JP3352064B2 - スタッドレスタイヤ - Google Patents

スタッドレスタイヤ

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JP3352064B2 JP31586099A JP31586099A JP3352064B2 JP 3352064 B2 JP3352064 B2 JP 3352064B2 JP 31586099 A JP31586099 A JP 31586099A JP 31586099 A JP31586099 A JP 31586099A JP 3352064 B2 JP3352064 B2 JP 3352064B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用の初期から優
れた氷上性能を発揮しうるスタッドレスタイヤに関す
る。
【0001】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】スタ
ッドレスタイヤは、従来、トラクション性に優れるブロ
ックパターンに多数のサイピングを形成し、主にブロッ
ク面と氷路面との接触による粘着摩擦力、および前記ブ
ロックやサイピングのエッジによる路面引っ掻き・掘り
おこし摩擦力(エッジ効果)の作用によって、雪上性能
と氷上性能とを確保している。
【0002】そして、近年、氷路面との摩擦力を高めて
氷上性能をさらに向上させるために、低温特性のよい、
すなわち低温でもしなやかなゴム化合物に、たとえばセ
ルロ一ス短織維のような非金属の短繊維を配合し、ブロ
ック面に沿って短織維が配向することによるブロック面
あるいは壁面と内部のゴムの弾性率の違いによりブロッ
ク剛性を制御して、氷路面との粘着・凝着摩擦カを上げ
る試みがなされている。しかしながら、一般に、短織維
をトレッドゴムに配合し、押出方式にて成型した場合に
は、配合された短織維は押し出し方向、すなわちタイヤ
周方向に沿って配向し、タイヤに成型加硫した場合に
は、路面に接地するトレッドゴムの大部分は短織維がタ
イヤ周方向に配向し、これによりゴム表面は補強されて
硬くなり、路面の細かな凹凸に追従できず逆に接地性が
悪くなる。
【0003】しかも、短織維の大部分がタイヤ周方向に
配向するため、路面引っ掻き・掘りおこし摩擦力に対す
る効果は充分ではなく、さらに多量に配合すると耐摩粍
性が低下するという問題も発生する。
【0004】他方、特開平2−274602号公報に
は、棒状の粒子形状を有する、比較的大きい粒子の粉体
または短繊維を、トレッドの周方向ではなく厚さ方向に
配向させたスタッドレスタイヤが開示されている。これ
は路面引っ掻き・掘りおこし摩擦力を向上させる技術で
あり、そのために短繊維、粒子粉体をトレッド面より突
出させる必要がある。開示されている実施例では鋼短繊
維を使用しているが、金属のように硬い短織維を配合し
た場合には、ゴムが硬くなると同時に耐摩耗性がゴムと
金属で大幅に異なり、突出した金属短繊維が路面とゴム
との接触を妨げることによる接触面積の低下により、粘
着・凝着摩擦力の減少を引き起こし、氷上性能を充分に
高めることは困難である。
【0005】これに対して、本出願人は特願平11−2
12129号において、トレッドゴムGとして、図8
(A)に示すように、所定の非金属の短繊維fをトレッ
ド厚さ方向に配向させた短繊維配合ゴムを用い、かつこ
のトレッドゴムGのトレッド厚さ方向の複素弾性率E1
とタイヤ周方向の複素弾性率E2との比E1/E2、お
よびのゴム硬さを規定したタイヤを提案している。
【0006】このものは、非金属の短繊維fを厚さ方向
に配向させているため、トレッド面への短織維の配向方
向の影響がなくなり、路面の細かな凹凸に追随する柔ら
かさを保持でき、粘着・凝着摩擦を改善できる。また接
地圧が短繊維fの長さ方向に作用するため、この短繊維
fにより局部的に接地圧が高い部分が作り出される。従
って、例えばタイヤ空転時に氷路面とトレッド面との間
に発生する水膜を押しのけるなどワイピング効果が生
じ、粘着・凝着摩擦をさらに改善するとともに、路面引
っ掻き・掘りおこし摩擦力をも同時に向上させることが
可能となる。
【0007】このような短繊維配合ゴムを有するタイヤ
は、例えば、図8(B)に示すように、カレンダーロー
ルaによって前記短繊維fを含有するゴム組成物bを圧
延加工し、得られたシートcをジグザグ状に折り畳むこ
とによって厚さ方向に短繊維fを配向させた未加硫のト
レッドゴムGAを作製するとともに、従来と同様、この
トレッドゴムGAを用いて形成した生タイヤを金型内で
加硫成形することによって製造できる。
【0008】しかしながら、本発明者によるさらなる研
究の結果、前記未加硫のトレッドゴムGAにおいて一旦
厚さ方向に配向した短繊維fは、加硫成形の際に生じる
ゴム流れや金型による押し付けに影響され、図9に誇張
して示すように、トレッド面付近では、短繊維fの配向
が大きく乱れ、トレッド面に沿う向きに短繊維fの倒れ
込みが発生することが判明した。
【0009】その結果、タイヤの使用初期においては、
前記短繊維配合ゴムを有するタイヤの利点である、氷路
面での粘着・凝着摩擦、路面引っ掻き・掘りおこし摩
擦、ワイピング効果などが充分に発揮されないという問
題がある。
【0010】そこで本発明は、特願平11−21212
9号の発明の改良に係わり、加硫成形の際の短繊維の倒
れ込みを減じ、使用初期から、氷路面での粘着・凝着摩
擦、路面引っ掻き・掘りおこし摩擦、ワイピング効果な
どを最大限に引出しうるスタッドレスタイヤの提供を目
的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1のスタッドレスタイヤの発明は、トレッド
部をなすトレッドゴムが、ジエン系ゴムに非金属の短繊
維をトレッド厚さ方向に配向させた短繊維配合ゴムから
なり、かつ25゜Cで測定したときのトレッドゴムのト
レッド厚さ方向の複素弾性率E1とタイヤ周方向の複素
弾性率E2との比E1/E2を1.1〜4.0、かつ−
10゜Cで測定したときのトレッドゴムのデュロメータ
A硬さを45〜75度とするとともに、正規リムにリム
組みしかつ正規内圧を充填した正規内圧状態のタイヤに
正規荷重を負荷した時にトレッド部が接地するトレッド
実接地面の側に、表面粗さが十点平均粗さで51〜50
0μmの範囲であって前記厚さ方向の短繊維が傾斜勾配
をこえてタイヤ周方向や軸方向に倒れ込むのを抑制する
凹凸を有する粗面層を形成したことを特徴としている。
【0012】また請求項2の発明では、前記粗面層は、
表面粗さが十点平均粗さで201〜500μmの範囲で
あることを特徴とし、かつ請求項3に係る発明は、前記
実接地面は、タイヤ赤道側に配されタイヤ周方向にのび
る少なくとも1本のリブ状陸部Rと、ブロックBが配列
するブロック状陸部Brとに区分したことを特徴とす
る。
【0013】また請求項4の発明では、前記粗面層は、
トレッド実接地面の80%以上の領域であることを特徴
としている。
【0014】なお本明細書において、「正規リム」と
は、JATMAで規定する標準リム、TRAで規定する
"Design Rim" 、或いはETRTOで規定する "Measur
ing Rim"で特定されるサイズのリムである。又「正規内
圧」とは、JATMAで規定する最高空気圧、TRAの
表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRE
SSURES" に記載の最大値、或いはETRTOで規定する
"INFLATION PRESSURE"であり、乗用車用タイヤである
場合には180KPaとする。又「正規荷重」とは、J
ATMAで規定する最大負荷能力、TRAの表 "TIRE L
OAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に
記載の最大値、或いはETRTOで規定する "LOAD CAP
ACITY"である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例とともに説明する。図1は、本発明のスタッドレス
タイヤ1(以下タイヤ1という)が正規リムJにリム組
みされかつ正規内圧が充填された正規内圧状態における
子午断面であって、本例では、タイヤ1が乗用車用タイ
ヤである場合を示している。
【0016】図において、タイヤ1は、トレッド部2
と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサ
イドウォール部3と、各サイドウォール部3のタイヤ半
径方向内方端に配されるビード部4とを具えとともに、
前記ビード部4、4間に跨るカーカス6、及びこのカー
カス6の半径方向外側に配されるベルト層7を含むコー
ド層によって補強される。
【0017】前記カーカス6は、前記トレッド部2から
サイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5の
廻りで折返して係止される1枚以上、本例では1枚のカ
ーカスプライからなり、このカーカスプライは、カーカ
スコードをタイヤ赤道Cに対して75〜90度の角度で
配列している。カーカスコードとしては、芳香族ポリア
ミド、ナイロン、レーヨン、ポリエステルなどの有機繊
維コードの他、スチールコードが使用できる。本例で
は、ポリエステル繊維コードの場合を例示している。
【0018】前記ベルト層7は、高強力のベルトコード
をタイヤ赤道Cに対して10〜35度の角度で配列した
2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから
なり、各ベルトコードがプライ間相互で交差することに
よってトラス構造を形成し、タガ効果を有してトレッド
部2を補強している。本例では、ベルトコードとしてス
チールコードを用いた場合を例示する。
【0019】そして本願では、このベルト層7の外側に
配されトレッド部2を構成するトレッドゴムGを、ジエ
ン系ゴムに非金属の短繊維fをトレッド厚さ方向に配向
させた短繊維配合ゴムで形成している。なお本例の如
く、トレッドゴムGを、トレッド面をなすキャップゴム
層G1と、その半径方向内側に配されるベースゴム層G
2との2層で形成することができ、係る場合には、少な
くとも前記キャップゴム層G1を短繊維配合ゴムで形成
する。
【0020】この短繊維配合ゴムに用いるジエン系ゴム
としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン
ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、
アクリロニトリルプタジエンゴムなどがあげられる。
【0021】又配合する短繊維fとしては、路面を傷つ
ける恐れがなく、かつゴムとの摩耗速度の差が小さい非
金属の短繊維fを使用することが、氷路面に対する優れ
た接地性を確保する上で不可欠であり、この短繊維fと
しては、無機のものが好ましい。特に、グラスファイバ
ーまたはカーポンファイバーは、ゴムを混練りする過程
で適度な長さに折れて短くなるため、分散および配向さ
せやすく、又後述する所定の複素弾性率をえる上でも好
ましい。
【0022】前記短繊維fの平均織維径は、1〜100
μmであることが好ましく、さらには3〜50μmの範
囲が好ましい。又短繊維fの平均繊維長さは、0.1〜
5.0mmが好ましく、さらには0.1〜2.0mmが
好ましい。
【0023】このような短繊維fをトレッド厚さ方向に
配向させることにより、トレッド面への短織維の配向方
向の影響がなくなり、路面の細かな凹凸に追随する柔ら
かさを保持でき、粘着・凝着摩擦を改善できる。また接
地圧が短繊維fの長さ方向に作用するため、この短繊維
fにより局部的に接地圧が高い部分が作り出される。従
って、例えばタイヤ空転時に氷路面とトレッド面との間
に発生する水膜を押しのけるなどワイピング効果が生
じ、粘着・凝着摩擦をさらに改善するとともに、路面引
っ掻き・掘りおこし摩擦力をも同時に向上させることが
可能となる。
【0024】なお前記平均織維径が1μmより小さい場
合、トレッド厚さ方向に配向した短繊維fがトレッド面
に作り出す接地圧の高い部分を、短繊維断面積が小さい
ことにより充分に作り出すことができなくなる。逆に1
00μmより大きい場合、前記ワイピング効果に劣るた
め、粘着・凝着摩擦が充分に働かなくなる。又平均繊維
長さが0.1mmより短い場合、走行により短繊維fが
トレッド面から脱落しやすくなり、ワイピング効果が低
下する。逆に5.0mmより長い場合、短繊維fを分散
させて配向させにくくなり、ゴムの加工性が低下してし
まう。
【0025】そして、この短繊維配合ゴムによる前記利
点を有効に発揮させるために、短繊維配合ゴムにおい
て、25゜Cで測定した時のトレッド厚さ方向の複素弾
性率E1とタイヤ周方向の複素弾性率E2との比E1/
E2を1.1〜4.0、かつ−10゜Cで測定した時の
デュロメータA硬さを45〜75度としている。
【0026】もし前記比E1/E2が1.1よりも小さ
い場合、接地面に接地圧の高い部分を充分に形成できな
い。その結果、ワイピング効果が小さくなり、路面引っ
掻き・掘りおこし摩擦に加え、粘着・凝着摩擦も改善さ
れなくなる。また、比E1/E2が4.0より大きい場
合、トレッド剛性が高くなりすぎて、トレッド面を氷路
面に追随させることができなくなり、同様に粘着・凝着
摩擦が低下する。従って、前記比E1/E2は、1.2
〜3.5が好ましい。
【0027】又−10゜CでのデュロメータA硬さが4
5度より小さい場合、常温におけるゴムが柔らかくなり
すぎ、たとえば乾燥路面での操縦安定性が悪くなる。逆
に75度より大きい場合、ゴムそのものが硬くなりす
ぎ、トレッド面と氷雪路面との接地性が損なわれ氷雪路
性能が劣る。従って、デュロメータA硬さは45〜60
度が好ましい。
【0028】ここで、前記複素弾性率E1、E2は、岩
本製作所製粘弾性スペクトロメーターを用い、温度25
゜C、周波数10Hz、初期歪み10%、動歪み1%の
条件で測定した値である。測定サンプルは、厚さ1.0
mm、幅4mm、長さ5mmの形状のゴム片を、トレッ
ド部2から切り出して使用する。又デュロメータA硬さ
は、JIS−K6253に準拠し、デュロメータ(タイ
プA)により測定した−10゜Cでのゴム硬さである。
【0029】又前記短繊維配合ゴムにおいては、前記非
金属の短繊維fの、ジエン系ゴム100重量部に対する
配合量を、2〜28重量部とすることが好ましく、さら
には3〜20重量部とするのがより好ましい。2重量部
より小さい場合、接地面に接地圧の高い部分を形成する
短織維の量が少なくなり、水膜のワイピング効果が十分
でなくなり、逆に28重量部より大きい場合、トレッド
剛性が高くなりすぎて、路面追従性が損なわれ、粘着・
凝着摩擦力が低下する。
【0030】次に本願では、この短繊維配合ゴムによる
前記利点をタイヤの使用初期から充分に発揮させるため
に、図2に概念的に示すように、トレッドゴムGにおけ
るトレッド実接地面2Sの側に、所定の表面粗さの凹凸
Kを有する粗面層9を形成したことに一つの大きな特徴
を有している。
【0031】なお前記トレッド実接地面2Sとは、前記
正規内圧状態のタイヤに前記正規荷重を負荷した時にト
レッド部2が接地する接地巾領域Yのうち、実際に接地
する面部を意味する。詳しくは、前記接地巾領域Yのう
ち、トレッド溝12を除いた例えばブロック及びリブな
どの表面を意味している。
【0032】又前記粗面層9は、十点平均粗さ(Rz)
51〜500μmの範囲の表面粗さの凹凸Kを有する
薄厚の表面層として形成される。この粗面層9は、図3
に誇張して示す如く、前記トレッド実接地面2Sを成形
する加硫金型20の金型面20Sに、エッチング処理及
びサンドブラスト処理等の表面処理を行い、前記凹凸K
に相当する表面粗さの粗面領域21を金型面20Sに形
成した加硫金型20を用いてタイヤを加硫成形すること
によって形成される。
【0033】この加硫成形の際、短繊維fを厚さ方向に
配向させた未加硫のトレッドゴムGAは、金型面20S
に押し付けられる。しかし、前記粗面領域21による凹
凸Kによって、表面でのゴム流れがコントロールされ、
短繊維fが、凹凸Kの傾斜勾配をこえてタイヤ周方向や
軸方向に倒れ込むのを抑制することができる。その結
果、粗面層9では、粗面層9より内側のゴム層10にお
ける短繊維fに比べ、ある程度の配向乱れは発生する
が、タイヤ周方向や軸方向への倒れ込みは減じられる。
【0034】従って、使用初期から、短繊維fが有効に
機能し、氷路面での粘着・凝着摩擦、路面引っ掻き・掘
りおこし摩擦、ワイピング効果などを充分に発揮させる
ことが可能になる。なお通常の金型面の表面粗さ、すな
わちトレッド実接地面の表面粗さは、十点平均粗さ(R
z)で10〜30μm程度である。
【0035】ここで、前記「十点平均粗さ(Rz)」と
は、JISB0601に準拠し、図4に例示する如く、
断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分において、平
均線に平行かつ断面曲線を横切らない縦倍率の方向に測
定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と、最
深から5番目までの谷底の標高の平均値との差を示した
ものであり、次式(1)によって求められる。 Rz={(R1 +R3 +R5 +R7 +R9 )/5} −{(R2 +R4 +R6 +R8 +R10)/5} ----(1)
【0036】この十点平均粗さ(Rz)が51μm未満
の時、表面が滑らかすぎ、前記凹凸Kによる短繊維fの
倒れ込み抑制効果が得られず、逆に500μmをこえる
と、表面が粗すぎて接地性が損なわれ、粘着・凝着摩擦
力の減少を引き起こすなど、何れも場合も氷上性能の向
上が見込めない。このような観点から、十点平均粗さ
(Rz)は、51〜500μmの範囲が必要である。
【0037】なお、前記凹凸Kによる短繊維fの倒れ込
み抑制効果は、短繊維fの平均長さが2.0mmをこえ
ると低下傾向となることが判明し、従って、この倒れ込
み抑制効果の観点から、前述の如く短繊維fの平均長さ
は、0.1〜2.0mmの範囲がより好ましい。
【0038】又タイヤ全体として、充分な氷上性能を使
用初期から引き出すためには、前記粗面層9を、トレッ
ド実接地面2Sの80%以上の範囲でできるだけ多く形
成することが好ましいが、意匠性などの観点から80%
未満とすることもできる。
【0039】次に、本願の短繊維配合ゴムを用いたタイ
ヤのトレッドパターンとしては、ブロックBを配列した
ブロックパターンが採用できるが、図5に示す本例の如
く、ブロックBと、タイヤ周方向にのびるリブ状陸部R
とを混在させたリブ・ブロックパターンを採用すること
がより有効である。
【0040】これは、通常、スタッドレスタイヤでは、
トレッド実接地面2S内に設けるサイピングを増加さ
せ、サイピングエッジによる路面引っ掻き・掘りおこし
摩擦力(エッジ効果)の作用によって氷上性能を高めて
いる。しかし前記短繊維配合ゴムでは、その配向により
トレッド面が充分な柔らかさを有するため、サイピング
を増加させても、サイピングに挟まれたゴム部分が倒れ
込んで接地性が低下し、短繊維配合ゴムによる利点が発
揮できずに、タイヤ全体として氷上性能が低下する恐れ
が生じるからである。これは剛性に劣るブロックにおい
てより顕著となる。
【0041】従って、本例では、トレッド部2に、タイ
ヤ周方向にのびる縦溝14と、この縦溝14と交わる向
きの横溝15とを含む前記トレッド溝12を設け、これ
により前記接地巾領域Yを、タイヤ周方向にのびる少な
くとも1本のリブ状陸部Rと、ブロックBが配列するブ
ロック状陸部Brとに区分している。なお前記リブ状陸
部Rは、接地圧が相対的に高いタイヤ赤道側に配するこ
とが好ましく、本例では、リブ状陸部Rの両側に、各2
列のブロック状陸部Brを形成している。
【0042】そして、少なくとも剛性に優れる前記リブ
状陸部Rに、サイピング16を形成する。本例では、こ
のリブ状陸部Rとブロック状陸部Brとの双方に、サイ
ピング16を形成する場合を例示する。
【0043】この時、前記リブ状陸部Rのタイヤ軸方向
巾RWの総和ΣRWは、前記接地巾領域Yのタイヤ軸方
向の巾である接地巾TWの15〜25%の範囲とするこ
とが好ましい。15%より小の場合、リブ剛性が不足し
サイピング16、16間のゴム部分に倒れ込みを招くな
ど、接地性が悪化する。逆に25%を越えると、雪中剪
断力が不十分となり雪上性能を保持することが難しくな
る。
【0044】ここで、前記リブ状陸部Rとしては、タイ
ヤ周方向に実質的に連続してのびるリブ体R0であるこ
とが好ましいが、例えば図6、7の如く、横溝15Aに
よって、リブ状陸部Rを複数のブロック状体RAに区分
した疑似リブ体R1であっても良い。この疑似リブ体R
1は、前記リブ状陸部Rの全面積Srに対するこのリブ
状陸部Rにおける実接地面積Lrの比であるリブランド
比Lr/Srが85%以上のものを意味し、85%未満
をブロック状陸部Brとして区別する。
【0045】なお疑似リブ体R1では、リブランド比L
r/Srを85%とするために、前記横溝15Aを細溝
(図6に示す)としたり、又横溝15A、15A間の距
離を増してブロック状体RAを長寸化することが必要で
あり、何れもリブ体R0と同様に高い剛性を確保でき
る。
【0046】本例では、サイピング16の形成ピッチな
どについて特に規制されないが、少なくともブロックB
に設けるサイピング16のピッチは、リブ状陸部Rに設
けるサイピング16のピッチ以上であることが好まし
い。
【0047】又トレッド溝12の溝巾、溝深さ等も、特
に規制されないが、従来のスタッドレスタイヤのものと
同程度のサイズ、例えば乗用車用タイヤでは、溝巾にお
いては3〜25mmの範囲、溝深さにおいては8〜15
mmの範囲のものが好適に採用できる。
【0048】
【実施例】図1に示す構造を有するタイヤサイズ195
/65R15のスタッドレスタイヤを表2、3の仕様に
基づき試作するとともに、該試供タイヤの氷上性能(氷
上制動性能)をテストし互いに比較した。なお表1に
は、試供タイヤに使用したトレッドゴム(キャップゴム
層)のゴム組成を示している。
【0049】表2では、トレッドゴム(キャップゴム
層)のみを違え、予めタイヤ表面のならし走行を200
km行った後のタイヤの氷上性能をテストした。
【0050】表3では、トレッドゴム(キャップゴム
層)を同一とし、トレッド実接地面の表面粗さのみを違
えて加硫成形した新品タイヤを用いた。また30kmのな
らし走行の後に氷上性能をテストした。
【0051】・氷上性能(氷上制動性能):試供タイヤ
を、内圧(200kpa)、リム(15x6JJ)の基
で、乗用車(FR車:2000cc)の四輪に装着し、
気温0゜Cの環境下の氷盤路上で時速15km/hから
4輪ロックにて急ブレーキをかけ、車が停車するまでの
制動距離によって氷上摩擦係数μを求め、比較例1を1
00とした指数表示で示している。指数が大きいほど、
氷上制動性能は良好である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】表の如く、厚さ方向に非金属の短繊維fを
配向させた短繊維配合ゴムをトレッドゴムとして使用し
たタイヤは、所定の表面粗さとすることにより、短繊維
fの倒れ込みを抑制でき、短繊維配合ゴムによる種々の
利点を、タイヤの使用初期から有効に発揮し氷上性能を
大巾に向上しうるのが確認できる。
【0056】
【発明の効果】本発明は叙上の如く構成しているため、
短繊維配合ゴムによる氷路面での粘着・凝着摩擦、路面
引っ掻き・掘りおこし摩擦、ワイピング効果等の向上効
果を、タイヤの使用初期から有効に発揮でき、氷上性能
を最大限に引き出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のタイヤの断面図である。
【図2】トレッド実接地面を短繊維の配向とともに誇張
して示す断面図である。
【図3】本発明の作用の一つを説明する断面図である。
【図4】十点平均粗さを説明する線図である。
【図5】本発明のタイヤに好適なトレッドパターンの一
例を示す平面図である。
【図6】トレッドパターンの他の例を示す平面図であ
る。
【図7】トレッドパターンのさらに他の例を示す平面図
である。
【図8】(A)、(B)はトレッドゴムの作製方法を表
す説明図である。
【図9】その問題点を誇張して説明する断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部 2S トレッド実接地面 9 粗面層 f 非金属の短繊維 G トレッドゴム J 正規リム K 凹凸
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−274602(JP,A) 特開 平2−147411(JP,A) 特開2001−105510(JP,A) 特開 平11−28914(JP,A) 特開 昭51−102081(JP,A) 特開 平11−245631(JP,A) 特許2892914(JP,B2) 特許2779765(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60C 1/00 B60C 11/00 B60C 11/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド部をなすトレッドゴムが、ジエン
    系ゴムに非金属の短繊維をトレッド厚さ方向に配向させ
    た短繊維配合ゴムからなり、かつ25゜Cで測定したと
    きのトレッドゴムのトレッド厚さ方向の複素弾性率E1
    とタイヤ周方向の複素弾性率E2との比E1/E2を
    1.1〜4.0、かつ−10゜Cで測定したときのトレ
    ッドゴムのデュロメータA硬さを45〜75度とすると
    ともに、 正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した正規内圧
    状態のタイヤに正規荷重を負荷した時にトレッド部が接
    地するトレッド実接地面の側に、表面粗さが十点平均粗
    さで51〜500μmの範囲であって前記厚さ方向の短
    繊維が傾斜勾配をこえてタイヤ周方向や軸方向に倒れ込
    むのを抑制する凹凸を有する粗面層を形成したことを特
    徴とするスタッドレスタイヤ。
  2. 【請求項2】前記粗面層は、表面粗さが十点平均粗さで
    201〜500μmの範囲であることを特徴とする請求
    項1記載のスタッドレスタイヤ。
  3. 【請求項3】前記実接地面は、タイヤ赤道側に配されタ
    イヤ周方向にのびる少なくとも1本のリブ状陸部Rと、
    ブロックBが配列するブロック状陸部Brとに区分した
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のスタッドレスタ
    イヤ。
  4. 【請求項4】前記粗面層は、トレッド実接地面の80%
    以上の領域であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載のスタッドレスタイヤ。
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