JP2006047044A - 絶縁油中pcbの分析法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 絶縁油中PCBの前処理における処理時間を短縮し、前処理をオンラインによる自動化によって処理時間を短縮し、操作を簡易化し、また、油の除去効率を高める。
【解決手段】 ドライカラム及びGPCクロマトグラフィーを用いた工程を用いることにより、前処理における油除去の処理時間を短縮すると共に油の残留率を低減する態様、GPCカラムにより油除去を行うと共に前処理の一部をオンラインで行うことにより処理時間を短縮する態様を備える。一の態様では、(a)乾燥した充填材にPCB成分を含有する絶縁油を浸透させる工程と、(b)前記絶縁油を浸透させた充填材から含水アセトニトリルによりPCB成分を抽出する工程と、(c)抽出液からPCB成分を含む溶出液を分離する工程と、(d)溶出液をGPCクロマトグラフィーで残存油を除去する工程と、(e)溶出液をGC−ECDで分析を行う工程とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】 ドライカラム及びGPCクロマトグラフィーを用いた工程を用いることにより、前処理における油除去の処理時間を短縮すると共に油の残留率を低減する態様、GPCカラムにより油除去を行うと共に前処理の一部をオンラインで行うことにより処理時間を短縮する態様を備える。一の態様では、(a)乾燥した充填材にPCB成分を含有する絶縁油を浸透させる工程と、(b)前記絶縁油を浸透させた充填材から含水アセトニトリルによりPCB成分を抽出する工程と、(c)抽出液からPCB成分を含む溶出液を分離する工程と、(d)溶出液をGPCクロマトグラフィーで残存油を除去する工程と、(e)溶出液をGC−ECDで分析を行う工程とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、絶縁油中に含まれるPCB成分の分析方法に関する。
絶縁油中PCBの分析法として、社団法人日本電気協会が「絶縁油中のPCBの分析方法規定」として定めた方法が知られている(非特許文献1参照)。
上記で定める分析法の一つはシリカゲル・硫酸処理法と呼ばれる方法であり、他の分析法はシリカゲル・フロリジル二層カラム法と呼ばれる方法である。いずれの方法も、前処理の後にGC−ECD(電子捕獲検出器)によるガスクロマトグラフ法でPCBを定量する方法である。
図11はシリカゲル・硫酸処理法の操作手順を説明するためのフローチャートであり、図12はシリカゲル・フロリジル二層カラム法の操作手順を説明するためのフローチャートである。
図11において、シリカゲル・硫酸処理法では、絶縁油をヘキサンに溶解して希釈し(ステップS101)、シリカゲルカラムクロマトグラフにかけ(ステップS102)、シリカゲルカラムクロマト溶出液を濃縮し(ステップS103)、硫酸処理する(ステップS104)という前処理を行った後、GC/ECD分析を行う(ステップS105)。
また、図12において、シリカゲル・フロリジル二層カラム法では、絶縁油を希釈し(ステップS111)、シリカゲル・フロリジル二層カラムにかけ(ステップS112)、シリカゲル・フロリジル二層カラムクロマト溶出液を濃縮するという前処理を行った後、GC/ECD分析を行う(ステップS113)。
「絶縁油中のポリ塩化ビフェニル(PCB)の分析方法規程」JEAC 1201-1991 社団法人日本電気協会 電気技術基準調査委員会
「絶縁油中のポリ塩化ビフェニル(PCB)の分析方法規程」JEAC 1201-1991 社団法人日本電気協会 電気技術基準調査委員会
上記したシリカゲル・硫酸処理法、及びシリカゲル・フロリジル二層カラム法は、いずれもGC/ECDにより分析できる溶液を調整するための前処理に数時間を要するため迅速な分析が困難であるという問題がある。特に、シリカゲルカラムクロマトの工程に長時間を要する。
また、PCBの溶出位置を確認するために、画分をそれぞれGC−ECDで分析しなければならず、実試料分析では、PCBを含む画分を分取し、別途濃縮操作を行った後、GC−ECD分析をしなければならない。そのため、上記の方法では、自動化できる工程がないため、前処理はオフラインで人手にたよることになり、操作時間が長くなると共に操作者に対する負担が大きいという問題がある。
また、油の除去効率も低いという問題がある。図13は、未処理の廃油希釈溶液とJEAC1201-1991法による前処理を行った後の前処理溶液のFIDクロマトグラフを示している。図13の分析結果は、JEAC1201-1991法による前処理では十分な油除去が行われていないことを示している。また、以下の表1は、JEAC1201-1991法による絶縁油残留率の一例を示している。なお、表2はこのときの分析条件を示している。
油の残留率が高い場合には、分析精度に影響する他、カラムや検出器が油で汚染され、劣化するという問題もある。
そこで、本発明は上記課題を解決し、絶縁油中PCBの前処理における処理時間を短縮することを目的とし、また、前処理をオンラインによる自動化によって処理時間を短縮し、操作を簡易化することを目的とし、また、油の除去効率を高めることを目的とする。
上記目的を解決するために、本発明は、ドライカラム及びGPCクロマトグラフィーを用いた工程を用いることにより、前処理における油除去の処理時間を短縮すると共に油の残留率を低減する第1の態様と、GPCカラムにより油除去を行うと共に前処理の一部をオンラインで行うことにより処理時間を短縮する第2の態様を備える。
第1の態様は、(a)乾燥した充填材にPCB成分を含有する絶縁油を浸透させる工程と、(b)前記絶縁油を浸透させた充填材から含水アセトニトリルによりPCB成分を抽出する工程と、(c)抽出液からPCB成分を含む溶出液を分離する工程と、(d)溶出液をGPCクロマトグラフィーで残存油を除去する工程と、(e)溶出液をGC−ECDで分析を行う工程とを備える。
第1の態様では、(a)の工程において、絶縁油をドライカラムのフロリジルやシリカゲル、ODSなどの充填材に絶縁油を浸透させると、充填材の表面に絶縁油が薄く拡がり、(b)の工程において、20%程度の含水アセトニトリルを流すことで、充填材表面に薄く拡がった絶縁油層から効率よくPCBを抽出することができる。この過程によって、負荷した絶縁油の70〜80%を除去することができる。
(c)の工程において、含水アセトニトリル抽出液をNaClを適量加えて、軽く振とうさせることで水とアセトニトリル層を分離し、(d)の工程において、GPCクロマトグラフィーで残存油を除去することで、負荷した絶縁油の98〜95%を除去することができる。
したがって、第1の態様では、ドライカラム及びGPCクロマトグラフィーを用いた工程を用いることによって、従来のシリカゲルカラムクロマトの工程等の長時間を要する処理を除いて処理時間を短縮すると共に、絶縁油の高い除去効率を得ることができる。
第1の態様において、(c)の分離工程と(d)のGPCクロマトグラフィーによるクリーンアップ工程との間に、溶出液を濃縮する工程(f)と、濃縮液を硫酸処理する工程(g)と備える構成とすることもできる。この(f),(g)の工程は、省略することができる。
第2の態様は、(A)試料中のPCB成分と絶縁油とをGPC用カラムで分離する工程と、(B)PCB成分を含む溶出液分画の一部又は全部をガスクロマトグラフ用試料気化室に導入する工程と、(C)気化成分をガスクロマトグラフ用カラムで分析する工程とを備える。
第2の態様では、(A)の工程においてGPC用カラムで絶縁油とPCBを分離し、(B)の工程においてPCBを含む溶出液のみをGCに導入する。このGCへの導入において、PCB成分を含む溶出液分画をスプリットする工程と、任意の幅と量でガスクロマトグラフ用試料気化室に導入する工程とをオンラインで行う。これによって、前処理の一部をオンライン化し自動化することができる。
ここで、PTV付きのキャピラリGC−ECDを用い、PCBを含む溶出液のみをPTVに導入することによって、PTV内でPCBの濃縮を行うことができる。
第1の態様は、第2の態様の工程を組み込むことができ、(d)のGPCクロマトグラフィーによるクリーンアップ工程の後、PCB成分を含む溶出液分画の一部又は全部をガスクロマトグラフ用試料気化室に導入する工程(h)を含み、気化成分をガスクロマトグラフ用カラムで分析する。
本発明によれば、絶縁油中PCBの前処理における処理時間を短縮することができる。
また、オンラインによる自動化によって前処理の処理時間を短縮し、操作を簡易化することができる。また、油の除去効率を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の絶縁油中PCBの分析法の流れを説明するためのフローチャートである。本発明の絶縁油中PCBの分析法では、GC/ECD分析(ステップS3)に先立て、前処理(ステップS1)及びオンライン前処理(ステップS2)を行う。
本発明は、ステップS1の前処理において、ドライカラムを用いた工程を用いることにより、前処理における油除去の処理時間を短縮すると共に油の残留率を低減する第1の態様を備え、また、ステップS2のオンライン前処理において、GPCカラムにより油除去を行うと共に前処理の一部をオンラインで行うことにより処理時間を短縮する第2の態様を備える。PCBの濃度等によってはS2とS3の間で濃縮することもできる。
以下、図2〜図5を用いて、第1の態様であるステップS1の前処理について説明する。
図2は前処理の操作を説明するためのフローチャートである。ここで、絶縁油中PCBの分析は、図1に対応して前処理(ステップ1A)と、オンライン前処理(ステップS2)と、GC/ECD分析(ステップS3)を含むものとする。
前処理1Aにおいて、試料としてPCB成分を含む絶縁油0.2g程度を用意し(ステップA1)、この絶縁油をドライカラムの上部に滴下する。ドライカラムとして、例えばフロリジルミニカラムを用いることができる。ドライカラムの充填材は、フロリジルの他、シリカゲルやODSを用いることができる。
この滴下において、ミニカラムの下流側に真空ポンプやアスピレータ等をつないで5分間程度吸引する。これによって、絶縁油を充填材全体に拡げる(ステップA2)。水とアセトニトリルが2対8の割合の含水アセトニトリル(例えば、水6ml,アセトニトリル24mlの含水アセトニトリル30ml)をミニカラムの上流から流し、自然滴下させて滴下液を捕集する。これによって、PCB成分を抽出する(ステップA3)。
次に、捕集した滴下液にNaCl(例えば、1.5g)を加え、軽く振とうした後、静置する。この塩析により溶出液はアセトニトリル層と水層に分離する(ステップA4)。
溶出液をGPCクロマトグラフィーによってGPCクリーンアップし残留油を除去し(ステップA5)、必要に応じて濃縮し、溶出液をGC/ECD分析する(ステップS3)。このときのGPCクリーンアップ条件の一例を以下の表3に示す。
なお、前記のステップA4とステップA5の工程の間に、濃縮工程(ステップA6)と硫酸処理工程(ステップA7)を組み込んでもよい。この工程では、ステップA4で分離したアセトニトリル層を濃縮してヘキサン(例えば、5ml)に転溶し共栓付き試験管に移し、硫酸(例えば、5ml)を添加し、軽く振とうした後、静置する。その後、ヘキサン層を分取して共栓付き試験管に移し、酢酸エチルとシクロヘキサン(3:7)に転溶する。
図3は、廃油希釈溶液と、本発明の絶縁油中PCBの分析法のドライカラム処理を行った直後と、ドライカラム処理の後に硫酸処理を行った直後と、ドライカラム処理と硫酸処理の後にGPC処理を行った直後の、各段階でのFIDクロマトグラムを示している。なお、図のFIDクロマトグラムでは、油分0.1mg/ml相当濃度となるように感度を調整し、分析条件は前記した表1と同条件である。
図3において、ドライカラム処理を行った直後と、ドライカラム処理の後に硫酸処理を行った直後のFIDクロマトグラムはほぼ同じであり、図中では2つが重なって示されている。
図3のFIDクロマトグラムが示すように、ドライカラム処理のみでも油はかなり除去され、GPC処理後の最終溶液では非常に効率的な油除去が行われている。
本発明のドライカラムとGPCクロマトグラフィーとを用いた絶縁油中PCBの分析法における各前処理段階での絶縁油残留率を以下の表4に示す。なお、分析条件は、表2で示したものと同じである。
表4に示す絶縁油残留率によれば、未処理における廃油及び新油の絶縁油残留率を100%としたとき、ドライカラムと硫酸処理を経た後では、約21〜17%(廃油残留率は21.2%、新油残留率は16.7%)の絶縁油が残留しているのに対して、前処理におけるGPCクリーンアップ後の最終溶液では、約4.2〜2.3%(廃油残留率は4.23%、新油残留率は2.36%)の絶縁油が残留しているのみである。
上記のように、本発明によるドライカラムとGPCクロマトグラフィーとを用いた絶縁油中PCBの分析法での油残留率は低く、従来のJEAC1201-1991法による分析と比較して、カラムや検出器の汚染を低減し、汚染による劣化の可能性を1/20〜1/40に低下させることが期待される。
ここで、本発明の絶縁油中PCBの分析法によれば、妨害成分が十分に除去されることを図4,5を用いて説明する。
図4はGC−ECDによるPCB標準溶液のクロマトグラムを示し、図5は本発明のドライカラムとGPCクロマトグラフィーとによる絶縁油中PCBの分析法で処理したPCB添加溶液のクロマトグラムを示している。図4と図5のクロマトグラムを比較すると、その差はほとんど無いといってよく、絶縁油の妨害成分による分析の妨害が見られないことを示している。
また、PCBを1,5,50,100μg/gとなるように添加した絶縁油を本発明のドライカラム−GPCクロマトグラフィーの絶縁油中PCBの分析法で前処理し、CD−ECDで定量したときの添加回収率を以下の表5に示し、PCBを5μg/gとなるように添加した絶縁油を従来のJEAC1201-1991法による分析法で前処理し、CD−ECDで定量したときの添加回収率を以下の表6に示す。なお、分析条件は、共に表7に示す条件である。
表5に示すように、本発明のドライカラム−GPCクロマトグラフィーの絶縁油中PCBの分析法による添加回収率は86〜105%と良好である。また、表6に示すように、従来のJEAC1201-1991法による分析法による添加回収率は95.7%であり、本発明の絶縁油中PCBの分析法とJEAC1201-1991法による分析法とでは、同等の添加回収率を達成することができる。
ここで、本発明のドライカラム−GPCクロマトグラフィーの絶縁油中PCBの分析法では、前処理時間は約2時間と短く、しかもGPCクリーンアップ時(A5)を含むオンライン処理の約40分間は自動化できるため、人での負担を軽減することができる。
また、分析の妨害となる油の残留率も約2.4〜4.2%と低く、GCのカラムや検出器の汚染を軽減することができる。
次に、GPCカラムにより油除去を行うと共に前処理の一部をオンラインで行う第2の態様について、図6〜図9を用いて説明する。
図6はオンライン処理を行う装置の概略図である。GPCカラム4は、カラム恒温槽41によって一定温度に調整される。GPCカラム4に一端には試料注入器3が接続され、注入された試料は移動相溜1の移動相と共に送液ポンプ2によってGPCカラム4に導入される。なお、移動相溜1と送液ポンプ2との間には脱気装置2が設けられ、移動相中に気泡が除去される。
GPCカラム4の溶出端にはUV検出器5が接続され、UV検出器5の出口側流路10は流路切換バルブV1に接続される。また、流路10の一部は分岐し、分岐流路11には一端が大気に開放された抵抗管R1が接続される。
流路切換バルブV1の各ポートには、流路10、トラップ用ループ7、抵抗管R2、試料流入流路12、GC接続流路13が接続され、流路10、トラップ用ループ7、抵抗管R2からなる第1の流路と、試料流入流路12、GC接続流路13とからなる第2の流路とが切換え可能となっている。
なお、抵抗管R2の抵抗は抵抗管R1との関係で決められ、抵抗管R1とR2との抵抗比(スプリット比)により、トラップ用ループ7に入る溶出液の幅、量を調節することができる。また、試料流入流路12には、試料注入液溜8、脱気装置14、試料注入ポンプ9、抵抗管3が配設され、トラップ用ループ7に入った試料は、試料注入液溜8の試料注入液により押し出され、GC接続流路13に送られる。試料の押し出し速度は、試料注入ポンプの送液流量を調整することにより制御することができる。
PTVインジェクタ7は、内部に試料を保持するためのガラスインサート(図示していない)が収容され、PTVインジェクタ7の外周には加熱ヒータ(図示していない)が設置される。PTVインジェクタ7内の温度は。制御装置(図示していない)を使って加熱ヒータを制御し、所定の温度にプログラム制御される。PTVインジェクタ7はセプタム16を貫通して、試料導入流路15内に挿入される。試料導入流路15の先端は、ガラスインサート内に位置している。
また、キャリアガス吸入口22が設けられ、キャリアガス流路20が接続される。このキャリアガス流路20は、流路切換バルブV2によって切換え接続される。
PTVインジェクタ17にはGC用カラム(キャピラリカラム)18が接続され、キャピラリカラム18の溶出端にはPCB用検出器(例えば、ECD)が接続される、キャピラリカラム18は恒温槽(図示していない)に収納され、所定の温度プログラムに従って制御される。
上記構成において以下の操作により試料分析を行う。図7はこの操作手順を説明するためのフローチャートである。
先ず、流路切換バルブV1,V2を図中の実線で示す状態として、試料注入器3により前処理1Aを経た後の試料を注入する。試料は移動相溜1から供給される移動相と共にGPCカラム4に流入し、分子量の大きさ及び充填材の吸着作用に基づいて分離される(ステップA5)。
UV検出器5は、UV吸収を持つPCBの溶出位置を検出する。ここで、予め、PCB標準品をGPCカラム4に注入してUV検出器5によってPCBの位置を確認しておくことで、PCBを含む画分のみを選択的にGC−ECDに導入することができる。
GPCカラム4から溶出した溶出液は、抵抗管R1の流路抵抗と抵抗管R2の流路抵抗により定まる比率(スプリット比率)でトラップ用ループ7に流れ込み、残りの分は抵抗管R1を介して系外に排出される。
なお、PCB成分の濃度が十分に高い場合には、抵抗管R1,R2の作用によって一部をスプリットするが、濃度が低い場合には抵抗管R1の端にメクラ栓をして全量をトラップ用ループ7内にトラップしてもよい(ステップS21)。
PCB成分を含む溶出液がUV検出器を通過してトラップ用ループ7に達した時点で、流路切換バルブV1を切り換えると同時に流路切換バルブV2を切り換えて(ステップS22)、試料注入液によりトラップ用ループ7内の溶出液をPTVインジェクタ17のガラスインサート内に注入する。なお、注入前のPTVインジェクタ17の温度は、GPC移動相として用いる溶媒の沸点付近としておく(ステップS23)。
注入が終了した時点で、流路切換バルブV1,V2を切り換え、PTVインジェクタ17の温度を所定のプログラムに従って上昇させ、PTVインジェクタ17内で溶剤の大部分を気化させて除去する(ステップS24)。
さらに、PTVインジェクタ17内の温度を上げ、PCBを気化させる(ステップS25)。気化させたPCBをキャリアガスによりキャピラリカラム18に送る。キャピラリカラム18に送られたPCB成分は分離され、ECD19で検出される。ここで、キャピラリカラム18の温度は、PTVインジェクタ17の温度制御と同様に所定の温度プログラムに沿って温度上昇が行われる。
なお、以上の説明において、流路切換バルブV1,V2の切換制御は、予めPCB標準品のGPCカラムからの溶出時間と、UV検出器からトラップ用ループに至る配管の容積とGPC移動相の流量と、抵抗管R1,R2によるGPC溶出液のスリップ比からバルブV1,V2の切換時間を計算し、システムコントローラに切換時間を入力しておき、自動的に行う。
上記の構成において、GPCカラムには、前記図2のフローチャートで示した前処理を施した試料を注入する。なお、フローチャート中のA5に示すGPCクロマトグラフィーによる残存油の除去は、上記GPCカラムへの注入に相当している。
図8は、PCB標準品のクロマトグラムである。なお、このクロマトグラムは、GLサイエンス社製のカネクロールキット(KC−300,400,500,600の等量混合品の2ppmをGPC/GC−ECDで分析したものである。26分以降のピークがPCBである。
また、図9は、絶縁油(廃油)にPCB標準品を0.5ppm添加し、前記図2に示す前処理を行った後、GPC/GC−ECDで分析したものである。
なお、分析条件は、以下の表8に示す。
なお、分析条件は、以下の表8に示す。
上記の構成によれば、GPCカラムで絶縁油とPCBとを分離し、PCBを含む溶出液のみをGCのPTVインジェクタに導入することによって、PTVインジェクタ内でPCBの濃縮を容易に行うことができる。
なお、本発明の第2の態様では、前処理は上記した前処理に限らず、図10に示す前処理を用いてもよい。
図10に示すフローチャートにおいて、前処理1Bは、注入した試料(ステップB1)を硫酸処理して(例えば、ヘキサン20mlと硫酸10ml)(ステップB2)、スターラーで攪拌し(例えば、200rpmで2時間)、水洗いして(例えば、水10mlで3回)、ヘキサン層と硫酸層及び水層に分離し(ステップB3)、ヘキサン層を濃縮し(ステップB4)、酢酸エチルとシクロヘキサン(3:7)に転溶する。
溶出液をGPCクロマトグラフィーによってGPCクリーンアップし残留油を除去し(ステップB5)、溶出液をGC/ECD分析する(ステップS3)。
第2の態様によれば、従来オフラインで行われていた前処理の内、絶縁油とPCBの分離、分取及び分取物の濃縮をオンラインで行うことによって、分析に要する時間を短縮することができる。短縮の一例として、1検体当たり1日以上を要していた処理時間を1検体当たり約130分とすることができる。
1…移動相、2…送液ポンプ、3…試料注入器、4…GPCカラム、5…UV検出器、6…脱気装置、7…トラップ用ループ、8…試料注入液、9…送液注入ポンプ、10…出力側流路、11…分岐流路、12…試料流入流路、13…GC接続流路、14…脱気装置、15…試料導入流路、16…セプタム、17…PTV、18…キャピラリかラム、19…ECD、20…キャリアガス流路、21…キャリアガス、22…キャリアガス吸入口。
Claims (5)
- 乾燥した充填材にPCB成分を含有する絶縁油を浸透させる工程と、
前記絶縁油を浸透させた充填材から含水アセトニトリルによりPCB成分を抽出する工程と、
前記抽出液からPCB成分を含む溶出液を分離する工程と、
前記溶出液をGPCクロマトグラフィーで残存油を除去する工程と、
前記溶出液をGC−ECDで分析を行う工程とを備えることを特徴とする絶縁油中PCBの分析法。 - 前記分離工程と前記GPCクロマトグラフィーで残存油を除去する工程との間に、
前記溶出液を硫酸処理する工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載の絶縁油中PCBの分析法。 - 試料中のPCB成分と絶縁油とをGPC用カラムで分離する工程と、
PCB成分を含む溶出液分画の一部又は全部をガスクロマトグラフ用試料気化室に導入する工程と、
気化成分をガスクロマトグラフ用カラムで分析する工程を備えることを特徴とする絶縁油中PCBの分析法。 - 前記PCB成分を含む溶出液分画をスプリットする工程と、
任意の幅と量でガスクロマトグラフ用試料気化室に導入する工程とをオンラインで行うことを特徴とする、請求項3に記載の絶縁油中PCBの分析法。 - 前記GPCクロマトグラフィーによるクリーンアップ工程の後、
PCB成分を含む溶出液分画の一部又は全部をガスクロマトグラフ用試料気化室に導入する工程を含み、
気化成分をガスクロマトグラフ用カラムで分析することを特徴とする、請求項2に記載の絶縁油中PCBの分析法。
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