JP3879031B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積雪路、凍結路等の滑りやすい道路を走行する自動車に装着されるスタッドレスタイヤのトレッドに用いられるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
積雪路、凍結路等の滑りやすい道路を走行する自動車には、積雪路でのトラクションを大きくするためにトレッドに設けられる溝模様を深い縦方向の溝と横方向の溝で構成されるブロックパターンにし、トレッドを氷上で滑りにくくされたゴム組成物で形成したタイヤ、所謂スタッドレスタイヤが用いられている。タイヤが氷上で滑りにくくする方法として、▲1▼粒径が0.01〜5mmの硬質粒状体、例えばアルミナ、花崗岩、石英等の無機物を破砕した無機物粒状体、胡桃、椿等の種子の殻或るいは桃、梅等の果実の核を破砕した植物性粒状体を配合したゴム組成物でトレッドを形成し、接地した際に、トレッド表面から突出する粒状体が氷の中に散在する気泡で表層が薄くなった部分を破って、その後にできた穴に引っ掛かかるようにさせる方法、▲2▼ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド等の発泡剤を配合したゴム組成物でトレッドを形成し、タイヤ加硫中にゴム組成物を発泡させて多孔質にし、接地している部分の氷の表面に存在する水を孔に吸収させ、トレッド表面が直接氷に接触するようにするとともに、孔のエッジを氷の表面の気泡が破壊して生じた微細凹凸に引っ掛けるようにする方法、▲3▼通常トレッドに使用されるゴム組成物より硬度を5〜10低くして、接地時の変形を容易にすることによって接地面積を増加させて摩擦を大きくさせるとともに粘着摩擦を増大させる方法、▲4▼シリコン等を配合した撥水性が大きいゴム組成物でトレッドを形成して、トレッド表面に付着する水を除去する方法が知られている。
【0003】
しかし、上記の従来用いられていた方法は、いずれも下記に述べる問題点を有し、積雪路及び凍結路における耐滑り性は不十分であった。すなわち、▲1▼硬質粒状体を配合したゴム組成物でトレッドを形成する方法においては、硬質粒状体のマトリックスゴムへの接着性が悪いので、タイヤ使用初期は耐滑り性がよくても、使用中に硬質粒状体が脱落して氷面引っ掛け効果が低下し、耐滑り性が低下する。▲2▼多孔質ゴムでトレッドを形成する方法においては、多孔質にすることにより引き裂き強度が低下して耐摩耗性が低下し、トレッドに用いられる一般的なゴム組成物でトレッドを形成したタイヤより摩耗寿命が短かくなる。▲3▼低硬度のゴム組成物でトレッドを形成する方法においては、トレッドパターンのブロック剛性が低いため、積雪路を走行するとき、トレッドパターンの溝に入った雪を踏み固め、その反力で進行する作用が弱く、積雪路で滑りやすくなる。▲4▼撥水性が大きいゴム組成物でトレッドを形成する方法においては、最も滑りやすい表面が溶融した氷上を走行するとき、水を撥水、除去する作用が不足し、スタッドレスタイヤとしての性能が発揮されない。
【0004】
一般に、粒状体の配合量を多くして凍結路面での耐滑り性を改良しようとすれば、耐摩耗性が低下する傾向にあるが、本発明の出願人が出願した特開平5−287128号公報に、加硫した後のゴム組成物からアセトン・クロロホルム混合溶剤で抽出される抽出成分の量Eと補強性充填剤の量Aとが下記の量的関係:
E<0.4(A−0.38)
(式中、Eはゴム組成物の前記溶剤による抽出後のゴム成分を100重量部に対する抽出成分の重量部数、Aは同じく抽出後のゴム成分に対する補強性充填剤のの重量部数)
を満足するようにして耐摩耗性を向上させ、滑り抵抗を大きくするために配合される粒状体として、平均粒径が0.01〜5mmの植物性粒状体をレゾルシン・ホルマリン樹脂の初期縮合物とラテックスの混合物で表面処理してマトリックスゴムとの接着力を大きくしたものを用いることによって、タイヤ使用中の植物性粒状体の脱落を防止し、耐摩耗性を大きくするとともに優れた耐滑り性を長期に亘って保持できるゴム組成物が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物で表面処理した植物性粒状体を配合したゴム組成物は、以下に述べる問題点を有することが明らかになった。すなわち、レゾルシン・ホルマリン樹脂の初期縮合物とラテックスの混合物でなる表面処理剤に浸漬または植物性粒状体に表面処理剤を吹き付け、乾燥している間に、表面処理剤の粘着性が増加して植物性粒状体同士が表面処理剤と一緒になって凝集固化し、粒径が大きくなる。特に小粒径のものは比表面積が大きいので凝集して大粒径化しやすい。粒径の大きい粒状体がタイヤトレッドのゴム組成物に含有される場合、粒状体は異物として挙動し、タイヤ走行時クラック発生の原因になる。特に、タイヤトレッドの溝模様の溝底部分は、トレッドの他の部分より肉厚が薄く、この部分に大粒径の粒状体が存在するとそれが核になってクラック、所謂グルーブクラックが発生し、早期に使用不能になることがあった。従って本発明の目的は、ゴム接着性改良剤で表面処理された植物性粒状体を配合したゴム組成物がスタッドレスタイヤのトレッドに用いられたときに長期に亘って示す凍結路面での優れた耐滑り性を維持しながら、耐動的クラック性が向上したゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分にするゴム接着性改良剤によるゴム接着性改良表面処理が施され、表面処理後の粒径が200〜600μmである植物性粒状体の1〜20重量部と、ゴム接着性改良の表面処理が施されていない粒径が30〜200μmである植物性粒状体の1.5〜10重量部が配合されたことを特徴とする。
【0007】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物においては、前記ゴム接着性改良表面処理が施された植物性粒状体が、種子の殻、果実の核等を粉砕した粒径が100〜600μmの植物性粒状体を、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分にするゴム接着性改良剤で浸漬または吹き付けによって表面処理して乾燥した後、再粉砕、篩分けして粒径分布範囲を200〜600μmに調整したものであることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる植物性粒状体は、氷の硬さより硬い、言い換えればモース硬度が2以上である胡桃、椿等の種子の殻または桃、梅等の果実の核を公知の方法で粉砕して粒状体にしたものである。これらの粒状体を配合したゴム組成物でトレッドを形成したタイヤが氷の上で滑りにくいのは次に述べる理由によるものである。すなわち、一般に路面を覆って滑りやすくなる氷は、自動車の通行により押し固められた雪、所謂圧雪に水が染み込んで凍ってできた氷あるいは日中溶融してできた水が夜間凍結したできた氷である。これらの氷には径が0.01〜0.5mmの気泡が多数散在していて、氷の表層に位置する気泡を取り囲む部分は肉厚が薄くなっており、トレッドゴムに配合された粒状体が接地したときトレッド表面から突出して、肉厚の薄くなった部分を破壊し、後にできた微細穴に引っ掛かって滑るのが防止される所謂引っ掛け効果によるものである。従って、ゴムに配合する粒状体のモース硬度が2より小さい場合、氷の肉厚が薄くなった部分を破壊できないので、それを配合したゴム組成物は、滑り防止作用が小さい。また、本発明のゴム組成物に用いる植物性粒状体の粒径は、ゴム接着性改良剤で表面処理した後の径が200〜600μm のものである。200μm より小さいものは引っ掛け効果が小さくなり、600μm より大きいものは、氷に含まれる気泡の径より大きいために気泡を破壊する作用が小さくなる。粒状体はマトリックスゴムより硬く、変形しにくいので、応力が作用したとき粒状体周囲のマトリックスゴムは大きく歪み、粒径が600μm より大きくなれば、歪みが過大になってクラックが発生しやすくなる。
【0010】
植物性粒状体のゴム接着性改良表面処理に用いるレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスとの混合物は、レゾルシン1モルに対しホルマリンまたはヘキサメチレンアルデヒド1〜2モルの比率で両者を水に溶解し、少量の苛性ソーダーまたは苛性カリ水溶液を添加して熟成し、得られたレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物を、天然ゴムラテックスまたはジエン系合成ゴムラテックス或いは両者の混合物に、固形分換算でラテックス100重量部に対し10〜80重量部の比率で添加混合したものである。また上記のレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物の代わりに、市販のレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物、例えば保土谷化学工業(株)製の商品名アドハーRF等を使用することもできる。必要に応じて、有機繊維コードの接着剤処理に使用するレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物に添加する公知のイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂初期縮合物を添加することができる。上記の混合物は、植物性粒状体への付着率が1〜5重量%になるように固形分濃度を5〜25重量%に調整され、その中に植物性粒状体を浸漬するか、または植物性粒状体に上記の混合物を吹き付けて乾燥し、ゴム接着性改良表面処理が施された植物性粒状体が得られる。上記の植物性粒状体の混合液に浸漬、または混合液の吹き付けをして乾燥する間に植物性粒状体は凝集し、粒径が大きくなるので、公知の方法で再粉砕し、所望する粒径分布の上限と同じ大きさの目開きを持つ篩を用いて粗粒成分を除き、次に下限と同じ大きさの目開きを持つ篩を用いて微粒成分を除いて、所望の粒径範囲を持つ植物性粒状体が得られる。
【0011】
本発明のトレッド用ゴム組成物に使用されるジエン系ゴムとして、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等が例示される。
【0012】
ジエン系ゴム100重量部(以下、重量部を単に部と言う)に対し、前記で得られたゴム接着性改良の表面処理が施され、処理後の粒径が200〜600μmである植物性粒状体の1〜20部と粒径が30〜200μmのゴム接着性改良表面処理が施されていない植物性粒状体の1.5〜10部を配合したゴム組成物でトレッドを形成したタイヤは、走行中にゴム接着性改良表面処理が施されていない植物性粒状体がトレッド表面から脱落し、脱落した後に穴が形成され、穴が水を吸収して氷上の薄い水膜を除去して滑りにくくするともにトレッド表面を直接氷に接触させる除水効果を奏し、ゴム接着性改良の表面処理が施された植物性粒状体が奏する引っ掛け効果との相乗効果によって、より一層耐滑り性が大きくなる。ゴム接着性改良表面処理が施されていない植物性粒状体の粒径が30μmより小さくなると除水効果が小さくなり、粒径が200μmより大きくなると配合された量の割に穴の数が少なくなって、除水効果が小さくなる。表面処理が施された植物性粒状体の配合量が、1部より少ない場合は、引っ掛け効果が奏されず、20部より多くなれば耐摩耗性が悪くなる。表面処理が施されていない植物性粒状体の配合量が、1.5部より少ない場合は、走行中に植物性粒状体が脱落して形成される穴数が充分でなく、除水効果が奏されず、10部より多くなれば耐摩耗性が悪くなる。
【0013】
本発明のゴム組成物は、前記した植物性粒状体に加えて、トレッド用ゴム組成物に一般に配合される各種添加剤を任意に配合することができ、その配合量も一般的な量とすることができる。任意に配合する添加剤としては、例えば硫黄、加硫促進剤、カーボンブラック、シリカ、軟化剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、老化防止剤などを挙げることができる。
【0014】
【実施例】
以下に、実施例ならびに比較例によって本発明を詳述する。文中、単に部とあるのは重量部を表し、RFL処理とあるのは、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスとの混合物で接着性改良の表面処理が施されたことを表す。
【0015】
実施例1(参考例)
撹拌機を備えた容器に、水353部、レゾルシン17部、37%ホルマリン25部、10%苛性ソーダ水溶液5部を投入して、温度20℃で12時間撹拌を続けた後、ビニールピリジンラテックス(住化エイビーエスラテックス社製、商品名PYRATEX SNX7046) を260部及びスチレンブタジエンラテックス(住化エイビーエスラテックス社製、商品名J−9049)を90部添加し、水を加えて固形分濃度を18重量%に調整してゴム接着性改良表面処理剤を得た。これに胡桃の殻を粉砕した粒径分布範囲が100〜590μmの植物性粒状体を浸漬した後加熱乾燥を行い、乾燥後相互産業(株)社製の粉砕機を用いて粉砕し、粉砕物を目開きが500μmの篩を用いて粒径が500μmより大きいものと小さいものに篩分け、篩を通過した粒径が500μmより小さいものを再度目開きが125μmの篩を用いて粒径が125〜500μmのものと125μmより小さいものに篩分け、表面処理をした後の粒径が125〜500μmのゴム接着性改良表面処理植物性粒状体を得た。
【0016】
実施例2(参考例)
天然ゴム100部、カーボンブラック(N220)50部、オイル3部、亜鉛華3部、ステアリン酸1部、老化防止剤1部、ワックス1部とともに、胡桃の殻を粉砕してRFL処理をした後の粒径分布範囲が125〜300μmまたは125〜550μmの粒状体を表1記載の部数を添加混合し、シート状に成形して冷却した後、硫黄1.5部と加硫促進剤(CBS)1部を添加して再混合し、未加硫ゴム組成物を得た。これら未加硫ゴム組成物を通常の方法に従って押し出してトレッドバンドにし、このトレッドバンドをカーカス成型体に張り付け、加硫成形を行って、サイズ6.50R16のタイヤを試作した。比較のため、RFL処理が施されていない胡桃殻粒状体を配合したことが異なるゴム組成物(比較例21)、RFL処理後の粒径分布範囲が外れる700〜5000μmの胡桃殻粒状体を用いたゴム組成物(比較例24)及び胡桃殻粒状体の添加量が範囲外にあるRFL処理胡桃殻粒状体を用いたゴム組成物(比較例22、23)のそれぞれを作成して、比較例タイヤを試作した。各試作タイヤについて下記の試験方法によって氷上での耐滑り性及び耐摩耗性の試験を行い、結果を比較例21を100とした指数で表1に示した。合わせて走行後に、グルーブクラックの発生有無の検査をし、結果を表1に示した。
【0017】
氷上耐滑り試験:
試作タイヤを自動車に装着して凍結或るいは積雪していない道路で1000km馴らし走行を行った後、アイスバーン上で速度を40km/時に上げて急ブレーキを掛け、ブレーキを掛けてから停止するまでの停止距離を測定し、次の式で計算した値を耐滑り性とした。値が大きいほど好ましい。
(比較例21タイヤの停止距離)×100/(各試作タイヤの停止距離)
耐摩耗性試験:
自動車1台毎に2種類の試作タイヤを装着して約10000km走行した後、トレッドの溝深さを測定し、走行前と後の溝深さの差から摩耗量を求め、次の式で計算した値を耐摩耗性とした。値が大きいほど好ましい。
(比較例21タイヤの摩耗量)×100/(各試作タイヤの摩耗量)
【0018】
【表1】
【0019】
実施例は、RFL処理胡桃殻粒状体配合量が多くなるにつれ耐滑り性が高くなり、耐摩耗性は低下することを示し、耐滑り性は勿論、耐摩耗性についてもRFL処理胡桃殻粒状体が配合されていない比較例21に比してよくなっている。比較例22はRFL処理胡桃殻粒状体の配合量が1部より少ないと耐滑り性が改良されないことを示す。比較例23はRFL処理胡桃殻粒状体の配合量が30部より多くなると耐摩耗性が低下することを示す。比較例24はRFL胡桃殻粒状体の粒径が600μm より大きくなれば、グルーブクラックが発生しやすくなることを示す。実施例22と比較例21の比較から、胡桃殻粒状体にRFL処理を施すことにより、胡桃殻粒状体の耐滑り性及び耐摩耗性が改良されることが判る。
【0020】
実施例3
天然ゴム100部、カーボンブラック(N220)50部、オイル3部、亜鉛華3部、ステアリン酸1部、老化防止剤1部、ワックス1部とともに、表2記載の胡桃殻粒状体を混合し、シート状に成形して冷却した後、硫黄1.5部と加硫促進剤(CBS)1部を添加して再混合し、未加硫ゴム組成物を得た。これらのゴム組成物を用いて、実施例2と同様の方法でサイズ6.50R16のタイヤを試作し、氷上での耐滑り性試験、耐摩耗性試験及びグルーブクラック検査を行い、結果を表2に比較例31をコントロールにした指数で示した。
【0021】
【表2】
【0022】
本発明の範囲にある実施例31,32,33,34及び35は、耐滑り性、耐摩耗性及びグルーブクラックが良好であるが、本発明の範囲外にある比較例31,32,33,34,35,36,37及び38A〜38Dは耐滑り性、耐摩耗性及びグルーブクラックのいずれかに欠点があることが判る。実施例31及び32と比較例33から、いずれも粒状体の配合量合計が同量の4部であるがRFL処理胡桃殻粒状体とRFL無処理胡桃殻粒状体を併用した方が耐滑り性、耐摩耗性がより向上することが判る。これはRFL処理を施された胡桃殻粒状体はタイヤ使用中の脱落が発生しにくいためと考えられる。
【0023】
RFL無処理胡桃殻粒状体の配合量が10部より多い比較例34は、耐滑り性はよいが、耐摩耗性が悪くなることを示し、RFL処理胡桃殻粒状体の配合量が1部より少ない比較例35は、耐摩耗性はよいが、耐滑り性が悪くなることを示し、RFL処理胡桃殻粒状体の配合量が20部より多い比較例36は、耐滑り性はよいが、耐摩耗性が悪くなることを示す。比較例37はRFL無処理胡桃殻粒状体の配合量が1.5部より少ないので、耐滑り性が劣る。粒径が600μm 600μm より大きい胡桃殻粒状体を用いた比較例38A、38B及び38Cはグルーブクラックの発生が認められRFL処理の有無にかかわらず粒径が600μm より大きい胡桃殻粒状体を用いれば、ゴムとの歪みの差に起因しグルーブクラックが発生しやすくなり、さらに耐摩耗性の向上も実施例に比べて少ない。逆に粒径が100μm 未満のRFL処理胡桃殻粒状体いた比較例38Dは引っ掛け効果が小さく耐滑り性の改善が少ない。
【0024】
実施例33、34及び35より胡桃殻粒状体の配合総量を増せば耐滑り性は向上し、逆に耐摩耗性は低下するがRFL処理胡桃殻粒状体とRFL無処理胡桃殻粒状体のそれぞれの配合量及び粒径分布を選択することで使用条件による各タイヤの要求性能に合うゴム配合を設計することができる。
【0025】
比較例39と本発明の範囲内の実施例34の比較から、RFL処理胡桃殻粒状体のみを配合した場合よりRFL無処理胡桃殻粒状体を併用した方が、走行中にRFL無処理胡桃殻粒状体が脱落した後の穴による除水効果により耐滑り性の向上が大きくなり優れることが判る。
【0026】
【発明の効果】
耐滑り性を向上させるために配合する胡桃の殻等を粉砕した植物性粒状体をRFLで処理することにより、マトリックスゴムとの接着性が改良されてマトリックスゴムからの脱落が減少し、耐滑り性が保持されるとともに、RFL処理後の粒径を200〜600μm にすることにより、グルーブクラックが防止される。さらに、RFL処理が施されていない粒径が30〜200μmの胡桃殻粒状体等の植物性粒状体を1.5〜10部追加することにより、除水効果が生じて、耐滑り性が一層よくなる。
Claims (2)
- ジエン系ゴム100重量部に対し、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分にするゴム接着性改良剤によるゴム接着性改良表面処理が施され、表面処理後の粒径が200〜600μmである植物性粒状体の1〜20重量部と、ゴム接着性改良の表面処理が施されていない粒径が30〜200μmである植物性粒状体の1.5〜10重量部が配合されたことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
- 前記ゴム接着性改良表面処理が施された植物性粒状体は、種子の殻、果実の核等を粉砕した粒径が100〜600μmの植物性粒状体を、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分にするゴム接着性改良剤で浸漬または吹き付けによって表面処理して乾燥した後、再粉砕、篩分けして粒径分布範囲を200〜600μmに調整したものであることを特徴とする請求項1記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
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