JP3882254B2 - カラーフィルター用光重合性組成物及びカラーフィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラーテレビ、液晶表示素子、固体撮像素子、カメラ等に使用される光学的カラーフィルターの製造で使用されるカラーフィルター用光重合性組成物及び該組成物より得られるカラーフィルターに係り、詳しくは、高感度で現像性に優れたカラーフィルター用光重合性組成物及び高精度で高色濃度のカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターは、通常、ガラス、プラスチックシート等の透明基板の表面に黒色のマトリックスを形成し、続いて、赤、緑、青等の3種以上の異なる色相の、5〜200μm幅のストライプ状又はモザイク状等の色パターンを数μmの精度で形成することにより製造されている。
カラーフィルターの代表的な製造方法としては、染色法、印刷法、顔料分散法、電着法等がある。これらのうち、特に、色材料を含有する光重合性組成物を、透明基板上に塗布し、画像露光、現像、必要により硬化を繰り返すことでカラーフィルター画像を形成する顔料分散法は、カラーフィルター画素の位置、膜厚等の精度が高く、耐光性・耐熱性等の耐久性に優れ、ピンホール等の欠陥が少ないため、広く採用されている。
【0003】
さらに、赤、緑、青の色パターンの間には通常コントラスト向上のため格子状の遮光性のブラックマトリクスを配置するのが一般的である。従来、ブラックマトリクスには、クロム等の金属膜を使用する方法や遮光性の顔料、染料を分散させた感光性樹脂を使用する方法などが知られている。
顔料分散法カラーフィルター用光重合性組成物は、赤、緑或いは青色のフィルターにおいて目的とする波長の光透過性を向上させまた目的以外の波長をカットするため色材料が30重量%程度以上含有されている。更に、近年においては、より色コントラストの優れたカラーフィルターが望まれ、着色顔料の高濃度化が求められている。または、特にブラックマトリクスにおいては遮光性を向上させる目的で、黒色顔料の量が30〜60%で、0.5〜3μm程度の膜厚が必要といわれている。この色材料の高濃度により露光時の光が遮光され、感度及び/又は現像性が低下し、さらには、ホトリソグラフィーによって得られるカラーフィルターの精度が低下する問題がある。
【0004】
色材料の高濃度化による感度及び/又は現像性、精度の低下を改善する目的で顔料分散法に用いられる光重合開始剤系が種々検討されている。それらの例としては、トリアジン系化合物又はトリアジン系化合物及びイミダゾール系化合物を併用するもの(特開平6−201913号公報)、ミヒラーズケトンとイミダゾール系化合物とを併用するもの(特開平5−173320号公報)、或いは「ファインケミカル」1991年3月1日号Vol20,No.4,P.16〜26に記載のジアルキルアセトフェノン系、ベンジルジアルキルケタール系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系、チオモサントン誘導体等が、カラーフィルター用に使用されている(特開平4−190362号公報、特開平5−303012号公報、特開平6−35188号公報等)。一方、光重合性組成物の高感度化に関し、イミダゾール系化合物にさらに2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール等の芳香族メルカプト化合物を加えることがなされている(特開昭59−56403号公報)。
【0005】
しかしながら、これらの化合物を用いることにより、赤、緑或いは青用光重合組成物においてはかなり満足いく感度が得られているが、特に、黒色顔料、染料を高濃度に含有するブラックマトリクス用黒色光重合組成物においては露光時の遮光性による感度低下が顕著でありまだ感度が不十分であり、露光時間が長くなり生産性が低いという欠点があった。
又、カラーフィルター用光重合性組成物の現像性を改良し先鋭なパターンエッジ部を得るため、多官能チオール化合物を用いることも知られている(特開平5−281734)。この場合は、−SH基をラジカル的またはイオン的に炭素−炭素不飽和結合にanti-Markownikoff 付加させ、結合成分を多官能チオールで架橋させている。即ち、架橋剤として使用しているためその使用量は、20重量%とかなり多量に使用されている。この場合、チオール化合物を多量に含むため臭気の問題があり、又、解像性の点でも問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解決し、高感度で現像性、解像性、パターン形状に優れたカラーフィルター用光重合性組成物、特に、遮光性の黒色顔料又は染料を高濃度に含有するブラックマトリクス用光重合性組成物、着色顔料又は染料を高濃度に含有するカラーフィルター用光重合性組成物、これらカラーフィルター用光重合性組成物により得られる高精度なカラーフィルターを提供することを目的とする。本発明はまた、優れた耐久性を有するカラーフィルター画素を製造するためのカラーフィルター用光重合性組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のカラーフィルター用光重合性組成物は、バインダ樹脂、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物、光重合開始剤系、色材料、及び溶剤を含有するカラーフィルター用光重合性組成物において、該光重合開始剤系が(I)脂肪族多官能チオール化合物並びに(II)ビイミダゾール化合物及びチタノセン化合物から選ばれる少なくとも一種を含有し、該多官能チオール化合物の含有量が光重合性組成物の全固形分に対して0.01〜7重量%であることを特徴とする。
【0008】
請求項2のカラーフィルター用光重合性組成物は、請求項1に記載の組成物において、光重合開始剤系が更に(III)アミノ基含有増感色素を含有することを特徴とする。
請求項3のカラーフィルター用光重合性組成物は、請求項1又は2に記載の組成物において、バインダ樹脂が側鎖にエチレン性不飽和二重結合を含有する有機高分子物質であることを特徴とする。
【0009】
請求項4のカラーフィルター用光重合性組成物は、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物において、バインダ樹脂がエチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とヒドロキシル基を有する共重合体であることを特徴とする。
請求項5のカラーフィルター用光重合性組成物は、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物において、バインダ樹脂がエチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とヒドロキシル基を有するスチレン系共重合体、又はアクリル系共重合体であることを特徴とする。
請求項6のカラーフィルター用光重合性組成物は、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物において、色材料が黒色顔料であることを特徴とする。
請求項7のカラーフィルター用光重合性組成物は、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物において、色材料を光重合性組成物の全固形分に対して20〜80重量%含有することを特徴とする。
請求項8のカラーフィルターは、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を透明基板上に塗布し紫外線又は遠紫外線リソグラフィーすることにより得られるカラーフィルターである。
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
(バインダ樹脂)
本発明のカラーフィルター用光重合性組成物は、相溶性、皮膜形成性、現像性、接着性を向上させる結合剤としての機能を奏する材料として、バインダ樹脂を含有している。各色画素及び光線遮光材料であるブラックマトリクスを高感度かつ高精細で画像形成し、形成されたマトリクスの皮膜強度を向上させるため、特にバインダ樹脂としての有機高分子物質としては、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する有機高分子物質が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とヒドロキシル基を有する共重合体が好ましく用いられる。この共重合体は上記官能基を有する単量体を共重合すること及び/又はスチレン系共重合体、アクリル系共重合体等の高分子に種々の反応を用い上記機能性官能基を導入することにより得られる。特に、エチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とヒドロキシル基を有するスチレン系共重合体又はアクリル系共重合体が好ましい。
【0011】
本発明に係る側鎖にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも一個有する有機高分子物質の具体例としては、スチレン、α−メチル−スチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和基含有カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレートベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル;アクリロニトリル;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル等の共重合体に通常の高分子反応等により側鎖にエチレン性二重結合を導入することによって得られる。
【0012】
本発明に使用する側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する有機高分子物質において側鎖にエチレン性不飽和二重結合を導入する方法は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合、ウレタン結合等の有機結合によって導入することができる。導入反応の一例としては、前記有機高分子共重合体の、カルボン酸基及び/またヒドロキシル基の一部又は全部を、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、下記構造の脂環式エポキシ基含有不飽和化合物、等の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物と反応させて導入することもができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル又はメタクリル」を示す。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
[各一般式中、R1 は水素原子又はメチル基を示す。R2 は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。R3 は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。lは0〜10の整数を示す。]
等を挙げることができる。
上記において、R2 によって示される炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基としては、直鎖又は分枝状のアルキレン基例えばメチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等を挙げることができる。また、R3 によって示される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ポリメチレン、フェニレン、
【0017】
【化4】
【0018】
基等を挙げることができる。
本発明において、特に好ましい有機高分子物質としては、基板への接着性を高める目的で、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミド等のフェニル基を有する共重合モノマーを10〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは30〜70モル%の割合で含有し、その他(メタ)アクリル酸を2〜50重量%、好ましくは5〜50重量%の割合で含有する共重合体に全共重合モノマーに対して2〜50モル%、好ましくは5〜40モル%のエポキシ基含有不飽和化合物が付加された反応物が望ましい。
【0019】
このような有機高分子物質の分子量としては、重量平均分子量(Mw)で1,000〜1000,000、好ましくは2,000〜300,000、より好ましくは3,000〜100,000の範囲である。有機高分子物質のMwがこの範囲より著しく低いと、現像時に画線部分の膜ベリが生じ、逆に有機高分子物質のMwが著しく高いと現像時に非画線部の抜け性不良を生じる。
【0020】
さらにレジストとしての性能及びカラーフィルタとしての性能を向上させる目的で他の有機・無機高分子を加えても良い。これらの有機・無機高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとのポリエーテル及び共重合ポリエーテル、ポリビニルアルキルエーテル、可溶性ナイロン等のポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリテトラエチレンアジペート、ポリエチレンフマレート等のポリエステル、アセチルセルロース及びポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
【0021】
(エチレン性不飽和重結合を少なくとも1個有する化合物)
エチレン性不飽和重結合を少なくとも1個有する化合物(以下「エチレン性化合物」と称す。)は、後述する光重合開始剤系から発生するラジカルにより重合反応が誘起される化合物である。エチレン性化合物としては、単量体又は、側鎖もしくは主鎖にエチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマーのいずれでも良い。なお、本発明における単量体の意味するところは、所謂高分子物質に相対する概念であり、従って、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーをも包含するものである。
【0022】
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、脂肪族(ポリ)ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸と脂肪族ポリヒドロキシ化合物により得られるエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物のエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物と不飽和カルボン酸とのエステル化反応、脂肪族ポリヒドロキシ化合物のエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物と不飽和カルボン酸とのエステル化反応、カプロラクトン変性多価アルコールと不飽和カルボン酸とのエステル、多価アルコールと多価イソシアナートと不飽和カルボン酸との反応物、スチリル末端化合物、含リン酸不飽和化合物、ポリエポキシと不飽和カルボン酸との付加物等が挙げられる。
【0023】
これらのうち、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては具体的には、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロトネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0024】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物では無いが代表的な具体例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0025】
その他本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物なども有用である。
なお、前記した主鎖にエチレン性不飽和結合を有するオリゴマーとしては、例えば、不飽和二価カルボン酸とジヒドロキシ化合物との重縮合反応により得られるポリエステル、不飽和二価カルボン酸とジアミンとの重縮合反応により得られるポリアミド等がある。
【0026】
また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するオリゴマーとしては、側鎖に不飽和結合を持つ二価カルボン酸、例えばイタコン酸、プロピリデンコハク酸、エチリデンマロン酸等とジヒドロキシ又はジアミン化合物との縮合重合体がある。また、側鎖にヒドロキシ基やハロゲン化メチル基の如き反応活性を有する官能基をもつ重合体、例えばポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリエピクロルヒドリン等とアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸との高分子反応により得られるポリマーも好適に使用し得る。
【0027】
(光重合開始剤系)
本発明の光重合開始剤系は、感度向上、現像性向上、画像特性向上のために特に(I)多官能チオール化合物、並びに(II)ビイミダゾール化合物、チタノセン化合物、トリアジン化合物及びオキサジアゾール化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する。
本発明に使用される多官能チオール化合物は、1分子中にチオール基を2個以上有する化合物であり、特に脂肪族基にチオール基を複数有する脂肪族多官能チオール化合物が好ましい。目的とするカラーフィルタの性能を損なわない範囲で可能であれば分子量が大きく蒸気圧の低いチオール化合物が好ましい。
本発明に使用される脂肪族多官能チオール化合物の例としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、下記構造式の化合物
【0028】
【化5】
【0029】
及び、これらの他多価ヒドロキシ化合物のチオグリコレート、チオプロピオネート等である。
ビイミダゾール化合物の具体例としては、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−カルボエトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−ブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等を挙げることができる。
【0030】
チタノセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−10602号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−291号公報、特開平3−12403号公報、特開平3−20293号公報、特開平3−27393号公報、特開平3−52050号公報、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報、特開平3−27393号公報等に記載されるチタノセン化合物が使用可能であり、具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。
【0031】
トリアジン化合物の例としては、ハロメチル基を有するトリアジン化合物が好適に用いられる。それらの例としては、6−フェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−(p−メトキシフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−[p−(N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノ)フェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−(p−スチリルフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−p−クロロフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、6−(p−メチルチオフェニル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどである。
【0032】
オキサジアゾール化合物の例としては、ハロメチル基を有するオキサジアゾール化合物が好適に用いられる。それらの例としては、2−フェニル−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−メチルフェニル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−メトキシフェニル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−スチリル−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−メトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾールなどである。
【0033】
本発明では、光重合開始剤系として(I)多官能チオール化合物並びに(II)ビイミダゾール化合物、チタノセン化合物、トリアジン化合物及びオキサジアゾール化合物から選ばれる少なくとも一種を用いることによって、解像性等の画像特性、現像時の表面劣化等を損なうことなく感度を大幅に向上させ生産性を高めることができる。特に、色材料を多量に含有したカラーフィルーター用光重合性組成物において、また更に、色材料が黒色顔料、とりわけカーボンブラックにおいて光の透過性が大幅に制限されたカラーフィルター用光重合性の組成物において、メカニズムの詳細は不明であるが解像度等の画像形成性を損なうことなく顕著な感度向上を発揮できる。通常、光硬化性レジストにおいては、光の照射された部分のみ重合反応が進み、未照射の部分は重合反応が進まないことを利用して画像を形成する。しかし、遮光性顔料(本発明の場合、特には、カーボンブラックなどである)を多量に含む系においては、光照射された部分においても、その光照射された面から膜厚に比例し光透過量は減少し(Lambert-Beerの法則)、裏面への光透過量は、表面の1%〜0.01%となり、裏面においてはほとんど重合反応が誘起されていないと思われる。しかしながら、本発明の光重合開始剤系を用いた場合、光重合反応が基板との界面であるレジスト膜裏面まで進行し硬化膜を形成するとともに、レジストと基板との密着性を向上させ高感度と画像形成性を達成できたものと思われる。このような感度向上と共に解像性、現像性が優れることは、高感度化開始剤系として使用されていた特開昭59−56403号公報記載の2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトナフトチアゾール、2−メルカプトナフトオキサゾール、2−メルカプトナフトイミダゾール等の芳香族単官能メルカプト化合物からは類推できない効果である。
【0034】
尚、本発明の光重合開始剤系は更にアミノ基含有増感色素を含むのが上記性能の点から更に有利である。
アミノ基含有増感色素としては例えば、特開平6−19240号公報、特開平6−19249号公報等に記載のジアルキルアミノフェニル基が挙げられ、具体的には、ジアルキルアミノフェニル基を有する化合物としては下記構造式で表される化合物、
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
【0037】
p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、ミヒラーズケトン等の化合物や、p−ジエチルアミノベンズカルバルデヒド、7−ジュロリジルカルバルデヒド等のジアルキルアミノフェニルカルバルデヒド等が挙げられる。これらのうち、ジアルキルアミノフェニル基を有する化合物がより高感度であり好ましい。
【0038】
(色材料)
色材料は、通常、赤、緑、青色の各色材料であるが、ブラックマトリクスもこの光重合性組成物で形成する場合は黒色の色材料も含まれる。
ここで、色材料としては前述の3色ないし4色の染顔料、或いは、用途により、更に、金属粉、白色顔料、蛍光顔料等も用いることができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック等がある。これらの中で、特にカーボンブラックが遮光率、画像特性の観点から好ましい。カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
【0039】
三菱化学社製:MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、MA230、#52、#50、#47、#45、#2700、#2650、#2200、#1000、#990、#900等
デグサ社製:Printex95、プリンテックス90、Printex85、Printex75、Printex55、Printex45、Printex40、Printex30、Printex3、PrintexA、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100等
【0040】
キャボット社製:Monarch460、Monarch430、Monarch280、Monarch120、Monarch800、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、BLACK PEARLS480、PEARLS130等
コロンビヤン カーボン社製:RAVEN11、RAVEN15、RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040等
【0041】
上記のカーボンブラックは、他の黒色の無機、有機顔料と併用しても良い。他の黒色顔料は、カーボンブラックより遮光性が低いため自ずと混合比率は制限される。他の黒色顔料の例としては、チタンブラック、アニリンブラック、酸化鉄系黒色顔料、及び、赤色、緑色、青色の三色の有機顔料を混合して黒色顔料として用いることができる。
【0042】
着色顔料、染料の具体例としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(なお、上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する)。
【0043】
また、さらに他の顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.黄色顔料20,24,86,93,109,110,117,125,137,138,147,148,153,154,166、C.I.オレンヂ顔料36,43,51,55,59,61、C.I.赤色顔料9,97,122,123,149,168,177,180,192,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240、C.I.バイオレット顔料19,23,29,30,37,40,50、C.I.青色顔料15,15:1,15:4,22,60,64、C.I.緑色顔料7、C.I.ブラウン顔料23,25,26等を挙げることができる。
【0044】
本発明のカラーフィルター用光重合性組成物の各構成要素の含有量は、(a)バインダ樹脂の配合量は、溶剤をのぞく固形分全量に対して5〜40重量%とするのが好ましく、(b)エチレン性化合物の配合量は、固形分全量に対して5〜40重量%とするのが好ましく、(c)光重合開始剤系の配合量は固形分全量に対して0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%、とりわけ1〜10重量%とするのが好ましい。また、光重合開始剤系における各化合物の含有量割合は、多官能チオール化合物が0.01〜5重量%の範囲、特には0.1〜4重量%が好ましく、ビイミダゾール化合物、チタノセン化合物、トリアジン化合物及びオキサジアゾール化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が合計で0.01〜5重量%、更にアミノ基含有増感色素を含む場合、これを0.01〜5重量%の範囲とするのが好ましい。
【0045】
尚、光重合性組成物中の全固形分に対する多官能チオール化合物の割合は、0.01〜7重量%程度が好ましい。多官能チオール化合物を過剰に含有すると、細線の形成が不可能となり、又、少なすぎると十分な感度が得られないおそれがある。多官能チオール化合物の割合は、好ましくは、0.1〜6、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0046】
色材料の配合量は、光重合性組成物中の全固形分に対して20〜80重量%、特に30〜70重量%の範囲とするのが好ましい。また、特に黒色顔料としてカーボンブラックを用いるときは、膜厚1μmにおける遮光率が3.0、さらには3.5以上の高遮光率のブラックマトリクス形成させるために前記カーボンブラックの配合量は、光重合性組成物中の全固形分に対して30〜90重量%、特に40〜80重量%の範囲とするのが好ましい。色顔料、カーボンブラックを組成物中に配合するときに本発明の目的を損なわない範囲で種々の分散剤、分散助剤を用いることもができる。
【0047】
なお、本発明において、溶剤としては前述の各成分を溶解・分散させるものであり、具体的にはメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMAc」と略記する。)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラハイドロフラン等が挙げられる。
【0048】
本発明の光重合性組成物は、これらの溶剤を用いて、固形分濃度が5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲となるように調液される。
本発明の光重合性組成物を用いてカラーフィルターの画素を形成する場合には、非常に高感度であるため、ポリビニルアルコール等の酸素遮断層を設けることなしに露光、現像して画像を形成することが可能である。
【0049】
次に本発明のカラーフィルター用光重合性組成物の製造方法について説明する。本発明においては、先ず、顔料(赤、青、緑等の着色顔料、カーボンブラックなど)分散液を製造する。顔料を有機溶剤中に分散させるが、この時に分散を容易に進めるため及び/又は分散液を安定させるため、バインダ樹脂を共存させて分散させる、また、目的を損なわない範囲で種々の分散剤、分散助剤を用いることもができる。分散させる方法としては、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いることができる。ペイントコンディショナー、サンドグラインダーにて分散させるときは、0.1から数ミリ径のガラスビーズ又はジルコニアビーズを用いて分散させる。分散させる条件は、通常、温度は0℃から100℃であり、好ましくは、室温から60℃である。分散時間は、用いる顔料(着色顔料、カーボン)、共存させる分散剤、分散助剤、バインダ樹脂によって変化するが、10分から50時間、好ましくは、20分から20時間である。
【0050】
続いて、顔料(着色顔料、カーボンブラックなど)と溶剤、あるいは、顔料と分散剤、分散助剤、バインダ樹脂からなる(赤、青、緑、黒色)顔料分散液に、(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性化合物、(c)光重合開始剤系、及び(d)溶剤を加え、さらに目的に応じて種々の添加剤(レベリング剤、光安定剤等)を加えレジスト組成物を製造する。
【0051】
次に、本発明のカラーフィルター用光重合性組成物を用いたカラーフィルターの製造方法について説明する。
まず、透明基板上に、本発明の遮光膜用光重合性組成物をスピナー,ワイヤーバー,フローコーター,ダイコーター,ロールコーター,スプレー等の塗布装置により塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光,現像,必要に応じて熱硬化或いは光硬化により遮光用ブラックマトリクス画像を形成させ、さらにこの操作を赤、青、緑3色について各々繰り返し、透明基板上に膜厚が0.5〜3μmのカラーフィルター画像を形成させる。尚、乾燥後のブラックマトリクスの膜厚は、0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.5μm、更に好ましくは0.5〜1μmの範囲とするのが好ましく、又、膜厚1μmでの光線遮光率が3.0以上であるのが好ましい。
【0052】
ここで用いる透明基板は、カラーフィルター用の透明基板であり、その材質は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性プラスチックシート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂等の熱硬化性プラスチックシート、或いは各種ガラス板等を挙げることができる。特に、耐熱性の点からガラス板、耐熱性プラスチックが好ましく用いられる。
【0053】
このような透明基板には、表面の接着性等の物性を改良するために、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーの薄膜処理等を行うのが好ましい。
なお、透明基板の板厚は、0.05〜10mm、特に0.1〜5mmの範囲であることが好ましい。また、各種ポリマーの薄膜処理を行う場合には、その膜厚は0.01〜10μm、特に0.05〜2μmの範囲であることが好ましい。
また、透明基板の大きさは特に限定されるものではないが、通常の場合、透明基板としては数〜数十cm×数〜数十cm程度の透明基板が使用される。
また、露光に用いる光源は、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。この場合に特定の照射光の波長のみを使用する場合には適宜、光学フィルターを利用すれば良い。
【0054】
現像処理は、アルカリ現像液を使用するのが好ましい。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機のアルカリ剤、或いはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩等の有機のアルカリ剤を含有し、必要に応じ、画質向上、現像時間の短縮等の目的で界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基又はカルボン酸基を有する低分子化合物等を含有させた水溶液を用いる。
【0055】
現像液の界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等を挙げることができ、また、水溶性の有機溶剤としては、エタノール、プロピオンアルコール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
【0056】
また水酸基又はカルボキシ基を有する低分子化合物としては、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロガロール、安息香酸、コハク酸、グルタル酸等を挙げることができる。
現像処理は、通常、15〜40℃、好ましくは20〜30℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
現像処理後、諸物性を安定化させる目的で硬化処理を行うことができる。硬化処理としては、加熱による処理、紫外線による処理等がある。
【0057】
【実施例】
以下実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
本発明を説明するのに用いた物質及び略号を下記に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
表−4 色材料
黒色顔料 カーボンブラック 粒径 窒素吸着比表面積 DBP吸油量 pH
────────────────────────────────────
G-1 MA 220 三菱化学製 55 31 91 3.0
────────────────────────────────────
【0064】
赤色顔料
G−2 リオノーゲンレッドGD(東洋インキ社製)
緑色顔料
G−3 リオノールグリーン2YS(東洋インキ社製)
青色顔料
G−4 リオノールブルーES(東洋インキ社製)
【0065】
参考例1〜3 「赤、緑、青色顔料分散インキの製造」
表−4に示す赤色顔料東洋インキ社製リオノーゲンレッドGD(G−2)2.6gと分散剤ビックケミー社製BYK−161 2.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.5gを混合し、該混合物を重量で3.5倍量の0.5mm径ジルコニアビーズの入ったペイントシェーカーに入れ、10時間分散を行い赤色顔料分散インキを製造した(参考例1)。
同様に緑色顔料東洋インキ社製リオノーゲングリーン2YS(G−3)、青色顔料東洋インキ社製リオノーゲンブルーES(G−4)を分散し、緑色顔料分散インキ(参考例2)、青色顔料分散インキ(参考例3)を製造した。
【0066】
参考例4〜7 「カーボンブラック分散黒色インキの製造」
表−4に示すカーボンブラック三菱化学製MA−220(G−1)2.6gと表−1に示すバインダ樹脂P−1 1.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.0gを混合し、該混合物を重量で3.5倍量の0.5mm径ジルコニアビーズの入ったペイントシェーカーに入れ、10時間分散を行いカーボンブラック分散黒色インキを製造した(参考例4)。同様にバインダ樹脂をP−2(参考例5)、P−3(参考例6)、P−4(参考例7)に変更し、カーボンブラック分散黒色インキを製造した。
【0067】
実施例1
参考例4で得られたカーボンブラック分散液に、エチレン性二重結合含有化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(M−1)、光重合開始剤系として2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール(R−1)、4、4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(Y−1)及びペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(T−1)を下記表−5に示す割合で配合し、更にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え固形分濃度を25%になるように塗布液を調製した。
【0068】
調製されたカーボンブラックを含有する塗布液を、ガラス基板に乾燥膜厚が0.9μmになるようにスピンコーターにより塗布し、乾燥温度70℃で3分間乾燥させた。次に、幅30μmで縦300μm、横100μmのピッチで繰り返すブラックマトリクス用ネガフォトマスクを用いて、3Kw超高圧水銀灯により適性露光量(50mj/cm2 )で露光した後、0.01重量%の水酸化カリウムと0.05%のノニオン性界面活性剤(花王製エマルゲンA−60)を含有する水溶液よりなる現像液を用い、23℃、シャワー現像し、純水にて現像を停止させ、続いて水洗スプレーにてリンスし、ブラックマトリクスを形成させた。その後、該試料を200℃で10分間熱処理を行い熱硬化させた。得られたブラックマトリクスはシャープなエッジ形状を有し、現像時の線幅安定性(現像ラチチュード)も15秒以上であり、現像液による表面粗れも観察されなかった。また、1ミクロンから50ミクロンまでのライン/スペースを持つフォトマスクを用いて同様に塗布、露光、現像を行ったところ画質も10μm以下の細線を再現できた。
【0069】
比較例1
実施例1のチオール化合物をペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートから2−メルカプトベンゾチアゾール(2MBT)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は、3000mj/cm2 必要とし、画質も15μmを再現できなかった。また、現像時の表面荒れが激しく、表面に白い斑点が多数観察された。
【0070】
実施例2〜4及び比較例2〜4
実施例1のカーボンブラック黒色分散インキを参考例1〜3で製造した赤色顔料分散インキ、緑色顔料分散インキ、青色顔料分散インキに変更し、核成分の重量比を表−5に示す通りとした以外は実施例1と同様に塗布液を調整した。
調整された着色顔料を含有する塗布液をガラス基板に乾燥膜厚が1.3μmになるようにスピンコーターにより塗布し、乾燥させた。次に横100μm、高さ300μmで30μmのピッチで繰り返す着色画素用ネガマスクを用いて露光し、水酸化カリウム0.2重量%、ノニオン界面活性剤0.5重量%を含有する水溶液よりなる現像液を用いて現像し、純水にて現像を停止させ、水洗スプレーにてリンスし着色画素を形成させた。その後、該試料を200℃で10分間熱処理を行い熱硬化させた。得られた着色画素は、シャープなエッジ形状を有するとともに適正なテーパー形状をしていた。現像時による膜厚の減少は認められなかった。また、細線の再現性も10μm以下であり良好な画質であった。
【0071】
一方、実施例2〜4において、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートを2−メルカプトベンズチアゾール(2MBT)に変えた場合(比較例2〜4)、約3〜10%膜厚が減少していた。
実施例及び比較例の組成物の各成分の割合及び評価結果を以下の表−5に示す。尚、表中の重量%は全固形分に対する割合を示す。尚、顔料濃度、透過濃度適性露光量及び画質は次の意味又は評価方を示す。
【0072】
[顔料濃度]
各色材料含有光重合性塗布液の固形分中に含有されている各顔料の割合。
顔料濃度=顔料の重量/全固形分重量
[透過濃度]
マクベス濃度計TR−927を用いて、試料の透過濃度(ABS)を測定した。また、試料の感光層の膜厚をテンコール・インスツルメント社製αーステップにより測定し( )内に記載した。
【0073】
[適正露光量]
ガラス基板上に色材料含有光重合性塗布液を塗布、乾燥させた後、ウグラテストチャートを試料上に置き、該チャートの上より各種露光量を変化させながら3Kw超高圧水銀灯により露光した後、現像処理を施し、得られたウグラテストチャート画像中の細線画像の最も細いポジとネガの線幅が同じになる時の露光量。[画質]
前記と同様の方法により、ガラス基板上に色材料含有光重合性塗布液を塗布、乾燥させた後、ウグラテストチャートを用いて適正露光量で露光し、標準現像液を用いて現像処理を行い着色画像を形成させた。該着色画像の中の細線画像を400倍の顕微鏡で観察し、再現されている最も細い細線の線幅より、画質を下記基準で評価した。細い細線が再現されているほど良好な画質を示している。
A:10μm以下の線幅の細線が再現されている。
B:10〜15μmの線幅の細線が再現されている。
C:15〜25μmの線幅の細線が再現されている。
D:25μm以上の線幅の細線が再現されている。
【0074】
【表7】
【0075】
実施例5〜6
実施例1のチオール化合物をペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートからトリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(T−2)、ブタンジオールチオプロピオネート(T−3)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は、それぞれ70mj/cm2 、80mj/cm2 であった。画質も10μm以下を再現でき、また、現像時の表面荒れも観察されなかった。
【0076】
比較例5〜6
実施例1のチオール化合物をペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートから2−メルカプトベンゾオキサゾール(MBO)又はメルカプトプロピオン酸トリデシル(T−4)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は、それぞれ4500mj/cm2 、2500mj/cm2 必要とし、画質も15μmを再現できなかった。また、現像時の表面荒れが激しく、表面に白い斑点が多数観察された。
【0077】
比較例7
実施例1の光重合開始剤系をイルガキュアー651に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は、7500mj/cm2 必要とし、画質も15μmを再現できなかった。
実施例7
実施例1の2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール(R−1)をジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−,2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1ーイル)−フェニル−1−イル(R−2)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は55mj/cm2 であった。画質も10μm以下を再現でき、また、現像時の表面荒れも観察されなかった。
【0078】
実施例8〜9
実施例1の4、4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(Y−1)を4、4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(Y−2)又は前記構造式で
示される化合物(Y−3)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は、それぞれ40mj/cm2 、45mj/cm2 であった。画質も10μm以下を再現でき、また、現像時の表面荒れも観察されなかった。
【0079】
【表8】
【0080】
実施例10〜12
実施例1のカーボンブラック分散黒色インキを、参考例5〜7で調製したカーボンブラック分散黒色インキに変更(バインダ樹脂をP−1からP−2、P−3、P−4に変更)した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は、それぞれ40mj/cm2 、70mj/cm2 、55mj/cm2 であった。画質も10μm以下を再現でき、また、現像時の表面荒れも観察されなかった。
【0081】
実施例13〜14
実施例1のエチレン性二重結合含有化合物ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(M−1)をペンタエリスリトールトリアクリレート(M−2)又はトリスヒドロキシエチルイソシヌレートトリアクリレート(M−3)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、適正露光量は、それぞれ55mj/cm2 、60mj/cm2 であった。画質も10μm以下を再現でき、また、現像時の表面荒れも観察されなかった。
【0082】
実施例15
上記実施例1と同様にしてガラス基板上にブラックマトリクスを形成後、そのガラス基板上に上記実施例2〜4と同様の条件で赤、緑、青3色の画素を順次形成しカラーフィルターを作製した。得られたカラーフィルターは、高精細で色滲みがない高品質なものであった。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、現像性に優れ、顔料分散レジストの感度を大幅に向上させることができると共に、解像性、現像性に優れ、高精度で高遮光率のブラックマトリクス及び高色濃度の着色画素を形成できるカラーフィルタ用光重合組成物を提供でき、また、得られた光重合性組成物は保存安定性にも優れる。特に、遮光率の高いブラックマトリクスを製造でき、より高精細な色滲みのないカラーフィルタを提供することができる。
Claims (8)
- (a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物、(c)光重合開始剤系、(d)色材料及び(e)溶剤を含有するカラーフィルター用光重合性組成物において、該光重合開始剤系が(I)脂肪族多官能チオール化合物並びに(II)ビイミダゾール化合物及びチタノセン化合物から選ばれる少なくとも一種を含有し、該多官能チオール化合物の含有量が光重合性組成物の全固形分に対して0.01〜7重量%であることを特徴とするカラーフィルター用光重合性組成物。
- 光重合開始剤系が更に(III)アミノ基含有増感色素を含有する請求項1に記載のカラーフィルター用光重合性組成物。
- バインダ樹脂が側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する有機高分子物質であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のカラーフィルター用光重合性組成物。
- バインダ樹脂がエチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とヒドロキシル基を有する共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用光重合性組成物。
- バインダ樹脂がエチレン性不飽和二重結合とカルボキシル基とヒドロキシル基を有するスチレン系共重合体又はアクリル系共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用光重合性組成物。
- 色材料が黒色顔料である請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用光重合性組成物。
- 色材料を光重合性組成物の全固形分に対して20〜80重量%含有する請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルター用光重合性組成物。
- 透明基板上に請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を塗布し、紫外線又は遠紫外線リソグラフィーすることにより得られるカラーフィター。
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