JP3913863B2 - スタッドレスタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、氷結路を走行することがある自動車に装着されるスタッドレスタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車道に積もった雪は、自動車の通行によって踏み固められ、昼間日射などによって表面部分が溶けて水が染み込み、気温が0℃以下になると染み込んだ水が凍結して0.1〜0.5mmの気泡を含んだ氷板になる。氷板で覆われた滑りやすい道路(以下、氷板で覆われた滑りやすい道路を氷結路と言う)を走行する自動車に装着されるスタッドレスタイヤ(以下、スタッドレスタイヤを単にタイヤと言う)は、特開平7−278358、同8−333486などが提案する如く、胡桃、桃などの果実の殻または核、石英、花崗岩、アルミナなどの高硬度の無機物を粉砕した粒径が0.01〜0.5mmの粒状体を配合したゴム組成物、あるいは、特開平6−328906、同9−12777などが提案する如く、長さが0.01〜2mmの短繊維を配合したゴム組成物でトレッドを形成して滑りにくくなっている。粒状体、短繊維を配合したゴム組成物でトレッドを形成したタイヤが氷結路で滑りにくいのは、タイヤが使用されてトレッドの摩耗が進行している間、トレッドを形成するゴム組成物(以下、トレッドを形成するゴム組成物をトレッドゴムと言う)に配合された粒状体または短繊維が、粒状体または短繊維を分散包埋するマトリックスゴムより摩耗が遅れてトレッド表面から突出して突起を形成し、突起が氷結路の表層の気泡を引っ掻いて破壊し、破壊されて形成した穴と噛み合うことによるものと考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般にトレッドゴムに配合される粒状体は、原料を粉砕して製造されるので、形状は長径と短径が大まか同じの不定形で、粒子の両端間の差し渡しのほぼ中程が太く、端が細くなって終端しており、しかもゴムとの接着性に欠ける。そのために、トレッドゴムに配合された粒状体は、粒子の差し渡しのほぼ中程まで摩耗すれば、マトリックスゴムから抜けやすくなって脱落し、防滑に対して有効に利用されていなかった。短繊維を使用した場合、タイヤ製造工程において混合ゴムを横断面が大略台形の長尺のトレッド材料に押し出し成形するとき、混合ゴム中の短繊維2は、図2に示すように、押出し方向に平行、言い換えればタイヤになったときのトレッドの周方向に平行に配向させられ、トレッド表面に対し垂直方向に配向して引っ掻き作用を演じる短繊維の比率が減少し、有効に利用されていなかった。
【0004】
本発明は、トレッドゴム中の短繊維の配向方向をランダムにして氷結路における耐滑り性を改良したスタッドレスタイヤの提供を目的にしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
ゴム組成物に配合する短繊維を予め加硫済みの不定形のゴム粒状体に含有させて配合すれば、トレッド材料に押し出し成形するとき、図1に示すように、ゴム粒状体1は不定形であるので特定方向に配向されることがないため、ゴム粒状体の配向に追従して配向するゴム粒状体中の短繊維2の配向方向はランダムになり、上記のトレッド表面に対し垂直方向に配向する短繊維の比率の減少の問題が解消される。一方、タイヤを加硫成形するとき、ゴム粒状体のゴム成分がマトリックスゴムのゴム成分に硫黄で橋架されて化学的に結合するので、ゴム粒状体は従来の粒状体に見られた脱落が生じにくくなる。
【0006】
すなわち、本発明は長さ0.02〜5mmの短繊維が配合されたゴム組成物の加硫物を粉砕した粒径が4mm以下のゴム粒状体を配合したゴム組成物でトレッドが形成されたスタッドレスタイヤである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる短繊維は、有機繊維、金属繊維のいずれでもよく、形態はフイラメント、フイラメントを束ねたヤーン、ヤーンを撚り合せたコードのいずれであってもよい。これらの短繊維は、径が0.01〜0.5mmのフイラメント、ヤーン、コードなどを0.02〜5mm長さに切断して得られる。好ましくは、接着性改良表面処理、例えば有機繊維にあってはレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物による処理、金属繊維にあっては銅合金メッキが施される。短繊維の径が0.01mmより細くなった場合または長さが0.02mmより短かくなった場合、短繊維が形成するトレッド表面の突起が小さくなって引っ掻き作用が生じない。径が0.5mmより太くなれば、路面を覆う氷板中の気泡の径より大きくなるとともに、同一重量での短繊維の個数が少なくなるので、引っ掻き作用の効率が悪くなる。長さが5mmより長くなった場合も同一重量での短繊維の個数が少なくなり、引っ掻き作用の効率が悪くなる。
【0008】
上記の短繊維はタイヤ用ゴム組成物に通常配合される一般的な配合剤と共にゴム成分に配合されて混合される。得られた混合ゴムを常法に従って加硫した後、加硫ゴム粉砕用に設計された一般の粉砕機を用いて粉砕し、篩で所望の粒径のものを篩分けることにより短繊維を含有したゴム粒状体が得られる。他の方法として、短繊維及び一般的な配合剤をゴム成分に配合して通常の混合条件より高温で長時間混合し、混合中のゴムが半加硫状態になって纏まらなくなったとき排出し、所望の粒径のものを篩分けして製造することもできる。ゴム粒状体の平均粒径は0.1〜4mmが好適である。平均粒径を0.1mmより小さくするには粉砕に多くの工数を要し、しかも小さくしたことによる特性上の利点がない。平均粒径が4mmより大きくなれば、トレッドにチッピングが発生しやすくなる。
【0009】
トレッドゴムが含有する短繊維の量は、ゴム粒状体を分散包埋するマトリックスゴムを構成するゴム組成物のゴム成分100重量部当たり1.5〜10重量部にされる。短繊維含有量がマトリックスゴムを構成するゴム組成物のゴム成分100重量部当たり1.5重量部より少なくなれば氷結路における耐滑り性が低下し、10重量部より多くなれば耐摩耗性が悪くなるとともにチッピングが発生しやすくなる。
【0010】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。
レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物で表面処理した表1に示す太さのナイロン6及びアラミドのフイラメント、真鍮めっきを施したスチールフイラメントを表1に示す長さに切断した短繊維と表1に示す他の配合剤とを表1に示す重量部の割合(以下、重量部の割合を単に割合と言う)で、天然ゴム70%とブタジエンゴム30%からなるゴム成分100重量部(以下、重量部を単に部と言う)に配合して混合ゴムを得た。これらの混合ゴムを加硫して粉砕し、粉砕物を篩分けして表1に示した平均粒径の短繊維含有ゴム粒状体を得た。天然ゴム70%とブタジエンゴム30%からなるゴム成分100部に対し表2に示したゴム粒状体と配合剤を表2に示した割合で配合して混合ゴムを得た。常法に従って、得られた混合ゴムをトレッドに用いたサイズ11R22.5のタイヤを試作し、下記条件で氷結路における耐滑り性、普通路走行における耐摩耗性及び耐チッピング性の試験を行った。結果を表2に示した。
【0011】
アイス制動性:
テスト車に試作タイヤを装着して氷上(外気温−5℃)を時速40kmで走行中急ブレーキをかけ、急ブレーキをかけた地点から停止した地点までの距離を測定し、結果を下記式で計算した指数で示した。値が大きいほど好ましい。
(比較例タイヤ5の停止距離)×100/(各試作タイヤの停止距離)
耐摩耗性:
トラック1台毎に2種類の試作タイヤを装着して氷結していない道路で5万km走行した後、溝深さを測定し、走行前の溝深さとの差から摩耗量を算出し、結果を下記式で計算した指数で示した。値が大きいほど好ましい。
(比較例タイヤ5の摩耗量)×100/(各試作タイヤの摩耗量)
耐チッピング性:
摩耗量を測定した後、トレッド表面に発生したチッピングのそれぞれの長さを測定し、タイヤ毎にチッピング長さを合計してチッピング量を求め、結果を下記式で計算した指数で示した。値が大きいほど好ましい。
(比較例タイヤ5のチッピング量)×100/(各試作タイヤのチッピング量)
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
実施例は、従来タイヤである比較例5より耐滑り性が優れ、耐摩耗性と耐チッピング性はほぼ同等である。比較例5と比較して、平均粒径が4mmより大きいゴム粒状体を配合した比較例1は耐チッピング性が劣り、短繊維含有量が1.5部より少ない比較例2は耐滑り性は改良されず、短繊維含有量が10部より多い比較例3は耐滑り性は大幅に改良されるが.耐摩耗性と耐チッピング性が劣る。短繊維の長さが5mmより長い比較例4は、短繊維の個数が実施例4に比べ半減し、耐滑り性が向上しないばかりでなく、耐摩耗性、耐チッピング性も劣る。
【0015】
【発明の効果】
短繊維をゴム粒状体に含有させて、トレッドゴムに配合することにより、短繊維の配向がランダムになって凍結路における防滑作用が効率よく行われ、ゴム粒状体を介することなく短繊維を同量配合したトレッドゴムを使用したタイヤよりもに滑りにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明タイヤのトレッドゴム内における短繊維の分散状態を示す概念図。
【図2】従来タイヤのトレッドゴム内における短繊維の分散状態を示す概念図。
【符号の説明】
1 ゴム粒状体
2 短繊維
Claims (2)
- 長さ0.02〜5mmの短繊維が配合されたゴム組成物の加硫物を粉砕した粒径が4mm以下のゴム粒状体を配合したゴム組成物でトレッドが形成されたことを特徴とするスタッドレスタイヤ。
- トレッドを形成するゴム組成物の短繊維含有量は、ゴム粒状体を分散包埋するマトリックスゴムを構成するゴム組成物のゴム成分100重量部当たり1.5〜10重量部である請求項1記載のスタッドレスタイヤ。
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JP27990397A JP3913863B2 (ja) | 1997-09-26 | 1997-09-26 | スタッドレスタイヤ |
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JP27990397A JP3913863B2 (ja) | 1997-09-26 | 1997-09-26 | スタッドレスタイヤ |
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1997
- 1997-09-26 JP JP27990397A patent/JP3913863B2/ja not_active Expired - Fee Related
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