しかしながら、上記従来の構成では、受信待機時に、デジタル部(A/D変換部228、逆拡散復調部229、振幅検出部230、同期積算部231、同期検出部232および情報復調部233)を作動停止させているものの、アナログ部である無線部225を作動させている。この無線部225には、各種のアナログ回路が含まれており、これら回路を全て作動させておくとかなりの電力を消費する。特にモバイル端末に搭載する無線LAN装置においては、この電力の浪費は無視できないものとなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、省電力化を実現する受信装置(例えば、無線LAN装置)を提供する点にある。
本発明の受信装置は、上記課題を解決するために、受信した無線周波信号をより低周波の信号に変換する第1信号処理部と、上記無線周波信号の信号強度を検知する受信強度検知部と、上記第1信号処理部からの信号に復調精度を高める処理を施す第2信号処理部と、
該第2信号処理部からの信号を復調する復調部と、上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、第2信号処理部の各回路の通電を制御する通電制御部とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、第1信号処理部で受信された無線周波信号は、該第1信号処理部にてより低周波の信号(例えば、ベースバンド信号)に変換される。一方、受信強度検知部は受信された無線周波信号の信号強度を検知する。
第1信号処理部から出力された信号には、第2信号処理部にて復調精度を高める処理(例えば、AGC制御や増幅)がなされる。そして、第2信号処理部から出力された信号は、復調部にて送信された情報に復調される。
ここで、通電制御部は上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、第2信号処理部の各回路の通電を制御する。例えば、受信強度検知部の検知結果が所定の条件をクリアするまで第2信号処理部に通電を止めておく。この結果、アナログ部全体へ常時通電し、これを作動させていた従来技術(図6参照)と異なり、受信すべき(復調可能な)信号が来るまでの間(受信待機時)の第2信号処理部での電力浪費を大幅に低減させることができる。これにより、受信装置の省電力化を実現することができる。
また、上記第2信号処理部は、第1信号処理部からの信号に利得調整を行う利得調整回路と、該利得調整回路からの信号を増幅する増幅回路とを備え、上記通電制御部は、上記検知結果が所定条件を満たさない状態では利得調整回路および増幅回路への通電を止めておき、上記検知結果が所定条件を満たせば利得調整回路および増幅回路への通電を開始することが好ましい。
上記構成によれば、第1信号処理部からの信号には、第2信号処理部の利得調整回路および増幅回路により、利得調整処理(例えば、オートゲインコントロール)および増幅処理がなされる。ここで、通電制御部は上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、利得調整回路および増幅回路の通電を制御する。すなわち、受信強度検知部の検知結果が所定の条件をクリアするまで利得調整回路および増幅回路の通電を止めておく。この結果、受信すべき(復調可能な)信号が来るまでの間(受信待機時)の利得調整回路および増幅回路での電力浪費をなくすことができる。
また、本発明の受信装置では、上記通電制御部は受信強度検知部の通電を制御することができ、該通電制御部は、上記利得調整回路に通電され、利得調整が完了すると、上記受信強度検知部への通電を停止するように構成することが好ましい。
上記構成は、受信強度検知部の検知結果が所定の条件をクリアし、上記利得調整回路が作動して利得調整が完了すると受信強度検知部の通電を止める構成である。利得調整が完了すれば、復調部での信号復調が完了するまでの間受信強度検知部を作動させておく必要がないからである。このように、受信強度検知部を作動させておく必要がないときに該受信強度検知部への通電を止めることで、より大きな省電力効果を得ることができる。
また、本受信装置は、上記利得調整回路を制御する利得制御部と、該利得制御部および上記復調部の作動状態を制御するデジタル作動制御部とをさらに備える構成とすることもできる。
また、本受信装置においては、上記検知結果が所定条件を満たさない受信待機時に、上記通電制御部は第1信号処理部および受信強度検知部へ通電しておく一方第2信号処理部への通電を止めておき、かつ、上記デジタル作動制御部は上記復調部および利得制御部の作動を停止させておくことが好ましい。
上記構成によれば、受信待機時に動作させる必要がない第2信号処理部への通電を止め、かつ、復調部および利得制御部の作動も停止させておくことで、一層の省電力化が可能となる。
また、本受信装置においては、上記検知結果が所定条件を満たすと、上記通電制御部は、第2信号処理部への通電を開始するとともに第1信号処理部および受信強度検知部にも通電を継続し、かつ、上記デジタル作動制御部は上記復調部および利得制御部の作動を開始させる。これにより、第1信号処理部からの信号には、第2信号処理部にて利得調整や増幅処理が行われ、第2信号処理部からの信号は復調部にて送信された情報に復調される。
また、本受信装置においては、受信時省電力モードが選択可能であり、この受信時省電力モードでは、上記利得制御部による利得調整回路の制御が終了すると、上記通電制御部は受信強度検知部への通電を止める一方第2信号処理部には通電を継続し、かつ、上記デジタル作動制御部は上記復調部および利得制御部の作動を継続させることが好ましい。
上記構成によれば、上記検知結果が所定条件を満たすと上記利得制御部によって(第2信号処理部の)利得調整回路が制御される。これにより、第1信号処理部からの信号は、利得調整回路によって最適に利得調整され、(第2信号処理部の)増幅回路を経て復調部に送られる。このように、上記通電制御部が(利得調整回路の制御終了後の)受信中に動作させておく必要のない受信強度検知部への通電を止めておくことで一層の省電力化が可能となる。
本発明の受信装置は、上記課題を解決するために、受信した無線周波信号をより低周波の信号に変換する無線周波信号処理部と、上記無線周波信号の信号強度を検知する受信強度検知部と、上記無線周波信号処理部からの信号をさらに低周波の信号に変換する中間周波信号処理部と、該中間周波信号処理部からの信号を復調する復調部と、上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、中間周波信号処理部の各回路の通電を制御する通電制御部とを備えることを特徴としている。
上記構成によれば、無線周波信号処理部で受信された無線周波信号は、該無線周波信号処理部にてより低周波の信号(例えば、中間周波数信号)に変換される。さらに、無線周波信号処理部からの信号は、中間周波信号処理部にてより低周波の信号(例えば、ベースバンド信号)に変換される。一方、受信強度検知部は受信された無線周波信号の信号強度を検知する。中間周波信号処理部から出力された信号は、復調部に入力され、送信された情報に復調される。
ここで、通電制御部は上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、中間周波信号処理部の各回路の通電を制御する。例えば、受信強度検知部の検知結果が所定の条件をクリアするまで中間周波信号処理部に通電を止めておく。この結果、アナログ部全体へ常時通電し、これを作動させていた従来技術(図6参照)と異なり、受信すべき(復調可能な)信号が来るまでの間(受信待機時)の中間周波信号処理部での電力浪費を大幅に低減させることができる。これにより、受信装置の省電力化を実現することができる。
また、上記中間周波信号処理部は、発振器と、該発振器からの信号および上記無線周波信号処理部からの信号を混合するミキサ回路とをさらに備えており、上記通電制御部は、上記検知結果が所定条件を満たさない状態では上記ミキサ回路への通電を止めておき、上記検知結果が所定条件を満たせばミキサ回路への通電を開始することが好ましい。
上記構成によれば、無線周波信号処理部からの信号は、中間周波信号処理部のミキサ回路にて発振器からの信号と混合され、より低周波の信号(例えば、ベースバンド信号)に変換される。ここで、上記通電制御部は上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、ミキサ回路への通電を制御する。すなわち、受信強度検知部の検知結果が所定の条件をクリアするまでミキサ回路への通電を止めておく。この結果、受信すべき(復調可能な)信号が来るまでの間(受信待機時)のミキサ回路での電力浪費をなくすことができる。
また、上記中間周波信号処理部は、無線周波信号処理部からの信号に利得調整を行って上記ミキサ回路に出力する利得調整回路と、上記ミキサ回路からの信号が入力されるローパスフィルタ回路と、該ローパスフィルタ回路からの信号を増幅する増幅回路とをさらに備え、上記通電制御部は、上記検知結果が所定条件を満たさない状態では上記利得調整回路並びにローパスフィルタ回路および増幅回路への通電を止めておき、上記検知結果が所定条件を満たせば上記利得調整回路並びにローパスフィルタ回路および増幅回路の通電を開始することが好ましい。
上記構成によれば、無線周波信号処理部からの信号は利得調整回路で利得調整され、上記発振器からの信号とミキサにて混合されることによってより低周波の信号(例えば、ベースバンド信号)に変換される。ミキサ回路から出力された信号は、ローパスフィルタ回路に入力された後(ここで、不要信号が除去される)、増幅回路にて増幅される。ここで、上記通電制御部は上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、上記利得調整回路並びにローパスフィルタ回路および増幅回路への通電を制御する。すなわち、受信強度検知部の検知結果が所定の条件をクリアするまで上記利得調整回路並びにローパスフィルタ回路および増幅回路の通電を止めておく。この結果、受信すべき(復調可能な)信号が来るまでの間(受信待機時)の上記利得調整回路並びにローパスフィルタ回路および増幅回路での電力浪費をなくすことができる。
また、本発明の受信装置においては、上記検知結果に関わりなく上記発振器に通電しておくことが好ましい。当該構成では発振器の通電を制御する構成(例えば、上位層から制御する構成)が不要であり、装置構成を簡易化できる。
また、本発明の受信装置では、上記通電制御部は発振器の通電を制御することができ、上記通電制御部は、上記無線周波信号処理部への受信状況を監視する受信状況監視部の監視結果に基づいて上記発振器の通電を制御するように構成することもできる。
上記構成によれば、中間周波信号処理部の中でも電力消費の大きな発振器の通電を制御することで、より大きな省電力効果を得ることができる。
また、本発明の受信装置では、上記通電制御部は受信強度検知部の通電を制御することができ、該通電制御部は、上記利得調整回路に通電が行われて利得調整が完了すると、上記受信強度検知部への通電を停止するように構成することが好ましい。
上記構成は、受信強度検知部の検知結果が所定の条件をクリアし、上記利得調整回路が作動して利得調整が完了すると受信強度検知部の通電を止める構成である。利得調整が完了すれば、復調部での信号復調が完了するまでの間受信強度検知部を作動させておく必要がないからである。このように、受信強度検知部を作動させておく必要がないときに該受信強度検知部への通電を止めることで、より大きな省電力効果を得ることができる。
また、本受信装置は、上記通電制御部が発振器への通電も制御可能であり、上記利得調整回路を制御する利得制御部と、該利得制御部および上記復調部の作動状態を制御するデジタル作動制御部とをさらに備える構成とすることもできる。
また、本受信装置は、上記検知結果が所定条件を満たさない受信待機時には、上記通電制御部は、無線周波信号処理部および受信強度検知部へ通電しておくとともに中間周波信号処理部の各回路への通電を止めておき、かつ、上記デジタル作動制御部は上記復調部および利得制御部の作動を停止させておくことが好ましい。
上記構成によれば、受信待機時に動作させる必要がない中間周波信号処理部の各回路への通電を止め、かつ、復調部および利得制御部の作動も停止させておくことで、一層の省電力化が可能となる。
また、本受信装置は、受信待機時省電力モードが選択可能であり、上記通電制御部は、受信待機時省電力モードでは発振器への通電を止めておき、受信待機時省電力モードが終了すると発振器への通電を開始することが好ましい。上記構成によれば、受信待機時に動作させる必要がない発振器への通電を止めておくことで一層の省電力化が可能となる。
また、本受信装置は、上記検知結果が所定条件を満たすと、上記通電制御部は、中間周波信号処理部の各回路への通電を開始するとともに、発振器並びに無線周波信号処理部および受信強度検知部にも通電を継続し、上記デジタル作動制御部は上記復調部および利得制御部の作動を開始させる。これにより、無線信号処理部からの信号には、中間周波信号処理部にて利得調整、ダウンコンバート、不要信号の除去および増幅処理が行われる。この中間周波信号処理部からの信号は、復調部にて送信された情報に復調される。
また、本受信装置は、受信時省電力モードが選択可能であり、この受信時省電力モードでは、上記利得制御部による利得調整回路の制御が終了すると、上記通電制御部は受信強度検知部への通電を止める一方発振器および中間周波信号処理部の各回路には通電を継続し、かつ、上記デジタル作動制御部は上記復調部および利得制御部の作動を継続させることが好ましい。
上記構成によれば、上記検知結果が所定条件を満たすと上記利得制御部によって(中間周波信号処理部の)利得調整回路が制御される。これにより、無線信号処理部からの信号は、利得調整回路によって最適に利得調整された後に発振器からの信号と混合され(ダウンコンバートされ)、(中間周波信号処理部の)ローパスフィルタ回路および増幅回路を経て復調部に送られる。このように、上記通電制御部が(利得調整回路の制御終了後の)受信中に動作させておく必要のない受信強度検知部への通電を止めておくことで一層の省電力化が可能となる。
また、本発明の通信装置は、上記受信装置を備えていることを特徴としている。
また、本発明の無線LAN装置は、上記受信装置を備えていることを特徴としている。
また、本発明の受信装置の通電制御方法は、上記課題を解決するために、受信した無線周波信号をより低周波の信号に変換する第1信号処理部と、上記無線周波信号の信号強度を検知する受信強度検知部と、第1の信号処理部からの信号に復調精度を高める処理を施す第2信号処理部とを備えた受信装置の通電制御方法であって、上記受信強度検知部の検知結果が所定条件を満たさない状態では第2信号処理部の各回路への通電を止めておき、上記検知結果が所定条件を満たす状態になれば、第2信号処理部の各回路への通電を開始することを特徴としている。
また、本発明の受信装置の通電制御方法は、上記課題を解決するために、受信した無線周波信号をより低周波の信号に変換する無線周波信号処理部と、上記無線周波信号の信号強度を検知する受信強度検知部と、上記無線周波信号処理部からの信号をさらに低周波の信号に変換する中間周波信号処理部とを備えた受信装置の制御方法であって、上記受信強度検知部の検知結果が所定条件を満たさない状態では中間周波信号処理部の各回路への通電を止めておき、上記検知結果が所定条件を満たす状態になれば、中間周波信号処理部の各回路への通電を開始することを特徴としている。
また、本発明の受信装置の通電制御プログラムは、上記受信装置の通電制御方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
また、本発明の記録媒体は、上記受信装置の通電制御プログラムがコンピュータに読み取り可能に格納されていることを特徴としている。
以上のように、本発明の受信装置によれば、通電制御部は上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、第2信号処理部(中間周波信号処理部)の各回路の通電を制御する。この結果、アナログ部全体へ常時通電し、これを作動させていた上記従来技術と比較して、受信すべき信号が来るまでの間(受信待機時)の第2信号処理部(中間周波信号処理部)での電力浪費を大幅に低減させることができる。これにより、受信装置の省電力化を実現することができる。
〔実施の形態1〕
本発明の無線LAN端末(受信装置・通信装置、無線LAN装置)の実施の一形態を図1および図2に基づいて説明すれば以下のとおりである。
同図に示されるように、本実施の形態に係る無線LAN端末1の受信部2は、無線周波信号処理部4と、信号検出部6と、中間周波信号処理部5と、デジタル復調部7(復調部)と、利得制御部8と、作動状態制御部9とを備えるダブルヘテロダイン構成である。
ここで、無線周波信号処理部4と、中間周波信号処理部5と、信号検出部6の一部(RSSI回路31)とでアナログ部10を構成しており、信号検出部6の一部(ADC32・受信開始判定部33)と、デジタル復調部7と、利得制御部8と、作動状態制御部9とでデジタル部20を構成している。
無線周波信号処理部4は、アンテナ11と、ローノイズアンプ(LNA)12と、無線周波用発振器(RFOSC)13と、無線周波用ミキサ(RFミキサ)14と、バンドパスフィルタ(BPF)15とを備える。アンテナ11は、無線LAN端末1が(無線)接続されているLAN(ロカールエリアネットワーク)3からの無線周波信号を受信する。ローノイズアンプ12はアンテナ11で受信した無線信号11を低NF(雑音指数)にて増幅する。無線周波用発振器13は、無線周波信号をより低周波数の信号(中間周波信号)にダウンコンバートするための信号を発振する。無線周波用ミキサ14は、ローノイズアンプ12から出力された無線周波数信号と、無線周波用発振器13からの発振信号とを混合し、無線周波信号より低周波数の中間周波信号を出力する。バンドパスフィルタ15は、無線周波用ミキサ14から出力された中間周波信号から不要な信号を取り除き、目的の周波数信号を取り出す。
中間周波信号処理部5は、中間周波用発振器(IFOSC)21(発振器)と、AGC回路(オートゲインコントロール回路)22(利得調整回路)と、2個の中間周波用ミキサ回路(IFミキサ回路)23a・23b(ミキサ)と、2個のローパスフィルタ回路(LPF回路)25a・25bと、2個の増幅回路(AMP回路)26a・26bとを備える。中間周波用発振器21は、中間周波信号をより低周波数の信号(ベースバンド信号)にダウンコンバートするための信号を発振する。中間周波用ミキサ回路23aは、AGC回路22から出力された中間周波信号と、中間周波用発振器21の発振信号とを混合し、ベースバンド信号(同相成分)を出力する。中間周波用ミキサ回路23bは、AGC回路22から出力された中間周波信号と、中間周波用発振器21の発振信号をπ/2シフトさせた信号とを混合し、ベースバンド信号(直交成分)を出力する。ローパスフィルタ回路25aは中間周波用ミキサ回路23aから出力されたベースバンド信号(同相成分)から不要な信号を取り除き、目的の周波数信号を取り出す。同様に、ローパスフィルタ回路25bは、中間周波用ミキサ回路23bから出力されたベースバンド信号(直交成分)から不要な信号を取り除く。増幅回路26aは、ローパスフィルタ回路25aから出力され、不要な信号が除去されたベースバンド信号(同相成分)を増幅する。増幅回路26bは、ローパスフィルタ回路25bから出力され、不要な信号が除去されたベースバンド信号(直交成分)を増幅する。
信号検出部6は、アナログ部10に属するRSSI回路(受信信号強度指標回路)31(受信強度検知部)と、デジタル部20に属する、A/D変換器(ADC)32および受信開始判定部33とを備える。RSSI回路31は、バンドパスフィルタ15から出力された中間周波信号からRSSI信号を算出し、A/D変換器32へ出力する。A/D変換器32は、RSSI回路31で検知されたRSSI信号をデジタル化し、受信開始判定部33へ出力する。
受信開始判定部33では、以下のように受信開始の適否が判定される。図5は受信開始判定部33の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、受信開始判定部33は、遅延回路81と、減算回路82と、比較回路83とを備える。当該構成においては、まず、遅延回路81が、ディジタル化されたRSSI信号のうち、時間的に先行するRSSI信号のサンプル値を遅延させ、これをRSSI値の増加量を求めるための基準値とする。ついで、減算回路82が後続して入力されたRSSI信号のサンプル値から遅延回路81の上記基準値を減算してRSSI値の増加量(受信強度検知部の検知結果)を求める。ついで、比較回路83が上記RSSI値の増加量と設定された増加量閾値とを比較し、上記RSSI値の増加量が増加量閾値を超えた(所定条件)場合に、信号を検出したと判断し、受信開始信号を作動状態制御部9に送信する。さらに、受信開始判定部33は、このときのRSSI値を受信レベルとして利得制御部8のAGC制御回路50に出力する。このように、サンプル値の増加量が閾値を超えたことにより受信開始を判断することで、受信すべき信号と干渉信号とが混合して受信された場合でも、受信すべき信号を見落とすことがなくなり、受信開始を正確に判定することができる。これにより、本無線LAN端末1の省電力効果を一層高めることができる。
なお、上記基準値の作成回路は遅延回路81に限定されず、あるタイミングでRSSI信号のサンプル値を保持するようなサンプルホールド回路であっても構わない。また、受信開始判定部33は、A/D変換器32から出力された受信レベルが閾値(所定のレベル)以上であるか否かを判定し、閾値以上であれば受信開始信号を作動状態制御部9に出力するような簡易な構成であっても構わない。
デジタル復調部7は、2個のA/D変換器(ADC)41a・41bと、ベースバンド復調回路(BB復調回路)42とを備える。A/D変換器41aは、増幅回路26aからのベースバンド信号をAD変換する。同様に、A/D変換器41bは、増幅回路26bからのベースバンド信号をAD変換する。ベースバンド復調回路42は、A/D変換器41aおよび41bから出力されたデジタル信号から元のデータ(送信情報)を復調し、この復調データを上位層に出力する。また、ベースバンド復調回路42は、信号(パケットデータ)の復調が完了すると、パケット終了信号を作動状態制御部9に送信する。
利得制御部8は、AGC制御回路50と、D/A変換器(DAC)60とを備える。AGC制御回路50は、受信開始判定部33から出力された受信レベルに基づいて、AGC回路22を制御する。また、AGC制御回路50は、AGC回路22の制御が完了すると、AGC制御完了信号を作動状態制御部9に送信する。
作動状態制御部9は、動作クロック制御回路51(デジタル作動制御部)と通電制御回路52(通電制御部)とを備える。動作クロック制御回路51は、受信開始判定部33からの受信開始信号を受けて、デジタル復調部7および利得制御部8へ動作クロックを供給し、これら各部を作動させる。通電制御回路52は、受信開始判定部33の受信開始信号を受けて、中間周波信号処理部5の各回路(AGC回路22、IFミキサ回路23a・23b、LPF回路25a・25b、および増幅回路26a・26b)に通電し、これらの回路を作動させる。
また、通電制御回路52は、上位層(物理層より上位の層)に設けられ、無線周波信号処理部4のデータ受信状態(受信間隔)を監視する受信状況監視部66からのOSC制御信号に従って、中間周波用発振器(IFOSC)21の通電(作動開始および停止)を制御する。
また、作動状態制御部9は、AGC制御回路50からのAGC制御完了信号を受けて、信号検出部6(RSSI回路31、ADC32および受信開始判定部33)の作動を制御する。すなわち、通電制御回路52は、AGC制御完了信号を受けて、RSSI回路31の通電を停止し、その作動を停止させる。また、動作クロック制御回路51は、AGC制御完了信号を受けて、ADC32および受信開始判定部33への動作クロックの供給を停止し、これら各部の作動を停止させる。
さらに、作動状態制御部9は、ベースバンド復調回路42からのパケット終了信号を受けて、中間周波信号処理部5の各回路、信号検出部6、デジタル復調部7および利得制御部8の動作を制御する。すなわち、動作クロック制御回路51は、パケット終了信号を受けて、デジタル復調部7および利得制御部8への動作クロックの供給を停止し、これら各部の作動を停止させるとともに、ADC32および受信開始判定部33の動作クロックの供給を開始し、これらの作動を開始させる。また、通電制御回路52は、パケット終了信号を受けて、中間周波信号処理部5の各回路(AGC回路22、IFミキサ回路23a・23b、LPF回路25a・25b、および増幅回路26a・26b)への通電を停止し、これらの回路の作動を停止させるとともに、RSSI回路31への通電を開始し、これを作動させる。
以下に、本無線LAN端末1における受信部2各部の作動状態の制御工程を図2のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、本無線LAN端末1においては、データの受信を行っていない受信待機時に、無線周波信号処理部4、信号検出部6および作動状態制御部9(動作クロック制御回路51および通電制御回路52)のみが動作し、中間周波信号処理部5の各回路(アナログ部10)並びに、利得制御部8およびデジタル復調部7(デジタル部20)は動作していない。なお、アナログ部10の中間周波用発振器21は選択するモードによる(後述)。
すなわち、受信待機時には、通電制御回路52が中間周波信号処理部5の各回路(AGC回路22、IFミキサ回路23a・23b、LPF回路25a・25b、および増幅回路26a・26b)への通電を停止しており、また、動作クロック制御回路51がデジタル復調部7および利得制御部8への動作クロックの供給を停止している。このように、受信待機時に中間周波信号処理部5の各回路への通電を止めることで省電力化が可能となる。特に無線LAN端末においては受信待機状態が長いため、この省電力化の効果は大である。
なお、受信待機中にも無線周波信号処理部4および信号検出部6は動作しているため、無線LAN端末1は自装置への送信データ(パケット)を常時認識できる状態にある。
本無線LAN端末1では、この受信待機時に、IFOSC(中間周波用発振器)省電力モード(受信待機時省電力モード)を選択することができる(S1参照)。このIFOSC省電力モードは、(中間周波信号処理部5内の)中間周波用発振器21を動作させないモードである。ここでは、通電制御回路52が、受信状況監視部66(上位層)からのOSC制御信号に基づいて、中間周波用発振器21への通電を停止させ、該中間周波用発振器21の動作を停止させている。
以上から、受信待機時にIFOSC省電力モードを選択した場合、中間周波用発振器21を含む中間周波信号処理部5全体、デジタル復調部7および利得制御部8がOFF(非作動)状態となり、無線周波信号処理部4および信号検出部6のみがON状態となる(S2参照)。このように、受信待機時に、電力消費の大きなIFOSC(中間周波用発振器)21への通電を適宜停止することで、一層の省電力化が可能となる。
受信待機時に、IFOSC省電力モードを選択しなかった場合あるいはこれを終了(S3)した場合、中間周波用発振器21以外の中間周波信号処理部5の各回路(AGC回路22、IFミキサ回路23a・23b、LPF回路25a・25b、および増幅回路26a・26b)、デジタル復調部7および利得制御部8がOFF(非作動)状態となり、中間周波用発振器21並びに無線周波信号処理部4および信号検出部6がON(作動)状態となる(S4参照)。
ここで、無線周波信号処理部4を経て信号検出部6にて信号が検出される(S5)と、無線LAN端末1は、受信待機状態から受信状態に移行し、受信を開始する(S6)。このときの信号処理の流れ(S4〜S6)をより詳細に説明すると以下のとおりである。
アンテナ11で受信された信号(無線周波信号)は、ローノイズアンプ12によって低NFにて増幅される。ローノイズアンプ(LNA)12から出力された信号は、無線周波用ミキサ(RFミキサ)14にて、無線周波用発振器(RFOSC)13からの発振信号と混合される。これによって、ローノイズアンプ12からの信号が中間周波信号にダウンコンバートされる。無線周波用ミキサ14から出力された信号はバンドパスフィルタ15に入力される。バンドパスフィルタ15では無線周波用ミキサ14からの信号に含まれる不要信号が除去される。
バンドパスフィルタ15から出力された信号は受信強度検知部(RSSI)31に入力される。RSSI回路31は入力された信号のRSSI値(受信レベル)を検知する。A/D変換器32は、RSSI回路31で検知されたRSSI値をデジタル化し、受信開始判定部33に出力する。ここで、RSSI値の増加量(先行RSSI値との差)が増加量閾値を超えた場合に、受信開始判定部33は信号を検出したと判断し、(S5でyes)、受信開始信号を作動状態制御部9に出力する。これにより受信が開始される(S6)。
受信開始判定部33からの受信開始信号を受けて、作動状態制御部9の通電制御回路52は中間周波信号処理部5の各回路へ通電を開始し、動作クロック制御回路51はデジタル復調部7および利得制御部8への動作クロックの供給を開始する。
これにより、それまでOFF(非動作)状態だった中間周波信号処理部5の各回路(AGC回路22、IFミキサ回路23a・23b、LPF回路25a・25b、増幅回路26a・26b)、デジタル復調部7および利得制御部8がON(作動)状態となる(S7参照)。なお、それまでON(作動)状態だった、無線周波信号処理部4、中間周波用発振器21および信号検出部6は引き続きON(作動)状態のままである(S7参照)。
利得制御部8が通電(ON)状態になると、受信開始判定部33は、(ADC32から入力された)受信レベルをAGC制御回路50に出力する。AGC制御回路50はこの受信レベルに基づいて、DAC60を介してAGC回路22を制御する。AGC回路22の制御が完了すると(S8)、AGC制御回路50は、AGC制御完了信号を作動状態制御部9に送信する。
これにより、受信時省電力モードに移行する(S9)。すなわち、AGC制御完了信号を受けて、動作クロック制御回路51はADC32および受信開始判定部33の動作クロックの供給を停止する。また、通電制御回路52は、RSSI回路31の通電を停止する。これにより、信号検出部6の動作が停止し、無線周波信号処理部4、中間周波信号処理部5、デジタル復調部7および利得制御部8は動作を継続する。このように、信号受信中に(受信開始から受信終了までの間)、信号検出部6の動作を停止させておく(特に、RSSI回路31の通電を止めておく)ことで、一層の省電力化が可能となる。
なお、この受信時省電力モードをデフォルトとすることが好ましいが、当該モードを選択しないことも可能である(S9)。この場合には、信号検出部6、無線周波信号処理部4、中間周波信号処理部5、デジタル復調部7および利得制御部8すべてがON状態となり、S7と同じ作動状態を継続する(S11)。
S10あるいはS11についで、パケットデータの復調が行われる(S12)。このS12における信号処理手順を説明すれば以下のとおりである。
S8でAGC制御回路50によるAGC回路22の制御が完了すると、バンドパスフィルタ15から出力された信号はAGC回路22で適切に利得(ゲイン)調整され、中間周波用ミキサ回路23aと中間周波用ミキサ回路23bとに分波出力される。
AGC回路22から出力された一方の信号は、中間周波用ミキサ回路23aにて、中間周波用発振器21からの発振信号と混合される。これにより、中間周波用ミキサ回路23aからベースバンド信号(同相成分)がLPF回路25aへ出力される。LPF回路25aでは不要な信号が除去される。LPF回路25aからの信号は増幅回路26aに入力され、増幅される。増幅回路26aからの信号はデジタル復調部7のADC41aに入力される。
また、AGC回路22から出力された他方の信号は、中間周波用ミキサ回路23bにて、中間周波用発振器21からの発振信号をπ/2シフトさせた信号と混合される。これにより、中間周波用ミキサ回路23bからのベースバンド信号(直交成分)がLPF回路25bへ出力される。LPF回路25bでは不要な信号が除去される。LPF回路25bからの信号は増幅回路26bに入力され、増幅される。増幅回路26bからの信号はデジタル復調部7のADC41bに入力される。
デジタル復調部7のベースバンド復調回路(BB復調回路)42では、A/D変換器41aおよびA/D変換器41bからの信号に基づいて、無線LAN端末1に送信された信号(パケットデータ)が復調される。この復調されたデータ(復調データ)は上位層へ送信される。信号の復調が完了すると(S13)、ベースバンド復調回路42は、パケット復調終了信号を作動状態制御部9に送信する。これにより無線LAN端末1は再び受信待機状態に移行する(S14)。
すなわち、ベースバンド復調回路42からのパケット復調終了信号を受けて、作動状態制御部9の通電制御回路52は、中間周波信号処理部5の各回路(AGC回路22、IFミキサ回路23a・23b、LPF回路25a・25b、および増幅回路26a・26b)の通電を停止するとともに、信号検出部6のRSSI回路31への通電を開始する。また、動作クロック制御回路51はデジタル復調部7および利得制御部8への動作クロックの供給を停止するとともに、信号検出部6のADC32および受信開始判定部33の通電を開始する。
〔実施の形態2〕
本発明の無線LAN端末(受信装置・無線LAN装置)の実施の他の形態を図3および図4に基づいて説明すれば以下のとおりである。
同図に示されるように、本実施の形態に係る無線LAN端末101の受信部102は、無線周波信号処理部104(第1信号処理部)と、信号検出部106と、利得調整部105(第2信号処理部)と、デジタル復調部107(復調部)と、利得制御部108と、作動状態制御部109とを備えるダイレクトコンバージョン構成である。
ここで、無線周波信号処理部104と、利得調整部105と、信号検出部106の一部(RSSI回路131)とでアナログ部110を構成しており、信号検出部106の一部(ADC132・受信開始判定部133)と、デジタル復調部107と、利得制御部108と、作動状態制御部109とでデジタル部120を構成している。
無線周波信号処理部104は、アンテナ111と、ローノイズアンプ(LNA)112と、無線周波用発振器(RFOSC)113と、2個の無線周波用ミキサ(RFミキサ)114a・114bと、2個のローパスフィルタ(LPF)115a・115bとを備える。アンテナ111は、無線LAN端末101が(無線)接続されているLAN(ロカールエリアネットワーク)103からの無線周波信号(RF信号)を受信する。ローノイズアンプ112はアンテナ111で受信した無線信号111を低NF(雑音指数)にて増幅し、無線周波用ミキサ(RFミキサ)114a・114bに分波出力する。無線周波用発振器113は、無線周波信号をベースバンド信号にダウンコンバートするための信号を発振する。無線周波用ミキサ114aは、ローノイズアンプ112から出力された一方の信号と、無線周波用発振器113からの発振信号とを混合し、ベースバンド信号(同相成分)を出力する。無線周波用ミキサ114bは、ローノイズアンプ112から出力された他方の信号と、無線周波用発振器113からの発振信号をπ/2シフトさせた信号とを混合し、ベースバンド信号(直交成分)を出力する。ローパスフィルタ115aは、無線周波用ミキサ114aから出力されたベースバンド信号(同相成分)から不要な信号を取り除き、目的の周波数信号を取り出す。ローパスフィルタ115bは、無線周波用ミキサ114bから出力されたベースバンド信号(直交成分)から不要な信号を取り除き、目的の周波数信号を取り出す。
利得調整部105は、AGC回路(オートゲインコントロール回路)122(利得調整回路)と、2個の増幅回路(AMP回路)126a・126bとを備える。増幅回路126aは、ローパスフィルタ回路115aから出力され、不要な信号が除去されたベースバンド信号(同相成分)を増幅する。増幅回路126bは、ローパスフィルタ回路115bから出力され、不要な信号が除去されたベースバンド信号(直交成分)を増幅する。
信号検出部106は、アナログ部110に属するRSSI回路131(受信信号強度指標回路、受信強度検知部)と、デジタル部120に属する、A/D変換器(ADC)132および受信開始判定部133とを備える。RSSI回路131は、バンドパスフィルタ115から出力された中間周波信号からRSSI信号を算出し、A/D変換器132へ出力する。A/D変換器132は、RSSI回路131で検知されたRSSI信号をデジタル化し、受信開始判定部133へ出力する。受信開始判定部133の構成および受信開始の適否の判定は実施の形態1と同様である(図5参照)。すなわち、RSSI回路131からのRSSI値の増加量(受信強度検知部の検知結果)が増加量閾値を超えた(所定条件を満たす)場合に、信号を検出したと判断し、受信開始信号を作動状態制御部109に送信する。さらに、受信開始判定部133は、このときのRSSI値を受信レベルとして利得制御部108に出力する。このように、サンプル値の増加量が閾値を超えたことにより受信開始を判断することにより、受信すべき信号と干渉信号とが混合して受信された場合でも、受信すべき信号を見落とすことはなくなり、受信開始を正確に判定することができる。
なお、上記基準値の作成回路は遅延回路に限定されず、あるタイミングでRSSI信号のサンプル値を保持するようなサンプルホールド回路であっても構わない。また、受信開始判定部133は、A/D変換器132から出力された受信レベル(受信強度検知部の検知結果)が閾値(所定条件)以上であるか否かを判定し、閾値以上であれば受信開始信号を作動状態制御部109に出力するような簡易な構成であっても構わない。
デジタル復調部107は、2個のA/D変換器(ADC)141a・141bと、ベースバンド復調回路(BB復調回路)142とを備える。A/D変換器141aは、増幅回路126aからのベースバンド信号をAD変換する。同様に、A/D変換器141bは、増幅回路126bからのベースバンド信号をAD変換する。ベースバンド復調回路142は、A/D変換器141aおよび141bから出力されたデジタル信号から元のデータ(送信情報)を復調し、この復調データを上位層に出力する。また、ベースバンド復調回路142は、信号(パケットデータ)の復調が完了すると、パケット終了信号を作動状態制御部109に送信する。
利得制御部108は、AGC制御回路150と、D/A変換器(DAC)160とを備える。AGC制御回路150は、受信開始判定部133から出力された受信レベルに基づいて、AGC回路122を制御する。また、AGC制御回路150は、AGC回路122の制御が完了すると、AGC制御完了信号を作動状態制御部109に送信する。
作動状態制御部109は、動作クロック制御回路151(デジタル作動制御部)と通電制御回路152(通電制御部)とを備える。動作クロック制御回路151は、受信開始判定部133からの受信開始信号を受けて、デジタル復調部107および利得制御部108へ動作クロックを供給し、これら各部を作動させる。通電制御回路152は、受信開始判定部133の受信開始信号を受けて、利得調整部105に通電し、これを作動させる。
また、作動状態制御部109は、AGC制御回路150からのAGC制御完了信号を受けて、信号検出部106(RSSI回路131、ADC132および受信開始判定部133)の動作を制御する。すなわち、通電制御回路152は、AGC制御完了信号を受けて、RSSI回路131の通電を停止し、その作動を停止させる。また、動作クロック制御回路151は、AGC制御完了信号を受けて、ADC132および受信開始判定部133への動作クロックの供給を停止し、これらの作動を停止させる。
さらに、作動状態制御部109は、ベースバンド復調回路142からのパケット終了信号を受けて、利得調整部105、信号検出部106、デジタル復調部107および利得制御部108の動作を制御する。すなわち、動作クロック制御回路151は、パケット終了信号を受けて、デジタル復調部107および利得制御部108への動作クロックの供給を停止し、これら各部の作動を停止させるとともに、ADC132および受信開始判定部133の動作クロックの供給を開始し、これらの作動を開始させる。また、通電制御回路152は、パケット終了信号を受けて、利得調整部105への通電を停止し、その作動を停止させるとともに、RSSI回路131への通電を開始し、これを作動させる。
以下に、本無線LAN端末101各部の作動状態の制御工程を図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、本実施の形態に係る無線LAN端末101においては、データ(信号)の受信を行っていない受信待機時に、無線周波信号処理部104、信号検出部106および作動状態制御部109(動作クロック制御回路151および通電制御回路152)のみが動作し、利得調整部105(アナログ部)並びに利得制御部8およびデジタル復調部7(デジタル部20)は動作していない(S15)。
すなわち、受信待機時には、通電制御回路152が利得調整部105への通電を停止しており、また、動作クロック制御回路151がデジタル復調部107および利得制御部108への動作クロックの供給を停止している。このように受信待機時に、アナログ部の利得調整部105をはじめデジタル復調部7および利得制御部8(デジタル部)を動作させないことで省電力化が可能となる。特に無線LAN端末においては受信待機状態が長いため、この省電力化の効果は大である。
なお、受信待機中にも無線周波信号処理部104および信号検出部106は動作しているため、無線LAN端末101は自装置への送信データ(パケット)を常時認識できる状態にある。
ここで、無線周波信号処理部104(アンテナ111)で受信した無線周波信号が、受信開始判定部133にて所定の閾値以上の受信レベルであると判断される(S16)と、無線LAN端末101は、受信待機状態から受信状態に移行し、受信を開始する(S17)。このときの信号処理の流れ(S15〜S17)をより詳細に説明すると以下のとおりである。
アンテナ111で受信された信号(無線周波信号)は、ローノイズアンプ112によって低NFにて増幅され、無線周波用ミキサ114aと無線周波用ミキサ114bとに分波出力される。ローノイズアンプ112から出力された一方の信号は、無線周波用ミキサ(RFミキサ)114aにて、無線周波用発振器(RFOSC)113からの発振信号と混合される。これによって、ローノイズアンプ112からの信号がベースバンド信号(同相成分)にダウンコンバートされる。無線周波用ミキサ114aから出力された信号はローパスフィルタ115aに入力される。ローパスフィルタ115aでは無線周波用ミキサ114aからの信号に含まれる不要信号が除去される。ローノイズアンプ112から出力された他方の信号は、無線周波用ミキサ(RFミキサ)114bにて、無線周波用発振器(RFOSC)113からの発振信号をπ/2シフトさせた信号と混合される。これによって、ローノイズアンプ112からの信号がベースバンド信号(直交成分)にダウンコンバートされる。無線周波用ミキサ114bから出力された信号はローパスフィルタ115bに入力される。ローパスフィルタ115bでは無線周波用ミキサ114bからの信号に含まれる不要信号が除去される。
ローパスフィルタ115から出力された信号は受信強度検知部(RSSI)131に入力される。RSSI回路131は入力された信号のRSSI値(受信レベル)を検知する。ADC132は、RSSI回路131で検知されたRSSI値をデジタル化し、受信開始判定部133に出力する。ここで、RSSI値の増加量(先行RSSI値との差)が増加量閾値を超えた場合に、受信開始判定部133は信号を検出したと判断し、(S16でyes)、受信開始信号を作動状態制御部109に出力する。これにより受信が開始される(S17)。
受信開始判定部133からの受信開始信号を受けて、作動状態制御部109の通電制御回路152は利得調整部105へ通電を開始し、動作クロック制御回路151はデジタル復調部107および利得制御部108への動作クロックの供給を開始する。
これにより、それまでOFF(非動作)状態だった利得調整部105、デジタル復調部107および利得制御部108がON(作動)状態となる(S18参照)。なお、それまで通電(ON)状態だった、無線周波信号処理部104および信号検出部106は引き続き通電(ON)状態のままである(S18参照)。
利得制御部108が作動すると、受信開始判定部133は、RSSI値(受信レベル)をAGC制御回路150に出力する。AGC制御回路150はこの受信レベルに基づいて、DAC160を介してAGC回路122を制御する。AGC回路122の制御が完了すると(S19でyes)、AGC制御回路150は、AGC制御完了信号を作動状態制御部109に送信する。
これにより、受信時省電力モードに移行する(S20でyes)。すなわち、AGC制御完了信号を受けて、動作クロック制御回路151はADC132および受信開始判定部133の動作クロックの供給を停止する。また、通電制御回路152は、RSSI回路131の通電を停止する。これにより、信号検出部106の動作は停止し、無線周波信号処理部104、利得調整部105、デジタル復調部107および利得制御部108は動作を継続する(S21)。このように、信号受信中に(受信開始から受信終了までの間)、信号検出部106の動作を停止させておく(特に、RSSI回路131の通電を止めておく)ことで、一層の省電力化が可能となる。
なお、この受信時省電力モードをデフォルトとすることが好ましいが、当該モードを選択しないことも可能である。この場合には、信号検出部106、無線周波信号処理部104、利得調整部105、デジタル復調部107および利得制御部108すべてがON(作動)状態となり、引き続き動作を継続する(S22)。
S21あるいはS22についで、パケットデータの復調が行われる(S23)。このS23における信号処理手順を説明すれば以下のとおりである。
S19でAGC制御回路150によるAGC回路122の制御が完了すると、一方のローパスフィルタ115aから出力された信号はAGC回路122で適切に利得(ゲイン)調整され、増幅回路126aに入力され、増幅される。増幅回路126aから出力された信号はデジタル復調部107のADC141aに入力される。また、他方のローパスフィルタ115bから出力された信号はAGC回路122で適切に利得(ゲイン)調整され、増幅回路126bに入力され、増幅される。増幅回路126bから出力された信号はデジタル復調部107のADC141bに入力される。
デジタル復調部107のベースバンド復調回路(BB復調回路)142では、A/D変換器141aおよびA/D変換器141bからの信号に基づいて、無線LAN端末101に送信された信号(パケットデータ)が復調される。この復調されたデータ(復調データ)は上位層へ送信される。
信号の復調が完了すると(S24)、ベースバンド復調回路142は、パケット復調終了信号を作動状態制御部109に送信する。これにより無線LAN端末101は再び受信待機状態に移行する(S25)。
すなわち、ベースバンド復調回路142からのパケット復調終了信号を受けて、作動状態制御部109の通電制御回路152は、利得調整部105の通電を停止するとともに、信号検出部106のRSSI回路131への通電を開始する。また、動作クロック制御回路151はデジタル復調部107および利得制御部108への動作クロックの供給を停止するとともに、信号検出部106のADC132および受信開始判定部133の通電を開始する。
なお、上記実施の形態1・2では、デジタル部の各部は、動作クロック制御回路による動作クロックの供給停止あるいは開始によってその作動が制御されているがこれに限定されない。例えば、通電制御回路がデジタル部の各部(ADC・受信開始判定部・デジタル復調部・利得制御部)の通電を制御する構成であっても構わない。また、上記した作動状態制御部の機能は、ハードウェアによって実現することも可能であるし、また、プログラムをコンピュータに実行させる(例えば、CPUなどの演算手段がROMやRAMなどの記録媒体に格納されたプログラムコードを実行する)ことによって実現することも可能である。
また、実施の形態1・2では、ダブルへテロダイン方式と、ダイレクトコンバージョン方式とを説明しているが、本発明の受信装置が適用される構成はこれらの方式に限定されない。無線周波信号(RF)処理部(第1のアナログ処理部、例えば、上記第1信号処理部)とデジタル処理部(例えば、上記復調部)との間に、復調精度を高めるための何らかのアナログ処理部(第2のアナログ処理部、例えば、上記第2信号処理部や中間周波信号処理部)が存在する受信機であれば本発明の構成を適用する(通電制御部が上記第2のアナログ処理部への通電を制御する)ことが可能である。
なお、本発明の受信装置は、受信した無線周波信号をより低周波の信号に変換する第1信号処理部と、上記無線周波信号の信号強度を検知する受信強度検知部と、上記第1信号処理部からの信号に復調精度を高める処理を施す第2信号処理部と、該第2信号処理部からの信号を復調する復調部と、上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、第2信号処理部の各回路の作動開始および作動停止を制御する作動状態制御部とを備える構成であると表現することも可能である。
また、本発明の受信装置は、受信した無線周波信号をより低周波の信号に変換する無線周波信号処理部と、上記無線周波信号の信号強度を検知する受信強度検知部と、上記無線周波信号処理部からの信号をさらに低周波の信号に変換する中間周波信号処理部と、該中間周波信号処理部からの信号を復調する復調部と、上記受信強度検知部の検知結果に基づいて、中間周波信号処理部の各回路の作動開始および作動停止を制御する作動状態制御部とを備える構成であると表現することも可能である。
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施の形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。