水・吸湿性、平滑性、防しわ性、圧縮回復性などを付与するために、種々のポリオルガノシロキサンや、それを含む組成物からなる繊維処理剤が提案されている。
【0003】
たとえば、柔軟性を付与するためには、ポリジメチルシロキサンやそのエマルジョンが用いられ、耐久性のある柔軟性、防しわ性および圧縮回復性を付与するためには、ポリメチル水素シロキサン、両末端を水酸基で封鎖されたポリジメチルシロキサンおよび縮合反応触媒を含む繊維処理剤;ならびにポリメチル水素シロキサン、アルケニル基含有ポリオルガノシロキサンおよび付加反応触媒を含む繊維処理剤などが知られている。また、たとえば、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、1分子中に少なくとも2個のアミノ基を有するポリオルガノシロキサンからなる繊維処理剤;両末端が水酸基で封鎖されたポリオルガノシロキサン、1分子中にアミノ基とアルコキシル基を有するオルガノアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物からなる繊維処理剤;アミノアルキルトリアルコキシシランとエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンからなる繊維処理剤;1分子中にアミノ基を2個以上有し、両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたポリオルガノシロキサンなどが提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの従来から公知の繊維処理剤は、いずれも何らかの欠点を有している。たとえば、ポリジメチルシロキサンを主剤にする繊維処理剤は、防しわ性や圧縮回復性が不十分であり、柔軟性や平滑性においても耐久性に欠けている。またアルコキシシラン類を必須成分とする処理剤は、エマルジョン化して使用する際に、アルコキシ基が加水分解されやすく、処理浴の寿命が短いうえに、処理された繊維の風合いが硬くなる。ポリメチル水素シロキサンを必須成分とする繊維処理剤は、触媒を使用しないかぎり十分に硬化反応せず、触媒を使用すると処理浴の寿命が短くなり、しかも水素ガスが発生するという問題点をかかえている。
【0005】
アミノ基含有ポリオルガノシロキサンを単独で用い、もしくはエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンと併用する繊維処理剤は、繊維に良好な柔軟性を付与するが、摩擦による静電気の発生が多く、また本来は吸湿・吸水性を有する繊維であっても処理した後は疎水性を示し、衣類にしたときに吸湿・吸汗作用がほとんどなくなってしまうという問題がある。しかも、アミノ基が熱や紫外線により酸化されて、黄変を生ずる。これらの問題点を改善するために、処理浴に、ロート油、ポリオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、高級アルコールのポリオキシエチレン付加物などの親水性の界面活性剤を添加することで改良がなされてきたが、このような界面活性剤は水やドライクリーニングに使用される有機溶剤に溶解しやすく、繰り返し洗濯することによって容易に脱落するため、耐久性に乏しい。
【0006】
また、アミノ基含有ポリオルガノシロキサンとポリオキシアルキレングリシジルエーテル、またはポリオキシアルキレン含有カルボン酸とを反応させて得られる、アミノ基とポリオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを繊維処理剤として用いることによって、繊維処理の耐久性は向上するが、ポリオキシアルキレン基が多いと、繊維の吸湿性は良好になるが柔軟性が不十分になり、逆に少ないと、柔軟性は良好であるが吸湿性に欠けるため、両方の特性を満足するには至っていない。
【0007】
たとえば、特開平7−54275号公報には、N,N−ビス(ポリオキシアルキレン)アミノアルキル基を有するポリオルガノシロキサンを、繊維柔軟仕上げ剤として用いることが開示されている。この繊維柔軟仕上げ剤は、可溶化物として保存して水を加えて乳化することが可能で、繊維を黄変させず、優れた柔軟性を付与できるが、ウェット感が必要な用途や、耐久性が必要な用途には適していない。
【0008】
特開平9−143885号公報には、アミノアルキル基含有ポリオルガノシロキサンとアミド基含有エーテルカルボン酸とを含む繊維処理用組成物が開示されている。該組成物は、ポリオルガノシロキサンに存在するアミノ基がカルボン酸と反応して、黄変を防止しうるが、風合いが硬く、また処理の耐久性に乏しい。
【0009】
特開昭52−103498号公報には、分子中にアミノアルキル基とポリオキシアルキレン鎖を有する二重変性ポリオルガノシロキサンが開示されている。このようなポリオルガノシロキサンを単独で繊維処理剤として用いたとき、単純なアミノアルキル基含有ポリオルガノシロキサンに比べて黄変は少ないが、耐久性に乏しく、耐久性を上げるためにアミノアルキル基の含有量を上げると、吸湿性が低くなり、また黄変を生ずるようになる。
【0010】
特開平7−54275号公報には、▲1▼上記と同様の二重変性ポリオルガノシロキサン、または▲2▼エポキシ基含有基とポリオキシアルキレン鎖を有する二重変性ポリオルガノシロキサンを、側鎖中にカルボキシル基またはエステル結合を有するポリオルガノシロキサンと組み合わせて用いる繊維処理剤が開示されている。このうち、▲1▼を用いる組合せでは、カルボキシル基またはエステル結合と▲1▼のアミノ基との反応性が十分でないために、黄変を完全には防止できず、また耐久性も十分ではない。▲2▼を用いる組合せでは、▲2▼とカルボキシル含有ポリオルガノシロキサンとの混合後の安定性が悪く、均一な処理ができない。
【0011】
特開昭59−157381号公報には、分子中に活性水素原子を有するポリオルガノシロキサンを有機ポリイソシアナートと反応させた後、遊離のイソシアナト基を熱脱離性の基でブロックして得られた、水溶性で熱反応性のウレタン化合物を主成分とする繊維処理剤が開示されている。このような繊維処理剤は、繊維の表面で加熱により容易に架橋構造を形成し、耐久性に優れた被覆層を形成できる。しかしながら、活性水素原子を有するポリオルガノシロキサンとして、アミノ基含有ポリオルガノシロキサンとポリオキシアルキレン鎖含有ポリオルガノシロキサンは相溶しないので、両者を混合してイソシアナト基による架橋を行うことはできず、その一方を架橋させても、前者の場合は吸湿性が劣り、後者の場合は十分な柔軟性が得られない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、繊維材料に柔軟性、吸水・吸湿性などを付与し、しかもそれらの効果が耐久性を示す繊維処理剤は得られていない。本発明の目的は、従来から公知の繊維処理剤がそれぞれに有する欠点を解消して、優れた柔軟性、吸水・吸湿性、防汚性、平滑性、防しわ性、圧縮回復性、帯電防止性などの諸性質を与え、かつそれらの性質の耐久性に富み、具体的には耐洗濯性に優れ、また繊維を黄変させない繊維処理剤を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、下記の一般式(I)で示される、分子中にアミノ基と(ポリ)オキシアルキレン鎖を有するポリオルガノシロキサンと、ブロッキング剤でブロックされたイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーとを組み合わせて配合することにより、その目的を達成しうることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、
(A)一般式(I):
【化2】
(式中、R1 は、たがいに同一でも異なっていてもよい置換または非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し;Aは一般式:−R2(NR3 CH2 CH2)a NR4 R5 (式中、R2 は炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表し、R3 、R4 およびR5 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8の1価の炭化水素基もしくはアシル基を表し、ただし、R3 、R4 およびR5 の少なくとも1個は水素原子であり、aは0〜10の数である)で示される、アミノ基で置換された炭化水素基を表し;Gは一般式:−(R6)b O(C2 H4 O)m(C3 H6 O)nR7 (式中、R6 は炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表し、R7 は水素原子または炭素数1〜8の1価の炭化水素基もしくはアシル基を表し、bは0または1であり、mおよびnはそれぞれ0〜100であり、ただし、m+nは1〜200である)で示される(ポリ)オキシアルキレン鎖であり;Zは前記のR1 、A、GまたはOR8 であり、R8 は水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり;pは0〜1,000であり、qおよびrはそれぞれ独立して0〜100であり、p+q+rは2〜1,000である)で示され、分子中に少なくとも2個のAおよび少なくとも1個のGを含むポリオルガノシロキサン;および
(B)脱離可能な基でブロックされたイソシアナト基を分子中に少なくとも2個有するウレタンプレポリマー、該イソシアナト基の数が(A)中の第一級および/または第二級アミノ基1個に対して0.1〜10個になる量
を含む水性エマルジョン型繊維処理剤に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)成分は、前記の一般式(I)で示される、分子中にアミノ基および(ポリ)オキシアルキレン鎖を有するポリオルガノシロキサンである。ただし、該(I)は、中間シロキサン単位の数を示すものであって、必ずしもブロック共重合体を意味せず、(A)成分はシロキサン単位に関してランダム共重合体でもよい。
【0016】
R1 は、置換または非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R1 としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシルのような直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルのようなアラルキル基;ビニル、アリルのようなアルケニル基;フェニル、トリルのようなアリール基;およびこれらの基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子のような任意の有機基で置換された基、たとえばクロロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−メトキシプロピル、クロロフェニルなどが例示され、たがいに同一でも異なっていてもよい。なお、ここで置換炭化水素基としては、後述のAに該当するアミノ基で置換された炭化水素基、およびGのうちb=1に該当するポリオキシアルキレン鎖で置換された炭化水素基は除外される。これらのうち、合成が容易で、ポリオルガノシロキサンの示す柔軟性その他の性質に優れていることから、炭素数1〜6のものが好ましく、中でもその範囲のアルキル基が好ましく、部分的にアルケニル基および/またはアリール基が存在していてもよく、メチル基が最も好ましい。
【0017】
Aは、一般式:−R2(NR3 CH2 CH2)a NR4 R5 で示される、アミノ基で置換された炭化水素基である。R2 は炭素数1〜8の2価の炭化水素基であり、メチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、1,4−フェニレンなどが例示され、合成および取扱いが容易で、化学的に安定なことから、トリメチレン基が好ましい。R3 、R4 およびR5 はそれぞれに独立して、水素原子または炭素数1〜8の1価の炭化水素基もしくはアシル基であり、水素原子のほか;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチルのような直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;ビニルのようなアルケニル基;ならびにアセチル、ベンゾイルのようなアシル基が例示されるが、R3 、R4 およびR5 のうち少なくとも1個は水素原子であり、換言すれば、該Aには少なくとも1個の第一級および/または第二級アミノ基が存在する。水素原子以外のR3 、R4 およびR5 (もし、存在すれば)としては、メチル基およびアセチル基が好ましい。aは0〜10の数であり、合成が容易なことから、0および1が好ましい。このようなAとしては、合成が容易で、繊維に優れた柔軟性を与えることから、3−アミノプロピル基およびN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が特に好ましい。
【0018】
Gは、一般式:−(R6)b O(C2 H4 O)m(C3 H6 O)nR7 で示される(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、bは0または1の数である。該(ポリ)オキシアルキレン鎖は、b=0のとき、その酸素原子を介して直接にケイ素原子に結合し、b=1のとき(ポリ)オキシアルキレン鎖で置換された炭化水素基であって、炭素原子を介してケイ素原子に結合し、加水分解に対する安定性から、b=1が好ましい。
【0019】
R6 は、炭素数1〜8の2価の炭化水素基であり、R2 と同様な基が例示され、同様な理由からトリメチレン基が好ましい。R7 は該(ポリ)オキシアルキレン鎖の末端基であって、水素原子または炭素数1〜8の1価の炭化水素基もしくはアシル基であり、R3 、R4 およびR5 と同様な基が例示され、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびアセチルが好ましい。mおよびnはそれぞれ0〜100であり、m+nは、1〜200、好ましくは5〜100である。m+nが小さいと水系での溶解性または自己乳化性が悪く、帯電防止性、吸湿・吸汗性および防汚性が乏しくなる傾向があり、200を越えると製造の際、分岐する恐れがある。
【0020】
Zは、ポリオルガノシロキサンの末端基であって、たがいに同一でも異なっていてもよく、また上述のR1 、AまたはGであっても、OR8 で示される水酸基またはヒドロカルビルオキシ基であってもよい。ここでR8 は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、水素原子のほか;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチルのような直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;フェニルようなアリール基;ならびに2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチルのような置換炭化水素基が例示される。
【0021】
一般式(I)のポリオルガノシロキサンにおいて、Aを含む中間シロキサン単位の数qは0〜100であり、2〜10が好ましい。qが100を越えると、処理された繊維が黄変を起こす。また、Gを含む中間シロキサン単位の数rは0〜100であり、1〜10が好ましい。rが100を越えると、柔軟性が悪くなる。pは0〜1,000であり、かつp+q+rを5〜1,000、好ましくは10〜500にする数である。pが小さいと柔軟性および平滑性を付与する効果が不十分であり、1,000を越えると、乳化しにくく、また吸水・吸湿性を付与する効果が不十分である。
【0022】
本発明において、(A)成分のA中に存在する第一級および/または第二級アミノ基は、(B)成分のブロックされたイソシアナト基から再生したイソシアナト基と架橋反応することにより、繊維材料に耐久力のある帯電防止性、吸湿・吸汗性、防汚性、柔軟性、平滑性、防しわ性および圧縮回復性を付与する。したがって、(A)成分の1分子中に、Aが少なくとも2個存在することが必要であり、2〜10個存在することが好ましい。それゆえ、上記のqが0または1の場合は、末端シロキサン単位のZの一部または全部としてAが存在する。
【0023】
また、(A)成分中のGである(ポリ)オキシアルキレン鎖は、繊維材料に吸水・吸湿・吸汗性、防汚性および帯電防止性を付与する。したがって、Aを含有する(A)成分の1分子中に、Gが少なくとも1個存在することが必要であり、1〜10個存在することが好ましい。それゆえ、上記のrが0の場合は、末端シロキサン単位のZの一部または全部としてGが存在する。
【0024】
(A)成分中のGの量は、繊維に良好な柔軟性と吸水性を同時に付与するために、同じ(A)成分中に含まれるA中の窒素原子に対するGの化字量の比として1.0〜100,000が好ましく、10〜10,000の範囲がさらに好ましい。
【0025】
このような(A)成分は、たとえば対応するポリオルガノ水素シロキサンに、白金系触媒の存在下で、塩化アリルおよび片末端アリル化(ポリ)オキシアルキレンをヒドロシリル化させた後、塩素原子をアミノ化するなど、公知の製造方法によって合成できる。
【0026】
本発明に用いられる(B)成分は、脱離可能な基でブロックされたイソシアナト基を分子中に少なくとも2個有するウレタンプレポリマーである。該ウレタンプレポリマーは、イソシアナト基をブロックしている基が加熱によって脱離し、再生した遊離のイソシアナト基が(A)成分のアミノ基と反応して、架橋構造を有する被覆層を繊維表面に形成することにより、耐久性のある繊維処理を行うのに寄与する成分であり、(A)成分とともに水性の繊維処理剤を構成するために、水溶性または水に乳化可能であることが好ましい。
【0027】
このような(B)成分は、好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール、ならびに必要に応じて併用される他のポリオールに、有機ポリイソシアナートを反応させて得られる、分子中に少なくとも2個のイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを、加熱によって脱離しうる基でブロックされた、ブロック型ウレタンプレポリマーである。
【0028】
ポリエーテルポリオールとしては、2個以上の活性水素を有する化合物に、アルキレンオキシドを付加重合させたものが挙げられる。2個以上の活性水素を含有する化合物としては、多価アルコール、アンモニアおよびアミン類が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールのようなジオール類;グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンのようなトリオール類;ならびにエリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトールのようなテトラオール以上のポリオール類が例示される。また、アミン類としては、エタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミンのようなアルカノールアミン類;メチルアミンのようなモノアミン類;およびエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン)、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ピペラジンのようなポリアミン類が例示される。
【0029】
付加重合に用いるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが例示され、1種を用いても2種以上を併用してもよいが、適度の吸水性を与えることから、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを併用することが好ましい。
【0030】
ポリエステルポリオールとしては、上述と同様の多価アルコール、または上述のようにして得られたポリエーテルポリオールを、多塩基性脂肪酸またはその酸無水物もしくは酸塩化物と縮合または重縮合させたものが挙げられる。多塩基性脂肪酸としては、アジピン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが例示される。
【0031】
さらに、他のポリオール化合物、たとえばポリビニルアルコールなどを併用してもよい。
【0032】
このようなポリオールを用いることにより、親水性が強く、繊維に吸水性と柔軟性を付与する繊維処理剤の(B)成分として好適なウレタンプレポリマーが得られる。さらに、1分子中のブロックされたイソシアナト基の含有量を多くすることができるので、少量の(B)成分の使用で(A)成分を十分に架橋させることができ、その(A)成分との相溶性や反応性も良好である。
【0033】
有機ポリイソシアナートとしては、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアナートのような、芳香族性炭素原子に結合したイソシアナト基を有する芳香族性イソシアナート類;および1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,8−オクタメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、4−(イソシアナトメチル)オクタメチレン−1,8−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートのような脂肪族性炭素原子に結合したイソシアナト基を有する脂肪族性イソシアナート類が例示され、処理された繊維を黄変させないことから、脂肪族性イソシアナート類が好ましい。
【0034】
ウレタンプレポリマーは、上述のようなポリオール類の活性水素と、有機ポリイソシアナートのイソシアナト基とを反応させることにより、合成できる。反応させる有機イソシアナートとポリオール類の割合は、反応後のプレポリマーに適切な量のイソシアナト基を与え、良好な反応性と架橋密度を与えることから、イソシアナト基の量が、ポリオール類に存在する活性水素に対するモル比として、1.1〜2.0の範囲であることが好ましい。この比が1.1未満では、(A)成分を架橋させるイソシアナト基の量が少なく、2.0を越えると架橋密度が高くなり、繊維の柔軟性が低下する。
【0035】
このようにして得られたウレタンプレポリマーには、分子中に少なくとも2個のイソシアナト基が存在する。水の存在下で該イソシアナト基が安定に存在するために、それらは加熱などによって脱離可能な基によってブロックされる。そのような脱離可能な基としては、繊維加工への適性、安全性および反応性から、置換または非置換のアリールオキシ基、第二級または第三級アルコキシ基、オルガノオキシマト基、置換または非置換のイミダゾリル基、活性メチレン基および酸性亜硫酸基が好ましく、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。ブロックされたウレタンプレポリマーを水溶性にするためには、第二級または第三級の低級アルコキシ基および酸性亜硫酸基のような基が特に好ましいが、界面活性剤の存在下に乳化して用いる場合には、特に水溶性にする必要はない。
【0036】
上記の基を有する好ましいブロッキング剤としては、フェノール、クレゾール、n−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、フェニルフェノール、クロロフェノールのような置換または非置換のフェノール類;イソプロピルアルコールのような第二級アルコール;tert−ブチルアルコールのような第三級アルコール;アセトンオキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシムのようなオルガノオキシム類;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールのようなイミダゾール類;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルのような活性メチレン化合物;酸性亜硫酸ナトリウムなどが例示される。
【0037】
ブロッキング反応は、トリエチルアミンのような第三級アミン;ナトリウムメチラートのような金属アルコラート;ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジラウラートのような金属塩などの触媒の存在下または非存在下に、ブロッキング剤を、通常30〜100℃で0.5〜48時間かけてウレタンプレポリマーと反応させることによって行うことができる。反応系の粘度を下げ、また均一に反応を進めるために、不活性な有機溶媒中で反応させることが好ましい。用いられる有機溶媒としては、トルエンのような炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルのようなエステル系溶媒;ならびにジオキサンのようなエーテル系溶媒が例示される。ブロッキング剤の使用量は、ウレタンプレポリマーに存在するイソシアナト基の量に対して等モルまたは過剰量であり、該イソシアナト基1モルに対して1〜1.5モルの範囲が好ましい。
【0038】
このようにブロックされたウレタンプレポリマーである(B)成分は、水中において安定に存在し、好ましくは水溶性であり、水の非存在下に100〜200℃で熱処理することにより、ブロッキング剤が脱離して遊離のイソシアナト基が再生される。
【0039】
(B)成分中のブロックされたイソシアナト基の数、すなわちウレタンプレポリマー中のイソシアナト基の数は、該イソシアナト基が(A)成分中の第一級および/または第二級アミノ基と反応して、(B)成分が架橋剤として機能することから、前述のように、(B)成分の分子中に少なくとも2個である。
【0040】
(B)成分の量は、このようなブロックされたイソシアナト基が、(A)成分中の第一級および/または第二級アミノ基1個に対して0.1〜10個になる量であり、0.2〜5個になる量が好ましい。この量が0.1個未満では、架橋が不十分で、繊維材料に対して耐久力のある吸水・吸湿・吸汗性、防汚性、柔軟性、平滑性、防しわ性、圧縮回復性および帯電防止性を付与することが不十分になり、逆に10個以上では、架橋反応で消費されなかったイソシアナト基と繊維表面の活性水素との反応が起こり、全体としての架橋密度が高くなって、処理された繊維が固くなり、またその吸水・吸湿・吸汗性、柔軟性、平滑性、防しわ性、圧縮回復性などを損う。
【0041】
さらに、上記の繊維処理剤に、繊維処理の耐久性を良好にするために、オルガノアルコシキシラン、特に分子中に炭素官能性のアミノ基またはエポキシ基を有するアルコシキシランのような接着助剤を配合してもよい。また、補強性を与えるために、コロイダルシリカのような補強剤を配合してもよい。
【0042】
本発明の繊維処理剤は、(A)成分および(B)成分を、必要に応じて配合される他の成分とともに水中に乳化、分散させたものである。ただし、(B)成分が水溶性の場合は、該(B)成分は分散せずに、水に溶解する。乳化のためには、ノニオン性、カチオン性、アニオン性および/または両性の界面活性剤の1種または2種以上を、乳化剤として用いることが好ましい。
【0043】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリメチルノニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル系界面活性剤;分子中に炭素数8〜22の脂肪酸を有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのようなエステル系界面活性剤などが例示される。
【0044】
カチオン界面活性剤としては、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、牛脂トリメチルアンモニウムクロリド、ヤシ油トリメチルアンモニムクロリドのようなアルキルまたは不飽和炭化水素トリメチルアンモニウムクロリド;オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドのようなアルキルベンジルアンモニウムクロリド;ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドのようなジアルキルジメチルアンモニウムクロリドなどが例示される。
【0045】
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキル(ジフェニルエーテル)スルホン酸およびそれらのナトリウム塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などが例示される。両性界面活性剤としては、アルキルジメチルベタインなどが例示される。
【0046】
乳化剤の配合量は、(A)成分のポリオルガノシロキサン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部である。配合量が0.1重量部未満では乳化が困難で、目的とする水性エマルジョンが得られない場合があり、逆に50重量部を越えると、繊維の処理された風合いが悪くなる。なお、本発明の繊維処理剤の粘度を上げる必要がある場合には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの増粘剤を配合してもよい。
【0047】
また、水の配合量は、本発明の繊維処理剤が水性エマルジョンを形成できるような量であればよく、特に限定されるものではないが、(A)成分100重量部に対して20〜100,000重量部、好ましくは50〜10,000重量部である。
【0048】
上記の水性エマルジョンを調製するには、上記(A)、(B)成分および必要に応じて配合する他の成分を混合した後、乳化剤および水を混合し、これをホモジナイザー、コロイドミルのような乳化機を用いて乳化し、水性エマルジョンとしてもよく、また、(A)成分および(B)成分のそれぞれに乳化剤および水を混合し、これをホモジナイザー、コロイドミルのような乳化機を用いて乳化して水性エマルジョンを得た後に、それらを混合してもよい。
【0049】
本発明の繊維処理剤によって処理される繊維、または繊維からなる織物は、特に限定されるものではない。この繊維処理剤は、綿、麻、絹、毛のような天然繊維;レーヨン、ポリノジック、キュプラのような再生繊維;アセテートのような半合成繊維;ならびにナイロン、ポリエステル、アクリル繊維のような合成繊維の処理に適し、特にセルロース系繊維である綿、麻、レーヨン、アセテートなどの処理に適している。また、繊維または繊維からなる織物に処理する際の付着量は、繊維によって異なり、特に限定されるのもではないが、一般的に、処理繊維に対する繊維処理剤中のポリオルガノシロキサンの量として0.01〜20重量%の範囲である。
【0050】
本発明の繊維処理剤を繊維に処理するには、ディップコート、スプレー塗布、刷毛塗り、ナイフコート、カレンダーコート、ロールコートなどの方法で行うことができる。
【0051】
繊維に付着した繊維処理剤を硬化させるには、加熱により水分を除いた後、さらに100〜200℃において数秒〜20分程度加熱して、ブロックされたイソシアナト基を再生させ、架橋反応を完結させるのが好ましい。
【0052】
【発明の効果】
本発明の繊維処理剤は、繊維に優れた柔軟性、吸水・吸湿性、防汚性、平滑性、防しわ性、圧縮回復性および帯電防止性を付与する。繊維に付与されたこれらの諸性質は、耐久性に富み、具体的には耐洗濯性に優れている。さらに、本発明の繊維処理剤は、処理された繊維を黄変させないという利点を有している。
【0053】
したがって、本発明の繊維処理剤は、各種の天然繊維、再生繊維、半合成繊維および合成繊維に、耐久性のある上記の優れた諸性質を付与するために、幅広く用いることができる。
【0054】
【実施例】
以下、調製例、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、ポリオルガノシロキサンの分子構造式はいずれも中間シロキサン単位の平均数を示すものであって、ブロック共重合体を意味せず、これらの中間シロキサン単位は、いずれもランダムに配列されている。また、各例中の部はいずれも重量部であり、粘度は25℃における値である。
【0055】
調製例1
分子構造式(II)で示される、アミノ基およびポリオキシアルキレン鎖を含有する粘度2,500cP、アミノ当量4,500g/mol のポリオルガノシロキサン100部と、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル25部を混合し、さらに蒸留水500部を添加して撹拌することにより、予備混合物を得た。これをホモジナイザーを用いて乳化して、水性エマルジョンE−1を調製した。
【化3】
【0056】
調製例2
分子構造式(III)で示される、粘度1,000cP、アミノ当量2,000g/mol のアミノ基含有ポリオルガノシロキサン100部と、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル25部を混合し、さらに蒸留水500部を添加して撹拌することにより、予備混合物を得た。これをホモジナイザーを用いて乳化して、水性エマルジョンE−2を調製した。
【化4】
【0057】
調製例3
分子構造式(IV)で示される、粘度1,000cPのポリオキシアルキレン基含有ポリオルガノシロキサン100部と、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル25部を混合し、さらに蒸留水500部を添加して撹拌することにより、予備混合物を得た。これをホモジナイザーを用いて乳化して、水性エマルジョンE−3を調製した。
【化5】
【0058】
実施例1、2
調製例1で調製した水性エマルジョンE−1(乳化剤を含む有効成分20%)100部に、メチルエチルケトキシマト基でブロックされたイソシアナト基を含有するウレタンプレポリマーの水性エマルジョンであるエラストロンBN−08(有効成分40%、再生されたときの遊離イソシアナト基含有量約2.9重量%、第一工業製薬株式会社商品名)の10部(実施例1)または50部(実施例2)をそれぞれ配合した。イソシアナト基/アミノ基のモル比は、それぞれ約2.0(実施例1)および10.0(実施例2)であった。有効成分が1.0%になるようにそれぞれ蒸留水で希釈して、実施例1および実施例2の処理浴を調製した。得られた処理浴に、綿ブロード、ポリエステル/綿混紡ブロードまたはポリエステルブロードの織物をそれぞれ浸漬した後、絞り率が綿およびポリエステル/綿混紡の場合100%、ポリエステルの場合60%になるようにロールを用いて絞り、ついで、150℃で3分間の加熱硬化処理を行って、それぞれの評価試料を作製した。
【0059】
実施例3、4
エラストロンBN−08の代わりに、メチルエチルケトキシマト基でブロックされたイソシアナト基を含有する水性ウレタンプレポリマーの水性エマルジョンであるエラストロンMF−25(有効成分25%、再生されたときの遊離イソシアナト基含有量約1.2重量%、第一工業製薬株式会社商品名)の2.5部(実施例3)または25部(実施例4)をそれぞれ配合したほかは実施例1、2と同様にして、実施例3および実施例4の処理浴を調製した。イソシアナト基/アミノ基のモル比は、それぞれ0.2(実施例3)および2.0(実施例4)であった。これらの処理浴を用いて、実施例1、2と同様にして、それぞれの評価試料を作製した。
【0060】
比較例1〜3
エラストロンMF−25の配合量を0(無添加、比較例1)、1.0部(比較例2)または250部(比較例3)とした以外は実施例3、4と同様にして、比較例1〜3の処理浴をそれぞれ調製した。イソシアナト基/アミノ基のモル比は、それぞれ0(比較例1)、0.08(比較例2)および20(比較例3)であった。これらの処理浴を用いて、実施例1、2と同様にして、それぞれの評価試料を作製した。
【0061】
比較例4
ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンとして、調製例2で調製したエマルジョンE−2(有効成分20%)100部を用い、エラストロンMF−25の配合量を55部とした以外は実施例3、4と同様にして、比較例4の処理浴を調製した。イソシアナト基/アミノ基のモル比は2.0であった。この処理浴を用いて、実施例1、2と同様にして評価試料を作製した。
【0062】
比較例5
ポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンとして、調製例3で調製したエマルジョンE−3(有効成分20%)100部を用い、エラストロンMF−25の配合量を25部とした以外は実施例3、4と同様にして、比較例5の処理浴を調製した。この処理浴を用いて、実施例1、2と同様にして評価試料を作製した。
【0063】
評価
以上の実施例1〜4および比較例1〜5において作製した評価試料、および未処理のブロード織物について、下記のような評価を行った。
(1)柔軟性
川端式純曲げ試験機KES−FB2(カトーテック株式会社商品名)を用い、処理布のB値(曲げ剛性)および2HB値(回復性)を測定し、その平均値を求めた。数値が小さいほど柔らかいことを示す。
(2)吸水性
JIS L1096の滴下法に準拠して測定した。数値が小さいほど処理布の吸水性が優れていることを示す。
(3)黄変性
初期の試料および180℃で1分間の加熱促進試験を行った試料について、色彩色差計を用いて、処理布のΔb値を測定した。数値が小さいほど黄変し難いことを示す。
(4)耐久性(耐洗濯性)
JIS L0217の103に規定された家庭用洗濯機法に準拠し、洗剤としてウルトラアリエール(P&G社商品名)1g/L 、浴比を1:30とし、40℃の温水によって洗濯を10回繰り返した後、試料の柔軟性および吸水性について、初期と同様の評価を行った。
【0064】
実施例1〜4および比較例1〜5の繊維処理剤における主要成分の配合比とイソシアナト基/アミノ基のモル比を表1に、上記実施例および比較例で作成した評価試料ならびに未処理試料についての評価結果を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表2から明らかなように、実施例1〜4で得られた試料は、いずれも未処理試料より優れた柔軟性を示し、耐久試験後の柔軟性も、綿ブロードの場合は初期値とほとんど変わらず、ポリエステル/綿混紡(以下、単に「混紡」という)ブロードおよびポリエステルブロードの場合でも、その固くなり方は少なかった。また、吸水性に優れ、耐久試験後も、綿ブロードおよび混紡ブロードでは変化がなかった。ポリエステルブロードの場合は、耐久試験後の吸水性の低下が認められるが、比較例ほど著しくはなかった。また、著しい黄変は認められなかった。
【0068】
それに比べて、比較例1および2のように、ブロックされたウレタンプレポリマーを配合せず、またはその配合量が少ない場合は、耐久試験後の柔軟性が劣り、また加熱促進試験後の黄変が著しかった。比較例3のように該ウレタンプレポリマーの配合量が過大な場合、および比較例4のように、ポリオルガノシロキサンとしてポリオキシアルキレン鎖をもたないものを用いた場合は、吸水性が悪く、耐久試験によってさらにそれが低下した。比較例3では、柔軟性も若干劣っていた。
【0069】
比較例5のように、ポリオルガノシロキサンとしてアミノ基をもたないものを用いた場合は、柔軟性が劣り、またポリエステルブロードでは耐久試験後の吸水性が著しく劣化していた。
Claims (2)
- (A)一般式:
(B)脱離可能な基でブロックされたイソシアナト基を分子中に少なくとも2個有するウレタンプレポリマー、該イソシアナト基の数が(A)中の第一級および/または第二級アミノ基1個に対して0.1〜10個になる量
を含む水性エマルジョン型繊維処理剤。 - 上記の脱離可能な基が、置換または非置換のフェノキシ基、第二級または第三級アルコキシ基、オルガノオキシマト基、置換または非置換のイミダゾリル基、活性メチレン基および酸性亜硫酸基から選ばれる1種以上の基である、請求項1記載の繊維処理剤。
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