JP3881920B2 - 有害物質分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばPCB等の有害物質を含有する容器を洗浄した後の洗浄検査において有害物質の含有量を簡易に測定できる有害物質分析装置に関する。
【0002】
【背景技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。
【0004】
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱酸化分解装置を提案した(特開平11−253795号公報、特開平11−253796号公報、特開2000−126588号公報他参照)。この水熱酸化分解装置の概要の一例を図5に示すが、これに限定されるものではない。
【0005】
図5に示すように、水熱酸化分解装置120は、筒形状の一次反応器122と、油(又は有機溶剤)、PCB、水(H2O)および水酸化ナトリウム(NaOH)の各処理液123a〜123dを加圧する加圧ポンプ124と、当該水を予熱する熱交換器125と、配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器126と、冷却器127および減圧弁128とを備えてなるものである。また、減圧弁127の下流には、気液分離器129、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO2 )131は煙突132から外部へ排出され、排水(H2 O,NaCl)133は放出タンク134に溜められ、別途必要に応じて排水処理される。
【0006】
なお、処理液123となる油(又は有機溶剤)、PCB、H2OおよびNaOHの各処理液123a〜123dは処理液タンク135a〜135dから配管136a〜136d及びエジェクタ137を介してそれぞれ導入される。また、酸素(O2 )等の酸化剤は高圧酸素供給設備138により供給され、供給配管139は、一次反応器122に対して直結されている。なお、油(又は有機溶剤)を入れるのは、特に高濃度のPCBの分解反応促進のためと、分解装置120の起動時において反応温度を最適温度まで昇温させるためである。また、処理液として上記PCB、H2OおよびNaOHを混合させて一次反応器122に投入するようにしてもよい。
【0007】
上記装置において、加圧ポンプ124による加圧により一次反応器122内は、26MPaまで昇圧される。また、熱交換器125は、H2Oを300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解されている。つぎに、冷却器127では、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却すると共に後段の減圧弁128にて大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCO2および水蒸気と処理液とが分離され、CO2および水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0008】
このような処理装置120を用いてPCB含有油(例えばトランスやコンデンサ等の絶縁油)等を処理することで、PCBが脱塩素化されビフェニル((C6 H5 )2 )等の脱塩素化物とされ、該ビフェニルが酸化剤等の作用によりCO2 、H2 O等へと完全無害化がなされている。
【0009】
ところで、上記PCB分解処理装置120で分解するPCBを抜き出した容器は、洗浄設備により洗浄処理されている。
【0010】
上記洗浄処理が規定の洗浄基準に達しているか否かの判断は、現状のPCBの測定方法では、1〜2日と時間と手間とを要するという問題がある。
すなわち、洗浄液からの溶媒を抽出し、対象のPCBを濃縮し、アセトニトリル及びヘキサン分配を行ったのちに水を添加する。その後、ヘキサン抽出し、硫酸処理を行ったのち、クロマトグラフィーを行ってPCBを分離したのち、GC分析するという手法をとることが必要となる。
【0011】
特にPCBが付着した大型トランス等の容器を洗浄処理する容器処理設備の開発が検討されているが、システム全体の自動化のためには容器処理の洗浄基準を自動的に判定することが必要となる。
【0012】
また、上記洗浄基準の判定を迅速に処理することができない場合には、容器処理の検査待ちのために、一時保管場所が必要となる、という問題がある。
【0013】
これは、有機ハロゲン化物に限定されるものではなく、分解処理の洗浄判断基準の迅速化が望まれている。
【0014】
本発明は上述した問題に鑑み、例えばPCB等の有害物質を含有する容器を洗浄した後の洗浄検査において有害物質の含有量を簡易に測定できる有害物質の分析装置及びそれを用いた有害物質の処理システムを提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する第1の発明は、被測定液中の有害物質濃度を計測する有害物質分析装置であって、被測定液を有害物質、有機溶剤その他の不純物に分離する分離手段と、分離手段から分離された分離液中の物質を定性する第1の検出器及び定性・定量を行う第2の検出器と、前記分離手段と前記第1の検出器及び前記第2の検出器との間に設けられて当該分離手段からの前記分離液の流路を当該第1の検出器又は当該第2の検出器に切り替える流路切替手段と、上記第1の検出器の測定結果より、上記分離手段からの有機溶剤の溶出の終了を確認した後、上記分離手段からの有害物質を含む分離液を第2の検出器により分析するように、上記流路切替手段を制御する制御手段とを具備してなることを特徴とする有害物質分析装置にある。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、上記分離手段が、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー又はゲルクロマトグラフィーであることを特徴とする有害物質分析装置にある。
【0017】
第3の発明は、第1の発明において、上記有害物質が、PCB、ダイオキシン類、環境ホルモン類、残留農薬、有機金属化合物であることを特徴とする有害物質分析装置にある。
【0018】
第4の発明は、第1又は2の発明において、上記有機溶剤が、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスホキシドであることを特徴とする有害物質分析装置にある。
【0019】
第5の発明は、有害物質が付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、有害物質を保存する容器から有害物質を分離する分離手段と、被処理物を構成する構成材を解体する解体手段のいずれか一方又は両方を有する前処理手段と、前処理手段において処理された被処理物を構成する構成材を分離する分離手段と、分離物から有機物と無機物とに分離する分離手段と、上記分離手段で分離された無機物を洗浄液で洗浄する洗浄手段と、上記有機物をスラリー化するスラリー化手段と、洗浄後の洗浄廃液、分離した有害物質及びスラリーのいずれか一種又は複数種を分解処理する有害物質分解処理手段と、上記洗浄手段の洗浄液中の有害物質濃度を計測する第1から第4の発明のいずれかの有害物質分析装置とを具備することを特徴とする有害物質処理システムにある。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明による実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
また、本実施の形態では、有害物質としてPCBを用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
図1に有害物質の分析装置の概略を示す。
図1に示すように、本実施の形態にかかる有害物質の分析装置100は、被測定液中の有害物質濃度を計測する有害物質分析装置であって、被測定液101を有害物質102、有機溶剤103その他の不純物104に分離する分離手段105と、上記分離手段105から分離された分離液106中の物質を定性する第1の検出器107及び定性・定量を行う第2の検出器108とを具備してなり、上記第1の検出器(定性用検出器)107の測定結果より、上記分離手段105から溶出する有機溶剤103を確認した後、上記分離手段105からの有害物質102を含む分離液1029を第2の検出器(定性・定量用検出器)108により分析するものである。
【0026】
上記分離手段105としては、例えば分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー又はゲルクロマトグラフィーを挙げることができる。
分配クロマトグラフィーとしては、固定相の充填材としてオクタデシル、オクチル、メチル、フェニルメチル、ジクロロフェニル等の疎水性結合基を有するもの、例えばアミノプロピル、シアノプロピル、ニトロフェノール、ジオール、アクリルアミド等の極性結合基を有するものを例示することができる。
吸着クロマトグラフィーの吸着剤としては、例えばシリカゲル、アルミナ、ポーラスポリマー(疎水性又は親水性)を有するものと挙げることができる。
イオン交換クロマトグラフィーのイオン交換体としては、強酸性陽イオン交換体、弱酸性陽イオン交換体、弱塩基性イオン交換体、強延期性陰イオン交換体を挙げることができる。
ゲルクロマトグラフィーの固定相としては、例えば多孔性シリカ、多孔性ガラス、ポリスチレンゲル、ポリビニルアルコールゲル、ポリヒドロキシエチルメタクリレートゲル等を挙げることができる。
【0027】
上記クロマトグラフィーの溶離液としては、水系溶離液としては、例えばアセトニトリル、水、メタノール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン等を例示することができる。また、無極性溶離液としては、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン等を例示することができる。
【0028】
以下、分離手段105としてゲルクロマトグラフィーを例にして説明する。
まず、上記被測定液11を分離手段15であるゲルクロマトグラフィーに通す。ここで、ゲルクロマトグラフィー内の多孔質ゲルにより、異なる大きさの分子の混合物を分離することで、有機溶剤と分析対象である有害物質との分離を行うことができる。
【0029】
上記ゲルクロマトグラフィーとは、ゲル浸透クロマトフラフィー(Gel permeation chromatography:GPC)、分子ふるいクロマトグラフィー(Molecular sive chromatography) と称されている。
【0030】
そして、ゲルクロマトグラフィーから溶出される分離液106中の分析を第1の定性用検出器(例えば紫外線吸光度計)107で測定し、有機溶剤103の溶出が終了したことを確認した後、制御手段110により流路切替手段111を切り換えて、第2の定性・定量用検出器(GC/MS)108で目的の有害物質の分析を行うようにしている。
【0031】
有機溶剤中の有害物質濃度を迅速に監視することにより、有害物質の洗浄処理の結果を判定することができる。
また、第2検出器108には洗浄溶媒が流入しないので、検出器の汚染を防止することができる。
【0032】
上記有害物質とは、例えばPCB、ダイオキシン類等の有機ハロゲン化物、環境ホルモン類、残留農薬、有機スズ等の有機金属化合物である。
【0033】
上記有機溶剤としては、上記有害物質を効率的に洗浄除去することができる例えば炭化水素類、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスホキシド等を挙げることができる。
【0034】
上記定性・定量用の第2検出器108としては、上記GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)以外に、例えばGC−ECD(電子捕獲型ガスクロマトグラフィー装置)、GC/EIMS(電子衝撃イオン化型質量分析装置)、GC/CIMS(化学イオン化型質量分析装置)、GC/NCIMS(負化学イオン化型質量分析装置)、GC/MS/MS(タンデム質量分析装置)、GC/HRMS(高分解能質量分析装置)等を挙げることができる。
【0035】
本実施の形態では、有機ハロゲン化物としてPCBを例にして説明したが、本発明はPCBに限定されるものではなく、他の芳香族ハロゲン化物の分析にも適用することができる。
【0036】
[第2の実施の形態]
図2にPCB分解処理システムの概略を示す。
図2に示すように、PCB無害化処理システムは、有害物質であるPCBが付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、被処理物1001である有害物質( 例えばPCB)1002 を保存する容器1003から有害物質1002を分離する分離手段1004と、被処理物1001を構成する構成材1001a,b,…を解体する解体手段1005のいずれか一方又は両方を有する前処理手段1006と、前処理手段1006において処理された被処理物を構成する構成材であるコア1001aをコイル1001bと鉄心1001cとに分離するコア分離手段1007と、分離されたコイル1001bを銅線1001dと紙・木1001eとに分離するコイル分離手段1008と、上記コア分離手段1008で分離された鉄心1001cと解体手段1005で分離された金属製の容器 (容器本体及び蓋等)1003 とコイル分離手段1008で分離された銅線1001dとを洗浄液1010で洗浄する洗浄手段1011と、上記コイル分離手段1008で分離された紙・木1001eをスラリー化するスラリー化手段1015と、洗浄後の洗浄廃液1012、前処理手段で分離した有害物質1002及びスラリー1014のいずれか一種又は複数種を分解処理する有害物質分解処理手段1013と、上記洗浄液1010中のPCB濃度を迅速に計測する分析装置100とを、具備してなるものである。
【0037】
ここで、本発明で無害化処理する有害物質としては、PCBの他に例えば、塩化ビニルシート、有害廃棄塗料、廃棄燃料、有害薬品、廃棄樹脂、未処理爆薬等を挙げることができるが、環境汚染に起因する有害物質であればこれらに限定されるものではない。
【0038】
また、本発明で被処理物としては、例えば絶縁油としてPCBを用いてなるトランスやコンデンサ、有害物質である塗料等を保存している保存容器を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
また、蛍光灯用の安定器においても従来はPCBが用いられていたので無害化処理する必要があり、この場合には、容量が小さいので前処理することなく、分離手段1009に直接投入することで無害化処理することができる。
【0040】
また、上記有害物質が液体等の場合には、有害物質分解処理手段1013に直接投入することで無害化処理がなされ、その保管した容器は構成材の無害化処理により、処理することができる。
なお、有害物質処理手段1013の構成は、図5に示すものと同様であるので、同一構成部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0041】
上記システムにおいて、上記洗浄液1010中のPCB濃度を迅速に判定できるので、効率のよい容器洗浄処理が可能となり、容器洗浄処理の判定のための待ち時間が短縮できるので、保管スペースの確保が不要となる。
【0042】
また、分析に要する時間の低減・操作性の簡便化を図ることができるので、容器洗浄判定において、個人差のない判定が可能となる。
【0043】
また、数百台/一日の容器処理の判定が可能となり、判定待ちための一時保管する洗浄廃液の環境負荷を軽減できる。
【0044】
[第3の実施の形態]
次にPCB分解処理システムで分離された容器等の洗浄判定に用いたシステムの概略を示す。
図3は有害物質汚染物の処理卒業判定システムの概略構成を示す。
図3に示すように、本実施の形態にかかる有害物質汚染物の処理卒業判定システム10は、有害物質に汚染された有害物質汚染品11を処理手段12で処理した後に、該処理品13が有害物質の残留処理基準に適合していることを判定する有害物質汚染物の処理卒業判定システムであって、処理終了後の処理品13に残留している有害物質を判定液14中に溶解させる判定槽15と、上記判定液14中の有害物質の濃度を計測する分析手段100とを具備してなるものである。
【0045】
ここで、上記処理品14は有害物質汚染品11を洗浄処理手段1011で処理したものであり、例えば有害物質がPCBの場合には、トランス又はコンデンサ等の構成材である、容器、コア・トランス裁断物、鉄心、銅線、碍子、金具類を例示することができる。
【0046】
ここで、上記判定槽15に使用する判定液14は、n−ヘキサン、イソプロピルアルコール又はイソプロピルアルコールと水との混合物、トリクロロエタン、パラフィン系炭化水素を例示することができる。
【0047】
本有害物質汚染物の処理卒業判定システムによれば、有害物質汚染品11を処理した後の処理品13を判定槽15に浸漬等し、判定液14中に残留した有害物質を溶解させることで、残留有害物質の濃度を上述した図1に示すような分析手段100により測定することで、間接的に残留量を測定することができる。
【0048】
上記分析手段100において、分離手段としてゲルクロマトグラフィーを用いた場合には、GPCカラムとしては昭和電工社製(GC−310(商品名):内径7.6 mm、長さ500 mm、粒径9μm)を用い、アセトニトリル/水(8:2)系の溶離液を用いた。試料注入量は100μL、流速1mL/minでおこなった。
また、分配クロマトグラフィーの場合には、カラムとしてはGLサイエンス社製(ODS−80A(商品名):内径4.6 mm、長さ250 mm、粒径5μm)を用い、アセトニトリル溶離液を用いた。試料注入量は20μL、流速0.5 mL/minでおこなった。
【0049】
この結果、処理が適切に行われて一定の判定基準を達している場合(卒業)には、いわゆる有害物質フリー品となる。一方処理が適切に行われておらず、一定の判定基準に達していない場合(落第)には、再度処理がなされる。
【0050】
また、上記分析手段の分析結果17より判定液14中の有害物質濃度を判定する判定手段18を設け、上記判定手段18が、上記判定槽中の判定液14の有害物質濃度の測定値から単位面積当たりの有害物質残留量を求めて処理品拭き取り試験の判定値を求め、処理品拭き取り試験の合格基準に達しているか否かを判定するようにしている。
【0051】
ここで、この判定手順を図4を参照しつつ説明する。
先ず、処理品13を判定槽15中に移動させ、その後判定液13を供給し、処理器13に付着していた微量有害物質を判定液14中に溶解させて、処理手段12での処理後の有害物質の残留濃度(X)を測定する(S−101)。
予め求めていた検量線を基に、上記測定値(X)から単位面積当たりの有害物質残留量を求め(S−102)、この結果から処理品拭き取り試験の判定値を求める(S−103)。
その判定値から処理品拭き取り試験の合格基準(卒業)に達しているか否かを判定する(S−104)。
【0052】
よって、上記合格基準に基づき、処理品14を処理終了品20とするか、又は再度の処理を行う再処理品21とするか否かが選別19される。
【0053】
また、判定の際には、上記判定槽15に判定液を供給する判定液供給手段22を設け、上記判定槽15内に処理品13を格納した後に、密閉状態とし、判定液供給手段22から判定液15を判定槽15に供給して処理品13を判定液14中に浸漬させるようにしてもよい。
【0054】
この判定の処理の後には、判定槽15から判定液を液抜きし、乾燥手段23にて乾燥させている。この乾燥手段は一体にしても、別に設けるようにしてもよい。
【0055】
また、処理品13を判定液14に浸漬させる方法としては、判定液14を充満した判定槽に浸漬させるいわゆるどぶ漬け法を用いるようにしてもよい。
【0056】
また、判定液14中の有害物質の量が判定基準以上の有害物質濃度となっている場合には、判定処理を行うことができないので、判定液14中の有害物質濃度を分析手段100で分析し、上記判定液14の有害物質濃度が所定量以下であることを確認しつつ判定するようにしている。
例えば有害物質としてPCBを例にする場合、判定液14中のPCB量を0.3mg/kgで卒業基準を設定している場合には、判定液14中のPCB量が0.3mg/kg以下の場合には、再度判定液としてそのまま使用できることになる。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明によれば、被測定液中の有害物質濃度を計測する有害物質分析装置であって、被測定液を有害物質、有機溶剤その他の不純物に分離する分離手段と、分離手段から分離された分離液中の物質を定性する第1の検出器及び定性・定量を行う第2の検出器と、前記分離手段と前記第1の検出器及び前記第2の検出器との間に設けられて当該分離手段からの前記分離液の流路を当該第1の検出器又は当該第2の検出器に切り替える流路切替手段と、上記第1の検出器の測定結果より、上記分離手段からの有機溶剤の溶出の終了を確認した後、上記分離手段からの有害物質を含む分離液を第2の検出器により分析するように、上記流路切替手段を制御する制御手段とを具備してなるので、有機溶剤の影響を受けることがなく有害物質の濃度を迅速に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる有害物質分析装置の概略図である。
【図2】第2の実施の形態にかかるPCB分解処理システムの概略図である。
【図3】第3の実施の形態にかかる卒業判定システムの概略図である。
【図4】第3の実施の形態にかかる卒業手順の工程図である。
【図5】水熱酸化分解処理装置の概略図である。
【符号の説明】
101 被測定液
102 有害物質
103 有機溶剤
104 不純物
105 分離手段
106 分離液
107 第1の検出器
108 第2の検出器
109 分離液
110 制御手段
111 流路切替手段
Claims (5)
- 被測定液中の有害物質濃度を計測する有害物質分析装置であって、
被測定液を有害物質、有機溶剤その他の不純物に分離する分離手段と、
分離手段から分離された分離液中の物質を定性する第1の検出器及び定性・定量を行う第2の検出器と、
前記分離手段と前記第1の検出器及び前記第2の検出器との間に設けられて当該分離手段からの前記分離液の流路を当該第1の検出器又は当該第2の検出器に切り替える流路切替手段と、
上記第1の検出器の測定結果より、上記分離手段からの有機溶剤の溶出の終了を確認した後、上記分離手段からの有害物質を含む分離液を第2の検出器により分析するように、上記流路切替手段を制御する制御手段と
を具備してなることを特徴とする有害物質分析装置。 - 請求項1において、
上記分離手段が、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー又はゲルクロマトグラフィーである
ことを特徴とする有害物質分析装置。 - 請求項1において、
上記有害物質が、PCB、ダイオキシン類、環境ホルモン類、残留農薬、有機金属化合物である
ことを特徴とする有害物質分析装置。 - 請求項1又は2において、
上記有機溶剤が、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスホキシドである
ことを特徴とする有害物質分析装置。 - 有害物質が付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、
有害物質を保存する容器から有害物質を分離する分離手段と、
被処理物を構成する構成材を解体する解体手段のいずれか一方又は両方を有する前処理手段と、
前処理手段において処理された被処理物を構成する構成材を分離する分離手段と、
分離物から有機物と無機物とに分離する分離手段と、
上記分離手段で分離された無機物を洗浄液で洗浄する洗浄手段と、
上記有機物をスラリー化するスラリー化手段と、
洗浄後の洗浄廃液、分離した有害物質及びスラリーのいずれか一種又は複数種を分解処理する有害物質分解処理手段と、
上記洗浄手段の洗浄液中の有害物質物濃度を計測する請求項1乃至4のいずれか一の有害物質分析装置と
を具備することを特徴とする有害物質処理システム。
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