JP3877065B2 - ポリエステル系ウレタン部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車部品をはじめとする各種輸送機器、産業機械類、OA機器などに用いられるポリウレタンエラストマー部材に関し、特に強度が高く、耐加水分解性に優れ、特性の温度変化が少ないポリエステル系ウレタン部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンの特長として、卓越した機械強度や高硬度でもゴム弾性を有することが挙げられる。これらの特長は、ポリウレタンを形成するソフトセグメントおよびハードセグメントの組成や高次構造により影響を受けることが知られている。ゴム弾性に影響を与えるのは主としてソフトセグメントであり、分子量数百から数千の長鎖ポリオールが用いられている。
【0003】
ポリオールとしては末端もしくは側鎖に水酸基を有すればよいため多くの種類が選択できるが、一般的にはポリエステル系ポリオールとポリエーテル系ポリオールに大別される。ポリエステル系ポリウレタンはポリエーテル系ポリウレタンと比較して、機械的強度が強いという特徴があるが、低温特性が悪く、加水分解により劣化するという不具合も有している。これはエステル基の持つ本質的な性質であるが、ポリエステルの組成を工夫することにより解決が試みられてきた。例えば、特公平5−57286号公報には2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールをグリコール成分とするポリエステルポリウレタンが良好な耐加水分解性を示すことが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポリウレタンが卓越した機械強度を有し、耐摩耗性に優れたエラストマーであるということは一般的に知られている。一方、ポリウレタンの物性が温度の影響を受けやすいことも知られており、特にポリエステル系ポリウレタンは室温付近での温度域においてゴム弾性が大きく変化するため、実用上障害となるケースが多い。また、ポリエステル系ポリウレタンを機能部品として設計する上で障害となっている理由に加水分解がある。ポリエステル系ポリウレタンの加水分解はポリエステル中に存在するエステル基が水により、カルボン酸と水酸基に解離することにより発現する。このため、エステル基の少ないポリエステルは加水分解されにくい。また、エステル基の立体配置も加水分解速度に影響を与えることが示されている。メチル基やエチル基などの疎水性側鎖によっても耐加水分解性は向上する。
【0005】
しかしながら、エステル基の濃度を減少させるため、直鎖の長鎖グリコールや長鎖ジカルボン酸を用いると結晶化のため、ゴム弾性を失いエラストマーとしては適さない。これらは結晶性を利用したホットメルト接着剤などに応用されている。
【0006】
エラストマーのソフトセグメントとして必要な非晶性を維持するため、メチル基などのアルキル基を側鎖に持つ長鎖グリコールを用いることにより、エステル基濃度を低下させた上でエラストマーとして必要な非晶性を付与したポリエステルを得ることが出来る。しかしながら、側鎖は伸長時の結晶性をも妨げるため、高強度のエラストマーが得られないといった問題点がある。
【0007】
以上のように、機械強度に優れ、実用的に必要充分の耐加水分解性を示し、低温においても結晶化せず、物性、特に室温付近でのゴム弾性の温度依存性が少ないポリウレタンを得ることは非常に困難なことである。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、高強度でありながら耐寒性、耐熱性、及びゴム弾性に優れ且つそれぞれのバランスが取れ、さらに耐加水分解性を付与させたエラストマーを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、数平均分子量500〜5000のポリエステルジオールを長鎖ポリオールとして用い、これにイソシアネートで重付加して得られるポリエステル系ウレタン部材において、前記ポリエステルジオールは、下記式に定義したエステル基濃度が6〜8mmol/gの範囲にあると共に下記式に定義したアルキル側鎖濃度が2〜4mmol/gであり、下記式に定義したウレタン基濃度が、0.4mmol/g〜1.2mmol/gであることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0010】
【数5】
エステル基濃度(mmol/g)
=(エステル基のモル数)/(ポリエステルジオールの重量)
【0011】
【数6】
アルキル側鎖濃度(mmol/g)
=(側鎖のアルキル基のモル数)/(ポリエステルジオールの重量)
【数7】
ウレタン基濃度(mmol/g)
=(ウレタン基のモル数)/ポリウレタンの重量)
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ポリエステルジオールが、アルキル基としてメチル基のみを含有することを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記ポリエステルジオールが、ジオール成分と二塩基酸との脱水縮合により得られたものであることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1又は2の態様において、前記ポリエステルジオールが、ジオール成分と二塩基酸とを脱水縮合する際にラクトン類を共重合したもの又は脱水縮合したものにラクトン類を重付加したものであることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0015】
本発明の第5の態様は、第3又は4の態様において、前記ジオール成分が、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも一種であり、前記二塩基酸が、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、及びフタル酸から選択される少なくとも一種であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0016】
本発明の第6の態様は、第3又は4の態様において、前記ジオール成分が炭素数9のグリコールであり、前記二塩基酸がアジピン酸であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0017】
本発明の第7の態様は、第3又は4の態様において、前記ジオール成分がメチル基を有する炭素数4から9のグリコールであり、前記二塩基酸がセバシン酸およびアゼライン酸から選択される少なくとも1種であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0018】
本発明の第8の態様は、第3又は4の態様において、前記ジオール成分が3−メチル−1,5−ペンタンジオールであり、前記二塩基酸がセバシン酸であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0021】
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様において、前記ポリウレタンの0℃の反発弾性が50%以上であり、0℃及び40℃の反発弾性をそれぞれRbT0及びRbT40としたとき、下記式で表されるΔRbが、30%以下であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材にある。
【0022】
【数8】
ΔRb(%)=RbT40−RbT0
【0023】
かかる本発明では、ポリエステルジオールとジイソシアネートとの重付加により得られるポリウレタンにおいて、ポリエステルの組成を限定することにより、高強度でありながら、室温付近におけるゴム弾性の温度依存性を大幅に改善し、耐加水分解性にすぐれたエラストマーを得ることができる。
【0024】
本発明では、数平均分子量500〜5000で且つ下記式に定義したエステル基濃度が6〜8mmol/gの範囲にあり、アルキル側鎖濃度が2〜4mmol/gであるポリエステルジオールを長鎖ポリオールとして用いて得られるポリウレタン部材の材料とする。
【0025】
すなわち、本発明では、エステル基濃度が6〜8mmol/gと、従来用いられていたポリオールより低いエステル基濃度のポリエステルジオールを用いたポリウレタンとすると、反発弾性の温度依存性が低減して低温域での反発弾性がある程度確保され、且つ加水分解性が低減する。また、アルキル側鎖濃度が2〜4mmol/gであるジオールを用いることによっても耐加水分解性は向上する。これにより、機械的強度と反発弾性などの温度依存性とを両立させ且つ耐加水分解性に優れたポリウレタン部材を実現する上で好適である。
【0026】
また、このような所定のエステル基濃度を有するジオールは、従来標準的に用いられていたカプロラクトン系ジオールよりも、ジオール成分と二塩基酸との脱水縮合により得られるポリエステルジオールを用いる方がよいことを知見した。但し、ジオール成分と二塩基酸との脱水縮合により得られるポリエステルジオール以外のジオールを用いても、エステル基濃度が上述した所定の範囲に入れば、上述した特性を得ることができる。
【0027】
本発明で用いられる所定のポリエステルジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどのジオールと、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、イソフタル酸などの二塩基酸との組み合わせで上述した条件を満足するエステル基濃度及びアルキル側鎖濃度を有するものを挙げることができる。具体的には、2−メチル−1,8−オクタンジオールアジペート、2−メチル−1,8−オクタンジオールアゼレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールアゼレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールセバケートなどを挙げることができる。数種類のジオールおよび二塩基酸を組み合わせることも差し支えない。
【0028】
また、上述した条件の範囲内でε−カプロラクトンやδ−バレロラクトンなどのラクトン類を、重付加もしくは共重合することもできる。すなわち、ジオール成分と二塩基酸とを脱水縮合する際に、ラクトン類を共重合してランダム共重合体としたり、または、脱水縮合したポリエステルジオールにラクトン類を重付加するなどにより得たジオールを用いることもできる。
【0029】
特に、性能およびコスト面で好適なものはメチル−1,8−オクタンジオールなどのジオールと、アジピン酸とのポリエステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとセバシン酸とのポリエステルを挙げることができる。勿論、これらを主成分とし、一部の成分を他のグリコールや二塩基酸で置換したものも好適に用いることができる。ここで、メチル−1,8−オクタンジオールとは、1又は8以外の位置にアルキル基を有するオクタンジオールであり、代表的なものは2−メチル−1,8−オクタンジオールであるが、これに限定されるものではない。
【0030】
また、ポリエステルジオールと反応させるポリイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)などを挙げることができる。特に、性能およびコスト面で好適なものはMDIである。
【0031】
上述したポリエステルジオールを用いてポリウレタンを製造するには、ポリエステルジオールの他に、短鎖ポリオールを必要に応じて加え、ポリイソシアネートと反応させる。また、熱硬化型や熱可塑型およびミラブル型などの公知の分子設計手法によりポリウレタンとすることもできる。但し、本発明の効果である室温付近でのゴム弾性の温度依存性を小さくするためには、ポリウレタンにおけるウレタン基濃度を限定することが有効である。
【0032】
ポリウレタン反応はプレポリマー法やワンショット法など、ポリウレタンの一般的な製造方法を用いることができる。プレポリマー法は強度、耐摩耗性にすぐれるポリウレタンが得られるため本発明には好適であるが、製法により制限されるものではない。
【0033】
ここで、短鎖ポリオールの例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどの主鎖の炭素数が2〜12の直鎖グリコール;ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの炭素数12以下の側鎖を有するジオール類;3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールなどの炭素数12以下の不飽和基を有するジオール類;および、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、パラキシレングリコールなどの芳香族環を含む炭素数20以下のジオール類、シクロへキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類およびペンタエスリトールやソルビトールなどの4官能以上のポリオールを挙げることができる。これらの短鎖ポリオールは、勿論、二種以上混合して用いてもよい。
【0034】
特に、性能およびコスト面で好適なものは、1,4−ブタンジオール及び1,3−プロパンジオールである。特に、1,3−プロパンジオールはエステル基濃度が6〜8mmol/gのジオールと組み合わせることにより、より一層の効果を示す。また、クリープや応力緩和などの特性を改良するために添加される3官能以上のポリオールとしてトリメチロールエタンを併用することが好適である。
【0035】
本発明で用いられるポリウレタンでは、ポリウレタン中の長鎖ポリオールが80重量%より多い必要がある。これは、長鎖ポリオールがこれより少ないと、低温時の優れた反発弾性が得られないからである。
【0036】
また、本発明では、上述した所定のポリエステルジオールの他、本発明の効果を損なわない範囲で他のジオールを併用することができるが、ポリエステルジオールの含有量は、長鎖ポリオール中、90〜30重量%であるのが好ましい。
【0037】
本発明のポリエステル系ウレタン部材は、自動車部品をはじめとする各種輸送機器、産業機械類、OA機器などに用いて好適である。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0039】
(実施例1)
1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールおよび3−メチル−1,5−ペンタンジオールの混合グリコール(モル比30/40/30)と、アジピン酸との重縮合により分子量4000のポリエステルジオールを得た。さらに、このポリエステルジオールに水酸基と等モルのイソシアネートに相当するMDIを加えて重付加反応を行い、ポリウレタンゴムを得た。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は7.3mmol/g、アルキル側鎖濃度は2.4mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は0.47mmol/gであった。
【0040】
このポリウレタンゴム100重量部に対し、1重量部のジクミルパーオキサイド(パークミルD:日本油脂(株)製)を添加し、160℃で20分間プレス成形を行い、エラストマーを得た。
【0041】
(実施例2)
3−メチル−1,5−ペンタンジオールと、セバシン酸との重縮合により分子量4000のポリエステルジオールを得た。さらに、このポリエステルジオールに水酸基と等モルのイソシアネートに相当するMDIを加えて重付加反応を行い、ポリウレタンゴムを得た。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は6.8mmol/g、アルキル側鎖濃度は3.7mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は0.47mmol/gであった。
【0042】
このポリウレタンゴム100重量部に対し、1重量部のジクミルパーオキサイド(パークミルD:日本油脂(株)製)を添加し、160℃で20分間プレス成形を行い、エラストマーを得た。
【0043】
(比較例1)
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸との重縮合により得られる、分子量4000のポリエステルジオールをMDIで鎖長延長させ、ポリウレタンゴムを合成した。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は8.5mmol/g、アルキル側鎖濃度は4.5mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は0.47mmol/gであった。
【0044】
このポリウレタンゴム100重量部に対し、1重量部のジクミルパーオキサイド(パークミルD:日本油脂(株)製)を添加し、160℃で20分間プレス成形を行い、エラストマーを得た。
【0045】
(比較例2)
1,9―ノナンジオールと2−メチル−1,8−オクタンジオールの混合グリコール(モル比65/35)とアジピン酸との縮合により数平均分子量2000のポリエステルジオールを得た。さらに、このポリエステルジオールに水酸基と等モルのイソシアネートに相当するMDIを添加して重付加反応を行い、ポリウレタンゴムを得た。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は6.8mmol/g、アルキル側鎖濃度は1.4mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は0.89mmol/gであった。
【0046】
このポリウレタンゴム100重量部に対し、1重量部のジクミルパーオキサイド(パークミルD:日本油脂(株)製)を添加し、160℃で20分間プレス成形を行い、エラストマーを得た。
【0047】
(実施例3)
1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールの混合グリコール(モル比15/85)とアジピン酸との縮合により得られる、分子量2000のポリエステル100重量部を100℃に加温した後、トリメチロールプロパンを2重量部添加し混合溶解させ、さらにMDIを18.5重量部添加混合したのち、130℃に保温した金型に注入した。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は6.8mmol/g、アルキル側鎖濃度は3.3mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は1.2mmol/gであった。
【0048】
(比較例3)
3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸との縮合により得られる、分子量2000のポリエステル100重量部を100℃に加温した後、トリメチロールプロパンを2重量部添加し混合溶解させ、さらに、MDIを18.5重量部添加混合し、130℃に保温した金型に注入した。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は8.2mmol/g、アルキル側鎖濃度は4.6mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は1.2mmol/gであった。
【0049】
(比較例4)
1,6−ヘキサンジオールとネオペンチルグリコールの混合グリコール(モル比70/30)とアジピン酸との縮合により得られる、分子量2000のポリエステル100重量部を100℃に加温した後、トリメチロールプロパンを2重量部添加し混合溶解させ、さらに、MDIを18.5重量部を添加混合し、130℃に保温した金型に注入した。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は8.4mmol/g、アルキル側鎖濃度は2.8mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は1.2mmol/gであった。
【0050】
(比較例5)
2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸との縮合により得られる、分子量2000のポリエステル100重量部を100℃に加温した後、トリメチロールプロパンを2重量部添加し混合溶解させ、さらに、MDIを18.5重量部添加混合したのち、130℃に保温した金型に注入した。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は6.8mmol/g、アルキル側鎖濃度は7.8mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は1.2mmol/gであった。
【0051】
(比較例6)
1,9−ノナンジオールと2−メチル−1,8−オクタンジオールの混合グリコール(モル比15/85)とアジピン酸との縮合により得られる、分子量1000のポリエステル100重量部を100℃に加温した後、トリメチロールプロパンを2重量部添加し混合溶解させ、さらに、MDIを31重量部添加混合したのち、130℃に保温した金型に注入した。ポリエステルジオールにおけるエステル基濃度は6.2mmol/g、アルキル側鎖濃度は3.5mmol/g、ポリウレタンゴムにおけるウレタン基濃度は1.9mmol/gであった。
【0052】
(試験例1)
各実施例及び比較例のテストサンプルについて、−10℃〜50℃の反発弾性を測定してその温度依存性を評価した。この結果は、表1に示す。反発弾性はJIS K6255に準拠したリュプケ式反発弾性試験装置により求めた。
【0053】
また、各実施例および比較例の成形物を用い、JIS K6253に準じて、硬度(Hs:デュロメーター A)、JIS K6251に準じて、引張強さ(Tb:MPa)および伸び(Eb:%)を測定した。この結果を表1に示す。
【0054】
この結果、比較例1、3、5のアルキル側鎖濃度が4mmol/gを超えるポリエステルから得られるエラストマーは機械的強度が非常に弱いのに対し、実施例1、2、3のアルキル側鎖濃度2〜4mmol/gのものは機械的強度が優れていることがわかった。
【0055】
また、比較例1、3、4のエステル基濃度が8mmol/gを超えるポリエステルから得られるエラストマーは同程度のウレタン基濃度を有する実施例と比べて室温付近での実用的な温度領域における反発弾性の温度依存性が非常に大きく、また、エステル基濃度が6から8mmol/gであっても、側鎖であるエチル基を多く含む比較例5および、ウレタン基濃度が高い比較例6は室温付近での実用的な温度領域における反発弾性の温度依存性が非常に大きい事がわかった。
【0056】
(試験例2)
実施例1、2及び比較例1、2のエラストマーを0℃で2週間保管した後の硬度を測定した。この結果を表1に示す。
【0057】
この結果より、0℃で2週間保管すると、メチル基側鎖が2mmol/gよりも少ない比較例2は硬度が大きく上昇していた。これは本来非晶質であるべきソフトセグメント(この場合はポリエステル部)が結晶化を起こしたものであると推測される。これに対し、実施例1はアルキル側鎖濃度が2〜4mmol/gと大きいので、結晶化は起こさなかった。なお、アルキル側鎖濃度が4mmol/gを超える比較例1も結晶化は起こさなかったが、機械的強度が非常に弱いものであった。
【0058】
(試験例3) 耐加水分解性試験
実施例3及び比較例3〜6のエラストマーを85℃、95%RHの環境で保管し、硬度の経時変化を測定した。この結果を表1に示す。
【0059】
この結果、エステル基濃度が8mmol/gより大きいポリエステルを使用したものは硬度の低下が大きいことが確認された。これは、加水分解によるものと思われる。
【0060】
【表1】
Figure 0003877065
【0061】
以上の結果より、高強度でありながら、室温付近におけるゴム弾性の温度依存性を大幅に改善し、耐加水分解性にすぐれたエラストマーは、本発明に規定する極めて限定された組成のポリエステルを用いることによって得られることが判明した。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、高強度でありながら耐寒性、耐熱性、及びゴム弾性に優れ且つそれぞれのバランスが取れ、さらに耐加水分解性を付与させたエラストマーを提供することができる。

Claims (9)

  1. 数平均分子量500〜5000のポリエステルジオールを長鎖ポリオールとして用い、これにイソシアネートで重付加して得られるポリエステル系ウレタン部材において、前記ポリエステルジオールは、下記式に定義したエステル基濃度が6〜8mmol/gの範囲にあると共に下記式に定義したアルキル側鎖濃度が2〜4mmol/gであり、下記式に定義したウレタン基濃度が、0.4mmol/g〜1.2mmol/gであることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
    Figure 0003877065
    Figure 0003877065
    Figure 0003877065
  2. 請求項1において、前記ポリエステルジオールが、アルキル基としてメチル基のみを含有することを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
  3. 請求項1又は2において、前記ポリエステルジオールが、ジオール成分と二塩基酸との脱水縮合により得られたものであることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
  4. 請求項1又は2において、前記ポリエステルジオールが、ジオール成分と二塩基酸とを脱水縮合する際にラクトン類を共重合したもの又は脱水縮合したものにラクトン類を重付加したものであることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
  5. 請求項3又は4において、前記ジオール成分が、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも一種であり、前記二塩基酸が、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、及びフタル酸から選択される少なくとも一種であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
  6. 請求項3又は4において、前記ジオール成分が炭素数9のグリコールであり、前記二塩基酸がアジピン酸であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
  7. 請求項3又は4において、前記ジオール成分がメチル基を有する炭素数4から9のグリコールであり、前記二塩基酸がセバシン酸およびアゼライン酸から選択される少なくとも1種であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
  8. 請求項3又は4において、前記ジオール成分が3−メチル−1,5−ペンタンジオールであり、前記二塩基酸がセバシン酸であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
  9. 請求項1〜8の何れかにおいて、前記ポリウレタンの0℃の反発弾性が50%以上であり、0℃及び40℃の反発弾性をそれぞれRbT0及びRbT40としたとき、下記式で表されるΔRbが、30%以下であることを特徴とするポリエステル系ウレタン部材。
    Figure 0003877065
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