JP3875500B2 - 成形用制電性シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空成形性及び帯電防止性に優れた成形用制電性シートに係り、詳しくはIC、LSI、シリコンウエハー、ハードディスク、液晶基板、電子部品等の電子材料の保管、移送、装着に際し、それらの電子部品を静電気等による破壊やゴミ付着等から守るために使用される容器やキャリアテープに、真空及び圧空成形により容易にかつ所定形状に成形できる成形用制電性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型電子部品特にIC、ダイオード等のチップ型電子部品の需要が伸びてきている。また、パソコン及びハードディスク等の部品製造場所と、部品組立場所とが全世界的に点在して来ている。従って、部品の小型化、半製品部品等の保管、移送、装着の機会が多くなって来ている。その際に使用されるトレー、キャリアテープ等の容器に関しても、静電気の帯電による部品の静電破壊や確実な装着を困難にして来ている。
【0003】
これらの問題点を解消するため、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の成形用押出シートに制電性(帯電防止性)を付与するために、カーボンブラック(CB)、低分子量界面活性剤を練り込んだり、界面活性剤を塗布することがよく使われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
CBを樹脂に練り込む方法は、成形用押出シートの表面抵抗率及び体積抵抗率を所定の制電領域に容易に到達させることができるが、下記の欠点を持つ。
(i)成形した後に伸ばされた部分の抵抗値が変化し、制電効果が発現しないことがある。
(ii)シート自身の成形加工性(伸び)が低下する。
(iii )完全に不透明になり、電子部品を収納した内部を確認することが困難であり、光センサ等を用いた位置決めが困難である。
【0005】
一方、低分子量の界面活性剤を練り込んだり、塗布する方法は、透明性及び初期の制電効果は確保できるが、これも下記の欠点を持つ。
(i)湿度の影響が大きい。
(ii)水洗いにより制電性能が無くなる傾向にあり、永久制電性とは言い難い。(iii )成形用押出シートの表面の滑性が悪くなるので成形不良を起こす。
【0006】
また、これらの欠点を補うため、高分子型永久帯電防止ポリマーのポリエーテルエステルアミドを15重量部以下充填した樹脂組成物により、射出成形容器を作る方法も考えられている(特開平9−14323号公報)。射出成形品では、該ポリエーテルエステルアミドが冷却段階に金型壁面との強い剪断により縞状に分散することによって表面抵抗を下げ、制電効果を得ている。
【0007】
しかし、前記公報では、押出成形に関しては考慮されていない。そして、押出成形においては、その剪断が弱いため、前記充填量では十分な制電効果が得られず、また、充分な制電効果を得ようとするとポリエーテルエステルアミドの充填量が多くなる。そして、ポリエーテルエステルアミドの充填量が多くなるとシートのこしが弱くなるとともにコスト的にも実用上問題があった。
【0008】
また、電子部品の搬送トレー等は、その部品の多様性により、設備投資が小さくてすむ真空成形が大部分を占めることに鑑み、市場は成形用制電性シートで永久制電性、成形性、透明性の良好なものを要求している。永久制電性の要求を満たすためには体積抵抗率を1012Ω・cm以下にする必要がある。しかし、体積抵抗率を1012Ω・cm以下にするようにポリエーテルエステルアミドを熱可塑性樹脂中に分散させていくと、該ポリエーテルエステルアミドの重量比率が大きくなり、該ポリエーテルエステルアミドの物性の影響を受けてシート自身のこしが無くなり、成形はできても成形品としてのトレー等の物性が搬送用としては不適となる。
【0009】
一方、トレーとしての物性を確保するために表層のみ表面抵抗率を1010Ω以下にすることも提案(特表2000−507891)されている。しかし、近年、部品の集積度及び小型化により、静電気により繊細になっているため部品への影響を考えると、トレーの厚み方向にも静電気の散逸性を確保しておかなければ制電性が完全とは言い難くなってきている。
【0010】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は必要な物性(強度)を有し、かつ信頼性の高い制電性を備えた搬送用トレー等の成形品を真空成形や圧空成形で容易に得ることができる成形用制電性シートを提供することにある。第2の目的はさらに透明性も良好な成形品を容易に得ることができる成形用制電性シートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは前記要求に応えるべく、鋭意研究を重ねた結果、前記目的を達成することができる発明を完成した。
【0012】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、常温での引張弾性率が900MPa以上、かつ体積抵抗率が1012Ω・cm以下であるポリエーテルエステルアミドを熱可塑性樹脂中に分散させた芯層の両面に、表面抵抗率が1010Ω以下であるポリエーテルエステルアミドを熱可塑性樹脂中に分散させた外層を設け、前記熱可塑性樹脂がスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体である。
【0013】
この発明の成形用制電性シートでは、永久帯電防止性に優れ、かつ搬送時に支障を来す変形を防止できる物性を有する成形品を真空成形及び圧空成形により容易に成形できる。なお、「永久帯電防止性」とは帯電防止性能が長期に渡って保たれることを意味する。また、この発明では、ポリエーテルエステルアミドの分散性と成形品に必要な物性を確保するのが容易になる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記芯層及び外層が共押出しにより形成された。従って、この発明の成形用制電性シートは、通常の共押出しにより容易に製造することができる。
【0015】
第2の目的を達成するため、請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ポリエーテルエステルアミド及び前記熱可塑性樹脂が透明性を有しており、かつ該ポリエーテルエステルアミドと該熱可塑性樹脂との屈折率の差が0.03以内である。従って、この発明では、さらに透明性も良好な成形品を容易に得ることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記外層は、前記ポリエーテルエステルアミド35〜70重量%と前記熱可塑性樹脂65〜30重量%の範囲に設定される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
図1に示すように、成形用制電性シート1は、芯層2の両面に外層3が設けられている。芯層2及び外層3は共押出しにより形成されている。芯層2は、基本的に成形用制電性シート1の物性及び厚さ方向の静電気散逸性を保証する役割を果たす。外層3は基本的に成形用制電性シート1の表層の静電気散逸性を保証する。
【0018】
芯層2は、ポリエーテルエステルアミドを熱可塑性樹脂中に分散させた材質で形成され、常温(23℃)での引張弾性率が900MPa以上、かつ体積抵抗率が1012Ω・cm以下である。成形用制電性シート1を真空成形により、搬送トレー等に成形した際の該トレーの強度には形状因子も影響するが、特にシート物性上の判断基準として引張弾性率をその代用特性として種々検討した。その結果、900MPa以上あればトレーを積載した場合の凹み、ゆがみが発生せず、引張弾性率900MPa以上がトレーとして実用上問題ないレベルであることが分かった。
【0019】
ポリエーテルエステルアミドの材質及び熱可塑性樹脂の組合せに特に制限はないが、透明性が要求される場合は、ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との屈折率の差が0.03以内となる組合せが採用される。熱可塑性樹脂として、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体を使用するのが好ましい。ポリエーテルエステルアミドとしては屈折率1.53の市販品を好適に使用できる。
【0020】
厚さ方向の静電気散逸性を保証するための体積抵抗率である1012Ω・cm以下の値と、シート物性(引張弾性率)とを両立させるためには、前記ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との混合割合が、ポリエーテルエステルアミド25〜50重量%、熱可塑性樹脂75〜50重量%の範囲が好適である。
【0021】
外層3はポリエーテルエステルアミドを熱可塑性樹脂中に分散させた材質で形成され、表面抵抗率が1010Ω以下である。この表面抵抗率を得るためには、ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との混合割合が、ポリエーテルエステルアミド35〜70重量%、熱可塑性樹脂65〜30重量%の範囲が好適である。ポリエーテルエステルアミドは芯層2に使用されるものと基本的に同じものが使用される。
【0022】
芯層2及び外層3の厚さは、成形用制電性シート1が前記の特性を満たせば特に制限はないが、材料コスト及び成形用制電性シート1の加工性等を考慮すると、外層3/芯層2/外層3=0.01mm〜0.50mm/0.50mm〜1.00mm/0.01mm〜0.50mmが好適である。両外層3の厚さは同じでなくてもよい。
【0023】
成形用制電性シート1を共押出しで成形する際、芯層2及び外層3に使用する熱可塑性樹脂が同一樹脂の方がその界面接着力の点から好ましいが、熱接着可能な樹脂同士なら異なっていても問題は無い。設備的には、一般的な共押出し設備で特に問題はない。例えば、2台の押出機により芯層2及び外層3それぞれの熱可塑性樹脂組成物を口金に供給し、フィードブロック又はマルチ口金によって合流させてシート状に賦形し、キャスティングロールを通して冷却・固化させて、シートを巻き取ることで製造される。
【0024】
前記スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等を上げることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等を用いることができる。ここで上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示している。
【0025】
スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの比率は、ポリエーテルエステルアミドの屈折率に近くなるように選択されるが、通常30〜90/70〜10重量%の範囲で溶融粘度等他の特性も考慮しながら適宜調整される。
【0026】
本発明において最も好適に用いられるスチレン系モノマーはスチレンであり、一方、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーはメチルメタクリレート(MMA)及びブチルアクリレート(BA)である。この理由は、工業的に非常に多く生産されているため原料としてのコスト性に優れ、しかも重合時の反応性が高い共重合が可能なためである。
【0027】
本発明で用いられるポリエーテルエステルアミドは、特に制限されるものはないが、一般に下記の3構成単位から構成される。
(i)炭素原子数6以上のアミノカルボン酸又はラクタム、もしくは炭素数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩。
【0028】
アミノカルボン酸としては、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプロン酸等が挙げられる。ラクタムとしてはカプロラクタム、エナントラクタム等が挙げられる。ジアミンとジカルボン酸の塩としては、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩等が挙げられる。
(ii)ポリエーテル
ポリエチレングリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等が挙げられる。
(iii)ジカルボン酸
テレフタル酸等の炭素数4〜20のジカルボン酸が挙げられる。
(実施例)
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。
【0029】
<実施例1>
芯層2用の配合として、ポリエーテルエステルアミド(商品名:ペレスタットNC7530:三洋化成(株))35重量部と、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体(商品名:クリアパクトTI350:大日本インキ化学工業(株))65重量部とをペレット混合したものを、40mm同方向2軸押出機にてシート口金に供給する。ポリエーテルエステルアミドの屈折率は1.53、前記共重合体の屈折率は1.56であった。
【0030】
外層3用配合としてポリエーテルエステルアミド(商品名:ペレスタットNC7530:三洋化成(株))40重量部と、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体(商品名:クリアパクトTI350:大日本インキ化学工業(株))60重量部とをペレット混合したものを、90mm同方向2軸押出機にてシート口金に供給する。
【0031】
それぞれ供給された樹脂組成物は、シート口金中にて合流し2種3層で、外層/芯層/外層=0.2mm/0.6mm/0.2mmの総厚1mmのシートを得た。
【0032】
<参考例>
実施例1記載のスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体に代えて共重合ポリエステル(PETG:イーストマンケミカルカンパニー)を使用した以外、実施例1と同様に成形して総厚1mmのシートを得た。前記共重合ポリエステルの屈折率は1.58であった。
【0033】
<比較例1>
芯層2用の配合として、ポリエーテルエステルアミド(商品名:ペレスタットNC7530:三洋化成(株))40重量部と、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体(商品名:クリアパクトTI350:大日本インキ化学工業(株))を60重量部をペレット混合したものを使用した以外、実施例1と同様に成形して総厚1mmのシートを得た。
【0034】
<比較例2>
芯層2用の配合として、ポリエーテルエステルアミド(商品名:ペレスタットNC7530:三洋化成(株))40重量部と、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体(商品名:クリアパクトTI350:大日本インキ化学工業(株))を60重量部をペレット混合したものを使用し、外層3用配合としてポリエーテルエステルアミド(商品名:ペレスタットNC7530:三洋化成(株))30重量部と、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体(商品名:クリアパクトTI350:大日本インキ化学工業(株))を60重量部をペレット混合したものを使用する以外、実施例1と同様にして総厚1mmのシートを得た。
【0035】
前記各サンプルを用いて、下記の測定試験及び評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
[引張弾性率]
引張弾性率をJIS K 7112に準拠して測定した。
【0036】
評価は、常温(23℃)での引張弾性率が900MPa以上で成形後の剛性を確保できるので○、900MPa未満では成形後の剛性を確保できないので×とした。
【0037】
[表面抵抗率及び体積抵抗率]
表面抵抗率及び体積抵抗率をJIS K 6911に準拠して測定した。表面抵抗率は正方形の試験片で測定した。
【0038】
評価は、表面抵抗率が1010Ω以下で、かつ体積抵抗率が1012Ω・cm以下であれば帯電防止効果が大きく制電性に問題がないので○とし、表面抵抗率が1010Ω以下又は体積抵抗率が1012Ω・cm以下であれば帯電防止効果はあるが完全とは言い難いので△とした。また、表面抵抗率が1010Ωより大きく、かつ体積抵抗率が1012Ω・cmより大きければ帯電防止効果はあるが、制電性に問題があるので×とした。
【0039】
[全光線透過率、ヘーズ]
全光線透過率、ヘーズをJIS K 7105に準拠して測定した。
評価は、全光線透過率が80%以上、ヘーズが40%以下のものを透明性が良好として○、それ以外のものを透明性が悪いと判断して×とした。
【0040】
[屈折率]
屈折率をJIS K 7105に準拠して測定した。
評価は、屈折率の差が0.03以内のものを透明性で○、屈折率の差が0.03を超えるものは透明性で×とした。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
表1及び表2から、芯層2の体積抵抗率が1012Ω・cm以下で、外層の表面抵抗率が1010Ω以下の場合、制電性が良好であることを確認できる。また、引張弾性率が900MPa以上の場合は、成形用制電性シート1が真空成形あるいは圧空成形に必要なこしを有することが確認できる。また、ポリエーテルエステルアミド及び熱可塑性樹脂が透明性を有しており、かつ該ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との屈折率の差が0.03以内のときに透明性が良いことを確認できる。
【0043】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 成形用制電性シート1が、基本的に成形用制電性シート1の物性及び厚さ方向の静電気散逸性を保証する役割を果たす芯層2と、基本的に成形用制電性シート1の表層の静電気散逸性を保証する外層3とにより構成されている。従って、永久帯電防止性に優れ、かつ搬送時に支障を来す変形を防止できる物性を有する成形品を真空成形及び圧空成形により容易に成形できる。そして、その成形品を使用してIC、LSI、シリコンウエハー、ハードディスク、液晶基板、電子部品等の電子材料の保管、移送に際し、それらの電子部品を静電気等による破壊やゴミ付着等から守ることができる。
【0044】
(2) 成形用制電性シート1は、芯層2及び外層3を共押出して製造されるため、成形用制電性シート1を容易に製造することができる。
(3) 芯層2及び外層3の材質としてのポリエーテルエステルアミド及び熱可塑性樹脂が透明性を有しており、かつ該ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との屈折率の差を0.03以内とすることにより、成形用制電性シート1の透明性が良好になり、良好な成形品を容易に得ることができる。
【0045】
(4) 熱可塑性樹脂がスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体であるため、ポリエーテルエステルアミドの分散性と成形品に必要な物性を確保するのが容易になる。
【0046】
(5) 芯層2の材質としてのポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との混合割合を、ポリエーテルエステルアミド25〜50重量%、熱可塑性樹脂75〜50重量%の範囲にすることにより、厚さ方向の静電気散逸性を保証するための体積抵抗率である1012Ω・cm以下の値と、シート物性(引張弾性率)とを両立させるのが容易になる。
【0047】
(6) 外層3の材質としてのポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との混合割合を、ポリエーテルエステルアミド35〜70重量%、熱可塑性樹脂65〜30重量%の範囲にすることにより、表層の静電気散逸性を保証するための表面抵抗率である1010Ω以下の値を得るのが容易になる。
【0048】
(7) 芯層2及び外層3の厚さを、外層3/芯層2/外層3=0.01mm〜0.50mm/0.50mm〜1.00mm/0.01mm〜0.50mmの範囲にすることにより、成形用制電性シート1の真空成形性が良好で材料コストも満足できるものが得られる。
【0049】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 成形用制電性シート1を共押出しではなく、芯層2となるシート(フィルム)と、外層3となるシート(フィルム)とを別々に製造し、ラミネートで成形用制電性シート1を形成してもよい。
【0050】
前記実施の形態から把握される技術的思想(発明)について、以下に記載する。
(1) 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記芯層の材質であるポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂との混合割合を、ポリエーテルエステルアミド25〜50重量%、熱可塑性樹脂75〜50重量%の範囲に設定した。
【0052】
(3) 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記芯層及び外層の厚さを、外層/芯層/外層=0.01mm〜0.50mm/0.50mm〜1.00mm/0.01mm〜0.50mmの範囲に設定した。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項4に記載の発明の成形用制電性シートを使用することにより、必要な物性(強度)を有し、かつ信頼性の高い制電性を備えた搬送用トレー等の成形品を真空成形及び圧空成形で容易に得ることができる。また、請求項3に記載の発明では、さらに透明性も良好な成形品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の成形用制電性シートの模式断面図。
【符号の説明】
1…成形用制電性シート、2…芯層、3…外層。
Claims (4)
- 常温での引張弾性率が900MPa以上、かつ体積抵抗率が1012Ω・cm以下であるポリエーテルエステルアミドを熱可塑性樹脂中に分散させた芯層の両面に、表面抵抗率が1010Ω以下であるポリエーテルエステルアミドを熱可塑性樹脂中に分散させた外層を設け、前記熱可塑性樹脂がスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとからなる共重合体である成形用制電性シート。
- 前記芯層及び外層が共押出しにより形成された請求項1に記載の成形用制電性シート。
- 前記ポリエーテルエステルアミド及び前記熱可塑性樹脂が透明性を有しており、かつ該ポリエーテルエステルアミドと該熱可塑性樹脂との屈折率の差が0.03以内である請求項1又は請求項2に記載の成形用制電性シート。
- 前記外層は、前記ポリエーテルエステルアミド35〜70重量%と前記熱可塑性樹脂65〜30重量%の範囲に設定される請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の成形用制電性シート。
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