以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る画像転写記録装置1の概略を示す縦断面図である。この図に示すように、画像転写記録装置1は、受像フィルム供給部100と、ドナーフィルム供給部200と、記録部300と、排出部400とを備える。また、画像転写記録装置1は、本体カバー10によって表面を覆われ、脚部20によって支えられている。
画像転写記録装置1において、受像フィルム供給部100は、記録部300に対して受像フィルムを供給する。またドナーフィルム供給部200は、複数の種類のドナーフィルムを供給することが可能であり、記録部300に対して複数の種類のドナーフィルムの中から1種類のドナーフィルムを選択的に供給することができる。記録部300においては、ドラム310に巻き付けられた受像フィルムの上に、さらにドナーフィルムが重ねて巻き付けられる。そして、受像フィルム上に重ねられたドナーフィルムに対して、記録したい画像情報に基づいてレーザ露光を行う。レーザ露光により加熱された部分のドナーフィルムのドナーが昇華あるいは溶融により受像フィルムに付着して転写されることによって、受像フィルム上に像が形成される。さらに、同一の受像フィルムに対して、異なる複数色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のドナーフィルムのドナーが付着することによって、受像フィルム上にカラー画像を形成することができる。これは、受像フィルムをドラム310に巻き付けたまま、露光済みのドナーフィルムを別色のドナーフィルムに順次交換してレーザ露光することによって達成される。
この画像が形成された受像フィルムは、排出部400を経由して排出され、本装置から取り出される。そして、さらに別設の図示しないラミネート部において、印刷対象である紙に加熱加圧される。これによって、任意の印刷用紙上にドナーが転写されて画像が形成される。
記録部300は、ドラム310を有する(図1参照)。図2および図3を用いて、ドラム310の構造を説明する。図2はドラム310を示す斜視図である。図3は、ドラム310の模式的な断面図である。ドラム310は、内部に中空室325が形成された円筒形状であり、2本のアーム329によって回転自在に保持されている。ドラム310の軸部326は、モータ312の回転軸に連結されており、モータ312によって回転駆動される。ドラム310の表面には、複数の孔部314が形成されている。この孔部314は、中空室325を介してブロワユニット316に接続されている。受像フィルム140およびドナーフィルム240をドラム310に載置してブロワユニット316を作動させると、これらのシート140,240はドラム310表面に吸着固定される。
ドラム310は複数の溝部322を有している。複数の溝部322は、ドラム310の回転軸と平行に、かつ一直線上に設けられている。ドラム310は、さらに複数の溝部324を有している。複数の溝部324は、複数の溝部322と同様に、ドラム310の回転軸と平行に、かつ一直線上に設けられている。また溝部324のそれぞれは、ドラム310の回転軸に平行な方向において、溝部322のそれぞれの位置に対応する位置に存在する。このようにドラム310は、2列の溝部322および324を有する。
ドラム310は、2本の軸部326でアーム329に対し回転自在に保持されている。ドラム310の軸部326はモータ312の軸に接続されており、該モータ312により回転駆動される。モータ312の軸はエンコーダ330にも接続されており、該エンコーダ330によりドラム310の回転角が検出される。
中空室325はドラム310表面に形成された孔部314、溝部322,324に連通している。モータ312に接続されていない側の軸部326の中心部には吸引路331が形成されており、中空室325の空気を外部に排出可能である。吸引路331は連通管327を介してブロワーユニット316につながっている。中空室325の内圧は、連結管327の中途に設けられている圧力センサ338によって検出される。
図4は、ドラム310をその軸方向と直交する鉛直面で切断した断面図である。ドラム310の上方において、複数の剥離爪332が、ドラム310の回転軸と平行に、かつ一直線上に設けられている。溝部322の数と同数の剥離爪332が設けられており、剥離爪332のぞれぞれは、ドラム310の回転軸に平行な方向において、複数の溝部322のそれぞれに対応する位置に設けられている。またドラム310の上方には、ローラ334が設けられている。このローラ334は、図示しない駆動機構によってドラム310から所定の距離だけ離れたP31とドラム310に接触する位置との間を移動することができる。ローラ334は、各種シートをドラム310に巻き付ける際に用いられる。
さらに記録部300は、記録用ヘッド350を有する(図1参照)。記録用ヘッド350はビーム状のレーザ光を射出することができる。このレーザ光が照射された位置のドナーフィルム240のドナーインクは、受像フィルム140の表面に転写される。また記録用ヘッド350は、図示しない駆動機構によって、ドラム310の回転軸に平行な方向に直線的に移動することができる。したがって、ドラム310の回転運動と記録用ヘッド350の直線移動との組み合わせによって、受像フィルムを覆うドナーフィルム上の所望の位置をレーザ露光することが可能である。よって、描画用の光ビームであるレーザ光でドナーフィルム上を走査して、画像情報に基づいて対応する位置のみをレーザ露光することによって、所望の画像を受像フィルム140に転写することができる。
図5は、受像フィルム供給部100およびドナーフィルム供給部200の詳細を示す断面図ある。ここではまず、受像フィルム供給部100について説明する。
受像フィルム供給部100は、受像フィルムロール130を有している。受像フィルムロール130は、芯132に受像フィルム140が巻回されたものである。また、受像フィルム140は、支持層144および受像層144を有しており、受像層144は支持層142の上に積層されている。受像フィルムロール130においては、受像層144が支持層142に対して外側になるように巻回されている。また受像フィルムロール130は、芯132の中心軸まわりに回転できるように設置されている。
図6は、図5の一部を拡大した図である。図6を参照してさらに説明を進める。受像フィルム供給部100は、受像フィルム搬送部150をさらに有している。受像フィルム搬送部150は、モータ152と、駆動伝達用チェーン153と、搬送用ローラ154,155と、支持ガイド156と、受像フィルム切断部160と、受像フィルムの端点を検出する検出センサ170とを有している。
搬送用ローラ154は、一対のローラ154aおよび154bを有しており、搬送用ローラ155は、一対のローラ155aおよび155bを有している。ローラ154aおよび155aは、駆動伝達用のチェーン153によってモータ152と接続されており、モータ152によって駆動される。また、ローラ154bおよび155bは、それぞれ、ローラ154aおよび155aとの間で所定の圧力で受像フィルム140を挟み込むことができる。そして、ローラ154bおよび155bは、ローラ154aおよび155aの回転とは逆向きに従動回転することによって、受像フィルム140を搬送する。このような駆動機構によって、受像フィルム140を記録部300の方へ送り出したり、あるいは逆に戻したりすることができる。
このような構造を有する受像フィルム供給部100によって、受像フィルム140が記録部300に対して供給される。
まず、受像フィルムロール130の先端部が搬送用ローラ154に挟まれた状態で、モータ152などの前述の駆動機構によって、矢印AR11の向きに受像フィルム140が引き出される。これによって、受像フィルムロール130は矢印AR11の向きに回転し、受像フィルム140が繰り出されていく。受像フィルム140は、さらに搬送用ローラ155に挟まれ、支持ガイド156に案内されて搬送される。
このようにして受像フィルム搬送部150によって搬送された受像フィルム140は、受像フィルム切断部160によって所定の長さに切断される。長さの測定には、検出センサ170が利用される。受像フィルム140の先端を検出センサ170により検出し、モータの回転数などを考慮することなどによって、長さを測定することができる。受像フィルム140は、この測定結果に基づいて所定の長さに切断され、記録部300へと供給される。
上記の駆動により受像フィルムロール130から繰り出された受像フィルム140は、上述した受像フィルム長の測定結果に基づいて、その搬送が停止された後、シート切断部160によって所定の長さに切断される。
以上のようにして、受像フィルム供給部100は、受像フィルムロール130の一部を繰り出して切断することによって、所定の長さの受像フィルム140を記録部300に対して供給することができる。
再び図5を参照して、ドナーフィルム供給部200について説明する。ドナーフィルム供給部200は回転ラック210を有している。回転ラック210は、後述するように回転軸213を中心に矢印AR1の方向に回転駆動される。また回転ラック210には、複数のドナーフィルムロール230が収容されており回転軸213まわりに「放射状」に配置されている。
ドナーフィルムロール230は、図7に示されるように、中空の芯232と、それに巻回されるドナーフィルム240と、芯232の両側から差し込まれるフランジ234とを有している。図8に示されるように、回転ラック210上の3本のバー258がこれらのフランジ234,234を挟み込むことによりドナーフィルムロール230は回転自在に保持される。
フランジ234はベース部235と突起部236とからなっている。ベース部235の径は、芯232まわりにドナーフィルム240が完全に巻き付けられたときのドナーフィルム部分の径よりも大である。そのため、3本のバー258は、最外周のドナーフィルム240には接触せず、フランジ234にのみ接触する。
また、各バー258の一部には突起状のストッパ259が設けられドナーフィルムロール230の軸方向の動きが規制される。
また、ドナーフィルム240は、支持層242およびドナー層244を有しており、ドナー層244および支持層242が積層されている。ドナーフィルムロール230においては、ドナー層244が支持層242に対して外側になるように巻回されている(以下、このように巻かれたドナーフィルムロールを「外巻き」のドナーフィルムロールという)。後述するように、ドナー層244は、ドナーインクを有しており、このドナーインクがレーザ露光により受像フィルムに転写される。
図5においては、このような構造を有する6つのドナーフィルムロール230が回転ラック210内に収容されている場合が示されている。この6種類のドナーフィルムとしては、たとえば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のドナーフィルムと2色(たとえば金色、銀色など)の特色のドナーフィルムとを用いることができる。
回転ラック210はさらに、複数のドナーフィルム繰出し機構250を有する。ドナーフィルム繰出し機構250は、複数のドナーフィルムロール230のそれぞれに対応して設けられる。図においては、6つのドナーフィルム繰出し機構250が設けられている。ドナーフィルム繰出し機構230は、一対のフィードローラ254と、支持ガイド256と、3本のバー258とを有している。ドナーフィルム繰出し機構250の詳細は図8に示されている。
ドナーフィルム繰出し機構250によって、ドナーフィルム240が記録部300に対して供給される。ドナーフィルムロール230の先端がフィードローラ254に挟まれた状態において、モータ252などの前述の駆動機構によってフィードローラ254を駆動する。この駆動により、ドナーフィルム240は、ドナーフィルムロール230の矢印AR21の向きの回転を伴って、矢印AR2の向きに繰り出されていく。またドナーフィルム240は、さらに後述のドナーフィルム搬送部270において、所定長さに切断されて記録部300に対して供給される。
再び図5および図6を参照する。ドナーフィルム供給部200は、ドナーフィルム搬送部270をさらに有している。ドナーフィルム搬送部270は、モータ272と、駆動伝達用のチェーン273と、搬送用ローラ274、275と、ガイド276と、ドナーフィルム切断部280と、ドナーフィルムの端を検出する検出センサ290とを有している。
搬送用ローラ274は、一対のローラ274aおよび274bを有しており、搬送用ローラ275は、一対のローラ275aおよび275bを有している。ローラ274aおよび275aは、駆動伝達用のチェーン273によってモータ272と接続されており、モータ272によって駆動される。また、ローラ274bおよび275bは、それぞれ、ローラ274aおよび275aとの間で所定の圧力でドナーフィルム240を挟み込むことができる。そして、ローラ274bおよび275bは、ローラ274aおよび275aの回転とは逆向きに回転することによって、ドナーフィルム240を搬送する。このような駆動機構によって、ドナーフィルム240を記録部300の方へ送り出したり、あるいは逆に戻したりすることができる。
また、このようにして搬送されたドナーフィルム240は、ドナーフィルム切断部280によって所定の長さに切断される。ドナーフィルム240の長さの測定には、検出センサ290が利用される。ドナーフィルム240の端を検出センサ290により検出し、モータの回転数などを考慮することなどによって、長さを測定することができる。ドナーフィルム240は、この測定結果に基づいて所定の長さに切断され、記録部300へと供給される。
図9は、画像転写記録装置1のドラム310への受像フィルム140およびドナーフィルム240の固定に関する制御ブロックである。制御部500は、受像フィルム140の位置を検出する検出センサ170からの受像フィルム位置検出信号、および、ドナーフィルム240の位置を検出する検出する検出センサ290からのドナーフィルム位置検出信号、ドラム310の回転角を検出するエンコーダ330からの回転角検出信号、ドラム310の中空室325の内圧を検出する圧力センサ338からの内圧検出信号を受け取り、インバータ部502に対してon・off信号と速度指令信号とを、受像フィルム140を搬送するためのモータ152に対して第1モータ制御信号を、ドナーフィルム240を搬送するためのモータ272に対して第2モータ制御信号を、ドラム310を回転駆動するモータ312に対して第3モータ制御信号をそれぞれ与えるものである。
インバータ部502にはon・off信号と速度指令信号とが送られる。インバータ部502は、速度指令信号に応じて、電源504からの交流電流の周波数を変更する。ブロワーユニット316内に設けられたファン(図示せず)の回転速度はこれによって制御され、それに応じてドラム310の内圧が変更される。
以下、図10と図12とを用いて受像フィルム140のドラム310への固定動作を説明する。
図12は、横軸を時間軸にしたグラフである。縦軸の目盛は、正の値がブロワー回転数を、負の値がドラム内圧をそれぞれ示している。図12中の実線はブロワー回転数の変化を表す。ブロワー回転数はレベル0から5の範囲で変化する。図12中の点線がドラム内圧の変化を表す。ドラム内圧は、ブロワー回転数に連動して大気圧であるレベル0からレベル−5の範囲で変動する。
ステップS.10において制御部500はモータ152に第1モータ制御信号を送り受像フィルム140の搬送を開始させる。この動作は図12中のt1時点において行われる。受像フィルム140の搬送はステップS.20において検出センサ170が受像フィルム140の先端を検出するまで継続される。次に、制御部500は、低速での受像フィルム140の搬送を行う。低速搬送は受像フィルム140の先端がドラム310の先端に届くのに要する量だけ行われる。
ステップS.40において制御部500は、エンコーダ330からの回転角検出信号を参照しつつモータ312に第3モータ制御信号を送りドラム310の位置決めを行う。これにより受像フィルム140の先端はドラム310表面に形成された溝部324に一致する(図4参照)。ステップS.50においてスクイーズローラ334が図示しない駆動機構により下降し、受像フィルム140の先端が溝部324に押圧される。これらの動作は図12中のt1からt2までで行われる。
ステップS.60で制御部500はインバータ部502にON信号を送りブロワーユニット316の作動を開始させる。このときのブロワーユニット316の回転数はレベル5に設定される。制御部500は圧力センサ338からの内圧検出信号を参照し、ドラム310の内圧が−3レベルに達するか監視する(ステップS.70)。これらの動作は図12中のt2からt3までで行われる。
ドラム内圧が−3レベルに達したと判断されると制御部500はドラム310の低速回転を開始する。低速回転は受像フィルム140が所定長送られるまで継続され(ステップS.90)、ステップS.100で受像フィルム140の切断のために一時停止される。次のステップS.110においては、受像フィルム140の残部がドラム310表面に到達するのに必要な長さ分の搬送が行われる。
なお、受像フィルム搬送に関するステップS.90からステップS.110までの作業に並行して、制御部500は圧力センサ338からの内圧検出信号に基づいてブロワー回転数の速度指令信号を発しドラム内圧が−3レベルに保たれるようにする(ステップS.120)。すなわち、受像フィルム140がドラム310周囲に装着されるにしたがって、孔部314が順次塞がれドラム310の密封度が向上する。制御部500は圧力センサ338からの内圧検出信号によってドラム310の密封度(=受像フィルムの装着面積)を推測し、それに応じた速度指令信号を発する。具体的には、図12に示すように、ブロワー回転数をレベル5から順次レベル3まで落とす制御を行う。しかし、ドラム内圧は−3レベルのまま一定である。そのため受像フィルム140は歪むことなくドラム310表面に装着される。これらの動作は図12中のt3からt4までで行われる。
このように本画像転写記録装置1では圧力センサ338からの内圧検出信号に基づいてドラム310の密封度を推測したが、受像フィルム140装着時のドラム310の回転量に基づいて推測してもよい。この場合は、エンコーダ330が検出する回転角検出信号に応じた制御を行うことになる。あるいは、受像フィルム140の搬送量に基づいた推測でもよい。
ステップS.110において受像フィルムの全長の装着が完了すると制御部500はドラム310の回転を停止させる(ステップS.130)。ステップS.140でスクイーズローラ334が上昇し位置P31(図4参照)に復帰する。
次にドナーフィルム240の装着作業が開始される。図11および図12を参照して説明する。最初に、回転ラック210を回転軸213を中心に回転させて所望色のドナーフィルムロール230をドナーフィルム搬送部270に対向させる(ステップS.200)。
ステップS.210において制御部500はモータ272に第2制御信号を送り受像フィルム240の搬送を開始する。ドナーフィルム240の搬送はステップS.220において検出センサ290がドナーフィルム240の先端を検出するまで継続される。次に、制御部500は、低速でのドナーフィルム240の搬送を行う(ステップS.230)。低速搬送はドナーフィルム240の先端がドラム310の先端に届くだけの量の搬送が完了するまで行われる。
ステップS.240において制御部500は、エンコーダ330からの回転角検出信号を参照しつつモータ312に第3制御信号を送りドラム310の位置決めを行う。これによりドナーフィルム240の先端はドラム310表面に形成された溝部322に一致する(図4参照)。ステップS.250においてスクイーズローラ334が図示しない駆動機構により下降し、ドナーフィルム240の先端が溝部322に押圧される。ここまでの動作は図12中ではt4からt5までで行われる。
ステップS.260で制御部500はインバータ部502にON信号を送りブロワーユニット316の作動を開始する。このときのブロワーユニット316の回転数はレベル4に設定される。
次に制御部500はドラム310の低速回転を開始する。低速回転はドナーフィルム240が所定長送られるまで継続される。(ステップS.290)。ステップS.300でドナーフィルム240は切断される。次のステップS.ステップ310において、ドナーフィルム240の残部がすべてドラム310表面に巻きつけられるのに必要な長さ分の搬送が行われる。
なお、ドラム310の低速回転が開始するときブロワー回転数は一時的に上げられる(ステップS.320)。これはドナーフィルム240の先端をドラム310上において確実に把持するためである。この動作は図12中のt5において行われる。
その後は、ドナーフィルム240の装着に従ってドラム310の密封度が向上するので、ブロワユニット316の回転数を徐々に低下させドラム内圧が−3レベルで維持されるように制御する。具体的には、図12に示すように、ブロワー回転数をレベル4から順次レベル2まで落とす制御を行う。このようにドナーフィルム240を装着する際の吸着力が変動しないのでドナーフィルム240は歪むことなくドラム310表面に装着される。これらの動作は図12中のt5からt6までで行われる。
ステップS.310においてドナーフィルム240の全長の装着が完了すると制御部500はドラム310の回転を停止させる(ステップS.340)。そして、ステップS.350でスクイーズローラ334が上昇し位置P31(図4参照)に復帰する。
次に、制御部500は、インバータ部502に速度指令信号を送り、ブロワー回転数をレベル5まで上げさせ(ステップS.360)、ドラム内圧をレベル−5まで低下させる(ステップS.370)。これは、画像記録にともなうドラム310の高速回転に備えての処理である。この動作は図12中のt6からt7までで行われる。
ドラム内圧が−5レベルまで低下すると、画像記録が開始される(ステップS.370)。ブロワーユニット316の最も強力な回転数で吸引しているので画像記録中にドナーフィルム240および受像フィルム140が飛散することがない。
このように、本画像転写記録装置1では、受像フィルム140およびドナーフィルム240をドラム310に装着する際に、ドラム表面がシートによってどれだけ覆われたかに応じてブロワーユニット316の吸引力を制御しているので均一な吸引力での装着が行え、シート装着時にしわ等の変形が生じない。そのため、ドラム310に装着されたシートへの画像記録が精度よく行える。
また、ドナーフィルム240は、受像フィルム140を装着する時よりも低いブロワー回転数で装着しているので、受像フィルム140と同じ吸着力での装着が行える。そのためドナーフィルム240のみに変形が生じるという事態を避けることができる。
さらに、本画像転写記録装置1では、ブロワー回転数の調整をインバータ部502により行っている。そのため、入力電源が50Hz/60Hzのどちらであっても、常にブロワーユニット316のモータを60Hzで作動させることができる。また、機械搬入した地域の電源周波数に応じて圧力センサ338を再度設定する必要もない。
また、本画像転写記録装置1は、圧力センサ338をさらに有しているので、圧力変化に即時に対応してブロワーユニット316のモータの回転数を調整することができる。そのため、たとえば、ブロワーユニット316を長時間連続使用した結果、真空圧が若干下がっても、インバータ部502に与える速度指令信号を調整するだけで簡単に対応できる。