JP2004244443A - ウレタンポリオール組成物およびポリウレタン組成物 - Google Patents

ウレタンポリオール組成物およびポリウレタン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】常温で液状であることはもとより粘度が低いのでウレタン化操作に際しての作業性が良好である上、低温条件下においても柔軟で伸びが良好でありかつ耐熱性も良好であるポリウレタンを与えることのできるウレタンポリオール組成物を提供すること、およびそのようなウレタンポリオール組成物を用いたポリウレタン組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) と水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) との組成物からなるウレタンポリオール組成物である。前者のポリエステルポリオール(A) は、水添ヒマシ油脂肪酸等のオキシカルボン酸の縮合物であるオリゴマーと、多価アルコールとのエステルからなる。後者のポリエステルポリオール(B) は、水添ダイマー酸等の水添重合脂肪酸と、多価アルコールとの縮合反応物からなる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温で液状であることはもとより粘度が低いのでウレタン化操作に際しての作業性が良好である上、低温条件下においても柔軟で伸びが良好でありかつ耐熱性も良好であるポリウレタンを与えることのできるウレタンポリオール組成物に関するものである。また、そのウレタンポリオール組成物を用いたポリウレタン組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〈重合脂肪酸系ポリエステルポリオールを用いたポリウレタン〉
重合脂肪酸(水添重合脂肪酸を含む)と多価アルコールとの反応物である重合脂肪酸系ポリエステルポリオールを用いたウレタンポリオール(ポリウレタン製造用のポリオールのこと)については、たとえば次のような文献がある。
【0003】
特開平4−145118号公報(特許文献1)には、活性水素含有化合物として、水添重合脂肪酸と脂環族または芳香族多価アルコールとから誘導される両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールを含有するものを用いた塗料用ポリウレタン樹脂組成物が示されている。水添重合脂肪酸の原料となる重合脂肪酸の例は、ダイマー酸である。
【0004】
特開平6−211959号公報(特許文献2)には、水添ダイマー酸を主成分とするジカルボン酸およびジオールからなるポリエステルポリオール(a) と、ジイソシアネート化合物(b) と、鎖延長剤(c) としての炭素数が7〜36のアルキレン基を有する脂肪族ジオールとの配合物からなるポリウレタン用組成物が示されている。
【0005】
特開平6−329751号公報(特許文献3)には、1,9−ノナンジオール70〜45重量%および2−メチル−1,8−オクタンジオール30〜55重量%からなる混合ジオールを水添ダイマー酸を主成分とするジカルボン酸とエステル化させてなるポリエステルポリオール(a) と、ジイソシアネート化合物(b) と、鎖伸長剤(c) との配合物からなるポリウレタン用組成物が示されている。
【0006】
特開平8−109236号公報(特許文献4)には、酸単位の構成が、ダイマー酸残基5〜50重量%、炭素数6〜8個の脂肪族または芳香族ジカルボン酸残基50〜95重量%および炭素数5以下の脂肪族ジカルボン酸残基0〜45重量%であり、ジオール単位の構成が、ダイマージオール残基5〜50重量%、炭素数5〜9個の脂肪族または脂環式ジオール残基50〜95重量%および炭素数4以下の脂肪族ジオール残基0〜45重量%であるポリエステルポリオール(a) と、ポリイソシアネート(b) と、鎖伸長剤(c) とからなるポリウレタン製造用組成物が示されている。ここで、ダイマー酸は水添ダイマー酸も含む。
【0007】
特開平6−298893号公報(特許文献5)には、高分子ポリオールとポリイソシアネートおよび必要により鎖延長剤とからポリウレタン樹脂を製造する方法において、前記高分子ポリオールとして、水添ダイマー酸を必須成分とするジカルボン酸と低分子量グリコールとを重縮合して得られる平均分子量300〜10000のポリエステルポリオールを使用するポリウレタン樹脂の製造方法が示されている。
【0008】
特開平10−279675号公報(特許文献6)には、ダイマー酸を50重量%以上含むポリカルボン酸成分および3−メチル−1,5−ペンタンジオールを50重量%以上含むポリオール成分を含有するポリウレタン用ポリエステルポリオール組成物が示されている。なお、ここで言うダイマー酸には水添ダイマー酸も含まれる。
【0009】
〈重合脂肪酸系ポリエステルポリオールまたは/およびヒマシ油系ポリエステルポリオールを用いたポリウレタン〉
重合脂肪酸系ポリエステルポリオールとヒマシ油系ポリエステルポリオールとを用いたポリウレタンについては、次のような文献がある。
【0010】
特開昭54−61295号公報(特許文献7)には、ダイマー酸または(および)ヒマシ油の誘導体ポリオール、融点あるいは軟化点が150℃以下で常圧における沸点が200℃であり実質的に炭化水素よりなる物質、発泡剤、その他助剤、およびポリイソシアネートを混合して発泡させたウレタンフォームが示されている。ここでヒマシ油誘導体ポリオールとは、ヒマシ油とポリカルボン酸より得られるヒマシ油ポリエステル、ヒマシ油と短鎖ポリオールとポリカルボン酸とより得られるヒマシ油ポリエステル、ヒマシ油とアルキレンオキサイドとの反応生成物、ヒマシ油ポリエステルのアルキレンオキサイド付加重合物である。ダイマー酸誘導体ポリオールとは、ダイマー酸と短鎖ポリオールとの反応生成物であるダイマー酸ポリエステル、ダイマー酸とポリアルキレングリコール、ポリアルキレントリオールまたは長鎖のポリオール(たとえばヒマシ油)との反応生成物であるダイマー酸ポリエステル、ダイマー酸ポリエステルのアルキレンオキサイド付加重合物、ダイマー酸とジカルボン酸と短鎖ポリオールとの反応生成物、ダイマー酸とアルキレンオキサイドとの反応生成物である。ただし、水添ダイマー酸については言及がない。
【0011】
特開昭54−160495号公報(特許文献8)には、ダイマー酸またはヒマシ油誘導体ポリオール、またはヒマシ油、もしくはそれらの混合物を主成分とするポリオールと、ポリイソシアナート化合物とから得られるポリウレタンフォーム用シーリング剤が示されている。ここでダイマー酸誘導体ポリオール、ヒマシ油誘導体ポリオールとは、上記の特開昭54−61295号公報(特許文献7)の箇所において述べたのと同様である(水添ダイマー酸についても言及がない)。
【0012】
本出願人の出願にかかる特許第2617738号(特開平1−110527号公報(特許文献9))には、ダイマー酸1モルと、1分子当りの官能基数 2.5以下のヒマシ油系ポリオール1モルまたは2モルおよび該ヒマシ油系ポリオール以外のポリオール1モルまたは0モルとのエステル化物からなるポリエステルポリオール組成物が示されている。ここでヒマシ油系ポリオールとは、部分脱水ヒマシ油、部分アシル化ヒマシ油、ヒマシ油と実質的にOH基を有しない天然油脂とのエスエル交換反応物、ヒマシ油脂肪酸の低分子量ポリオールとのエステルよりなる群から選ばれた化合物である。ただし、水添ダイマー酸については言及がない。
【0013】
〈ヒマシ油脂肪酸縮合物系ポリエステルポリオールを用いたポリウレタン〉
水添物を包含するヒマシ油脂肪酸縮合物系のポリオールをまたはそのポリオールを用いたポリウレタンについては、本出願人の出願にかかる次のような文献がある。
【0014】
すなわち、特許第3076757号(特開平9−324027号公報(特許文献10))、特許第3076764号(特開平10−81728号公報(特許文献11))、特開平11−166032号公報(特許文献12)、特開平11−166155号公報(特許文献13)には、OH基を有する脂肪酸同士またはOH基を有する脂肪酸とOH基を有しない脂肪酸とが縮合した2量体以上のオキシ脂肪酸オリゴマー単位と、多価アルコール単位とで構成されたポリエステルポリオールを用いたウレタン系の硬化性組成物または塗料が示されている。
【0015】
なお、これら4つの文献には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とのウレタンシステムにおいて、ポリオール成分に関し、これらの文献で必須としている特定のポリオール以外のポリオールとして、ダイマーポリオールまたは水添ダイマー酸系ジオールを適当量併用してもよいとの記載がある。しかしながら、たとえば先に引用した特開平8−109236号公報(特許文献4)にも説明があるように、ダイマーポリオールまたは水添ダイマー酸系ジオールとは、ダイマー酸を完全に水添して得られる炭素数36個の脂肪族ジオールであり、後に詳述する本発明の水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) とは、別異の化合物である。
【0016】
【特許文献1】
特開平4−145118号公報
【特許文献2】
特開平6−211959号公報
【特許文献3】
特開平6−329751号公報
【特許文献4】
特開平8−109236号公報
【特許文献5】
特開平6−298893号公報
【特許文献6】
特開平10−279675号公報
【特許文献7】
特開昭54−61295号公報
【特許文献8】
特開昭54−160495号公報
【特許文献9】
特開平1−110527号公報
【特許文献10】
特開平9−324027号公報
【特許文献11】
特開平10−81728号公報
【特許文献12】
特開平11−166032号公報
【特許文献13】
特開平11−166155号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオールは、柔軟性のあるグレードのものを得ようとすると粘度が高くなるので(たとえば 1.5万〜3万超 mPa・s/25℃)、ウレタン化操作に際しての作業性が悪いという問題点がある。低粘度化を図るべく相応の量の可塑剤を配合すると、可塑剤のブリードが見られる上、耐熱性が低下するという問題を生ずる。また、低粘度化を図るべく相応の量の反応性希釈剤を併用すると、通常の反応性希釈剤では相溶性が劣る上、柔軟性に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0018】
ヒマシ油系ポリエステルポリオールは、その脂肪酸成分として水添ヒマシ油や水添ヒマシ油脂肪酸を用いる場合には、それらが常温で固体であって液状ではないので、ウレタン化操作に際して取り扱いが行いにくく、作業性の点で支障を来たす。
【0019】
重合脂肪酸系ポリエステルポリオールとヒマシ油系ポリエステルポリオールとを併用するときも、上述のようなそれぞれの問題点がそのまま残ることを免れない。
【0020】
ヒマシ油脂肪酸縮合物系ポリエステルポリオールは、水添物の場合でも液状となりかつ分子量が大きい割には粘度が低いという利点があるので、それを用いたウレタンシステムは作業性の点で有利である。しかしながら、ヒマシ油脂肪酸縮合物系ポリエステルポリオールをウレタンポリオールとして用いて得たポリウレタンにあっては、低温(たとえば−25℃)における伸びが常温における伸び比し著減すること、また低温においては弾性率や硬度が過大であること、さらには耐熱性(たとえば130℃×500時間における耐熱性)が不足することなどの問題点がある。
【0021】
本発明は、このような背景下において、常温で液状であることはもとより粘度が低いのでウレタン化操作に際しての作業性が良好である上、低温条件下においても柔軟で伸びが良好でありかつ耐熱性も良好であるポリウレタンを与えることのできるウレタンポリオール組成物を提供すること、およびそのようなウレタンポリオール組成物を用いたポリウレタン組成物を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明のウレタンポリオール組成物は、
オキシカルボン酸オリゴマーを必須とする酸成分(a1)と、多価アルコールを必須とするアルコール成分(a2)とのエステルであって、そのヨウ素価が50以下、平均分子量が1000以上、平均水酸基数が 1.5以上であるオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) と、
不飽和脂肪酸を熱重合および水素添加した化合物である水添重合脂肪酸(b1)と多価アルコール(b2)とのエステルである水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B)
との組成物からなることを特徴とするものである。
【0023】
本発明のポリウレタン組成物は、上記のウレタンポリオール組成物を必須とするポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とからなることを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0025】
〈オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) 〉
(ポリエステルポリオール(A) の要求特性)
本発明におけるオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) は、オキシカルボン酸オリゴマーを必須とする酸成分(a1)と、多価アルコールを必須とするアルコール成分(a2)とのエステルである。
【0026】
このオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) は、取り扱いが容易なように常温で液状であること、耐熱性を有すること、柔軟性を有すること、高温時の機械物性が良好であることなどが要求される。
【0027】
常温で液状であることの要求性能は、酸成分(a1)がオキシカルボン酸オリゴマーを必須とするものであることから、容易に達成できる。
【0028】
耐熱性の観点からは、低ヨウ素価であることが要求されるので、本発明においては、オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) のヨウ素価は50以下に設定され、殊に40以下、さらには30以下であることが望ましい。ちなみに、オキシカルボン酸がヒマシ油脂肪酸であるときのヨウ素価は約86であるので、ヒマシ油脂肪酸のオリゴマー(縮合物)のヨウ素価もその程度となる。これに対し、完全に水添されたヒマシ油脂肪酸やヒマシ油脂肪酸のオリゴマー(縮合物)のヨウ素価は、約5以下、特に1〜4程度である。オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) のヨウ素価が50を越えるときは、耐熱性が不足するので、本発明の目的には不適当である。
【0029】
柔軟性、高温時の機械物性等の観点からは、オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) のOH基価、平均官能基数、平均分子量は、次の範囲にあることが要求されまたは望まれる。
【0030】
OH基価は、20〜80(好ましくは30〜70、さらに好ましくは35〜65)の範囲にあることが望ましい。
【0031】
平均官能基数は、 1.5以上に設定され、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3であることが望ましい。
【0032】
平均分子量は、1000以上に設定され、好ましくは1500以上、さらに好ましくは2000以上であることが望ましい。上限については特に限定はないが、6000程度まででとするのが通常である。
【0033】
(ポリエステルポリオール(A) の構成成分/酸成分(a1))
酸成分(a1)のうちの必須成分であるオキシカルボン酸オリゴマーは、1分子中にカルボン酸基および水酸基を各1個以上含有するオキシカルボン酸の縮合物であるか、そのオキシカルボン酸と1分子中にカルボン酸基を1個以上含有するモノまたはポリカルボン酸との縮合物である。
【0034】
1分子中にカルボン酸基および水酸基を各1個以上含有するオキシカルボン酸としては、炭素数12以上の高級オキシカルボン酸、特に炭素数12〜36またはそれ以上の高級カルボン酸のうち、OH基を1ないし複数個有する高級オキシカルボン酸があげられる。いくつかの例をあげると、
・ヒマシ油脂肪酸(主成分:リシノール酸)、
・水添ヒマシ油脂肪酸(主成分:12−ヒドロキシステアリン酸)、
・11−または16−ヒドロキシヘキサデカン酸、
・16−ヒドロキシヘキサデセン酸、
・2−または18−ヒドロキシオクタデカン酸、
・22−ヒドロキシドコサン酸、
・2−ヒドロキシテトラコサン酸、
・ジヒドロキシミリスチン酸、
・ジヒドロキシパルミチン酸、
・ジヒドロキシステアリン酸、
・ジヒドロキシアラキン酸、
・トリヒドロキシパルミチン酸、
・レスクレラ油(Lesqurella Oil)から得られるレスクレラ酸(Lesqurellic acid)酸、
・デモルフォテカ油(Demorphotheca Oil) から得られるデモルフェコリック酸(Demorphecolic Acid)、
・エポキシ化不飽和油(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化トール油等)を分解して脂肪酸としてから開環したヒドロキシルカルボン酸
の如くである。上に例示した高級オキシカルボン酸は、低級アルキルエステルのようなエステルの形で用いてもよい。
【0035】
これらの中では、飽和のもの、殊に水添ヒマシ油脂肪酸が特に重要である。水添されたオキシカルボン酸(殊に水添ヒマシ油脂肪酸)を用いるときは、もし必要ならヒマシ油脂肪酸のような不飽和のものを併用することもできる。水添ヒマシ油脂肪酸は、実質的に不飽和基を有しないので(つまりヨウ素価が実質的にゼロまたはゼロに近いので)、耐熱性の点で最適である。不飽和基を持つヒマシ油脂肪酸の併用は粘度を下げるのに有利であるので、もしヒマシ油脂肪酸のような不飽和のものを併用するときは、水添ヒマシ油脂肪酸1モルに対しヒマシ油脂肪酸を通常は 1.1モル以下、好ましくは 0.5モル以下、さらに好ましくは 0.3モル以下用いるというようにすることが望ましい。
【0036】
オキシカルボン酸としては、そのほか、ジヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸、乳酸なども、少量割合であれば併用することができる。
【0037】
酸成分(a1)は、必須成分であるオキシカルボン酸オリゴマーのほかに、1分子中にカルボン酸基を1個以上含有するモノまたはポリカルボン酸を任意成分として含んでいてもよい。この任意成分は、オキシカルボン酸と共に縮合した状態でオキシカルボン酸オリゴマーに組み込まれていてもよく、オキシカルボン酸オリゴマーとは別に酸成分(a1)として付加的に用いられていてもよい。
【0038】
このような任意成分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などや、これらの成分を含むヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、水添牛脂脂肪酸などの脂肪酸や、これらを含む合成脂肪酸があげられ、また、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸などの低級または中級の脂肪酸やその無水物、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、水添ダイマー酸などの二塩基酸やその酸無水物、トリメリット酸などの多塩基酸やその無水物などがあげられる。
【0039】
オキシカルボン酸オリゴマーは、典型的には、上記のオキシカルボン酸(またはこれとモノまたはポリカルボン酸)を、不活性ガス雰囲気下において180〜240℃程度の温度条件下(特に還流条件下)に加熱して縮合反応させればよい。この場合、系にキシレン等を共存させ、副生する水を共沸により系外に除去することが好ましい。触媒は通常は必要ではないが、p−トルエンスルホン酸、硫酸などの触媒を存在させても差し支えない。
【0040】
オキシカルボン酸オリゴマーを必須とする酸成分(a1)の縮合度については、オキシカルボン酸が水添ヒマシ油脂肪酸であるときは、そのオリゴマーの縮合度が2〜8(殊に3〜8、さらには4〜7)が適当であり、さらに多量体とすることもできる。なお、1量体が混在していても差し支えないが、この場合でも全体を平均した場合には縮合度が 1.5以上、殊に 1.8以上、さらには 2.0以上となるように留意する。縮合度が2以上のものの割合が余りに少ないときは、得られるオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) が常温で液状とならないことがあり、またそのオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) をウレタンポリオールとして用いて製造したポリウレタンの耐熱性および耐加水分解性が不充分となる傾向がある。
【0041】
なお、低ヨウ素価のオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) は、原料オキシカルボン酸として水添されたオキシカルボン酸(典型的には水添ヒマシ油脂肪酸)を主体とするものを用いて縮合反応させることにより酸成分(a1)を得るようにしてもよく、原料オキシカルボン酸として水添されないオキシカルボン酸(典型的にはヒマシ油脂肪酸)を用いて縮合反応を行った後、水添することにより酸成分(a1)を得るようにしてもよい。あるいはまた、オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオールとしてから水添する方法を採用してもよい。
【0042】
(ポリエステルポリオール(A) の構成成分/アルコール成分(a2))
上記の酸成分(a1)との間でエステルを構成するアルコール成分(a2)は、多価アルコール(ポリオール)を必須とするものであり、1価のアルコール(モノオール)を併用してもよい。
【0043】
このようなモノまたはポリオールとしては、2−エチルヘキサノールなどのモノアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、メチルペンタンジオール、ジエチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ダイマージオール(ダイマー酸を完全に水添して得られる炭素数36個の脂肪族ジオール)などのジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、これらのアルキレンオキサイド付加物などの3価以上の多価アルコールがあげられる。多価アルコール(ポリオール)としては、従来鎖延長剤として用いられているようなもの、含窒素ポリオール、脂環式多価アルコール、芳香族多価アルコールなども用いることができる。耐加水分解性の点からは、ヒンダードアルコールを用いることが好ましい。
【0044】
〈オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) の製造〉
上に述べた酸成分(a1)とアルコール成分(a2)とのエステルからなるオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) は、典型的には、これらの酸成分(a1)とアルコール成分(a2)とを、パラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、リン酸、ナトリウムメチラート、塩化亜鉛などの触媒の存在下に、不活性ガス雰囲気中で温度170〜220℃程度の温度条件下に加熱反応させてエステル化させることにより得られる。
【0045】
オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) は、上に述べた方法のほか、水添ヒマシ油またはこれとヒマシ油などのトリグリセライドまたはその部分加水分解物から出発し、これにOH基を有する脂肪酸またはこれとOH基を有しない脂肪酸をエステル化反応させることによっても得ることができる。また、OH基を有する脂肪酸またはこれとOH基を有しない脂肪酸とを、多価アルコールと直接エステル化反応させることによっても得ることができる。いずれにせよ基本的には、オキシカルボン酸オリゴマー(オキシ脂肪酸オリゴマー)を多く含むような反応系とすることが望ましい。
【0046】
〈水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) 〉
水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) は、不飽和脂肪酸を熱重合および水素添加した化合物である水添重合脂肪酸(b1)と多価アルコール(b2)とのエステルである。ただし、少量割合であれば、水添しない重合脂肪酸と多価アルコールとのエステルを含んでいても差し支えない。
【0047】
水添重合脂肪酸(b1)は、リノール酸、オレイン酸、エライジン酸、トール油脂肪酸などの不飽和脂肪酸を熱重合した後、金属系触媒の存在下に高圧で水素添加したものであり、一般的には水添ダイマー酸があげられる。なお、不飽和脂肪酸の熱重合物は、一般に炭素数18の脂肪酸を原料とすることから、主成分は炭素数36のジカルボン酸であるが、工業的に製造したものは、一部にトリマーおよびモノマーを含む。
【0048】
多価アルコール(b2)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、メチルペンタンジオール、ジエチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ダイマージオール(ダイマー酸を完全に水添して得られる炭素数36個の脂肪族ジオール)、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、これらのアルキレンオキサイド付加物などのジオールがあげられる。ジオールと共に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、これらのアルキレンオキサイド付加物などの3価以上の多価アルコールを併用することもできる。上記以外で従来鎖延長剤として用いられているような多価アルコール、脂環式多価アルコール、芳香族多価アルコールなども用いることができる。
【0049】
水添重合脂肪酸(b1)と多価アルコール(b2)との縮合反応は、典型的には、両者をパラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、リン酸、ナトリウムメチラート、塩化亜鉛などの存在下に、不活性雰囲気中で温度170〜220℃程度の温度条件下に加熱反応させてエステル化させることにより得られる。
【0050】
〈ポリエステルポリオール(A), (B)の配合割合〉
上述のオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) と水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) との配合割合は、重量比で、20:80〜80:20、特に25:75〜75:25とすることが好ましい。(A) の過少((B) の過多)は、粘度が高くなるので、作業性の点で不利となる。一方、(A) の過多((B) の過少)は、低温特性(たとえば、低温時の柔軟性、伸び)の点で不利となる。
【0051】
〈ポリウレタン組成物〉
上記のウレタンポリオール組成物を必須とするポリオール成分をポリイソシアネート成分に配合することにより(鎖延長剤を配合することもある)、ポリウレタン組成物が調製される。なお、この分野において知られているように、両成分のうちの一部を予め反応させて末端NCO型または末端OH型のプレポリマーとしておき、使用に際し残部と混合するようにしてもよい。
【0052】
(ポリオール成分)
ポリオール成分としては、上述のオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) と水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) との組成物からなるウレタンポリオール組成物を必須成分として用いる。
【0053】
この場合、上記の特定のポリエステルポリオール(A), (B)と共に、従来提案されているような他の種々のポリオールを併用することができる。ここで他のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、THF−アルキレンオキサイド共重合ポリオール、エポキシ変性ポリオール、炭化水素系ポリオール、アクリルポリオール、部分ケン化EVA、難燃ポリオール、キシレン骨格のポリオールをはじめとする汎用または特殊のポリオールがあげられる。本発明の組成物を用いた分だけ効果が得られるので、他のポリオールの併用割合は広い範囲から選択できるものの、本発明の趣旨を損なわない範囲とすることが望ましい。たとえば、全ポリオールの合計量を100重量%とするとき、他のポリオールの使用割合は、たとえば50重量%以下、通常は30重量%以下、好ましくは20重量%以下、殊に10重量%以下というように、できるだけ少ない方が好ましい。
【0054】
(ポリイソシアネート成分)
ポリイソシアネート成分としては、
・2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、
・4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、
・2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、
・p−フェニレンジイソシアネート、
・4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
・3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、
・1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート、
・1,3−または1,4−テトラメチルキシレンジイソシアネート、
・イソホロンジイソシアネート、
・1,5−ナフタレンジイソシアネート、
・ノルボルネンジイソシアネート、
・trans −1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、
・リジンジイソシアネート、
・リジントリイソシアネート、
・メチルシクロヘキサン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、
・1,3−または1,4−(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、
・ジアニシジンジイソシアネート、
・ダイマー酸ジイソシアネート、
・イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、
・トリフェニルメタンジイソシアネート、
・トリフェニルメタントリイソシアネート、
・ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、
・トリス(イソシアネートフェニル)−チオリン酸、
などのモノマー体、ポリマー体が用いられる。
【0055】
これらの化合物のウレタン変性体、アロハネート変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトニミン変性体、ウレトジオン変性体(二量体)、イソシアヌレート変性体(三量体)、ウレア変性体、アシル化尿素変性体、ブロック化物(フェノール類、オキシム類、イミド類、メルカプタン類、アルコール類、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸等でブロック化したもの)、通常のプレポリマーなども用いることができる。たとえば、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメライズドジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどである。
【0056】
(NCO/OHの当量比)
ポリオール成分とポリイソシアネート成分の配合割合は、NCO/OHの当量比が 0.7〜 1.6、さらには 0.8〜 1.4、殊に 0.9〜1.2 となるようにするのが、充分な硬化が図られるので好ましい。
【0057】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分との少なくとも一方には、用途や目的に応じて、鎖延長剤または架橋剤(多価アルコール類、多価アミン類等)、フィラーまたは顔料(タルク、クレー、炭酸カルシウム、バライタ粉、シリカ粉、硫酸バリウム、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、木粉、骨粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄等)、可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、トメリット酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤等)、触媒(アミン系触媒、無機金属系触媒、有機金属系触媒等)、油脂(麻実油、あまに油、えの油、オイチシカ油、ケシ油、桐油、クランベ油、ナタネ油、キャノーラ油、トール油等)、難燃剤(リン化合物、ハロゲン化合物、酸化アンチモン等)、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、カップリング剤、加水分解防止剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、脱水剤、発泡剤、離型剤、キシレン樹脂、石油樹脂、香料、防黴剤などを適宜配合することができる。
【0058】
〈作用〉
本発明のウレタンポリオール組成物は、低ヨウ素価のオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) と水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) とからなる特定のポリエステルポリオールの双方を、ウレタンポリオール組成物の必須成分として用いている。
【0059】
この特定のポリエステルポリオール組成物は、常温で液状であることはもとより粘度が低いので、ウレタン化操作に際しての作業性が良好である上、低温条件下においても柔軟で伸びが良好でありかつ耐熱性も良好であるポリウレタンを与えることができる。機械特性、耐水性(耐加水分解性、防蝕性)、金属等の対象物との密着性などの性能も好ましい。
【0060】
〈用途〉
得られるポリウレタンは、塗料(防食塗料、屋内外の床用塗料、ハイソリッド塗料、無溶剤塗料等)、コーティング材、ライニング材、接着剤、バインダー、バッキング、シーラント、コーキング、注型材、封止材、電気絶縁材料、フォーム、ガスケットをはじめとする種々の用途に有用である。
【0061】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0062】
〈オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) の合成〉
合成例A−1
撹拌機、温度計、窒素導入管、検水管付き還流コンデンサを備えた反応器に、酸価182の水添ヒマシ油脂肪酸2150g(7モル)と還流補助のためのキシレン60mlとを仕込み、窒素気流下180〜220℃で9時間反応させた。この間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留去させた。これにより、酸価37のオキシカルボン酸オリゴマー(水添ヒマシ油脂肪酸オリゴマー)が得られた。このオキシカルボン酸オリゴマーは、上記水添ヒマシ油脂肪酸の5量体に相当するものである。
【0063】
続いて反応器に、多価アルコールの一例としてヒンダードアルコールであるトリメチロールプロパン134g(1モル)および触媒としてのp−トルエンスルホン酸 1.0gを加えて180〜200℃で10時間反応させた。この間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留去させた。反応終了後、触媒およびキシレンを除去した。
【0064】
これにより、常温で液状で、酸価 3.7、OH価37、ヨウ素価 2.9、平均水酸基数 2.0、平均分子量3000、粘度3470 mPa・s/25℃のオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) が得られた。
【0065】
〈水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) の合成〉
合成例B(B−1〜B−5)
反応器に、水添ダイマー酸(コグニスジャパン株式会社製の「EMPOL 1008」)1764g(3モル)、下記のジオールの所定量、および触媒としてのp−トルエンスルホン酸 1.0gを加えて180〜200℃で10時間反応させた。この間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留去させた。反応終了後、触媒およびキシレンを除去した。
・(B1): ブタンジオール360g(4モル)
・(B2): メチルペンタンジオール472g(4モル)
・(B3): ヘキサンジオール472g(4モル)
・(B4): ジエチルペンタンジオール641g(4モル)
・(B5): 水添ダイマージオール2805g(5モル)
【0066】
得られた水添重合脂肪酸(水添ダイマー酸)系ポリエステルポリオール(B) の特性値を、次の表1に示す。粘度の単位は mPa・s/25℃である。
【0067】
【表1】
Figure 2004244443
【0068】
〈ポリエステルポリオール(A), (B)の組成物の調製〉
ポリオール成分として下記の組み合わせでポリエステルポリオール(A), (B)の組成物を調製し、組成物の粘度を測定した。結果を表2に示す。粘度の単位は mPa・s/25℃である。調製例3’の注1は、ジエチルペンタンジオールである。調製例4’の注2のポリエステルポリオールは、メチルペンタンジオールとアジピン酸とのポリエステルポリオールで、OH価は56である。調製例4’においては、注3のように、(A)/(B) の重量比を1/2〜2/1に変更しても相溶しなかった。
【0069】
【表2】
Figure 2004244443
【0070】
〈ポリウレタンの製造〉
ポリオール成分として上記表2の割合でポリエステルポリオール(A), (B)の組成物を調製したものを用い、ポリイソシアネート成分として液状ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製の「ミリオネートMTL」)を用いて、NCO/OH当量比が1となるように配合し、型に注いでから、60℃で、16時間(硬度試験用)または48時間(その他の試験用)の条件で硬化を行った。これにより、直径50mm、厚み10mmの大きさのサンプル片、および300mm×100mm× 2.0mmの大きさのサンプル片が得られたので、諸特性の測定に供した。
【0071】
結果を、紙面の関係上、表3および表4に分けて示す。表中の特性の測定方法は次の通りである。
・伸びの測定は、試験温度23℃または−25℃で、ダンベル状3号形試験片にて行った。試験片に20mm間隔の標線を付け、引張試験機(オートグラフAGS−10kNG、株式会社島津製作所製)を用いて試験片切断時の標線間の長さを測定し、次の式により算出した。
伸び(%) =
100×[切断時の標線間距離(mm)−標線間距離(mm)]/標線間距離(mm)
・300%モジュラスの測定は、試験温度23℃または−25℃で、ダンベル形状3号形試験片にて行った。試験片に20mm間隔の標線を付け、引張試験機(オートグラフAGS−10kNG、株式会社島津製作所製)を用いて試験片を引っ張り、伸びが300%での引張力を読み取り、次の式により算出した。
300%モジュラス(MPa) =
伸び 300%における引張力/試験片の断面積(mm
・弾性率(MPa) の測定は、試験温度23℃または−25℃で、ダンベル形状3号形試験片にて行った。試験片に20mm間隔の標線を付け、引張試験機(オートグラフAGS−10kNG、株式会社島津製作所製)を用いて弾性率を得た。
・硬度(JIS K7312) (ショアA)は、厚さ10mmの平滑な平面を持った試験片を作成し、試験温度23℃でタイプAデュロメーターを用いて硬さを測定した。測定値は試験機を10Nの力で垂直に押しつけ、直ちに読み取った。
・耐熱性は、サンプル片を温度130℃の炉に入れ、500時間後の硬度(ショアA)を23℃にて測定した。矢印→を挟んで、左側の数値は耐熱性試験前、右側の数値は耐熱性試験後の硬度である。
【0072】
【表3】
Figure 2004244443
【0073】
【表4】
Figure 2004244443
【0074】
表3〜4から、実施例1〜7においては、低温時においても伸びが大きく柔軟性性が保たれていること、低温時においても、常温時との対比で、弾性率や硬度の変化が抑えられていること、耐熱性試験後においても硬度変化がほとんどないことがわかる。
【0075】
すなわち、実施例1〜7においては、ウレタンポリオールとしてオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) のみを用いた比較例1における欠点(低温特性の不足、硬度の不足)は解消されている。また、実施例1〜7においては、ウレタンポリオールとして水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) のみを用いたときの好ましい性質(低温特性、耐熱性)は大きくは損なわれない。
【0076】
そして、表1と表2との対比からも明らかなように、水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) の粘度は表1のように高粘度となることを免れないところ、オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) を水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) と併用したときの粘度は表2のように充分に低下しているので、実施例1〜7のウレタンシステムにおいては取り扱いやすく、作業性が良好であるという利点がある。
【0077】
【発明の効果】
本発明のウレタンポリオール組成物は、常温で液状であることはもとより粘度が低いので、ウレタン化操作に際しての作業性が良好である。また、このウレタンポリオール組成物を用いた本発明のポリウレタン組成物から得られるポリウレタンは、低温条件下においても柔軟で伸びが良好でありかつ耐熱性も良好である。

Claims (6)

  1. オキシカルボン酸オリゴマーを必須とする酸成分(a1)と、多価アルコールを必須とするアルコール成分(a2)とのエステルであって、そのヨウ素価が50以下、平均分子量が1000以上、平均水酸基数が 1.5以上であるオキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) と、
    不飽和脂肪酸を熱重合および水素添加した化合物である水添重合脂肪酸(b1)と多価アルコール(b2)とのエステルである水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B)
    との組成物からなることを特徴とするウレタンポリオール組成物。
  2. オキシカルボン酸のオリゴマーが、1分子中にカルボン酸基および水酸基を各1個以上含有するオキシカルボン酸の縮合物であるか、そのオキシカルボン酸と1分子中にカルボン酸基を1個以上含有するモノまたはポリカルボン酸との縮合物であり、かつ該オリゴマーの縮合度が2〜8である請求項1記載のウレタンポリオール組成物。
  3. 1分子中にカルボン酸基および水酸基を各1個以上含有するオキシカルボン酸が、水添ヒマシ油脂肪酸である請求項2記載のウレタンポリオール組成物。
  4. 水添重合脂肪酸(b1)が水添ダイマー酸である請求項1記載のウレタンポリオール組成物。
  5. オキシカルボン酸オリゴマー系ポリエステルポリオール(A) と水添重合脂肪酸系ポリエステルポリオール(B) との割合が重量比で20:80〜80:20である請求項1記載のウレタンポリオール組成物。
  6. 請求項1記載のウレタンポリオール組成物を必須とするポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とからなることを特徴とするポリウレタン組成物。
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