JP6099871B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、より詳細には、例としてスタッドレスタイヤやスノータイヤなどの冬用タイヤ(ウインタータイヤ)として好適な空気入りタイヤに関するものである。
氷雪路面は一般路面に比べて著しく摩擦係数が低下し滑りやすくなる。そのため、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤのトレッドに用いられるゴム組成物においては、氷上性能を向上するために様々な手法が提案されている。例えば、下記特許文献1には、種子の殻又は果実の核を粉砕してなる植物性粒状体をトレッドゴムに配合することにより、引っ掻き効果によって氷上摩擦性能を向上させることが開示されている。
しかしながら、このような植物性粒状体をトレッドゴムに配合した場合、トレッド表面における植物性粒状体の出現率が低く、そのため、タイヤ装着初期の氷上制動性能が低下するという問題があることがわかった。
ところで、下記特許文献2には、軟化剤を多量に配合して硬度を下げた表面ゴム層をトレッド表面に設けることにより、初期の氷上制動性能の低下を抑制することが開示されている。下記特許文献3にも、トレッドゴム本体よりも低硬度の表面層を設けて、使用初期の氷雪路面での制動性能を向上することが開示されている。しかしながら、これらの文献は、トレッド表面に低硬度の表面ゴム層を設けて、その柔らかさにより低温性能を向上したり、該表面ゴム層が早期に摩耗することによる離型剤の除去を図ったりするものであり、上記植物性粒状体を配合した場合の問題点を解消するものではない。
一方、下記特許文献4には、走行初期より安定した氷上性能を得るために、トレッド部に平均発泡率の異なるゴム層を設け、路面と接する表面ゴム層の平均発泡率を最も高くすることが開示されている。この文献では、発泡ゴムをトレッドに用いた場合、トレッドの表面部分と内部では発泡率に分布がありトレッド表面に近いほど発泡率が低く、初期性能に寄与できないため、表面ゴム層の発泡率を高く設定している。これは、発泡ゴムの場合、タイヤ加硫成形時に表面部分と内部とで温度差や熱履歴により発泡状態が異なることによるものと考えられるが、上記植物性粒状体はこのような温度差や熱履歴により状態が変化するものではないので、初期氷上性能が低下する際の状況が全く異なる。
下記特許文献5には、非金属の短繊維をトレッド厚さ方向に配向させる際に、接地面となるトレッド表面を凹凸のある粗面に形成することで、使用初期の氷上性能を向上することが開示されている。この文献では、該粗面によりトレッド表面のゴム流れを制御して、短繊維がタイヤ周方向や軸方向に倒れ込むのを防止するものであり、別途表面ゴム層を設けることでゴム流れを防止するものではない。
特開平10−007841号公報 特開2004−082967号公報 特開2005−280511号公報 特開2007−131084号公報 特開2001−130220号公報
本発明は、植物性粒状体が配合されたトレッドゴムを持つ空気入りタイヤにおいて、タイヤ装着初期の氷上制動性能を向上させることを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド表面に設けられた厚さが0.3〜1.0mmの表面ゴム層と、該表面ゴム層の内側に隣接する植物性粒状体が配合された内部ゴム層と、をトレッド部に備えてなり、前記表面ゴム層は、ゴム成分100質量部に対して植物性粒状体が3〜20質量部配合され、かつ前記内部ゴム層よりもゴム成分に対する植物性粒状体の配合量が多いゴム組成物からなるものである。本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、前記ゴム成分及び前記植物性粒状体を混練して作製した前記ゴム組成物からなる未加硫の前記表面ゴム層を未加硫の前記内部ゴム層の表面に設け、前記表面ゴム層を前記内部ゴム層とともにタイヤ加硫成形時にモールド内で加硫成形するものである。
本発明に係る空気入りタイヤであると、内部ゴム層よりも植物性粒状体を多く配合した表面ゴム層を設けたことにより、トレッド表面における植物性粒状体の出現率を高め、初期の氷上制動性能を向上することができる。
実施形態に係る空気入りタイヤの部分断面図である。 実施形態に係る空気入りタイヤの溝部周辺の拡大断面図である。 植物性粒状体を配合したトレッドゴムにおける加硫成形時のゴム流れを説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る乗用車用空気入りタイヤのトレッド部の半断面図である。このタイヤは、図示を省略したが、左右一対のビード部及びサイドウォール部と、左右のサイドウォール部の径方向外方端部同士を連結するように両サイドウォール部間に設けられたトレッド部(1)とを備えて構成されており、一対のビード部間にまたがって延びるカーカス(2)を備える。カーカス(2)は、トレッド部(1)からサイドウォール部をへて、ビード部に埋設された環状のビードコアにて両端部が係止された少なくとも1枚のカーカスプライからなり、上記各部を補強する。トレッド部(1)におけるカーカス(2)の外周側には、2層以上のゴム被覆スチールコード層からなるベルト(3)が設けられており、カーカス(2)の外周でトレッド部(1)を補強する。トレッド部(1)において、ベルト(3)のタイヤ半径方向外側にはトレッドゴム(4)が設けられている。
トレッド部(1)の表面には、タイヤ周方向に延びる複数の縦溝(5)と、該縦溝(5)に交差する複数の横溝(不図示)が設けられており、これら縦溝と横溝により区分された複数のブロック(6)を備える。
トレッドゴム(4)は、トレッド表面に設けられた表面ゴム層(7)と、その内側に隣接する内部ゴム層(8)とからなる。すなわち、内部ゴム層(8)がトレッドゴム(4)の本体ゴム部をなし、路面と接するその表面に薄膜の表面ゴム層(7)が被覆形成されている。表面ゴム層(7)は、トレッド表面の全体に設けられており、図1,2に示すように、溝の壁面にも設けられている。
なお、この実施形態では、トレッド本体ゴム部としての内部ゴム層(8)を1層構造としたが、上層のキャップゴム層と下層のベースゴム層とからなるキャップ・ベース構造を採用してもよく、その場合、キャップゴム層の表面に表面ゴム層(7)が形成される。
表面ゴム層(7)の厚さ(T)は、図2に示すように、接地部において0.3〜1.0mmである。表面ゴム層(7)の厚さ(T)が0.3mm未満では、初期の氷上制動性能を向上する効果に劣る。逆に、1.0mmを超えると、表面ゴム層が厚くなりすぎて、トレッド表面でのゴム流れを防止する効果が不十分となり、また耐摩耗性能が損なわれるおそれがある。表面ゴム層(7)の厚さ(T)は、より好ましくは0.4〜0.8mmである。なお、表面ゴム層(7)は、溝の壁面部分では、通常、加硫成形時に引き伸ばされるので、上記範囲よりも薄いものであってもよい。
表面ゴム層(7)と内部ゴム層(8)には、植物性粒状体が配合される。なお、植物性粒状体は、図2において点で示している(図3において同じ)。植物性粒状体は、種子の殻又は果実の核を粉砕してなるものであり、例えば、胡桃(クルミ)、椿等の種子の殻、または桃、梅等の果実の核を公知の方法で粉砕してなる破砕粒状体が挙げられる。これらの粒状体は、モース硬度が2〜5程度であり、氷よりも硬いので、氷上路面に対する引っ掻き効果により、氷上路面での滑り防止作用を発揮するものである。
該植物性粒状体は、ゴムとのなじみを良くして脱落を防ぐために、ゴム接着性改良剤の樹脂液で表面処理されたものでもよい。ゴム接着性改良剤としては、例えば、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物と天然ゴムラテックスやジエン系合成ゴムラテックスとの混合物を主成分とするもの(RFL液)が挙げられる。
植物性粒状体の平均粒径は、特に限定されないが、引っ掻き効果を発揮するとともにトレッドからの脱落を防止するため、100〜600μmであることが好ましく、より好ましくは150〜500μmであり、更に好ましくは200〜400μmである。平均粒径は、レーザ回折・散乱法により測定される値であり、下記実施例では、光源として赤色半導体レーザ(波長680nm)を用いる島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2200」により測定される粒度分布(体積基準)の平均値を平均粒径としている。
内部ゴム層(8)を形成するゴム組成物において、植物性粒状体の配合量は、氷上制動性能を向上しながら、耐摩耗性能の低下を抑えるために、ゴム成分100質量部に対して0.5〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部であり、更に好ましくは2〜5質量部である。
上記ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などの各種ジエン系ゴムが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。ゴム成分として、好ましくは、天然ゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドを用いることであり、特に好ましくは、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴムを用いることである。その場合、BRの比率が少なすぎるとゴム組成物の低温特性が得難くなり、逆に多くなりすぎると加工性の悪化や耐引き裂き抵抗性が低下する傾向になるので、NR/BRの比率は、質量比で30/70〜80/20、更には40/60〜70/30程度であることが好ましい。
内部ゴム層(8)のためのゴム組成物には、植物の多孔質性炭化物の粉砕物を配合してもよい。かかる多孔質性炭化物粉砕物は、その優れた吸着性能によって氷上路面に発生する水膜を吸水、除水し、路面とトレッドゴムの間の滑りの原因となる水膜を効果的に除去することができるので、植物性粒状体による引っ掻き効果との相乗効果により、氷上性能を一層向上させることができる。
多孔質性炭化物粉砕物は、木、竹などの植物を材料として炭化して得られる炭素を主成分とする固体生成物からなる多孔質性物質を粉砕してなるものであり、中でも竹炭の粉砕物(竹炭粉砕物)が好適である。竹炭の原料となる竹材としては、孟宗竹、苦竹、淡竹、紋竹などの各種の竹のほか、千鳥笹、仙台笹などの笹も含まれる。竹炭粉砕物は、窯を用いて竹材を蒸し焼きにして炭化して得られた竹炭を、公知の粉砕機(例えば、ボールミル)を用いて粉末状に粉砕することにより得ることができる。
多孔質性炭化物粉砕物の平均粒径は、特に限定されないが、10〜500μmであることが好ましく、より好ましくは50〜300μmであり、更に好ましくは50〜200μmである。多孔質性炭化物粉砕物を配合する場合、その配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部であり、更に好ましくは2〜5質量部である。
内部ゴム層(8)のためのゴム組成物には、更に、通常のゴム工業で使用されているカーボンブラックやシリカなどの充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤(アミン−ケトン系、芳香族第2アミン系、フェノール系、イミダゾール系等)、加硫剤、加硫促進剤(グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系等)などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
ここで、カーボンブラックとしては、スタッドレスタイヤのトレッド部に用いる場合、ゴム組成物の低温性能、耐摩耗性能やゴムの補強性などの観点から、窒素吸着比表面積(NSA)(JIS K6217−2)が70〜150m/gであり、かつDBP吸油量(JIS K6217−4)が100〜150ml/100gであるものが好ましく用いられる。具体的にはSAF,ISAF,HAF級のカーボンブラックが例示され、配合量としてはゴム成分100質量部に対して10〜80質量部程度の範囲で使用されることが好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。
また、シリカを用いる場合は、湿式シリカ、乾式シリカ或いは表面処理シリカなどが使用され、配合量はゴムのtanδのバランスや補強性の観点からゴム成分100質量部に対して10〜50質量部が好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。また、シリカを配合する場合、スルフィドシラン、メルカプトシランなどのシランカップリング剤を併用することが好ましく、その配合量はシリカ配合量に対して2〜20質量%であることが好ましい。
また、加硫剤としては、硫黄、硫黄含有化合物等が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
表面ゴム層(7)を形成するゴム組成物において、植物性粒状体の配合量は、内部ゴム層(8)よりもゴム成分に対する配合量が多く設定される。このように植物性粒状体を内部ゴム層(8)よりも多く配合した表面ゴム層(7)を設けることで、初期の氷上制動性能を向上することができる。両者の差は、ゴム成分100質量部に対する配合量で、2質量部以上であることが好ましく、より好ましくは3〜15質量部である。
また、表面ゴム層(7)のためのゴム組成物における植物性粒状体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して3〜20質量部の範囲内で設定することができ、より好ましくは5〜15質量部である。この配合量が20質量部を超えると、耐摩耗性能が損なわれるおそれがある。
表面ゴム層(7)のためのゴム組成物は、植物性粒状体の配合量以外については、内部ゴム層(8)のためのゴム組成物と同一配合であることが好ましく、それにより両者の親和性を高めることができる。従って、表面ゴム層(7)のためのゴム組成物において、ゴム成分としては、上述した内部ゴム層(8)のためのゴム成分と同様のものを用いることができ、また、多孔質性炭化物粉砕物についても、カーボンブラック及びシリカについても、更には、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などの配合薬品類についても、内部ゴム層(8)のためのゴム組成物において述べたものと同じものを用いることができる。なお、表面ゴム層と内部ゴム層のためのゴム組成物は、植物性粒状体の配合量以外についても、異なる配合とすることもできる。
上記の表面ゴム層(7)及び内部ゴム層(8)のためのゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。すなわち、第一混合段階で、ゴム成分に対し、植物性粒状体とともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合することにより作成することができる。
本実施形態に係る空気入りタイヤを製造するに際しては、未加硫の内部ゴム層の表面に未加硫の表面ゴム層のシートを配して、表面ゴム層を持つ未加硫タイヤを成形した上で、該未加硫タイヤを、常法に従い、例えば140〜180℃で、モールド内で加硫成形すればよい。これにより、表面ゴム層(7)は、内部ゴム層(8)とともに、タイヤ加硫成形時にモールド内で加硫成形される。
本実施形態に係る空気入りタイヤであると、内部ゴム層(8)よりも植物性粒状体を多く配合した表面ゴム層(7)を設けたことにより、トレッド表面における植物性粒状体の出現率を高めることができる。
その理由について詳細に説明する。図3は、薄膜の表面ゴム層を設けていない場合のタイヤ加硫成形時におけるトレッド表面部を拡大して示す断面図である。図3(a)に示すように、タイヤ加硫成形時には、未加硫のトレッドゴム(10)の表面にモールド(12)が押し付けられる。その際、トレッドゴム表面は平坦であり、これに、図3(b)に示すように溝を成形するための凸条(11)が押し付けられる。すると、凸条(11)が押し込まれた部分において、トレッドゴム(10)はその両側に押し出され、凹状の溝形状に成形される。このとき、植物性粒状体を配合したゴム組成物からなるトレッドゴム(10)において、植物性粒状体は比較的動きにくいのに対し、ゴム成分などは動きやすく、そのため、図3(b)において矢印で示すように、ゴム成分が表面に沿って移動し、いわゆるゴム流れが生じる。かかるゴム流れにより、トレッド表面での植物性粒状体の出現率が低下してしまう。
これに対し、本実施形態では、上記のようにトレッドゴム(4)の本体ゴム部を構成する内部ゴム層(8)の表面に薄膜の表面ゴム層(7)を設けている。かかる表面ゴム層(7)は厚さ(T)が0.3〜1.0mmと薄いため、ゴム成分の移動が制限されて、ゴム流れの影響を低減することができる。すなわち、表面ゴム層(7)は、加硫成形後には内部ゴム層(8)と強固に接合一体化されるものであるが、異なるゴム組成物を積層してなるものであり、界面が存在するため、該界面を超えてのゴム流れは生じにくく、表面ゴム層(7)のゴム成分は、当該表面ゴム層(7)の内部で移動しようとする。しかしながら、表面ゴム層(7)は上記のように薄膜であるため、ゴム成分は移動しにくく、よってゴム流れを抑えることができ、ゴム流れに起因する植物性粒状体の出現率の低下を抑えることができる。しかも、表面ゴム層(7)は内部ゴム層(8)よりも植物性粒状体を多く配合しているので、トレッド表面での植物性粒状体の出現率をより高めることができる。このようにトレッド表面における植物性粒状体の出現率を高めることができるので、本実施形態によれば、走行初期から氷上制動性能を向上させることができる。
なお、表面ゴム層(7)は比較的早期に摩耗して内部ゴム層(8)が露出するが、内部ゴム層(8)にも植物性粒状体が配合されているので、内部ゴム層(8)による氷上制動性能を発揮することができる。そのため、本実施形態によれば、タイヤ装着初期だけでなく、ある程度摩耗した段階でも氷上制動性能を発揮することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ゴム組成物の調製]
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合して、ゴム組成物A〜Fを調製した。表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3
・ブタジエンゴム:JSR(株)製「BR01」(ハイシスBR,シス1,4結合含量95%)
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シーストKH(N339)」(NSA=93m/g、DBP=119ml/100g)
・シリカ:東ソー・シリカ株式会社製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:デグサ社製「Si75」
・パラフィンオイル:JOMOサンエナジー(株)製「プロセスP200」
・植物性粒状体:胡桃殻粉砕物(日本ウォルナット製「ソフトグリットF180」(平均粒径125μm以下))
・竹炭粉末:孟宗竹の竹炭(宮崎土晃(株)製「1号炭」)をハンマーミルで粉砕し、得られた粉砕物をJIS Z8801記載の標準ふるいにより分級した平均粒径50μmの竹炭粉末
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・老化防止剤:住友化学工業(株)製「アンチゲン6C」
・ワックス:日本精蝋株式会社製「OZOACE0355」
・加硫促進剤:住友化学工業(株)製「ソクシノールCZ」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
Figure 0006099871
[タイヤの作製及び評価]
得られた各ゴム組成物A〜Fを、下記表2に記載の通りに、表面ゴム層(7)及び内部ゴム層(8)を構成するゴム組成物として用いて、通常のタイヤ製造条件に従って、加硫成形することにより、タイヤサイズ:195/65R15のスタッドレスタイヤを作製した。内部ゴム層(8)は、キャップ・ベース構造を持つトレッドゴムのキャップゴム層とし、実施例及び比較例の各タイヤにおいて、内部ゴム層(8)と表面ゴム層(7)のトータル厚みを5mmに統一した。なお、比較例1及び4は、表面ゴム層(7)として、内部ゴム層(8)と同じゴム組成物からなるシートを用いた例である。比較例7及び8は、表面ゴム層(7)を設けず、トレッドゴムのキャップゴム層を内部ゴム層のみで形成した例である。
作製した各スタッドレスタイヤについて、トレッド表面の植物性粒状体の出現率を測定するとともに、初期氷上制動性能と耐摩耗性能を評価した(使用リムは15×5.5JJ)。各測定・評価方法は以下の通りである。
・植物性粒状体の出現率:キーエンス(株)製レーザー顕微鏡VK8510を用いてゴム表面を観察し、縦横500μmの範囲で植物性粒状体が占める面積割合を出現率として測定した。
・初期氷上制動性能:各タイヤ4本を排気量2000ccの四輪駆動式乗用車に装着し、新品のまま、氷盤路−3±3℃にて、速度40km/h走行からABSを作動させ制動距離を測定した。10回の測定の平均値を氷上制動性能の評価とし、制動距離の逆数を、比較例1を100とする指数表示で示した。数値の大きいものほど制動距離が短く良好である。
・耐摩耗性能:各タイヤ4本を排気量2000ccの四輪駆動式乗用車に装着し、一般乾燥路面において2,500km毎に左右輪のローテーションを行い、1万km走行後の4本のトレッド残溝深さの平均値を、比較例1を100とする指数表示で示した。数値の大きいものほど耐摩耗性能が良好である。
Figure 0006099871
表2に示すように、表面ゴム層を設けていない比較例7,8に対し、表面ゴム層を設けた比較例1では、初期氷上制動性能に改善効果が認められたが、植物性粒状体の配合量が内部ゴム層と表面ゴム層と同量であったため、その効果は不十分であった。
これに対し、植物性粒状体を内部ゴム層よりも多く配合した表面ゴム層を配した実施例1〜4であると、トレッド表面における植物性粒状体の出現率が高く、そのため、走行初期から氷上制動性能に優れていた。また、耐摩耗性能の大幅な悪化を伴うものではなかった。
一方、比較例2では、表面ゴム層における植物性粒状体の配合量が少なすぎたため、表面ゴム層を設けているのにもかかわらず、初期の氷上制動性能の向上効果はみられなかった。逆に、比較例3では、表面ゴム層における植物性粒状体の配合量が多すぎたため、耐摩耗性能が大幅に悪化した。比較例4では、内部ゴム層への植物性粒状体の配合量が多すぎたため、耐摩耗性能に劣るものであった。比較例5では、表面ゴム層が薄すぎたため、氷上制動性能の向上効果が不十分であった。比較例6では、表面ゴム層が厚すぎたため、加硫成形時に表面ゴム層でゴム流れが生じて、トレッド表面における植物性粒状体の出現率が低く、初期制動性能の向上効果が得られなかった。
1…トレッド部、2…カーカス、3…ベルト、4…トレッドゴム、5…溝、6…ブロック、7…表面ゴム層、8…内部ゴム層、T…表面ゴム層の厚み

Claims (1)

  1. トレッド表面に設けられた厚さが0.3〜1.0mmの表面ゴム層と、該表面ゴム層の内側に隣接する植物性粒状体が配合された内部ゴム層と、をトレッド部に備えてなり、前記表面ゴム層は、ゴム成分100質量部に対して植物性粒状体が3〜20質量部配合され、かつ前記内部ゴム層よりもゴム成分に対する植物性粒状体の配合量が多いゴム組成物からなる空気入りタイヤの製造方法であって、
    前記ゴム成分及び前記植物性粒状体を混練して作製した前記ゴム組成物からなる未加硫の前記表面ゴム層を未加硫の前記内部ゴム層の表面に設け、前記表面ゴム層を前記内部ゴム層とともにタイヤ加硫成形時にモールド内で加硫成形することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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