JP3815782B2 - ポリウレタン製造用ポリオール組成物およびポリウレタン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高級ヒドロキシ脂肪酸単位を有するアミド系ポリオールと、ヒマシ油系ポリオールとの組成物からなるポリウレタン製造用ポリオール組成物(つまりポリウレタン製造のためのポリオール成分)に関するものである。また、その組成物をポリオール成分として用いたポリウレタンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〈ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール〉
周知のように、ポリウレタンは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られる。ポリオール成分には多種のものがあるが、その代表的なものは、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールである。ポリエステルポリオールには、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどがある。ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレングリコールのことであり、種々の変性体も用いられる。
【0003】
〈ヒマシ油系ポリオール〉
ポリオール成分として、ヒマシ油系ポリオール(ヒマシ油やヒマシ油誘導体)を用いるポリウレタンの製造法も知られている。
【0004】
たとえば、本出願人の出願にかかる次に列挙するような出願がある。
・特公昭63−22216号公報(特開昭56−226016号公報):ヒマシ油と、水酸基を実質上有しない天然油脂とのエステル交換反応物とからなる水酸基含有化合物。
・特公平3−34766号公報(特開昭60−53522号公報):高粘度炭化水素系ポリオール(X) と脱水またはアシル化したヒマシ油(Y) とよりなるポリオール組成物。
・特公平3−70731号公報(特開昭60−177013号公報):水酸基を実質上有しない天然油脂Aとヒマシ油BとからなるトリグリセライドABと、N,N,N,N−テトラキス[2−ヒドロキシプロピル]エチレンジアミンCと、必要に応じ低分子量ポリオールDとを反応させてなるポリオール組成物。(なお、成分Cは第3級窒素含有アルコールに属するものであり、この窒素にはOH基は反応しないので、アミドが形成されるわけではない。)
特公平4−10913号公報(特開昭62−227915号公報):ヒマシ油系ポリオールとビスフェノール系ポリオールとをポリイソシアネートで架橋したOH末端プレポリマーXと、多価アルコールにジイソシアネートを付加させた末端イソシアネートプレポリマーYとよりなる二液ウレタン組成物。
・特開昭64−22914号公報:MDI系液状ポリイソシアネートとヒマシ油系モノオールとの反応物からなるイソシアネート末端プレポリマー。
・特開昭64−26534号公報:ビスフェノール類アルキレンオキサイド付加物のヒマシ油脂肪酸モノまたはジエステル。
・特開平1−110527号公報:ダイマー酸(X) 1モルと、ヒマシ油系ポリオール(Y) 1モルまたは2モルと、他のポリオール(Z) 1モルまたは0モルとのエステル化物からなるポリエステルポリオール。
・特開平3−81316号公報:高粘度炭化水素系ポリオールと、イソ系1価アルコールとを必須成分とする水酸基含有化合物(他にポリオールやモノオールを併用可、ヒマシ油系ポリオールやヒマシ油系モノオールにも言及あり)。
・特開平7−102046号公報:重合ヒマシ油のエステル交換反応物とカプロラクトンとの反応物。
・特許第3076757号(特開平9−324027号公報):2量体以上のオキシ脂肪酸オリゴマー。
・特許第3076764号(特開平10−81728号公報):OH含有液状イソプレン水素化物とオキシ脂肪酸オリゴマーとの組成物。
・特開平11−166032号公報:末端OH基を有する水添イソプレン系ポリオールと、オキシカルボン酸オリゴマーと多価アルコールとのエステルとの併用。
・特開平11−166155号公報:オキシカルボン酸オリゴマーと多価アルコールとのエステル。
【0005】
ポリオール成分として、ヒマシ油系ポリオール(ヒマシ油やヒマシ油誘導体)を用いるポリウレタンの製造法については、他にも多数の出願がなされている。そのいくつかを下記にあげる。
・特開平7−165866号公報:ヒマシ油誘導体と、末端カルボキシル基含有化合物とを反応または混合した活性水素含有化合物と、ポリイソシアネートとからなる無溶剤型ウレタン樹脂組成物。ここでヒマシ油誘導体の例は、ヒマシ油、そのアルキレンオキシド付加物、そのエポキシ化物、そのハロゲン化物、ヒマシ油と多価アルコールとのエステル交換物。末端カルボキシル基含有化合物の例は、ロジン誘導体、多塩基酸、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化によって得られるポリエステル、一塩基酸など。
・特公平1−27109号公報(特開昭57−92015号公報):ビスフェノール類のオキシアルキレンエーテルと、ヒマシ油系ポリオールまたはポリエンポリオールを必須成分とするポリオールを用いたポリウレタン系の硬質の床仕上用組成物。ヒマシ油系ポリオールとは、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体(たとえばヒマシ油脂肪酸のジグリセライドやモノグリセライド)。
・特許第3191882号(特開平5−345876号公報)には、ポリオール型キシレンホルムアルデヒド樹脂を必須成分とし、その他のポリオールを含有するポリマー混合物を用いた二液型ウレタン樹脂組成物。その他のポリオールの例として、ヒマシ油、ヒマシ油変性ポリオールについても言及。
・特許第2623226号(特開平8−120043号公報):ポリオール成分として、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸エステル等、ポリイソシアネート成分として、部分脱水ヒマシ油または部分アシル化ヒマシ油と有機ポリイソシアネートとからのプレポリマー。
【0006】
特開2001−347603には、鋼材の表面に前処理を施した後、無溶剤ポリウレタン樹脂からなる被覆層を被覆して重防蝕被覆鋼材を得るにあたり、前処理として二液反応型ウレタンプライマーを用いることについて開示があり、その二液反応型ウレタンプライマーの例として、脂肪族アミンポリオールとヒマシ油(またはアルキレンポリオール)とを併用したポリオール成分を用いることが記載されている。ここで脂肪族アミンポリオールとは、脂肪族アミンやアルカノールアミンにアルキレンオキサイドを付加させたものである。
【0007】
〈アミド系ポリオール〉
ポリオール成分として、アミド系ポリオールを用いるポリウレタンの製造法もいくつか提案されている。
【0008】
たとえば、特開2000−72732には、ジカルボン酸ジエステルとアミノアルコールとを反応させることにより、
HO-Y1-NHCO-X-OCNH-Y2OH
(Xは2価の炭化水素基、Y1 およびY2 は2価の有機基)で示されるアミド基含有ポリオールの製造方法が示されている。ジカルボン酸ジエステルの例は、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、オルソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、無水コハク酸などである。得られたアミド基含有ポリオールは、ポリウレタン樹脂の原料として用いられ、ポリウレタン樹脂の耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性を向上させることができるとしている。
【0009】
特開平11−29619号公報には、
HO-R1NHC(=O)R2-OH
(R1 は炭素数2〜10の炭化水素基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基)で示されるアミドジオールを鎖延長剤の一部として用いる熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法が示されている。アミドジオールは、たとえば、モノアルカノールアミンとオキシ酸または環状エステルとの反応によって得られる。モノアルカノールアミンの例は、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノヘキサノールアミンなどである。オキシ酸の例は、オキシ酢酸、オキシプロピオン酸、p−オキシプロピオン酸、乳酸、オキシ酪酸、p−オキシ安息香酸などである。環状エステルの例は、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどである。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂は、機械的特性にすぐれたものとなるとしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
〈ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール〉
ポリエステルポリオールをポリオール成分として用いたポリウレタンは、金属等に対する密着性が良好であるという利点があるが、反面、ポリオール成分の粘度が高くなること(固形、ペースト、高粘度液状体)、得られるポリウレタンの耐水性や耐薬品性が劣り、また電気特性が劣る傾向があり、性能や用途に制限がある。
【0011】
ポリエーテルポリオールをポリオール成分として用いたポリウレタンは、該ポリオールが低粘度であるという利点があるが、反面、耐水性が不足するため吸水して強度が低下すること、ウレタン化反応時に発泡を生じる傾向があること、電気特性が不足すること、機械特性の点でも必ずしも満足しえないこと、金属等に対する密着性も改良の余地があることなどの問題点がある。
【0012】
上記のような問題点は、これらのポリオールがエステル結合またはエーテル結合を骨格とすることに起因する。そこで、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールを改良するため、種々の変性対策やブレンド処方が採られているが、組成が複雑となる上、満足できるほどにまで問題点を解消することは容易ではない。
【0013】
〈ヒマシ油系ポリオール〉
ポリウレタン製造用ポリオールとしてヒマシ油系ポリオールを用いる方法は、低粘度でありかつウレタン化反応時に発泡を生じがたく、得られるポリウレタンの電気特性も良好であるので、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールを用いる方法によっては達成できないような好ましい性質を持っている。
【0014】
しかしながら、防蝕塗料、接着剤、電気絶縁封止剤などの分野のように、要求水準が日々に厳しくなっていく状況下においては、機械物性、耐水性、防蝕性、金属等の対象物に対する密着性などの点で、さらに改良を図る必要がある。この場合、ヒマシ油系ポリオールと共に、ポリエーテルポリオールなど他のポリオールを併用することも考えられるが、このようなブレンド処方では結局は両者の中間程度の性質が得られることになるので、根本的対策とは言い難い。
【0015】
もし、基本的にヒマシ油系ポリオールを用いても、上述のような要求特性を顕著に改良することができれば、ヒマシ油系ポリオールを用いることの利点を維持しながら、ポリウレタンの性能をさらに向上させることができ、また従来は困難であると見られていた新たな分野への進出も可能となる。
【0016】
なお、特開2001−347603に記載の脂肪族アミンポリオールとヒマシ油とを併用したポリオール成分は、脂肪族アミンポリオール(脂肪族アミンやアルカノールアミンにアルキレンオキサイドを付加させたもの)を用いているため、耐水性などの点で問題が残る。
【0017】
〈アミド系ポリオール〉
上に引用した文献のうち、特開2000−72732のアミド基含有ポリオールの製造方法、特開平11−29619号公報の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法も、アミノアルコールないしモノアルカノールアミンを用いているため、アミド結合のほかエステル結合を生ずることになり、耐水性や耐薬品性などの点で支障を来すことがある。
【0018】
〈発明の目的〉
本発明は、このような背景下において、ポリウレタン製造用ポリオールとして基本的にはヒマシ油系ポリオールを用いた方法において、そのヒマシ油系ポリオールの良さを生かしながらも、ヒマシ油系ポリオールを用いたのでは到達できなかったレベルにまでポリウレタンの性能をアップして、機械特性、耐水性(耐加水分解性、防蝕性)、金属等の対象物との密着性などの性能を確実かつ顕著に向上させることができる技術を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリウレタン製造用ポリオール組成物は、
(イ)ヒマシ油系ポリオール(CO)と、
(ロ)炭素数が12以上である高級ヒドロキシ脂肪酸単位(A) と、第1級または/および第2級のアミノ基を有するポリアミン単位(B) とからなるアミド系ポリオール(AB)
との組成物からなることを特徴とするものである。
【0020】
本発明のポリウレタンは、ヒマシ油系ポリオール(CO)とアミド系ポリオール(AB)との組成物からなる上記のポリオール成分と、ポリイソシアネート成分との反応物からなることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0022】
《ヒマシ油系ポリオール(CO)》
本発明におけるヒマシ油系ポリオール(CO)とは、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体からなる広義の意味のものとする。ヒマシ油系ポリオール(CO)としては、ヒマシ油が好適に用いられ、そのほか、ヒマシ油と多価アルコールとのエステル交換反応物、部分脱水ヒマシ油、部分アシル化ヒマシ油(部分アセチル化ヒマシ油等)、ヒマシ油のアルキレンオキシド付加物、ヒマシ油のエポキシ化物、ヒマシ油のハロゲン化物、ビスフェノール類アルキレンオキサイド付加物のヒマシ油脂肪酸モノまたはジエステル、ダイマー酸とヒマシ油系ポリオールとのエステル化物、重合ヒマシ油のエステル交換反応物とカプロラクトンとの反応物、ヒマシ油脂肪酸の2量体以上の縮合体またはその縮合体と多価アルコールとのエステルなども用いられる。水添ヒマシ油のような、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体の水素添加物も用いることができる。上に例示したもの以外のものであって差し支えない。また、2種以上を併用しても差し支えない。
【0023】
《アミド系ポリオール(AB)》
アミド系ポリオール(AB)としては、高級ヒドロキシ脂肪酸単位(A) と、第1級または/および第2級のアミノ基を有するポリアミン単位(B) とからなるものが用いられる。
【0024】
そして、このアミド系ポリオール(AB)は、高級ヒドロキシ脂肪酸単位を有する高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) と、第1級または/および第2級のアミノ基を有するポリアミン(b) とを反応させることにより得ることができる。
【0025】
〈高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) 〉
高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) としては、本発明においては、炭素数12以上の高級カルボン酸、特に炭素数12〜36またはそれ以上の高級カルボン酸のうち、OH基を1ないし複数個有する高級ヒドロキシカルボン酸が用いられる。いくつかの例をあげると、
・ヒマシ油脂肪酸(主成分:リシノール酸)、
・水添ヒマシ油脂肪酸(主成分:12−ヒドロキシステアリン酸)、
・11−または16−ヒドロキシヘキサデカン酸、
・16−ヒドロキシヘキサデセン酸、
・2−または18−ヒドロキシオクタデカン酸、
・22−ヒドロキシドコサン酸、
・2−ヒドロキシテトラコサン酸、
・ジヒドロキシミリスチン酸、
・ジヒドロキシパルミチン酸、
・ジヒドロキシステアリン酸、
・ジヒドロキシアラキン酸、
・トリヒドロキシパルミチン酸、
・レスクレラ油(Lesqurella Oil)から得られるレスクレラ酸(Lesqurellic acid)酸、
・デモルフォテカ油(Demorphotheca Oil) から得られるデモルフェコリック酸(Demorphecolic Acid)、
・エポキシ化不飽和油(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化トール油等)を分解して脂肪酸としてから開環したヒドロキシルカルボン酸
の如くである。これらの中では、ヒマシ油脂肪酸が特に重要である。また、後述のものを含めて、2種以上を併用しても差し支えない。
【0026】
上に例示した炭素数12以上の高級ヒドロキシカルボン酸のほか、これら炭素数12以上の高級ヒドロキシカルボン酸の低級アルキルエステルや多価アルコールエステル、たとえば、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマシ油、ヒマシ油と多価アルコールとのエステル交換反応物、部分脱水ヒマシ油、部分アシル化ヒマシ油(部分アセチル化ヒマシ油等)、ヒマシ油のアルキレンオキシド付加物、ヒマシ油のエポキシ化物、ヒマシ油のハロゲン化物なども用いることができ、またこれらに対応する水素添加物(水添ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、水添ヒマシ油等)も用いることができる。
【0027】
さらに、炭素数12以上の高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(A) としては、上記のような炭素数12以上の高級ヒドロキシ脂肪酸同士を、あるいはその高級ヒドロキシ脂肪酸とOH基を有しない高級脂肪酸とを、不活性ガス雰囲気下において180〜240℃程度の温度条件下に加熱して縮合反応させることにより得た2量体以上のオリゴマーを用いることもできる。ここでOH基を有しない高級脂肪酸の例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられ、これらの成分を含むヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、水添牛脂脂肪酸などの脂肪酸や、これらの成分を含む合成脂肪酸も用いることができる。
【0028】
〈ポリアミン(b) 〉
ポリアミン(b) としては、第1級または/および第2級のアミノ基を有するポリアミンが用いられる。単一のポリアミンに限らず、2種以上のポリアミンを併用することもできる。
【0029】
このポリアミンの中で特に重要かつ好ましいものは、第1級または/および第2級のアミノ基を有する線状または環状の脂肪族ポリアミンである。脂肪族ポリアミンとは、炭化水素基にNH基やNH2 が結合している化合物を言い、他に芳香族を有していても差し支えないことを意味するものとする。なお、脂肪族ポリアミンは、第1級または/および第2級のアミノ基を有していれば、場合によってはさらに第3級窒素を有していても差し支えない。
【0030】
ここで線状の脂肪族ポリアミンの例は、エチレンジアミン(EDA)、1,3−ジアミノプロパン(PDA)、1,4−ジアミノブタン(BDA)、2−メチルペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン(DMHDA)、トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,12−ドデカンジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、イミノビスプロピルアミン(DPTA)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(DHTA)、トリ(メチルアミノ)ヘキサン(TMAH)、トリス(3−アミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)などである。環状の脂肪族ポリアミンの例は、m−キシリレンジアミン(MXDA)またはその水素添加物(1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC))、p−キシリレンジアミンまたはその水素添加物、イソフォロンジアミン(IPD)、メンセンジアミン(MDA)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタンなどである。
【0031】
ポリアミン(b) としては、場合によっては、メタフェニレンジアミン(MPDA)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、ジアミノジエチルジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンを用いることもできる。
【0032】
なお、ジアルカノールアミンやモノアルカノールアミン等のアルカノールアミンを用いたときは、高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) との反応に際してアミド結合のほかにエステル結合を生じて耐水性低下の原因となるので、上記のポリアミン(b) と併用して少量を使用するような場合は別として、その使用を避けるべきである。
【0033】
〈反応〉
高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) とポリアミン(b) との反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で、両者を温度130〜250℃程度の温度条件下に加熱反応させることにより達成できる。反応は、通常は無触媒下に行うが、場合によっては適当な触媒を用いることもある。
【0034】
反応中に副生する水、アルコール等の副生物は、反応の進行中に系外に除去することが望ましい(たとえば、高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) が高級ヒドロキシカルボン酸であるときは水が副生し、高級ヒドロキシカルボン酸の低級アルキルエステルであるときはアルコールが副生する)。
【0035】
高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) とポリアミン(b) との反応割合は、前者のカルボキシル基と後者のアミノ基の活性水素との当量比COOH/Hが1となることを目安にするが、どちらかを過剰にして反応を行ってもよく、必要に応じて、反応後に過剰の分を除去する。COOH/H比は、通常は 0.9〜1.2 と程度に設定することが多い。
【0036】
《ポリウレタン》
ポリウレタンは、ポリオール成分およびポリイソシアネート成分を反応させることにより得られる(鎖延長剤を配合することもある)。なお、この分野において知られているように、両成分のうちの一部を予め反応させて末端NCO型または末端OH型のプレポリマーとしておき、使用に際し残部と混合するようにしてもよい。
【0037】
〈ポリオール成分〉
ポリオール成分としては、先に述べたヒマシ油系ポリオール(CO)とアミド系ポリオール(AB)との組成物が用いられる。このアミド系ポリオール(AB)はヒマシ油系ポリオール(CO)との相溶性が非常に良好であり、ポリウレタンとしたときの物性も良好である。
【0038】
ヒマシ油系ポリオール(CO)とアミド系ポリオール(AB)との割合は、両者の合計量100重量%に占めるヒマシ油系ポリオール(CO)の割合が95〜15重量%(殊に90〜20重量%、さらには85〜25重量%)で、アミド系ポリオール(AB)の割合が5〜85重量%(殊に10〜80重量%、さらには15〜75重量%)とすることが好ましい。ヒマシ油系ポリオール(CO)の過多(アミド系ポリオール(AB)の過少)は、ポリオール成分としてヒマシ油系ポリオール(CO)を単独で用いた場合に比し改良効果が乏しくなる。一方、ヒマシ油系ポリオール(CO)の過少(アミド系ポリオール(AB)の過多)は、系の粘度が高くなりすぎるため、取り扱いに支障を来すおそれがある。
【0039】
ポリオール成分としては、上記のヒマシ油系ポリオール(CO)およびアミド系ポリオール(AB)と共に、従来提案されているような他の種々のポリオールを併用することができる。ここで他のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、THF−アルキレンオキサイド共重合ポリオール、エポキシ変性ポリオール、炭化水素系ポリオール、アクリルポリオール、部分ケン化EVA、難燃ポリオール、キシレン骨格のポリオールをはじめとする汎用または特殊のポリオールがあげられる。本発明の組成物を用いた分だけ効果が得られるので、他のポリオールの併用割合は広い範囲から選択できるものの、本発明の趣旨を損なわない範囲とすることが望ましい。たとえば、全ポリオールの合計量を100重量%とするとき、他のポリオールの使用割合は、たとえば50重量%以下、通常は30重量%以下、好ましくは20重量%以下、殊に10重量%以下というように、できるだけ少ない方が好ましい。
【0040】
〈ポリイソシアネート成分〉
ポリイソシアネート成分としては、
・2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、
・4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、
・2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、
・p−フェニレンジイソシアネート、
・4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
・3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、
・1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート、
・1,3−または1,4−テトラメチルキシレンジイソシアネート、
・イソホロンジイソシアネート、
・1,5−ナフタレンジイソシアネート、
・trans −1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、
・リジンジイソシアネート、
・リジントリイソシアネート、
・メチルシクロヘキサン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、
・1,3−または1,4−(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、
・ジアニシジンジイソシアネート、
・ダイマー酸ジイソシアネート、
・イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、
・トリフェニルメタンジイソシアネート、
・トリフェニルメタントリイソシアネート、
・ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、
・トリス(イソシアネートフェニル)−チオリン酸、
などのモノマー体、ポリマー体が用いられる。
【0041】
これらの化合物のウレタン変性体、アロハネート変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトニミン変性体、ウレトジオン変性体(二量体)、イソシアヌレート変性体(三量体)、ウレア変性体、アシル化尿素変性体、ブロック化物(フェノール類、オキシム類、イミド類、メルカプタン類、アルコール類、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸等でブロック化したもの)、通常のプレポリマーなどが用いられる。たとえば、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメライズドジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどである。
【0042】
〈NCO/OHの当量比〉
ポリオール成分とポリイソシアネート成分の配合割合は、NCO/OHの当量比が 0.7〜 1.6、さらには 0.8〜 1.4となるようにするのが、充分な硬化が図られるので好ましい。
【0043】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分との少なくとも一方には、用途や目的に応じて、鎖延長剤または架橋剤(多価アルコール類、多価アミン類等)、フィラーまたは顔料(タルク、クレー、炭酸カルシウム、バライタ粉、シリカ粉、硫酸バリウム、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、木粉、骨粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄等)、可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、トメリット酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤等)、触媒(アミン系触媒、無機金属系触媒、有機金属系触媒等)、油脂(麻実油、あまに油、えの油、オイチシカ油、ケシ油、桐油、クランベ油、ナタネ油、キャノーラ油、トール油等)、難燃剤(リン化合物、ハロゲン化合物、酸化アンチモン等)、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、カップリング剤、加水分解防止剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、脱水剤、発泡剤、離型剤、キシレン樹脂、石油樹脂、香料、防黴剤などを適宜配合することができる。
【0044】
〈作用〉
高級ヒドロキシ脂肪酸単位(A) と、第1級または/および第2級のアミノ基を有するポリアミン単位(B) とからなるアミド系ポリオール(AB)は、ヒマシ油系ポリオール(CO)との相溶性が非常に良い上、これらの組成物からなる本発明のポリウレタン製造用ポリオール組成物は、ヒマシ油系ポリオール(CO)の良さを生かしながら、ヒマシ油系ポリオール(CO)では到達できなかったレベルにまでポリウレタンの性能をアップすることができ、機械特性、耐水性(耐加水分解性、防蝕性)、金属等の対象物との密着性などの性能を確実かつ顕著に向上させることができる。
【0045】
〈用途〉
得られるポリウレタンは、塗料(防食塗料、屋内外の床用塗料、ハイソリッド塗料、無溶剤塗料等)、コーティング材、ライニング材、接着剤、バインダー、バッキング、シーラント、コーキング、注型材、封止材、フォームなどとして有用である。
【0046】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下「部」とあるのは重量部である。
【0047】
〈アミド系ポリオール(AB)の合成〉
合成例1
撹拌機、温度計、窒素導入管、検水管付き還流コンデンサを備えた反応器(四つ口フラスコ)に、脂肪族ポリアミン(b) の一例としてのヘキサメチレンジアミン116部(1.0 モル)と、高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) の一例としてのヒマシ油脂肪酸654部(2.0 モル)とを仕込み、窒素気流下、副生する水を系外に留去させながら、230℃で4時間反応させた。これにより、酸価 5.5、全アミン価 1.8、水酸基価 147.2の常温で固形状の化合物(アミド系ポリオール(AB))が得られた。
【0048】
合成例2〜5
高級ヒドロキシ脂肪酸系化合物(a) および脂肪族ポリアミン(b) として、後述の表1〜2にあげたものを用いたほかは、合成例1に準じてアミド系ポリオール(AB)を合成した。
【0049】
条件および得られた目的物の性質を表1および表2に分けて示す。表中の符号の意味は次の通りである。
COFA: ヒマシ油脂肪酸
HMDA: ヘキサメチレンジアミン
DETA: ジエチレントリアミン
TETA: トリエチレンテトラミン
MXDA: メタキシリレンジアミン
EDA: エチレンジアミン
【0050】
〈試験片の作成条件〉
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを当量比 1.0で配合し、85℃×16時間加熱硬化させた後、23℃で168時間放置したシート状成形物を切り抜いて使用した。
ポリイソシアネート成分としては、クルードMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)(日本ポリウレタン工業株式会社製の「ミリオネートMR−200」)を用いた。
【0051】
〈機械物性の測定〉
・引張強さ(JIS K7312)
引張強さの測定は、試験温度23℃でダンベル形状3号形試験片にて行った。引張試験機(オートグラフAGS−10kNG、株式会社島津製作所製)を用いて試験片が切断するまでの最大引張力を読み取り、次の式により算出した。
引張強さ(MPa) =最大引張力(N) /試験片の断面積(mm2)
・切断時伸び(JIS K7312)
切断時伸びの測定は、試験温度23℃でダンベル状3号形試験片にて行った。試験片に20mm間隔の標線を付け、引張試験機を用いて試験片切断時の標線間の長さを測定し、次の式により算出した。
切断時伸び(%) =
100×[切断時の標線間距離(mm)−標線間距離(mm)]/標線間距離(mm)
・引裂強さ(JIS K7312)
引裂強さは、試験温度23℃で切り込みなしアングル形試験片にて行った。引張試験機を用いて試験片が切断に至るまでの最大引裂力を読み取り、次の式により算出した。
引裂強さ(N/mm)=最大引裂力(N) /試験片の厚さ(mm)
・硬さ(JIS K7312)
厚さ10mmの平滑な平面を持った試験片を作成し、試験温度23℃でタイプAおよびタイプDデュロメーターを用いて硬さを測定した。測定値は試験機を10Nの力で垂直に押しつけ、直ちに読み取った。
・体積抵抗率試験
体積抵抗率(Ω・cm)は、10cm×10cm×2mmの試験片を作成し、試験温度23℃で体積抵抗測定機(MODEL4329A RESISTANCE METER、16008A RESISTIVITY CELL、横河ヒューレットパッカード株式会社製)を用いて測定した。
【0052】
〈接着強度試験〉
・引張剪断接着強さ(JIS K6850)
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを当量比で混合し、100mm×12.5mm×3mmのサンドブラスト冷間圧延鋼板2枚を12.5mmの長さで重ね合わせ塗布接着し、23℃で168時間放置したものを試験片とした。試験温度23℃で引張試験機を用いて1mm/minで動かし、破断時の力の最高値を破断力として読み取り、次の式により算出した。
重ね合わせ剪断強さ(MPa) =破断力(N) /剪断面積(mm2)
【0053】
〈相溶性試験〉
ヒマシ油に合成例のアミド系ポリオール(AB)を加え、加温して溶解させた。これを室温に戻し、状態を観察した。
【0054】
〈耐水性試験〉
ポリウレタンとしたときの硬度が、 0.2 MPa×121℃×100%RH×100時間のPCT(プレッシャー湿熱試験)でどの程度変化するかを調べた。変化率が小さい方が耐湿熱性がすぐれている。
【0055】
【表1】

合成例1 合成例2 合成例3 合成例4
(a) 種類 COFA COFA COFA COFA
(b) 種類 HMDA DETA TETA MXDA
(a):(b) 重量比 650:116 650: 69 650: 73 650:136
(a):(b) モル比 2 : 1 2 : 1 2 : 1 2 : 1
(AB)の性質
酸価 (mgKOH/g) 5.5 4.0 4.8 4.8
全アミン価 (mgKOH/g) 1.8 25.4 25.0 0.8
水酸基価 (mgKOH/g) 147.2 183.9 146.8 139.7
粘度(mPa・s/25℃) - 16680 19400 -
外観 固形 ペースト ペースト 固形
【0056】
【表2】

合成例5 参考例1
(a) 種類 COFA CO
(b) 種類 EDA -
(a):(b) 重量比 650:60 -
(a):(b) モル比 2 : 1 -
(AB)の性質
酸価 (mgKOH/g) 4.6 0.5
全アミン価 (mgKOH/g) 7 -
水酸基価 (mgKOH/g) 153.7 161
粘度(mPa・s/25℃) - 720
外観 固形 液状
(注)参考例1はヒマシ油そのもの。
【0057】
表1〜2から、アミド系ポリオール(AB)は、高粘度ないしペースト状または固形になりやすいことがわかる。
【0058】
合成例1〜5のうち、ポリオール成分として合成例4のアミド系ポリオール(AB)のみを用い、ポリイソシアネート成分としてはクルードMDIを用いて、上述の「〈試験片の作成条件〉」に従ってポリウレタンを製造した。同様に、ポリオール成分として参考例1のヒマシ油のみを用い、ポリイソシアネート成分としてはクルードMDIを用いて、上述の「〈試験片の作成条件〉」に従ってポリウレタンを製造した。結果を次の表3に示す。
【0059】
【表3】

合成例4 参考例1
硬度 (Shore) 65D 68A
引張強度 (MPa) 23.4 9.6
引裂強度 (N/mm) 128 14
伸び (%) 301 150
体積抵抗率 ( Ω・ cm) 7.4 × 10 14 1.0 × 10 16
【0060】
〈アミド系ポリオール(AB)とヒマシ油との相溶性、ポリウレタンの特性〉
合成例1〜5で得たアミド系ポリオール(AB)とヒマシ油との相溶性、およびポリオール成分としてそれらのアミド系ポリオール(AB)とヒマシ油とを併用し、ポリイソシアネート成分としてはクルードMDIを用いて、上述の「〈試験片の作成条件〉」に従ってポリウレタンを製造したときの特性を、次の表4〜6に実施例1〜9として示す。また、比較例1〜4を表7に示す。表7の比較例1〜3は、アミド系ポリオール(AB)を用いずに、ポリオール成分として、#1ではヒマシ油を100%、#2では部分脱水ヒマシ油を100%、#3では部分アセチル化ヒマシ油を100%用いた場合である。表7の比較例4は、ヒマシ油(CO)と、ビスフェノールプロピレンオキサイド付加物のヒマシ油脂肪酸エステル(#4)とを、重量比で4:6の割合で併用した場合である。
【0061】
【表4】

実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
(AB)種類 合成例1 合成例1 合成例2 合成例3
(CO):(AB) 重量比 50:50 75:25 50:50 50:50
COとの相溶性(室温) ○ ○ ○ ○
ポリウレタン
硬度 (Shore) 94A 80A
94A 95A
引張強度 (MPa) 7.0 5.3 23.7 16.6
引裂強度 (N/mm) 29 17 94 50
伸び (%) 180 227 108 101
引裂/引張強度比 4.1 3.2 4.0 3.0
CO配合物の総合評価 ○ ○ ○ ○
耐水性試験(硬度)
処理前 94A 80A 94A 95A
処理後 66A 49A 78A 80A
変化率 (%) 30 39 17 16
引張剪断接着強さ (MPa) - - - -
【0062】
【表5】

実施例5 実施例6 実施例7 実施例8
(AB)種類 合成例5 合成例4 合成例4 合成例4
(CO):(AB) 重量比 50:50 75:25 50:50 25:75
COとの相溶性(室温) ○ ○ ○ ○
ポリウレタン
硬度 (Shore) 94A 72A 81A 95A
引張強度 (MPa) 10.3 14.3 19.4 22.4
引裂強度 (N/mm) 32 51 61 82
伸び (%) 237 172 120 140
引裂/引張強度比 3.1 3.6 3.1 3.7
CO配合物の総合評価 ○ ○ ○ ○
耐水性試験(硬度)
処理前 94A 72A 81A 95A
処理後 62A 53A 53A 67A
変化率 (%) 34 26 35 29
引張剪断接着強さ (MPa) - 4.4 4.4 3.7
【0063】
【表6】

実施例9
(AB)種類 合成例1
(CO):(AB) 重量比 25:75
COとの相溶性(室温) ○
ポリウレタン
硬度 (Shore) 80A
引張強度 (MPa) 19.4
引裂強度 (N/mm) 90
伸び (%) 130
引裂/引張強度比 4.6
CO配合物の総合評価 ○
耐水性試験(硬度)
処理前 80A
処理後 49A
変化率 (%) 39
引張剪断接着強さ (MPa) 8.2
【0064】
【表7】

比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
ヒマシ油 #1 100% - - 40%
ヒマシ油誘導体 - #2 100% #3 100% #4 60%
ポリウレタン
硬度 (Shore) 68A 48A 52A 68D
引張強度 (MPa) 9.6 1.0 2.0 22.3
引裂強度 (N/mm) 14 3.9 3.0 119
伸び (%) 150 125 109 150
引裂/引張強度比 1.5 3.9 1.5 5.3
耐水性試験(硬度)
処理前 68A 48A 52A 68D
処理後 35A 0 26A 35D
変化率 (%) 49 × 100 50 49
引張剪断接着強さ (MPa) × 1.8 × 0.8 × 1.1 -
【0065】
表4〜6の実施例のように、アミド系ポリオール(AB)とヒマシ油とは相溶性が非常に良く、その組成物をポリオール成分として用いた場合は、ポリウレタンの機械特性、耐水性、接着性がすぐれていることがわかる。
【0066】
これに対し、ポリオール成分としてヒマシ油系ポリオールを単独で用いた場合は、表7の比較例1〜3のように、耐水性試験における耐水性が不足し(処理後の変化率が大きく)、接着性(引張剪断接着強さ)も不足している。表7の比較例4は、ビスフェノール骨格を有するヒマシ油誘導体をヒマシ油と併用した場合であるが、耐水性が不足している。
【0067】
【発明の効果】
作用の項で述べたように、高級ヒドロキシ脂肪酸単位(A) と、第1級または/および第2級のアミノ基を有するポリアミン単位(B) とからなるアミド系ポリオール(AB)は、ヒマシ油系ポリオール(CO)との相溶性が非常に良い上、これらの組成物からなる本発明のポリウレタン製造用ポリオール組成物は、ヒマシ油系ポリオール(CO)の良さを生かしながら、ヒマシ油系ポリオール(CO)では到達できなかったレベルにまでポリウレタンの性能をアップすることができ、機械特性、耐水性(耐加水分解性、防蝕性)、金属等の対象物との密着性などの性能を確実かつ顕著に向上させることができる。

Claims (4)

  1. (イ)ヒマシ油系ポリオール(CO)と、
    (ロ)炭素数が12以上である高級ヒドロキシ脂肪酸単位(A) と、第1級または/および第2級のアミノ基を有するポリアミン単位(B) とからなるアミド系ポリオール(AB)
    との組成物からなることを特徴とするポリウレタン製造用ポリオール組成物。
  2. ヒマシ油系ポリオール(CO)とアミド系ポリオール(AB)との合計量100重量%に占めるヒマシ油系ポリオール(CO)の割合が95〜15重量%で、アミド系ポリオール(AB)の割合が5〜85重量%である請求項1記載のポリウレタン製造用ポリオール組成物。
  3. アミド系ポリオール(AB)における炭素数12以上の高級ヒドロキシ脂肪酸単位(A) が、ヒマシ油脂肪酸単位または/および水添ヒマシ油脂肪酸単位である請求項1記載のポリウレタン製造用ポリオール組成物。
  4. ヒマシ油系ポリオール(CO)とアミド系ポリオール(AB)との組成物からなる請求項1のポリオール成分と、ポリイソシアネート成分との反応物からなることを特徴とするポリウレタン。
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