JP3572730B2 - カラーフィルター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカラーテレビ、液晶表示素子、撮像デバイス等に使用される光学的カラーフィルターに関する。更に詳細にはブラックマトリックスの透過光濃度が高く、表面反射率が低く、赤,緑及び青の画素画像との接着性が良好であり、しかも、廃棄の際に何ら規制を受けることがないカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターは液晶表示素子、カラーテレビ、撮像デバイス等をフルカラー化するために用いられる素子で、ガラス又はプラスチックシートなどの透明基板上に設けられたブラックマトリックスと称されるストライプ状又は格子状の遮光性材料のパターンの上に、カラーレジストである色顔料を含有する光重合組成物をスピンコート法にて塗布・乾燥し、その上にマスク等を用いて露光し、現像することで色材画素画像を形成する工程を赤,緑及び青の3色について各々繰り返して製造される。
【0003】
上記ブラックマトリックスの遮光性としては、透過光濃度2.5以上であることが要求される。また、ブラックマトリックス上に赤,緑及び青の色材画素画像パターンを形成し、その上にITO等の透明電極を成膜した際、ブラックマトリックス部分の盛り上がりが大きいと、その段差の部分で電極が断線するおそれがあることから、ブラックマトリックスはできるだけ薄い膜厚で上記の透過光濃度を達成できることが要求される。
【0004】
一方、色材画素画像はブラックマトリックス面と透明基板面の両方に接するが、通常、透明基板面との接着性が悪いため、端部のブラックマトリックスとの接着部分で全体の接着性を確保しているのが現状である。従って、ブラックマトリックスと色材画素画像との接着性は、後工程の洗浄,スピンコート,現像,熱処理等の処理工程における色材画素画像の剥落を防止する上で、非常に重要な性能である。
【0005】
従来、ブラックマトリックスの形成方法としては、透明基板上にクロムを成膜した後、エッチングすることでブラックマトリックスパターンとする方法が主流であったが、この方法は、コスト的に高価である、表面反射率が高い、廃棄が規制されるといった問題があった。
【0006】
クロムよりなるブラックマトリックスを改良したものとして、酸化クロムの上にクロムを積層した2層構造のブラックマトリックスが提案されたが、このブラックマトリックスでは、表面反射率は低減されるものの、高コストであること、及び、廃棄が規制されるという問題は解決されない。
【0007】
このようなことから、カーボンブラック等の無公害の黒色顔料を配合した顔料分散レジストを用いるレジスト法によるブラックマトリックスの形成方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、レジスト法では、例えば、透過光濃度2.8のブラックマトリックスを形成するためには、その膜厚を2.0μm以上とする必要があり、前述の段差の問題を生じるという欠点がある。遮光性を高めるために、レジスト中の黒色顔料の重量分率を高くすると、レジストとして機能しなくなるか、或いは、レジスト中の光重合性化合物の重合度が十分でなくなる。この場合には、ブラックマトリックスに要求される前記色材画素画像との接着性等が十分でなくなり、後工程で色材画素画像が剥がれ落ちるという問題があった。また、光重合性化合物の重合度が十分であっても、色材画素画像とブラックマトリックスの熱膨張率が相違すると、後工程の熱処理において、熱膨張差で色材画素画像がブラックマトリックスから剥離するおそれがあった。
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決し、レジスト法により、無公害で実用上十分な遮光性、耐熱性、耐薬品性、耐湿性及び接着性を有するブラックマトリックスが形成されたカラーフィルターを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1のカラーフィルターは、有機高分子物質を含有する黒色顔料分散レジストを用いて形成されたブラックマトリックス上に、赤,緑及び青の画素画像を、各々、有機高分子物質を含有する色材料分散レジストを用いて形成してなるカラーフィルターであって、該色材料分散レジスト中の有機高分子物質が前記黒色顔料分散レジスト中の有機高分子物質と同じ成分を含有し、且つ、該色材料分散レジスト及び/又は黒色顔料分散レジストが、(A)芳香族ポリグリシジルエーテル化合物と不飽和モノカルボン酸との付加反応、或いは、芳香族ポリヒドロキシ化合物とエポキシモノカルボン酸エステルとの付加反応で得られるエチレン性二重結合を2個以上有するエチレン性化合物、及び、(B)脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸との付加反応で得られるエチレン性不飽和二重結合を2個以上含有するエチレン性化合物を含有することを特徴とする。
【0011】
ブラックマトリックス形成用黒色顔料分散レジストと、赤,緑及び青の画素画像形成用の色材料分散レジストとで、同一成分を含有する有機高分子物質を配合することにより、ブラックマトリックス形成用黒色分散レジスト中の顔料の配合量を従来以上に多くし、それにより十分な遮光性を達成するようにした場合であっても、赤,緑及び青の画素画像との接着性を十分に高めることができる。
【0012】
本発明によれば、ブラックマトリックス中のカーボンブラック含有量を固形分濃度で40重量%以上の高濃度とすることができ、それにより、膜厚0.8μm以下で、透過光濃度2.8以上の、薄膜、高遮光性のブラックマトリックスを形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のカラーフィルターにおいて、ブラックマトリックスの形成に使用される黒色分散レジスト(以下「ブラックレジスト」と称する場合がある。)は、黒色染顔料、分散剤、光を吸収してラジカルを発生する光重合開始系、及び、該ラジカルにより重合が誘起される付加重合性のエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す。)と、更に、必要に応じてレジスト膜の相溶性、被膜形成性、現像性、接着性等の改善のためのバインダー(結合剤)としての有機高分子物質を含有するものである。なお、分散剤としては、バインダーとして使用可能な有機高分子物質を用いる場合もある。
【0015】
黒色顔料としてはカーボンブラックが好適であり、後述の有機溶媒中で分散可能なものであればいずれのものも使用できる。また、必要に応じてカーボンブラックと共に、調色用として他の黒色染顔料、例えばチタンブラック、酸化鉄系黒色顔料、アニリンブラック等を併用することもできる。
【0016】
カーボンブラックの具体例としては、三菱化学(株)製#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#45L、#47、#50、#52、#55、MA600、#650、#750、MCF88、#850、#900、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#2650、#2700、MA7、MA8、MA11、MA1100、MA100R、MA220、MA230等、旭カーボン(株)製MTC、FTC、FTC#15等、デグサ社製FWシリーズ、Printexシリーズ等が挙げられる。
【0017】
その他の黒色染顔料の具体例としては、野間化学工業(株)製アニリンブラックD.ブラック#300、三菱マテリアル(株)製チタンブラック13M・13R・10S、チバガイギー社製Black RLI等が挙げられる。
【0018】
ブラックレジスト中のこれらの黒色染顔料の含有量は、固形分濃度で40〜90重量%、好ましくは50〜70重量%であることが望ましい。
【0019】
分散剤としては、上記黒色顔料を後掲のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(以下「PGMEA」と略記する。)、エチルセロソルブアセテート(以下「ECA」と略記する。)、シクロヘキサノン等の有機溶媒中で効果的に分散できるものであれば良く、界面活性剤、低分子分散剤、高分子分散剤のいずれも使用できる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤等が挙げられる。低分子分散剤としては例えば、ゼネカ(株)製 Solsperseシリーズ、ビック・ケミー社製 Disperbykシリーズ等が挙げられる。高分子分散剤としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂いずれも使用でき、熱硬化性樹脂としてはウレタン系、アクリル系、ポリイミド系、アルキッド系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、メラミン系、フェノール系等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、アクリル系、塩化ビニル系、塩化ビニル酢酸ビニル系共重合系、ウレタン系、ポリアミド系、ポリカーボネート系等が挙げられる。更に、後掲の有機高分子物質について、必要に応じて、リン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を導入して分散剤としての機能を付与したものを用いることもできる。
【0020】
これらの分散剤の配合量は、黒色染顔料を分散するのに必要十分な量であれば良く、黒色染顔料に対して20〜100重量%とするのが好ましい。
【0021】
光重合開始系としては、下記のような紫外から可視領域に感度を有するものを、使用する露光光源に応じて、適宜選択可能である。
【0022】
即ち、400nm未満の波長の紫外光を吸収してラジカルを発生する光重合開始系としては、例えば、ファインケミカル,1991年,3月1日号Vol 20,No. 4,P.16〜P.26に記載のジアルキルアセトフェノン系,ベンジルジアルキルケタール系,ベンゾイン,ベンゾインアルキルエーテル系,チオキサントン誘導体,アシルホスフィンオキサイド系等、その他、特開昭58−40302号公報,特公昭45−37377号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール系,s−トリハロメチルトリアジン系,特開昭59−152396号公報に記載のチタノセン系等を用いることができる。
【0023】
一方、波長400nm以上500nm以下の可視光に感応する光重合開始系としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤及び染料の系(特公昭45−37377号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールと(p−ジアルキルアミノベンジリデン)ケトンの系(特開昭47−2528号、特開昭54−155292号各公報)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号公報)、置換トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号公報)、ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号各公報)、置換トリアジンと増感剤の系(特開昭58−29803号、特開昭58−40302号各公報)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオール系(特開昭59−56403号公報)、ジアルキルアミノフェニル基を含有する増感剤とビイミダゾール(特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−140203号、特開昭59−189340号各公報)、チタノセン系(特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−10602号、特開昭63−41484号、特開平2−291号、特開平3−12403号、特開平3−20293号、特開平3−27393号、特開平3−52050号各公報)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基或はウレタン基を有する付加重合可能なエチレン性飽和二重結合含有化合物を組合せた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報)等が挙げられる。
【0024】
波長400nm以上500nm以下の光に感応する光重合開始系の好適例としては、波長400〜500nmに吸収を有する増感色素と、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−カルボエトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール等のヘキサアリールビイミダゾール、及び、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機チオール化合物からなる複合光重合開始剤、或いは、波長400〜500nmに吸収を有する増感色素とジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)−フェニル−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル(以下、「化合物S−1」と称す。)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル等のチタノセン化合物、更に、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル(以下、「化合物S−2」と称す。)、ミヒラーズケトン等のジアルキルアミノフェニル化合物からなる複合光重合開始剤が挙げられる。
【0025】
なお、増感色素のうち、ヘキサビイミダゾールを増感する色素としては、例えば特開平2−69号公報,特開昭57−168088号公報,特開平5−107761号公報,特開平5−210240号公報,特願平4−288818号に記載の増感色素を挙げることができる。
【0026】
また、チタノセンを増感する色素としては、例えば特願平5−83588号,特願平5−84817号,特開平5−83587号公報,特願平6−12949号,特願平6−74743号,特願平6−141588号に記載の増感色素を挙げることができる。
【0027】
また、これらの可視光領域に感応する光重合開始系のうち、可視光と共に紫外部にも吸収を持ち、高い感度を示すものについては、紫外光領域の光源に対する光重合開始系として利用しても良い。
【0028】
このような可視光及び紫外光領域に共に高い感度を示すものとしては、ヘキサアリールビイミダゾール、或いは、チタノセンを含有する光重合開始系等を挙げることができる。
【0029】
上記の光重合開始系のうちでは、ヘキサアリールビイミダゾール、チタノセンを含有する光重合開始系が高い感度を示すことから好ましく、特に、チタノセンを含有する光重合開始系であれば、ヘキサアリールビイミダゾールを含有する光重合開始系に比べて、少量で高い感度を示すと共に、高い乾燥条件でも安定なため、高いカーボンブラック濃度のブラックレジストを調製することができる。
【0030】
本発明に使用されるエチレン性化合物としては、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物と不飽和モノカルボン酸との付加反応、或いは、芳香族ポリヒドロキシ化合物とエポキシモノカルボン酸エステルとの付加反応、で得られるエチレン性不飽和二重結合を2個以上有するエチレン性化合物(以下「エチレン性化合物(A)」と称す。)が好適であるが、該エチレン性化合物(A)と共に、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸との付加反応(エステル反応)で得られる、エチレン性不飽和二重結合を2個以上含有するエチレン性化合物(以下「エチレン性化合物(B)」と称す。)を併用することが好ましい。
【0031】
該エチレン性化合物(A)は透明基板との接着性、特に、アルカリ現像時の接着性(現像画像接着性)を向上させて、ブラシ、スプレー或いはスポンジ等による物理的刺激に対して、画像の欠落を防ぐ機能を果たすものである。
【0032】
該エチレン性化合物(A)の具体的な例としては、ハイドロキノン,レゾルシン,ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA,ポリビスフェノールA,ブロム化ビスフェノールA,ポリブロム化ビスフェノールA等のビスフェノールA誘導体、ノボラック等の芳香族ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンをアルカリ条件下付加反応させて得られる芳香族ポリグリシジルエーテル化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を4級アンモニウム塩等を触媒にして付加反応させることにより得られるエチレン性化合物、或いは、ハイドロキノン,レゾルシン,ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA,ポリビスフェノールA,ブロム化ビスフェノールA,ポリブロム化ビスフェノールA等のビスフェノールA誘導体、ノボラック等の芳香族ポリヒドロキシ化合物とグリシジル(メタ)アクリレート、下記[T−1]又は[T−2]等の構造のエポキシ(メタ)アクリレートを、“SYNTHETIC COMMUNICATION, 24(21) ”3099−3019(1994) 等に記載の酸又はアルカリの触媒を用いて付加反応させることにより得られるエチレン性化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、次の[M−1],[M−2],[M−3],[M−4]等を挙げることができる。
【0033】
【化1】
Figure 0003572730
【0034】
【化2】
Figure 0003572730
【0035】
特に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの共縮重合物タイプのエチレン性化合物(A)を使用した場合、他のエチレン性化合物の場合に比べ現像画像接着性に優れているため好ましい。
【0036】
とりわけ好ましいエチレン性化合物(A)としては、25℃の粘度が100cps以上、更に25℃の粘度が1000cps以上のものが挙げられる。この粘度が100cpsより著しく低いと、現像画像接着性が低下する。
【0037】
一方、エチレン性化合物(B)は、現像時の非画線部の溶解性を高め、高画質の画像を形成させる機能を有する。該エチレン性化合物(B)の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート,グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、これらの例示化合物の(メタ)アクリレートをイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロトネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等がある。これらのうち、特に、4官能〜6官能のジペンタエリスリトールポリアクリレートが画像形成性に優れる点から好ましい。
【0038】
前記エチレン性化合物(A)及びエチレン性化合物(B)の製造に当っては、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、或いは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させる際に、不飽和モノカルボン酸と共に飽和のモノカルボン酸を付加させ、該エチレン性化合物の粘性等の物性を制御することもできる。
【0039】
本発明において、エチレン性化合物(A)とエチレン性化合物(B)との好適な使用割合は、重量比で、エチレン性化合物(A):エチレン性化合物(B)=100:0〜10:90、好ましくは90:10〜20:80、更に好ましくは80:20〜30:70である。
【0040】
その他、本発明において併用できるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物、不飽和二価カルボン酸とジヒドロキシ化合物との重縮合反応により得られるポリエステル、不飽和二価カルボン酸とジアミンとの重縮合反応により得られるポリアミド、側鎖に不飽和結合をもつ二価カルボン酸、例えばイタコン酸、プロピリデンコハク酸、エチリデンマロン酸等とジヒドロキシ又はジアミン化合物との縮重合体、側鎖にヒドロキシ基やハロゲン化メチル基の如き反応活性を有する官能基を有する重合体、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリエピクロルヒドリン等とアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸との高分子反応により得られるポリマー等が挙げられる。
【0041】
バインダーとして使用される有機高分子物質としては、メチル(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリル酸、プロピル(メタ)アクリル酸、ブチル(メタ)アクリル酸、2−エチルヘキシル(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;ヒドロキシフェニル(メタ)アクリル酸、メトキシフェニル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸の置換基を有していても良いフェニルエステル;アクリロニトリル;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル;スチレン、α−メチル−スチレン等の共重合体、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとのポリエーテル、可溶性ナイロン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート、アセチルセルロース及びポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル又はメタクリル」を示す。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
【0042】
本発明においては、得られる塗膜の皮膜強度、耐塗布溶剤性、基板接着性を高める目的で、上記有機高分子物質のうち、カルボン酸基を有するものの、カルボン酸基の一部又は全部を、グリシジル(メタ)アクリレート、前記[T−1]又は[T−2]の構造のエポキシ(メタ)アクリレートと反応させて、光重合性の有機高分子物質とすることもできる。
【0043】
特に好ましい有機高分子物質としては、基板への接着性を高める目的で、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリル酸、メトキシフェニル(メタ)アクリル酸、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミド等のフェニル基を有する共重合モノマーを10〜80モル%、好ましくは20〜70モル%、より好ましくは30〜60モル%の割合で含有し、その他(メタ)アクリル酸を2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%の割合で含有する共重合体、或いは、全共重合モノマーに対して2〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは10〜30モル%のエポキシ(メタ)アクリレートが付加された反応物が望ましい。
【0044】
このような有機高分子物質の分子量としては、重量平均分子量(Mw)で1,000〜1000,000、好ましくは2,000〜500,000、より好ましくは3,000〜200,000の範囲である。有機高分子物質のMwがこの範囲より著しく低いと、現像時に画線部分の膜ベリが生じ、逆に有機高分子物質のMwが著しく高いと現像時に非画線部の抜け性不良を生じ易い。
【0045】
なお、前述の如く、これらの有機高分子物質を、黒色染顔料の分散剤として用いることもできる。
【0046】
本発明において、ブラックレジスト中の前記光重合開始系の含有量は、カーボンブラック等の黒色染顔料を除くブラックレジストに対し0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜30重量%、より好ましくは0.2〜20重量%であり、前記エチレン性化合物の含有量は、カーボンブラック等の黒色染顔料を除くブラックレジストに対し20〜99重量%、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%であり、前記有機高分子物質の含有量は、カーボンブラック等の黒色染顔料を除くブラックレジストに対し0〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%である。
【0047】
次に、本発明のカラーフィルターにおいて、赤,緑及び青の画素画像の形成に使用される色材料分散レジスト(以下「カラーレジスト」と称する場合がある。)について説明する。
【0048】
本発明に係るカラーレジストは、色材料の他、ブラックレジストと同様に光重合開始系と、エチレン性化合物とを含み、必要に応じて、相溶性、被膜形成性、現像性、接着性等の光重合性層の改善のためのバインダーとしての有機高分子物質と、分散剤を含有するものである。
【0049】
本発明において、このカラーレジストは、分散剤ないしバインダーとしてブラックマトリックスに含有される有機高分子物質と同一成分を含む有機高分子物質、好ましくは、ブラックマトリックス中の有機高分子物質と同一の有機高分子物質を含有する。
【0050】
カラーレジストに配合される光重合開始系、エチレン性化合物、分散剤については、前述のブラックレジストの配合成分として例示したものを用いることができる。
【0051】
なお、色材料としては、赤色、緑色、青色の各色調の染顔料が用いられるが、この他、必要に応じて金属粉、白色顔料、蛍光顔料なども用いることができる。
【0052】
染顔料の具体例としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミン0(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニン0K70(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラファーストイエロー8GF(21105)、ベンジンイエロー4T−564D(21095)、シムラファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)等が挙げられる。(上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。)
カラーレジスト中に含有される上記色材料の含有量は、ブラックレジスト中の黒色顔料の含有量よりも少なく、固形分濃度で10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲とするのが望ましい。
【0053】
本発明において、カラーレジスト中の光重合開始系の含有量は、色材料を除くカラーレジストに対し0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜30重量%、より好ましくは0.2〜20重量%であり、前記エチレン性化合物の含有量は、色材料を除くカラーレジストに対し20〜99重量%、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%であり、バインダーとしての有機高分子物質の含有量は、色材料を除くカラーレジストに対し0〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%である。
【0054】
本発明に係るブラックレジスト及びカラーレジストは、各種配合成分を適当な溶剤で調液した塗布液として使用される。
【0055】
溶剤としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ECA、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、PGMEA、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラハイドロフラン等が挙げられる。
【0056】
本発明に係るブラックレジスト及びカラーレジストは、これらの溶剤を用いて、黒色染顔料又は色材料、光重合開始系、エチレン性化合物、バインダーである有機高分子物質並びに分散剤の合計濃度が5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲となるように調液される。
【0057】
なお、ブラックレジスト及びカラーレジストの調製に際しては、まず、黒色染顔料又は色材料と分散剤とを溶剤の一部と混合し、十分に分散処理を行って分散液を調製した後、この分散液にエチレン性化合物、光重合開始系及び溶剤の残部を添加混合して、均一なレジスト溶液とするのが好ましい。
【0058】
次に、上記ブラックレジスト及びカラーレジストを用いる本発明のカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0059】
本発明で使用される透明基板としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等のプラスチックシート、或いは、各種ガラス板等を挙げることができる。
【0060】
このような透明基板には、表面の接着性等の物性を改良するために、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーの薄膜形成処理等を行うことができる。
【0061】
なお、透明基板の板厚は、0.05〜10mm、特に0.1〜7mmの範囲であることが好ましい。また、各種ポリマーの薄膜形成処理を行う場合には、その膜厚は0.01〜10μm、特に0.05〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0062】
上記透明基板上に、ブラックレジストを、スピナー,ワイヤーバー,フローコーター,ダイコーター,ロールコーター,スプレー等の塗布装置により、乾燥後の膜厚が1.0μm以下となるように塗布した後、50〜200℃、好ましくは100〜150℃の温度で15秒〜10分間、好ましくは30秒〜5分間乾燥してブラックレジスト膜を形成する。
【0063】
ここで、乾燥温度は、高温なほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎると光重合開始系が分解し、熱重合を誘発して現像不良を起こし易い。
【0064】
次に、このブラックレジスト膜上にブラックマトリックス用のネガフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して、紫外又は可視等の光源を用いて画像露光する。この際、必要に応じて酸素によるレジスト膜の感度の低下を防ぐため、レジスト膜上にポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を塗設した後、露光を行っても良い。
【0065】
即ち、カラーフィルターの製造に当り、レジスト膜の露光の際に、酸素によるレジスト膜の感度低下を防止する目的で、レジスト膜の上に、ポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を塗設する場合がある。しかしながら、このような酸素遮断層を塗設することなく、レジスト膜を露光、現像して画像形成することが、工程数の大幅な減少の面から好ましい。酸素遮断層を設けない場合、ブラックレジスト中に、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド,ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミド等のヒドロキシフェニル基等の芳香族水酸基を有するモノマーを共重合モノマー成分として5〜50モル%,好ましくは10〜30モル%の割合で有する有機高分子物質を使用したり、特開平4−218048号公報,特開平5−19453号公報等に記載のジアゾ化合物を1〜20重量%,好ましくは2〜10重量%含有させたりする。これにより、酸素による感度低下を低く抑えることができ、酸素遮断層を不要とすることができる。
【0066】
露光後は、アルカリ現像液或いは含水有機溶剤現像液により現像処理を行い透明基板上にブラックマトリックスを形成させる。なお、必要に応じてこの現像処理の前に、レジスト膜の感度或いはγ値(階調)を高くする目的で露光試料を70〜200℃で15秒〜20分間、好ましくは80〜150℃で30秒〜10分間の熱処理を施すことができる。
【0067】
現像に使用されるアルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機のアルカリ剤、或いはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩等の有機のアルカリ剤を含有し、必要に応じ、画質向上、現像時間の短縮等の目的で界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基又はカルボン酸基を有する低分子化合物等を含有させた水溶液を用いることができる。
【0068】
現像液の界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等を挙げることができ、また、水溶性の有機溶剤としては、エタノール、プロピオンアルコール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0069】
また、水酸基又はカルボキシ基を有する低分子化合物としては、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロガロール、安息香酸、コハク酸、グルタル酸等を挙げることができる。
【0070】
一方、含水有機溶剤現像液に使用される有機溶剤としては、前記のアルカリ現像液中に用いられた水溶性の有機溶剤の中より適宜選択して使用することができる。
【0071】
上記の現像処理は、通常、20〜40℃、好ましくは25〜35℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
【0072】
現像後の試料は、必要に応じて、この上に塗布されるカラーレジスト、或いは、ポリアミド,ポリイミド等の保護層用の塗布溶剤に対する耐久性、又は、ガラス基板等の透明基板との接着性を高める目的で、該試料を100〜250℃,5〜60分間の熱硬化処理を行うか、或いは、適正露光量以上の露光量、好ましくは、適正露光量の1〜10倍の露光量による光硬化処理を施すことができる。
【0073】
なお、適正露光量とは、レジスト膜上に、ウグラテストチャートを置き、該テストチャートを介して露光量を変化させながら光照射し、次いで現像処理を行って得られるテストチャートの画像と、テストチャート画像中のネガとポジの細線画像の最も細い細線の線幅が同じになる時の露光量を言う。
【0074】
続いて、該試料の上に赤,緑,青の3色のカラーレジストを同様にしてそれぞれ塗布・乾燥した後、該試料を、色材画素用のネガフォトマスクを用いて前記と同様に露光、現像、必要に応じて熱又は光硬化処理を繰り返し行い、ブラックマトリックス間に3色の画素を形成してカラーフィルターを作製する。なお、カラーレジストの塗布厚さは、乾燥後の膜厚で好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは1〜2μmである。
【0075】
このようにして作製されたカラーフィルターは、このままの状態で、上にITO(透明電極)が形成され、カラーディスプレーの部品の一部として使用されるが、更にカラーフィルターの表面平滑性、或いは耐久性を高める目的でポリアミド,ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。
【0076】
本発明において画像露光に使用される光源としては、キセノンランプ,ハロゲンランプ,タングステンランプ,高圧水銀灯,メタルハライドランプ,中圧水銀灯,低圧水銀灯等のランプ光源、及びアルゴンイオンレーザー,YAGレーザー,エキシマーレーザー,窒素レーザー等のレーザー光源が挙げられる。これらの光源には、必要とされる照射光の波長領域に応じて、適宜光学フィルターを使用することもできる。
【0077】
なお、ブラックレジストを用いて、透明基板上に、ブラックマトリックスを形成させる際、透明基板との現像画像接着性及び/又は熱硬化画像の接着性を高める目的で、該透明基板上に色材料を含有しないカラーレジストを塗布して光硬化させた光硬化接着層を設けても良い。
【0078】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
実施例1
カーボンブラック(三菱化学(株)社製「MA−220」)1.6g、分散剤及びバインダーの機能をもつ有機高分子物質として化3に示すアクリル系樹脂0.9gをPGMEA7.5gと混合し、粒子径0.5mmのジルコニアビーズ10ccを加え、ペイントコンディショナーで10時間振とうし、カーボンブラックの分散液を得た。この分散液を3.0g分取し、エチレン性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製「DPHA」)0.075g、エポキシ系モノマー(昭和高分子(株)製「SP−1509」)0.075g、光重合開始系として「化合物S−1」0.007g及び「化合物S−2」0.018g、有機溶媒としてPGMEA2.6gを加え、ブラックレジストを調製した。
【0080】
【化3】
Figure 0003572730
【0081】
得られたブラックレジストを高圧水洗浄、UV/オゾン処理を施したガラス基板(コーニング社製「7059」厚さ1.1mm)上にスピンコート法を用いて塗布し、130℃のホットプレート上で乾燥し、膜厚0.9μmのブラックレジスト膜を得た。なお、ブラックレジスト膜中のカーボンブラック濃度は52重量%である。このレジスト膜にマスクを用いて紫外線を250mj/cm 密着露光した後、0.5重量%炭酸ナトリウム水溶液で現像してブラックマトリックスパターンをガラス基板上に形成した。
【0082】
得られたブラックマトリックスパターンに高圧水銀灯を用いて基板側からとレジスト側とからそれぞれ15000mj/cm ずつ紫外線照射した後、200℃のオーブン中で10分間熱処理を施し、透過光濃度2.84、膜厚0.8μmのブラックマトリックスを得た。
【0083】
次に、赤色顔料(チバ・ガイギー社製「Cromophtal Red A2B」及びBASF社製「Paliotol Yellow K1841D」)7.7gとポリエステル系分散剤3.1gにECA6.4gを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを10cc加え、ペイントコンディショナーで5時間振とうして赤色顔料の分散液を得た。この分散液を7.48g分取し、バインダーとしてブラックレジスト中で分散剤として用いたアクリル系樹脂1.0g、エチレン性化合物としてアクリル系モノマー(日本化薬(株)「DPHA」)0.5g、光重合開始系としてビイミダゾール0.075g、ミヒラーズケトン0.045g、有機溶媒としてPGMEA1.51gを加え、赤色用カラーレジストを調製した。
【0084】
得られた赤色用カラーレジストをスピンコート法を用いて、前述のブラックマトリックス上に膜厚が1.3μmになるように塗布し、70℃のホットプレート上で1分間乾燥し、赤色フィルター用のマスクを用いて紫外線を150mj/cm 露光した後、0.5重量%のジエタノールアミン水溶液を用いて現像することにより、赤色画素のパターンを得た。次いで、試料を高圧水銀灯を用いて15000mj/cm 紫外線照射し、更に200℃のオーブン中で10分間熱処理することにより、赤色画素画像を形成した。
【0085】
次に緑色顔料(東洋インキ製造社製「Lionol Green 6Y501」及びBASF社製「Paliotol Yellow K1841D」)を用い、赤色顔料のときと全く同様にして緑色画素画像を形成し、更に、青色顔料(東洋インキ製造社製「Lionol Blue Es」及びチバ・ガイギー社製「IRGAZIN BLUE A3RN」)を用いて同様にして青色画素画像を形成して、ブラックマトリックス上に赤,緑及び青の着色フィルターを形成した。
【0086】
このようにして作成したカラーフィルターを顕微鏡を用いて観察したところ、赤,緑及び青とも着色フィルターの剥れは観察されなかった。
【0087】
比較例1
分散剤としてウレタン系樹脂(タケダ(株)製「E−900」)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてカーボンブラック分散液を調製し、エポキシ系モノマー(昭和高分子(株)製「SP−1509」)の添加量を0.150gとしたこと以外は実施例1と同様にしてブラックレジストを調製した。
【0088】
得られたブラックレジストを用いて実施例1と同様にしてブラックマトリックスパターンをガラス基板上に形成し、同様に紫外線照射、熱処理を施して、透過光濃度2.81、膜厚0.8μmのブラックマトリックスを得た。
【0089】
次に、実施例1と同様にして調製した赤色用のカラーレジストを同様に塗布・乾燥・露光した後、現像したところ赤色画素画像が剥れ落ちてしまい、画像を形成することができなかった。
【0090】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、膜厚0.8μm以下で透過光濃度2.8以上という遮光性に優れた薄膜のブラックマトリックス上に、赤,緑及び青の画素画像が接着性良く形成された、高品質カラーフィルターが提供される。

Claims (3)

  1. 有機高分子物質を含有する黒色顔料分散レジストを用いて形成されたブラックマトリックス上に、赤,緑及び青の画素画像を、各々、有機高分子物質を含有する色材料分散レジストを用いて形成してなるカラーフィルターであって、該色材料分散レジスト中の有機高分子物質が前記黒色顔料分散レジスト中の有機高分子物質と同一成分を含有し、且つ、該色材料分散レジスト及び/又は黒色顔料分散レジストが、
    (A)芳香族ポリグリシジルエーテル化合物と不飽和モノカルボン酸との付加反応、或いは、芳香族ポリヒドロキシ化合物とエポキシモノカルボン酸エステルとの付加反応で得られるエチレン性二重結合を2個以上有するエチレン性化合物、
    及び、
    (B)脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸との付加反応で得られるエチレン性不飽和二重結合を2個以上含有するエチレン性化合物
    を含有することを特徴とするカラーフィルター。
  2. 請求項1において、ブラックマトリックスが固形分濃度で40重量%以上のカーボンブラックを含有することを特徴とするカラーフィルター。
  3. 請求項1又は2において、ブラックマトリックスが、膜厚0.8μm以下で、透過光濃度2.8以上であることを特徴とするカラーフィルター。
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