JPH107841A - ゴム接着性改良表面処理植物性粒状体の製造方法及びタイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

ゴム接着性改良表面処理植物性粒状体の製造方法及びタイヤトレッド用ゴム組成物

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JPH107841A
JPH107841A JP8188123A JP18812396A JPH107841A JP H107841 A JPH107841 A JP H107841A JP 8188123 A JP8188123 A JP 8188123A JP 18812396 A JP18812396 A JP 18812396A JP H107841 A JPH107841 A JP H107841A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 スタッドレスタイヤのトレッドに用いられた
とき、凍結路面での優れた耐滑り性を長期に亘って発揮
し、耐動的クラック性が向上したゴム組成物。 【解決手段】 種子の殻、果実の核等を粉砕した植物性
粒状体を、レゾルシンホルマリン樹脂の初期縮合物とラ
テックスの混合物で浸漬または吹き付けによって表面被
覆して乾燥、再粉砕した後、篩分けして粒径分布範囲が
100〜600μm に調整されたゴム接着性改良処理植
物性粒状体の製造方法、並びに、ゴム接着性改良表面処
理が施され、表面処理後の粒径が100〜600μm で
ある植物性粒状体が、ジエン系ゴム100重量部に対し
1〜30重量部配合されたトレッド用ゴム組成物、また
は、さらにゴム接着性改良表面処理が施されていない粒
径が30〜250μm の植物性粒状体1.5〜10部が
配合されたトレッド用ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積雪路、凍結路等
の滑りやすい道路を走行する自動車に装着されるスタッ
ドレスタイヤのトレッドに用いられるゴム組成物及び該
ゴム組成物に配合される植物性粒状体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】積雪路、凍結路等の滑りやすい道路を走
行する自動車には、積雪路でのトラクションを大きくす
るためにトレッドに設けられる溝模様を深い縦方向の溝
と横方向の溝で構成されるブロックパターンにし、トレ
ッドを氷上で滑りにくくされたゴム組成物で形成したタ
イヤ、所謂スタッドレスタイヤが用いられている。タイ
ヤが氷上で滑りにくくする方法として、粒径が0.0
1〜5mmの硬質粒状体、例えばアルミナ、花崗岩、石英
等の無機物を破砕した無機物粒状体、胡桃、椿等の種子
の殻或るいは桃、梅等の果実の核を破砕した植物性粒状
体を配合したゴム組成物でトレッドを形成し、接地した
際に、トレッド表面から突出する粒状体が氷の中に散在
する気泡で表層が薄くなった部分を破って、その後にで
きた穴に引っ掛かかるようにさせる方法、ジニトロソ
ペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、ア
ゾビスイソブチルニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラ
ジド等の発泡剤を配合したゴム組成物でトレッドを形成
し、タイヤ加硫中にゴム組成物を発泡させて多孔質に
し、接地している部分の氷の表面に存在する水を孔に吸
収させ、トレッド表面が直接氷に接触するようにすると
ともに、孔のエッジを氷の表面の気泡が破壊して生じた
微細凹凸に引っ掛けるようにする方法、通常トレッド
に使用されるゴム組成物より硬度を5〜10低くして、
接地時の変形を容易にすることによって接地面積を増加
させて摩擦を大きくさせるとともに粘着摩擦を増大させ
る方法、シリコン等を配合した撥水性が大きいゴム組
成物でトレッドを形成して、トレッド表面に付着する水
を除去する方法が知られている。
【0003】しかし、上記の従来用いられていた方法
は、いずれも下記に述べる問題点を有し、積雪路及び凍
結路における耐滑り性は不十分であった。すなわち、
硬質粒状体を配合したゴム組成物でトレッドを形成する
方法においては、硬質粒状体のマトリックスゴムへの接
着性が悪いので、タイヤ使用初期は耐滑り性がよくて
も、使用中に硬質粒状体が脱落して氷面引っ掛け効果が
低下し、耐滑り性が低下する。多孔質ゴムでトレッド
を形成する方法においては、多孔質にすることにより引
き裂き強度が低下して耐摩耗性が低下し、トレッドに用
いられる一般的なゴム組成物でトレッドを形成したタイ
ヤより摩耗寿命が短かくなる。低硬度のゴム組成物で
トレッドを形成する方法においては、トレッドパターン
のブロック剛性が低いため、積雪路を走行するとき、ト
レッドパターンの溝に入った雪を踏み固め、その反力で
進行する作用が弱く、積雪路で滑りやすくなる。撥水
性が大きいゴム組成物でトレッドを形成する方法におい
ては、最も滑りやすい表面が溶融した氷上を走行すると
き、水を撥水、除去する作用が不足し、スタッドレスタ
イヤとしての性能が発揮されない。
【0004】一般に、粒状体の配合量を多くして凍結路
面での耐滑り性を改良しようとすれば、耐摩耗性が低下
する傾向にあるが、本発明の出願人が出願した特開平5
−287128号公報に、加硫した後のゴム組成物から
アセトン・クロロホルム混合溶剤で抽出される抽出成分
の量Eと補強性充填剤の量Aとが下記の量的関係: E<0.4(A−0.38) (式中、Eはゴム組成物の前記溶剤による抽出後のゴム
成分を100重量部に対する抽出成分の重量部数、Aは
同じく抽出後のゴム成分に対する補強性充填剤のの重量
部数)を満足するようにして耐摩耗性を向上させ、滑り
抵抗を大きくするために配合される粒状体として、平均
粒径が0.01〜5mmの植物性粒状体をレゾルシン・ホ
ルマリン樹脂の初期縮合物とラテックスの混合物で表面
処理してマトリックスゴムとの接着力を大きくしたもの
を用いることによって、タイヤ使用中の植物性粒状体の
脱落を防止し、耐摩耗性を大きくするとともに優れた耐
滑り性を長期に亘って保持できるゴム組成物が記載され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテックス
の混合物で表面処理した植物性粒状体を配合したゴム組
成物は、以下に述べる問題点を有することが明らかにな
った。すなわち、レゾルシン・ホルマリン樹脂の初期縮
合物とラテックスの混合物でなる表面処理剤に浸漬また
は植物性粒状体に表面処理剤を吹き付け、乾燥している
間に、表面処理剤の粘着性が増加して植物性粒状体同士
が表面処理剤と一緒になって凝集固化し、粒径が大きく
なる。特に小粒径のものは比表面積が大きいので凝集し
て大粒径化しやすい。粒径の大きい粒状体がタイヤトレ
ッドのゴム組成物に含有される場合、粒状体は異物とし
て挙動し、タイヤ走行時クラック発生の原因になる。特
に、タイヤトレッドの溝模様の溝底部分は、トレッドの
他の部分より肉厚が薄く、この部分に大粒径の粒状体が
存在するとそれが核になってクラック、所謂グルーブク
ラックが発生し、早期に使用不能になることがあった。
従って本発明の目的は、ゴム接着性改良剤で表面処理さ
れた植物性粒状体を配合したゴム組成物がスタッドレス
タイヤのトレッドに用いられたときに長期に亘って示す
凍結路面での優れた耐滑り性を維持しながら、耐動的ク
ラック性が向上したゴム組成物及び該ゴム組成物に配合
する植物性粒状体の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1のゴム
接着性改良表面処理植物性粒状体の製造方法は、種子の
殻、果実の核等を粉砕した粒径が100〜600μm の
植物性粒状体を、レゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合
物とラテックスの混合物を主成分にするゴム接着性改良
剤で表面処理して乾燥した後、再粉砕、篩分けして粒径
分布範囲を100〜600μm に調整することを特徴と
する。
【0007】本発明の請求項2のタイヤトレッド用ゴム
組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、上記製造
方法によって得られたゴム接着性改良の表面処理が施さ
れ、表面処理後の粒径が100〜600μm である植物
性粒状体が1〜30重量部配合されたことを特徴とす
る。
【0008】本発明の請求項3のタイヤトレッド用ゴム
組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対し、前記の製
造方法で得られたゴム接着性改良の表面処理が施され、
表面処理後の粒径が100〜600μm である植物性粒
状体の1〜20重量部とゴム接着性改良の表面処理が施
されていない粒径が30〜250μm である植物性粒状
体の1.5〜10重量部が配合されたことを特徴とす
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる植物性粒状体
は、氷の硬さより硬い、言い換えればモース硬度が2以
上である胡桃、椿等の種子の殻または桃、梅等の果実の
核を公知の方法で粉砕して粒状体にしたものである。こ
れらの粒状体を配合したゴム組成物でトレッドを形成し
たタイヤが氷の上で滑りにくいのは次に述べる理由によ
るものである。すなわち、一般に路面を覆って滑りやす
くなる氷は、自動車の通行により押し固められた雪、所
謂圧雪に水が染み込んで凍ってできた氷あるいは日中溶
融してできた水が夜間凍結したできた氷である。これら
の氷には径が0.01〜0.5mmの気泡が多数散在して
いて、氷の表層に位置する気泡を取り囲む部分は肉厚が
薄くなっており、トレッドゴムに配合された粒状体が接
地したときトレッド表面から突出して、肉厚の薄くなっ
た部分を破壊し、後にできた微細穴に引っ掛かって滑る
のが防止される所謂引っ掛け効果によるものである。従
って、ゴムに配合する粒状体のモース硬度が2より小さ
い場合、氷の肉厚が薄くなった部分を破壊できないの
で、それを配合したゴム組成物は、滑り防止作用が小さ
い。また、本発明のゴム組成物に用いる植物性粒状体の
粒径は、ゴム接着性改良剤で表面処理した後の径が10
0〜600μm のものである。100μm より小さいも
のは引っ掛け効果が小さくなり、600μm より大きい
ものは、氷に含まれる気泡の径より大きいために気泡を
破壊する作用が小さくなる。粒状体はマトリックスゴム
より硬く、変形しにくいので、応力が作用したとき粒状
体周囲のマトリックスゴムは大きく歪み、粒径が600
μm より大きくなれば、歪みが過大になってクラックが
発生しやすくなる。
【0010】植物性粒状体のゴム接着性改良表面処理に
用いるレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテッ
クスとの混合物は、レゾルシン1モルに対しホルマリン
またはヘキサメチレンアルデヒド1〜2モルの比率で両
者を水に溶解し、少量の苛性ソーダーまたは苛性カリ水
溶液を添加して熟成し、得られたレゾルシン・ホルマリ
ン樹脂初期縮合物を、天然ゴムラテックスまたはジエン
系合成ゴムラテックス或いは両者の混合物に、固形分換
算でラテックス100重量部に対し10〜80重量部の
比率で添加混合したものである。また上記のレゾルシン
・ホルマリン樹脂初期縮合物の代わりに、市販のレゾル
シン・ホルマリン樹脂初期縮合物、例えば保土谷化学工
業(株)製の商品名アドハーRF等を使用することもで
きる。必要に応じて、有機繊維コードの接着剤処理に使
用するレゾルシン・ホルマリン樹脂初期縮合物とラテッ
クスの混合物に添加する公知のイソシアネート化合物、
エポキシ化合物、メラミン樹脂初期縮合物を添加するこ
とができる。上記の混合物は、植物性粒状体への付着率
が1〜5重量%になるように固形分濃度を5〜25重量
%に調整され、その中に植物性粒状体を浸漬するか、ま
たは植物性粒状体に上記の混合物を吹き付けて乾燥し、
ゴム接着性改良表面処理が施された植物性粒状体が得ら
れる。上記の植物性粒状体の混合液に浸漬、または混合
液の吹き付けをして乾燥する間に植物性粒状体は凝集
し、粒径が大きくなるので、公知の方法で再粉砕し、所
望する粒径分布の上限と同じ大きさの目開きを持つ篩を
用いて粗粒成分を除き、次に下限と同じ大きさの目開き
を持つ篩を用いて微粒成分を除いて、所望の粒径範囲を
持つ植物性粒状体が得られる。
【0011】本発明のトレッド用ゴム組成物に使用され
るジエン系ゴムとして、天然ゴム、スチレンブタジエン
ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等が例示され
る。ゴム組成物に配合される上記で得たゴム接着性改良
表面処理が施された植物性粒状体の配合量は、ジエン系
ゴム100重量部(以下、重量部を単に部と言う)に対
し、1〜30部が好適である。配合量が1部より少ない
場合は、凍結路面おける耐滑り性が劣り、30部より多
くなると耐摩耗性が低下する。
【0012】ジエン系ゴム100部に対し、前記で得ら
れたゴム接着性改良の表面処理が施され、処理後の粒径
が100〜600μm である植物性粒状体の1〜20部
と粒径が30〜250μm のゴム接着性改良表面処理が
施されていない植物性粒状体の1.5〜10部を配合し
たゴム組成物でトレッドを形成したタイヤは、走行中に
ゴム接着性改良表面処理が施されていない植物性粒状体
がトレッド表面から脱落し、脱落した後に穴が形成さ
れ、穴が水を吸収して氷上の薄い水膜を除去して滑りに
くくするともにトレッド表面を直接氷に接触させる除水
効果を奏し、ゴム接着性改良の表面処理が施された植物
性粒状体が奏する引っ掛け効果との相乗効果によって、
より一層耐滑り性が大きくなる。ゴム接着性改良表面処
理が施されていない植物性粒状体の粒径が30μm より
小さくなると除水効果が小さくなり、粒径が250μm
より大きくなると配合された量の割に穴の数が少なくな
って、除水効果が小さくなる。表面処理が施された植物
性粒状体の配合量が、1部より少ない場合は、引っ掛け
効果が奏されず、20部より多くなれば耐摩耗性が悪く
なる。表面処理が施されていない植物性粒状体の配合量
が、1.5部より少ない場合は、走行中に植物性粒状体
が脱落して形成される穴数が充分でなく、除水効果が奏
されず、10部より多くなれば耐摩耗性が悪くなる。
【0013】本発明のゴム組成物は、前記した植物性粒
状体に加えて、トレッド用ゴム組成物に一般に配合され
る各種添加剤を任意に配合することができ、その配合量
も一般的な量とすることができる。任意に配合する添加
剤としては、例えば硫黄、加硫促進剤、カーボンブラッ
ク、シリカ、軟化剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワック
ス、老化防止剤などを挙げることができる。
【0014】
【実施例】以下に、実施例ならびに比較例によって本発
明を詳述する。文中、単に部とあるのは重量部を表し、
RFL処理とあるのは、レゾルシン・ホルマリン樹脂初
期縮合物とラテックスとの混合物で接着性改良の表面処
理が施されたことを表す。
【0015】実施例1 撹拌機を備えた容器に、水353部、レゾルシン17
部、37%ホルマリン25部、10%苛性ソーダ水溶液
5部を投入して、温度20℃で12時間撹拌を続けた
後、ビニールピリジンラテックス(住化エイビーエスラ
テックス社製、商品名PYRATEX SNX704
6) を260部及びスチレンブタジエンラテックス(住
化エイビーエスラテックス社製、商品名J−9049)
を90部添加し、水を加えて固形分濃度を18重量%に
調整してゴム接着性改良表面処理剤を得た。これに胡桃
の殻を粉砕した粒径分布範囲が100〜590μm の植
物性粒状体を浸漬した後加熱乾燥を行い、乾燥後相互産
業(株)社製の粉砕機を用いて粉砕し、粉砕物を目開き
が500μm の篩を用いて粒径が500μm より大きい
ものと小さいものに篩分け、篩を通過した粒径が500
μm より小さいものを再度目開きが125μm の篩を用
いて粒径が125〜500μm のものと125μmより
小さいものに篩分け、表面処理をした後の粒径が125
〜500μm のゴム接着性改良表面処理植物性粒状体を
得た。
【0016】実施例2 天然ゴム100部、カーボンブラック(N220)50
部、オイル3部、亜鉛華3部、ステアリン酸1部、老化
防止剤1部、ワックス1部とともに、胡桃の殻を粉砕し
てRFL処理をした後の粒径分布範囲が125〜300
μm または125〜550μm の粒状体を表1記載の部
数を添加混合し、シート状に成形して冷却した後、硫黄
1.5部と加硫促進剤(CBS)1部を添加して再混合
し、未加硫ゴム組成物を得た。これら未加硫ゴム組成物
を通常の方法に従って押し出してトレッドバンドにし、
このトレッドバンドをカーカス成型体に張り付け、加硫
成形を行って、サイズ6.50R16のタイヤを試作し
た。比較のため、本発明の請求項2の条件に対し胡桃殻
粒状体の粒径、配合量は請求項2の範囲あるが、RFL
処理が施されていない胡桃殻粒状体を配合したことが異
なるゴム組成物(比較例21)、RFL処理後の粒径分
布範囲が外れる700〜5000μm の胡桃殻粒状体を
用いたゴム組成物(比較例24)及び胡桃殻粒状体の添
加量が範囲外にあるRFL処理胡桃殻粒状体を用いたゴ
ム組成物(比較例22、23)のそれぞれを作成して、
比較例タイヤを試作した。上記の本発明の請求項2の実
施例試作タイヤ及び比較例タイヤについて下記の試験方
法によって氷上での耐滑り性及び耐摩耗性の試験を行
い、結果を比較例21を100とした指数で表1に示し
た。合わせて走行後に、グルーブクラックの発生有無の
検査をし、結果を表1に示した。
【0017】氷上耐滑り試験:試作タイヤを自動車に装
着して凍結或るいは積雪していない道路で1000km馴
らし走行を行った後、アイスバーン上で速度を40km/
時に上げて急ブレーキを掛け、ブレーキを掛けてから停
止するまでの停止距離を測定し、次の式で計算した値を
耐滑り性とした。値が大きいほど好ましい。 (比較例21タイヤの停止距離)×100/(各試作タ
イヤの停止距離) 耐摩耗性試験:自動車1台毎に2種類の試作タイヤを装
着して約10000km走行した後、トレッドの溝深さを
測定し、走行前と後の溝深さの差から摩耗量を求め、次
の式で計算した値を耐摩耗性とした。値が大きいほど好
ましい。 (比較例21タイヤの摩耗量)×100/(各試作タイ
ヤの摩耗量)
【0018】
【表1】
【0019】実施例は、RFL処理胡桃殻粒状体配合量
が多くなるにつれ耐滑り性が高くなり、耐摩耗性は低下
することを示し、耐滑り性は勿論、耐摩耗性についても
RFL処理胡桃殻粒状体が配合されていない比較例21
に比してよくなっている。比較例22はRFL処理胡桃
殻粒状体の配合量が1部より少ないと耐滑り性が改良さ
れないことを示す。比較例23はRFL処理胡桃殻粒状
体の配合量が30部より多くなると耐摩耗性が低下する
ことを示す。比較例24はRFL胡桃殻粒状体の粒径が
600μm より大きくなれば、グルーブクラックが発生
しやすくなることを示す。実施例22と比較例21の比
較から、胡桃殻粒状体にRFL処理を施すことにより、
胡桃殻粒状体の耐滑り性及び耐摩耗性が改良されること
が判る。
【0020】実施例3 天然ゴム100部、カーボンブラック(N220)50
部、オイル3部、亜鉛華3部、ステアリン酸1部、老化
防止剤1部、ワックス1部とともに、表2記載の胡桃殻
粒状体を混合し、シート状に成形して冷却した後、硫黄
1.5部と加硫促進剤(CBS)1部を添加して再混合
し、未加硫ゴム組成物を得た。これらのゴム組成物を用
いて、実施例2と同様の方法でサイズ6.50R16の
タイヤを試作し、氷上での耐滑り性試験、耐摩耗性試験
及びグルーブクラック検査を行い、結果を表2に比較例
31をコントロールにした指数で示した。
【0021】
【表2】
【0022】本発明請求項3の範囲にある実施例31,
32,33,34及び35は、耐滑り性、耐摩耗性及び
グルーブクラックが良好であるが、本発明請求項3の範
囲外にある比較例31,32,33,34,35,3
6,37及び38A〜38Dは耐滑り性、耐摩耗性及び
グルーブクラックのいずれかに欠点があることが判る。
実施例31及び32と比較例33から、いずれも粒状体
の配合量合計が同量の4部であるがRFL処理胡桃殻粒
状体とRFL無処理胡桃殻粒状体を併用した方が耐滑り
性、耐摩耗性がより向上することが判る。これはRFL
処理を施された胡桃殻粒状体はタイヤ使用中の脱落が発
生しにくいためと考えられる。
【0023】RFL無処理胡桃殻粒状体の配合量が10
部より多い比較例34は、耐滑り性はよいが、耐摩耗性
が悪くなることを示し、RFL処理胡桃殻粒状体の配合
量が1部より少ない比較例35は、耐摩耗性はよいが、
耐滑り性が悪くなることを示し、RFL処理胡桃殻粒状
体の配合量が20部より多い比較例36は、耐滑り性は
よいが、耐摩耗性が悪くなることを示す。比較例37は
RFL無処理胡桃殻粒状体の配合量が1.5部より少な
いので、耐滑り性が劣る。粒径が600μm 600μm
より大きい胡桃殻粒状体を用いた比較例38A、38B
及び38Cはグルーブクラックの発生が認められRFL
処理の有無にかかわらず粒径が600μm より大きい胡
桃殻粒状体を用いれば、ゴムとの歪みの差に起因しグル
ーブクラックが発生しやすくなり、さらに耐摩耗性の向
上も実施例に比べて少ない。逆に粒径が100μm 未満
のRFL処理胡桃殻粒状体いた比較例38Dは引っ掛け
効果が小さく耐滑り性の改善が少ない。
【0024】実施例33、34及び35より胡桃殻粒状
体の配合総量を増せば耐滑り性は向上し、逆に耐摩耗性
は低下するがRFL処理胡桃殻粒状体とRFL無処理胡
桃殻粒状体のそれぞれの配合量及び粒径分布を選択する
ことで使用条件による各タイヤの要求性能に合うゴム配
合を設計することができる。
【0025】本発明請求項2の範囲内の比較例39と本
発明請求項3の範囲内の実施例34の比較から、RFL
処理胡桃殻粒状体のみを配合した場合よりRFL無処理
胡桃殻粒状体を併用した方が、走行中にRFL無処理胡
桃殻粒状体が脱落した後の穴による除水効果により耐滑
り性の向上が大きくなり優れることが判る。
【0026】
【発明の効果】耐滑り性を向上させるために配合する胡
桃の殻を粉砕した粒状体をRFLで処理することによ
り、マトリックスゴムとの接着性が改良されてマトリッ
クスゴムからの脱落が減少し、耐滑り性が保持されると
ともに、RFL処理後の粒径を100〜600μm にす
ることにより、グルーブクラックが防止される。さら
に、RFL処理が施されていない胡桃殻粒状体を1.5
〜10部追加することにより、除水効果が生じて、耐滑
り性が一層よくなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 61/12 LMU C08L 61/12 LMU //(C08L 9/00 97:02)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 種子の殻、果実の核等を粉砕した粒径が
    100〜600μmの植物性粒状体を、レゾルシン・ホ
    ルマリン樹脂初期縮合物とラテックスの混合物を主成分
    にするゴム接着性改良剤で浸漬または吹き付けによって
    表面処理して乾燥した後、再粉砕、篩分けして粒径分布
    範囲を100〜600μm に調整することを特徴とする
    ゴム接着性改良処理植物性粒状体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ジエン系ゴム100重量部に対し、ゴム
    接着性改良表面処理が施され、表面処理後の粒径が10
    0〜600μm である植物性粒状体が1〜30重量部配
    合されたことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成
    物。
  3. 【請求項3】 ジエン系ゴム100重量部に対し、ゴム
    接着性改良表面処理が施され、表面処理後の粒径が10
    0〜600μm である植物性粒状体の1〜20重量部と
    ゴム接着性改良の表面処理が施されていない粒径が30
    〜250μmである植物性粒状体の1.5〜10重量部
    が配合されたことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組
    成物。
JP18812396A 1996-06-27 1996-06-27 タイヤトレッド用ゴム組成物 Expired - Fee Related JP3879031B2 (ja)

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